「1978」 副島隆彦・佐藤優著『「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり』(ビジネス社)が発売 2022年1月27日
 SNSI・副島隆彦の学問道場研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)です。今日は2022年1月27日です。


「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり

 副島隆彦先生と佐藤優先生の対談本『「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり』(ビジネス社)が2月1日に発売になります。発売日は2022年2月1日です。既にご存じの方も多いと思いますが、佐藤先生は、ご自身がまえがきで書いているように、厳しい闘病の中で、今回の対談本を完成させました。
 副島先生が「今日のぼやき」で何度も書いている、「この世は物質と霊魂でできている」「形而上学 meta-physicsのmetaは、“上”ではなく、“下(土台)”である」という日本の学問への修正が二人によってなされたということが本書の大きなポイントだと私は考えます。

 以下にまえがき、目次、あとがきを貼り付けます。参考にして、ぜひ手に取ってお読みください。

(貼りつけはじめ)

まえがき
佐藤優

 本書の内容自体は読みやすい。そこで屋上屋(おくじょうおく)を架すようなまえがきを書くことは止め、共著者である副島隆彦氏に対する率直な認識を記すことにする。
 私は、ほんものの「知の巨人」は副島氏であると昔から思っている。制度化された学問(いわゆる大学や学会での活動)とは別の、在野にこそ真の知性が宿っている場合のほうが多いからだ。
 ちなみに副島氏も、ある時期まで制度化された枠組みの中で教育と研究に従事した。1998年から常葉(とこは)大学教育学部の教授を12年間つとめた。常葉大学は、主に静岡県で活躍する人々を養成する伝統ある大学だ。副島氏のもとで学んだ数百名の学生が、現在は教壇に立っていると思う。大学教授時代の話を尋ねても、副島氏は「研究室で学生と一緒にたこ焼きを作っていた」などと、本質をはぐらかす答えをするのであるが、それは副島氏がシャイだからだ。
 情熱を込めて教育を行い、学生たちとも親しく交遊していたのだと私は推察している。副島氏の講義から触発された人たちは、現在、社会の中堅として活躍している。

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 私も2006年から、母校の同志社大学神学部や生命医科学部、学長が塾長をつとめる学部横断的に学生を集めて精鋭教育を行う新島(にいじま)塾などで教育を手伝っているが、悪戦苦闘している。それには大きく分けて2つの原因がある。そして、その2つの原因は緊密に絡み合っているので解きほぐすのが難しい。
 第1は、高校2年から文科系と理科系にクラスが分かれてしまうので、中等教育(中学は前期中等教育で、高校は後期中等教育である)で必要とされる知識が身に付かないまま大学生になっている人がほぼ全員だという、異常な状態だ。
 私は、高校教育の現場がどうなっているかに関心を持ったので、2018〜20年、母校の埼玉県立浦和高校でも教壇に立った。そこで1年終了の時点で、数学に自信がない生徒が文科系クラスを選択しているという安易な進路選択の状況を見て愕然(がくぜん)とした。私が浦高(うらこう)で教えるようになった若干の成果は、自らの知的関心と将来の夢をよく考えて、文科系、理科系を選択する生徒が増えたことだ。
 話を大学生に戻す。文科系の大学生が総じて苦手感を持つのが数学だ。しかし、数学は経済学、経営学はもとより、社会学や文学や神学(たとえば聖書のテキストマイニングに際しては統計知識が必要)においても不可欠になる。
 高校で文科系を選択すると、数IIBまでは履修することになっているが、これは建前に過ぎず数IAの内容ですら怪しい場合も多い。これは学生たちの責任というよりも、このような状況を放置してきた大人たちの責任である。私は自分が教える学生に対しては、数IIIまで独学が難しければ、通信教育を受けるか学習塾に通う形でもいいので、きちんと勉強するように、と指導している。
 理科系の大学生に関しては、一般的に歴史が弱いと見られているが、これは実態に反する。高校レベルでの現代文が理解できているならば(要は論理的な文章を正確に読む訓練ができていること)、歴史書を読めば理解できるので、理科系の学生でも問題はない。
 むしろ、国公立大学を受験する理科系の学生は、暗記する内容が少ないという理由で政治経済と倫理を選択する傾向がある。理科系の学生のほうが政治や哲学については、入試で日本史、世界史を選択した文科系の学生よりも正確な知識を持っている場合もよくある(受験勉強は意外と真の教養につながるのである)。
 理科系の学生が圧倒的に弱いのは英語だ。理科系の場合、最先端の論文のほとんどが英語で書かれている。また論文を書く場合も、英語で書くのが通例だ。しかし、高校段階でも大学の一般教養でも、そのような英語のノウハウを身に付けるような講義は開講されていない。一部の外国語のセンスが良い人以外は、大学の専門課程以降でも英語の習得に、かなりエネルギーと時間を費やしている。
 あるいは英語文献を扱うのを諦(あきら)めて、日本語文献の範囲内で研究を行う学生もいる。これだと、せっかく優れた問題意識と思考力があっても英語の壁に阻(はば)まれて、学生の可能性を十分に活かすことができない。

* * *

 副島氏は、代々木ゼミナールで英語の名物教師をつとめていたことがある。実用英語の使い手(特に読む力)として副島氏は一級である。この分野での副島氏の業績を1つだけ挙げるとするならば、ジョン・J・ミアシャイマー/スティーヴン・M・ウォルト『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策1、2』(講談社、2007年刊)の翻訳だ。本書は国際政治を読み解く際の基本書だ。
 副島氏の国際関係観にも、ミアシャイマー流のリアリズムがある。私は外交官時代、ロシアとの関係に次いでイスラエルとの関係が深かった。現下、日本の論壇でもイスラエルの生存権を認めることから、中東問題については論じなくてはならないと考えている。
 ミアシャイマー氏の見解については、同意できる部分とそうでない部分があるが、副島氏が訳さなければ、私がこの本を読むことはなかったと思う。副島氏の翻訳によって、私の視界は以前よりも広くなった。

* * *

 さて日本の中等教育の構造的欠陥は、文科系、理科系に知を分断してしまうだけではない。定向進化を遂げてしまった受験産業の副作用として、試験により偏差値でランク付けされることで高校生、大学生の心が疲れてしまっていることだ。その結果、受験競争の勝者を含め、ほとんどの大学生が勉強嫌いになっている。
 副島氏は、ネットで「学問道場」を主宰している。サイバー空間を通じて、再び人々が知に関心を向ける場を作ろうとしている。私はプロテスタント神学という古い学問を基礎としているので、個別に知を伝授するという方法しか思いつかない。
 中世の神学部では教養課程9年、専門課程15 年が標準的な修業年限だった。私は19歳のとき、神学を学び始めたが、自分で神学的思考を操れるようになったのは40代後半になってからだった。大学院修了後は外交官になり、2002年5月に当時吹き荒れた鈴木宗男事件の嵐に巻き込まれ、東京地方検察庁特別捜査部に逮捕され、東京拘置所の独房に512日間勾留されたときも、神学の勉強だけはずっと続けてきた。
 私が神学部と大学院神学研究科で指導した学生で、研究職志望や牧師志望は1人もいなかった。官僚、新聞記者、スポーツ用品メーカーの国際部門などに就職していったが、いずれも、あと20 年は神学の研究を続ける心づもりでいる(裏返して言うと、そういう心構えを持つ学生だけを選んで指導した)。
 人間、一人ひとりの生命は有限だ。自分自身で知についてある程度の感触を摑(つか)んでから、他者にそれを伝達できる期間は20年もなかったという現実を、現在、末期腎不全(じんふぜん)と前立腺(ぜんりつせん)がんのダブルパンチを受けて闘病を余儀なくされている私としては、ひしひしと感じている。

* * *

 ところで、副島氏には、「農村が都市を包囲していく」という毛沢東(もうたくとう)流の戦略があると私は見ている。だから、地方で日本経済を現実に支えている経営者を、副島氏は大切にしている。私の場合、得意分野が外交で、人脈も永田町(政界)や霞が関(官界)に偏ってしまう。この点でも、私は副島氏から多くを学んでいる。
 現実政治に関して、副島氏は岸田文雄(きしだふみお)首相支持の姿勢を明確にしている。

   日本政治への、私、副島隆彦の一番大きな、最大の希望は以下のことだ。
   岸田政権を支える岸田首相本人を含めた8人の有力政治家たちがいる。このまだ若い指導 
   者たち(と言っても、もう皆、50歳、60歳台だ)たち8人(80歳台のひともいる)
   が用心深く団結することで、安倍晋三たちを自民党から追い出すこと。
    これが政権政党である自民党にとっての最大の目標である。普通の国民には理解されな
   いが、この自民党内の党内闘争、派閥抗争こそは、今の日本政治の中心である。
    この反安倍で、お互いの目くばせと無言の表情だけで、じわーっと結集す8人の政治家 
   の名前は今は書かない。
    自分たちの粘り腰のいかにも日本人らしい慎重さで、自分たちのボロと弱点を露出する
   ことなく用意周到に準備する。そして愚劣極まりない、しかし手ごわい安倍晋三 の勢力
   を、計画的にお山の大将に祭り上げる作戦で孤立させて、やがて自民党から追放するこ 
   と。これが今年1年の日本政治の最大の見せ場となる。
    反安倍で考えを同じくする有力政治家8人が結集することで、安倍集団を自民党内で孤
   立させ、のたうち回らさせる。そして安倍たちが自ら暴走、激発することで、実に稚拙で
   大人げない集団だ、ということが国民に丸見えになるので、彼ら60人ぐらいを自民党か
   ら追放する。何故なら安倍党は、すでに特殊な政治宗教団体に純化しているから、自民党
   と相容(あいい)れないのである。
    それでは自民党の大分裂になる。とてもそんなことは起きない、と考えるのが普通の
   人々だろう。
    私、副島隆彦は、自分が持つ予言者(プレディクター)の能力で、これから起きること
   を予想、予言する。世界情勢が一段と厳しくなれば、その影響が日本にも必ず押し寄せ
   る。
    それは、日本政治の担当責任者たちへの圧迫となって必ず表れる。それは、支配政党内
   の政治抗争となって浮かび上がる。これが日本政治を待ち構える、今年最大のドラマであ
   り、国家スケジュールである。
             (2022年1月2日 副島隆彦の学問道場「今日のぼやき」)

 私は、岸田政権の本質がいまだ何であるかよく理解できないでいる。安倍晋三(あべしんぞう)氏に関しては、現実主義的な北方領土交渉を行ったことを高く評価している。他方、現在、自民党内で世代交代をめぐる暗闘が繰り広げられているという認識を副島氏と共有している。副島氏は、自らを予言者(プレディクター)であると規定するが、国際情勢の変動が日本の支配エリートの分断をもたらすのは必然的現象なのだ。

* * *

 最後に私と副島氏の思想に関する共通認識について触れておく。それは若き日のカール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルスに共通している。

   思想の歴史が証明していることは、精神的生産が物質的生産とともに変化するということ
  でなくて、なんであろうか?あらゆる時代の支配的な思想は、いつでも支配階級の思想にす
  ぎなかった。
         (カール・マルクス/フリードリヒ・エンゲルス『共産党宣言』プログレス
          出版所、モスクワ、1971年、69頁)

 本書で批判の対象となっているのは、米中ロの地政学、戦後日本のリベラリズム、日本共産党のスターリン主義などを含め、現代の「支配的な思想」である。こういう思想が普及することによって、利益を得る集団があるということだ。私と副島氏は、1848年にマルクスとエンゲルスが行った作業を、2022年の日本で少しだけ形を変えて行っているにすぎないのである。

 本書を上梓するにあたっては、編集者でライターの水波康氏、(株)ビジネス社の大森
勇輝氏にたいへんにお世話になりました。どうもありがとうございます。

2022年1月12 日、入院中の都内某大学病院の病室にて

佐藤優

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『「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり』 もくじ

まえがき 佐藤優 3

第1章 世界の新潮流を読む
●低成長・マルクス主義の時代
時代の最先端思想は帝国から流れてくる 22
人間の欲望自体を縮小させるという発想 26
デフォルトとなった価値相対主義 29
●マイルドヤンキーが日本の主流
「ヤンキーの虎」が日本の新潮流 36
日本のボリシェヴィキはマイルドヤンキー 38

第2章 戦後リベラルの正体
●構造改革派の思想と田辺元の敗北
「佐高信の正体」と構造改革派 44
構造改革派の思想を生んだ久野収 49
田辺元と「悪魔の京大講義」 54
●日本共産党の正体
日本共産党は、なぜ危険なのか 61
批判されるべき「貧乏人平等主義」 68
日本共産党の暴力革命必然論 70
スパイだった野坂参三――日本共産党最大の事件 79
一国共産主義へと導いた宮本顕治の達観 86
●新左翼とは何だったのか
70年代は殺し合いの内ゲバ時代 94
東大闘争――過激派たちの末路 99
新左翼の誕生とセクトの分裂 102
ソ連から流れた左翼陣営へのカネ 105
繰り返すべきでない新左翼運動の悲劇 108

第3章 米中ロの世界戦略と日本の未来
●アメリカの敗北で起爆するイスラム革命
日本政府のアフガン政策は間違っていなかった 112
インテリジェンス分析の弱さがアメリカ敗北の一因 118.
ロシアが懸念する中央アジア・フェルガナ盆地 123
●宗教対立と戦略なきバイデン政権
ローマ教皇のイラク訪問が意味するもの 131
綱渡り状態が続くイスラエルの内政 135
●中国の台湾侵攻と日本の未来
中国は台湾に侵攻できない 139
日本は中国とケンカすべきではない 144
実現の可能性がある北方領土の二島返還 149
日本は属国のままか、あるいは帝国になれるのか 152
国家を破綻させる「革命」の恐ろしさ 156
欲望の肯定が生み出した中国の巨大な成長 160
平均賃金で韓国に抜かれた日本の最重要課題 165

第4章 ディープ・ステイトの闇
●ディープ・ステイトとは何か
ディープ・ステイトの成り立ちと日本での実態 170
MMT理論とコロナ給付金で崩壊する日本 175
イベント屋と化したディープ・ステイト 180
●世界を支配する闇の真実
ヒトラーはイギリスのスパイだった! 183
ヒトラー暗殺未遂事件が生んだ真の悲劇 186

第5章 間違いだらけの世界の超常識
●世界はデイズム(理神論)に向かっている
この世は物質と霊魂でできている 194
ヘーゲルとマルクスの間違いとは何か 202
●学問の最先端を理解する
形而上学がすべての学問の土台 209
西洋の学問の最上位は神学である 215
「我思う」から「考える葦」、そしてスピノザへ 219
人類を悲惨な状況に追い込んだルソーの絶対平等思想 223.
ドストエフスキーが見抜いた資本主義の本質 229
ポストモダン、構造主義が消えた必然 235
●佐藤優と副島隆彦の生き方哲学
人間には特権的な地位がある 239
キリスト教がいまだに強い真の理由 242.

あとがき 副島隆彦 246

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あとがき
副島隆彦

 佐藤優氏との対談本は、これで7冊目である。この本の書名は「知の巨人うんぬん」となっている。私は、知の巨人という奇妙な、気色の悪い言葉を嫌悪(けんお)する。ところが、何とこれが書名になってしまった。知の巨人というコトバは、出版業界の宣伝文句として、文藝春秋のライター上がりの立花隆(たちばなたかし)に奉(たてまつ)られた 冠(かんむり)言葉だ。立花隆は、CIA(米中央情報局)の手先となって、愛国政治家の田中角栄を謀略政治言論で突き殺した当人である。
 この対談本の相手の佐藤優は知の巨人であろうが、私はそうではない。私は九州の田舎から出て来て何とか言論人になろうと、貧乏の中で何のコネもなく自力で這(は)い上がって来た人間だ。だから私は、この世の全ての特権階級、言論お公家(くげ)さま集団が大嫌いである。
 私は、世の中で隠されている諸真実を本に書いて暴き立てることで、出版業界で何とか徒食(としょく)して来た。私は自他共に認める〝真実暴きの言論人〞である。
 佐藤氏は、まえがきで私が静岡の私大で12年間教えたことを、私に何か人生戦略が有るかのように書いてくれている。そんなものは、ありません。私は、年収1000万円の収入が欲しかったから大学教師をしていただけだ。私のアメリカ政治研究の能力を評価してくれた政治家が、推薦してくれた。その前の13年間の予備校講師も、ゴハンを食べる(生活費を稼ぐ)ための必要でやっていたのであって他に理由はない。
 私は、世の中のごく普通の人々の悲しみと苦しみが分かる人間である。私は、権力者や支配者層の人間たちと闘い続けるから、彼らに同調しないし、身を売らない。

 佐藤優は、ロシア語とドイツ語から、宗教(神学)と思想の両方を刻苦勉励して習得した。私は英語しかできない。佐藤優は、日本では稀有な世界基準 world values(ワールド・ヴァリューズ)で、高等知識を取り扱うことができる稀有な思想家である。だから、私は佐藤優と話が合う。互いの知能(インテレクト)を理解し合っている。こういう本物の知識人は、今の日本にあまりいなくなった。昔は少しいた。今の日本の知識人(学者)階級の知能低下は目に余る。ヒドいの一語に尽きる。
 本書のP213でアリストテレスの主要な著作の meta-physica(メタ・フィジカ)と physica(フィジカ)(物理学 ×自然学ではない)の区別を論じた。メタフィジカの「メタ」meta-は、普通言われているような物質世界(フィジカ)の「上」とか「前」とか「後(あと)」ではない。Meta-は「下」である。フィジカの下に有る土台のことだ。
このことで、私は佐藤氏と一致した。メタ meta-は、この現実の世界 physica(フィジカ)の下に有って、それを支える基礎、土台のことである。このことを2人で確定した。
 meta-physicaを、明治の初めに×「形而上学(けいじじょうがく)」(形あるものの上[うえ]にある学問)と訳した。このことの大間違いが、本書ではっきりした。これは、日本における西洋学問の輸入、移植の際の欠陥、大(だい)誤り、大失敗の指摘と訂正ののろしとなるだろう。
 私が、この30年間抱えてきた学問研究上の疑問の苦悩を佐藤優に一つ一つ問いかけて、
「そうですよ」「そうですよ」と頷(うなず)き(合意)をもらえたことが大きい。日本国におけるヨーロッパ近代学問(これがscience [サイエンス]。P217の表)の受容上の数々の大誤りが、本書で訂正されていった。このことは、日本における学問と思想の大きな前進である。

私は、「ウィキペディア」を強く疑っている。インターネット上に開かれて、誰でも、どこからでも、自由(フリー)に読める百科事典(エンサイクロペディア)を名乗っている。現代の新たな人類の知識(知能)の管理組織である。その危険性に私は、警鐘を鳴らしてきた。アマゾン、グーグル、アップルら米 big tech(ビッグテック)の危険性と同じだ。だが、今のところ誰も私の主張を聞いてくれない。
 ウィキペディア Wikipediaの、あの膨大な文章は一体、誰が、どんな組織で書いているのか分からない。ウィキペディアンたちがボランティアで書いてます、は人々を欺(あざむ)く謀略言論である。書き手は名無しのゴンベエだ。文章責任(文責[ぶんせき])が全く明らかでない。公共の知のふりをした闇に隠れた支配組織だ。
 ウィキペディアは、80 年前(1938年)にイギリスの大(だい)SF作家のH(エイチ)・G(ジー)・ウェルズがぶち上げた world brain(ワールド・ブレイン)「世界頭脳」というアイデアを元(もと)にしている。この世界頭脳は、世界中のどんな貧しい人々も、ただちに習得できる公共知の提供の構想だった。
 ところが、この世界頭脳(ワールド・ブレイン)は危険である。人類を上から支配する目に見えないビッグ・ブラザー big brotherの片割れである。その現在の姿がウィキペディアである。それなのに、日本の出版業界と知識人層は疑うことも知らず、このウィキペディアにべったりと依存している。だから、出版業界が衰退しジリ貧になるのだ。
 佐藤優と、次の対談本では、これらの問題を話し合いたい。
佐藤優氏が、まえがきで献辞を書いたので私は繰り返さない。

2022年1月
副島隆彦

(貼り付け終わり)
(終わり)

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