バイデン政権で外交政策の舵取りを行う、アントニー・ブリンケン国務長官は、2021年3月3日、国務長官就任後の初めての演説で、中国を「今世紀における地政学上の最大の試練 the biggest geopolitical test of this century 」と呼び、同盟諸国との連携を強化して、中国と対峙すると述べた。
人間を大量に殺傷し、建造物などを大規模に破壊する武器を大量破壊兵器 Weapons of Mass Destruction[ウエポンズ・オブ・マス・デストラクション] (WMD)と呼ぶ。細かく言えば、ABC兵器とも言う。Aは核兵器Atomic Bombs 、Bは生物兵器 Biological Weapons 、Cは化学兵器 Chemical Weapons を指す。
この状況において日本はどう行動すべきか。選択肢はほぼない。なぜなら、日本はアメリカの属国 tributary state であって、アメリカの命令通りに行動しなければならないからだ。アメリカが中国封じ込めに周辺の同盟諸国を動員するということになれば、日本は中国との対決の先兵として使われる。米軍が中国軍と直接接触するということは大変なことで、それは最終段階のことである。その前の段階として日本とインドがまず接触(衝突)させられる。
『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策Ⅰ・Ⅱ』(スティーヴン・M・ウォルトとの共著、副島隆彦訳、講談社、2007年)で、シカゴ大学教授のジョン・J・ミアシャイマー John J Mearsheimer(1947年― 73歳)は、自著の『大国政治の秘密 The Tragedy of Great Power Politics 』(奥山真司訳、五月書房、2007年)の中で、既存の国際関係を変化させるような新興大国の勃興が起きた際の他国の取るであろう複数の戦略「バランシング balancing 」「バンドワゴニング bandwagoning 」「バック・パッシング buck-passing 」について説明している。