「1822」 『絶望の金融市場──株よりも債券崩れが怖ろしい』(副島隆彦著、徳間書店)が発売される 古村治彦(ふるむらはるひこ)筆 2019年4月25日
 SNSI・副島隆彦の学問道場研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)です。今日は2019年4月25日です。

明日、2019年4月26日に副島隆彦先生の最新刊『絶望の金融市場──株よりも債券崩れが怖ろしい』(徳間書店)が発売になります。


絶望の金融市場 株よりも債券崩れが怖ろしい

 この本では、副島先生の最新の経済分析が書かれています。昨年12月に、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長が利上げを発表し、これによって、アメリカの株価が暴落しました。これに対して、ドナルド・トランプ大統領はパウエル議長を脅し上げて、利上げをしない、金融緩和を継続するということを約束させ、株価の大暴落を防ぎました。


『絶望の金融市場』から

本来であれば、中央銀行であるアメリカ連邦準備制度は政府から独立しているのだから、大統領が脅しても屈する必要はないはずですが、まさに「トランプ“独裁”」によって、利上げはなくなり、株価は維持されました。日本株も大暴落か、という懸念が起きましたが、こちらも回避されました。

 しかし、アメリカでも日本でも中央銀行(アメリカでは連邦準備制度、日本では日本銀行)が国債を買い取り、資金を政府に提供している、という「禁じ手」が行われています。また、日本ではマイナス金利という前代未聞の政策が実行され、ジャブジャブマネー(副島先生が命名)の状態になっていますが、物価は上がらず、給料も上がらないというこれまでになかった現象が続いています。しかし、これを続けるしか他に方策がない、ということで続いています。

副島先生は、「トランプ大統領の豪腕によって、FRBの利上げは阻止され、2018年末の株価暴落は回避できた。しかし、危険は債券市場崩れから起き、それが国債にも波及する」と書いています。債券市場というのは、一般の人たちには縁遠い存在ですが、リターンは大きいが危険な(紙くず同然になる可能性の高い)低格付け社債などへの投資が増加しています。


『絶望の金融市場』から

 このようなバクチが金融の世界で割合を高めていることは、そのバクチが失敗した場合の影響が大きくなっているということになります。一般の人々にとっては何のことか分からないところで勝手にバクチをやって失敗して暴落が起きたら、経済全体に影響が出るのですから、私たちは債券市場について知り、その動向に敏感になっていなければ、自分の生活を守ることが出来ないということになるでしょう。

 更に、本書で副島先生は、経済学の最先端理論がもはや意味をなさないものであることを、第2章、第5章で分かりやすく解説しています。そもそも中央銀行が国債を買い取って政府にお金を渡す、「経済活動が活発になる(好景気)から物価が上がる(インフレになる)(好景気→インフレ)」をどっこいしょと入れ替えて、「物価が上がるから好景気になる(インフレ→好景気)」とする理論は間違いであると指摘しています。


『絶望の金融市場』から

 ここから加筆します(2019年4月28日、古村記)。副島先生は、経済学の様々な理論は、根本は「Y = M(Yield = Money)」で、それを経済学者それぞれが数式にしたということで、それが間違いだったということを発見しています。人間活動(人間のうごめき)を全てお金で示す、数式で示すということはできないことであるのに、それをしてしまったことが現在の経済学理論が使えないこと、誤りであることの最大の原因であるということを発見しました。


『絶望の金融市場』から


『絶望の金融市場』から

 今の日本やアメリカのやっていることは資本主義の原理原則から外れたもので、対処療法はあっても、やがて資本主義の原理原則によって復讐されることが起きるのだ、と副島先生は書いています。ですから、何か大きな変化、悪い変化に対して、自分の生活だけでも守ることが出来るように、慎重に対処すること、その具体策を書いています。

 以下に、まえがき、目次、あとがきを貼り付けます。これらを参考にしていただき、是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

まえがき

私は、『「トランプ暴落」前夜』を前年10月に書いて予言を当てた。そして今年である。

トランプが「株高[かぶだか](だけ)は死守せよ」に動けば、その周まわりに危機(危険)がはみ出す。

株ばっかりを、政治の力で無理やり吊つり上げると、ジャンク債ボンド(ボロくず債[さい])市場が崩れる。ジャンク債ボンドとは、ハイイールド債(さい)であり、各種の高危険[こうきけん](ハイリスク・ハイリターン)債である。日本も含めて投資家たちは、株の儲(もう)けに飽(あ)き足らずに、これらの高ハイリスク危険の仕組み[コンポジット]債(さい)に手を出している。これらは、株式(ストック)のお化ばけ、である。ETF[イーティーエフ](上場投資信託)やら「インデックス型投信」やら、「BB(ダブルビー) 格(かく)以下の低(てい)信用債券」と言ったりもする。

今の世界の金融・経済は、アメリカのトランプ大統領の決断で動いている。彼がズルズルと引きずり回している。

年明けにトランプが、FRB[エフアールビー](アメリカの中央銀行)のパウエル議長を、脅し上げて政策金利(短期金利)の利上げをやめさせた(1月30日)。この日からすべてがガラリと変わった。

2月27日には、パウエル議長は、議会証言で「(2019年の)年内で、FRB資産の縮小計画を終了する」と言った。すなわち、「FRBが抱える米国債の売却方針を撤回して、このまま抱(かか)え続ける」と発表した。パウエルは今にも泣き出しそうな顔だった。いじめっ子のジャイアンのトランプに、教室でカツアゲを喰くらったノビ太くんのような感じだ。

これは米トランプ大統領による〝トランプ独裁(どくさい)〟だ。

世界の金融・経済の流れがガラリと大きく変わった。今年の1月からだ。トランプがもの凄すごい剣幕でジェローム・パウエルを脅迫して「コラー、利上げするな。量的引き締め(クオンティテイティブ・タイトニング、quantitative tightening)もするな。緩和[かんわ](イージング・マネー)を続けろ」「私に逆らうと首を切るゾ」と本当に圧力をかけた。前代未聞(ぜんだいみもん)の激しさであった。

このために、FRBのそれまでの、①利上げと②通貨量(マネーサプライ)引ひき締しめへの転換の大方針が、ひっくり返った。2015年初めからのFRBの大だい方針が大だい転換した。

FRB(連邦準備制度理事会)は、政府から独立した組織である、ということになっている。民間銀行です、というフリまでする。政府の銀行ではありません、と。ここに秘密がある。ここへ豪腕(ごうわん)大統領から、「お前たちが利上げを公表する度(たび)に、株(かぶ)が暴落するじゃないか。それで景気が悪くなる。利上げをやめろー、これ以上景気が悪くなるのを喰くい止めるんだ」と怒鳴られるものだから、FRBの理事や各[かく](全米に12行ある)連銀(れんぎん)の総裁たちが、この剣幕(けんまく)にすっかり脅おびえてしまって、ホワイトハウスに屈服してしまった。

昨年12月20日に、パウエルは「来年は予定通り2回、利上げをする」と威厳をもって発表した。

そうしたら、12月24日に、クリスマス・イブ暴落が起きた。NY株は3000ドル落ちた。顔色(がんしょく)を無くしたパウエルは、1月30日に、FOMC[エフオーエムシー](米連邦公開市場委員会)のあとの記者会見で、ボッキリと背骨を折られて、利上げと量的引き締め政策を放棄した。

アメリカは景気がいい。そしてその頂点(ピーク)にある今のうちに、どんどん金利を上げて、景気を引き締めて過剰資金(加熱した投機、バクチの資金。すなわち過剰流動性[かじょうりゅうどうせい])を、金融市場から奪い取らなければいけないのである。FRBにしてみれば、何も間違った金融政策の舵取りはしていない。おかしいのはトランプの方だ。確かにそうなのだ。トランプの方がメチャクチャだ。だが、このトランプの商売人(都市開発デベロッパー) 上(あが)りの、ドウ猛な決断にも一理ある。アメリカの景気をここで崩したら、あとが大変なことになる。空(カラ)の、見せかけの景気回復であるが、トランプが、この2年間で、自力(じりき)で手塩(てしお)にかけて無理やり作ってきた景気だ。

2月27日のパウエル議長の議会証言は、2014年まで続けていた(前の前のバーナンキ議長の)金融緩和[かんわ](イージング・マネー)の方針を復活させる。これからアメリカは、ジャブジャブ・マネー(QE[キューイー]政策)に戻ることを意味する。利上げどころか、利下げをするだろう。ジャブジャブ・マネーの市場への放出もする。「行くところまで行けー」だ。そしてそのあと、この危険な政策が、どのような激しい副作用を起こして、大きな歪(ゆが)みがどこに出てくるか。私たちは凝視するべきだ。行け、行け、どんどんは有あり得えない。調子に乗ると、また、ハシゴを外はずされる。

トランプたち(彼への助言者たちも)は、「株価さえ吊(つ)り上げておけば、アメリカ国民は安心する。景気がいいという気持ちになる。FRBよ、邪魔するな」とFRBを脅した。

金融引き締めをやらないで、現状のまま金融市場に溢(あふ)れ返る余(あま)った資金で、巨大な金融バクチを、ヘッジファンドどもや、HFT(エイチエフティー)、超(ちょう)高速度株(かぶ)取引業者たち(後述する)に続けさせる。株価をハネ上げ(急上昇)させたり、急に下落させたりして、これで市場参加者(ステイク・ホールダー)たちに儲(もう)けさせる、ことを続ける。

“トランプ独裁”の決断は、政治の力で株価を操作、操縦[そうじゅう](マニュピュレイション)しながら、見せかけのアメリカの繁栄をなんとか続けることである。

しかし、それでも世界経済は暗雲が立ち込める。今にもどこかで金融危機(ファイナンシャル・クライシス)が起きそうだ、と投資家たちがソワソワして不安がっている。この動物的な心理と反応が正しい。

私は、逆張り人間のヘソ曲がり(contrarian、コントラリアン)であるから「反対に反対する」という考え方をいつもする。すると、どういう結論になるのか。元に戻るのか。いや、そうではない。ただちには分からない。私は権力者(支配者)と世の中の大勢(たいせい)が言うことを信じない。自分が持つ予知(よち)能力(近[きん]未来を予言する力)を信じて、次々と押し寄せる新しい事態に、慎重に備える。

この国で、ずっと、もう20年間、「もうすぐ金融危機が来る。大恐慌が近づいている」と、書いてきたのは私だ。この私が、大きく態度を変えて、「日本もアメリカも、経済(景気)はしばらく大丈夫です。安心して、さらに値上がり利益を待ちましょう」と言う訳(わけ)がないだろう。私は、「金融市場に対する根本的(根源[こんげん]的) 悲観(ひかん)主義者」だ。

私は、「そろそろ危ない。危機が迫っている。用心しなさい」と、本に書いて、金融崩れ、株崩れを事前に警告を発してきた。だから、私の新刊本を買ってササッと読む賢明(けんめい)な人々は、早めにポジション(建玉[たてぎょく])を手仕舞(てじま)って、大損(おおぞん)を出さないで、ここまで生き延びてきた。

だから、今の私は、トランプが号令をかけるアメリカの「行け、行け、どんどん、どこまでも」に反対はしない。あいつらにやらせるしか、ないではないか。どこまでもドンドンやりなさい、その先に地獄が見えるだろうから、と私は唱える。かつ、日本国内でもどうせトランプに追随するから、私が強く主張するのは、「政府や日銀は、金融市場への規制を強めるべきだ」ではない。その反対に「規制をするな。一切するな。全くするな」である。「このままドンドン、ガンガン、行けるところまで行け。地獄まで行け」だ。

市場取引に規制をかけると、投資家心理が冷え込んで、株が下落して、それでさらに景気が悪くなる。と、政府(財務省)も日銀もトランプに右に倣ならえ、で思っている。大勢[たいせい](=体制) 順応が彼らの習性だからだ。アメリカのトランプ独裁の影響で、日本もゼロ金利(長期金利市場なら「マイナス金利」)を継続し、金融引き締めをしない(ジャブジャブ・マネーのまま)だ。

私が守ればいいのは、私の本を買って読んでくれる人(読者、お客さま)だけだ。

私は自分の読者だけをひたすら守る。彼らに間違った判断をして大損をすることをさせない。そうやって、20年間、ここまで、地道に築いて来た自分の信用だ。私は自分の読者(お客)だけは何があっても守る。

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絶望の金融市場──株よりも債券崩れが怖ろしい[目次]

まえがき─2

第1章 〝トランプ独裁〟が経済を変えた

アメリカの金融崩れが阻止された─22
フラッシュ・クラッシュの激震が為替市場を襲った─25
これからは債クレジット券市場が危ない! ─32
バフェットまでもが株で大損した─44
ヘッジファンドが〝踏み上げ〟を喰らった─54
ニューヨークの株式市場は大爆発寸前で生き延びた─58
ロシアは米国債を売却して金(ゴールド)を買い増した─62
〝トランプ独裁〟で金融緩和の再開が決まった─65
私たちは危険な投資の時代に突入している─67

第2章 金融理論はみんなゴミだった

金融理論は全部ゴミくずだったことがバレた─70
トランプは若い頃から民主党リベラル─74
ジャブジャブ・マネーの洪水に呑み込まれる世界─80
もうすぐ何か巨大なことが起こる─103

第3章 株よりも債クレジット券市場の崩落が恐ろしい

レバレッジをかけてパワーアップした株もどきの金融仕組み債─106
ノックイン債でノックアウトされる恐怖─112
あまりにも危険な不動産担保抵当証券が平気で売られている─114
企業の債務不履行リスクをも対象にする金融派生商品CDS ─122
“ヘッジファンドの皇帝”が鳴らす警鐘─124

第4章 ボロくず債の暴落から恐慌突入

ボロくず債崩れが国債市場をぶち壊す─130
パウエルFRB議長はジャンク債の暴落が怖い─136
日銀黒田総裁は誰と闘っているのか─141
「それでも金融市場は、しばらくは大丈夫。狼狽えるな」─146
ソフトバンク株の上場は二重評価のインチキだ─148
粉飾決算をしてでも株価を維持しようとする社長たち─151
買えなくなるから、今こそ金を買い増すべきだ─154
人騙し業界人のポジション・トークに乗せられるな─160
本当に危険なのはトランプの任期が終わる2024年─166
大戦争か大恐慌か──80年周期で大きな危機が来る─172

第5章 経済学はYイールド= Mマネーですべて分かる

経済学の理論はたった一つの公式で説明できる─180
「フィッシャーの交換方程式」がマネタリズムを生んだ─185
ケインズの偉大さは過剰生産の発見にある─191
Y = C + I という人類の大原理─197

第6章 「政府マネー」は間違っている

貨幣数量説は嘘っぱちのインチキ理論─204
マネタリズムに屈服したニューケインジアン─207
インタゲ論は完全に敗北した─210
スイスの国民投票で否決された政府マネー─214
米ドルの信用力が落ちてきた─224
通貨発行は中央銀行の役割でなければならない─227
皇帝や将軍たちも金貸し業をやっていた─233
国民負担率が5割を超したら江戸時代の「五公五民」だ─236
やっぱりケインズが偉大だ─241
第7章 アメリカは北朝鮮を押さえ込む

2月28日の米朝会談(トランプと金正恩)の決裂、もの別れ─248
ディールとネゴシエイションの違い─259
トランプはじわじわと金正恩を追い詰める─263

あとがき─269

【特別付録】隠れたお宝のモノづくり企業 厳選14銘柄─272

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あとがき

私の最新作の、この『絶望の金融市場 株よりも債券崩れが怖ろしい』を書き上げる時に、私は大きな謎をひとつ解いた。

アメリカは、自国の景気(経済)を必死で維持するために、〝トランプ独裁〟で無理やり利下げと量的緩和[りょうてきかんわ](イージング・マネー。ジャブジャブ・マネー)の再開に舵(かじ)を切った。

現代の欧米経済学の根底にあるのは、①実物(じつぶつ)経済(もの、財[ざい]の市場)と②金融(おカネ)経済との関係をどのようにとらえるか、である。

私はここで、Y=Mというたったひとつの数式(公式)で、理論経済学はすべてを書き表わしてきたのだ、という秘密を大発見した。

Y(もの)=M(お金)という一行の式(方程式)で、経済学(エコノミックス)なるものの謎は解けた。このことを本書の第5章で、大急ぎで書いた。

マネタリズム(シカゴ学派)も、ケインジアンも、マルクス経済学も、すべてY=Mで出来ていた。

このことが分かれば、日本人の鋭い、生来頭のいい人たちは、「理論経済学という暗黒大陸(あんこくたいりく)」に踏み込んでゆける。日本人にこの100年間、解けなかった西洋人の近代学問(サイエンス)というものの真髄に触れることができる。私が勢い込んで何を一体、書いているのか、分からなくていいですから、どうか、第5章の私の大発見を読んでください。

本書をたった一カ月の急ごしらえで(構想には半年かかっている)作るに当たって、徳間書店学芸編集部の力石幸一氏から、いつもながらの強い支援をいただいた。記して感謝します。

2019年4月

副島隆彦 

(貼り付け終わり)

(終わり)

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