「1782」 副島隆彦先生の最新刊『日本人が知らない真実の世界史』(日本文芸社、2018年10月27日発売)をご紹介します。 2018年10月20日
 SNSI・副島隆彦の学問道場の古村治彦です。

 本日は、副島隆彦先生の最新刊『日本人が知らない真実の世界史』(日本文芸社、2018年101月27日発売)をご紹介いたします。


日本人が知らない 真実の世界史

 本書は、副島先生の世界史理解の最高到達点と言うべき本になっています。世界史と言えば中学や高校でカタカナの人の名前や場所の名前、年号をひたすら覚えろ、覚えろで嫌な思い出を持っている人が多いと思います。私も恥を忍んで申しますが、ご多分に漏れず、試験前に必死で暗記したものの今やほとんど忘れて、断片的に用語を覚えているだけという状態です。

 副島先生は、そういう細かい知識は抜きにして、まず大掴みに世界史について、なたで薪をスパッと割るように、明確に言い切ります。それは、「『帝国―属国関係』が世界史を貫いている」ということです。世界では様々な民族国家が生まれ、それらを収れんする帝国が生まれ、別の帝国と覇権を争い、敗れれば滅んでいくということを繰り返している、というものです。常に進んだ帝国があり、それにいじめらたりしながら付き従う属国群があったということで、現在の日米関係も帝国と属国の関係ということになります。

 副島先生は更に、世界市場の大きな出来事や事件を起こす、人類を貫く3つの原理を提唱しています。これら3つの原理で人間は大きな動きをしてきました。それらは、①食べさせてくれの法則(50万人くらいの人間たちが集まって「食べさせてくれ」ということになり、「食べさせてやる」という指導者が出てくる)、②ドドド史観(北方の草原地帯から遊牧民がドドドと騎馬隊で攻め込み、低地に済む農民たちの国を支配する)、③熱狂史観(激しい熱狂[ユーフォリア]が生まれ、多くの人が幻想にと取りつかれ、熱病にかかる)、というものです。

本書『日本人が知らない真実の世界史』を書くにあたり、副島先生が依拠したのは、以下の4冊です。



 本書『日本人が知らない真実の世界史』が取り上げている場所は、メソポタミア、イスラエル=パレスチナ、エジプト、ギリシア、ローマというペルシア湾、紅海、地中海にまたがる地域です。そして、取り上げる時代の幅は、紀元前1250年(モーセの出エジプト)から紀元1453年(コンスタンチノープルの陥落、東ローマ帝国崩壊)までの約2700年間です。


世界史年表


本書の舞台の地図

 本書『日本人が知らない真実の世界史』には、「このように考えねばつじつまが合わない」「こちらがより真実に近い」という、これまでの定説を覆す副島先生独自の内容が書かれています。副題にあるように「覆される定説」ということです。どうしてこのように考えられるのか、ということになりますが、それは、「帝国―属国関係」と人類を貫く3つの原理に基づいて考えることで、より真実に近づくことが出来るということになります。内容を全てご紹介することはできませんが、私が感銘を受けた部分をいくつかご紹介したいと思います。


サンド教授の本の紹介記事

 本書の舞台となっている中東地域には、古くから多くの帝国が勃興し、滅亡していきました。そうした中で、一度も帝国が生まれなかったのは現在のイスラエル=パレスチナ地域です。その代わりというのは変ですが、この地域からは一神教(monotheism)が生まれました。その代表がユダヤ教(Judaism)です。いうことになります。一神教について、副島先生は、「『目に見えないもの』『ある崇高なもの』を崇(あが)めさせ拝(おが)ませる。そうやって人間を大(だい)宗教に拝跪(はいき)する奴隷にした」(50ページ)と書いています。

 ユダヤ教やキリスト教、イスラム教といった一神教(全て『日本人が知らない真実の世界史』で取り上げている地域で生まれた)の大宗教の聖職者たちが人々を支配するという構造になっている、それは人類にとって不幸なことだ、と副島先生は真実を見破り、私たちに訴えかけています。


イスラエル=パレスチナを支配した18の帝国

 更に言うと、ユダヤ人は、日本人を含む他の民族や国民のように、「作られた」人々です。副島先生は、「モーセたちはヤハウェという神をつくることによって、自分たちユダヤ人(イスラエル人)をつくった。ユダヤ人を発明(インヴェンション)したのである」(39ページ)と書いています。エジプトからパレスチナに移動した人々(エジプト人)の中から、一神教を信じる人々が出てきた、これがユダヤ人であった、ということです。この指摘は大変に重要だと思います。

 それでは、ユダヤ教はいつ成立したのか、ということになると、それはなんと紀元200年頃だと副島先生は喝破しています。ユダヤ教の聖職者であるラビたちが集まって、モーセ五書がギリシア語で書いてユダヤ教は成立しました。モーセの出エジプトが紀元前1250年ですから、それから約1500年も経って、宗教として成立したというのは何とも信じがたい話ですが、このことを副島先生は証拠付きで暴いています。



 本書の舞台となっている地域では、書き言葉としてギリシア語、話し言葉としてアラム語を使っていました。この広い地域では人々の言葉が通じていたし、現在でも通じるということです。私たちは現在の厳格な国境で分けられた国民国家を当たり前として暮らしていますから、言葉が違う、外国に行くと言葉が通じなくなるということを当然のことと考えてしまいます。しかし、この広い地域に住む人々は言葉が通じていたし、現在も通じているのです。

 現在の国民国家の基となるナショナリズムは新しい思想であり、19世紀に誕生したものです。そこから、それぞれの国の「神話」が生み出され、「私たちは○〇語を話す○○人だ」という幻想を教え込まれています。言葉、宗教、民族というものは幻想の共同体(ベネディクト・アンダーソン)ということになります。ここのところをよく理解しておかねば、歴史は理解できないということになります。

 ユダヤ人たちは都合が悪くなると(戦争で負けたりして命の危険に遭遇すると)、その大部分がユダヤ教を捨てて、「パレスチナ人(ペリシテ人)」となりました。元に戻ったと言えます。それでは、現在のイスラエルに住むユダヤ人たちはどこからやってきた人たちかと言うと、その大部分は現在のウクライナにあったカザール王国(ユダヤ教を国教とした)を起源とするアシュケナージ・ユダヤ人と呼ばれる人々で、2割ほどがスファラディ(スペイン系)・ユダヤ人だということです。

 このカザール王国を滅ぼしたのは、ヨーロッパ北部からやってきたノルマン人です。私たちはヴァイキングとも習いますが、船を操り、高い戦闘能力を持つ集団でした。このノルマン人たちが海から川を伝い、時には船をかついでヨーロッパを南下し、支配を広げていきました。また、イギリスの建国も829年、エグバートというノルマン人の王によってなされたものです。中東などでは草原地帯にいた騎馬民族が馬で一気にドドドと攻め込んできたのですが、ヨーロッパでは大柄のノルマン人が船で侵入してきた、それがヨーロッパの始まりだというのは大変興味深い話でした。



 私が興味深く読んだのは、本書の後半部に書かれていたローマとギリシアの関係です。ギリシアは紀元前から先進的な文化を誇る、経済的にも豊かな地域でした。しかし、そこにローマが抜港してきます。ギリシアはフェニキアと一緒になって、と言うよりは、ギリシアとフェニキアは一心同体で、ローマと争うのですが、ローマに敗れてしまいます。ローマはギリシアに侵攻し、アテネを破壊します(紀元前168年と紀元前149年)。

 今でもアテネに残り、観光客が多く訪れるアクロポリスの丘のパルテノン神殿の遺跡があのような姿になったのは、ローマによる破壊が原因です。副島先生は「ローマがギリシアを破壊した」ことは世界史学の恥部であり、スキャンダルだと指摘しています。しかし、ローマはギリシアに憧れ、何でも真似し、ドロボーしたということです。ローマ人たちは、戦争で捕虜にしたギリシア貴族をローマに連行しましたが、彼らを家庭教師として優遇しました。また、ローマ帝国が東に移りましたが、彼らはローマ人でありながら、ギリシア語を使い、「ギリシア人化」していったということです。ギリシアがヨーロッパに持つ重みということがここから分かります。

 今回ご紹介したのは本書『日本人が知らない真実の世界史』の内容のほんの一部です。
以下に、まえがき、目次、あとがきを貼り付けます。目次をご覧いただくと、本書の内容が多岐にわたり、面白いものだということがよりお分かりいただけると思います。

 ぜひ手にとってご覧ください。よろしくお願いいたします。

(貼り付けはじめ)

はじめに──世界の歴史が大きく分かる

 この本は、世界史を勉強するための本だ。世界史をできる限り分かりやすく、その全体像をつかまえて、分かるための本だ。そのつもりで私は書いた。

 日本人が、世界史(=人類史)の全体像を、どこまでも徹底的に簡潔に概観(アウトルック)できることを目指した。私なりのその苦闘の表れだ。

 世界の歴史を、たった1冊の本で大きく大きく理解するにはどうしたらいいか。大風呂敷を広げ、大丼を書いた。それでもなお、この本は世界史の勉強本(ハウツー本)である。それがうまくいったかどうか、読者が判断してください。

 私の考えは、「帝国─属国関係」が世界史を貫いている、とするものだ(帝国─属国理論)。

 世界史(人類史)5000年間(たったの5000年だ)は、世界各地に起ち上がったたくさんの小さな民族国家=国民の興亡である。そして、それらをやがて大きく束ねて支配した帝国(大国)の存在に行きつく。

 そして帝国(大国)は、別の帝国と世界覇権を目指して激しく衝突する。この構造体(仕組み)は今もまったく変わらない。

 私は、拙著『属国・日本論』(1997年刊。21年前。44歳のとき)で、「今の日本は、アメリカの属国(従属国、保護国)である」と書いた。以来、ずっと、私は世界は「帝国─属国」関係を中心に動いている、と主張し、論陣を張ってきた。

 日本は原爆を2つ落とされて敗戦(1945年8月)した。この後の73年間を、ずっとアメリカの政治的な支配の下で生きてきた。今の日本国憲法(国)の枠組みをつくる最高法規)の上に日米安保条約(軍事条約)があるから、改憲も護憲も虚しく響く。

 アメリカの支配の前は、幕末・明治以来、隠れるようにしてであるが、イギリス(大英帝国)の支配を受けた。

 その前は、長く中国(歴代の中華帝国、王朝)に服属して(後漢帝国の時から)、その朝貢国(トリビュータリー・ステイトtributary state )であった。

 今回は、日本史から離れて、私はもっと広く大きく世界史についての本を書くことにした。初めは、本書の書名を『「帝国─属国」理論から分かる3200年の世界史』にしようと編集長と話して、決めていた。

 しかしこれでは、ちょっと意味が読者に伝わらない、ということで『日本人が知らない 真実の世界史』にした。

 私の歴史観として、人間(人類)を貫く法則は、3つある、と考えている。まず、

1.食べさせてくれの法則。まず、なぜだか分からないが、50万人ぐらいの人間の群れがいる。この人々は、「私たちを食べさせてくれ。食べさせてくれ」と切望する。

 そこへ「よし。私が食べさせてやる」と、企業経営者のような、暴力団の大親分のような人間が現れる。

 そしてこの人物による厳しい統治と支配が行なわれる。これが国王である。

 今の大企業(中小企業も)のサラリーマンたちと、経営者の関係もこれだ。「自分と家族が生きてゆく給料さえ、きちんと払ってくれれば、あなたの言うことを聞いて働きますよ」だ。これが私がつくった「食べさせてくれ理論」だ。

2.ドドドと遊牧民が北方の大草原から攻め下る。そして低地(平地)に住む定住民(農耕民)の国に侵入し、占領支配する。

 50万頭ぐらいの馬や羊を引き連れて、このドドドと攻め下る遊牧民(騎馬隊)が世界史(人類史)をつくったのである。

 中国の歴代の王朝(帝国)は、このようにして「北方(あるいは西方からの)異民族」である遊牧民によってつくられた。これが私がつくった「ドドド史観」である。

 そして、日本はこの2000年間、中国文明(漢字の文明。黄河、長江〈揚子江とは言わない〉文明)の一部である。日本は、中国漢字文明の一部なのである。

 私がこれを書くと、嫌われるのは分かっている。しかし大きく考えると、どうしてもこうなる。

 中央アジアも、中東(アラブ、イスラム教世界)も、そして西洋(ゲルマン諸族という遊牧民の移動もその一つ)も、こうして「ドドドの遊牧民」によってつくられたのである。

 16世紀(1500年代)から海(船)の時代(大航海時代)が来て、それは終わった。

 西欧に近代が始まった。私たちはこれに支配された。だが圧倒的に強い西洋人のモダーン(近代)と言っても、たかが500年に過ぎない。そして現在に至る。

3.熱狂が人類史をつくる。あるとき、何だか分からないが、ドカーンと激しい熱狂が生まれて、多くの人が幻想に取りつかれて、その熱狂、熱病に罹る。それは地域を越えてワーッとものすごい速さで広がる。それが大宗教である。世界5大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教)だ。

 人々は救済と理想社会の実現(顕現)を求めて、熱狂に取りつかれる。これで、大きな対外戦争までたくさん起きる。そしてそのあと、人間の救済はなくて、大きな幻滅が襲って来る。人間は、この大幻滅の中でのたうち回って苦しむ。人間(人類)の救済はないのである。

 人類の20世紀(1900年代)に現れた、共産主義(社会主義)という貧困者救済の大思想も、この熱狂である。人類の5大宗教とまったく同じである。この共産主義(社会主義)に、恐怖、反発して反共思想も生まれた。これも熱狂の亜種である。

 これが私がつくった「熱狂史観」である。

 私は、自分が20年前につくった、この「人類史の3つの性質」(史観)を土台にして、この本では、さらに次の4冊の大著に依った。

1.『第13支族』──“The Thirteenth Tribe, 1976”──アーサー・ケストラー著。

2.『幻想(想像)の共同体』──“Imagined Communities: Reflections on the Origin and Spread of Nationalism, 1983”──ベネディクト・アンダーソン著。

3.『ユダヤ人の発明』──“The Invention of the Jewish People, 2008”──シュロモー・サンド著。

4.『サピエンス(全史)』──“Sapiens: A Brief History of Humankind, 2014”──ユヴァル・ノア・ハラリ著。

 この4冊である。

 この近年(決して古い本ではない。すべて、最近の世界史の本だ)の優れた、かつ、世界中の優れた知識人、読書人層から注目されている4冊の大著から学び、使うことで、私はこの「世界史が簡潔に大きく分かる本」を補強した。

 私が何をもって、今の日本人にとって「世界史の大きな分かり方」とするか。さらには「これまでの定説がいくつも覆される」とするか。それは、この本を読んでくだされば分かる。

 ものごとは、大きく大きく、スッキリと分かることができなければ意味を持たない。大きな真実は小賢しい嘘と怯懦を、長々とこねくり回さない。巨大な真実をバーンとはっきり書かなければ、どうせ私たちの生活の役に立たない。

 私が、書名を『日本人が知らない 真実の世界史』と銘打ったのは、前記4冊の本を使うことで、これまで私たちが習って(習わされて)教えられてきた「世界史の知識のたくさんのウソ」が大きく訂正、変更されるからだ。

「たくさんの定説が覆される!」と私が副題で明言したことが、決してただの宣伝文句や、虚仮おどしではないことが分かるだろう。こうやって、この30年間、ずっと停滞していた日本人の世界史理解が大きく前進するだろう。

 この他の文献(教科書)として、私が16歳の高校2年生のときから、読んで使ってきた、山川出版社の『高校世界史B』がある。ここに、日本人の世界史勉強の国民的共通理解の土台がある。それと中央公論社刊の『世界の歴史』(全16巻+別巻1。文庫版は全30巻。1960年から初刊。各巻の改訂版は1998年から。文庫版は2009年から)がある。これらが私の世界史理解の出発点である。

 この国民的知識の共通土台を大事にしながら、私たちは、次の新たなる最新の世界史(人類史)へと進んでゆかなければならない。その突破口に、この本は必ずなるだろう。

「はじめに」の後ろに、帝国─属国理論にもとづく「18の帝国がイスラエル=パレスチナを占領・支配した」の表を載せておく。随時、見返してほしい。

 2018年10月 副島隆彦

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『日本人が知らない真実の世界史』

もくじ

はじめに  世界の歴史が大きく分かる︱1


第1部 副島隆彦が伝える世界史の「新発見」

●いくつもの定説が覆される︱26

●世界史を大きく理解する︱26
 
●捏造された旧約聖書と人類を不幸にした一神教︱32
 
言語と宗教は地域全体でつながっている︱32
三日月地帯に出現した特異な一神教︱37
ユダヤ人は「ユダヤ人によって、発明された」︱39
捏造された旧約聖書─アブラハムは存在しなかった︱42
士師とは、トランプ大統領のような指導者のこと︱45
旧約聖書が書かれたのは新約聖書のあと︱47
一神教が人類を不幸にした︱50
資本主義という宗教もやがては滅ぶ︱53

●チュルク人の大移動が世界史をつくった︱61
 
大草原の民・チュルク人の西方大移動︱61
東ローマ帝国の周りで生きてきた遊牧民・チュルク人(トルコ系)︱67
中国の歴代帝国もチュルク人がつくった︱71
中央アジア史を大きく理解する︱73
 
●カザール王国とノルマン人が西欧に打撃を与えた︱76
 
キリスト教は、本当は「ゼウス教」︱76
原始キリスト教団はエルサレムにいなかった︱78
ゲルマン民族を嫌った皇帝と教皇︱83
ヨーロッパ国家の始まりはみすぼらしい︱85
カザール王国を滅ぼしたノルマン人︱89
アシュケナージ・ユダヤ人とスファラディ・ユダヤ人︱96
マイモニデスとカバラー神秘主義︱100
すべての大宗教は2つの対立を抱え込んでいる︱102

●民族・宗教はすべて幻想の共同体だ︱105

ユダヤ教が成立したのはAD200年︱105
ラビたちは細々と研究をし続けた︱107
救済を説いたイスラム教の熱狂︱112
すべては幻想の共同体である︱116
聖典が出来た時に民族も出来る︱122
『共同幻想論』と『想像の共同体』は同じ︱124
アーサー・ケストラーの『第13支族』︱126
「インド=ヨーロッパ語族説」の害悪︱130
アーリア族などいない︱132
語族説を踏襲した映画『インディ・ジョーンズ』︱135
 
第2部 古代オリエント─三日月地帯から世界史が分かる

●イスラエル=パレスチナが世界史の核心部︱140
  
属国として生き延びてきたイスラエル=パレスチナ︱140
肥沃な三日月地帯から古代の世界が見える︱145
人類の「食べさせてくれの法則」︱147
メソポタミアを征服したエジプト王︱151
ハンムラビ法典は歴史学の対象︱153
ヒッタイト帝国を滅ぼした「海の民」︱155

●モーセの出エジプトからユダヤ民族の歴史が始まった︱157
  
「出エジプト記」の真実︱157
モーセたちはエジプトの〝屯田兵〟だった︱160
発明された「ヤハウェ神がつくった民族」︱163
先住民・ペリシテ人が今のパレスチナ人︱165
ユダヤ人の起源は戦場商人︱167
ユダヤ人は都合が悪くなるとヤハウェ神を捨てた︱171

●消えた10支族と王の友になったユダヤ人︱174 
  
サウル王のとき、エルサレムを中心に定住︱174
ダビデとソロモンの栄華︱177
ユダヤ10支族はどこに消えたのか︱178
ネブカドネザル2世王とバビロン捕囚︱183
「王の友」となったユダヤ人王族たち︱186
アケメネス期ペルシアのバビロン征服とユダヤ民族解放︱188
バビロンに残った人たちがユダヤ教を守った︱189
ユダヤ人の「大離脱」はなかった︱195

●聖地エルサレムは3大宗教の争奪地帯︱197
  
強固な意志のユダヤ人とイスラム教化したパレスチナ人︱197
エルサレムを聖地にしようとしたイスラム教徒たち︱198
十字軍の侵攻は2文明間の衝突︱202
十字軍はアラブ世界への侵略戦争︱204
テンプル騎士団がフリーメイソンの原型︱206
ビザンツ帝国を滅ぼしたオスマン帝国の支配︱208
イスラエル建国とイスラム教徒になったパレスチナ人︱211
人類3200年の対立は続く︱212

第3部 ギリシア・ローマ─アテネ壊滅とギリシアへの憧憬

●ギリシアとフェニキアは一心同体だった︱216
  
重なり合っているギリシアとフェニキアの植民地︱216
ギリシア人とフェニキア人の同盟︱219
戦争の本質は「余剰人間」の処分︱221
驚くほど豊かだったアテネ︱224
「世界史を貫く5つの正義」とは?︱227
ギリシア文明はフェニキアから始まった︱230

●アレクサンドロス大王の「世界征服」の事実︱233
 
ギリシア王となったマケドニア人のフィリポ2世︱233
世界の中心・バビロンを目指したアレクサンドロス大王︱236
10年間動き回ったアレクサンドロス大王︱239
世界史のウナギの目は中東世界︱243
 
●ローマ皇帝とは大勝を強いられる戦争屋︱246
 
ギリシア語が知識人、役人階級の共通語だった︱246
ギリシアに頭が上がらなかったローマ貴族︱249
カエサルと並んで行進したクレオパトラ︱252
〝ゼロ代皇帝〟カエサルは戦争屋︱254
ローマは帝国か、共和国か︱257
戦争で人間を皆殺しなどできない︱258

●ローマ人のアテネ破壊が西欧最大の恥部︱260
 
ローマ人がパルテノン神殿を壊した︱260
ギリシア文化をドロボーしたローマ人︱264

おわりに︱268

世界史 年表︱24

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おわりに
 
 世界史の勉強が小さなブームになっている。

 中学、高校生だったとき以来、世界史の勉強のし直しなど普通の人はしない。みんな自分の人生(生活)の苦闘で精いっぱいだ。私たちは日々押し寄せる生活の荒波の中で、もがき、苦しんでいる。それでも、文化、教養を身に付けるために、私たちは世界史の知識を本から学び直すことは必要だ。

 歴史の勉強は奥が深い。と言ってしまえば、それで何か言った気になる。歴史は、過去の人間たちの恥多き過ちの蓄積、集成の記録である。

「ああ、あのとき、あんなこと(決断、判断)をしなければ、よかった。そうすれば私は生き延びていただろうに」と、敗北して殺されていった権力者たちは思うだろう。私たちの人生の悔悟と似ている。

 自分なりの世界史(人類史)の全体像を概観(アウトルック)する本を書こうと思い立ったのは、3年ぐらい前である。自分が16歳の時、山川出版社の『高校世界史B』の教科書で習って以来、自分の世界の歴史の知識を、私はずっと、自分なりに知識を増やし、組み立て直して、反芻して作り変えてきた。それをさらけ出して、世に問うべきだと考えた。
 
 自分自身の独自の世界史の本を書こうと発起したら、私の頭に天から多くのことが降ってきた。高校2年(16歳)で世界史を習った時以来、自分の頭の中にずっと在った多くの疑問が、なんとか解明された。私の疑問は、中学2年生(13歳)の社会科の授業の時から始まっていた。

 50年前の文部省検定済の社会科の教科書に、「現在の東欧(東ヨーロッパ諸国)はソビエト連邦の衛星国(サテライト・ステイト)である」と書いてあった。

 私は、教師に、「それでは、日本はアメリカの衛星国ではないのですか」と聞いた。教師はおどおどして私の質問に答えることはできなかった。

 この時から、私の頭の中で、「日本はアメリカの属国、従属国である」(『属国・日本論』 1997年刊)の萌芽があった。そしてそれから21年経ったこの本で、「世界史は、周りに従属国を従えた帝国と、別の帝国とのぶつかり合いだ」を描くことができた。
 50年間、自分がずっと考え込んで分からなかったこと(疑問点)を、この数年で調べ直すことが多かった。この本を書き上げてみたら、当初の目論見だった「世界史の勉強をし直しの本」では済まなかった。多くの疑問点が、この本を書くことで解明された。

 私は、「自分の思考に大きな枠組みを作ること」という言葉を大事にして長年、使ってきた。今回私は、世界(歴)史という既成の学問と出版分野の枠組みを企図せず使うことで、自分自身の「額縁ショー」を作ることができた。

 この本で、私は、世界で通用している最新の世界史知識をたくさん書いた。世界で認められている現在の超一流の歴史学者たちの知見を、日本に初めて体系的に初上陸させ、紹介することができた、と自負している。
 
 最後に。この本を完成するに当たって、日本文芸社の水波康編集長とグラマラス・ヒッピーズの山根裕之氏の多大な協力、ご支援をいただいた。水波氏が強く私の背中を押して強引に急かさなければ、この本は出来なかった。記して感謝します。

 2018年10月_副島隆彦 

(貼り付け終わり)

 よろしくお願いいたします。


日本人が知らない 真実の世界史

(終わり)

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