実はcritical には、「批判的」という意味の他に、もうひとつの意味がある。それは「限界」という意味である。物理でもcritical mass 限界質量、臨界質量などと使われる。つまり、「批判的に思考する」とは、限界まで考えるということと同義なのだ。もっと、わかりやすく言えば、自分がどこまで理解しているのか、その限界をはっきりさせるということだ。
このレーザー反射板(通常はレーザー反射鏡という)を、月面着陸の証拠とすることは多い。『アポロは月に行ったのか?─ Dark Moon 月の告発者たち』(雷韻出版)という有名な本がある。この本の中では、月面での宇宙飛行士の映像の疑問点などが掲載されている。この本の前書きに、NASAの本部で報道官を務めるブライアン・ウェルチが、疑問を払拭するために、逆に、次のように指摘していたと書かれている。
アメリカでは最低でも一カ所、テキサス州のマクドナルド天文台で毎日、月の逆反射体から戻ってきたレーザー光を受け、地球と月の距離を正確に観測している。我々がもし一度も月へ行ったことがないとすれば、このようなことが可能だろうか。この質問に対する答を得られたときには、喜んで話をしよう。 (メアリー・ベネット、デヴィッド・S・パーシー著 『アポロは月に行ったのか?─ Dark Moon 月の告発者たち』)
『サイエンス』というアメリカの雑誌に掲載された論文「Lunar Laser Ranging」(J. O. Dickeyet al., “Lunar Laser Ranging : A Continuing Legacy of the Apollo Program”, Science 265 482(1994) )をもとに、どのような反射率なのかを見てみよう。ちなみにこの論文は、過去の反射鏡による月と地球の距離変化データーをまとめた論文である。この前半のところに、どの程度の光(ここでは光子数)が地上からのレーザーで帰ってくるかが記述してある。