「1536」現下の政治状況を勢力分析する。大阪都構想の住民投票に現れた、若い世代のファシズムへの欲求。それを支える橋下徹・菅義偉の背後にある勢力とは。安倍・菅の野党分断の動きに対し、維新の党の執行部をおさえた旧小沢グループが巻き返しにでている。2015年6月11日
 副島隆彦の学問道場のアルルの男・ヒロシです。今日は、2015年6月11日です。

 この「今日のぼやき」で日本の政治情勢を分析するのも本当に久しぶりです。現在の政治情勢は、端的に言えば集団的自衛権を法律で認める安保法制の審議を中心に動いている。さらに、6月に入ってから、日本年金機構(旧社会保険庁)のコンピューターウィルス感染による120万以上の件数の情報流出の問題が発生、なにやら第一次安倍政権の末期のような状況に似通い始めている。サイバー攻撃は、アメリカと日本で締結した、新ガイドラインで対策することにもなっており、この事件が安倍政権にとって、どういう影響を与えるかわからない。ただ、マイナンバー制度はこれで審議が遅れることになりそうだ。
 
 ここでは安全保障法制に関する攻防については取り上げない。今回、私が書いておきたいのは、先月5月17日の大阪都構想をめぐる住民投票を終えた後の、現在の永田町の勢力図についてである。それは、大阪都構想を推進してきた橋下徹・大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」とそれとは別に野党再編を目指して動いている、中央の維新の党の力関係についての問題である。

 大阪維新の会が推進してきた大阪都構想は結局、否決されたものの、これは自民・公明・民主・共産などの維新の党以外のそれ以外の既成政党がタッグを組んでも最終的には約一万票差という結果にとどまった。この大阪都構想をめぐっては、大阪維新の会側が反対派を守旧派、抵抗勢力と呼び、都構想が大阪府と大阪市の二重行政の打破と既得権の解体であるとして、数年来キャンペーンを張ってきたものである。維新の会は、大阪都構想に反対する既成政党を批判するほか、橋下市長自らが公務員・官公労に依存する民主党を批判してきた。橋下市長が使った自らとその敵を対比させ、自らを構造改革の旗手であるとする政治手法は、まさしく小泉純一郎元首相が郵政民営化をめぐって、抵抗勢力を一刀両断したやり方と同じである。






 橋下市長の特徴は小泉元首相が「自民党をぶっ壊す」と叫んで構造改革を推進したのと同様に、「大阪市をぶっ壊す」と大阪市解体を唱えたところにある。大阪市という行政区分をなくして、大阪府の一部として、東京23区のような特別区を5つに再編することで、大阪府の中に5つの独立した区を設立していくことを訴えた。大阪市を廃止して5つの特色ある区に再編し、各特別区が住民サービスや商業の活性化の面で競争することで、大阪の経済発展につながり、東京一極集中を打破できるという考えで、それ自体はなるほど良さそうな話に見える。市から都への再編で大規模開発が進むと地価が上昇するというバブル経済を起こしたいのだろう。

 ただ、問題は橋下市長が構造改革の推進にあたって小泉元首相のようにわかりやすい敵を作り出したことにある。橋下市長は5月17日の大阪都構想住民投票日の前日の最終演説で「税金を貪り食っている団体を叩き潰すため7年間やってきた。都構想の実現だけではなく税金を取り戻す運動をスタートさせたい」と演説しているが、これが公務員をスリムにするという大阪維新の会の基本理念である。これ自体は正しい。市バスの敬老パスの有料化や給食の導入、市職員の給料カットというような形で、住民税減税を訴えた河村たかしの減税日本とは違う形での行政改革を進めてきた。
 
 橋下市長は、既成政党の現役市議団らを大阪都構想という一大改革を阻む抵抗勢力とし、大阪市営バスや、ゴミ収集、さらには水道局の運営などを民営化したり、水道事業を民営化し、旧大阪市を解体し、その業務のうち、事務職ではない現業公務員が担っていた業務は全部民間に払い下げることを目的にしていたようだ。まず、東京では都バスは依然として都営である一方で、ゴミ収集は橋下大阪市長が目指すような民間委託が進んでいる。

 ただ、水道は東京では都水道局とその各区市町村営業所があるだけで、大阪のようには大阪市水道局と府水道局に分かれているわけではない。その意味で大阪の水道局については橋下市長の言う「二重行政」(府と市の業務の重複)があるのだろうが、東京都も橋下市長が掲げたようには水道事業を丸ごと民営化することはしていない。そもそも、水道事業の民営化を行うと水道料金があがってかえって住民に負担が増えることは世界的にもかなりの実例がある。これは水道管事業が独占事業であるためだ。

 しかも、水道事業の民営化に大阪維新の会は情熱を注いでいたというが、それは水道事業を民営化し、株式を例えば欧州のGDFスエズやテームズウォータのような民間企業として上場して、その上場益を大阪府の借金の返済に充てるという発想らしい。しかし、大阪都構想否決でも、水道と地下鉄の民営化の話は進められているとも言われているが、この辺はよく分からない。

 さらに言えば、この問題は大阪府と大阪市の間での債務の押し付け合いのようなところもある。大阪市は大阪府全体よりも比較的優良であり、府の借金を市(特別区)が肩代わりするという仕組みになっていたようだ。府の債務は橋下市長が府知事だった時代に膨らませたものであり、これを都構想で特別区に稼がせて返済していこうというスキームらしい。

 そのような思惑で進められた都構想だったが、結果としては特に大阪市南部の所得水準が低い住民が住む地域で反対が賛成を上回り、大阪市北部の富裕層が住む繁華街がある地域では逆に賛成が上回るという所得階層によって賛否が綺麗に分かれるという結果になった。ただ、反対派が多数だった南部でも都構想賛成派は一定数いたのであり、だから約1万票という僅差だった。自民党の支持層の4割が都構想の賛成したという結果も出ており、「既得権の打破」という構造改革をスローガンに運動してきた大阪維新の会の勢力は依然として強力であることを示している。

 歴史的に官営事業の民間払い下げが行われれば、そこに<政商>と呼ばれるような財界人が群がってそれを獲得しようという動きが出てくる。これは歴史法則のようなものである。そして、その政商が貧乏人にダンピングした給料で職を保証するということになる。

 都構想というのは今ある大阪市を解体して、新しい入れ物である特別区に再編し、それぞれに権限を持つ区長を置くという構想だった。これはつまり、古い利権構造を一旦壊して新しい利権構造を作ろうということでもあった。しかし、それでもその過程でインフラ投資が行われ、需要が喚起されて消費が増えることになれば、それは確かに良いことではある。
 
 橋下市長と松井一郎・大阪府知事は、都構想否決の結果を受けて、大阪市長、府知事の職を任期限りで退くことを開票日の深夜に記者会見で発表した。ただ、今も橋下市長は国政政党の維新の党の「最高顧問」であり、大阪維新の会の「代表」のままである。大阪市議会と府議会ではともに維新の会は自民党を上回る最大会派である。ただ、維新の会を除いた勢力が団結すると、府議会では45対43、市議会では50対36で維新は少数派になる。

 大阪維新の会は元々は自民党維新の会という大阪府議会の自民党府議団が母体になっている。橋下徹を大阪府知事(橋下は大阪市長になるまえは府知事だった)に擁立した時に結成されたもので、これが2010年に地域政党「大阪維新の会」となった。河村たかし名古屋市長の率いる「減税日本」と並んで、自民党と民主党とは別の「第三極」を形成したことが話題になって、2011年の震災直後に行われた統一地方選挙で維新の会は躍進を果たした。

 その後、2012年9月には自民、民主、みんなの党から離党した国会議員を加えて国政政党の「日本維新の会」を設立し、これに中田宏・元横浜市長の日本創新党や石原慎太郎の「たちあがれ日本」などが合流して、2012年の総選挙に臨んで衆議院の第3党に躍進している。

 日本維新の会と民主党は、労働組合に対するスタンスが大きく違う。民主党は労働組合依存型の選挙をしている一方、維新は労組依存の脱却を掲げており、橋下・石原、のちには橋下・松井一郎の二枚看板で選挙を戦ってきた。この維新の原動力になったのは、小泉構造改革を支持したような「ふわっとした民意」(橋下の言葉)であり、その意味ではある種のポピュリズムを標榜した政党である。

 維新が躍進した時、民主党の小沢一郎元代表がサポートしてきた名古屋の「減税日本」が統一地方選で振るわなかったことが重要である。減税日本は草の根のポピュリズムを体現した政党であったが、これが小泉型の橋下の維新の会によって埋没させられた。維新と減税は政策的にも地方分権路線で一致していた。

 もともと維新の会は、自民党府議団の分派からスタートしたこともあり、維新の動きをよく見ると、そこには自民党の野党分断の思惑が見え隠れする。橋下・松井の二人は自らの看板政策である大阪都構想の実現を目指し、2012年の総選挙で自民党が政権に返り咲きした後には、安倍晋三首相だけでなく、首相官邸の菅義偉官房長官と連絡を密にしていたことが何度か報じられた。



 表向きは政府の大阪都構想の支持を求めてのことだったが、実は官邸側としては改憲に消極的な連立与党のパートナーである公明党に変わって、維新を改憲賛成派として取り込む思惑があった。だから、自民党の大阪市議団、府議団としては共産党と共闘してまでも都構想には断固反対の意思を貫いたが、官邸側は都構想に反対ではないというメッセージを何度となく出していたのである。

 だが、僅差とはいえ、大阪都構想が敗北し、自民党大阪市議団主導の「総合区」という別の自治体の枠組みは今のままにした改革路線が採用されることになり、橋下と松井は次の市長選、府知事選挙にでないと表明し、国政政党の維新の党では江田憲司代表(旧みんなの党)が辞任する事態になった。

 後継の代表についたのは、民主党鳩山政権の官房副長官を務めた松野頼久・前維新幹事長であり、後任の幹事長には、2014年暮れの総選挙で維新から立候補し比例復活して議席を取り戻した元民主党の松木謙公が選ばれた。また、現在の維新の党は、橋下に近い大阪系の国会議員と、みんなの党や民主党の流れをくむ、東京系の二大勢力で構成されている。(石原慎太郎系は、次世代の党に分党し、去年の総選挙で軒並み落選した)


松野頼久(左)

 松野新代表は野党再編を目指して、民主党の前原誠司元代表だけではなく、小沢一郎の生活の党、みんなの党の一部とアントニオ猪木衆議院議員らで構成される「日本を元気にする会」(松田公太参議院議員が代表)らと深夜の会合を頻繁に重ねている。松野は「年内に100人規模の議員を民主党だけではなく他の野党まで含めた幅広い結集をしたい」と野党再編を明言している。

 松野は「100人が集まれば、次期衆院選で政権交代の可能性が高まる」としている。ただ、民主党は岡田克也代表の元で党執行部は党再建を目指しており、単独で維新の党と競合する選挙区での公認を発表したことで、維新の側の反発を受けている。しかし、前回と前々回の総選挙では自民党以外の野党が分裂選挙を行ったことで自民党の小選挙区での大勝を許してしまっているので、今回も野党の再結集が行われなければ、次の参議院選挙でも自民党と公明党の連立政権がまた大勝することになる。

 これまでも、自民党政権の官邸は、菅ー橋下ラインを使って政策的に近い橋下徹系の保守系の勢力を台頭させ野党分断を図ってきた。大阪都構想が成功していれば、安倍政権・自民党は公明党と維新を天秤にかけて、両者を憲法改正勢力として糾合する狙いだった。そうなれば、自民党・公明党・維新が巨大保守勢力として、民主党ほかの政党を圧倒する公算が高く、政権交代の可能性は遠のいたはずだった。

 だが、維新の党の執行部が小沢一郎に近い松野頼久と、旧民主党小沢グループに近いメンバーで占められたことで、野党共闘への求心力がやや高まってきた。小沢一郎にも松野は面談しており、いろいろアドバイスを与えているようだ。小沢一郎はようやく検察による国策捜査の痛手から立ち直って、師匠の田中角栄のように「舞台裏」から現在の政治に対してアドバイスする立場を固めたのかもしれない。

 これが現在の情勢である。

 ただ、大阪維新系は橋下徹最高顧問を呼んで、安保法制に対する党内討議を開催する動きをみせるなど、橋下市長の復権を目指して動いていることに注意を要する。しかし、この党内討議は「脱橋下」を目指す(恐らくは東京系の)議員らの反対で中止、延期になった。読売新聞は次のようにこの党内討議について報じている。

(貼り付け開始)

橋下路線か否か…思惑せめぎ合う「維新の道」
読売新聞(2015年06月07日 08時08分)

 安全保障関連法案への対応を協議するため、維新の党が予定していた橋下徹最高顧問(大阪市長)と党所属国会議員による討議が中止された。

 橋下氏の路線継承を訴える議員が計画したが、「脱橋下」を目指す議員に反対されたためだ。政界引退を表明しながらも、なお高い存在感を誇る橋下氏をめぐり、党内には様々な思惑がせめぎ合っている。

 関係者によると、橋下氏は5月29日、大阪市内で行われた松井一郎顧問(大阪府知事)や馬場伸幸国会対策委員長らとの会合で、安保政策に関する持論を熱心に語ったという。これを受け、橋下氏に近い党幹部が、橋下氏と党所属国会議員の討議を今月13日に大阪市内のホテルで開くことを計画した。

 柿沢幹事長も2日の記者会見で「みんなで党の方針を議論する場を持てればいい」と述べ、開催に前向きな姿勢を示していたが、翌3日には馬場氏が記者会見で、「諸般の事情で延期になる」ことを明らかにした。

 討議を計画した議員は、注目度の高い安保論議に橋下氏を引っ張り出すことで、安倍内閣との連携を重視する橋下路線を堅持させる思惑があった。野党再編を積極的に発信する松野代表らに「クギを刺す狙い」(若手)も込めていた。


 しかし、「脱橋下」を目指す一部の議員が党内討議について、「積み重ねてきた議論がひっくり返される。今更、引退すると言った橋下氏の話を聞いてどうするのか」と反発したという。

(貼り付け終わり)

 維新は副代表に、大阪系の二人が副代表にいるものの、幹事長には野党再編に積極的で民主党の一部とも接点がある元みんなの党の柿沢未途、幹事長代行の松木謙公以下、副幹事長には、牧義夫、太田和美、木内孝胤、初鹿明博ら、旧民主党の小沢グループの政治家たちであることで、官邸につながっている橋下系のグループを牽制している。維新の党は大阪、東京のそれぞれに本部があり、大阪にしか本部がなかった日本維新の会と違って東京系にも主導権を取る余地がある。

 小沢はかつては、いまや安倍首相に近い橋下徹を持ち上げた時期もあったが、いまはどうやらこの路線を捨て、民主・維新の再合流の構想をベストと考えているようで、松野代表はかつての師である小沢一郎の意向を踏まえつつあくまで独自に維新と民主の合流構想(民主党の第三世代である細野豪志や馬淵澄夫らを主体にした構想)を目指しているようだ。

 ただ、一方で官邸は維新の党と民主党の分断工作を諦めておらず、今国会で安保法制とならぶ重要法案と言われる「労働者派遣法改正案」の採決を飲ませるために、維新が進めている「同一労働・同一賃金法」の議員立法の成立に協力することを明言した。そして、この派遣法をめぐっての維新の政府との取引は、維新の大阪系(橋下徹系)が主導したという報道があった。(朝日・11日)

(貼り付け開始)

 
維新、揺れる野党路線 採決、大阪組が主導 派遣法改正案
朝日新聞 2015年6月11日05時00分

 維新の党が労働者派遣法改正案の採決に応じる形で安倍政権に協力した背景には、「大阪都構想」の住民投票にエールを送った安倍晋三首相らに対する大阪選出議員の「恩返し」があった。松野頼久代表は野党連携を掲げるが、「大阪組」との分裂を避けようと政権への協力を追認せざるをえなかった。「親政権」か「野党路線」かで揺れる同党の実情が浮き彫りになった。

 維新は今回、労働者派遣法改正案などをめぐって、橋下徹最高顧問に近い大阪選出議員が自民党と交渉した。維新幹部は「大阪の議員にとって首相官邸に義理を果たす意味があった」と語り、5月17日の「大阪都構想」の住民投票で、橋下氏にエールを送った首相と菅義偉官房長官への「義理」だと説明する。

 大阪組が忠実に「義理」を果たすのは、「親政権」路線を維持しておく狙いもある。大阪組は「橋下氏を引退させない」(馬場伸幸国対委員長)と明言しており、橋下氏が国政進出を果たした暁には、政権との協力も視野に入れる。大阪組は憲法改正による統治機構改革にもこだわりが強く、改憲をめざす首相に期待している。

 これに対し、松野氏と同じ民主党出身の今井雅人政調会長は今回、自民と交渉を進めていた大阪組の議員に「事前に報告してもらわなければ困る」と注意した。だが、松野氏や今井氏は最終的に修正案を追認した。民主との「野党路線」にこだわって修正案を認めなければ、「維新分裂の危機」(幹部)につながるおそれがあったためだ。

 今回の「採決に出席するが、反対する」という方針は、親政権の大阪組と野党路線の非大阪組の「双方の顔を立てる」(幹部)折衷案だった。

 党の路線をめぐる揺れは安全保障関連法案の採決に向けても続きそうだ。橋下氏はかつて集団的自衛権の行使容認を明言。このため、橋下氏に近い大阪組には安保関連法案への賛成論があり、馬場氏らが橋下氏を囲んで党の勉強会を開こうとした。だが、「非大阪組」から反対論が噴出。勉強会は立ち消えになった。

 松野氏は民主など野党と共闘して安保関連法案の「今国会成立阻止」で一致しているが、維新内には、民主が次の衆院選で競合区の候補を内定したことに反発が広がる。

(貼り付け終わり)

 このように派遣法と公認候補の問題が現在の維新と民主の分裂線になる可能性がある。

 また官邸は今後もことあるごとに維新と民主の円満な合流を阻止しようと、橋下系維新議員が重要視している「脱労組」でさらに大阪維新を焚きつけるのではないか。自民党政権の考えていることは労働組合の弱体化ないしは、政府の御用組合化だ。かつては左翼運動の温床も言われた労組の中にも日教組、自治労などの官公労がある。

 民主党議員の質疑に対して「ニッキョーソ」と野次を飛ばした安倍首相の日教組に対する並々ならぬ怒りは日教組の教師にかつて安倍首相の祖父である岸信介を批判されたという「個人的な怨恨」があるのだろう。安倍自身が岡崎久彦との対談で案に認めている。一方で維新と安倍政権は派遣法を改正することで、彼らの経済政策を支える竹中平蔵・パソナ会長のような米共和党系のグローバリストに一体化する方向を志向している。



 橋下市長も都構想否決から行っていなかった退庁時の記者クラブに対するぶらさがり取材を今月から再開するという。この記者とのやりとりの場で自らの影響力を維持するための発言を行いながら、再起のチャンスを探るということだろう。
 
 維新の党の中には大阪系の議員の一部に自民党や民主党の保守派のように、安倍政権に安全保障法制についてのスタンスが近そうな議員もいる。例えば、安全保障上の危機が東シナ海や南シナ海で起きた場合、自民党政権はこれらの野党議員を取り込んで日本全体をさらに右傾化させる可能性もある。

 年末に橋下市長は12月の大阪市長選には出ないで、国政にも進出しないという政界引退宣言をしているが、右派の間からは市長選の再出馬を求める声や、橋下か松井の国政進出を望む声がある。年末に向けて松野と民主党の細野豪志らは野党再編を目指そうとするだろうが、この際に民主党の執行部が新党結成を受け入れなければ野党全体がまとまることはないし、今のままの支持率を安倍政権が維持した場合には、菅義偉官房長官を中心に大阪系を裏で操って、野党再編を阻止する動きに出るだろう。そのまま来年夏の参院選に突入してしまえば、自公が安定的に政権を維持することになる。

 ここで気になるのは、そもそも橋下徹と、安倍首相官邸の重要人物である菅義偉がなぜここまで近くなっていたのか、ということだ。それに大阪市と横浜市で計画されているカジノ構想が関わってくる。私がさっき書いた「都構想の成功で生まれる利権構造」の最たるものがこのカジノだと言える。

 今年の2月19日に政府は、注目されていた「カジノ特区」の候補地を、横浜市と大阪市に選定したと発表した。カジノ合法化をめぐっては、安倍首相に近いフジテレビの日枝久会長がお台場カジノ構想を推進していたほか、橋下徹市長の大阪市でも大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」に誘致する計画を決めている。しかし、カジノ合法化法案は連立与党の一角を担う公明党が反対姿勢を崩していない。これは大阪でのカジノ構想が、維新と公明党の大阪市政においての対立要因になっていることがあるのだろう。



 そして、首都圏においても、都知事が石原慎太郎やその影響下にあった猪瀬直樹が知事の座が消えたことで、次の都知事になったのが自公が推した舛添要一元参議院議員であった。どうも舛添は公明党系の候補だったようであり、最近も東京五輪の開催地である新国立競技場の費用負担について国と都の負担割合をめぐって、安倍系の下村博文文科大臣と激しい口論を展開している。この舛添が都知事になったので、東京都のカジノ構想は立ち消えになり、変わって首都圏のカジノ候補地として浮上したのが、横浜・山下埠頭である。いうまでもなく横浜は菅義偉官房長官のお膝元である。

 横浜を地盤とする菅官房長官が、自民党執行部である谷垣幹事長の意向を無視してでも、大阪都構想を支援していたことと、大阪と横浜がカジノ特区に認定されたことは偶然にしても出来すぎている。東京はオリンピックで開発が決まっているので、大阪と横浜ではカジノを建設させろということになったのだろう。ここに橋下市長と菅官房長官の同盟関係の鍵としてカジノというキーワードが浮かび上がってくる。



 横浜は早い話が港町であり、山下埠頭やみなとみらい地区は物流の拠点である。港町といえば神戸のように沖仲仕(おきなかし)と呼ばれる港湾労働者の元締めである有力者が必ず存在する。それが神戸では山口組三代目の田岡一雄であり、横須賀では小泉純一郎の祖父である小泉又次郎のような有力者たちである。こういった港町では港湾労働者の元締めがやがて政治の世界にも影響を持つようになる。

 横浜においては、藤木幸太郎という有力者がおり、この人物が田岡一雄と「全国湾荷役振興協議会」を設立している。この藤木幸太郎は京浜一帯の沖仲仕の総元締で大親分だったといわれており、指定暴力団稲川会の二次団体の埋地一家初代を名乗った人物であるという。この藤木幸太郎の息子が現在、横浜港運協会会長のほかに、社団法人日本港運協会副会長、財団法人横浜港湾福利厚生協会会長として活躍している藤木幸夫という財界人である。

 去年の秋ころから今年の春にかけて、藤木幸夫という財界人について、菅義偉のタニマチであるという記事がいくつかの雑誌に出た。雑誌『選択」の2014年10月号では「土着権力の研究」という連載で、藤木幸夫について特集記事を掲載している。それによれば、中田宏(次世代の党に移籍したが今は離党)の後継者である林文子(はやしふみこ)横浜市長の後援会長を務めるほか、横浜ベイスターズのホーム球場でる横浜スタジアムの取締役会長を務めていると書いてある。

 記事によると、藤木はかつて横浜から選出されていた小此木三郎(おこのぎさぶろう、故人)元建設大臣と昵懇だったという。この小此木の秘書をしていたのが若き日の菅義偉である。藤木はFMヨコハマの社長でもあり、産業、港湾、メディア、娯楽までに幅広い影響力を持つ「ヨコハマのドン」のような存在であるようだ。

 なお、藤木はマット安川(横浜出身のタレントであるミッキー安川の息子)が司会を務める右翼的な論調のラジオ番組によく出演していたこともある。この番組には安倍首相も以前出演していた。(ニュースサイトのJBpressに内容が転載されている)

 藤木はカジノ構想とともに、横浜スタジアムを立て替えて、横浜ドームを建設する計画にも参画しているようで、カジノ構想とドーム構想は連動している。横浜の山下埠頭のカジノ建設には京浜急行電鉄が名乗りを上げているといい、京急は菅官房長官とも関係が深い地元企業であると選択記事は書いている。

 カジノ開発というのは巨大なマネーが動く娯楽施設であり、運営開始後もマネーが出入りすることになる。それ自体が巨大な利権になる。カジノが大阪と横浜に内定しているということは、大阪市長と横浜市長をバックアップする財界人の存在が重要になるということだ。横浜においては藤木幸夫の名前がメディアで上がっているが、大阪においては大阪維新系と自民党系でこれから利権の奪い合いという形で報道されるようにになるのかもしれない。

 いうまでもなく、大阪都構想というのは大阪府と大阪市の関係を見直し、二重行政を解消することを目的としていたが、そもそも二重行政は反対派の主張によれば、すでに多くが解消されていたようである。大阪市解体により新しく5つの区を設置するという話は、早い話が巨大開発計画であり、海側の区に娯楽施設としての特区でのカジノも建設しようという話だったのだろう。
  
 このように、菅と橋下はカジノ誘致をした自治体の政治家ということでも繋がっている共通点があり、逆に言えば二人は運命を共にしているということになる。大阪のカジノ構想が残っている限り、菅と繋がっている橋下・松井のラインも失脚してもらっては困るということになるので、官邸サイドはいずれ橋下の復権の仕掛けを考え出すだろう。菅は沖縄の基地問題にも首を突っ込んでいるが、これなどもいずれは沖縄のリゾート地にカジノを建設することを見越して、そのカジノに影響力を持ちたいという思惑があるのかもしれない。

 今年初めに、菅義偉をモデルにした小説である元公安警察の小説家が書いた『内閣官房長官・小山内和博 電光石火』(濱嘉之・著、文春文庫)という本が出て、これを政治ジャーナリストの歳川隆雄氏が紹介していたので読んでみたが、この小説は完全な実名小説で、事実関係も一部を除けば全て事実に即している。菅義偉をモデルにした官房長官が橋下徹をモデルにした政治家と談合していることまで書いてある。石破茂をモデルにした政治家が女性問題で潰されていくことも書かれているが、空恐ろしい内容だ。かつては後藤田正晴官房長官が連想されるが、官房長官のもとには与野党の政治家のスキャンダル情報が入ってくる、ということを示唆した小説であると思う。官邸のマスメディアをつかった情報コントロールとはこういうことだろう。



 さて、新しい利権としてのカジノという視点でみると、横浜(菅義偉)-横須賀(小泉進次郎)の権力闘争という側面もあり、大阪においてはカジノ反対の公明党対カジノ賛成の維新の会という構図がわかってくる。
 
 公明党・創価学会は古くから「常勝関西」と言われてきて強かったが、維新の登場で大阪の政治力学が変化した。公明党と維新は古い利権と新しい利権の権力闘争(特別区全体で見た「総数」では議席数は同じだが、以後特別区での議員定数削減は区議会で可能ということも含めて権力闘争)をしていたのであり、この権力闘争に勝利すべく、橋下徹市長は、大阪都構想をという大きな夢を語り「グレートリセット(一種の構造改革)」の実現を企図してきたのだろう。それを安倍首相は、自らの野望である改憲という「グレートリセット」に向けて維新を利用するべく動いていた、という関係になる。

 これを東シナ海や南シナ海で中国との安全保障上の緊張関係で生まれた時に実行する場合、自民党安倍政権と維新の橋下徹の系統が外の今日に向けて大きく団結し、それに民主党も引きずられていく(民主党の中には自民党以上にタカ派の政治家もいる)という状況も起こりうる。こうなってくると、一種のファシズム状態であり、すべては国防に寄与するという目的で動員されていくことになる。

 古村治彦研究員から聞いた話だが、戦前にも「第三極」の政党が躍進し、それが1930年代に日本全体がファッショ化するなかで従来の政友会・民政党のような金持ち政党に引きずられる形で大政翼賛会に吸収されていったことがあるという。その時の第三極というのは、社会政策では進歩主義(社会主義)的、外交・国防政策ではタカ派というスタンスを取った社会大衆党という政党だという。社会大衆党は「広義国防論(こうぎこくぼうろん)」というスローガンを掲げ、「戦争協力とひきかえに国民の社会権の保障を求める主張」を行った。左派系で反ファシズム思われていた社会大衆党が狭義国防論に対する広義国防論を唱え、やがてファシズムを担う勢力に変化していく。社会大衆党は反ファッショ勢力とファシズム勢力のせめぎ合いのなかで、1936年の226事件の支持、翌年の日中戦争への一早い支持、国家総動員法案を積極的に支持する動きを見せるようになったという。


維新とよく似ている社会大衆党の選挙ポスター。
このあと、社会大衆党は「ファッショ」化した

 改革の断行を訴えている維新の会には、石原慎太郎と橋下徹が日本維新の会の時代に主張したファシズム的な匂いがどこかにまだ残っている。橋下徹がムッソリーニだとすれば、石原は文学者としてムッソリーニの盟友となった詩人のダヌィンツィオではないかと私は指摘したことがる。それが、改革の断行を訴えて選挙を戦い、やがて国際情勢の変化とともにファッショ化していくという社会大衆党の歩んだ道はどこか似ている。二大政党が支配している利権を分配するので、大衆も国防に協力せよという主張が「広義国防論」だろう。

 安保法制が安倍政権の思惑通り今国会を大幅延長した結果可決した場合、やがて南シナ海に海上自衛隊を送り出すことになる。そのようにしろというのが安保法制の成立を安倍政権に求めた新ガイドラインやアーミテージレポートの要求だからだ。そして、日米豪ないしは日本とフィリピンやベトナム共同で訓練または警戒中に中国海軍と対峙することになっていくのだろう。それが軍事衝突に達して自衛隊に死者や負傷者が出た場合、時の政権はナショナリズムを煽り立て、国内を挙国一致内閣を打ち立てるという方向でファシズム化していくことになる。仮にその時点で橋下徹が復権していた場合は、時の自民党政権のパートナーとして大阪維新を使えば、政権にとっての大衆動員はやりやすくなるだろう。

 恐ろしいのは橋下徹大阪市長が大阪都構想の支持を集める運動の中で、彼が若者の感情を揺さぶるのがかなり上手だということが実証されたということだ。おそらく小泉首相よりもアジテーターとしては能力が上ではないか。

 大阪市の機構改革のような行政改革に発揮されるのであれば、まだ害が少ないが、橋下が国政に進出してきたりした場合、彼は石原慎太郎の後継者として、日本国内でナショナリズムを焚きつけるアジテーターの役割を果たすことを、安倍晋三の系統の軍事タカ派の議員から期待されているのではないかと私は考えてしまう。対中戦略という国防論の文脈で国内が再編されていくのは非常に恐ろしいことである。

 当面、橋下徹市長は「死んだふり」をしているだろうが、年末は政党助成金の配分もあることから、新党が結成されやすい時期ゆえ、大阪市長を退任する年末に新党構想の主導権を握るべく再登場してくるかもしれない。安保法制が滞りなく通過し、安倍晋三が9月の総裁選で再選された後は、日本の政界についてはこの点に注意すべきでる。

 
 そんな中、安倍首相がサミットで欧州にいる時に、谷垣禎一幹事長は党内リベラルの看板をかなぐり捨てたように、安倍政権の安保法制を支持する街頭演説会を都内数カ所で開催したが、街頭からの強烈な「帰れ」コールを浴びている。ただ、安保法制も6月のサミット前後から、少し雲行きが怪しくなってきたということも言わなければならない。



 ただ、自民党など与党国対は依然として会期を2ヶ月近く大幅延長して、8月まで通常国会の会期を延長していく。今の状態では自民党が国民の反発を株高と円安で押し切って行くとみられる。ただ、自民党内部でも党内リベラル派の村上誠一郎議員が公然と政府批判を開始し、議員を引退した山崎拓氏らが批判を開始している。ここに「正気」を取り戻した谷垣幹事長が合流すれば、安倍政権は一気にグラつく。それに一応は期待したい。しかし、一方で派遣法と同様に官邸サイドが維新の抱き込みをはじめているのではないかという記事が「西日本新聞」に出ているのが気になる。

(貼り付け開始)

 安保法案、強行採決の構え 政府、与党 会期延長で一致
2015年06月11日 00時17分
安全保障法案、審議入り

 新たな安全保障関連法案への「違憲」批判が広がる中、政府、与党は10日、今国会の会期を延長し、衆院の採決時期を探る動きを本格化させた。自民党の谷垣禎一幹事長は安倍晋三首相と官邸で会談し、「そろそろ法案をどうしていくか、判断しなければならない」と伝えた。二階俊博総務会長は講演で「会期を延長し、結論を出すことが大事だ」と述べ、今国会で成立させるべきだとの考えを明言。政府、与党は、強行採決も辞さない構えだ。

 9日、菅義偉官房長官と加藤勝信官房副長官、自民の佐藤勉国対委員長、吉田博美参院国対委員長が国会図書館でひそかに会った。

 「8月10日まで国会を延長したい」。関係者によると、こう切り出す佐藤氏に吉田氏は「8月24日でも厳しい。(成立させる)自信がない」。4者会談では、今月24日に会期末を控えた国会会期延長の方針で一致したが、いつまで延長するかの結論は持ち越された。

 この日夜、菅、佐藤両氏は、維新の党で安保法案の国会審議を指揮する下地幹郎元郵政民営化担当相とも会談した。名目は衆院当選の「同期会」。だが、維新の取り込みを狙う政権側が、採決に向けた環境整備に本腰を入れ始めたとの見方が広がる。(中略)

 このまま押し込まれ、今国会で継続審議となれば、米議会で「夏までに成就させる」と宣言した首相の面目は丸つぶれだ。9月の党総裁選の再選戦略も揺らぎかねない。来年の通常国会まで持ち越せば、夏の参院選を直撃する。

 いつ採決しても、野党が反発して「強行採決」となるのは避けられない。今国会なら、支持率がたとえ急落しても、首相を脅かす有力対抗馬はおらず、党総裁選と内閣改造でのリセットが望める。
 8月10日まで延期するなら、参院で1カ月の審議を見込み、衆院採決は6月末か7月上旬。政府高官は「強行採決も継続審議も、どっちを取ってもダメージはある。よりダメージが小さくて現実的なのは強行採決だ。何を言われても一気にやるしかない」と語った。

=2015/06/11付 西日本新聞朝刊=

(貼り付け終わり)

 以上のように、官邸サイドの菅義偉と、谷垣派の国対委員長のベテランの栃木の政治家である佐藤勉(さとうつとむ)が、一緒になって強行採決のタイミングを探りなら、維新の沖縄選出の衆議院議員の下地幹郎(衆議院の安保法制特別委員会の維新側の理事)を抱き込もうとしている。菅が手がけてきた沖縄工作がここでも効いてくるかもしれない。

 自民党は安倍首相のようなタカ派とそれ以外の従来は「保守本流」と言われた宏池会系が絶妙なバランスを撮ってきたが、小選挙区制の導入から党総裁の権限が強まり、派閥政治が形骸化してしまって、極端な右側に振れることが大きくなった。

 その最たる例が清和会の主要な政治家がが安倍政権や今の自民党の中枢にいることだ。日本における台湾独立派の代理人である金美齢(きんびれい)の事務所で開かれたパーティには、安倍晋三が後継者と目する稲田朋美政調会長や、小泉進次郎とは違う系統で右がかった今の青年局長の松本洋平という若手政治家が写っていた。

 更に、首相の国家安全保障担当首席補佐官を務める礒崎陽輔(いそざきようすけ)参議院議員は、元総務官僚であるが、東大卒業のくせに、以前、立憲主義について何も知らないことをツイッター上で公言していたが、最近、10代の若い女子とツイッター上で論争してみっともない姿を晒していた。また、安倍首相は「フェイスブック依存症」ではないかと言われるが、安倍首相のフェイスブックの投稿を代行して書いていたのが実は、山本一太参議院議員であったことも、本人が「投稿ミス」をしたことで発覚してしまった。

 佐藤優氏は安倍政権を「反知性主義」と呼んでいるが、確かにこの政権からはインテリや知性に対する「怒り」を感じる。アメリカの反知性主義者とは、この言葉を創りだした思想家のリチャード・ホフスタッターという学者が指摘しているように、主に「宗教右派・キリスト教福音主義派」である。日本においても反知性主義は、全てではないが、やはり日本会議系の政治家に多いので、これはやはりアメリカと同じで宗教的熱狂に突き動かされる人々たち、ということになるのだ。

 自民党が統一教会・国際勝共連合系や宗教右派の日本会議系の清和会のグループに政治思想的に牛耳られていることで、知性の低い国会議員の声が大きくなっている。自民党が日本会議系を通じて、日本のことを「堕落したサタン」と決めつける統一教会系の政治勢力に支配されていることは日本の保守派にとっては、本当に憂うべき事態であるが、そもそも日本における勝共連合・統一教会の窓口の一つは、首相退陣後の岸信介元首相だったことも覚えておく必要がある。日本が軍事国家化することで自滅することは植民地支配で苦しめられた韓半島のキリスト教徒にとってはカタルシスになるというのだろう。(参考:http://dot.asahi.com/wa/2014112600030.html    http://wondrousjapanforever.blog.fc2.com/blog-entry-234.html )

 また、統一教会系とは違うが、著名人の霊言と称して独自の言論活動を行い、「米共和党系の人脈を持つ」ともいわれる新興宗教団体「ハッピー・サイエンス」系の政治活動家たちは、米在日海兵隊の元幹部であるロバート・エルドリッジという人物を取り込んで、沖縄での政治活動を活発化させている。昨年の沖縄県知事選挙のときに翁長雄志知事が「中国の手先」というネガキャンを行っていたのもこの団体の政党部門という。(http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=4820

 また、韓国系団体が主導する米国での慰安婦像建設を巡って抗議する「保守系団体」にもこの宗教団体の影が見え隠れする。さらに言えば、前には雑誌「ファクタ」でこの宗教団体が、維新の会に潜り込んでいるのではないかという疑念を抱く公明党が不快感を抱いている、という穏やかではな記事を掲載したこともある。実際はよくわからないのだが、今回の都構想を巡っても都構想に積極的な維新の会議員がこの団体との関係をネットで噂として取り沙汰されていた。この記事を見ると、原発問題の国論の二分を利用している面も見られる。(http://facta.co.jp/article/201305031002.html http://dailycult.blogspot.jp/2014/02/blog-post_5.html )

 この状況を分析すれば、一般大衆の思惑とは無縁なところで、宗教右派と左派リベラルの対立が不用意に意図的に煽り立てられている、ということになるわけだ。これもかつての米ソ冷戦時代を彷彿とさせる。冷戦の時は日本国憲法をたてに日本は日本領海防衛に徹する専守防衛路線をあの中曽根政権時ですら維持することが出来た。

 しかし、集団的自衛権が解禁されて、日米同盟のグローバル化がますます加速すると日本の自衛隊は米軍のバックアップとしてその役割の肩代わりを求められていくことになる。その中で米中の対立が起きれば、その矢面に真っ先に立たされることも想定できる。

 そんな中、安倍政権が頼れるのは「維新の大阪系」になる。一方で、あらたに闇将軍的に動いている小沢一郎の意向を受けて動いていると思われる松野頼久・維新の党代表がどこまで踏みとどまれるかが、大きく重要になってくる。維新の党は、与党系と野党系の「どまんなか」にいる。

都構想否決後の維新のトップである、松野代表の対応が日本のデモクラシーの運命を決めると言ってもいいだろう。そして、自民党のリベラル勢力は自分たちの本来の役割を果たしてほしいものだ。そろそろバカ殿安倍晋三に対する「主君押込め」を実行に移すときだからだ。(敬称略)


6月12日追記

大阪カジノ構想に暗雲が漂い始めた、カジノ計画は横浜主導になるもようだ
http://digital.asahi.com/articles/ASH6B3R4TH6BPTIL006.html

維新の柿沢未途幹事長は、橋下徹側の政治家だ。
維新の国対委員長の馬場伸幸も最も強烈な橋下支持派であり、松井一郎はこの馬場国対委員長に支持を出し、派遣法改正案で「野党分断」工作を図っている。

http://togetter.com/li/833614

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%AC%E5%A0%B4%E4%BC%B8%E5%B9%B8#cite_note-11

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