「1426」古村治彦研究員の新刊『ハーヴァード大学の秘密』(PHP研究所)の紹介と、その出版記念を兼ねた「囲む会」主催の2014年初めての主催定例会『キャロライン・ケネディ駐日大使着任が日本政治中枢に与えている衝撃』(仮題)のお申込みのご案内を致します。2014年1月21日
 副島隆彦を囲む会の中田安彦です。今日は2014年1月21日です。
 今日は2件のご案内を致します。

(1)2014年3月1日(土)開催予定の定例会「キャロライン・ケネディ駐日大使着任が日本政治中枢に与えている衝撃」(仮題、時局講演を含む定例会)のご案内
(2)古村治彦研究員の新作『ハーヴァード大学の秘密』の、著者自らによる解説

 です。

※上記3/1(土)の定例会のお申込みはこちらからお願いします↓
http://soejima.to/cgi-bin/kouen/kouen.html

(1)2014年3月1日(土)開催予定の定例会『キャロライン・ケネディ駐日大使着任が日本政治中枢に与えている衝撃』(仮題、時局講演を含む定例会)のご案内

131026 『外務省の正体』(DVD)ビデオ・クリップ from SNSI on Vimeo.


↑昨年、孫崎享(まごさきうける)先生をお招きして開催した講演DVDも、まだまだご好評をいただいております。こちらもよろしくお願いします。

※オリジナル講演DVDのご注文はこちらから↓
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 来る3月1日(土)に、いつもの御茶ノ水の全電通ホールで開催予定の当「囲む会」の定例会のご案内です。

 今回は時局講演会です。年末12月26日に安倍首相が靖国神社を就任一年目にして「強行参拝」し、アメリカ・オバマ政権は慰霊の「失望」の意を表明、さらに中韓のみならず、他の東南アジア諸国からも懸念を表明されました。

この参拝への異例の望表明から読み解けるのは、去る11月に着任したキャロライン・ケネディ駐日大使の存在感です。

今回の定例会では安倍政権の一年を振り返ると共に、安倍政権が強行突破に踏み切った背景となる国内の政治的勢力図の再編、そして、海外の日本への反応について、取り上げます。

 今回の定例会は3部構成です。13:00開演で16:30終了です。時間は延長する場合もあります。

第一部 古村治彦研究員出版記念講演『ハーヴァード大学の秘密とはなにか』(仮)(60分)
第二部 副島隆彦SNSI所長による「カルト・オブ・ヤスクニの再来:安倍支持層のネトウヨ、近視眼の中国・韓国嫌いの言論に反論する」(仮)(75分)
第三部 副島・古村・中田三者による鼎談(残りの時間)

 ケネディ駐日大使が日本の「本当の支配層」と「成り上がりの支配層」の間に楔を打ち込んだ感はあります。この辺の事情について、スライドを駆使し、ビジュアル化して浮き彫りになることを目指す講演会です。別に開催している会員の会「副島隆彦のケンカ道場」で討論されたことも踏まえての講演会となります。よろしくお願いします。

※上記定例会のお申込みは、こちらからお願いします↓
http://soejima.to/cgi-bin/kouen/kouen.html


(2)古村治彦研究員の新作『ハーヴァード大学の秘密』の著者自らによる解説
 
古村治彦研究員の新刊『日本人が知らない世界一の名門の裏側 ハーヴァード大学の秘密』(PHP研究所)のご紹介をします。



 この本はハーヴァード大学という大学をジャパン・ハンドラーズ養成所とアメリカの国家戦略家(世界管理担当官)養成所という2つの視点で読み破った優れた一冊であるとお勧めいたします。

 私も深く関心を抱いている、すでにこの学問道場サイトでも話題になった、三木谷浩史とハーヴァード大学の関係、さらに、合理的選択論とアメリカの世界戦略の関係について。それから、アメリカへの留学事情の真実の情報について、巷の留学コンサルタントでは書けない種々の情報が盛りだくさんです。今回は特別に著者の古村研究員による読みどころ解説を頂きました。以下に転載いたします。

(転載開始)

『ハーヴァード大学を知ることで米国の本音がわかる』

古村治彦(SNSI研究員)

  本書『ハーヴァード大学の秘密』は、「ハーヴァード大学」をキーワードにして、幅広いテーマを取り扱っています。舞台裏を少しお話ししますと、私はこの本の着想を、副島隆彦先生からお話によって得ました。先生は私がアメリカ留学(南カルフォルニア大学大学院政治学研究科)から帰ってきた直後から、「アメリカの政治学について書くように」といつも仰っていました。そして、その話を進めていくうちに、「ハーヴァード大学で教えられている合理的選択論について何か書いてみてはどうか」ということになりました。しかし、そのテーマで一冊の本を書き上げる自信が私にはありませんでした。

 しかし、視点を変えて、「ハーヴァード大学」をキーワードにして見たら、幅広いテーマを扱うことができて、一冊の本になるのではないかと考え、前著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』(PHP研究所、2012年5月)の完成後から、準備を進めていきました。しかし、思ったようにはかどらず、2013年内に完成させるはずが、ずれ込んで2014年1月発売ということになりました。しかし、苦労した分、良い本に仕上がったと今は考えております。

 ここからは『ハーヴァード大学の秘密』の各章の内容をダイジェストにして皆様にご紹介してきたいと思います。まず、目次を皆様にお示ししたいと思います。

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『ハーヴァード大学の秘密』【目次】

副島隆彦の推薦文

第一部 「アメリカの代理人」養成所としてのハーヴァード大学

第一章 ハーヴァード大学出身者の日本における人脈・最新版
     ―「クリムゾン・クラブ(Crimson Club)」が動かす現在の日本

第二章 ハーヴァード大学と日本
     ―戦前から戦後にかけて日本を動かしたハーヴァード大学人脈

第二部 アメリカの大学で学ぶということ

第三章 日本からアメリカへの留学の実態
     ― 一大産業である留学

第四章 アメリカの大学の授業や制度、生活について
     ―これだけは読んでから、留学して欲しい

第三部 ハーヴァード大学の知的パワーを象徴する学者たち

第五章 サミュエル・ハンチントン
     ―リベラル派に喧嘩を売り続けた人生

第六章 ジョセフ・ナイ
     ―「アメリカの理想」に忠実なリベラル派

第四部 ハーヴァード大学で真に教えたいこと

第七章 共同体優先主義
     ―個人至上主義への危険な反発

第八章 合理的選択論(Rational Choice Theory)
     ―自分が損をしないこと

あとがき

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 ここからは、各章の内容を簡単に皆様にご紹介したいと思います。

 第一部「「アメリカの代理人」養成所としてのハーヴァード大学」として、日本人のハーヴァード人脈を取り扱っています。第一章「ハーヴァード大学出身者の日本における人脈・最新版―「クリムゾン・クラブ(Crimson Club)」が動かす現在の日本」では、現在の日本におけるハーヴァード大学人脈を取り上げました。私は、現在の日本を動かす日本人のハーヴァード大学出身者人脈を「クリムゾン・クラブ(Crimson)」と名付けました。具体的にはハーヴァード大学ビジネススクールとハーヴァード大学ケネディスクールの出身者たちを取り上げました。

より具体的には、楽天の三木谷浩史(みきたにひろし)会長兼社長を中心とする人脈が政財界に張り巡らされています。彼らはこれまでアメリカの代理人として動いてきた渡邉 恒雄(わたなべつねお)読売新聞グループ会長兼主筆や中曽根康弘(なかそねやすひろ)元総理大臣に代わってアメリカの利益のために行動していくことになります。その動きが少しずつ始まっています。

また第一章では、東京オリンピック誘致を成功に導いた、安倍晋三内閣官房参与の平田竹男(ひらたたけお)早稲田大学スポーツ科学研究科教授を取り上げました。平田教授は、通産省のキャリア時代にハーヴァード大学ケネディスクールに留学しており、ハーヴァード大学人脈に連なる人物です。楽天の取締役も務め、三木谷会長を自分の授業のゲストスピーカーとして呼んだり、自分の教え子を楽天球団に送り込んだりしている関係にあります。三木谷―平田人脈には是非ご注目いただきたいと思います。

 第二章「ハーヴァード大学と日本―戦前から戦後にかけて日本を動かしたハーヴァード大学人脈」では、第一章で扱った人脈以外の、日本におけるハーヴァード大学人脈を戦前から戦後にかけて追いかけました。私は、戦前のハーヴァード大学人脈の総元締めが金子堅太郎(かねこけんたろう、大日本帝国憲法の起草に関わり、日露戦争の時にはアメリカで対日世論改善のために活動。ハーヴァード大学ロースクール)、そして彼を引き継いだのが三木武夫(みきたけお)元総理大臣であると考えました。三木武夫はハーヴァード大学には留学していませんが、彼の側近であった松本瀧蔵(まつもとたきぞう、ハーヴァード大学ビジネススクール)という人物に焦点をあてました。この部分は私の発見であり、皆様に楽しんでいただける内容であると思います。第一部では、私が関心を持っている、「日本の戦後政治とスポーツ(特にプロ野球)」にも絡んだお話になっております。詳しくは、是非本を実際にお読みいただくのがいちばんではないかと思います。現在の政治や戦前、戦後の政治史に関心のお持ちの皆様に楽しんでいただけるものと確信しております。

 第二部「アメリカの大学で学ぶということ」では、ハーヴァード大学を絡めながら、日本からの留学の実態とアメリカの学生生活について、私の経験も踏まえながら書いています。第三章「日本からアメリカへの留学の実態― 一大産業である留学」では、最近マスコミ等で紹介される「灘高から東大ではなくアメリカ名門大学へ」「世界を目指せ!」「東大ではなくハーヴァードを目指せ」といったスローガンの下、若者の留学を促進する動きがあることに対する私なりの分析を行いました。こうしたスローガンを大々的に喧伝しているのが、元参議院議員の田村耕太郎(たむらこうたろう)米ランド研究所研究員です。

 私は、こうした日本の若者たちに留学、特にアメリカ留学を促す動きの裏にはアメリカの意向があると考えています。本の中で詳しく分析していますが、日本人のアメリカ留学数は最盛期の1997年に比べて現在は約3分の1にまで減少しています。留学が一大産業となっているアメリカでこれは大変な問題なのです。そのために、日本でアメリカ留学を促す動きが起こり、その最たる例が「孫の教育資金1500万円まで非課税」という政策であると私は考えています。私は、安易に、何となくかっこいいなどの理由で若者たちが留学するのはよくないと考えています。私は留学中に、日本人留学生の失敗例を見てきました。そうしたことも本の中で書きました。留学をお考えの方やその身内の方には是非慎重になって欲しいと思い、この章を書きました。

第四章「アメリカの大学の授業や制度、生活について―これだけは読んでから、留学して欲しい」では、私が経験したアメリカでの大学の制度、授業、生活についてより具体的に書きました。ここでは私が実際に聞いたアメリカの大学教員や大学院生の「悲惨な」現状、学生ローンの返済に苦しむ大学院生、低賃金にあえぐ非常勤講師といった、本当のことを書きました。また、NHKで放送されたハーヴァード大学のマイケル・サンデル教授の「ハーバード白熱教室」を導入にしながら、アメリカの大学間の差別や授業のことなどについても取り上げました。留学時代に苦しんだ先輩として、若い方々(ばかりでもありませんが)には、こうしたことを知った上でアメリカ留学を考えて欲しいという気持ちでこの章は書きました。私は実際のアメリカ留学体験者です。そして、色々と苦労や嫌なこと、失敗もたくさんもありましたが、留学体験は私の人生の一部になっています。その私が敢えて、留学をするのに慎重になって欲しいということを一貫して書きました。それは、ただ時流や雰囲気で留学したのでは必ず失敗するということを知っているからです。留学をお考え、もしくは興味のある皆さんに是非お読みいただきたいと思います。

第三部「ハーヴァード大学の知的パワーを象徴する学者たち」では、ハーヴァード大学政治学を代表する学者二人、サミュエル・ハンチントンとジョセフ・ナイを取り上げました。二人とも日本の論壇に頻繁に登場する(ハンチントンは既に亡くなっていますので、した、ということになります)ハーヴァード大学を代表する学者たちです。第五章「サミュエル・ハンチントン―リベラル派に喧嘩を売り続けた人生」と題して、2008年に亡くなったサミュエル・ハンチントンについて皆さんにご紹介しています。ハンチントンこそは最後の大物政治学者であったというのが私の考えでありまして、彼が何を言ってきたか、どのような過激な主張を行って世間を騒がせてきたかを詳しく書きました。私が前著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』(PHP研究所、2012年5月)でご紹介しました。ハンチントンの重厚な保守的な態度、急激な変化を否定する態度の重要性について書きました。政治学に興味、関心をお持ちの方には基本的な知識を広く網羅した章となっておりますので、前著『アメリカ政治の秘密』と併せてお読みいただければと思います。

第六章「ジョセフ・ナイ―「アメリカの理想」に忠実なリベラル派」では、日本でも日経新聞などによくて出てくるジョセフ・ナイ(Joseph Nye)教授を紹介しています。名前はよく聞くし、新聞の記事で彼について読んだことがあるという方から全く知らないという方までおられると思いますが、本章をお読みいただきますと、良く分かることになっております。また、政治学に国際関係論(International Relations)という分野がありますが、これについても分かりやすく説明しております。また、ナイと日本との関係、特に安全保障関係についてのナイ(とリチャード・アーミテージ)の関与についても詳しく述べております。

第三部では、少し難しいお話を書くことになってしまいました。日本の学者たちやマスコミ人たちは彼らのような大物知識人たちが何を言うかに関心を払います。それは、彼らがアメリカ政府の政策とアメリカの世論形成に影響を与えるからです。こうした知識人たちを英語ではpublic intellectuals(公的な立場を持つ知識人たち)と呼びます。現在のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領(彼もハーヴァード大学ロースクール出身)にしてもこうした知識人たちの影響を受けています。

第四部「ハーヴァード大学で真に教えたいこと」では、ハーヴァード大学政治学、政治学全体で重要なテーマである、共同体優先主義(Communitariansim、コミュニタリアニズム)と合理的選択論(Rational Choice Theory、ラショナル・チョイス・セオリー)をご紹介しています。第七章「共同体優先主義―個人至上主義への危険な反発」では、現在の日本で一番有名なマイケル・サンデル(Michael Sandel)教授が信奉している主張です。リベラル派やリバータリアン派とは違い、個人よりも共同体の価値を重視する(このように書くと、学者たちからは必ずそうではないということで長々と反論が来ます)思想です。この共同体を重視する思想の様々な形を簡単にご紹介しました。マイケル・サンデル教授から哲学や思想について興味をお持ちになった皆さんには、幅広く知識を吸収するたのお役に立つ章になっています。

第八章「合理的選択論(Rational Choice Theory)―自分が損をしないこと」では、
第四部では、副島先生からお話のあった合理的選択論について簡単に説明しました。合理的選択論とは、「政治に関わる人間(政治家、官僚、有権者)は自分たちの利益が最大になるように行動する」という前提で政治の世界で起きる出来ごとを分析する政治学の理論です。私は、この合理的選択論が「政治学に対する経済学による侵略」であること、そして、合理的選択論と従来の理論が対立していることなどを書きました。この合理的選択論が分かると、政治の世界で起きる様々な出来事を自分なりに分析、解釈することができるようになります。このような便利な道具を一部の人々(学者)に独占させるのはもったいない、是非多くの方々に使っていただきたいという思いもあって、この章を書きました。

共同体優先主義と合理的選択論との間にある最大の違いは、簡単に言い切ってしまうと、個人の利益を重視するかどうかという点にあります。その点で大きな違いがあります。そうではありますが、両方ともユダヤ的なものを基にして出てきたということが言えます。私は第四部を通じて、そのことを明らかにしました。このようなことは学者には書けません。第四部もまた少し難しくなりましたが、学問的なことに関心をお持ちの方々には是非お読みいただきたいと思います。

 ここまで各章の内容をダイジェスト版でお送りしました。このダイジェスト版ではお伝えし切れなかったことがたくさんあります。是非、手に取ってお読みいただきたいと思います。

 『ハーヴァード大学の秘密』を書き終えて印刷に回されたのが12月中旬でした。それ以降、現在までに日本の政治状況は大きく動いております。私が本書にぎりぎりで入れました、キャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使の楽天本社訪問と三木谷浩史会長兼社長との会談が現在までの日本政治の動きの端緒であったのではないかと私は考えます。


 『ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側』は幅広いテーマを取り扱っており、多くの読者の皆様に手にとってお読みいただきたいと思います。また、定例会にもご参加いただきたく存じます。何卒宜しくお願い申し上げます。

(転載終わり)

(転載開始)

副島隆彦による推薦文

 本書『ハーヴァード大学の秘密』は、私の弟子である古村治彦君の二冊目の単著である。

 古村君の前作『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、二〇一二年五月)は、有難いことに大きな評判をいただいた。古村君はこの『アメリカ政治の秘密』で、ヒラリー・クリントン(Hillary Rodham Clinton)前国務長官を支える三人の女性たちについて書いた。このうち、スーザン・ライス(Susan Rice)が国家安全保障問題担当大統領補佐官、サマンサ・パワー(Samantha Power)が米国連大使というアメリカの外交を担う要職に就いた。このことは古村君のアメリカ研究の確かさを示している。『アメリカ政治の秘密』は、現在のアメリカ政治、日米関係に関心を持つ人々にとって必読の書となった。未読の方は是非お読みください。

 古村君は、前作を発表してから、この『ハーヴァード大学の秘密』の準備に取り掛かったのだが、書き上げるまでに苦労していたようだ。私はその様子を見ていたので、今回、出版まで漕ぎつけたことを大いに喜んでいる。古村君には、益々の研鑽を期待している。

 今回、古村君が取り上げたテーマは、世界一の名門大学として知られるハーヴァード大学だ。私は、二〇一一年あたりから、古村君に「ハーヴァードの政治学の全体像を書いてみてはどうか」と提案した。彼がアメリカ留学経験で学んだ合理的選択論(Rational Choice Theory)について書いてもらいたいと思った。私自身が、何よりもこの理論を知りたかった。

 古村君がアメリカに留学していた二〇〇三年頃、アメリカの全ての大学の政治学(Political Science)研究や分析で共通の土台として使われている方法論(methodology)について、彼に根掘り葉掘り話を聞いたことがある。このメソドロジーをすぐに日本語で「方法論」と訳すから困ったことなのだ。メソドロジーは、そんな甘い「学問方法論」のことではない。いろいろの近代諸学問(サイエンス)の共通の基礎、土台を作っているものなのである。だから以後は、メソドロジーは「学問土台学」と訳すべきだ。文科系の諸学問の土台となる学問なのである。私の先生である碩学・小室直樹は自分をメソドロジストと称した。

 メソドロジーがしっかりしていない学問分野は欧米では大事にされない。そして、アメリカの名門ハーヴァード大学は、この大学のお家柄というか、その真髄である「合理的選択論」という方法論、ではなかった学問土台学を持っている。この学派が今のアメリカ政治学の分野で支配的な(dominant)であることを私なりに理解した。このハーヴァード大学の秘密と言うべき合理的選択論とは何か。この本の冒頭に、著者でもないのに推薦者が出しゃばってズバリと書く。それは、「合理的選択とは、政治家(権力者、支配者)にとって最大の目的は選挙に当選し続けることである。権力者(支配者)だったら自分が権力を維持し続けるということだ。そのためなら何でもする。どんなことでもする。それが合理的選択だ」ということだ。彼らはここまであけすけに言う。私は大いに驚いた。

 私は、古村君から合理的選択論についての話を聞く少し前の二〇〇一年に、「合理(ratio、ラチオ、レイシオ)」という言葉について研究し発表した。そしてその奥義をすっかり読み破った。ラチオ(合理)とは、元々が「割合、分け前」という意味で、「取り分、利益の分配」という意味の言葉だ。だから、自分の利益になるように「合理的(rational)」に「行動を選択(choice)せよ」ということである。自分が勝つ(得をする、生き延びる)ように賢く行動せよ、ということだ。

 このラチオを人類の長い歴史でよくよく分かっていたのがユダヤ人(ユダヤ民族)である。ユダヤ思想(Judaism)の中心に、このラチオがある。ラチオの思想こそは、ユダヤ人の生き方そのものであり、それがユダヤ思想(そのままユダヤ教でもある)の中心なのである。そして、このラチオが資本主義を生み出し、人類の近代(modern)も生み出した。ハーヴァード大学はユニテリアン系のプロテスタント修道院として創立されたのだが、その背景に強力な利益の法則を持つ。

 この合理的選択論については、本書の第8章で古村君が詳しく紹介している。是非お読みください。この合理的選択論という政治思想を大きく理解することが今の私たち日本人に極めて重要だ。そしてこの合理的選択論が、まさしくハーヴァード大学に世界中から集まってくる頭の良い学生たちに教えられていることを知ることもまた重要だ。

 本書には、合理的選択論以外にも、幅広い内容が収められている。前半では、ハーヴァード大学出身者たちのネットワークについて書かれている。三木谷浩史氏を中心とするハーヴァード大学出身者のネットワークを、古村君は「クリムゾン・クラブ(Crimson Club)」と名付け、その人脈を丁寧に追っている。
 後半部では、ハーヴァード大学の知的パワーを代表する政治学者の故サミュエル・ハンチントンとジョセフ・ナイについて詳しく、かつ分かりやすく紹介している。また、日本でもマイケル・サンデル教授の名で有名になった共同体優先主義(Communitarianism)と合理的選択論について詳しく紹介している。

 この一冊で、ハーヴァード大学の政治学部でどういうことが教えられ、どんな人材が育てられているのかを理解することができる。そしてハーヴァード大学が持つ、これまで私たちに明らかにされてこなかった部分を知ることができる。本書『ハーヴァード大学の秘密』を是非買って読んでください。

 二〇一三年十二月
副島隆彦 

あとがき

 前作『アメリカ政治の秘密』を二〇一二年五月に出版していただいた後、師である副島隆彦先生から、「君はアメリカで政治学の勉強をしてきたのだし、次はハーヴァード大学の政治学の全体像について書いてみてはどうか」という提案があった。この提案を受けて、私は、本書『ハーヴァード大学の秘密――日本人が知らない世界一の名門の裏側』の準備に取り掛かった。構想を練り、準備するのに予想以上の長い時間がかかってしまった。本として出版できるのかという不安を持ちながらの執筆であったが、このように出版していただけることになり、ホッとしている。

 本書『ハーヴァード大学の秘密』は、「ハーヴァード大学」をキーワードにして、幅広いテーマを取り上げている。副島先生の提案通りに政治学の全体像を描くことは、私の力不足でできなかったが、ハーヴァード大学で教えられている政治学、ハーヴァード大学の政治学を代表する学者、留学全般に関することを網羅することはできた。読者の皆様に、それぞれの興味関心と重なる部分からお読みいただけたらと思う。

 そして、第1部では、ハーヴァード大学出身の日本人人脈を取り上げた。ハーヴァード大学をキーワードにして、張り巡らされた人脈の地下茎を掘り起こす作業を行った。私は、これを“属国日本の政界のたけのこ掘り”と呼んでいる。このたけのこ掘り作業を通じて、ハーヴァード大学から送り出された人材たちは、現在に至るまで日本の中枢を形成し、日本を動かしてきたことを発見した。正直なことを言えば、ハーヴァード大学出身者たちを中心にして人脈がここまで広く形成されていたことは、私にとって大きな驚きであった。私はこれからもたけのこ掘りの作業を続けていく。

 ハーヴァード大学は、「合理性(rationality)」の総本山と言うべき存在である。政治学部では、政治学の分野で主流となっている理論である合理的選択論(Rational Choice Theory)が教えられている。副島先生が推薦文の中で書いているように、合理性とは、一言で言ってしまえば、「自分が得をする、生き延びる」ために行動するということである。この合理性(ラチオともいう)はユダヤ思想(ユダヤ教)の中心となり、そこから資本主義(Capitalism)と近代(modern)が生まれた、ということである。合理性を身につけることこそが、資本主義社会で成功するためには必要なことだ。ハーヴァード大学で学んだ日本人たちも当然のことながら、この合理性を身につけている。

 私が前著『アメリカ政治の秘密』でも指摘したことでもあるが、最近のアメリカの日本管理には鷹揚さがなくなっている。ジャパン・ハンドラーズたちはより露骨に、かつ、より性急にアメリカの利益追求の姿勢を示すようになっている。アメリカと、そして自分たちの利益追求に一直線に進んでいる。それは、ジャパン・ハンドラーズたちの中で世代交代が起こり、若い世代は合理的選択論を学んだことで、合理性をより重視する姿勢を取るようになっているからだ。管理する側と管理される側を分けるものが「合理性」なのである。

 日本管理のジャパン・ハンドラーズが合理性を武器にしているならば、それに対抗するために、私たちも彼らが使っている武器を手に入れて使えるようにするべきだ。そうすることで、ジャパン・ハンドラーズの意図を見抜き、自分たち、そして日本が損をしないように賢く行動できるようにしなくてはならない。本書が読者の皆様にとって、合理性について、そして合理的選択論について学ぶ契機になれば幸いである。

 本書刊行にあたり、多くの方々にお世話になりました。
 私の師である副島隆彦先生には、本書に推薦文を寄せていただきました。ハーヴァード大学をテーマとして取り上げたのは、先生からの示唆を受けてのことでした。本として出版できてホッとしています。心からお礼を申し上げます。
 私の同僚である中田安彦氏には今回もお世話になりました。中田氏とのやり取りを通じて、多くの刺激を受け、様々なアイデアを生み出すことができました。中田氏のような同僚がいてくれることは私にとって大きな力となっています。感謝しています。
 更に、ここで名前を記すことはできませんが、アメリカの大学教員事情について話してくれた先輩、スポーツビジネスの世界、そして早稲田大学大学院スポーツ科学研究科について多くの有益な情報を提供してくれた友人、そして、東北楽天ゴールデンイーグルスと本拠地である仙台という街に私の関心を向けさせてくれた友人にもお世話になりました。加えて、家族や友人の支えも励みになりました。記して感謝します。
 最後に、本書の刊行にあたって、PHP研究所の大久保龍也氏には、前作同様、お世話になりました。なかなか筆が進まない筆者を、寛容をもって見守り、伴走をしていただきました。心から感謝を申し上げます。

 二〇一三年十二月
 古村治彦


(転載終わり)

 以上です。前著『アメリカ政治の秘密』と合わせて是非一読下さい。

※古村治彦研究員、副島隆彦先生による3/1(土)の定例会に、是非お申込み下さい。↓
http://soejima.to/cgi-bin/kouen/kouen.html

中田安彦拝

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