「1351」自民党・公明党・日本維新の会の圧勝と民主党勢力の壊滅大敗北を受けて、「個人の力量によるサバイバル」というものが必須になってくる。そのことを選挙の数カ月前に副島先生の新刊『個人備蓄の時代』(光文社)では予測していた。みなさんも早く手を打ったほうがいい。2012年12月17日


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 副島国家戦略研究所の中田安彦です。今日は2012年12月17日です。

 昨日の衆院選の結果を報じる開票速報を見ながら、やけ酒を飲みながら、今後の日本がどうなるかを、いろいろな人に電話しながら考えていました。一言で言えば、リベラル勢力の大敗北であります。自民党やそこから別れて出現した石原慎太郎と橋下徹の「大阪の都市層向けの第2自民党」である「日本維新の会」(自民党よりもスパイスが聞いた味付け)や、それから自民党の補完勢力(ちょっとだけ味付けを柔らかくするだけの存在)でしかなくなった公明党が圧倒的大勝利を納めて、3党で合計して全480の議席のうちの、379議席を獲得し、参議院で否決された法案を衆議院で再可決するのに必要な、320議席を優にクリアしている。(自民・公明党だけでも325議席)




 自民党勢力は明らかに勝ちすぎたことを自覚しているようで、安倍晋三・自民党総裁を始めとして、圧勝している割には、笑顔が少なく、むしろ重責を担わされて大変だという顔になっていた。前回の衆院選では民主党を始め、国民新党や社民党とあわせてちょうど320議席を確保していた。自民党と維新の会は別ものかといえば全くそうではなく、都市型自民党か田舎型自民党かという違いでしかない。この2つの政党は憲法改正などの自民党政権にアメリカがやらせたい戦争推進の法改正では一致しているし、自民党の憲法改正案は憲法9条の改正以前に、言論の自由を規定している現行の21条に対する大幅な制限を目指している内容になっている。

 安倍晋三はこれで二回目の総理大臣ということになるが、自民党支持層の中で安倍を熱心に支持しているのは、ネット右翼たちであり、選挙最終日に秋葉原に集まって日の丸を振り回し、君が代を合唱していたような人たちだ。自民党政権は、旧来の田中角栄型の政治である成長の果実の分配というよりは、結局はインフレ政策とその後の大増税で一般大衆から大きくカネを巻き上げる財務省戦略にそっていくしかないだろう。中国との関係でも、東南アジア諸国やアメリカから「対中包囲網」の先陣を切るように期待、責任を転嫁されている。

 そして、はっきり言ってしまえば、小沢一郎の大きな戦略ミスが今回の民主党勢力大敗北の原因だろう。もちろん、小沢一郎に対する検察を通じた攻撃が問題であったことは事実であるが、それだけが敗因ではない。2011年にはいってから、震災直後の小沢一郎の行動の煮え切らなさ、菅内閣不信任に明け暮れた政局、そして消費税増税採決で思い切って反対票を投じて民主党内での居場所をなくしてしまったことは大きなミスだった。民主党はもともと、旧社会党系や細川護煕の日本新党系、そして小沢一郎の旧自由党系のウィングの広い中道勢力の結集軸だったのであり、意見の違いを許容する妥協の政治が求められていた。消費税法案について言えば、小沢系は反対票ではなく、採決の棄権をするだけに留めておけば、民主党での居場所を確保できたはずだった。その上で、参議院の輿石東・幹事長らと野田おろしのクーデターを画策することもできただろう。小沢は常々、「政治は数」だと言ってはばからないのに、自ら数を失うような離党行為に出るのは無謀だった。

 また、政策的にも小沢グループは政策通はいるものの、その政策を民衆にわかりやすい形で訴える事ができる政治家に欠けていた。それは小沢グループの議員が先の2009年衆院選の民主党大勝の結果、当選できた、風に乗った議員たちが多かったためだ。

 消費税の反対を訴えればいいのに、小沢グループはわかりにくい脱原発を争点にした。それが日本未来の党の限界であったと思う。リベラルの結集を目指すにしてもイタリアのオリーブの木構想の容認したウィングはもっと中道リベラルに近かった。未来の党にはまとまった組織票がない。これが一番の弱点だった。原発問題に関しても、放射能の脅威をことさらに強調するような、広瀬隆氏のような職業的なあやしげな反原発運動家が主体になってしまって、現実生活の中を生きる主婦層を取り込めなかった。

 未来の党の公認候補の中にも「反原発運動家あがり」のような選挙ポスターに「掲示責任者」の記載をまともに出来ないような選挙の素人のおばさんやおじいさんが出馬している。
私が聞いた話では、この未来の党の後任選定を仕切っていたのは、小沢側近の平野貞夫・元参議院議員であるという。小沢をおかしな方向に操ったのはこの平野貞夫であると思う。
この点についていずれ厳しく追及する。

 ともあれ、原発は老朽化していくので、新しい立地が認められないのであれば、段階的にゼロにしなければならない。インフラは老朽化するのだ。これは「放射能が怖い」という問題とは全くべつの次元のエネルギー政策の転換の話であった。

 幾つかの原発そのものは残していくにしても、アメリカから要求されて、日本の核武装派が安易に乗っかった、核燃料サイクル事業「もんじゅ」の廃止などはどうしても実現しなければならない課題だ。小沢の「国民の生活が第一」の政策担当副幹事長の松崎哲久(この人も落選した)はよくわかっていて、日本の原子力政策の転換ができない理由に「日米原子力協定」というアメリカとの属国協定があることもわかっていた。菅直人元首相もこの点は理解しているようだ。

 このように民主党勢力は極端に官僚主導に迎合した一方で、小沢グループは極端な理想主義に走ってしまった。だから、組織票を失って負けてしまった。

 いずれにせよ、自民党政権である。公明は連立に入るが、維新はもう少し連立参加は遅れるかもしれない。安倍新首相は、インフレターゲットをやることで当面は円安を目指し、国土強靭化の名のもとに必要な公共事業を増やしていくだろう。しかし、財務省は、その先に、インフレで拡大した経済格差が残った状況での経済成長率の増加という画を描いているだろう。その上で、予定通り2014年3月からの消費増税などの恐ろしい国民負担政策を実施する腹積もりだ。自民・公明・維新は、小泉純一郎政権がステロイドを呑んだかのような、いわゆる「新自由主義的な自己責任主義」を目指していく。

 一方のアメリカでは、オバマ政権はネオコンとの戦いにやや勝利を収めつつあるようだ。一例として、中東民主化を推進してきた、スーザン・ライス国連大使の次期国務長官への横滑りが頓挫しており、次期国務長官はジョン・ケリー上院外交委員長となり、国防長官はイラク戦争反対派で反イスラエルと批判されている、チャック・ヘーゲル元上院議員になりそうだ。当のヒラリー自身が、脳震盪を起こして倒れてしまっている。ヒラリーの2016年大統領選挙出馬もないだろうし、オバマ政権はバイデン副大統領、ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官を始めとする布陣で、今問題になっている「財政の崖」を共和党と妥協してうまく切り抜ければ、安定するだろう。

 ただ、軍事予算の削減と同盟国の負担強化という路線は変わらず、アメリカは中国とは戦争をできないので、西太平洋や東太平洋をめぐる米中の覇権ゲームは、日本や東南アジアを使った代理戦争にならざるをえない。これまでは日本は憲法を吉田茂の叡智によって改正しなくても済んだわけだが、これからはどうなるかわからない。アメリカは安全保障の負担を日本に押し付けて自らはアメリカ経済の立て直しを図るという「オフショア・バランシング戦略」にでている。つまり、日本が戦争をさせられるか、そうならないまでも、矢面に立たされるということだ。

 安倍政権は二階俊博元経済産業大臣などの中国人脈を駆使しながら、決して中国との決定的な対立を避けなければならない。安倍を支援したネット右翼のバカたちを裏切るようなウルトラCの「空母安倍晋三45度左旋回」がなければ危ないだろう。

 ただ、ここからが重要なのだが、自民党政権では旧田中派のような配分の政治はやらない。そうなると、国民は自衛するしかなくなる。そこで出てくるのは、「個人備蓄」という考え方だろう。震災直後はいろんな人が自宅に缶詰とか、燃料とか、農作物とかを備蓄したでしょうが、もうそれをやり続けている人はあんまりいないと思う。

 しかし、これからは発電も、従来型の電力会社依存型の部分を残しつつも、自宅に家庭用のソーラーパネルを設置し、自宅には蓄電池や水素燃料電池を完備し、あるいはディーゼル自家発電機を備えて、また再び20年以内には必ずやってくる大震災(今度は東海地震だろう)に備える必要が出てくる。また食料に関しても、スーパーなどの便利な流通を利用しながらも、いざというときにコメや野菜を入手できる独自ルートを開拓することが賢いとされるような時代になる。

 自民党政権でも多分確実にTPPというアメリカの多国籍企業の中国封じ込め経済戦略を狙った、アジア貿易ブロック計画は推進されるので、日本には北米から格安の農産物が入り込んできて、農家は大打撃を受けるだろう。その時に、個人備蓄の考え方を持っていれば、一般の人が売ることではなく、自分で消費する型の農業をやるという発想になる。幸いにして日本は水だけは豊富なのだから、そうやって栽培したものを、バーター(ブツブツ取引)として、地域ごとに食料をやり取り交換していくという発想も必要になってくるだろう。

 その意味において、副島隆彦の最新著作『個人備蓄の時代』(光文社)と、アジアにおける戦乱の時代を予測した金融本『ぶり返す世界恐慌と軍事衝突』(祥伝社)は非常に意味のある本だと思います。アメリカ国内でも金融危機の時にはどうやってサバイバルしていくかという話が注目され、そういうサバイバル本が飛ぶように売れた。個人備蓄の時代を打ち出す考え方は、アメリカのリバータリアン活動家の考え方でもある。ぜひ、『個人備蓄の時代』を一読いただき、会員の皆さんには感想をこのサイトの掲示板などにお寄せ下さい。

中田安彦拝 



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(以下に、個人備蓄の時代のまえがき、あとがきを 貼り付け開始)

はじめに

  2011年の大地震、大津波の時、岩手、宮城、福島の東北三県で被災した人々「避難所」に向かった。国と役所は、災害があれば必ずまとめて面倒を見ようとする。それが国、役所の仕事だからだ。災害対策という。そこには水と食料(あるいは食糧)があり、寝る場所もある。だが、そこにはただの小中学校の体育館があるだけだ。あんなところに何日も居られるものではない。だから、避難所をさっさと出てゆくという考え方が大事なのである。避難所にダラダラ長いこといたら、人間の尊厳と独立心が奪われる。まず、公共の避難所に行って、最低限度の食料と安全と情報をもらうのはいい。だが、その後はすぐに自分で、自力で災難に立ち向かうという考えも大事なのである。

 私は、福島第一原発の爆発(3月12日、14日、15日に4つの原発が次々に爆発した)があった一週間後から、原発正門前まで行き放射線量を測った。福島の現地の人々(住民)はみんな今も元気である。

 大地震か、津波か、火山の大爆発か、土砂崩れか、あるいは都市機能の麻痺か。大災害はいつ起こるか、誰にも分からない。地震の予知を地震学者たちができないことは、はっきりしていた。今は、大災害と金融大恐慌、そして領土紛争が起こりえる時代である。自分と自分の家族の生活・生命・身体は自分で守らなければいけない。
だからその準備をする。しかも自分の力で、やれるだけの範囲でやる。できもしない過剰なことを考える必要はない。 この本はそのためのいろいろな試みを考え、紹介する本である。
副島隆彦

 あとがき

 この本『個人備蓄の時代』を私が書こうと思ったのは、冒頭で書いたとおり、避難所(小中学校の体育館のこと)なんかに何日も居れるものではない、と自分の体で味わったからである。

 そのためには災害に備えてもう一軒、自宅とは離れた土地に別の家を買って、そこにいざという時のための“個人備蓄の城”を築かなければいけないと強く感じたからだ。

 それだけのことをするには、それなりの資金と生活の余裕が必要である。
 
 私はこの半年間、個人備蓄を目指す人々が、一般国民が、自分で手に入れることのできる技術(テクネ)と知恵(ウイズダム)を調べて集めた。こんなものしか集められなかった。しかし大事なことは、自分(、、、)に(、)できる(、、、)限り(、、)の(、)ことをすることだ。出来もしないことを、高望みしてやろうと思うのは間違いである。大災害(大地震)と恐慌(経済危機)と戦争(軍事衝突)が迫りくることを心配して、ビクビクして生きる、というのは愚の骨頂である。
備える(準備する)だけのことをやって、そして安心すべきである。
人に頼らない。政府(行政)にも頼らない。どうせ、いざという時には誰も人のことなど構っていられない。自分のことは自分でやるしかないのだ。自分に出来るだけのことをするしかない。それで十分である。

 この本を書くに当たってライターの金(キム)泰(テェ)嶺(リョン)氏にいろいろ取材・調査先を回ってもらった。自分でも極力、取材先を訪れた。そして勉強をした。
光文社出版企画部の米澤仁次部長と田尾登志治副部長にお世話になりました。記して感謝します。

2012年9月
副島隆彦

(貼り付け終わり) 

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