「1273」 「副島隆彦の学問道場」から 新年のご挨拶。 2012.1.1  下に加筆します。1月5日です。副島隆彦です。


謹んで初春のお慶びを申し上げます。
昨年中は重々お世話になりまして、誠に有難うございました。

皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。
今年も気持ちを新たに、益々飛躍の年となりますよう、一同頑張って参ります。
本年も宜しくお願い申し上げます。

2012年 平成二十四年 元旦
副島隆彦を囲む会 から



今日は、もう2012年1月5日です。 副島隆彦です。 ここに加筆します。 新年おめでとうございます。 
私ごとですが、私の九州の伯父が大みそかに逝去して葬式が新年にありまして昨日、東京に帰ってきました。
それで新年のご挨拶が遅れました。

昨年は、「今年は日本は大殺界(だいさっかい =天中殺 でも同じ。 天虫殺 とも書く。虫を殺すらしい)」 でした。私は、「今年は私は大殺界」 という書名の本を、昨年、2月に書き上げて、「どうも 近く何か事変がありそうだな。小沢一郎への政治弾圧関係ではないんだ 」と海を眺めていたら、3月11日の大地震、大津波、そして翌12日の原発の爆発事故、そして放射能漏れ( 大したことはなかった。誰一人死ななかった。これからも病人は誰も出ない。そのことは、私が現地に行って確認した。)が起きた。

 私は、上記の書名のまま出すべきだったのに、迂闊(うかつ) にも、 その本の書名を変更して、「なぜ女と経営者は占(うらな)いが好きか」にして、幻冬舎(げんとうしゃ)新書から出た。 出版されたのが、一か月ずれ込んで4月になった。

原発事故の 大騒動のさなかに出たので、この本はあまり売れなかった。しかし、今も書店の新書シリーズの棚には並んでいるので、これから、じわじわと 売れるだろう。 なぜ、 「今年は私は大殺界」という書名にしようとしたのか、 その経緯(いきさつ、けいい)は、この本の冒頭に書いてある。 私、副島隆彦が、本気で、古来の 4大文明の占(うらな)い学、占星術(せんせいじゅつ)について、解説して、四柱推命(しちゅうすいめい)や、算命学(さんめいがく)や、九星気学(きゅうせいきがく)について、全体を網羅するように解説した本だ。 今後、この本の命は大きく吹き返すだろう。

 私は、自分の天命(てんめい)を知っている。私は、中国の宋(そう)の帝国のころの士大夫(したいふ)の伝統を引く人間であるから、中国の完成された 知識人たちの生き方の範型(はんけい)を知っている。

そのことは、私の書いた歴史についての本である 「歴史に学ぶ知恵」(PHP研究所刊)に、かなり詳しく書いた。 この 副島隆彦の歴史の本 もまた重要である。 本当の 東アジア(日本を含む)の大きな歴史と政治思想の中心の軸を、 明確に解き明かした。 私が、死んだ後になてから、多くの人に読まれるようになるだろう。

 おそらく、今日5日から、大都市の大型書店には、私の中国研究本の 4冊目である 「中国は世界恐慌を乗り越える」(ビジネス社刊)が並ぶだろう。地方の書店は2日遅れの7日からだ。 「乗り越える」の override 「オーヴァーライド 」は、馬が、前途の障害物を 荒々しく踏みつけ、踏みしだき、踏み越えるようにして乗り越えるさまを表(あらわ)す言葉だ。 

私たちも、迫りくる世界恐慌を、荒々しく踏み越えなければならない。 気弱わになって、静かに沈み込んで、収入も食料もなくした者たちは、静かに餓死して死んでゆくがいい。 私の脳には、多くの日本人もまた静かに餓死してゆく様子が浮かぶ。 市役所の職員たちが、静かに片づけに来るのだろう。 それもまた良し、としなければいけない。 

以下に乗せるのは、 今年の7月の エコノミスト誌(毎日新聞社刊)に載った 評論記事だ。私が、金融・経済ものの 評論記事で、唯一、昨年、気になって、気に入ったのはコレだけだ。 ゆえに、以下に、エコにミスト編集部と 著者の許可を 面倒くさいのでもらわないで転載します。 抗議が来たら削除します。ですから皆さん、急いで読んでください(笑)。

学問道場の会員の皆様。今年もよろしくお付き合いください。 私たちは、迫りくる困難の、すべてを 踏み潰して、踏み荒らして、踏み越えて、乗り越えましょう。 

副島隆彦拝


(転載貼り付け始め) 

エコノミスト誌  2011年7月5日号
「 為替デリバティブの地獄 」

「円高になるほど借金漬け 中小企業の悲鳴と問われる銀行の責任」
緒方 欽一(おがた きんいち)(編集部)

 メガバンクなど銀行が中小企業に勧めた為替デリバティブ(金融派生商品)取引。金融庁によると、2004年から10年9月にかけて6万3700件の契約が結ばれた。特に円安・ドル高が進んでいた04年からの4年間は、新規契約が年1万件を超えた。

 売り文句は「リスクヘッジ」。円安がさらに進んでも、商品の輸入などに使う外貨(ドル)が安く購入できるとしていた。ところがその後の円高で同取引は多額の損失を生み出す結果となった。まずは当事者の証言から、何が起こったのかを振り返ってみたい。

 大阪・難波から電車で約30分の郊外。駅前商店街を抜けた場所にその店はあった。店頭には500~600円の婦人用ブラウスなどが並ぶ。近づくと、この店の社長が自ら客の呼び込みをやっていた。

 衣料品店を経営しているこの社長が、為替デリバティブを勧められたのは07年3月のことだった。みずほ銀行から融資担当者など3人がやってきた。社長はこのとき勧誘を断っている。店で販売している商品の8割は中国からの輸入品だが、実際の仕入れは商社を経由しているため、ドルは必要なかったからだ。

 それから1週間後。今度は三菱東京UFJ銀行から担当者がやってきた。要件は同じように為替デリバティブの勧誘。社長はこれも断った。その数日後、みずほの担当者らが再び訪ねてくる。社長は根負けして承諾してしまう。「銀行だから受けるじゃないですか。(銀行融資の)利率や枠にも影響があるかなと思うし……」。

 当時、為替レートは1ドル=117円前後だった。これに対して、社長がみずほと契約したのは「5年にわたって3カ月に1回、12万ドルを決済する。行使価格は1ドル=105.79円」という内容だった。為替レートがそのまま推移すれば、1ドル当たり11円も得する計算になるし、そのころは一層の円安も懸念されていたので、この契約で円安メリットを享受できると思った。

 もちろん、ずっと利益を生むものはないことも理解していた。「円安が続いている間の1~2年で得られる利益を貯めておいて、円高で『負け始めた』ときには、それで払えばいい」と考えたのだ。

積み上がる不要なドル

 だが、それがとんでもない結果を招くことになる。行使価格は105.79円だが、この価格を超える円高時には、決済額が2倍の24万ドルを購入するという「特約」がついていたからだ。

 具体的には1ドル=110円なら、行使価格との差額(約4円)から得られる約50万円が1回当たりの利益となる。一方、90円の円高になると行使価格との差額(約16円)で約380万円の損失が発生する。このような「特約」は円高時のリスクを増幅させるが、円安時に企業にとってより有利な行使価格を作るため、その代償として盛り込まれていた。

 みずほとの契約を済ませた後、三菱東京UFJから再び声がかかった。同行には2億円近くの借り入れがあった。無碍(むげ)にするわけにはいかない。社長は結局、勧誘に応じて同行で2件の契約を結んだ。

 当初は利益が入ってきたが、08年に入ると円高で逆ざやが発生し始めた。円高時に一方的に高まっていくリスクは想像以上だった。特に三菱東京UFJと交わした契約はキャッシュフローを直撃した。

 契約内容は5年にわたり、3カ月に1回を決済するというもの。特約によって99.5円を超える円高になったら、107.2円でドルを購入することになっていた。為替レートが99.5円を下回る円安時には48万円の利益を手にできるが、99.5円を超える円高になると、例え80円になろうとも107.2円で24万ドルを買い続けなければならず413万円の損失となる内容だ。

 この契約だけで3カ月に1回、損失が出る取引だとわかっていても24万ドルをるために資金を用意しなければならない。半面、口座に積み上がっていくのは事業では不要なドルだ。お金であることに代わりはないが、円に替えると実損が確定してしまう。いつかは円安に戻るはずとの期待もあった。そうする間に、含み損は増えていく。「そのうち三菱東京UFJからの追加借り入れはストップとなり返済のみとなった。他の付き合いの浅い金融機関も融資を引いた」。

 運転資金や為替デリバティブ取引のドル購入資金に充てるため、積み上がったドルを地銀や信金の預金口座へ移し、それを担保に借り入れた。1ドル=107.2円で買ったドルの担保価値は、82円で弾き直されたうえに9掛けの額しかない。通常は7掛けなのでまだいい方らしい。

「もがいて、もがいて、定期預金も崩して何とかやってきた」が、限界を感じた社長は今年3月、金融ADR(裁判外紛争解決制度)に持ち込んだ。

募る「銀行不信」

 為替デリバティブ取引は5年契約など長期にわたるのが特徴。原則として中途解約はできない。途中で契約を終了するなら、解約清算金を支払う必要がある。現在、その交渉の場となっているのがADRだ。解約清算金の額は個々の契約で異なる。

 社長の場合、先に和解交渉が進んだみずほとの契約の解約清算金(市場でデリバティブ取引の相手方に支払う資金)は、「みずほ:7・社長:3」の比率で両者が負担することになった。銀行負担が高かったのは、輸入取引を直接行っていない企業だったからと考えられる。

 銀行は、商品の仕入れなどで聞接的に為替の変動リスクを負っている「間接貿易取引」の企業として取引を勧めたのだが、多少引け目があるのだろう。

 社長の負担分は1000万円。7年の返済スケジュールで、みずほから借り入れることになった。社長が契約した計3件の為替デリバティブの通算収支を計算すると利益は約635万円。一方、損失(為替差損。解約清算金は除く)は7580万円に上る。ADR申請でドルの買い入れは止まり、精神的には落ち着いたが、手元に残ったのは借金と含み損を抱える200万ドルだった。

 昨年から急激な円高は、為替デリバティブ損失を増やし続けている。体力のある会社は財務体質が劣化する一方で、体力のない会社は”借金漬け”が着実に進行している。直近で出てきているのは担保をめぐる「銀行不信」だ。

 都内のあるメーカーは、メガバンク3行と為替デリバティブを契約した。円高でドルを購入する資金が多額に上り、円の運転資金が枯渇(こかつ)。一方で余剰のドルを300万ドルほど抱えることになった。

 余ったドルを円に替えれば、運転資金は確保できる。ただ、その時点で為替差額が確定するために躊躇していたら、昨年夏、そのうちの1行から提案を受けた。150万ドルを担保に1億円ほど融資してくれるという。毎月返済の条件で6カ月後には完済した。

 そこでロールオーバー(折り返し融資)を打診するが断られてしまう。それならと担保の解除を申し出たところ、為替デリバティブで評価損を抱えているので、担保は解除できないと言われたという。同社幹部は、「融資は初めから担保を取るための方便だったのではないか」と疑念を示す。

 関係者によると、ADRの場には為替デリバティブに関する案件が200件ほど上ったという。おおよそだが、メガバンク別の比率はみずほ:6、三菱東京UFJ:3、三井住友銀行:1。これは同取引に積極的だった順番でもある。

 金融庁調査による昨年9月末現在での残存契約数は4万500件のため、ADRに駆け込んでいる数は少ないともいえる。しかし、水面下ではいまなお苦しんでいる企業が少なくないと見られる。

誰のための商品か

 為替デリバティブは「誰のための」「何を目的とした」商品だったのか。3メガバンクに見解を質した。

 回答は「為替変動リスクを回避・低減することが経営課題と認識されているお客さまにとって、為替デリバティブ商品は経営の安定に資するものと考えている」(三菱東京UFJ)、「為替デリバティブ契約はお客さまの輸入債務、輸出債権等の為替リスクをヘッジするための商品」(三井住友)と、これまでの見解を繰り返す内容。なお、みずほは「直接の回答は差し控える」とした。

 銀行の本音はどこにあるのか。あるメガバンクの役員が語ってくれた。「もちろん銀行がすべて正しいと主張する気はない。ただ、中小企業の経営者もそんなに無知ではないことも知ってほしい」。

 根拠の1つとして挙げるのが、今回の為替デリバティブをめぐる問題では、同様の契約を複数の銀行と結んだ企業が多い点だ。しかも契約は一時期に集中しているのではなく、時間を追って順にされているのがポイントだという。

 つまり、「契約したら結構儲(もう)かったので、色気が出て次々と他の銀行とも契約したのではないか」と感じているのである。なお、この役員は「『メーンバンクなら他行が次々と売り込みにきて、どのような状況に陥っているかは決算書を見たら分かるはず。融資先が次々と契約していくのを止めるべきだった』という指摘を受けた。この言葉は重く受け止めている」とも述べている。

 欲をかいた中小企業がいたのは事実だろう。実際、ADRでは「便乗」に近い形でいくらかでも損失を取り戻そうという企業も現れているようだ。善悪の線引きは難しい。だが、銀行にも反省すべき点は多い。

 都内のある信金幹部は「中小企業に5年といった長期の為替取引のニーズはほとんどない。銀行が手っ取り早く収益を上げたいために出てきた商品」と断じる。結果的に自分たちはリスクをほとんどとらず、顧客に大きなリスクを引き受けさせことを忘れてはならない。


取引を分析

「銀行が勧めた「リスクヘッジ」の正体」

リスクヘッジをうたっていた為替デリバティブ取引。
しかし、その実態は為替リスクを負わせる商品である。

佐藤哲寛(さとう てつひろ)(イオス代表取締役/デリバティブ・アナリスト)

 金融機関は過去、円安が進んだ際のリスクヘッジをうたって、競うように中小企業に為替デリバティブの一種である通貨オプション取引を勧めた。しかし、同取引は契約した企業にとっての必然性を疑わざるを得ない構造になっていた。

 オプション取引は、「あらかじめ取り決めた特定の期日に、特定の資産を『売買する権利』を売買する取引である。今回問題となっている通貨オプション取引の典型的なパターンは、中小企業が金融機関から「ドルを買う権利」(コールオプション)を買い、同時に「ドルを売る権利」(プットオプション)を売るという取引である。

 ドルを売る権利を売る取引を中小企業が行うわけだが、オプションの売り取引は、買い取引よりも損失が莫大になる危険性をはらんでいる。最高裁の判例でも、各種の金融取則のなかで最もリスクの高い取引のーつ、という見解が示されている。

 ドルを売る権利を売る取引は、ややこしい表現だが企業は「ドルを買う義務を負う」ことになる。輸入業務をしていた企業にとって、この取引の必然性は見あたらない。同取引によって予め決められた行使価格から円高になったときでも、不利な値段で、ドルを買う義務が発生するからだ。

 輸入企業なら本来仕入れにおいて円高メリットを享受できるはずだが、これでは下がるはずのコストが下がらない。かえって価格競争力を失って売り上げ不振をも招く。金融機関はこのような取引をリスクヘッジと称しているのだ。

損失を増幅させた「特約」

 契約のなかには、さらに「レシオ」「ギャップレート」「ノックアウト」という特約が盛り込まれているものが多い。私はこれらの特約を「3大特約」と呼んでいる。特徴は、契約した中小企業にとってはリスクがより大きく、販売した金融機関にとってはリスクがより小さくなる構造になっている点だ。

 レシオは、円高時のドルの取引金額が円安時のドルの取引金額の2倍や3倍に膨らむ特約である。円高になっても、中小企業は不利な為替レートでドルを購入しなければならない。レシオがあるとその購入額が数倍に増加し、損害は数倍に拡大する。

 ギャップレートは、円高時のある時点から損失が急に拡大するものだ。例えば、為替レートが1ドル=100円よりも円高になれば、1ドル=110円など予め設定されたレートでドルを購入しなければならないといった仕組みになっている。この仕組みは、ただでさえリスクが高いとされる売る権利の売り取引を2種類組み合わせて、さらにリスクを高めたものである。

 ノックアウトは、為替がある価格に到達したら、契約自体が消滅する特約。このノックアウトは、ことごとく円安方向に設定されており、概ね契約時の為替レートよりも10円程度円安が進行した時点で契約が終了するという内容になっている。

 中小企業は契約が終了した時点でリスクヘッジ効果を失うが、円安リスクを引き受けている金融機開は、円安局面における自らの損失拡大を回避できるわけだ。つまり、このノックアウト特約でリスクヘッジをしているのは金融機関なのである。

 このように、オプションの売り取引のリスクをさらに数倍に拡大する特約が過剰なまでに盛り込まれていることが、今回中小企業の損害を拡大させた大きな要因である。レシオやギャップレートの特約がついた通貨オプション取引を行った中小企業は、実際の為替レートよりも数倍に損害が拡大している。48ページの図はレシオ3倍、1ドル=98円よりも円高になったら、1ドル=108円でドルを購入するという取引での為替差損益のイメージである。07年から取引を開始した場合、利益よりも損失額が大きいことがわかると思う。

 さらには、取引金額が過剰であったり、契約期間が5年などと長すぎて、契約時点の為替レートに将来を賭ける”博打(ばくち)的な取引”になっており、全体としてみればリスクヘッジ取引というよりも、むしろ逆にリスクテーク(リスクを引き受ける)取引になっている。これが為替デリバティブ取引の実態、真の姿なのだ。

ゼロコストの落とし穴

 これらの為替デリバティブ取引はゼロコスト商品として販売されている。ゼロコストとは、企業からみてドルを買う権利の買い取引にかかるオプション料(手数料)の支払いと、ドルを売る権利の売り取引で得られるはずのオプション料の受け取りが相殺されて、オプション料の授受が発生しないという仕組みである。しかしこのゼロコストと称する仕組みには大きな問題が潜んでいる。

 ドルを買う権利の買い取引を行うためには当然オプション料という対価を金融機関に支払う必要がある。オプション料は保険契約における保険料と考えればわかりやすい。保険に加入する際は、保険でカバーできる病気などのリスクと、支払う保険料の妥当性を計算したうえで、契約するかどうか決めるだろう。

 一方、通貨オプション取引では、実はほとんどの中小企業が一体いくらでドルを買う権利を買ったのかを知らない。同様に、ほとんどの企業が一体いくらでドルを売る権利を売ったのかを知らない。金融機関だけが本当の値段を知っているという極めて異常な取引になっているのだ。

 この原因はゼロコストにある。ゼロコストにすることで、コストに対する意識が希薄となり、コストに対するリターン、そしてリターンに対するリスクの認識が薄れている。これは実はとても危険なことである。リスクやリターンというものは、対価(コスト)によってその大小を把握するのが一般的だからだ。

 オプションの対価を知らないがために、この取引に対して支払った手数料がいかに莫大であるかも多くの企業は気がついていない。

為替手数料は相場の3倍超

 私がオプション理論を使ってオプションの価値(正味の時価評価額)を評価したところ、企業が買ったドルを買う権利よりも、企業が売ったドルを売る権利の方が明らかに価値が高いというケースが圧倒的に多かった。

 本来はドルを売る権利とドルを買う権利の価値の差額分だけオプション料を受け取る権利が企業にはあるにもかかわらず、ゼロコストということにされて、オプション料を受け取り損ねていることを意味する。しかもその額は1契約当たり数千万円単位とみられる。本来なら、中小企業の方がよりリスクを引き受けているため、そのぶん対価も高いはずだ。

 中小企業が受け取り損ねたオプション料は、金融機関の手数料収入に化けているとしか考えられない。為替デリバティブ取引は、要するに企業にとってはドルを買う契約といえる。私が数百件のデリバティブ取引の契約内容を分析した結果、そのドルを買うための手数料は1ドル当たり3~10円にものぼることが判明した。ドルの売買手数料の一般的な相場は1ドル当たり1円なので、見積もっても相場の3倍以上の手数料が、何の説明もなく徴収されている。

 このように、為替デリバティブ取引の中身を分析して調べれば調べるほど、リスクの取らせ方から手数料の仕組みにいたるまで、デリバティブ取引のプロ中のプロである金融機関が、素人の、中小企業を手玉にとっている構図が浮かび上がってくる。


[筆者略歴]1990年オリックス入社。財務部でデリバティブ取引なとに従事。2000年財務コンサルタントとして独立。近著に『為替デリバティブ取引のトリック』(PHP研究所)


(転載貼り付け終了)

副島隆彦拝

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