「97」 サブプライム危機から世界恐慌へ(32) 20008年4月、5月の記事をまとめて載せる。どこかにあるものの載せ残しの分である。2008.12.4
副島隆彦です。今日は、2008年12月4日です。

以下の記事は、2008年4月と5月の分である。どこかにすでに載せた分の残りである。 副島隆彦拝

●「【不動産】米住宅価格:14%下落・1―3月、過去最大…6都市の下げ幅が20%超に」

2008年5月28日 日経新聞

【ワシントン=米山雄介】米住宅市場の低迷が続いている。米格付け会社スタンダード・ アンド・プアーズ(S&P)が27日発表したS&Pケース・シラー住宅価格指数の1―3月期の全米一戸建ては前年同期比で14.1%下がった。

 一方、米商務省が同日発表した4月の新築一戸建て住宅の販売件数は季節調整済みの年率換算で52万6000戸だった。前月比3.3%増と市場予測平均(52万戸)をやや上回ったものの、低水準にとどまった。

 1―3月期のケース・シラー指数は前年同期比で5四半期連続の下落で、下げ幅は1987年の 調査開始以来で最大。前期比でも6.7%下げた。同時発表の3月の住宅価格指数は主要10都市で前年同月比15.3%、20都市で14.4%下落。ラスベガス(下落率25.9%)、マイアミ(同24.6%)など 6都市の下げ幅が20%を超えた。


● 「ジム・ロジャーズ氏:世界の金融危機はまだ最悪期に達していない」

2008年 5月8日 ブルームバーグ、 シンガポ-ル

 米投資家ジム・ロジャーズ氏は8日、米国の住宅ローン問題を震源とした世界の信用収縮の終わりはまだ遠いかもしれないと指摘した。同氏はシンガポールで行われた英銀バークレイズの記者会見で、「金融危機が半分過ぎたというのは疑わしいと思う」として、「私の見方では、状況が底を打っていないことは確かだ」と述べた。

● 「ジム・ロジャーズ氏 金(きん)相場、一段安なら買い増す-非鉄買いも検討 」

2008年5月8日 ブルームバーグ Feiwen Rong記者

 米投資家ジム・ロジャーズ氏は8日、シンガポールでの記者会見で、金や非鉄の最近の下落基調が続くようなら、買い増す考えを明らかにした。同氏は「金は今、調整局面にある。800ドルあるいは750ドルまで下落する可能性がある。売買のタイミングを計るのは得意ではないが、金がさらに下落すれば買い増すつもりだ」と述べた。

 商品相場の上昇基調は7年目に入っており、原油は7日、1バレル=123.93ドルと最高値を更新。生産不足から小麦、コメ、トウモロコシ、大豆も軒並み最高値を付けている。ただ、金は3月17日に付けた最高値から15%超下げている。ニッケルは2007年に付けた高値から45%安、亜鉛も06年に付けた高値から50%下げている。

 ロジャーズ氏は「非鉄買いを考え始めている。まだ実際に買っているわけではないが、一部の非鉄はかなり下落している。調整が続くようなら、恐らく買いを入れるだろう」と述べた。 26商品で構成するUBSブルームバーグCMCI総合指数の今年の投資収益率はほぼ20%。

 一方、S&P500種株価指数は5.2%安。メリルリンチの指数によると、米国債の投資収益率は9.2%。ロジャーズ国際商品指数は1998年以降で4倍になっている。

原油高   ロジャーズ氏は「わたしの見解では原油相場は強気相場の中で150ドルを超え、200ドルにさえ達するのは確実だ。これは短期的な見方ではない。過去40年余り、大規模な油田は世界のどこにも発見されていない」と述べた。

 さらに「農業は今後10-15年間、世界で最も成長が期待できる産業の1つになる」と指摘。ラボバンクなど保守的な農業関連銀行は「日の目を見るだろう」と語った。コメ価格については供給が増えるまで一段と上昇するとの見通しを示した。「米相場は長い間、暗黒の時代に置かれたが、それでもインフレを控除した実質ベースでは今よりも格段に高い水準にあった」という。

 ロジャーズ氏は「コメの在庫は非常に低い」とした上で「最近はコメ農家のなり手が不足している」と語った。「中国の若者は30年にわたりコメ農家になるよりも、上海の新しい証券取引所や商品取引所を目指した。それは世界のほとんどの地域でも同じことが言える」と話した。

 ロジャーズ氏はジョージ・ソロス氏と1970年代にヘッジファンド「クオンタム」を共同創設。99年に商品相場の上昇基調入りを予想し、的中させたことでも知られる。


●「イラン、原油取引での米ドル決済を完全停止 石油省」

CNNニュース、テヘラン2008年4月30日

 イランの石油省当局者は30日、原油取引での米ドル決済を全面的に停止したことを明らかにした。イランは過去1年、核開発問題やイラクへ武装勢力の干渉で厳しく対立する米国の経済制裁などを受け、リスク削減でドルへの依存を減らす方針を示していた。

 国際石油市場では米ドルが基軸通貨となっているが、ドル安などを受け、原油産出国が不満を募らせている背景もある。石油省当局者は国営テレビとの会見で「原油取引でのドル決裁はすべて中止した」と指摘、輸出国の了解も得たとしている。 今後の取引は欧州では欧州連合(EU)のユーロ、アジアでは円で実施するとしている。

 イランは、石油輸出国機構(OPEC)で2位の産出国。同国はOPEC関連会合で、原油取引でのバスケット方式通貨を提案してきたが、支持は得られなかった経緯がある。 イラン中央銀行も米国の経済制裁をにらみ、外貨準備高をドル以外の通貨に移行する動きを強めている。

●「米住宅市場は依然低迷、FOMCの政策判断に注目集まる 」

ダウ・ジョーンズ 2008年4月30日  ロンドン

 ここ最近の経済指標から、米国の住宅市場が依然として低迷していることが確認されているが、市場の注目は現在、米連邦公開市場委員会(FOMC)とその後の政策声明に集まっている。

  スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が発表した2月のケース・シラー住宅価格20都市指数は、前年同月比12.7%低下し、下落率は1月の同10.7%低下を上回った。 「底入れの兆しはまだ見られない」とS&Pは指摘している。

 著名な経済学者でケース・シラー住宅価格指数の開発者でもあるロバート・シラー氏は、現在の住宅価格下落について、「1929年の大恐慌当時以上に大幅なものとなる恐れがあると警告している。住宅価格は、大恐慌当時には30%も低下したが、今回はこれ以上の下落となる可能性もある」 と、シラー氏はみている。全米の住宅価格は、すでに2006年の高値から15%下がっている。

●「日本経済はリセッション回避の公算-輸出は多様化、企業の足腰強い 」
Japan May Escape Recession as Chinese Surge Increases Exports

2008年4月28日 ブルームバーグ

 1970年代以来、日本経済は米国がリセッション(景気後退)入りするたびに追随していた。しかし、今回は違うかもしれない。
米国のリセッションは70年以降5回。1970年には、米国向けが日本の輸出全体の30%を占めていた。今ではその割合は20%だ。

 トヨタ自動車など日本の輸出企業は以来、米国以外の輸出先を拡大した。80年代後半のバブルが崩壊してから、日本企業は生産合理化や財務強化も進めてきた。

 キャピタル・エコノミクス(ロンドン)のチーフエコノミスト、ジュリアン・ジェソップ氏は、「米国は日本の輸出先として、かつてほど大きな位置を占めていない」上に、「日本経済の体力も増している。失われた10年の後に日本経済は変身を遂げた」と指摘した。

 今月は、ゴールドマン・サックス・グループとモルガン・スタンレーの証券会社2社が、日本が今年リセッション入りするとの予想を撤回した。きっかけは2月の鉱工業生産指数だった。今月17日に発表された同指数確報値は、指数基準改定の結果、前月比でプラスと、速報値のマイナスから大幅に上方修正された。

 同日中に、日本銀行が年内に利下げをする確率は4%まで低下(JPモルガン・チェースの算定)。この確率は3月20日には71%だった。

リセッションではなくソフトパッチ   日本のリセッション入りを2月以来予想していたモルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミストは、リセッションではなくソフトパッチ(軟調局面)に予想を変更した。日本が既に景気後退期にあると1月から論じていたゴールドマンも、今は1-3月期の成長率を約2%と見積もる。

 米国向けが減少するなかでも、輸出は過去7カ月にわたり前年同月比で増加してきた。中国向けは過去2年で45%増え、ロシア向けは倍増している。ヘッジファンド、タンタロン・リサーチ・ジャパンのディレクター、イェスパー・コール氏は「日本の製造業界はグローバル化のお手本だ」と話す。

 さらに、外部環境にかかわらず、日本企業の足腰はバブル崩壊後のどの時期よりもしっかりしている。資産に対する負債比率は平均で約65%と、1955年以来の低水準にあり、90年代半ばの80%とは様変わりだ(メリルリンチ証券の大久保琢史エコノミスト)。

 また、生産設備の余剰を測る日銀企業短期経済観測調査(短観)の生産設備判断は9四半期にわたりゼロかマイナスとなっている。ジェソップ氏は「先進経済の中で、予想外の上振れで今年、市場を驚かせるのは日本だろう」と話している。


●「中国株式市場、印紙税下げで20%上昇も 」

2008年 4月 23日 上海、ロイター

 中国政府は23日、株式取引にかかる印紙税を引き下げた。市場では、過去半年にわたる弱気相場が終了し、今後数週間で20%以上株価は値上がりする可能性があるとの見方が出ている。印紙税率は0.3%から0.1%に引き下げられた。

 短期の値ザヤ稼ぎで活発に取引を繰り返す投資家を除けば、取引コストの低減にはほとんどつながらないが、計画経済の伝統のある中国では、政府の対策に株価が敏感に反応する傾向が強い。市場関係者は、今回の印紙税引き下げについて、株価を下支えたいという政府の意向の表れだと指摘。今後、株式市場に大量の資金が流入するとの見方を示している。

 上海総合株価指数は、昨年10月につけた過去最高値から51%急落、22日には1年2カ月ぶり安値となる2990.788まで下落していた。オリエント証券のストラテジスト、Zhang Yang氏は「中央政府の意向を反映した措置だ。政府は、株価下落が、社会不安や実体経済悪化につながることを懸念している」と指摘。

「今回の政策転換で、市場の地合いが改善し、新規資金が流入するだろう。上海総合株価指数は少なくとも4000まで上昇する見通しだ」と述べた。

 国泰ファンド・マネジメントのファンドマネジャー、Huang Yan氏も、4000が目標になると予想。その後の展開は、経済動向に左右されるとの見方を示した。同氏は「今回の減税には、3000付近を底値にしたいとの政府の意向が明確にあらわれている。

 スタグフレーションへの懸念はあるが、中国経済にそれほど大きな問題があるとは思えない。これまで市場は悲観的すぎた」と述べた。上海総合株価指数は、2005年6月─2007年10月の約2年半で約6倍となった。好調な企業業績や非流通株改革を受けて、それまで株式市場に縁のなかった個人投資家が市場に参入したことが背景だ。

 しかしその後、高値警戒感、インフレの進行、相次ぐ新規上場などを受けて、相場は大きく転換、強気相場は、昨年末に突然の終幕を迎えた。今回の印紙税引き下げでも、大きな懸念要因が消えたわけではない。インフレ率は11年ぶりの高水準、海外環境が悪化すれば、中国経済が減速する可能性もある。非流通株改革と株式公開後のロックアップ期間(株式売却禁止期間)終了で、大量の株式が売却されるとの懸念も残る。

<割安感>  ただ、これまでの弱気相場で解消された問題もある。市場関係者は、株価水準が大幅に割安になったと指摘。上海A株の香港H株に対するプレミアムは今週、平均28%と、昨年7月以来の水準に低下した。今年1月には113%に達していた。市場関係者は、人民元高の進行や中国の資本規制を考えれば、ある程度のプレミアムは正当化できるとしている。

 また上海株式市場は、印紙税引き下げの発表前に底入れの兆しが出ていた。23日の上海総合株価指数は、政府の株価対策への期待もあり、4.15%高の3278.330で終了。2005年6月─2007年10月の高値からの61.8%戻しで下値支持線となっていた2956を上回った。 1月中旬以降の下落局面の安値から38.2%戻しを達成すれば、4000台に乗る計算だ。

 平安証券のストラテジスト、Li Xianming氏は、印紙税引き下げを受けて、24日の市場では多くの銘柄が値幅制限いっぱいの10%高まで上昇するだろうと予測。上海総合株価指数は少なくとも4500ポイントまで上昇する可能性があるとの見方を示した。

 同氏は、今回の印紙税引き下げに先立ち、証券当局が、ロックアップ期間の切れる株式の大量売却を規制していたことに触れ、「政府は明らかに複数の対策を組み合わせて、慎重に3000割れを阻止しようとしている。まだ別の対策を用意しているのかもしれない」と述べた。高揚感が漂うなか、今回の措置は長期的には株式市場にとってマイナスだと懸念する声もある。

 市場原理ではなく、政府の対策で株価が決まれば、企業の安定した資金調達の場としての株式市場の発展は期待できないという指摘だ。

 中国政府は昨年5月、投機的な株式取引を抑制するため、印紙税率を0.1%から0.3%に引き上げている。今回税率を0.1%に戻したことで、新たな投機を招き、再び政府の介入が必要になるのではないかとの懸念もくすぶる。オリエント証券のZhang氏は「そうなれば、再び政策主導の相場に逆戻りすることになる」と語った。(Samuel Shen記者;翻訳 深滝壱哉)

●「金融混乱一服の背景にヘッジファンド、「逆張り」ポジションで大勝負」

2008年 4月 24日 東京 、ロイター

 4月に入ってから各国株価やドル相場が下げ止まるなど金融市場は表面上、一時の混乱から落ち着きを取り戻している。各国当局の相次ぐ利下げや資金供給策が少しずつ効果を発揮し始めたことが一因とされるが、市場混乱の中でも好成績をあげてきた一部のヘッジファンドが水面下で、大きく値下がりしている商品の反発を見込んで買いを入れる「逆張り」に動いていることも大きな要因となっている。

 多くの関係者が混乱は収束していないとの見方を示す中、大勝負に出たヘッジファンドの行方を、市場関係者は固唾(かたず)を飲んで見守っている。

 「状況が好転した訳でもなんでもない。いくつかの大手ヘッジファンドが、タダみたいな値段になった債務担保証券(CDO)などのクレジット商品を買いあさっているだけだ」。ヘッジファンドに詳しいある金融関係者は、市場混乱が一服となった背景をこう解説する。

 ヘッジファンド全般は最近の金融市場の混乱による運用成績の悪化に加え、取引相手である大手金融機関の業績不振による信用枠縮小などを背景に、戦績は苦戦している。モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の調べでも、3月のヘッジファンド運用成績はマイナス2.86%と世界の主要な株式・債券市場のパフォーマンスを下回った。

 しかし、そうした環境でも当然、すべてのファンドが損失を抱えたわけではない。急騰する商品相場の買いや急落したクレジット商品の売り仕掛けで、好成績を挙げた敏腕ファンドも少なくないという。欧州を拠点とし「業界内で名前を知らない者はいない」(業界関係者)ある大手ヘッジファンドも、3月下旬以降は「クレジット商品に『逆張り』的に買いを入れ続けている」(先の金融関係者)。

 各国の相次ぐ利下げや資金供給策が「限定的ではあるが、市場安定に一定の効果は生み出した」(在京外銀の資金担当部長)ことで、こうした「逆張り」の動きがさらに、相場の下げ止まりにつながりやすくなったとの見方は少なくない。金融混乱の震源地ともいえるクレジット市場の値動きが落ち着き始めたことで、金融市場で強まっていた株売りや債券買い、ドル売りといった今までの流れを逆転させる動きも増幅し始めている。

 あるメガバンクの為替担当責任者も「状況をよく考えたら(株買いやドル買いが)おかしいのは理解しているが、実際にキャッシュリッチな連中から買いが入って下げ止まり、値動きが鈍ることでポジション解消に伴う(株やドルの)買い戻しが入りやすくなっている。その動きをディーラーとして見送るわけにはいかない」と、目立ち始めた「逆張り」に追随せざるを得ない実情を明かす。

 ヘッジファンド向けの監査・税務サービスなどを手掛けるロススタイン・カスが今月半ばに米国のヘッジファンドを対象に行った調査では、9割以上のファンドマネジャーが今年、業界に大量の新規資金が流入すると回答した。「ヘッジファンドは仮にひとつが清算しても『雨後のたけのこ』のように次々に出てくる。名前を変えながら生き残っているファンドもある。ヘッジファンドは業界全てがやられて厳しいというイメージが先行しているが、さすがに強気だ」(先の業界関係者)。

 逆張り勝負に出たヘッジファンドの読み通り事態が収束に向かうか、順張りで売り込んだ向きがヘッジファンドをなぎ倒すか――。「時間の経過とともに状況が好転すれば彼らの勝ちだが、そう簡単に事態は解決しないだろう。かといって売り仕掛けも機能しなくなってきた。最近の相場は久しぶりに、非常に難しい。正直に言ってまったく見通せない」。ある外銀のチーフディーラーも、こう着相場の中で試行錯誤を繰り返しつつ、ヘッジファンドの仕掛けた勝負の行方を見守っている。


●「英大手銀が損失1兆2000億円計上、株主割当増資を実施へ」

2008年4月22日  読売新聞

【ローマ=中村宏之】 英銀行大手のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は22日、米国の低所得者向け住宅融資 「サブプライムローン」 問題に伴う金融市場混乱の影響で、2008年の1年間に59億ポンド(約1兆2000億円)の損失を計上すると発表した。

 資本増強を図るため、総額120億ポンド(約2兆4000億円)の株主割当増資を実施する。米投資銀行のゴールドマンサックスやメリルリンチなどが引き受ける。非中核事業である保険部門を売却して、約40億ポンドの資本増強も行う。RBSは、これまで増資は必要がないとの姿勢だった。しかし、金融市場の混乱が長期化していることから、「現時点での資本増強が適切と判断した」と説明している。

 RBSの2007年のサブプライム関連の損失額は約25億ポンド(約5100億円)で、08年はその2倍超に達する。市場では「RBSが損失をすべて開示し処理を断行した」との前向きな見方が出る一方で、他の金融機関でも損失が拡大していくのではないかとの懸念が消えていない。

 欧州系の銀行ではスイス金融大手のUBSが1日、2008年1~3月期決算で約190億ドル(約1兆9600億円)の損失を計上する見通しを示した。先の見えない金融機関のサブプライム関連損失の拡大が、欧州でも市場の大きな不安材料となりそうだ。

● 「 米アムバックの第1四半期は予想超える赤字、株価急落」

2008年 4月 23日  ニューヨーク、ロイター

 米金融保証大手アムバック・フィナンシャル・グループ が23日発表した第1・四半期決算は予想を超える赤字となった。 モーゲージ債に絡み10億ドル相当の引当金を計上。午前の取引で株価は30%近く急落した。第1・四半期の赤字額は16億6000万ドル(1株当たり11.69ドル)。前年同期は2億1330万ドル(同2.02ドル)の黒字だった。

 諸項目を除いた1株損失は6.93ドル。アナリストは1.82ドルの赤字を予想していた。前年同期は2ドルの黒字だった。カレン最高経営責任者(CEO)は声明で「今回の結果に失望している。しかし第1・四半期の資本増強と戦略的事業対策により、現在のクレジット状況を乗り越えることができると引き続き確信する」と述べた。

 同社の資本水準はS&Pの目標を上回っており、ムーディーズの目標も第2・四半期に上回る見込みとした。クレジット・デリバティブ商品のエクスポージャーに絡み17億ドルの評価損を計上。債務担保証券(CDO)に絡む評価減は9億4040万ドルだった。

●「米アムバックの債務保証コストが過去最高に、予想を上回る赤字で」

2008年 4月23日 ニューヨーク、 ロイター

 米クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、金融保証(モノライン)大手のアムバック・アシュアランスの債務保証コストが過去最高水準へ急上昇した。親会社のアムバック・フィナンシャル・グループの第1・四半期決算が予想を超える赤字となったことが理由。

 CMAデータビジョンによると、アムバック・アシュアランスのCDSは初めてアップフロント支払いベースでの取引となり、保証コストは5年物で11%プラス年間500ベーシスポイント(bp)。 CDS市場では、債務不履行の懸念が高まった場合にアップフロント支払いで取引される。

 CMA(シカゴ・マーカンタイル取引所) によると、22日時点では、アムバック・アシュアランスのCDSスプレッドは700bp程度だった。CDSスプレッド1bpは、債務1000万ドルに対する保証料1000ドルに相当する。モノライン大手MBIAの債務保証子会社のCDSスプレッドも約95bp拡大し805bpとなった。


● 「 米地方公務員組合連盟、シティグループ分割を要求 英FT紙」

2008年 04月 21日 ロイター

英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)によると、米国の主要労組である米地方公務員組合連盟(AFSCME)が、米シティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)株主に対し、同社の分割を支持するよう求めている。連盟関係者の話として報じた。

 同連盟は、シティグループの少数株式を保有しており、投資銀行部門と商業銀行部門の分割を求めているという。シティグループに対する正式な提案は行われていないが、同社が拒否することは確実とみられている。同社が18日発表した第1・四半期決算は、信用収縮の影響で51億1000万ドルの赤字。9000人の人員削減も発表した。

● 米銀行大手シティグループは2008年4月21日、優先株発行により60億ドル(約6180億円)を調達、資本増強を行ったことを明らかにした。

 サブプライム住宅ローン関連の損失などで、2008年1-3月期は純損失が 約51億ドルと2期連続の赤字となっており、増資により損失を補う。優先株の金利は8・4%だ。これだとシティの業績が回復したとしても利払いだけでも収益を圧迫するだろう。サブプライムに手を染めてないはずのウエルズ・ファーゴ銀行(WFC Wells Fargo & Company )も経営不安が増している。


●(副島隆彦注記。以下のフリードマン追悼記念のバーナンキの発言は、この時点でさえ、聴衆の嘲笑を買っている。皮肉交じりの笑いだ。政策実行者であるバーナンキ自身は、何の余裕もないから、冗談さえ言えない。

 自分は何か気の利いた、高級な冗談でも言ったのだろうかと、自問自答するしかない。しかしこの場に居合わせた人々の反応は、すでも、冷笑である。それは、以下の文の中のこの箇所に現れている。 「 フリードマン教授の見解に触れながら、(バーナンキ議長は、) 「あなたのおかげで、われわれはもうそうした失敗を繰り返すことはないでしょう」と言うと、会議場は笑いに包まれた。」 の箇所である。副島隆彦注記終わり)

「バーナンキFRB議長:戦いの片手に権限拡大、片手に大恐慌の教訓」
Bernanke Grapples With Greenspan as Volcker Scorns Fed Bailouts

2008年4月21日 ブルームバーグ

 2002年にシカゴ大学で開かれた会議では、ノーベル経済学賞受賞者のミルトン・フリードマン名誉教授の90歳の誕生日を祝う催しがあり、当時は米連邦準備制度理事会(FRB)の理事だったベン・バーナンキ氏もあいさつに立った。

 バーナンキ氏は、1929年のニューヨーク株暴落に端を発する大恐慌が中央銀行の政策の失敗によるものだとのフリードマン教授の見解に触れながら、「あなたのおかげで、われわれはもうそうした失敗を繰り返すことはないでしょう」と言うと、会議場は笑いに包まれた。

 米経済における1929-33年のパニックを長年研究してきたバーナンキ氏は今、FRB議長として、新たな金融危機が本格的な恐慌に進展するのを阻止するという厄介な役割を担っている。米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)市場の崩壊をきっかけに、世界的な経済・金融危機が発生してしまった。

 バーナンキ議長は、連邦準備制度の95年の歴史の中でも最も積極的にその力を拡大して事態に収拾に対応した。0.75ポイントもの大幅利下げを2回実施したほか、1930年代以来初めて投資銀行に対しても連銀の窓口貸し出しを実施できるようにしたほか、資金難に陥った米投資銀行ベアー・スターンズを救済するという前代未聞の措置を講じた。

 議長の米経済に対する処方せんは強烈なものだ。だが、友人らによれば、議長自身はそうした政策の猛烈さからは程遠い人物だという。プリンストン大学でバーナンキ氏から教えを受けたデューク大学のエコノミスト、リチャード・ニューウェル氏は、議長について、「感じの良い態度と安定した気質を兼ね備え、非常にバランスが取れている」と話す。「自らの深い知識を頭ごなしに他人にぶつけることもなく、それが議長を効果的なコミュニケーターたらしめている」のだという。

金融行政改革案
 ポールソン米財務長官が3月31日に発表した米金融行政の大幅な改革案は、FRBの試みを支持する格好となった。商業・投資銀行や保険会社、ヘッジファンド、投資信託を含む金融システム全体を監督する恒久的な役割を連邦準備制度に付与するという方針が示されていたためだ。

 ただ、同長官はマイアミでの4月7日の記者会見で、米証券取引委員会(SEC)の廃止につながるこの改革案は実現に数年かかるだろうとの見方を示した。議会の主導権を握る民主党も、すぐに法整備が実現する可能性は低いとしている。

 サウスカロライナ州出身のバーナンキ氏は2006年2月にグリーンスパン前議長が率いていたFRBの理事に就任。前議長は18年の長きにわたり、その職務を勤めたが、その後を引き継いだバーナンキ氏は、史上最強のFRB議長になるための道を歩んでいる。

評価
 元FRB理事で、現在はスタンフォード・グループの上級アドバイザーを務めるライル・グラムリー氏は、「ポールソン長官の改革案についての1つの解釈は、望むことがすべてできるような権限を手渡されたということだ」との見方を示し、「システミックリスクの原因となり得るあらゆる金融機関に対する全体的な監督責任をFRBに付与するものだ」と述べる。

 元FRB副議長のアラン・ブラインダー氏は、バーナンキ議長の行動は正当化されると指摘する。ポールソン長官とブッシュ米大統領は住宅ローン危機への対応をほとんど見せておらず、「FRBは非常に創造的で、この戦いをほとんど単独で戦っている」と語る。

 しかし、1979-87年にFRB議長を務めたポール・ボルカー氏の意見は異なる。バーナンキ議長の下でFRBはすでに力を持ち過ぎたとの認識だ。ボルカー氏は4月8日のニューヨークでの講演で、FRBは「合法ぎりぎりの行動を起す必要があると判断した」と言及した。

 バーナンキ氏と共同研究の経験があるニューヨーク大学のマーク・ガートラー教授(経済学)は、現在の金融危機に対するバーナンキ議長のアプローチは、学者時代に培われたものだと語る。2000年に出版した大恐慌についての考察を記した著書では、序文に「大恐慌を理解することが、マクロ経済の究極の目標だ」と記している。

 バーナンキ議長は4月2日の議会証言で、「経済を安定的に成長させるためにわれわれは行動する」と断言した。そして議長の意図は、FRBの権限を最大限に引き出すことだ。

●(副島隆彦注記。米の新規国債の応札倍率がたったの1.77倍 というのは相当に苦境であろう。それでも、なんかと順当な値段がついて、買い手たちが見つかってよかった、ということだろう。

 この500兆円(5兆円)規模の一ヶ月ものの短期の国債を、どんどん連続的に発行して、買い手の民間銀行たち相手に、どんどん有利な条件で(すなわち、足元を見られながら)資金を調達している姿が、アメリカの金融危機を、実感させる。注記終わり)

「米FRBの500億ドルのターム物入札は落札金利2.870%、応札倍率1.77倍」

2008年 04月 22日 ロイター

 米連邦準備理事会(FRB)は、21日に実施した500億ドルのターム物資金入札(TAF、期間28日)の落札金利が2.870%になったと発表した。応札額は882億8800万ドル。応札倍率は1.77倍。応札金融機関は83社。 最低応札金利は2.05%に設定されていた。

●(副島隆彦注記。「危機は脱した」と、こういうことを言うのが、この人の立場なのだろう。本当は、そうではない。今からどうせ リーマンも潰れるのだ。副島隆彦注記終わり)

「米リーマン会長「最悪期は過ぎた」 連銀融資全額返済を表明 」
日経新聞 2008年4月16日  ニューヨーク、松浦肇

 米大手証券リーマン・ブラザーズのリチャード・ファルド会長兼最高経営責任者(CEO)は15日に開催した年次株主総会で、ニューヨーク連銀が新設した証券会社向け直接融資を全額返済したと明らかにした。「米国経済が元に戻るのにはしばらくかかるが、当社の最悪期は去った」と強調した。

 同会長は、LBO(借り入れで資金量を増やした買収)向け融資を減らすなどの今後の財務戦略を紹介。「リスク管理を考えると夜も眠れない」としつつも、「自己資本は十分にある」と強調した。現在350億ドルの手元流動性を抱えているという。


● FRB当局者、米経済は極めて軟調との見方示す

2008年 4月16日アラメダ、米カリフォルニア州、ロイター

 米連邦準備理事会(FRB)当局者2人は16日、米経済について、リセッション(景気後退)かどうかにかかわらず、極めて軟調だとの見解を示した。一方で、インフレが懸念材料だとした。

 米サンフランシスコ地区連銀のイエレン総裁は会合で、米経済見通しは「非常に不透明」で、よくても鈍い成長になるとの見方を示し、「米経済はほぼ失速しており、2008年上期には縮小する可能性がある」と述べた。その後記者団に「リセッションの可能性を排除しない」と語った。

 米フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁は講演で、リセッションと呼ぶかどうかにかかわらず、経済は十分悪いと感じられるほど減速したと述べた。同総裁は講演後、記者団に、成長見通しは弱く、成長鈍化は雇用から生産に及ぶすべてに影響を与えると語った。

 また、FRBがこの日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)では、経済状況が全米の大部分で悪化し、同時に食品・燃料・原材料の物価が上昇していることが指摘された。同報告では、ボストン地区が小売業者にとって「リセッションが12月に始まったようだ」と述べ、ここ数年で初めて「リセッション」の表現が使われた。

 FRBのミシュキン理事は、金融市場の混乱が続くなか、小規模な企業の資金調達は、今後一層困難でコストがかかるものになるとの見方を示した。プロッサー総裁とイエレン総裁はそれぞれ、インフレへの懸念をあらためて示した。ミシュキン理事は、必要なら金利を引き下げる余地があるとの見方を示した。

 同理事は「明らかに、金利水準をゼロ以下にすることはできない。ただ現在の金利は2.25%で、必要であればそれを引き下げる余地はある」とした。一方、プロッサー総裁は「インフレは懸念材料だ。かなり前からそう言い続けてきた」と述べた。

 イエレン総裁は、景気低迷が今後のインフレ上昇にブレーキをかける役目を果たすとしたうえで、消費者物価指数(CPI)のコア指数は今後数年で前年比2%の水準に低下するとの見方を示した。ただ、「インフレは問題だ」とし、FRBは現在の緩和サイクルにおいて必要以上に金利を引き下げないよう注意すべきだと述べた。

● (副島隆彦注記始め。時価会計の放棄が、アメリカ国内で始まった。恥も外聞もない馬鹿野郎たちの所業だ。この記念碑的な記事は、何度でも貼り付ける。『恐慌前夜』の中にも当然入れた。私の怨(うら)みも籠る。 副島隆彦注記おわり)

「SECからの手紙 」

2008年4月17日 日本経済新聞

 米国の全上場企業の最高財務責任者(CFO)たちに米証券取引委員会(SEC)から手紙が届いた。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が深刻になるなか、盛られていたのは実質的な時価評価の後退だった。

 手紙が取り上げているのは米財務会計基準審議会(FASB)が二〇〇七年十一月に導入した新会計基準「FAS157」。企業がこれに基づくSEC提出書類(フォーム10-K)を作る際の考え方を示している。 FAS157は有価証券を性質に応じて三つに分類。

流動性が高く時価が測れる レベル1、
参照できる指標がある レベル2、
取引が薄く時価がない レベル3

だ。手紙は「広範な有価証券をレベル3に分類できる」 としている。 本来レベル2に入るものでも今は市場がゆがんでいるとの解釈だ。そのうえでレベル3について、どういう方法で評価したかのモデルを開示するように求めている。

 例えばサブプライムローンを組み込んだ証券化商品などレベル2の参照価格は、トリプルA格でもとの価格の五〇%程度。それをレベル3と見なし、開示モデルによる評価を公正価格(フェアバリュー)として構わないというわけだ。開示モデルさえしっかりしていれば七〇%と評価することも可能になる。

 これによって金融機関のサブプライム関連損失の抑制効果が見込める。レベル2には債務担保証券(CDO)やLBO(借り入れで資金量を増やした買収)融資などかなりの資産が入る。一部の会計士はレベル2を市場の参照価格を使って厳格評価する姿勢だった。

 その場合、債務超過に陥る金融機関が出て、連鎖破綻が起きかねなかった。SECは会計士へのけん制も狙ったもようだ。


● 「新会計基準で「損失」が「利益」に 」

2008年5月19日 ダウ・ジョーンズ、ウォール・ストリート・ジャーナル

 米住宅ローン保証会社ラディアン・グループにとって1-3月期は同業他社と同様に厳しかった。だが驚くことに、同四半期決算では純利益が72%増の1億9500万ドルとなった。これは投資家にとって大きな警鐘を含んでいる。ラディアンが黒字だったのは、同社の厳しい財務状態のため、負債の一部に起因する特別損益が約20億ドル上向いたためだった。

 この利益は、時価会計を含む新たな会計基準の副産物で、議論を呼んでいる。この副産物の効果がなければ、ラディアンは約2億1500万ドルの赤字になっていた。会計基準の基本の1つは、負債の価値の縮小が通常、利益を押し上げる要因となる特別利益につながることだ。

 新たな基準では、企業がある負債の市場価値を加味する場合、財務の健全性について市場からどのように見られるかを考慮しなければならない。ある企業の財務状態が脆弱(ぜいじゃく)な場合、負債の価値の縮小につながる可能性がある。

 ラディアンは誤ったことをしたわけではない。適切に新基準を適用し、その影響を明確に示した。同社以外は、これほど正直に決算に反映させてはいないかもしれない。つまり、信用収縮が続いているうちは、投資家はより一層、洞察力を働かせる必要がある。皮肉なのは、新基準が義務づけている通りにある資産を値洗いすることによって、企業の財務が弱くなるほど見た目の数字が強くなることだ。

 米労働総同盟産別会議(AFL-CIO)の副法律顧問で長年時価会計に批判的なデイモン・シルバーズ氏は「新基準の最も奇妙な点は、私が破産しそうだと仮定すると、市場が判断する私の信用度が低下するにつれて私の利益が押し上げられるということだ」と指摘した。

 こうしたねじれ現象がもう1つある。ラディアンの財務状態が良好だという見方が今後数四半期に強まった場合、同社は今回計上した特別利益を返還する可能性がある。つまり、一部の資産について評価損を計上することになる可能性がある。

 ラディアンのロバート・クイント最高財務責任者(CFO)は、時価会計の全般的な概念には異論がないものの、同社が今回計上した特別利益のような点については「問題を引き起こす可能性がある」との考えを示した。「投資家にとって、数字の裏で何が起きているかを正確に理解することがますます困難になる」と指摘している。

 大手の銀行や証券会社を中心に、ほかの企業でもここ数カ月、負債の評価額の縮小によって同様の利益が発生しており、これは負債の減少や利益の増加につながる。だがこうした影響は、ラディアンやその他の金融保証会社でより顕著だ。少なくともデリバティブ(金融派生商品)を含む場合、中核事業である保証業務からこうした利益が発生しているためだ。ラディアンなどでこうした利益が大きく膨らんだのは、新基準の初めての適用でほぼ全額を調整することになったためだ。

 ある企業が債券を保有し、この債券のデフォルト(債務不履行)に備えた保険の目的で、ある金融保証会社からクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプロテクション(保護)を購入したと仮定する。債券価格が10%下落した場合、CDSの価値は上昇し、その上昇率は同じ変化率の10%になるかもしれない。この債券はリスクが高くなったと判断され、その債券の保険の価値も上昇する。

 従来、債券保有者は、債券価格の下落と保険の価値の上昇を相殺したものを計上していた。だが新基準では、時価を反映させるために、企業は債券を今売ると幾らで売れるかも考慮しなければならない。

 CDSを設定した金融保証会社の財務状態を市場が疑問視すれば、そのCDSの価値の上昇は10%に満たない可能性がある。保証対象の債券のリスクが高まれば、その債券を保証した会社のリスクも高まる。

 プロテクションを売っても利益は5%にとどまるかもしれない。この場合、債券価格の下落とCDSの価値の上昇は完全には相殺されず、債券保有者は5%の損失を計上することになる。

 CDSを設定した金融保証会社にとっては逆方向に作用する。ラディアンが保証した債券の価値が低下すれば、CDSの価値すなわち負債が増加し、特別費用として計上することになる。新基準では、CDSの価値を変動させる要因が保証対象の債券だけであるとの前提がなくなる。金融保証会社自身の信用度や、それがCDSのプロテクションを売る場合の金額にどのように影響するかを考慮する必要がある。

 ラディアンが保証した数十億ドル相当の住宅ローン債権の価値が低下したため、1-3月期に市場が認識したラディアンの信用度は急落した。同社の信用度が疑問視されたことで、同社が設定したCDSの価値も下落した。同社が保証した債券の価値がしばらくの間下落し続けたため、その間にCDSの価値は上昇し、過去数四半期にわたって特別費用を発生させていたことになる。

 1-3月期にはその大部分が返還された。このため損失が利益に変わった。理論上、新たな会計基準には説得力がある。だが新基準を採用しても、投資家にとって、現実の世界は思い通りにならないという事実は変わらない。


(ここから下には、もう何もない。ここから上は、2008年4月からの文だ。副島隆彦注記)


● (以下の森永ミルクの文は、非常によく分かる。私も同感だ。 副島隆彦注記)

第116回 「「日本は没落した」はハゲタカの言葉」
経済アナリスト 森永 卓郎氏 2008年1月21日

 日本株の下落が止まらない。1月18日の日経平均株価の終値は1万3861円29銭。前日比77円84銭(0.56%)高となったとはいえ、昨年末に比べると1446円も下げてしまった。21日はさらに落ち、午前終値は1万3395円28銭である。

 株下落の原因は、米国の失業率が予想以上となり景気後退懸念があること。そして、サブプライムローン問題が米国の金融機関に予想以上の赤字をもたらしたことが挙げられる。さらに、そのなかで円高が進行しているために、日本にとってダブルパンチとなったわけだ。このままでは日本経済はダメになるという連想が働いたのは、確かに間違いではない。

 しかし、納得できないこともある。本家の米国のダウが、この間に8.8%の下落率であったのに対して、日本株はそれを上回る10%以上の下落率となっていることだ。

 まさに日本経済への悲観が極まった形といえよう。現に、メディアに登場する評論家たちは口を揃えて「日本は没落した」「日本に未来はない」という。だが、それは本当なのだろうか。
 結論から言えば、いま株式市場で起こっている事態はオーバーシュート、つまり、相場が行き過ぎた展開であるとわたしは見ている。数字を一つ一つ検討していけば、現在が異常な状態であることが理解できるだろう。異常な状態は、いつか必ず正常な状態に戻ることは疑いがない。

 日本経済が没落していると言う評論家たちは、表層的な現象だけを見て言っているに過ぎない。さもなければ、何か魂胆があってそう言っているではないかと、わたしには思えるのだ。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝
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