「83」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(18) 2008年2月の分の記事で集めたものを載せます。 2008.9.10

副島隆彦です。 「サブプライム危機から世界恐慌へ」の18番目として、2008年の2月に起きていた金融事件の報道記事をまとめて載せます。  副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●「米シティがまた配当を引き下げも、追加評価損の可能性で-調査会社」

Citigroup May Have to Reduce Dividend Again, CreditSights Says

2008年2月26日 ブルームバーグ

 調査会社クレジットサイツによると、米銀大手シティグループは、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連で360億ドル(約3兆8600億円)の評価損を計上する可能性があるなかで、一段の配当引き下げを迫られる可能性がある。

 クレジットサイツのアナリスト、デービッド・ヘンドラー氏(ニューヨーク在勤)は25日付の顧客向けリポートで、「追加評価損のリスクは、配当の一段の引き下げや無配になりやすい状況が続いていることを示すものだ」と指摘した。

 シティは2007年10-12月(第4四半期)決算で純損失が98億ドルと、創業196年の歴史で最大の赤字となった。サブプライム関連の債務担保証券(CDO)の評価額も200億ドル引き下げた。チャールズ・プリンス氏から最高経営責任者(CEO)職を引き継いだ

 ビクラム・パンディットCEOの下で、シティは1月に配当を41%引き下げた。ヘンドラー氏によると、パンディットCEOは資本増強に向けて資産売却を余儀なくされる可能性がある。 シティはすでに、シンガポールやクウェート政府傘下のファンドなどから 220億ドルを調達している。ただリポートによると、こうした取り組みは 「不十分であることが判明する可能性があり」、同行の「部分的または全体的な分割」もあり得る。 ヘンドラー氏は、シティの08年1-3月(第1四半期)の1株利益が75 セントになるとの見通しを維持している。


●「シティの「TOB」、次の震源地に?」

2008年2月25日 日経ヴェリタス 編集委員 小平龍四郎

 25日の東京株式市場で話題を集めたのは、米国で近く発表されそうな米金融保証専門会社(モノライン)大手、アムバック・ファイナンシャル・グループの救済策。先週末の米国市場でメディアが伝えたところによると、米欧の銀行団が総額で約30億ドルの資本を入れる。報道をきっかけに先週末の米株式市場では買い戻しが進み、日本の株式市場が良い雰囲気を引き継いだ。

 救済団の中心になるとみられるのが、米シティグループとスイスのUBS。最近まで自社の資本増強に走り回っていた銀行が、今度は救う側だ。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の潮目が変わるのか。それとも、米クレジット市場の崩壊を防ぐための苦肉の策か。「30億ドルでは応急処置の域を出ない。その3倍くらいの規模なら話は別だが…」。ピムコ・ジャパンのクレジットアナリスト、小関広洋氏は冷めた見方をしていた。

 救済は弱者が弱者を救う構図だ。サブプライム問題が表面化する前の2007年初めに88ドルあったアムバックの株価は、今は10ドルそこそこ。救う側のシティとUBSも似たようなもので、昨年初めに比べそれぞれ54%、44%も安くなっている。同じ期間のS&P500「金融」の下落率は26%だから、サブプライム問題に等しく揺れ続ける金融業界のなかでも、両銀行は負け組に属すると言ってよいだろう。

 米国の証券化商品と地方債を保証するインフラ役のモノライン。その信用崩壊劇の主役の1人であるアムバックの救済は地方債市場の動揺を鎮めるだけでなく、銀行が自らを救う企てでもある。

 「新たな震源? TOBって何?」。JPモルガン証券のクレジット調査部長、中空麻奈氏は最近、こんな表題のリポートを出した。ここで言うTOBとは、もちろん「株式公開買い付け」ではない。「テンダー・オプション・ボンド」の略で、銀行などの簿外にある特別目的会社(SPC)が米国の短期地方債に投資するために発行する債券だ。投資家の求めに応じてSPCが額面で買い取る条件(テンダー・オプション)がついている。

 シティが米証券取引委員会(SEC)に提出した2007年の財務資料によると、TOBを発行している基金の総資産は12月末に502億ドル。昨年後半に連結する・しないで大騒ぎになったSIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)資産が580億ドルだから、それにほぼ匹敵する残高だ。シティは500億ドルのうち280億ドルは「非連結」とし、残り220億ドルは「一般的には連結だが非連結の場合もある」などと、あいまいな説明をしている。

 米地方債市場の混乱が続けば、TOBの買い取り請求が増えSPCの資金繰りが悪化。資金援助や銀行本体への連結を迫られ、それが再び株価底割れの引き金を引きかねない。

 なじみのない仕組みが次々に登場するサブプライム問題。TOBのように市場からの資金調達によって地方債に投資する仕組みはほかにもある。JPモルガン証券の調べでは1兆ドル強の米短期地方債のうち、TOBなどの「仕組み投資」で購入されている割合は約9割に達する。その仕組みを仕切っているのは多くの場合、銀行だ。

 地方債市場の正常化はTOBという「新たな震源」の封じ込めにつながる。しかし、弱者が弱者を支える構図に変わりはない。「アムバック救済」で銀行株を本格的に買い進むのは無理がある。

 「強欲と恐怖」と題するリポートで有名な香港系大手証券CLSAの株式ストラテジスト、クリストファー・ウッド氏は25日午後、セミナーのため東京にいた。「株式市場がアムバック救済の報道に反応しているが」。こう話題を向けると皮肉っぽく笑い、「本当に発表するのかねえ…」と言い残して会場のホテルを去った。弱者が弱者を救う構図が、苦し紛れにしか見えないと言わんばかりだった。

●「逆張りファンド」に賞味期限、サブプライム後にらむ 」

「日経ヴェリタス誌 ニューヨーク 伴百江 2008/2/15

 米国のヘッジファンド業界で昨年最も関心を集めた商品のひとつに「サブプライム逆張り投資ファンド」がある。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連の証券化商品をカラ売りして「値下がり益」を得る投資手法を取り入れたファンドだ。サブプライム危機が深刻になればなるほどもうかる仕組みで、巨額の運用収益を上げたファンドも少なくない。ところが、こうした逆張り派の一部が、早くもサブプライム後をにらんで動き出しているという。

 「ポールソン・クレジット・オポチュニティーズ2」ファンド。ヘッジファンド運用会社(本社ニューヨーク)のポールソン・アンド・カンパニーが昨年1月に新規設定したこのファンドは「逆張りファンド」の代表格。米ヘッジファンド業界雑誌「アブソルート・リターン」の07年に最も成功したファンドにも選ばれた。

 運用開始時に1億3000万ドルだった運用資産は年末に24倍の32億ドルに膨らんだ。1年間の総収益率(証券の値上がり益と金利の合計を元本で割った比率)は実に350%。運用収益の拡大につれて投資家の資金が殺到した。

 「サブプライム逆張りといっても、言うはやすく行うは難し」――。あるヘッジファンド運用会社のトレーダーは言う。少なくとも2年ほど前まで、ポールソン社が設定したような逆張り投資は存在しなかった。住宅物件や住宅ローン債権をカラ売りする市場はあり得ず、住宅ローン担保証券(RMBS)を株式のように空売りすることも難しい。カントリーワイド・ファイナンシャルなど住宅ローン会社の株式をカラ売りするくらいしか逆張り投資の手段はなかった。

 金融テクノロジーが「サブプライム逆張り投資」を可能にした。06年に米金融情報サービス会社マークイット・グループがサブプライムRMBSの指数であるABX指数を開発。同指数が店頭市場で取引されるようになり、株式と同じように複数のサブプライムRMBSをバスケット売買できるようになり、この指数のカラ売りを通じて、サブプライム関連証券の逆張り投資ができるようになった。同時に経営の悪化した企業の社債投資の際に一種の保険として開発されたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が普及。住宅ローン会社のCDSに投資して逆張り投資する道も開けた。

 資産担保証券投資専門のヘッジファンド、MKPキャピタル・マネジメント。同社はポールソンと並んでサブプライム危機を投資の好機に転換した数少ない運用会社の1つだ。運用する5本のファンドのうち、昨年年間の総収益率は最大で40%を確保した。

 「米住宅市場の異変を最初に感じ取ったのは05年終わりのこと」。MKPのプリンシパル、アンソニー・レンブキ氏は、住宅価格の上昇ペースが鈍り始め中古住宅販売が突然減速したのをきっかけに住宅市場の先行きに懸念を抱き始めたという。06年に入って売れ残り住宅在庫が急激に増えるにつれ、住宅価格が下落して1番痛手を被るのはサブプライムローンの借り手だと認識。06年半ばあたりからモーゲージ会社のCDSへの投資やABX指数の空売りを始めたという。

 レンブキ氏は、“モーゲージ証券の産みの親”と呼ばれるルイス・ラニエリ氏が80年代に活躍した旧ソロモン・ブラザーズの住宅ローン担保証券事業部門出身だ。このモーゲージのプロは「住宅ローン価格が底をつけるのは早くて09年。ローンのデフォルト(債務不履行)とそれらのローンからの損失はあと3年超は高水準が続く」と悲観的だ。

 そのレンブキ氏が予想外の言葉をつぶやいた。サブプライムRMBSの中にはかなり価格が下落したものもあり「そろそろ買い時だ」というのである。サブプライム逆張り派による住宅ローン市場の見通しはサブプライム証券市場の行方を占う上で重要なサインになる。ただ弱気見通しが長引けばサブプライム逆張り投資もしばらく続くと思うのは素人判断のようだ。同氏は「サブプライム証券の空売りで儲けられる余地はもう限られてきた」と指摘する。

 ABX指数の値動きをみてみよう。06年前半に組成されたサブプライム住宅ローン(格付けトリプルB)で構成するABX指数は直近で16前後。06年7月には100まで上昇したことを踏まえれば、まさに「サブプライム証券の価値は劇的に下がった」(レンブキ氏)といえる。

 レンブキ氏の側近に聞くと、逆張り派が次に注目しているのはディストレスト(デフォルトや経営悪化などで価格が急落した証券)投資だという。倒産した企業の社債や値下りしたサブプライム関連の一部証券などが対象で、いわば底値買いの順張り投資といえる。MKP以外にも「同商品に目を付け始めたヘッジファンドが何社か出てきている」という。

 市場のゆがみをいち早く察し、誰よりも早く潜在成長力のある投資先をみつけるのが役割のヘッジファンドは「逆張り投資」の賞味期限をかぎ取って、すでにポスト・サブプライムに照準を定め始めたようだ。


●「証券 2月15日暴落危機 ヘッジファンド集中売り懸念」

http://www.zakzak.co.jp/top/2008_02/t2008021429_all.html

産経新聞 2008年2月14日

 日経平均株価は14日、前日比558円高と急伸して取引を終えたが、市場では「2月15日暴落」への警戒感が高まっている。 巨額の資金を運用しているヘッジファンドの解約に伴う大規模な手じまい売りが、同日の相場を押し下げるという懸念が広がっているためだ。

 こうした売りは最近、3カ月ごとにみられ、昨年8月と11月の中旬に起きた暴落の際も引き金になったとされる。同じことがまた起きるのか-。 暴落不安の背景にあるのは、年金資金などの機関投資家や富裕層から資金を募って運用するヘッジファンドの「45日ルール」だ。

 大半のヘッジファンドは、解約できるタイミングを四半期末に限定。資金を出している投資家は解約する場合、各四半期末の45日前までにヘッジファンドに通告する必要がある。 通告を受けたヘッジファンドは保有していた銘柄を処分して清算する。「買った株の値下がりで損失が出ているヘッジファンドほど、解約される確率が高い。このため保有株を市場で売却する動きが強まる」とは外資系証券エコノミスト。 ヘッジファンドの解約が増えれば増えるほど、株の売り圧力も強まることになる。

 3カ月ごとにやってくる解約時期が次に来るのは3月末。 通告期限はその45日前の「2月15日」ということになる。 四半期ごとの解約や、45日前の通告というヘッジファンドのルールは今に始まったことではないが、株式市場で特に注目を集めるようになったのが、サブプライム(低所得者向け)住宅ローン問題が表面化し、巨額損失を抱えるヘッジファンドが続出した昨夏以降だ。

 昨年9月末の解約時期の通告期限だったのが8月16日。この日の日経平均株価は327円安となり、翌17日には874円安と昨年最大の下げ幅を記録した。 続く12月末の解約時期の45日前にあたる11月16日は241円安。その後も株価は軟調に推移し、同月22日にはこの年の取引時間中の最安値(1万4669円85銭)を付けた。ともに解約時期の45日前近辺で急落が起きているのだ。

 3カ月ごとにやってくる危機の局面だが、市場関係者は「特に日本の投資家にとって要注意なのが、3月末の解約のタイミングだ」と警告する。その45日前の2月15日あたりが要警戒というわけだ。この日は金曜日のため、来週明けまで警戒が必要になりそうだ。

「3月末に決算期を迎えるのが日本の特色。このため、日本の投資家が出資しているヘッジファンドでもこの時期に解約が集中するとみられる。日本の投資家が出資するファンドには、日本株を運用対象としているファンドも少なくないため、日本株への影響も小さくない」(前出の市場関係者)という。

● 「米住宅バブル崩壊の行方」

2008年2月12日 ビジネスウィーク誌

 米エール大学の金融経済学者ロバート・J・シラー教授は、以前から住宅価格は値下がりすると主張してきた。1925年から1932年まで続いた住宅価格の下落では、それが銀行の体力を弱め、1929年に米国で始まる大恐慌につながったと同教授は指摘する。
住宅を担保にした借金が家計を圧迫し、消費が冷え込む

 住宅ブームの頃の米国人にとって、「持ち家はATMの代わり」とよく言われたものだが、実際その通りだった。多くの人が、キャッシュアウト・リファイナンスやホームエクイティローンといった自宅を担保とするローンを使い、持ち家という資産からキャッシュを作ってきたのだ。今のところ、こうしたエクイティ(自宅の純資産額)からの換金額は、2007年第3四半期も年換算で7000億ドルと驚くほど高い水準だ。

 しかし、住宅価格が下がり続ければ、換金額も減少し、景気悪化に拍車がかかるだろう。BusinessWeek誌の依頼により米不動産専門ウェブサイト、ジロウ・ドット・コムが行った分析では、全国で住宅価格が20%下がった場合、昨年家を購入した人の3分の2が自宅の資産価値以上の借金を背負うことになる。これではエクイティを担保にカネは引き出せない。


● 2008年2月12日 ブルームバーグ

  米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT、オンライン版)は12日、複数の投資顧問会社の話として、ヘッジファンドの破たんが今年、過去最高に達する可能性が あると報じた。実績のない新規ファンドの増加や金融市場のボラティリティ(変動性)拡大を理由に挙げている。

 同紙がSYZを引用して伝えたところでは、ヘッジファンドの1つセールフィッシュ・キャピタル・ パートナーズが先週清算を開始するなか、デービッド・スレーガー、ティモシー・バラケット両氏が運用するアティカス・ヨーロピアン・ファンドは13%余り下落。またリー・エンズリー氏が運用するマーベリック・キャピタルは1月25日までで9%下落した。

 同紙によれば、ヘッジファンドが取った戦略で、今年利益につながったものはほとんどない。 また、株式主体のヘッジファンドは1月、平均で4.1%下落と、 2000年11月以降で最悪の成績になった。

 新規ファンドのパフォーマンスはこれまでのところ低調だという。オルタナティブ投資データベース、バークレー・グループのソル・ワクスマン社長は、1月1日にスタートしたゴールドマン・ サックス・インベストメント・パートナーズが同月6%下落したのをはじめ、1月に運用成績を発表した 1241 のヘッジファンドのうち75%がマイナスとなったと話した。

● 「世界市場、“再連動”に大揺れ― 米国の緊急利下げが効かない理由」

2008年2月12日 日経ビジネス 評論記事

 1月半ば、世界の株式市場が再び大揺れした。米国の緊急利下げという異例の対応にも、市場はほとんど反応しない。投資家を怯えさせるのは、「世界経済はやはり連動している」という事実だ。

 世界の株式市場にとって、今年はめでたい新年どころではなかった。米国株は1月としては過去1世紀以上なかった下げを記録。世界的な株安の引き金を引くとともに、米連邦準備理事会(FRB)による0.75%の緊急利下げという極めて異例な対応を招いた(=この記事が出た後、FRBは0.5%の追加利下げをした。)

 1月24日に仏ソシエテ・ジェネラルが歴史的な巨額損失を発表しても、市場はもう驚くことさえできなかった。今回の株安は単なる周期的な市場サイクルの変化ではない可能性がある。実際、この10年で形作られてきた資本市場の構造や、2000年のインターネットバブル崩壊以降、世界の金融当局が取ってきた政策そのものへの疑念が広がっている。

 「我々は過去に犯した過ちの代償を払わねばならない」。世界経済フォーラムの創設者クラウス・シュワブ氏は、年次総会(ダボス会議)でこう語った。また、著名投資家のジョージ・ソロス氏曰く、「これはただの危機ではなく、1つの時代の終焉だ」。傷んだ金融機関が資本注入を受ける間にも、そこで働くアナリストらは現状を過去の長い弱気相場や景気後退期と比較するリポートを出し始めた。

米国の景況悪化と信用収縮

 1月半ばの株価急落には直接的な引き金が2つあった。1つは、米国の経済統計が悪化し、米国が景気後退に陥るとの見方が強まったこと。もう1つは、2007年第4四半期の決算発表が始まり、ウォール街の楽観的な予想が実現不能であることが見えてきたことだ。

 収益見通しの急転はすさまじい。第4四半期が始まった時、ウォール街のアナリストは米企業の利益が年率換算で11%以上の伸びを示すと予想していた。信用収縮の悪影響は第3四半期にほぼ出尽くしたと見ていたのだ。

 それが1月初旬には9.4%の減益予想に転じ、3週間後、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)500株価指数の構成企業の予想減益率は19%に拡大していた。「9.11」のテロ直後の2001年第4四半期以来の減益幅である。経済と企業収益に関するこれほどの悪材料が株安を招くのは無理ないが、それより懸念されるのは、急激な株安を受け、根本的な仮説の見直しが起きていることだろう。

 問題の1つは、「デカップリング(非連動)」理論を巡る懸念だ。大きくなった新興市場は内部成長の源を見つけたというこの考えに従えば、これらの国は米国の景気後退の影響を回避できるうえ、欧米企業が受ける打撃も和らげる。過去数カ月、デカップリングに対する信念が世界の株式市場の心理を支え、信用収縮の影響を相殺してきた。だが、この数週間で、その信念が崩れてしまった。

 投資家がデカップリングを重視する姿勢にかねて違和感を覚えていたというある米政府高官は、「今、米経済を襲う問題がグローバルであることが明白になった。石油は世界的な問題だし、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)は世界中に売られた。住宅市場の減速は米経済全体に大きな影響を与える」と言う。

 1月半ばに株価暴落を招くような大ニュースがあったわけではない。だが、市場心理が変わると、投資家は“言い訳”を見つける。多くの投資家は米経済の悪化を見て、自分たちがどれだけデカップリングに賭けているか思い知らされたのだ。

 デカップリングへの賭けが際立つようになったのは、FRBが利下げに動いた昨年8月以降だ。利下げを受け、米経済は減速するが、流動性の拡大で新興市場の成長は一層高まるという見方が広がった。実際、米国の利下げから数週間で、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の株式市場は50%以上急騰した。その間、S&P500の上昇率は11%にとどまっている。

 MSCI世界株指数*2が昨年10月末に天井をつけて以降、MSCI・BRIC指数は22%下落した。これは下げ幅が14%足らずのS&P500よりきつい下げで、市場は「リカップリング(再連動)」のショックに見舞われた。米国経済の問題は米国そのものよりも他国に大きな影響を及ぼしたのだ。もう1つの仮説も見直しが進んでいる。信用危機の影響である。

 当初、信用収縮の影響を甘く見すぎた株式投資家は、その2次的効果が1998年の米ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)破綻や80年代後半から90年代初頭にかけてのS&L(貯蓄金融機関)危機を上回ることを想定し始めた。今回は特に著しい低金利が続いたうえ、不良債権が世界の金融システムに広がっているためだ。金融機関は信用供与を絞り、「好況を支えた信用の動脈流が細り始めた」とUBSのジョージ・マグナス氏は言う。


●「世界の原油業界関係者、米国経済の健全性に対する懸念を表明」

2008年 02月 12日 ヒューストン、 ロイター

 12日に当地で開かれたCERAウィーク・エナジー・コンファレンスで、世界の原油業界関係者から、米経済の健全性に対する懸念を表明する声が相次いだ。業界関係者は、米経済の弱さが他のセクターに波及し、世界のエネルギー需要を損ないかねない兆しを注視している。

 サウジアラビアのサウジアラムコの最高経営責任者(CEO)、アブドラ・ジュマ氏は基調演説で「サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の影響が世界の市場に広がり、世界の経済成長をリスクにさらし、原油市場全般、特に原油需要に不透明感をもたらしている」と語った。

 ノルウェーのスタトイハイドロのCEO、ヘルジ・ランド氏もジュマ氏と同様の懸念を示し、「不透明感はこれまでよりも深まっている」と述べた。ハーバード大学の公共政策および経済学教授のケネス・ロゴフ氏は、米経済は世界経済の25%を占めると指摘した上で「米経済が緩やかにスローダウンすれば、他国がその影響から逃れることは困難になる」と述べ、米経済はすでに緩やかなリセッション(景気後退)に突入しているとの見方を示した。

 米国の原油生産・精製会社ヘスのジョン・ヘスCEOも、景気減速により米東部沿岸地域にある同社のコンビニエンスストアの販売が落ち込んでいるほか、精製マージンも低下していることを明らかにした。

 

●「米地方債の金利が急上昇-入札で十分な需要なし、銀行が支援せず」
Auction-Bond Failures Roil Muni Market, Pushing Rates to 20%

2008年2月13日 ブルームバーグ

 米国では定期的な入札を通じ金利が決まる地方債が最近、十分な買い手を集められない状況となっている。ゴールドマン・サックス・グループやシティグループなど入札を仕切る金融機関が、地方債を買い入れないとの見方が背景にある。

 ブルームバーグのデータによれば、ニューヨーク、ニュージャージ両州の港湾局発行の地方債1億ドル(約107億円)の金利は12日、20%に急上昇した。1週間前は4.3%だった。当局者によれば、ニューヨーク州都市交通局なども需要を集めることができなかったという。債務を保証する金融保証会社(モノライン)に対する信頼性の低下に伴い、地方自治体などが発行する債券に対する需要が落ち込んでいる。

 コンサルティング会社のミュニシパル・マーケット・アドバイザーズ(マサチューセッツ州コンコード)のマネジングディレクター、マット・ファビアン氏は、「これは入札で金利を決める債券市場が終わる始まりだ。銀行がこの市場を支えることをやめてしまった」と述べた。十分な買い手がいない場合、地方債の入札は成立せず、債券売却を望む債券保有者は、その債券を持ち続けることになる。

●「米大手金融機関の延滞住宅のローン支援策の骨子 」

2008年2月13日

 米大手金融機関6社と財務省・住宅都市開発省は12日、住宅ローン 滞納者の差し押さえを猶予する新対策を発表した。  米国では住宅ローンを60日以上滞納している人が昨年末時点で170万人いると推定されており、一定の条件を満たせば、多くの滞納者が今回の 救済策の対象となる見通し。 対策の詳細は以下の通り。

 サービサーは、住宅ローンの返済が90日以上延滞している借り手に対し、書簡を通じて今回の対策を説明する。 今回の対策に応じた借り手は、差し押さえ手続きが最大30日間猶予される。この間、金融機関はローンの条件変更を目指す。 差し押さえ手続きを猶予された借り手が、新しい融資条件のもとで 3カ月間返済を行えば、その後もその融資条件が適用される。

 今回の対策は、すべての住宅ローン(プライムローン、サブプライムローン、ホームエクイティ・ライン・オブ・クレジット)が対象となる。投資用不動産、空き家、30日以内の競売実施が決まっている物件は対象外となる。

 今回の対策には、国内モーゲージの推定約50%のサービシングを担当している以下の金融機関6社が支持を表明した。バンク・オブ・アメリカ 、JPモルガン・チェース 、シティグループ 、カントリーワイド・フィナンシャル 、ワシントン・ミューチュアル 、ウェルズ・ファーゴ 。

●2008年2月13日 (水)

 債券市場は8週ぶりに反落。7日の米四半期定例入札にて米30年債入札が過去最低の利回りを示現。 それに伴って海外応札比率が10.7%と前回から3分の1減となったことが嫌気され、売り優勢となった。

 8日にダウ平均が100ドル安に見舞われたが、債券は7日の急落分を取り戻すことができないなど上値の重さが気になる。ただ、米1月既存店売上高の悪化もあって、13日の小売売上高も弱い内容となりそうなこと。さらに米12月卸売在庫の積み上がりで16日の米1月鉱工業生産も鈍化しそうなことから、深押しは回避すると考えたい。

 ダウ平均の落勢が続くようであれば、見直し買いムードが高まることも考えられよう。米10年債利回りは3.5%を割り込み1月23日に開けた窓を埋める場面があっても不思議ではない


●「米投資家バフェット氏、金融保証会社に救済案 」

日経新聞 2008年2月12日

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080212AT2M
1203A12022008.html

 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が「モノライン」と呼ばれる金融保証会社に救済案を提示したことが12日、明らかになった。同氏が率いる投資会社、バークシャー・ハザウェイが最大8000億ドル(約86兆円)まで地方債を再保証するという内容。モノライン各社は信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に絡んで経営が悪化しており、米金融市場の不安定要因となっている。

 米国の地方債は個人を含めて投資家のすそ野が広く、保証をしているモノラインの経営が一段と悪化すると、金融市場の混乱に拍車をかける恐れがあった。バフェット氏が保険契約を使って8000億ドルの再保証を提示したことは、モノラインが保証している地方債の6割程度をカバーすることになり、実現すれば市場が安定化に向かう可能性が高まる。

(巷の意見。 バフェットは、やっぱり賢いよ。 投機が投機を呼び、その保証をモノラインがしていた。そのため、モノラインの行っている保証の中身が無い、可能性が高い。 モノラインの怪しい保証の中身で確実に実態があるのは地方債の価値であり、これは実体と確実にリンクしている。

  バフェットは、今回の地方債の再保証で火中の栗を拾うことで 長期的にみて、絶対的な信用を取りに行った。つまり、10年後にシティ、メリルリンチ、ゴールドマンサックスは、アメリカ国民からほとんど信用されなくなるだろうが、バークシャーハサウエイは、国民、州政府からの 絶対的な信用を得ることになる。やっぱり、バフェットはただ者じゃない。)

( その後。 2008年2月12日 のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で金融保証会社(モノライン)の 米MBIA と アムバック・ファイナンシャル・グループの社債保有リスクが上昇した。

 米投資家ウォーレン・バフェット氏が地方債8000億ドル(約85兆8200億円)相当の再保証を申し出たが、サブプライム(信用力の低い個人向け)ローン関連証券が除外されていることが注目された。 モノラインにとっては福音のはずなのだが、今日もモノライン大きく下げた。モノラインの破綻回避はもはや不可能だろう。

終値 値        (下落率)
MBIA             11.50 -2.08 (-15.32%)
アムバック           8.90 -1.58 (-15.08%)
Security Capital Assurance   1.89 -0.16 (-7.80%)


● 「ニューヨークの不動産王ハリー・マクロー氏にデフォルト通知=WSJ」

2008年 02月 11日 ニューヨーク 、ロイター

 米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版は、ニューヨークの不動産王として知られるハリー・マクロー氏が11日、4件の不動産に関する債務についてデフォルト通知を受けたと伝えた。今後、差し押さえにつながる可能性があるという。

 WSJが複数の関係筋の話として伝えたところによると、貸し手がマクロー氏の債務31億ドルの返済期限延長に応じなかったことを受け、特別サービサー(債権回収業者)がデフォルト通知を送付した。


●「世界的な市場混乱に直面し形骸化が鮮明になったG7、メンバー国チェンジの声も」

2008年 02月 12日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/economicPolicies/idJPnTK
008733820080211

 「ユーロ諸国はユーロの導入後、しばらくは米国に気を使っていたが、その後は米国が何を言っても、真剣に取り合うことは無くなり、基本的に相手にしなくなった」とファースト・インターステート・リミテッド香港のCEO兼チーフ・インベストメント・マネージャーの中山茂氏は分析する。

 「米国の弱体化の中で、節度のない非道徳的(immoral)行動は、特に米金融界でまん延している」と斉藤氏は続ける。 「アメリカは詐欺まがいのビジネスモデルを作り上げて、世界中に押しつけた。 そのモデルが馬脚を現したというのが、サブプライム問題の本質だろう」と中山氏は指摘する。

 「一国の非道徳的行動や金融節度の欠如が引き起こした国際金融市場の混乱に対して、自分はすべき事をしたので、次は他国の出番だと言われても困る、というのが他のG7メンバーの本音だろう」(国際金融筋)という。

 「G7はグローバルな金融市場の実勢からみると、影響力をもつ代表国の集まりとはいえない。欧州代表は4カ国も必要なく、欧州連合に一本化し、後は、米国、日本と有力新興国の中国、インド、ロシアで構成すべきだ。」 とロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのウィレム・ビューター教授は語る。


●「世界的な市場混乱に直面し形骸化が鮮明になったG7、メンバー国チェンジの声も」

2008年 2月 9日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities/idJPnTK
008733820080209

 欧州が米国に距離を置く姿勢は、今回始まったことではない。「ここ10年ほど、G7を自分の都合に合わせて使おうという米国の意図があからさまで、欧州諸国はG7会議に距離を置くようになった。今となっては、ほとんどの国が、真剣に議論して具体的な結論を出すフォーラム だとは思っていないだろう」(国際金融筋)という。

 「ユーロ諸国はユーロの導入後、しばらくは米国に気を使っていたが、その後は米国が何を言っても、真剣に取り合うことは無くなり、基本的に相手にしなくなった」 トリシェECB総裁は、国際金融市場の混乱は、米経済の対外不均衡(米経常収支赤字)に起因するとの見解を明らかにしているが、G7後の会見でトリシェ総裁は「強いドルが米国の国益であるとの米高官らの考えを、興味深く拝聴した」

 とやや皮肉を込めて述べている。累積する巨額の対外赤字を抱える米国が、今後もドル高政策を続けることは不可能なことを、同総裁は十分承知しているはずだ。

 米独の確執は根深い。昨年4月にワシントンで開かれたG7には、ドイツのシュタインブリュック独財務相がアフリカへの家族旅行のために欠席し、5月にドイツのポツダムで開かれたG8財務相会合には、ポールソン米財務長官が多忙のために欠席した。 当時は経済規模でみて、世界のGDPのうちG7諸国のシェアは約7割だったが、現在は5割まで低下した。

 世界の外貨準備における米ドルの比率は2000年末の71.11%から昨年9月末の63.77% まで低下し、ユーロの比率は2000年末の18.30%から同26.43%まで上昇した。 昨年9月末で6兆0371億ドルの世界の外貨準備のうち、先進国が保有する分は1兆4783億ドルで、新興国が保有する分は4兆5589億ドルとなっている。

●「OPEC事務総長、「ドルに代えてユーロが石油取引に用いられることも」」

2008年02月10日    Jam-e Jam紙

  OPEC(石油輸出国機構)の石油取引にドルに代えてユーロをとイランが提案してから数ヶ月、この提案は次第にOPEC加盟国に支持されてきている。石油市場を大きく揺るがした最近の発言でアブドッラー・アルバドリーOPEC事務総長は、OPECは向こう10年のうちにドルに代えてユーロで石油価格を設定しうると発表した。

 バドリー事務総長は経済誌MEED〔Middle East Economic Digest〕のインタビューで次のように述べた。「OPECはドル価下落の悪影響を防ぐため、ユーロを用いることもあり得る。これは出来ないことではないが、確実に時間がかかるだろう。」 世界の国々は西暦2000年の初めから現在まで、ドル価下落によって多くの損失を被ってきたが、このことがユーロの用いられる可能性を高めている。ドル価はここ6年間で世界の主要通貨に対し約44%下落している。

 このような状況において、バドリー事務総長の発言は世界の株式市場でユーロの対ドル相場を引き上げた。 バドリー事務総長は、「ニューヨークやシンガポール、さらにはドバイといった大規模な石油取引市場で円やユーロが用いられるのをあなた方が目の当たりにすることもあり得る」と付け加えた。

 OPEC事務総長は「2つの世界大戦とその後の50年をかけて、ドルが国際取引における基軸通貨となった。 しかし現在、我々はこのユーロというもう一つの強力な通貨の台頭を目の当たりにしている」と指摘した。これはイランの提案に対してOPECが初めて示した真摯な反応とみなすことができる。

 イランで、石油製品取引所が活動を開始します。イランのノウザリー石油相が、石油製品取引所の活動開始について伝えました。 ノウザリー石油相は、13日水曜、「この取引所は、来週の日曜日に正式に活動を開始する予定である」と述べています。さらに、「OPECのようなガス生産国の組織の設立のための協議も継続する」と語っています。

● 「サブプライム問題、国内にも波紋拡大 戦略修正・再編に狂い」

2008年2月19日  産経新聞

 欧米に比べサブプライム問題の影響が軽微とされてきた国内金融機関だが、経営戦略に暗い影も差し始めている。サブプライム関連損失の拡大で業績悪化は避けられず、経営戦略の軌道修正を余儀なくされるところも出てきた。

 あいおい損害保険は18日、サブプライム関連投資で2008年3月期に800億~900億円規模の損失を計上する方向で調整に入った。証券化商品の時価が大幅に下落しているのが要因で、業績の下方修正は避けられない見通した。

 みずほフィナンシャルグループ(FG)は、 傘下のみずほ証券を中心に同関連の証券化商品が値下がりし、08年3月期のみずほFGの関連損失は3950億円に膨らむ見通し。その余波で、やはり傘下の新光証券とみずほ証券の合併も、当初予定の今年1月から5月に延期した。

 このため、みずほFGは、「傘下証券の合併を確実にする」(幹部)ため、みずほ証券に2500億円の追加増資を決めた。

 新生銀行も、同関連損失が昨年9月の198億円から12月末で228億円に拡大。08年3月期の業績予想も下方修正した。公的資金注入行は経営健全化計画の収益目標を3割下回ると、金融庁から行政処分を受ける。新生は前期も「3割ルール」に抵触しており、2期連続未達ならティエリー・ポルテ社長の責任問題に発展する可能性が強く、同行にとっては正念場だ。


● 2008年2月13日  ワシントンポスト紙

  ニューヨーク州知事のスピッツァー氏が、セックス・スキャンダルで辞任せざるを 得なくなったのは、ほぼ1ヶ月前にワシントンポストに載せた投稿のせいだと言われている。典型的な国策捜査で、辞任しなければ、訴追は免れなかった。

 投稿でスピッツァーは略奪的貸付を可能にしたのは、ブッシュ政権が2003年に通貨監査局を通して行った通達にあるとする。その通達によって、各州にあった略奪的貸付を禁止する法律を無効にした。さらに通貨監査局はルールを新しくして州当局による都市銀行から消費者を守ることを出来ないようにした。

 今回のサブプライムローンは、ブッシュ政権、格付け会社、投資銀行が一体になって、住宅購入者や、債券購入者に対して行った犯罪である。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


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