「63」 「サブプライム危機から信用市場危機へ」(5) そして運命の大暴落の日はやってきた。2007年10月25日
副島隆彦です。 2007年10月25日です。 更に続けます。そして、運命の日である2007年8月16日がやってきた。16日に、ニューヨークの株式が暴落する。為替も、ドル暴落の様相を呈した。それを受けて16日の東京の株式は、前日の15日の暴落を受けて、下げ続けた。やはり、この日を歴史的な転換点の日と決めるべきであろう。副島隆彦記


● 副島隆彦の独白。2007年8月15日記。

今日は終戦(本当は敗戦)記念日だ。私は、今、熱海の仕事用の家にひとりいて、
62年前の6月ごろの終戦間際に、熱海で、二人の文学者が出会って
ぼそぼそと、話し込んでいた、ことを急に思い出した。
斉藤茂吉と谷崎潤一郎のふたりである。
 「はやくこの戦争が終わりませんかなあ」と語り合ったという。しみじみと
なつかしい気分に、私自身がおそわれる。今も自分も全くそういう
心境だ。 私は、このふたりの新感覚派でもなく、それよりも文学的な
美意識に徹底的に忠実であった、ふたりの当時からも大物の文学者の
生き方と態度が一番、優れていたのだろうと思う。 茂吉と谷崎のように、
いつの時も、政治や経済の、騒然とした事態から常に超然として、芸術至上
主義で生きた文学者が、徹底したエゴイストではあるけれども、そうである
しかなかったし、また、エゴイストであることは、時局の戦時体制に巻き込まれない
最も優れた生き方であることは、今から判断すれば、最も賢明で、温厚で、
確実に優れた身の処し方であったと判定をつけることができる。

茂吉と谷崎には戦争責任は一切無い。彼らは、終始、保守的な生き方ではあった
が、決して戦争には加担していない。だから、「早く、戦争が終わってくれませんかなあ」というつぶやきが、このふたりのすでに老境の文学者たちに、しっくりとゆく
ものだった。

それに対して、あの聖戦に入れ込んだ、横光利一や太宰治たちは、敗戦の打撃に
耐えられなかった。 彼らは、敗戦後すぐに、思想的に萎えて死んだ。
それよりは、おのれのエゴイズムに徹して、広島の原爆までもが、まるで遠いことであるかのように、「どうも今の政府はいけませんなあ。戦争が早く終わってほしいものです」 と、言いながら、食べ物さえがほとんど枯渇してしまった時代に、それでも美術愛好家のまま、芸術至上主義の生き方貫いた者たちのように、私も今を生きていたい。  副島隆彦記


● 「東証369円安 今年最安値 アジア・欧州も下落」

2007年08月16日 朝日新聞

 15日の東京株式市場は前日の欧米市場の株価下落や円高を受けて全面安の展開となった。日経平均株価の終値は前日比369円00銭安い1万6475円61銭で、3月5日につけた今年最安値(1万6642円25銭)を約5カ月ぶりに更新した。米国の低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)問題の悪影響への不安感は根強く、15日はアジア主要市場の株価指数も大幅に下落し、欧州でも英仏で続落した。

 ニューヨーク株式市場も下落して始まり、大企業で構成するダウ工業株平均は一時、下げ幅が70ドルを超え、約4カ月ぶりに1万3000ドルを割り込んだ。正午(日本時間16日午前1時)現在は、前日終値比22.43ドル安の1万3006.49ドル。米連邦準備制度理事会(FRB)は同日、2日ぶりに資金供給し、70億ドル(約8200億円)を市場に投入した。

 東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)の終値も同43.31ポイント低い1594.15で今年最安値を更新。昨年12月5日以来の1600割れとなった。出来高は20億3000万株だった。東証1部全体の9割の銘柄が値下がりし、日経平均の前日終値に対する下げ幅は一時411円に達した。

 15日の東京外国為替市場の午後5時時点での円相場は、前日の同時点より99銭円高ドル安の1ドル=116円93~95銭で、約4カ月ぶりの円高水準になっている。東京債券市場では債券価格が上昇した。その分利回りは下がり、長期金利(新発10年物国債の流通利回り)の終値は、前日比0.065%幅低い年1.635%とほぼ2カ月半ぶりの水準まで下落した。

● 「投資資金、株から逃避 米、金融・住宅不安の連鎖」

2007年08月16日 朝日新聞

 米国の低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題を震源とする世界株安に歯止めがかからない。米国経済の先行きや金融不安におびえる投資資金が株式市場から逃げ出し、より安全な債券市場などに流れる「質への逃避」に走り始めたからだ。マネーの変調は国内でも、「株高・円安・金利高」から「株安・円高・金利安」への変化を引き起こしている。

 14日のニューヨーク株式市場は、13日まで小幅続落だったダウ工業株平均が200ドル超の大幅下落となった。サブプライムローンがらみの業績悪化懸念が広がり、投資家の不安心理がかきたてられたためだ。米住宅金融会社ソーンバーグ・モーゲージは株主への配当を当初予定より遅らせると発表。同社株は売り浴びせられ、前日終値比47%も急落した。

 同社はサブプライムローンよりも焦げ付きの少ない住宅ローン事業が中心。ただ、同社保有の住宅ローン債権の価値が下がり、銀行が融資などに慎重になったことで、資金繰りに苦労しているとみられている。市場関係者の間で「本業は悪くないのに、信用不安のあおりで経営継続が危うくなっている」と受け止められ、金融株や住宅関連株に売り注文が波及した。

 銀行自身も融資や出資を通じて、サブプライムローンを担保にした証券などに出資する傘下ヘッジファンドの損失をかぶる恐れがあり、株価が大きく下落。市場を先行き不安が覆い、「株価が高いうちに売って利益を確保したい投資家心理が先に立つ」(株式トレーダー)という悪循環で、売りが止まらない状態だ。

 米国の実体経済の先行きに対する懸念も高まっている。住宅価格の上昇は家計の資金源となってきただけに、下落に転じると個人消費への影響は避けられない。14日も大手スーパーなどの業績予想の下方修正があり、個人消費の先行き不安が強まった。雇用者数の伸びにも鈍化の恐れが出るなど雇用情勢にも減速の兆しが見える。

 米経済が変調をきたせば、輸出主導の回復を続ける日本経済も影響は避けられない。大和総研の牧野潤一シニアエコノミストは「米国は世界で唯一、巨額の経常赤字を出して世界の需要を支えている」と話す。米経済の失速は日本企業の輸出鈍化につながり、円高進行とともに業績の重しになりかねない。

● 「NY株、一時1万3千ドル割れ…約4か月ぶり」

2007年8月16日(木) 読売新聞

 【ニューヨーク=山本正実】15日午前のニューヨーク株式市場は、住宅融資焦げ付き問題を背景とした米経済の先行き不透明感から、株価は取引開始直後から下落した。ダウ平均株価(工業株30種)は一時、今年4月以来、約4か月ぶりに1万3000ドルを割り込んだ。

 その後は値を戻す動きもあり、午前10時(日本時間15日午後11時)、前日比8・62ドル高の1万3037・54ドルで取引されている。

● 「NY株急落、207ドル安 景気減速懸念でほぼ全面安」
共同通信社  2007年15日08時33分

 【ニューヨーク14日共同】  14日のニューヨーク株式市場は、信用力の低い借り手を対象にしたサブプライム住宅ローン問題の拡大による米景気の減速懸念から、ほぼ全面安の展開となり、ダウ工業株30種平均は前日比207・61ドル安の1万3028・92ドルで取引を終えた。4月下旬以来、約4カ月ぶりの安値水準。一時、1万3018・27ドルまで下げ、1万3000ドル割れに迫った。

● [東京 15日 ロイター] 2007.8.15
  尾身幸次財務相は15日、閣議後の会見で、米国のサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン) 問題は完全に収まってはいないが、全体として大きなヤマを越えたと
した上で、今後の動向を注意深く見守りたいと語った。

 また、尾身財務相はこの問題についてけさ安倍晋三首相に説明したことを明らかにしたが、首相から特段の指示はなかったという。米サブプライムローン問題の表面化によって信用収縮懸念が広がり、世界の金融市場が不安定な状態になっているが、尾身財務相は、この間、各国の中央銀行が積極的に資金供給を実施したことについて「機敏に対応してくれた」と評価。

 その上で、「(サブプライムローン問題は)完全には収まってはいないが、全体として大きなヤマを越えたとの感じは持っている。ただ、今後とも十分に注意深く見守っていきたい」と語った。同問題が日本の金融システムに与える影響については「日本の金融機関やファンドがサブプライムローン関連の資金を多く供給していた実態はない。日本の金融面における影響は大きくない」と指摘。

● 1998年に、1ドル147円の円安だった。1998年のロシア危機を端緒とするヘッジファンドの手仕舞い売り が起きた。急速な円高が進んだ。そのため、日本経済にデフレ圧力が生じた。それに対処するために、1999年2月にゼロ金利政策が開始した。しかし、デフレ解消する前に政府の反対を無視して 日銀は2000年8月にゼロ金利を解除した。そしてデフレは深刻化したが、日銀は、2001年初めには再度ゼロ金利政策に戻った。そして、2006年7月? にまたしてもデフレ時にゼロ金利解除した。

●「米経済軟着陸への確信で米国債からリスク資産へ還流か=GS証券」
[東京 4日 ロイター] 2006.10.4

 ゴールドマン・サックス証券チーフエコノミストの山川哲史氏は、4日付リポートのなかで、 米景気のソフトランディング(軟着陸)に対する確信の度合いが高まれば、 米国債の長期・超長期セクターに滞留 している大量の投機資金が再びリスク性資産へと還流する可能性があるとの見方を示した。

 同氏は、米国債のロングポジションは、米国景気に対する失速懸念および新興国・コモディティー のロングポジションの巻き戻しが背景にあると指摘。そのうえで、米景気の軟着陸シナリオを前提と すれば、投資家のリスク許容度が回復し、米国債からリスク性資産へと再び資産分散が進む可能性 が高いと予想。有力な資金の還流先として、日本を含むアジア株式とコモディティーを挙げた。

 一方で、リスク・シナリオながらも米国景気がハードランディングに陥る場合は、日本・アジアの景気循環 が米国からかい離するシナリオはもはや有効ではないと指摘。その場
合、投資資金の国債シフトが加速し、 株価が調整する中で、信用スプレッドが急拡大するとの見方を示した。為替市場では、連銀による本格的な 金融緩和を織り込みつつ、ドル/円については依然
ドルロングに傾斜しているポジションが巻き戻されるなか でドル安・円高に弾みがつく見通し。


1928年11月5日
「我々はこれから始まる黄金期にさしかかったばかりである」  アービン・フィッシャー、ブッシュターミナルカンパニー社長

1929年3月5日
「現在の状況において危険性は感じられない。投資家が市場に興味を持ち、熱心であり続ければ、市場は上がり続ける。」   チャールズ・シュワブ、ベツレヘムスティール社長

1929年9月20日
「かなりの投機が米国内でなされているが、全体的には市場は健全な状態にある。」  チャールズ・ミッチェル、ナショナルシティー銀行会長

1929年10月9日
「この国には経済的成長と繁栄に足る充分な理由があり、企業の増益を反映して、株が更に高い価格帯にゆく可能性も充分にある。」   ファイナンシャル・ワールド

1929年10月15日
「多くの一流企業の株は完全に正常なレベルであり、10年前と比べても堅調である。
すべての基礎産業は満足のゆく業績であり、予測し得ない何かが起こらない限りそのままの状態であろう。何人かの人が警告するような何かは察知できない」   チャールズ・ミッチェル、ナショナル・シティー銀行社長

2007年4月13日
 「依然としてリスクは残っているが、世界経済は過去30年以上の間で最も力強い持続的な拡大を遂げており、より均衡が取れる方向へと向かっている」  G7共同声明

2007年5月15日
「世界経済のファンダメンタルズは堅調で、過去数年の力強い成長に支えられている」 IMF ラト専務理事

2007年6月7日
「世界経済は引き続き堅調。世界的不均衡は、長期間かけて拡大してきたものであり、各国が国内の経済政策や構造政策を適切に遂行することで、円滑に調整すべき」  ハイリゲンダムサミット共同声明

2007年7月12日
「世界経済全体が比較的高い成長を安定的に続けており、それとの連関をますます強めながら日本経済も物価安定のもとでの安定的な、緩やかであっても安定的な成長軌道に少しずつよりしっかり乗ってきている、そういうプロセスではないかというふうに思う」  日本銀行総裁 福井俊彦

● 「56%が融資基準を厳格化 サブプライムでFRB調査」
共同通信 2007/08/14

 米連邦準備制度理事会(FRB)が8月 13日に発表した米国の銀行の融資担当者調査によると、信用力の低い借り手を対象にしたサブプライム住宅ローンの融資基準を「厳格化した」との回答が56.3%を占め、焦げ付きの増加で金融機関が新規貸し出しに慎重になった実態が明らかになった。 調査はサブプライム問題の影響がヘッジファンドなどに広がりを見せた7月に実施。

 過去3カ月間にサブプライムの新規融資を扱った16行のうち4行(25.0%)が基準を「大幅に引き締めた」、5行(31.3%)が「やや引き締めた」と回答した。残る7行は「基本的に変えていない」とし、基準を緩めた銀行はなかった。

  サブプライムへの需要は「大幅に弱まった」が2行(12.5%)、「やや弱まった」が5行(31.3%)。残る9行は「ほとんど変わらない」だった。 信用力の高い借り手向けのプライムローンに関しても、手掛けている49行のうち7行(14.3%)が融資基準を「やや引き締めた」と回答。残りは基本的に基準を変えなかった。(共同)

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝
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