「60」「サブプライム危機から信用市場危機へ」の(2) 10月1日のグリーンスパンの重要発言その他、ビル・グロス(ピムコ)発言も。 2007.10.25

<>●「5兆円規模の融資か 英紙報道

2007年10月08日 AFP、ロンドン

 米銀行大手シティグループが、米住宅市場への投資失敗で資金繰りに苦しむ英中堅銀行ノーザン・ロックに数十億ポンド規模の融資を行う模様だ。英各紙が7日、伝えた。

 7日付のサンデー・タイムズ Sunday Times紙と サンデー・テレグラフ Sunday Telegraph紙は、シティグループがノーザン・ロックに対し、50億-100億ポンド(約1兆2000億-2兆4000億円)の貸し付け準備をしていると報じた。

 一方、メール・オン・サン紙は、融資額が最大200億ポンド(約4兆8000億円)に上る可能性があると伝えた。

 住宅金融銀行としては同国5位のノーザン・ロックは前月、中央銀行であるイングランド銀行に対し、109億ポンド(約2兆6000億円)ともされる緊急融資を要請。現在は買収の対象と目されている。(c)AFP


● 「IMF専務理事、信用収縮は国家予算にも波及する」

2007年10月08日 ロンドン AFP発

 国際通貨基金(International Monetary Fund、IMF)のロドリゴ・ラト(Rodrigo Rato)専務理事は8日付の英フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)紙に掲載されたインタビュー記事で、世界的な信用収縮は「深刻な危機」にあり、まだ終結しておらず、各国の国家予算にまで影響を与えるとの見方を示した。

 ラト専務理事は「政治家は、(信用収縮)問題が銀行だけにとどまるとみなすべきではない。問題は国家予算にも波及する模様だ」と注意を促した。市場の資金が通常の水準に戻るのは数か月後、おそらく年が明けてからになる見込みで、経済成長に影響をもたらすという。成長が限定的になることで各国政府は予算の修正を余儀なくされる可能性があるが、これは大半の政府の意図に反するものだと指摘した。

 同専務理事は、米国の低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付き問題を発端とする信用収縮は「ささいなことではない」とし、「米国の景気は後退する見通しで、欧州の成長もこれまでほど堅調とはいかないだろう。日本は現状を維持する可能性があるものの、基本的には同様の傾向とみている」と語った。さらに、信用収縮は急成長を遂げている新興市場にも波及すると指摘。これらの市場の成長幅は、欧米の景気後退がどの程度長引くかに依存するという。(c)AFP


●「住宅市場低迷や信用収縮、米経済への短期的弱さに=FRB副議長」

2007年10月6日 ロイター

 [フィラデルフィア 5日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のコーン副議長は5日、米経済について、長引く住宅市場の低迷や借入金利上昇を背景とする軟調な時期を乗り越えれば、再び緩やかな成長を始めるとの見通しを示した。

 副議長はグレーター・フィラデルフィア商工会議所での講演で「住宅市場収縮による足かせや、信用収縮による波及効果によって引き起こされる短期的な軟調さを切り抜ければ、高水準の雇用とともに緩やかな成長になると予想している」と述べた。

 FRBによる50ベーシスポイント(bp)の利下げについては、クレジット収縮の状況を相殺し、緩やかな成長を促すうえで必要だったが、経済の一部で起こり得る一段の軟調さを回避することはできないと指摘。「われわれの政策行動は、向こう数カ月で発生する可能性のある経済におけるすべての軟調さを回避することは不可能」と述べた。

 また、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、最も打撃を受けていた金融市場の一部が改善の兆しを示していると指摘。ただ、市場の機能が改善しても、最近の市場の混乱が金利を押し上げ、家計や企業への与信を収縮させると語った。「企業や家計向けの多様なローンの与信基準がこれまでほど寛大ではなくなったとしても驚きではない」との見方を示した。

 金融市場の混乱が家計や企業支出にもたらしている影響について語るのは時期尚早だとしたが、初期の兆候は影響が限定的であることを示していると述べた。ただ、一段の信用収縮、消費者信頼感の低下、企業の慎重姿勢により、今後数カ月は需要が低迷する公算が大きいとの見方を示した。


● ワシントン 2007年10月7日 ロイター

 グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長は7日、米経済の成長率は鈍化しているが、リセッション(景気後退)に陥る確率は50% を下回る、との見方を示した。

 CNNとのインタビューで述べた。グリーンスパン氏はまた、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に端を発する混乱は和らいでおり、金融市場は正常な状態に戻りつつあると述べた。

● 「グリーンスパン氏:CDOの見直しも、サブプライム問題受け 」
  Greenspan Sees `Rethinking' on CDOs After Subprime Collapse  By Jennifer Ryan

2007年10月2日 ブルームバーグ

 グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は2日、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅市場の混乱を受け、債務担保証券(CDO)の「一部見直し」が行われるとの見方を示した。

 グリーンスパン前FRB議長はブルームバーグ・ニュースのロンドン支局で、「多くの人は、この危機の原因となったのはサブプライム市場だと述べてきた」が、危機を引き起こしたのは「サブプライム資産担保市場だ」と指摘。「結果として、CDOの一部見直しが行われるだろう」と予想した。

 各中央銀行は、市場がCDOリスクを算定する方法について懸念を示してきた。グリーンスパン前議長は、「モデルから導いた設定価格は、実際の市場価格と4倍食い違うことがざらにあり、役に立たない」と述べた。ただ、CDO自体については、「有益な面がある」とした。

 金融商品の開発については、新商品は「金融業界にとってプラスだ」と述べた上で、「数の面では限度があってしかるべきだが、私から見ればわれわれはその限度を超えている」と指摘した。また仕組み商品の多くの寿命は長くないと述べた。


● 「 突然の市場の変化、起こるべくして起こった=前FRB議長 」

2007年 10月 1日 ロンドン、ロイター発

 グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長は1日、サブプライム危機を受けた最近の市場の急変について、起こるべくして起きた出来事だとの認識を示した。ロンドンのロイター本社で、ブラウン英首相らとともに行ったスピーチで述べた。グリーンスパン前議長の発言要旨は次のとおり。

 <現在の危機>  「サブプライム危機を受けた最近の市場の急変は、起こるべくして起きた出来事だ」  「先進国の金融システムは危機に瀕している。証券化された米国のサブプライムが世界の金融システムの弱点として表面化しなければ、他の金融商品や市場がその役割を果たしただろう」

 <バブル>  「市場は早い時期からバブルに冒されていた。バブルは楽観論の高まりによって膨らみ、崩壊せざるを得ないところまで達した」

 <不透明感がCDOに打撃>   「リスク資産に適切な価格をつけることができなかったため、リスクの拡散を招いた」 「バブルが崩壊するのに伴い不透明感が市場を包み込み、ストラクチャード商品全体の価格に疑問が生じた。一部の証券がサブプライム・モーゲージ資産によって担保されていたことが明らかになったことで、投資家は見境なく短期の資産担保証券を売却し、米国債に資金を振り向けた」

<証券化が米国外に問題を拡散>   「サブプライム・モーゲージの組成がもっと小規模であれば、問題も小さかっただろう。いずれにせよ、海外勢が保有していたサブプライム・モーゲージは少ないため、証券化されていなければサブプライムの損失は米国だけにとどまっていたに違いない。」

 <サブプライムへの需要>  「米国における住宅ブームの最終局面では、ヘッジファンド、年金基金、投資銀行による高利回りの証券化されたサブプライムへの需要がサブプライム・モーゲージの需要を押し上げ、サブプライムの貸し手を後押しした」

 <低インフレおよび長期金利>   「自分がFRB議長を務めていた時には、歴史を見れば、リスクプレミアムが低い時期が長期化した後には、状況が好ましくなくなることを認識していた。2006年に起きたように、世界全体でインフレ率や名目長期金利が1ケタになったことは記憶にない」

 <信用危機>  「最近は、貸し手が、期間が長く質の低い資産に手を伸ばしていることは間違いない。これは好ましい兆しだ」  「9月19日に発行された米国の高利回り債は80億ドルに達し、それ以前の7週間の合計23億ドルを大幅に上回った。これは、8/9月のクレジット危機が終息することを示しているのだろうか。おそらくそうだろう」


●「ECB、英中銀、カナダ銀:政策方針を180度転換も-FRBに追随 」
Trichet, Dodge, King May Follow Bernanke in U-Turn on Policy

2007年10月1日 ブルームバーグ

 欧州中央銀行(ECB)やカナダ銀行など各国の中銀は、米連邦準備制度理事会(FRB)に続いて金融政策を180度転換し、インフレ重視から景気重視へと軸足を移す可能性がある。

 エコノミストの間では、景気拡大見通しが弱まったのを受け、ユーロ圏や英国、カナダの利上げ予想を撤回する動きが見られる。一部にはインフレが近く減速し、利下げが可能になるとの見通しもある。日本でも当初予想されていた利上げがさらに遅れる可能性がある。

 リーマン・ブラザーズ・ホールディングスのチーフ・グローバルエコノミスト、ポール・シアード氏は「FRBを中心とする各国の中銀は、米主導の世界的な景気悪化を回避するため、政策転換を強いられている」と語った。

 こうした動きは、ECBとイングランド銀行が4日に発表する政策金利によって裏付けられる可能性がある。利下げは見込まれていないものの、トリシェECB総裁やキング・イングランド銀総裁は、成長不安が増大したことを示唆する可能性がある。ロンドンの住宅価格が3年ぶりの大幅な低下となっているほか、仏トタルなど域内企業の収益が記録的なユーロ高によって圧迫されている。

 一方で、原油相場が1バレル=80ドルを超え、食品価格が上昇するなかで金融緩和策を取れば、インフレ加速につながる恐れがある。FRBが予想より大幅な利下げを実施した9月18日以降、投資家は債券に投資する資金を、インフレが加速すると投資収益率が高まる傾向が強い国際商品や新興市場株へと移している。

 ニューヨーク金先物相場(12月限)は先週、27年ぶりの高値となる1オンス=750ドルで取引を終了。新興市場株は過去6週間でほぼ20%上昇した(S&Pとシティグループ集計の指数による)。

 ノーベル経済学賞受賞者、コロンビア大学のジョゼフ・スティグリッツ氏は「現在の環境下で利下げを行うことの問題は、市場のインフレ期待が高まってしまうことだ」と指摘。「金融政策の足かせとなる」と語った。

 ECBとイングランド銀は当面、政策金利を据え置くことになる見込みだ。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査でも、ほぼ全員が「両中銀は今週金利を据え置く」と予想した。

今後の方向性
 エコノミストの見方が分かれているのは、今後の方向性だ。数週間前の段階では、次の一手は利上げになるとの見方が支配的だった。中銀当局者によるインフレ抑制を重視する発言も、こうした見方を裏付けていた。しかし現在、米国の信用市場混乱の影響が海外に波及するなか、次の一手は利下げになるとの見方が強まっている。

 元米財務長官でハーバード大学教授のローレンス・サマーズ氏は、9月27 日のインタビューで「認識が大きく変化した。現在はインフレ加速よりも信用収縮や景気減速のリスクの方が高い」と語った。

 欧州の信用需給が逼迫(ひっぱく)するなか、米ゴールドマン・サックス・グループとリーマン・ブラザーズのエコノミストは、ECBの利上げ観測を取り下げた。リーマンは、欧州市場の信用コスト拡大はECBによる0.5ポイントの利上げと同じ効果があると指摘する。

 ユーロ高も域内輸出企業の収益を圧迫している。ユーロ相場は先週、1ユーロ=1.419ドルと、過去最高値を記録した。欧州3位の石油会社、仏トタルによると、ユーロ相場が10セント高くなるごとに同社の営業利益は11億ユーロずつ目減りするという。

 カナダ・ドルは先月、1976年以来約30年ぶりに1カナダ・ドル=1米ドルの等価を記録。木材製品メーカーのテムベック(モントリオール)は、ブリティッシュコロンビア州にある製材所の閉鎖に追い込まれた。

より速く、より激しく
 米経済は「予想より速く、より激しく」鈍化したと言うゴールドマン・サックス・グループの欧州担当チーフエコノミスト、エリック・ニールセン氏は、ユーロ圏と英国の来年の成長率が2%程度と、3年ぶりの低水準にとどまると予想。ECBは政策金利を据え置くとみている。

 ベアー・スターンズの欧州担当チーフエコノミスト、デービッド・ブラウン氏は、「景気に対する信頼感がさらに悪化し始める」のに伴い、ECBは来年1-3月期中に利下げを実施すると予想している。

 英国ではECBより早く利下げが実施される可能性がある。イングランド銀のキング総裁は「国際的な金融危機」はないとみていると発言したわずか数週間後、「深刻な流動性の逼迫(ひっぱく)」を解消するため、住宅金融会社ノーザン・ロックに緊急資金を供給した。

「脆弱性の高さ」
 シティグループの西欧担当チーフエコノミスト、マイケル・ソンダーズ氏は「ノーザン・ロックの取り付け騒動は、英経済の脆弱(ぜいじゃく)性の高さを浮き彫りにした」と指摘。イングランド銀は早ければ11月に利下げを開始すると予想している。

 カナダでも利下げが実施される可能性がある。カナダ銀は9月5日の政策決定会合で、追加利下げの必要性を示唆しなった上、市場の混乱に伴う輸出需要の鈍化により、カナダ経済の成長は脅かされているとの認識を示した。

 JPモルガン・セキュリティーズのカナダ担当チーフエコノミスト、テッド・カーマイケル氏は、カナダ銀は「当初予想より深刻な景気の悪化を回避するため」迅速に金利を引き下げるべきだと指摘。12月に利下げが実施されると予想している。


●「グリーンスパン前議長:中国株式市場、あらゆる「バブル」の特徴示す 」
 Greenspan Says China's Stock Market Looks Like a `Bubble'  By Jennifer Ryan

2007年10月1日 ブルームバーグ

 グリーンスパン前連邦準備制度理事会(FRB)議長は1日、訪問先のロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で講演し、中国の株式市場について以下の通りコメントした。

 「上海市場にはバブルの特徴がすべてみられる。上場株の株価収益率(PER)はさほど高くないものの、上海証券所で取引される企業のなかでは、株価上昇による投資利益を計上している企業が多い。株高が株高を呼ぶ都合の良い自己永続的な仕組みだ。バブル醸成の過程を定義するとすれば、まさにこれがそうだ」


●「グリーンスパン氏:英国には米国型の住宅バブル、いずれも成長鈍化へ」

 Greenspan Says U.K., U.S. Housing Bubbles `Similar'  By Craig Stirling

  2007年10月1日 ブルームバーグ

 グリーンスパン前連邦準備制度理事会(FRB)議長は1日、英国には米国と「類似」した住宅バブルがみられると指摘した。
前議長はスカイ・ニュースとのインタビューで、「英国には米国と非常に良く似た住宅バブルが存在する。しかしそのもたらす結果は米国とは異なる特徴を持つようだ」と述べ、「いずれの景気も下押しされ、成長ペースの鈍化につながることだろう。その程度についてはうまく判断できないというのが率直なところだ」と語った。

 前議長はまた、英経済がリセッション(景気後退)を回避できる確率は米国の同確率と「恐らくかなり近い」と述べた。
グリーンスパン氏はイングランド銀行のキング総裁について、「私は総裁の熱心なファンだ」と述べ、「長年にわたって英国の中央銀行総裁であってほしいものだ」と賞賛した。


● 「 PIMCOグロス氏:住宅価格が今後数年間の米金融政策の主因に」

Pimco's Gross Says Housing Will Fixate Fed for Years

 2007年10月1日 ブルームバーグ

  債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の投資責任者ビル・グロス氏は、住宅価格の下落が今後「数年間」にわたり米金融政策を決定する主な要素になるとの見方を明らかにするとともに、控えめに予想しても1年以内に米政策金利が3.75%に引き下げられるとの予想をあらためて示した。

 同氏は1日までにPIMCOのウェブサイト上で発表したリポートで、米経済が粘りを見せているため追加利下げは来年にずれ込む可能性があるものの、景気の強さは一時的なものにとどまるだろうと指摘した。米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月18日の会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5ポイント引き下げ4.75%とした。利下げは2003年6月以来だった。

 グロス氏は「住宅価格の下落は向こう数年の金融政策を左右するだろう。また、関連の仕組み金融商品やデリバティブ(金融派生商品)の調整も長引き、政策決定の要素となるだろう。これらについてはまだすべてが明らかにされておらず、時価評価もされていない」と書いている。

 グロス氏が運用するPIMCOのトータル・リターン・ファンド(運用資産1044億ドル=約12兆830億円)は9月28日までの3カ月で4.57%のリターンを上げた。成績は調査会社モーニングスターがモニターする類似ファンドの中で上位1%に入った。1-6月(上期)は短期の国債を増やし、高利回り社債を回避する戦略が裏目に出て同種ファンドに比べ出遅れていた。

 グロス氏によると、PIMCOは政府支援機関(GSE)の保証付きの高利回り住宅ローン担保証券(MBS)や金利スワップを取引している。米金融当局が最終的に1ポイントの利下げをするとの見方から、2年物の短期債が10 年や30年の長期債のパフォーマンスを上回るとの予想に基づいて投資しているという。

 次回のFOMCは10月30、31両日に予定されている。ニューヨーク時間午後3時3分(日本時間2日午前4時3分)現在の先物金利は4.5%への利下げを72%織り込んだ水準。グロス氏は年内の追加利下げを遅らせる可能性がある要因として、「住宅市場が底を打ったという誤った期待やドル危機への懸念、雇用増を示す単月の数字や景気が強いと誤解させる指標」などを挙げた。


●「PIMCOのグロス氏:今の債券上昇相場は自分の人生最後 」
 Pimco's Gross Says Fed Doesn't Appreciate Liquidity Contraction

2007年10月3日ブルームバーグ

 債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の投資責任者ビル・グロス氏は3日、米金融政策や債券市場の見通しについて、以下のようにコメントした。

◎31日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げする可能性について  「利下げがあるとほぼ確信している。ただ、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ではないだろう。エレベーターというよりはエスカレーターのペースだろう」  「バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長と当局者らは米経済に起こっている流動性縮小を十分に認識していないと思う」

「彼らは恐らくエレベーターのペースが必要になるだろうが、現時点ではこれに気づいていないようだ」

◎債券市場の強気について  「米利下げのなかで、債券相場は上昇している。短期金利は低下するだろう。これは私が職業人として、あるいは生涯で体験する最後の上昇相場だろう」

◎10年物米国債について  「フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は3%台に戻るだろうが、 10年債利回りは世界の状況によりけりだろう。世界の中央銀行やインフレ警戒派の動向次第ということだ。ドルが下落する限り、インフレ率は通常より高くなるだろう。10年債利回りは最終的に、住宅市場とインフレの動向に左右されるが、今後のこの2つは微妙な組み合わせだ」

◎3カ月物ドルLIBOR(ロンドン銀行間貸出金利)と、同期間の米財務省証券の利回り格差(「TEDスプレッド」)について  LIBORが高止まりしている状態は「銀行が期間3カ月の貸し出しを警戒していることを示している」  「米金融当局は」フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を「引き下げることができるが、景気を刺激するにはLIBORと住宅ローン金利が下がる必要がある」

◎ウォール街の評価損や資産担保証券(ABS)について  「評価損や償却が続くだろう。これは1つ1つ開示されていくだろう。透明性の不足が問題の一部だった。銀行ばかりでなく傘下の「導管(conduit)」や「ストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)」などのバランスシートに何があるかを誰も本当には知らなかった。投資家が損失規模を知ることは最終的には良いことだ。前進するためには視界がよくなることが必要だ」


● 2007/10/03

 10月1日に発表された9月の日銀短観では、米国のサブプライム(高金利型)住宅ローンショックに伴う 日本経済への影響が、現段階では“軽傷”にとどまっていることを浮き彫りにした。

 世界経済の牽引(けんいん)役は先行き不安が強い米国だけでなく、アジア、欧州、中東などに多極化しており、国内景気を引っ張る輸出は好調を持続している。 だが、日本経済は「外需依存」という構造的な課題を抱えたまま。いつ傷口が広がってもおかしくない危うさをはらんでいる。

 欧・アジア中心
 「海外の販売は好調が続いている。サブプライム問題による業績への影響は特に見られない」 トヨタ自動車の担当者の声は明るい。同社の8月の輸出は前年同月比1・3%増の19万7000台と、 2カ月ぶりに前年実績を上回った。

 米国向けは5・1%減の9万4000台とマイナスだったが、欧州やロシア、アジア・オセアニア向けが増えた。輸出台数は北米以外がすでに逆転しており、“脱・米国”が着実に進んでいる。 自動車、電機、電子部品、化学などの輸出産業が国内景気を牽引する構図は、サブプライムショックでも揺らいでいない。

 8月の貿易統計によると、輸出額は前年同月比14・5%の2ケタ増。 数量ベースでも8・2%増え、貿易収支は前年同月比約4倍の7353億円に膨らんだ。輸出額を地域別でみると、アジア向けは鉄鋼、化学製品などの素材関連や一般機械、半導体などの 電子部品が好調で16・4%増となったほか、欧州は自動車や工作機械、建設機械のニーズが高く、15・5%増。これに対し、米国は4・7%増の小幅にとどまっており、貿易統計でも“脱・米国”が鮮明となっている。

 新光総合研究所の宮川憲央投資調査部エコノミストは「欧州、アジア経済圏の存在感が これまで以上に高まっている。仮に米国景気が後退しても、日本の輸出企業の業績に大きなダメージを与えることはない」と指摘する。好調な輸出を背景に、企業業績も拡大を続けている。

 大和総研がまとめた主要300社(金融を除く)の2008年3月期の業績予想調査によると、経常利益の合計は9・9%増と、6月時点の予想7・8%増から上方修正された。増益は戦後最長の6年連続となる。

円高リスク吸収
 輸出企業の業績悪化要因と懸念されているのが、サブプライムショックによる急激な円高・ドル安だ。 輸出企業の多くは、通期の想定為替レートを1ドル=114~115円台に設定しているが、 8月中旬には111円台まで急騰し採算ラインを突破した。

 大和総研では、対ドルで115円から112円に、対ユーロで155円から153円に円高が進むと、上場企業の経常利益が6680億円も吹き飛ぶと試算している。 ただ、120円超の円安水準で推移していた4~6月の“貯金”があるうえ、米国の利下げなどを受け、現在は115円台で落ち着いている。

  大和総研の濱口政己シニアストラテジストは「日本の輸出産業は競争力が高まっており、 円高を吸収するだけの余力は十分にある」と楽観的だ。

外需依存は続く
 日本経済は外需主導の景気拡大を続けている。だが、内需には依然、力強さがみられない。賃金の伸び悩みを背景に、個人消費は一進一退が続く。非製造業や中小企業では原油など原材料費の高騰を価格に転嫁できず、業績の足を引っ張っている。 9月短観でも、大企業・製造業との規模、業種間の格差が広がった。

 牽引役の輸出企業にしても、「米国の景気後退が深刻化すれば、世界経済全体が停滞するのは避けられない」(エコノミスト)というリスクがある。日本経済は、“脱・米国”が進んでいるものの、“脱・外需依存”は依然、果たせないでいるのが実情だ。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


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