引き続き、2008年8月の記事を載せます。この月の次の月が、9月15日に起きた”リーマン・ショック”です。嵐の前の様子が、分かります。 副島隆彦記
(転載貼り付け始め)
● 「中国銀行:ファニーとフレディ債の保有29%減らす-保証MBSは22%減 」
2008年8月29日 ブルームバーグ
中国の銀行大手、中国銀行は米住宅金融投資会社ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の社債(連邦機関債)の保有を過去2カ月に29%減らした。
両社の損失拡大や米政府による救済憶測のなかで保有高を圧縮した。 中国銀行が決算とともに発表したところによると、同行は6月30日-8月 25日の間にファニーメイ・フレディマック債の保有を約31億4000万ドル減らして75億ドルとした。両社が保証する住宅ローン担保証券(MBS)は22%減らし51億7000万ドル相当とした。
米財務省はファニーメイとフレディマックの財務状況が悪化した場合は支援することを表明しているが、アジアの投資家は両社への慎重姿勢を強めている。米資産運用会社ルーミス・セイレスのダニエル・ファス副会長は今週、海外投資家は「信用への懸念から投資を手控えている」と指摘していた。
●「仏クレディ・アグリコル4-6月 前年同期比94%減益-評価損響く」
2008年8月28日 ブルームバーグ
時価総額でフランス3位の銀行、クレディ・アグリコルが28日発表した2008年4-6月(第2四半期)決算は、米国の金融保証会社(モノライン)関連の評価損が響き、前年同期比94%減益となった。
発表資料によると、純利益は7600万ユーロと前年同期の12億9000万ユーロから減少。ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリスト予想の中央値(1億5000万ユーロ)も下回った。
第2四半期にはモノラインの保証付き証券で6億9300万ユーロの評価損を計上した。アナリストは評価損の総額を10億5000万ユーロと予想していた。証券部門のカリヨンは3四半期連続の赤字だった。
MFグローバルのアナリスト、マムーン・タジ氏は決算発表前に、「カリヨン部門のリスクテークが全体の業績低迷の理由だ」とし、投資銀行事業の見直しがリスクテーク意欲と将来の収益力に影響するのは必至だと指摘した。
クレディ・アグリコルは今年3月までに、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン危機に絡む評価損55億ユーロ(約8900億円)を計上し、5月には証券部門のトップを更迭。7月には59億ユーロの増資を実施した。6月末時点の中核的自己資本(Tier1)比率は8.9%だった。
クレディ・アグリコルは5月15日に、パトリック・バルロフ氏をカリヨン部門のトップに指名。7月17日には同部門の幹部陣を刷新した。同行はカリヨンの再編について9月10日に詳細を発表する。また、向こう1年半-2年の間に50億ユーロ相当の資産を売却する方針も5月に示した。
●「米倒産、歯止めかからず 7月5600件に急増、3年ぶり高水準 」
2008年8月28日 日経新聞 ニューヨーク
米企業の倒産ペースが加速している。7月の倒産件数は前年同月比57%増の5664件と、法的整理の条件が厳しくなった2005年10月以降、単月として過去最高だった。
個人消費の冷え込みを映し、小売り、外食企業の倒産が目立つ。 8月に入っても住宅、自動車関連の不況業種の倒産が続出。 金融機関が融資基準を厳しくしていることもあり、当面は倒産件数が高止まりするとの見方が支配的だ。
企業が裁判所に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)や清算などを申請した件数を、米民間調査会社ジュピター・ イーソーシズがまとめた。7月の倒産件数は直近のピークだった
5月(5319件)を上回り、3年ぶりの高水準。倒産件数は年初は月4000件台で推移していたが、ガソリン高による個人消費の伸び悩みや住宅公社の経営問題を受けた信用収縮を背景に件数は 増加傾向にある。
●「8月の英住宅価格、ほぼ20年ぶりの大幅低下-ネーションワイド 」
U.K. Annual House Prices Drop Most Since 1990, Nationwide Says
2008年8月28日 ブルームバーグ
英住宅金融4位のネーションワイド・ビルディング・ソサエティが28日発表した8月の英住宅価格は、前年同月比でほぼ 20年ぶりの大幅低下となった。
住宅ローンの貸し渋りやリセッション(景気後退)の見通しが、住宅購入意欲の低下につながった。8月の平均住宅価格は前年同月比10.5%低下の16万4654ポンド(約3300 万円)と、1990年10-12月期以来の大幅な落ち込みとなった。前月比ベースでは1.9%の低下。7月は同1.5%低下だった。
約10年ぶりの高水準にあるインフレ率や景気の停滞、銀行による住宅ローンの貸し渋りを背景に、不動産相場は90年代初めの前回リセッション以来の大幅な落ち込みとなっている。イングランド銀行のキング総裁は今月、10年間にわたり活況が続いた後、住宅価格は「著しい調整」に直面しているとの見方を示した。
ネーションワイドのチーフエコノミスト、フィオヌアラ・アーリー氏は「最近の住宅市場の動きは非常に鈍い」と指摘。「経済や住宅市場の状況に対する信頼感はおおむね弱い」との認識を示した。イングランド銀は、インフレ加速と景気後退のリスクを両にらみし、政策金利を4月以降5%に据え置いている。
●「日米欧、ドル防衛で秘密合意 3月の金融危機時」
2008年8月28日 日経新聞
米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけにした米金融不安でドルが急落した今年3月、米国、欧州、日本の通貨当局がドル買い協調介入を柱とするドル防衛策で秘密合意していたことが明らかになった。
ドル暴落で世界経済に大きな混乱が広がるのを回避するためで、為替市場の安定に向けた緊急共同声明も検討された。米ブッシュ政権はかねて介入に慎重姿勢を貫いてきたが、深刻なドル離れで方針転換を余儀なくされた格好だ。
米国主導のドル防衛策は過去にほとんど例がない。米住宅公社の経営問題などでドル不安はなおくすぶっており、各国当局が再び連携を探る可能性がある。
複数の国際金融筋によると、各国当局がドル防衛策の詰めの作業に入ったのは、米証券大手ベアー・スターンズの経営危機が表面化した3月中旬。金融システムの動揺が収まらず、世界的なドル安、株安に歯止めがきかなくなっていた。
●(副島隆彦注記。アメリカはこの年の4月に、時価会計を放棄して実質、骨抜きにし、ルール変更したくせに、このようにわざとらしいことをやってみせる。本当に偽善者どもの国だ。)
「米SEC、国際会計基準への切り替えスケジュール提案 」
2008年8月28日 AP通信 ワシントン
米証券取引委員会(SEC)は27日、 上場企業の国際会計基準採用を2年以内に認める方針を打ち出した。 2014年以降は全上場企業に対し採用を義務付ける可能性もある。
グローバルスタンダード受け入れをめぐっては一部の投資家や議員から反発も出ているが、 推進派は金融市場の国際化が進む中で当然の動きであり、 国外の企業を呼び寄せる一助にもなると指摘している。
●「FRBによる金融危機回避措置の代償は-Jベリー 」
2008年8月28日 ブルームバーグ
サブプライムローン(信用力が低い個人向け住宅融資)問題が引き金となった金融危機から1年が経過して、米国の金融システム内にある多くの弱点が明らかになってきた。政治的に可能だとしても、こうした弱点をすべて克服するには数年かかりそうな気配だ。
金融機関の破たんが金融システム全体の崩壊につながるようなシステミックリスクを回避するには、相互に関連した多くの措置が必要となる。そうした災難は今年3月、かろうじて回避された。米連邦準備制度理事会(FRB)が米証券大手のベアー・スターンズの破たん回避に向けて、例外的な措置を講じたためだ。
つまり、こうした措置は金融機関のリスクを制限する方法が含まれることになるだろう。必要な措置の多くは強い反対に遭うことになりそうだ。というのも、リスクを制限すれば、かつてのような高い収益性を回復することができなくなるからだ。
米モルガン・スタンレーのエコノミスト、リチャード・バーナー氏は今月25日、投資家は「レバレッジやリスクテーク、金融機関の収益などに対する規制が何を意味するか完全には理解していない」と指摘した。しかし、野放図なリスクテークや金融システムを十分監視していなかったことの代償は大き過ぎて、放置するわけにはいかない。
規制回避
米国の金融業界やそのロビー集団は政治家の主要な資金源でもあり、大部分はその種の規制強化を回避することが可能だった。それが間違ったことだとしても、彼らは再び規制強化を阻止することができるかもしれない。
これに対し、FRBのバーナンキ議長は今月22日の講演で、「金融システムの将来や金融関連規則をめぐって起きる国民的な議論」となる問題の一端を示した。こうした議論の及ぶ視野は気が遠くなるほど幅広い。
ベアー・スターンズ問題は、重大なシステミックリスクをもたらす可能性のある金融機関の破たんへの対処に関して、「明確な法的枠組み」が存在しなかったという事実を浮き彫りにした-。バーナンキ議長はこう指摘した。通常の時間がかかる破産手続きは明らかに機能しないのだ。
FRBは前例のない措置で、米銀JPモルガン・チェースによるベアー・スターンズの救済合併を後押しした。これは潜在的に税金投入につながる可能性があるため、同議長は財務省に責任を移譲し、資金源を付与する法律の成立を提案した。
他の投資銀行がベアー・スターンズのような流動性危機に陥らないようにするため、FRBは窓口貸付制度の対象をプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)にまで広げた。それは、「異常かつ切迫した環境」の下では銀行業以外に対しても中央銀行の貸し出しを認めた大恐慌時代の法律を拠り所としている。「異常かつ切迫した環境」は、今まさにサブプライム危機に当てはまる。
ただ、バーナンキ議長や他の金融当局者らは、そうした貸出制度の権限が明確に付与されるように「連邦準備法」の改正が必要だと考えている。それと同時に、当局者らはFRBが投資銀行にも窓口貸付を行うとすれば、銀行に対する場合と同様に、規制や監督を行う法的な権限も必要だと指摘している。
他の選択肢はない
現在、FRBは米証券取引委員会(SEC)との合意覚書に基づき、投資銀行に検査官を派遣している。SECには投資銀行を監督する権限がありながら、これまでリスクの度合いや投資レバレッジの程度を実際に規制したことはなかった。
適切な権限が付与されれば、FRBはこうした措置を取るだろうし、その過程で金融業界の収益性を限定することになるだろう。しかし、これ以外には選択肢はないだろう。米国の金融システムが発展するにつれて、金融機関のいくつかは「大き過ぎてつぶせない」存在になったからである。ベアー・スターンズの場合と同様に、経営破たんすれば、金融システム全体や米経済に対し、リスクを負わせることになろう。
米政府による効果的な監視とは、証券会社が「資本や流動性といった緩衝材を適切に維持し、リスクや流動性管理に対する総合的なアプローチを発展させる」ようにすることだと、バーナンキ議長は講演で述べた。 現在、明らかになっているように、いくつかの巨大投資銀行の経営者らはリスクや流動性の管理に大失敗し、受けたリスクに対して資本が少な過ぎた。
同議長はほかにも立法措置につながる可能性のある問題に触れた。これは資本規定や貸倒引当金、信用供与の急拡大につながる他の規則を見直す必要性があるものだ。
現在の金融危機は、米国の金融構造や金融機関の経営、規制、監督には数多くの問題があることを示した。FRBは危機を鎮めようと試み、将来を見越して、包括的な方法でより強固なシステム構築を目指している。大統領と議会は来年の年明け早々から、自らの役割を引き受け、努力する必要がある。(ジョン・ベリー)
●「経済コラム、米住宅公社問題から恐ろしい現実が見える - W・ペセック」
2008年8月27日 ブルームバーグ
機密情報資料。失業統計。国家安全保障費の見積り。政局の世論調査。世界のリーダーたちは、よく読んで理解しなければならない書類が山積している。米国の次期大統領の必読書類リストにはさらに、連邦準備制度理事会(FRB)の表「H.4.1」が加わる。
エコノミストたちは、ニューヨーク連銀が毎週発表する資料から、この表を入手している。資料の名前は無味乾燥な「準備金の構成項目と収支」というもので、歴代の米大統領たちがその内容を熟読していたことが知られていないのは無理もない。
次期大統領は同表から、外国人が米国の生活水準を維持する上でいかに積極的に資金を提供し続けているかを知ることになる。悲しいかな、米国民は、アジアからの資金提供がない状態で生き抜く方法を学ばなければならない十分な理由がある。
多くのアナリストが予想していたような大幅なドル資産離れは、まだ起きていない。米国債に対する需要は、ドルが下落し、信用危機が深刻化するなかでも、極めてしっかりしている。米住宅公社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の問題ですら、まだ大幅な資本逃避をもたらしていない。
「まだ(yet)」という単語がここでは重要な意味を持つ。中銀が保有する米政府機関債が今月約100億ドル減少したのは、資本逃避が進行中であることを必ずしも意味するものではない。しかしアジア諸国は、米当局が住宅公社の問題にどのように対処していくか、憂慮しながら見守っている。
格付け会社フィッチ・レーティングスでアジア地域のソブリン格付け担当責任者、ジェームズ・マコーマック氏(香港在勤)によると、中国はファニーメイとフレディマックを中心に長期の政府機関債を3760億ドル相当保有している。ファニーメイとフレディマックは大き過ぎてつぶせないだけでなく、地政学的な意味も大き過ぎて倒すわけにはいかない。
恐ろしい結果
中国人民銀行の元貨幣政策委員、余永定氏は先週、「米国政府がファニーメイとフレディマックの破たんを容認し、海外の投資家に十分な補償を行わなければ、恐ろしい結果になる」と指摘した。「それが世界の終わりでないとしても、現在の国際金融システムの終わりということだ」と語った。
ファニーメイとフレディマックが救済されたとしても、最近の動きはわれわれが知るところの米国の金融取り決めの終わりを示している。米国が今考慮すべきは現実である。 この問題に対処していく上では、中国だけでも十分厄介な「顧客」ということになる。控えめに見積もっても、中国が保有する米政府機関債は同国の国内総生産(GDP)の10%に相当する。
米国が、投資家に対し返済の遅れと減額を通知したらどうだろう。五輪の成功にどっぷり浸っている中国国民13億人は、自分たちに多大な損失を被らせ、米国民が依然として裕福な状態に、どのように対応するだろうか。FRBの表で立場を逆転させてみれば、米国民の間で中国への資金提供をやめるべきだとの世論が高まることは容易に想像できよう。
アジアの担保
米国は現在のような危機的状況にあっても足元は今後も堅固との理論は、同国がアジアからの資金にいかに依存しているかという点を軽視している。米国は過去数年間にわたり生産性の高い経済を構築してきており、アジア諸国はそれを担保にしていると、しばしば指摘される。確かにそれは本当だ。
同時に、アジア諸国には選択肢がほとんどないのも事実だ。貿易黒字の規模を背景に、アジア各国は最も流動性の高い証券市場に資金を投資し、自国通貨が競争面で不利な水準まで上昇することを回避する以外に、ほとんど選択肢がないのだ。
選択肢の1つとしては、ユーロ建て資産への投資が挙げられる。ただし、ドル資産からの分散投資はリスクを伴う。ドル資産を大量に保有する日本や中国、ロシアといった国々がユーロ資産にシフトしていることを投資家がかぎつければ、ドル相場は大きく下げ、中銀は多大な損失を被ることになる。
共存関係の話のようだが、実際の問題は米国の海外資金への依存度合いだ。米国の経常収支赤字は2008年1-3月(第1四半期)に1764億ドルと、1993 年以来の平均1000億ドルを上回っている。それは、米国が世界の景気拡大を支えてきたことによるのではなく、アジアの資金が米国に危険なまでに身の程を超えた生活を提供してきた結果である。
ほころびた金融システム
米金融業界の苦境がさらに深刻化した場合、アジア諸国は投機的な投資を回避するために、米国に投資していたそうした資金が必要になる。その場合でも、過去1年間のドルの乱高下がアジア諸国を慎重にさせるだろう。
米ベアー・スターンズの事実上の破たんを受けて米国型の資本主義への信頼が損なわれるなか、ドルは米金融当局による利下げを受け、過去1年間に対ユーロで7%、対円で5%それぞれ下落した。米金融機関に巨額の出資を行っている政府系投資ファンド(SWF)も考え直すかもしれない。
民主党のオバマ候補、共和党のマケイン候補、どちらが就任するにせよ、次期米大統領はほころびが見られる米金融システムを修復し、国民に過度の借金体質を改善させることが課題になる。米国がアジアからの資金にこれまでほどは頼れないと認識するなかで、そうした過程はより厳しいものとなろう。
マケイン候補は、アジアからの資金なくしてどのように減税分を補うのだろうか。オバマ候補は、米国がかくも依存している地域に対し用いている保護主義論をどうやって貫いていくのだろう。
両候補が問い掛けている強いアメリカ論はすべて、米国がいかに経済政策面での一部自治権を失いつつあるかという点を無視したものだ。ポールソン米財務長官が取り組んでいる政府機関債の再構築への動きは外交政策の意味を持ち、今後もそうしたプリズムを通して見ていかなければならないだろう。
次期大統領が多忙であることは間違いない。そして、アジアからの資金流入がこれまでより細るなかでかじ取りを強いられることは、さらに疑いようがない。
● 「独ドレスナー銀売却、コメルツ銀・中国国家開発銀との交渉本格化」
2008年8月 26日 フランクフルト、 ロイター
ドイツ保険大手アリアンツ傘下ドレスナー銀行の売却をめぐる交渉が、アリアンツと中国国家開発銀行および独コメルツ銀行との間で佳境を迎えている。複数の関係筋が26日、ロイターに語った。
アリアンツに近い筋は同日、両買い手候補との話し合いが本格化していると述べ、交渉に近い別の関係者は中国国家開発銀と合意する見込みが十分にあると語った。当事者はすべてコメントを拒否している。
これまではコメルツ銀行が買い手の最有力候補と目されていた。コメルツ銀の買収が成功すれば、ドイツで2位と3位の銀行が合併することになり、ドイツ銀行に対抗する一大銀行グループが誕生する。
関係筋はまた、ドレスナー銀行がコメルツ銀に2段階で売却され、アリアンツが少数株主として株式の保有を継続する可能性や、アリアンツが中期的に統合銀行の30%前後の株式を取得する可能性があるとも述べた。
ドイツの日刊紙フランクフルター・アルゲマイネは、金融業界関係者らの話として、中国国家開発銀がドレスナーにかなり高い買収価格を提示しており、それを現金で支払う用意があると報じた。
●「外貨準備、ドル比率最低に 世界の合計3月末63% IMF調べ」
日経新聞 2008年8月 26日
【ニューヨーク=山下茂行】世界の外貨準備に占める米ドルの比率の低下が止まらない。国際通貨基金(IMF)の調べでは3月末時点で、各国金融当局が保有する外貨準備のうち米ドルの占める比率は63%と、1999年のユーロ発足以来で最低となった。
ユーロ台頭に加え、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけに、米経済力を象徴してきたドルの基軸通貨としての立場は浸食されつつある。
IMFによると、外貨準備のうちで通貨構成が確認されているのは米ドル換算で合計約4兆3200億ドル(約475兆円)。このうち米ドルで保有されているのは約2兆7200億ドルで、その比率63%は、昨年末に比べ1ポイント減少した。
●「米アラバマ州ジェファーソン郡、破産申請を準備-30億ドル不履行か」
2008年8月26日 ブルームバーグ
米アラバマ州ジェファーソン郡当局は、金利急上昇に見舞われ支払いが困難になった30億ドル(約3300億円)の債券の問題で、債権者と合意できなかった場合に備え、破産届け出を用意するよう司法担当者に通達した。
ジェファーソン郡政委員会は26日、法律事務所ブラッドリー・アラント・ローズ・アンド・ホワイトと郡検事にJPモルガン・チェース率いる債権団との交渉と、交渉決裂時の破産申請書類の準備を委託する計画を全会一致で承認した。シティグループなど複数のバンカーや助言機関も郡に解決案を提示したが、支持は得られなかった。
郡政委員会のコリンズ委員長は記者団に対し「成功を望んでいるが、必要ならば届け出も準備する」と指摘。「今回の決議はうまく機能する可能性がある。金融各社は裁判所に持ち込みたくはないとも考えられる」と話した。
ジェファーソン郡が問題の債務を履行しなければ、米国史上で最大の地方債のデフォルト(債務不履行)となる。これまでで最大のデフォルトは、1983 年のワシントン公共電力システムの債券の22億5000万ドル。地方自治体の破産届け出としても、94年のカリフォルニア州オレンジ郡の破産以降で最大規模になる見込みだ。
●「米GSE株が続伸、国有化観測が後退 」
2008年 8月 26日 ニューヨーク、ロイター
26日の米株式市場では、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)株が2日連続で上昇した。
両社をめぐっては、住宅市場の悪化で自己資本が不足し、国有化が必要になれば普通株が無価値になるとの懸念が浮上していた。株価は20年ぶりの安値近辺まで下げていたが、ここ数日は、国有化の必要はないとの見方が強まっている。
両社は過去4四半期連続で赤字を計上しているが、シティグループとゴールドマン・サックスのアナリストは26日、国有化以外の選択肢が存在すると指摘した。 ローラー・エコノミック&ハウジング・コンサルティングの創業者トマス・ローラー氏は「政府による救済は差し迫っていないとの見方が広がっている」と述べた。
ノルウェーの政府系ファンドは26日、ファニーメイとフレディマックへのエクスポージャーが、昨年末の1290億クローネから、880億クローネ(163億6000万ドル)に減ったことを明らかにしている。
● 「信用収縮、本番はこれからか-米金融機関債、09年までに過去最大の償還」
2008年8月26日 ブルームバーグ
米証券大手メリルリンチやリーマン・ブラザーズ・ホールディングス、米銀ワコビアを含む米金融機関は借り入れコストがいかに高くなったかを間もなく知ることになるだろう。
JPモルガン・チェースによれば、2009年末までに償還を迎える米金融機関の社債は過去最高の8710億ドル(約95兆5000億円)。 米国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)も過去最大級に拡大しており、メリルリンチの指数データによると、年間の利払いが1年前と比べ 最大230億ドル増える可能性がある。
借り換えコストが高く付けば、金融機関は資本市場での借り入れ能力を抑制され、個人や法人向け融資を一段と絞り、それが既に01年以降最も緩慢なペースの米景気にさらに水を差す結果となる。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先週、最上級格付けの米金融機関50社中、ほぼ半数の見通しが6月30日時点で「ネガティブ(弱含み)」だったとしており、同比率は過去15年で最も高くなった。
フィフス・サード・アセット・マネジメントのシニア・ポートフォリオマネジャー、マーコ・ミケリック氏は「資本主義のギアが止まりつつある」と指摘。 「銀行セクターには多大な懸念がのしかかり、資本争奪が起きている」と語る。金融機関債のスプレッドは平均で414ベーシスポイント(bp、1bp= 0.01%)と、昨年の最小水準76bpを大きく上回っている。投資適格級債全体のスプレッドは平均で約314bp。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)の証券部門でかつて債券調査責任者を務めたデービッド・ゴールドマン氏はブルームバーグラジオとのインタビューで、「信用収縮は今始まったばかりだ」と指摘。その理由として、「これまでの損失で資本が相当傷んでしまった金融機関は、これから家計や法人向け融資を絞らざるを得ない。
いよいよデフォルト(債務不履行)が起きる」と説明した。 現在は投資家に転じているゴールドマン氏は運用していたファンドを閉鎖したと語る。市場が「殺伐とする」可能性が高いためだという。
●「米政府系住宅金融:2社株価急落 公的資金投入観測強まり」
2008年8月22日 共同通信
【ワシントン斉藤信宏】米株式市場で、政府系住宅金融会社2社の株価が急落している。米政府による公的資金投入の観測が強まり、株主価値が消失するとの憶測が売りにつながっているためだ。
株価が急落しているのは、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2社。両社とも、米国民の住宅取得を促進するため、債券を発行。調達した資金で民間金融機関から住宅ローン債権を買い取り、証券化して投資家に販売する業務を担う。
低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題の影響で住宅市況が低迷、7月に経営不安が表面化した。米政府が公的資金による救済を可能にする法律を成立させて有事に備えてきた。
今週はじめに米経済誌バロンズが「米政府が2社に資本注入する可能性が高まっている」と報じたことで、国有化に伴う株主価値の消失が現実味を帯びた。ファニーメイの21日の終値は4.85ドル、フレディマックは3.16ドルまで下落するなど、すでに市場は2社への公的資金投入を織り込み始めている。
●「米ファニーとフレディへの公的支援、2230億ドルの債務借り換え次第か 」
2008年8月20日 ブルームバーグ
米住宅公社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)が、2230億ドル(約24兆 5000億円)相当の債券を9月末の償還期限に返済できるか否かが、公的支援を回避できるかの決め手になる可能性がある。
両社が公表した数値とブルームバーグのデータによると、9月30日が期日となる債務は、ファニーメイが約1200億ドル、フレディマックが1030億ドルだ。
ポールソン財務長官は7月、ファニーとフレディの資金調達コストが上昇し、両社が発行した債券への需要が縮小している兆候がみられたことから、緊急時に無制限に資金を投入する権限を議会に求めた。しかし、両社の資本が信用関連損失で目減りするとの懸念が広がるなか、両社の調達コストは再び上昇している。
クレディ・スイス(ニューヨーク)のアナリスト、モシュ・オレンバック 氏は、債務を借り換えできるかどうかが最も重要な要因だと指摘した上で、「これまでのところは両社とも借り換えは可能な状態だ」と述べた。
ただ、ファニーメイの3兆ドルの債券に対して、最大の国外保有者であるアジアの投資家は購入割合を減らしてきており、ポールソン長官が公的支援を実施する必要性が潜在的に高まっている。
JPモルガン・アセット・マネジメント債券運用部長の国部真二氏(東京在勤)によると、同社の日本拠点ではファニーメイとフレディマックの債券保有を減らしている。富国生命保険の桜井祐記取締役財務企画部長も、ファニーとフレディの今後の行方をやや懸念していると指摘。事態が好転しているようには見えないと述べた。
●「元IMFロゴフ氏:米経済はリセッション入り-大手米銀破たんも」
2008年8月19日 ブルームバーグ
元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのケネス・ロゴフ米ハーバード大学教授は、米経済は信用市場の混乱によってリセッション(景気後退)入りしており、大手米銀が破たんする可能性があるとの見方を示した。
同教授はシンガポールでブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、「米国での最悪期はまだこれからだ」とし、「金融業界は縮小が必要だ。中規模と小規模の銀行が幾つか倒れるだけでは不十分だと思われる」と語った。米住宅市場の急減速を発端に昨年発生した信用危機は、金融機関に巨額損失をもたらしている。
ロゴフ教授は、米住宅金融投資会社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)について、「10年前に閉鎖するべきだった」とし、「国有化する必要がある。株主が投資した全額を失うのはやむを得ない。債券は保証するべきだろう。米国は両社の債務を政府が保証するという印象を与え続けてきたからだ」と語った。
また、ロイター通信によると、ロゴフ教授は19日にシンガポールでの会議で、信用危機は悪化する公算が大きく、大手米銀が破たんする可能性があると発言した。同教授はブルームバーグとのインタビューで、「業界が縮小するときにはいつも、大手プレーヤーの退場があるものだ。大手投資銀行の間でも統合が見られるだろう」と語った。
さらに、「システムで教訓を生かすためには、一部の金融機関を破たんさせることも必要だ。巨額の利益を上げながら、救済される業界があってはならない」と述べた。 ロゴフ教授は、米経済がすでにリセッション入りしているとした上で、住宅市場は悪化が続くとの見方を示した。米景気低迷は2009年7-12月(下期)に入っても続くとの見通しも示した。米政策金利については「低過ぎる」として、現行水準が続けばインフレ圧力の増大を招くと警告した。
●「米政府系住宅金融2社への公的資金注入に現実味 米金融危機」
2008年8月19日 産経新聞
【ワシントン=渡辺浩生】 経営不安が続く米政府系住宅金融会社、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)に対し、米政府が近く公的資金注入に踏み切るとの見通しが強まっている。
内外投資家への影響は大きく、財務省は観測の火消しに躍起だが、資産劣化は止まらず、一時国有化のシナリオも取りざたされ始めた。
米週刊経済誌バロンズ(18日付)は政権関係者の話として、財務省が数カ月以内に両社への公的資金注入に踏み切る公算が強まっていると報じた。
米住宅ローン残高の半分にあたる約5兆ドルを保証・保有する両社の経営危機を回避するため、財務省に両社の株式購入の権限を与える救済策を盛り込んだ住宅関連法が先月、スピード審議で成立したばかりだ。
財務省報道担当は18日、報道を否定したが、ニューヨーク株式市場で両社の株価はそれぞれ20%も急落した。ロイター通信によると、海外の中央銀行は保有する両社の株式・債券のうち約110億ドル分を過去1カ月間に売却したという。
不安が再燃したのは、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題の拡大で資産劣化が著しいため。フレディマックは4~6月期決算で、全資産を時価評価した場合、約56億ドルの債務超過に陥ると判明。ファニーメイも自己資本の水準が、損失処理には不十分とされる。
同誌によれば、財務省は両社が追加増資に失敗すれば、両社発行の優先株を引き受ける。その場合、両社普通株式の保有者は資産を失い、優先株保有者や、約190億ドルの劣後債保有者も損失を被ると指摘。さらに、財務省は両社経営陣を刷新して事業縮小や資産売却を進め、株式を再公開して民営化するか、政府機関の傘下に収める「準国有化策」のシナリオも報じた。
米政府は支援策を「予防的措置」(財務省幹部)と強調するが、エコノミストの間では「最終的に公的資金注入に行き着く」(ビンセント・ラインハート元連邦準備制度理事会金融政策局長)との見方が強い。
●「米カルパース、株式投資減らしディストレスト債ファンドに振り向け」
2008年8月18日 ブルームバーグ
米最大の公的年金基金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は、株式投資 を減らし、最大23億ドル(約 2530億円)をレオン・ブラック氏が 運用するディストレスト債ファンドに投資する。
社債デフォルト(債務不履行)率が1年以内に2倍に上昇する と見込まれるなかで、ブラック氏のアポロ・グローバル・マネジメントは割安な債券や融資債権を買い取るファンド3本を設立した。 当局への届け出によると、これらのファンドの当初資金の大半はカルパースが出資した。
●「米住宅差し押さえ、7月は前年比55%増 民間調べ」
2008年8月16日 日経新聞
【ニューヨーク=財満大介】7月に米国で住宅ローン返済が滞って差し押さえを受けた件数が27万2171件と、前年同月比で55%の大幅増となったことが、米不動産調査会社リアルティトラックが14日発表した調査でわかった。6月に比べても8%増えており、住宅不況が直近で一段と進行していることを裏付けた。
差し押さえ件数が最も多かったのはカリフォルニア州で、約7万2300件。次いでフロリダ州の4万5900件、オハイオ州の1万3500件の順だった。フロリダ州は前年同月の2.4倍に急増した。住宅バブル期に開発が進み、住宅価格が急騰した地域が上位を占めている。
● 「「ゴールドマン、JPモルガンも危機に「無縁ではいられない」-UBS 」
2008年8月15日 ブルームバーグ
米証券最大手ゴールドマン・サックス・グループと米銀JPモルガン・チェースは同業他社と比べれば、信用危機をこれまで切り抜けてきたものの、第3四半期には「致命的な」影響を受けるかもしれないと、スイスの銀行UBSは指摘する。貸倒損失が増え、銀行業務の収入が落ち込むためだという。
UBSのアナリスト、グレン・ショアー氏は15日付リポートで、「競合他社がはまった多くの落とし穴をこれまで回避した」ゴールドマンも収益減少に「無縁ではいられない」と予想。時価総額で米銀2位のJPモルガンも資産評価損や消費者向け融資の悪化に直面していると指摘した。
両社の業績は過去2四半期にわたって市場予想を上回り、評価損と貸倒損失もモルガン・スタンレーやバンク・オブ・アメリカ(BOA)、シティグループのそれを下回っている。このため、株価下落率もS&P500金融株指数に比べて小幅にとどまり、ゴールドマン株は金融株指数がピークを付けた昨年10月以降、27%安、JPモルガンが21%安となっている。金融株指数は41%下落。
ショアー氏は両社について、「信用危機時の投資避難先とみられてきたので、投資家は短期的に持ち分を減らす可能性があるとわれわれは考えている」と指摘した。同氏はゴールドマンの今年6-8月(第3四半期)の1株利益見通しを2.25ドルと、従来予想の3.20ドルから引き下げ、JPモルガンの第3四半期(7-9月)についても25セントと、同62セントから下方修正した。
● 「米で証券集団訴訟が急増 株主、サブプライム関連で損失」
日経新聞 2008年8月16日
【シカゴ=毛利靖子】 信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響が広がる中、損失を被った株主らが欧米の金融機関などを相手取って起こす証券集団訴訟が急増していることが分かった。
サブプライム関連で今年起こされた訴訟の数は65件で、既に昨年1年間(39件)の1.7倍に達している。提訴を受けた米大手銀行シティグループなどが金融商品の買い戻しを決めた例もあり、株主からの責任追及の動きは今後も広がりそうだ。
スタンフォード大学ロースクールが集計した。証券集団訴訟は「情報開示が不十分だった」などとして、損失を被った株主が当該企業を訴えるもの。サブプライム問題が表面化した昨年から直近までの累計で、同問題に絡む提訴数は100件を突破した。米連邦裁判所に持ち込まれた証券集団訴訟の総数も、今年に入って既に127件にのぼり、同じペースで年末まで推移した場合、年間では4年ぶりの高水準となる見込みだ。
●「三菱UFJが米銀を完全子会社化 」
2008年8月13日 日経新聞
大手邦銀による欧米金融機関への大型出資が相次いでいる。これまで動きのなかった三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は12日、米有力地方銀行のユニオンバンカル・コーポレーション(UNBC、カリフォルニア州)を完全子会社化する計画を正式発表した。
米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を逆手に3メガバンクが投資と融資の両面で、米欧市場で存在感を高めようとしている。
三菱UFJはすでに65%の株式を保有しているUNBCに対して、今月18日から9月15日までTOB(株式公開買い付け)を実施し、同社の完全子会社化を目指す。買い付け価格は1株当たり63ドル。ニューヨーク証券取引所の11日終値に8.3%上乗せし、過去30日間の平均終値を24.5%上回る。
● 「スイス金融大手UBSが2兆円規模の買い戻し オークション証券を不適切販売」
2008年8月9日 共同通信
スイスの総合金融大手UBSは8日、米自治体などが発行するオークション証券(ARS)の不適切な販売問題で、投資家が保有する計186億ドル(約2兆400億円)分すべてを買い戻すと発表した。
販売の際にUBSが投資家への十分な説明を怠ったとして訴えていたニューヨーク州などとも和解、同州などに対し罰金計1億5000万ドルを支払うことも決めた。現在の証券価格が下落しているため、罰金も含めた損失は9億ドル程度を見込む。
ARSをめぐっては既に米銀行大手のシティグループ、米証券大手のメリルリンチも大規模な買い戻しを決めており、大手3社の買い戻し額は計360億ドル規模に達した。シティとメリルは個人投資家、中小企業などが対象で、機関投資家向けも含めた買い戻しを決めたのはUBSが初めてという。
● 「フレディマックが実質債務超過、投資家の見方交錯
2008年 8月 6日 ニューヨーク、ロイター
米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は6日、第2・四半期決算を発表し、保有資産を時価ベースで評価すると、56億ドルの実質債務超過になると表明した。
これを受け、一部の投資家の間では、フレディマック株はほぼ無価値となるとの見方が浮上。同社が発行する政府機関債については、米政府が住宅公社支援の意向を鮮明にしているため大きな問題はないが、株式投資はリスクが高いのではないかとの声が出ている。
フレディマックがこの日発表した第2・四半期決算は8億2100万ドルの赤字。赤字幅は予想を上回り、6日のフレディマック株は20%近く急落、6.49ドルで取引を終えた。ただフレディマックの株式時価総額は依然42億ドルあり、少なくとも一部の市場参加者は、同社株に投資価値があると考えていることになる。
ウエストウッド・キャピタルのマネジングディレクター、ダン・アルパート氏は「投資家は、フレディマックが、景気の回復、住宅市場の回復、公的支援のいずれかが実現するまで、持ちこたえるとみているのだろう」と述べた。確かに住宅市場は、回復基調にあるとは言えないまでも、底入れに向けた兆しが出ている。5月のケースシラー住宅価格指数は前月比0.9%低下と、前月から低下率が鈍化、予想よりも緩やかな低下にとどまった。
フレディマックの保有資産であるモーゲージ証券についても、多くが売られすぎの状態で、住宅市場の回復に伴い、価格は持ち直すとの見方がある。ただ、モーゲージ市場の低迷は否定できない。フレディマックのサイロン最高経営責任者(CEO)は、アナリストとの電話会議で「今日の経済環境は厳しく、住宅市場は安定には程遠い」とし、「住宅価格が底打ちするまでの全過程の半分を通過したに過ぎないと考えている」と語った。
市場は、フレディマックや連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)に強い懸念を表明している。両社は、米モーゲージ証券12兆ドルの半分弱を保有・保証しているが、モーゲージ証券下落や住宅市場支援で自己資本が不足するとの懸念が浮上、7月に株価が急落した。フレディマック株は1年で90%近く急落。ファニーメイ株も80%近く下落しており、政府が緊急支援策をとりまとめる事態となった。
<増資計画>
フレディマックは、財務基盤強化のため55億ドルの増資を行う方針だが、増資が実現しても、実質債務超過分56億ドルをほぼ帳消しにする効果しかない。財務諸表によると、簿価ベースの保有資産は129億ドルとなっている。
キーフ・ブリュエット・ウッズの株式担当チーフストラテジスト、フレデリック・キャノン氏は「55億ドルの増資では不十分である可能性が濃厚だ」と指摘。ウエストウッドのアルパート氏も、公的支援が実施されれば、株主責任が問われる可能性があるとの見方を示した。同氏は「必要な増資規模を考えれば、株式は大幅に希薄化する見通しだ。国有化のリスクもある」と述べた。フレディマックはコメントを拒否している。
●「米国の金融危機は1年半は継続し、数百の銀行を破たんに追い込むリセッションに」
ニューヨーク 2008年8月3日 ロイター
3日付の米投資週刊紙バロンズは、エコノミストで 米ニューヨーク大学教授のヌリエル・ルービニ氏の発言を引用し、米国は、少なくとも 1年半は継続し、数百の銀行を破たんに追い込むリセッションの第2イニングにあると報じた。
ルービニ氏によると、国民は金融サービス業界の残りを救済するため、多額の税金を支払う必要に迫られる見通しだ。同氏は納税者の支出について少なくとも1兆ドルとし、どちらかといえば2兆ドルに達するだろうとした。
同氏は、銀行は山のような損失を抱えて債務超過に陥る見通しだとし、住宅価格の急落に加え、サブプライム住宅ローンについて、これまでのところ評価損の計上にとどまって いるためだと述べた。
同氏によると、銀行は消費者信用損失にも直面しているものの、引当金が不足している。さらに、担保価値がほぼゼロとなった住宅担保ローンの貸付残高が数百億ドルに及ぶことも 指摘した。
ルービニ氏によると、米消費者が貯蓄を減らす一方、連邦準備理事会(FRB)は 問題がサブプライム住宅ローンより先に広がっていることを認識できず、危機にうまく 対応できていない。
同氏は、政府は過剰な規制を行っているとし、困難を抱えた金融機関の救済や、あらゆる市場への介入を例示した。 ルービニ氏は「連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社 (フレディマック)、ならびにベアー・スターンズ債権者の救済や、新たな貸付制度を伴う 金融システムの構築に関連し、規制当局は自らを調査すべきだろう。米国債と有毒性のある証券の交換にほかならない」と述べた。
その上で「従来のように利益を私有化し、損失を国有化している。 米証券大手と富裕層のための社会主義だ」との見方を示した。 ルービニ氏は破たんに陥る金融機関について、住宅や商店、商業用不動産など米地域社会の中軸に融資を行う地銀が含まれると述べた。
同氏は「40行近い中堅地銀のうち、3分の1は窮地にある」とし、半数は破たんに陥る と予想した。さらに、一部の大手行も債務超過に陥る可能性があるが、「ツー・ビッグ・ツー・フェール」とみなされるだろうと述べた。同氏は世界経済については「極めて強気」にみていると強調し、中長期的にポジティブな状態が続くと予想した。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
「この「第2ぼやき」記事を印刷する」
引き続いて、2008年4月の記事を載せます。 もしかしら、すでに以前ここに載せたものと同じ記事が重複して載っているかもしれません。 私が使っている、3台のPCの中に、分散して集めているので、そういう事も起きます。 あとで私自身が確認してみます。サブプライム・ローン崩れが起きて、丸2年も経ちますと、私の記憶もかなり、いろいろと混ざってしまいます。 副島隆彦記
(転載貼り付け始め)
●「崩壊したウォール街のビジネスモデル-新たな収益源 見つからない」
2008年4月28日 ブルームバーグ
ウォール街の金もうけマシンは壊れてしまった。金融業界始まって以来最悪の損失を受け、修復が試みられているものの、向こう数年にわたって収益に悪影響が出そうだ。
米シティグループやメリルリンチ、スイスのUBSなど主要銀行や証券会社は米サブプライム住宅ローン市場の崩壊から合わせて 3,100億ドル(約32兆4,600億円)もの評価損や貸倒損失を計上した。
業界全体では4万8,000人が職を失い、4人の最高経営責任者(CEO)が事実上更迭された。米5大証券会社は過去1年間に時価総額で計1,100億ドルを失った。ビジネスモデルが機能していると確信する人間は もはや誰もいない。金融機関幹部や当局者らは原因の究明を進めているが、信頼回復に向けて一致した解決策は見つかっていない。
検討対象になっているのはレバレッジや簿外投資、資産の証券化、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で、過去10年の記録的な好業績をもたらした原動力だ。これら無くして、成長するのは難しいだろう。
イーグル・アセット・マネジメントのマネジングディレクター、トッド・マカリスター氏は「当面、証券各社は大変だろう。最近の成長の主エンジンだった証券化が抑制され、規制は強まる。すべてが不利に働いている」と語る。
米証券5位ベアー・スターンズが破たん寸前に陥り、先月には身売りが決まったことから、 ウォール街のビジネスの危険性は、銀行と証券の垣根を設けたグラス・スティーガル法が撤廃された1999年以降に醸成されたことが浮き彫りになった。
同法の撤廃を受けて、投資銀行と預金受け入れ機関(銀行)は互いに競争し始めたのだ。サンフォード・C・バーンスティーンのアナリスト、ブラッド・ヒンツ氏は信用危機について、「投資銀行は預金ベースを持たずに商業銀行分野へ傾き、商業銀行はリスク管理を知らずに投資銀行業務を始めた。その結果がこれだ」と話す。
利益率低下につながる行為
当局は新たな規制を図っているものの、作業には数年かかりそうだ。 その間、投資家からの圧力でモルガン・スタンレーやメリルリンチ、リーマン・ブラザーズ・ホールディングス、シテ
ィ、UBSなどでは事業の変化を余儀なくされている。各社は保有株の持ち分売却や資本増強を実施し、借り入れによって資産を膨らませるレバレッジを抑制している。
これは利益率の低下につながる行為だ。収益源が減るなかで、ウォール街の幹部は 失われた事業に代わる新たな成長源を見つけようともがいている。
ゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブランクフェインCEOや モルガン・スタンレーのジョン・マックCEO、リーマン・ブラザーズのリチャード・フルドCEO、シティのビクラム・パンディットCEOはそれぞれ、今月開催された年次株主総会で、信用危機は始まりよりは終わりに近いとの認識を示した。 が、近い将来の収益性回復を予想したCEOは皆無だ。
ファー・ミラー・アンド・ワシントンのマイケル・ファー社長は、 「毎四半期末に、ウォール街各社のCEOは過去最悪の四半期は去ったと語ってきたが、利益率を押し上げる起爆剤を示唆した人間はいない。 『最悪期は終わった』との彼らのお題目を信じて金融株を買うことなんかできない」と語る。
金融サービス部門の米企業利益に占める割合は昨年38%に達し、1994年の21%から拡大したが、パトナム・インベストメンツの投資副責任者、ジェフリー・ナイト氏は、同部門の収益性回復には時間がかかるとみる。同氏は「金融部門は新たな均衡点に向かって縮小している。 この部門の資産が経済全体の多くを占めるようになるには恐らく数十年かかるだろう」と話した。
●「ドル下落で米財政赤字が拡大 日本勢などが米国債投資に消極姿勢 」
2008年4月28日 ブルームバーグ
ガソリンや小麦価格の高騰、住宅価格の下落という米経済のマイナス要因に、ドルの下落に伴う財政赤字の拡大という新たな項目が加わった。ドル安進行で日本勢を中心にした外国投資家は、米国債投資に消極的になっている。
日本の投資家の米国債保有額は計5,866億ドルで、発行残高全体の12%を占める。 1-3月期はドルの対円相場が1995年以来13年ぶりの安値に下落したことで、 その価値は7%目減りした(米メリルリンチの指数による)。
日本の4大保険会社の3社、第一生命保険と明治安田生命保険、住友生命保険は、米国の債券に投資するよりも、世界で最も低い日本の債券利回りを受け入れたい考えのようだ。
国際投信の投信「グローバル・ソブリン・オープン」の運用担当チームで責任者を務める堀井正孝氏は、ドル安に歯止めがかかるとみるのは時期尚早だと指摘。米経済の低調な伸びはしばらくの間続くとの見通しを示した。日本投資家の米国債保有額は世界一。2007年3月-7月に92億ドル増え、6,206億ドルとなったが、それ以降は今年2月までに340億ドル減少した。米財務省が15日発表した。
米ゴールドマン・サックス・グループによると、今年度(2007年10月-08 年9月)の 米財政赤字は5,000億ドルと、過去最高を更新する見通し。昨年は1,630億ドルだった。米連邦準備制度理事会(FRB)の2006年の研究リポートによると、外国投資家による米国債の買い支えがなくなれば、長期金利は0.9ポイント押し上げられることになるという。
日本以外のアジア諸国でも、米国債投資を手控える動きが出ている。米国債保有額が2位の中国や韓国の運用担当者らは、欧州の債券、株式、商品を選好している。
● 「米金融・債券市場=続落、株高やインフレ懸念が圧迫」
2008年 4月 25日ニューヨーク、 ロイター
米金融・債券市場は続落。終盤にかけて株価が上昇したことや、エネルギー・食品価格の上昇が全般的なインフレ高進につながるとの見方が圧迫要因となった。
インフレ懸念を背景に、連邦準備理事会(FRB)による追加利下げの余地が狭まるとの観測が高まった。日本の3月全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI)は前年比1.2%上昇と、1998年3月以来の高い伸びとなった。これを受けて、世界的なインフレ圧力上昇への懸念が高まった。
バンク・オブ・アメリカ証券の経済ストラテジスト、マシュー・ムーア氏は「商品・食品価格が高止まりしており、インフレ高進の要因となっている。オーバーナイトで入ってきた日本のインフレ指標もかなりサプライズだった」と指摘。これが債券の需要を鈍らせたとの見方を示した。
終盤の取引で指標の10年債 朝方には4月のミシガン大消費者信頼感指数確報値が26年ぶり低水準となったことを受け、下げ幅を縮小する場面もあった。5年債 ● 「世界の金融システムは麻痺状態=OECD事務局長」 2008年 4月 25日 ロイター 経済協力開発機構(OECD)のグリア事務局長は25日、世界の金融システムは麻痺状態にあり、正常に戻るには時間がかかる、との認識を示した。同事務局長はチェコの議会に出席し「金融システムは麻痺している。普通のオペレーションの多くが行われていない」と述べた。 同事務局長によると、OECDは当初、2008年前半は困難な時期になるが後半は好転し、2009年は正常な状態を取り戻すと予想していたとしたうえで「現在は、2008年いっぱい困難な時期が続き、09年前半になって回復に向かい始める可能性があると考えている。正常に戻るのは2010年になるだろう」と語った。 ● 「 米アムバックの第1四半期は予想超える赤字、株価急落」 2008年 4月 23日 ニューヨーク、ロイター 米金融保証大手のアムバック・フィナンシャル・グループ が23日発表した第1・四半期決算は予想を超える赤字となった。 モーゲージ債に絡み10億ドル相当の引当金を計上。午前の取引で株価は30%近く急落した。第1・四半期の赤字額は16億6000万ドル(1株当たり11.69ドル)。前年同期は2億1330万ドル(同2.02ドル)の黒字だった。 諸項目を除いた1株損失は6.93ドル。アナリストは1.82ドルの赤字を予想していた。前年同期は2ドルの黒字だった。カレン最高経営責任者(CEO)は声明で「今回の結果に失望している。しかし第1・四半期の資本増強と戦略的事業対策により、現在のクレジット状況を乗り越えることができると引き続き確信する」と述べた。 同社の資本水準はS&Pの目標を上回っており、ムーディーズの目標も第2・四半期に上回る見込みとした。クレジット・デリバティブ商品のエクスポージャーに絡み17億ドルの評価損を計上。債務担保証券(CDO)に絡む評価減は9億4040万ドルだった。 ●「米アムバックの債務保証コストが過去最高に、予想を上回る赤字で」 2008年 04月23日 ニューヨーク、 ロイター 米クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、金融保証(モノライン)大手のアムバック・アシュアランスの債務保証コストが過去最高水準へ急上昇した。親会社のアムバック・フィナンシャル・グループの第1・四半期決算が予想を超える赤字となったことが理由。 CMA(シカゴ・マーカンタイル取引所)データビジョンによると、アムバック・アシュアランスのCDSは初めてアップフロント支払いベースでの取引となり、保証コストは5年物で11%プラス年間500ベーシスポイント(bp)。 CDS市場では、債務不履行の懸念が高まった場合にアップフロント支払いで取引される。 CMA(シカゴ・マーカンタイル取引所) によると、22日時点では、アムバック・アシュアランスのCDSスプレッドは700bp程度だった。CDSスプレッド1bpは、債務1000万ドルに対する保証料1000ドルに相当する。モノライン大手MBIAの債務保証子会社のCDSスプレッドも約95bp拡大し805bpとなった。 ● 「220億円の経常赤字に=サブプライム損拡大-あおぞら銀行」 2008年4月23日 時事通信 あおぞら銀行は23日、2008年3月期の連結業績予想を下方修正し、最終利益が50億円(従来予想265億円)、経常損益が220億円の赤字(同30億円の黒字)に転落すると発表した。 米国の低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン関連投資や米国での企業買収関連投資損失の拡大などが要因。 08年3月期の業績予想を下方修正するのは3回目。サブプライム問題で経常赤字に陥るのは大手行であおぞら銀が初めて。 2008年4月22日 読売新聞 【ローマ=中村宏之】 英銀行大手のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は22日、米国の低所得者向け住宅融資 「サブプライムローン」 問題に伴う金融市場混乱の影響で、2008年の1年間に59億ポンド(約1兆2000億円)の損失を計上すると発表した。 資本増強を図るため、総額120億ポンド(約2兆4000億円)の株主割当増資を実施する。米投資銀行のゴールドマンサックスやメリルリンチなどが引き受ける。非中核事業である保険部門を売却して、約40億ポンドの資本増強も行う。 RBSは、これまで増資は必要がないとの姿勢だった。しかし、金融市場の混乱が長期化していることから、「現時点での資本増強が適切と判断した」と説明している。 RBSの2007年のサブプライム関連の損失額は約25億ポンド(約5100億円)で、08年はその2倍超に達する。 市場では「RBSが損失をすべて開示し処理を断行した」との前向きな見方が出る一方で、他の金融機関でも損失が拡大していくのではないかとの懸念が消えていない。 欧州系の銀行ではスイス金融大手のUBSが1日、2008年1~3月期決算で約190億ドル(約1兆9600億円)の損失を計上する見通しを示した。先の見えない金融機関のサブプライム関連損失の拡大が、欧州でも市場の大きな不安材料となりそうだ。 ロンドン 2008年4月21日 ロイター イングランド銀行(英中央銀行)は21日、 信用収縮に直面している銀行を支援する対策の詳細案を発表した。それによると、英中銀は銀行に対し、取引が困難になっているモーゲージ証券を、特別に発行する国債総額500億ポンド(997億6000万ドル)と交換することを認める。 対象となるのは2007年末時点での保有資産で、新たな貸し出しは対象とならない。 資産スワップの期間は1年で合わせて3年まで更新できる可能性がある。 ●「米経済の先行き、悲観的な見方が拡大=全米企業エコノミスト協会 」 2008年 04月 21日 ワシントン、ロイター 全米企業エコノミスト協会(NABE)の四半期調査によると、エコノミストの間で米経済の先行きに悲観的な見方が増えている。景気後退(リセッション)入りを予想するエコノミストも、前回調査から増加した。 調査は会員エコノミスト109人を対象に3月24日─4月8日に実施した。第1・四半期の実績や短期の見通しに「非常に悲観的な」見方が目立ったという。米国建設業協会のチーフエコノミスト、ケン・サイモンソン氏は「第1・四半期は5年ぶりに、利益率が低下したとの回答が上昇したとの回答を上回った。会員企業の需要の伸びは、2001年の景気後退以降、最低となった」と指摘した。 調査では、回答者の約30%が2008年上半期の米国内総生産(GDP)がマイナス成長になると予想。他の大半の回答者も成長率を1%未満と予想している。前回1月の調査では、マイナス成長を予想した回答者は全体の10%にとどまっていた。景気後退は2四半期連続のマイナス成長と定義されることが多い。NABEによると、3カ月前よりも悲観的になったとの回答が全体の70%を占めた。 ニューヨーク2008年4月18日 時事通信 米金融最大手シティグループが18日発表した第1・四半期(1~3月)決算は低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題絡みの評価損などが152億ドル(約1兆5600億円)に上ったことから、前年同期の50億1200万ドルの最終黒字から51億1100万ドルの赤字に転落した。 また、金融市場の混乱が本格化した昨年下期以降のサブプライム関連損失は累計で約450億ドル(約4兆6000億円)に達した。 赤字決算は昨年第4・四半期(98億3300万ドル=約1兆円)に続き、2期連続。このため、従業員約37万人のうち、9000人を削減する方針を示した。また、サブプライムローンに直接起因する評価損は60億ドルに達した。1株当たりの赤字は1.02ドルで、市場予想平均の0.95ドル(トムソンファイナンシャル調べ)より大きかった。 2008年4月11日 ロイター、ワシントン 11日にワシントンで開かれた7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、欧米は市場混乱や世界経済に厳しい認識を示した。 景気悪化を示す材料が相次ぐ米国。G7が開催された11日に発表された4月の米ミシガン大学消費者信頼感指数も26年ぶりの低水準という結果だった。 ポールソン米財務長官は、G7閉幕後の記者会見で、金融市場の緊張が続いている、としたうえで「この先もさらに問題が待ち構えているかもしれない」と発言。「この時期のわれわれの取り組みにおける最重要課題は、実体経済への影響を抑えることだ」と述べた。 G7の共同声明は「われわれの経済が長期的に回復力を有していることを確信しているが、短期的な世界経済見通しは悪化した」、「国際金融市場の混乱はいまだにチャレンジングであり、われわれが想定したよりも長引いている」としている。 <金融安定化フォーラムが最終報告書> G7は、最終報告書に盛り込まれた市場混乱の再発防止に向けた提言に支持を表明し、具体的な項目を挙げて実行する方針を示した。 米サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅ローン)の焦げ付き急増は、信用市場に波及し世界的な信用不安に発展。米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)など米欧の中央銀行は、市場への資金供給拡大、政策金利の引き下げといった対応を迫られた。 独連銀のウェーバー総裁は会見で、2007年と2008年第1・四半期に銀行が計上したサブプライム関連の評価損が約2250億ドルと指摘。シュタインブリュック独財務相は「このような数字は、かなりの懸念要因といえる」と述べた。 <共同声明の為替部分が修正> 今回の共同声明では、為替に関する部分が修正された。 修正について、パドアスキオッパ伊経済財務相は「過去数年間見られなかった懸念を反映している」と説明。 欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は、為替に関する声明をどう理解すればよいか、との質問に「詩のようなものだ、それ自体が物語っている」と答えた。 2008年4月12日 読売新聞 【ワシントン=広瀬謙哉】 先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が11日、ワシントンで開かれ、共同声明を採択した。 声明は、世界経済について「引き続き困難な時期に直面し、短期的な見通しは悪化した」と厳しい認識を示し、国際金融市場の混乱も「想定したより長引いている」と指摘した。また、為替市場でのドルの急落に対し、懸念を示した。金融不安を抑え込むための安定化策としては、各国の金融当局が連携して大手金融機関への監視を強めることなどを挙げた。 世界経済の現状認識では、米国の低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」焦げ付き問題をきっかけにした混乱から抜け出すどころか、さらに悪くなっているとの厳しい見方だ。前回(2月)、前々回(2007年10月)に用いた「ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は引き続き堅固」との表現は消えた。 為替相場については「前回の会合以降、主要通貨において時として急激な変動があった」と指摘した。「経済や金融の安定へ与える影響を懸念している」として、円やユーロに対するドルの急落に強い懸念を示した。特定の通貨を念頭にG7共同声明が為替相場に懸念を表明したのは、ユーロ安が進んでいた2000年9月のプラハG7以来だ。 そのうえで共同声明は、各国が「引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する」との前回声明の表現を踏襲した。金融安定化策の内容は、日米欧の金融監督当局などで作る金融安定化フォーラムが最終報告書をG7に提出し、了承された。 「100日以内」に実行しなければならない優先順位の高い勧告として、金融機関に対し、今後発生する損失見込みなどについて、次回の決算発表時に開示することなどを求めた。08年末までに実施する施策として、国際的に活動する大手銀行や証券会社ごとに監視するため各国の金融監督当局による会合を設置することなどを挙げた。 会議後には、みずほコーポレート銀行、米シティグループなど日米欧の金融機関10社を招いた夕食会が開かれ、金融市場の見通しなどについて意見交換した。金融機関側からは「今後も悪いニュースが出てくる」など、市場の安定化にはなお時間がかかるとの意見もあった。 2008年4月14日 フィスコ ドル・円は、シドニー市場の高値101円97銭から101円04銭まで下落後、101円40-50銭で小動き。ユーロ・円は、158円61銭から159円67銭で推移。ユーロ・ドルは1.5658ドルから1.5730ドルで推移。 昨年末、米系金融機関は、米国財務会計基準審議会(FASB: Financial Accounting Standards Board) 157号 により、レベル3 (時価の推測が基本的には必要なく、簿価で評価) を「公正な評価 fair value 」、すなわち限りなくゼロの時価評価への強制評価を余儀なくされたが、今月は、バーナンキFRB議長が時価評価の緩和を示唆しており、金融安定化フォーラム(FSF)は、公正価格の見積もりを要請していることから、G-7 による緩和合意の可能性が指摘されている模様。 仲値:101円44銭 フィラデルフィア 2008年4月13日 ロイター 13日付の米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)電子版は、米ワコビア WSJによると、13日夜にも最終的に条件がまとまる見通しだが、ワコビアは60億ドルから70億ドルの資本注入を受け入れる可能性がある。投資家は、1株あたり23─24ドル前後で株式を取得する見通しという。ワコビアからのコメントは、現段階では得られていない。 2008年 4月 11日 ロイター ゴールドマン・サックス のアナリストは11日、米大手貯蓄金融機関ワシントン・ミューチュアルが 2008年に、140億ドルのクレジット損失の引き当てを余儀なくされる可能性があるとして、同銘柄の空売りを推奨した。 ゴールドマンのアナリスト、ジェームズ・フォザリンガム氏は リポートで、ワシントン・ミューチュアルの08年の損失が1株当たり 3.30ドルとなり、10年まで利益を計上できない状態が続く可能性があるとの見通しを示した。これまでは08年の1株損失を1.00ドルと予想していた。 09年の見通しについては、従来の1株当たり1.10ドルの黒字予想から、損益均衡に引き下げた。投資判断は「セル」で、目標株価を12ドルから10ドルに引き下げた。また、住宅ローン関連の損失を170─230億ドルと推定。しかし、これまでに処理した額は30億ドルにとどまっていると指摘した。 そのうえで「今年発生すると予想されるクレジット費用を踏まえれば、ワシントン・ミューチュアル株の空売りを推奨する」と述べた。 米連邦準備制度理事会(FRB)がベア・スターンズの救済を支援してから初めて取られた世論調査で、明らかになっている。 住宅価格の底打ちについては、「2009年の上半期」との予想が最も多く38%。次いで「09年下半期」が29%だった。FRBは景気が08年下半期に改善するとの予想を示す一方、「08年下半期」に底打ちするとの回答は17%に止まった。 今回の調査ではベア・スターンズヘのFRBの対応について、86%が支持すると回答。 ただバーナンキFRB議長への信任は100点中78点と、2月調査時点の75点から小幅に上昇したに過ぎない。 一方でポールソン米財務長官に対する採点は2月時点の74点から73点とわずかに低下した。 経済を下押しする要因として最も多かった回答は「信用市場の悪化」で35%。 次いで「消費支出の低下」が25%と並ぶ。「住宅市場」との回答は13%だった。 ● (副島隆彦注記。私は、農林中金の 以下の記事とほとんど同じ内容の日経新聞の同時期の記事を読んだ。 この 高谷正伸(たかたに まさのぶ)理事 は、この4月の時点で、生贄にされることが世界基準では決まっていたということなのだろう。 こういうことを分かってやっている。やはり、この4月に、大きな態勢、と体制の組み換えを、グローバリストたちはやったのだろう。注記終わり) 「今の金融市場は絶好の投資機会=農林中金専務理事」 2008年4月8日 東京、ロイター 農林中央金庫は足元の市場環境を「絶好の投資機会」とみて、積極的な有価証券投資を行う。同社の高谷正伸専務理事は8日、同社や野村ホールディングスが出資するプライベート・エクイティ・ファンド・リサーチ・アンド・インベストメンツ の開業記念セミナーで「ここは絶好の投資機会とみており、相当量の投資をすることを決めたばかりだ」と述べた。 具体的な投資対象や投入額については言及しなかったが、足元では「金融株を買いに入っている」ことを明らかにした。農林中金は積極的な有価証券運用で知られており、07年3月期の総資産68兆円のうち、有価証券が52兆円を占めている。「10年前に大きくグローバルな分散投資に舵(かじ)を切った」(高谷氏)結果、有価証券の5割程度を海外分が占めている。 07年9月中間決算ではサブプライム関連商品で384億円の償却を実施するなど、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題による打撃も受けているが、「日本のような成熟経済では貸し出し需要がそうは増えないとの見通しは変わらない」(同氏)ため、今後も国際分散投資を続ける方針という。 高谷氏によると、同社のポートフォリオは債券が約50%、株式が10%、クレジットが20%、不動産が7%、オルタナティブが2.3%などとなっており、オルタナティブのほぼ半分がプライベート・エクイティ(PE)で残りがヘッジファンド。 同社はPE投資を96年に開始するなど、オルタナティブ分野でも他の国内勢に比べ先進的。高谷氏によると、PEは当初2年は運用成績がマイナスだったが、その後は好調で「10年あれば7年がプラス20%、3年がマイナス20%という感じで、10年間投資するならこのアセットを積んだ方がいい」との見方を示した。 同氏は「グローバル分散投資には、いいものと悪いものが必ず混在していて悪いものを許容することも大事」と指摘。「伝統的アセットについては(運用の悪化を)許容するのに、新しいアセットについては損失が出ると『なぜ』となる。運用者はしっかり防御しないといけない」と述べた。 農林中金はポートフォリオの三分の1を外部の運用会社に委託しており、ヘッジファンドやPEについては全て外部ファンドに委託している。委託分については多額の手数料を支払っているが、高谷氏は「世界のいろいろなアセットクラスのマネージャーを雇うことができたので、この10年で大きく(ポートフォリオを)変えることができた」と指摘した。 今後のPE投資については、サブプライム問題による信用収縮で世界でPE案件が減速しているため、「今年はお休みの年」になるという。ただ、一連の混乱が収束し、景気が上向く局面では再び投資の好機が来るとみており「今は力をためて次の展開に備える準備をする時期」と述べた。 共同通信、ニューヨーク 2008年4月4日 4月中旬に本格化する米金融機関の今年1~3月期決算発表で、再びサブプライム(高金利型)住宅ローン問題関連の巨額損失が計上される見通しが強まっている。 米アナリストは米銀最大手、シティグループの損失を100億ドル(約1兆円)超と見積もるなどしているが、各社の損失が予想を大幅に上回ると、市場が再び動揺する恐れもありそうだ。 米証券大手のゴールドマン・サックスは、シティが約120億ドルの損失を計上すると予想。ほかのアナリストのリポートでは約131億ドルに達するとの見方もある。 同ローン問題が本格化した昨夏以降、計300億ドル規模の損失を計上しているシティは、累計が400億ドル超に膨らみそうだ。 昨夏以降の損失が計250億ドル規模の米証券大手、メリルリンチも、各アナリストが今年1~3月期は20億ドル以上と予想。50億ドル超との指摘もあり、シティとともに同期決算が赤字になるとの見方が広がっている。 両社に比べ、これまでの打撃が少ない米銀大手のバンク・オブ・アメリカとJPモルガン・チェースの損失は、いずれも数十億ドルの範囲との予想が多い。 (転載貼り付け終わり) 副島隆彦拝
●「英大手銀が損失1兆2000億円計上、株主割当増資を実施へ」
● 「商業銀行保有のモーゲージ証券と500ポンドの国債との交換を提案=英中銀 」
●「 サブプライム損失、計4兆6000億円=米シティ2期連続赤字」
● 「G7、米財務長官は市場混乱で「この先さらに問題も」 欧州は為替文言修正で成果」
今回のG7の目玉の一つは、金融安定化フォーラム(FSF)の最終報告書だった。
共同声明の為替に関する部分は前回2月の東京G7まで「為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきとの考え方を再確認」、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない」、「われわれは、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する」というのが常套句(じょうとうく)化していたが、今回は「前回の会合以降、主要通貨において時として急激な変動があり、われわれはこれらが経済および金融の安定へ与え得る影響について懸念している」という表現が盛り込まれた。ユーロ高が進行する為替市場の不安定な動きに懸念を表明していた欧州勢の意向が反映された格好だ。
● 「G7声明、世界経済さらに悪化…ドル急落に危機感」
● 「「為替」 FASBのfair valueの解釈⇒G-7緩和合意?
101.40/ドル・円東京為替市場概況」
NYMEX原油先物時間外取引:高110.14ドル、安109.61ドル、直近109.69ドル(史上最
高値112.21ドル)
日経平均株価:始13132.67円、高13132.67円、安12917.92円、直近12971円。
《MY》
● 「米ワコビア、60─70億ドルの資本注入を受ける可能性」
● 「 米ワシントン・ミューチュアル、08年クレジット損失140億ドルの可能性=ゴールドマン 」
● ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は2008年4月11日、 米エコノミストの73%が「米経済は底打ちを確認していない」との認識と報じた。
● 「シティ損失1兆円超か 米アナリスト1-3月予想 市場、再び動揺も」
副島隆彦です。 今日は、2009年6月3日です。
2008年1月の記事を載せます。 副島隆彦記
(転載貼り付け始め)
●「イラク・アフガン戦費が93兆円。ヴェトナム戦争を超過、戦費が財政圧迫要因に」
2008年1月28日 ワシントン 時事通信
ブッシュ米大統領が4日議会に提出した2009財政年度予算教書で、 イラク・アフガニスタン戦費が累計で8691億ドル(約93兆円)に達することが明らかになった。米議会予算局(CBO)によると、イラク、アフガン戦争のために既に拠出されたり、予算として支出されることが決まった歳出の総額は6910億ドルで、既にベトナム戦争の費用(インフレ調整済みで約6000億ドル)を超えた。
これに加え、大統領は、08年度と09年度の補正予算で計1781億ドルを追加要求する予定で戦費が大きな財政圧迫要因となっている。
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities/
idJPnJT810965720080128
イラク戦争継続で軍事予算700億ドルを要求。09年度米予算
ttp://jp.reuters.com/article/domesticEquities/
idJPnJT810965720080128
● 日経新聞 2008年1月27日
仏ソシエテ巨額損失、不正取引持ち高は8兆円近くに 仏銀大手ソシエテ・ジェネラルの巨額損失問題について同行は27日、元ディーラーによる不正取引の持ち高(ポジション)が、20日時点で500億ユーロ(約7兆8000億円)に達していたと発表した。これは同行の時価総額(約360億ユーロ=約5兆6000億円)を上回る規模。
● 「サブプライム:日米欧の金融グループの損失、13兆円超す」
2008年1月24日 毎日新聞
米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に絡み、日米欧の主要金融グループが昨年末までに計上した関連損失が 総額約13兆円超に達していることが、23日分かった。 損失額は主要金融グループの年間の最終利益の合計(約30兆円)のほぼ4割に膨らんだ。
欧米の大手行などが保有するサブプライム関連の証券化商品の残高は 「全体で60兆~80兆円にのぼる」(アナリスト)と見られている。損失処理の進ちょく具合は各金融機関ごとに保有額に対して3~8割とばらつきがあり、米シティグループなどは、08年1~3月期以降も巨額の追加損失計上を迫られる可能性が高い。サブプライム不安は簡単に収まりそうにない。
22日にまでに07年12月期(一部07年11月期)決算が出そろった米金融大手7社の損失額は757億ドル(約8兆円)と日米欧の主要金融グループの損失全体の6割を占めた。個別では、米シティグループが286億ドル(約3兆円)で最大で、次いで米証券大手メリルリンチの225億ドル(約2.4兆円)だった。
スイスUBSと米モルガン・スタンレーも損失が1兆円を超えている。昨夏にサブプライム問題が表面化して以来、欧米の金融機関の損失が急激に膨らんだのは、米住宅バブル崩壊によってローンの焦げ付きが急増し、 サブプライム関連の証券化商品の買い手が付かなくなったためだ。市場価値の暴落に歯止めがかからず、 証券化商品の在庫を大量に抱えたシティなどが巨額の評価損計上を迫られた。
欧米金融グループは損失処理と同時に中東の政府系ファンドなどからの大規模な資本支援も受けたが、問題収束に向けた打ち止め感は出ていない。11月末までにモルガン・スタンレーが保有残高の約8割の損失処理を行った一方、シティの損失処理は約3割強にとどまるなど、各グループで損失処理の進ちょく状況に大きな差があることも市場の不信を呼んでいる。
特にシティは「モルガン・スタンレー並みにするには、260億ドル(約2.8兆円)の追加損失処理が必要」(米アナリスト)とされ、損失拡大が懸念されている。【斉藤望】
● 「投資家ソロス氏:現在の金融市場危機は60年で最悪-FT紙」
Soros Sees Worst Market Crisis in 60 Years: FT Link
2008年1月22日 ブルームバーグ
米投資家ジョージ・ソロス氏は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)への寄稿で、金融市場の現在の危機は過去60年で最悪との見方を示した。同氏の寄稿は22日、FT紙ウェブサイトに掲載された。
ソロス氏は、現在の金融市場危機は米住宅市場のバブルによって加速したが、ある意味では、第2次世界大戦後4-10年間隔で繰り返されてきたこれまでの危機と似ているとする一方で、実は大きな違いがあると指摘した。同氏によれば、現在の危機はドルを基軸通貨とした与信拡大の時代の終えんを意味する。
これまでの周期的な危機は大きな流れの中でのブームと破裂だったが、現在の危機は60年余り続いた「スーパーブーム」の終着点だと同氏は解説している。
●「日興株が上場廃止 来週シティの子会社に 」
共同通信 2008年1月22日
外資系企業が株式交換で日本企業を買収する「三角合併」の手法で、米シティグループの完全子会社となる日興コーディアルグループの株式は22日、 東京証券取引所で最後の取引が行われた。最終株価は前日比157円安の1364円だった。
上場廃止は23日付。29日にシティの完全子会社となる。 米サブプライム住宅ローン問題で低迷するシティ株との交換を敬遠する投資家の売りなどで値を下げた。
●「米国 サブプライム問題で倒産した住宅金融会社の副社長、妻を殺害して自殺」
東京新聞 、共同通信 2008年1月20日
サブプライム住宅ローン問題で倒産に追い込まれた米メリーランド州の 住宅金融会社の副社長(59)が、妻を殺した後に自殺した。AP通信が19日、報じた。捜査当局は夫婦関係の問題が動機で、倒産による心中ではないとしている。
副社長はデラウェア州とニュージャージー州境を流れる川の橋から投身自殺。現場近くの車の中に、 妻(37)を殺害したことをほのめかす遺書があり、自宅で妻が頭部を強打されて死んでいるのが見つかった。 副社長の会社は住宅を抵当に住宅ローンを組む金融会社で、2006年には社員約1000人、貸付額約55億ドル(約5900億円)の業績だったが、サブプライム問題で破たんし、整理途中だった。
●「3邦銀が米大手と出資協議 総額1兆円規模と英紙」
2008年1月16日 共同通信、産経新聞
英紙タイムズ(電子版)は16日、米サブプライム住宅ローン問題で巨額損失を出している複数の米金融大手に対し、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループの3金融大手が総額で100億ドル(約1兆600億円)規模の資金を用意して、出資に向け準備協議を始めたもようだと報じた。
アジアや中東などの政府系ファンドが行う欧米金融機関への「出資競争」に日本のメガバンクも参入。サブプライムローン問題のアジアへの本格的な波及を抑えるため、中心的役割を果たす狙いがあるとしている。
みずほコーポレート銀行は15日、米大手証券メリルリンチに約12億ドルを出資することで合意。ほかに米銀最大手シティグループ、証券大手リーマン・ブラザーズやベアー・スターンズなどが交渉先として取りざたされている。
同紙は、日本の大手銀行はバブル経済崩壊後、膨大な不良債権を抱え経営が悪化したが、公的資金注入で立ち直ったと紹介。投資家は資金のより効率的な活用を求めており、米金融大手への関心が高まっていると指摘している。
●「シティ増資、出資者にサウジ王子と中国の銀行 」
2008年1月12日 読売新聞
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は11日、米大手銀行のシティグループが計画中の最大100億ドル(約1兆800億円)の出資者に、サウジアラビアのアルワリード・ビンタラール王子と、中国の政策銀行「国家開発銀行」が含まれると報じた。
シティの受け入れ規模は総額80億~100億ドルになる見通しで、このうち約20億ドルを国家開発銀行が出資するという。 一方、アルワリード王子は世界的に著名な投資家で、シティの大株主。
今回の出資額はまだ不明だが、1991年には、シティの前身であるシティコープが南米向け融資の焦げ付きなどで経営難に陥った際、救済のため6億ドルを出資したことがある。 シティは低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」問題による損失で傷んだ財務基盤を立て直すため、昨年11月に、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁から75億ドルの出資受け入れを表明している。資本増強に向けた今回の動きは、それに続く措置となる。
● 2008年1月12日
損害保険ジャパンは11日、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連で340億円の損失が発生したと発表した。 サブプライム関連では、あいおい損害保険が252億円の損失を計上しており、損保業界で影響が広がってきた。
2008年3月期の連結業績予想も下方修正。経常利益は昨年11月時点の1000億円から800億円に、純利益は同630億円から500億円にそれぞれ修正した。 損保ジャパンは、サブプライムローンを組み込んだ債券の1つである債務担保証券(CDO)に対し保険の形で元利払いを保証している。
CDOの利払いが滞ると損保ジャパンが保険金を支払う仕組み。保証対象の債券の総額は2400億円。
●「米国株、ダウは百余年ぶり最悪の年明け-景気後退を懸念」
U.S. Stocks Fall After Job Growth Misses Forecast;
2008年1月4日 ブルームバーグ
米株式相場は大幅下落。S&P500種株価指数の年初から3日間の下げ率は2000年以来で最大となった。米労働省が4日発表した12月雇用統計と米供給管理協会(ISM)が2日発表した同月の製造業景況指数はいずれも景気の弱さを示す結果となり、米経済がリセッション(景気後退)に陥るとの懸念がさらに強まった。
S&P500種株価指数は前日比35.53ポイント(2.5%)下げて1411.63。年初から3日間の下落率は3.9%と、2000年に記録した同4.6%以来で最大。ダウ工業株30種平均は256.54ドル(2%)安の12800.18ドルとなった。年初来3日間の下落率としては1904年以来で最大。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は1対10。
金利先物市場動向によると、1月30日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標が0.5ポイント引き下げられる確率は68%と、前日の34%から上昇。一方、0.25ポイント引き下げられる確率は32%に低下した。
●「イラク・アフガン戦費が93兆円。ヴェトナム戦争を超過。戦費が財政圧迫要因に」
2008年1月4日 時事通信、ワシントン
ブッシュ米大統領が4日議会に提出した2009財政年度予算教書で、イラク・アフガニスタン戦費が累計で8691億ドル(約93兆円)に達することが明らかになった。
米議会予算局(CBO)によると、イラク、アフガン戦争のために既に拠出されたり、予算として 支出されることが決まった歳出の総額は6910億ドルで、既にベトナム戦争の費用(インフレ調整済みで約6000億ドル)を超えた。これに加え、大統領は、08年度と09年度の補正予算で計1781億ドルを追加要求する予定で、戦費が大きな財政圧迫要因となっている。
ttp://jp.reuters.com/article/domesticEquities/
idJPnJT81096572008012
「イラク戦争継続で軍事予算700億ドルを要求。09年度米予算 」
● 「 3メガ銀、信用デリバティブが急増 」
日経新聞 2008年1月3日
みずほフィナンシャルグループなど3メガバンクで貸し倒れリスクを軽減するための信用デリバティブ取引が急増している。2007年9月末の想定元本は合計で30兆6000億円と前年同期の2.2倍に拡大。
特定の企業や業種に集中したリスクを分散するための手法として定着していることが背景にある。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に伴うリスクを減らすため取引がさらに膨らむ可能性がある。
信用デリバティブは倒産などで融資先が返済できなくなった際に、支払いを保証する取引。保険に似た仕組みで、保証を受ける側は事前に手数料を払う。取引は1990年代後半から始まったが、この1―2年で急増した。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
続けて、2007年12月の記事をまとめて載せます。副島隆彦記
(転載貼り付け始め)
●「米シティ 日本事業の売却検討か サブプライム損失の恐れ 」
2007年12月29日 毎日新聞
28日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは、米銀最大手シティグループが日本の消費者金融事業など最大計120億ドル(約1兆3600億円)の資産を売却する可能性があると報じた。
シティはサブプライム住宅ローン問題に関する損失が拡大。11月にアラブ首長国連邦(UAE)の 政府系投資機関、アブダビ投資庁(ADIA)の出資受け入れを表明したが、さらに巨額の損失が 発生する恐れが指摘されており、一層の資本増強に迫られるとの見方が広がっている。
日本の消費者金融事業のほか、学生向けローン事業など不採算事業を中心に売却を検討しているという。 また同紙は、英銀大手HSBCホールディングスも、自動車ローン事業を売却する可能性を伝えた。
●「米国株:大幅反落、パキスタン元首相暗殺などを嫌気 」
2007年12月28日 ニューヨーク、ダウ・ジョーンズ
27日の米国株式相場は大幅反落。弱めの米経済指標、金融大手の評価損計上が拡大するとのアナリスト予想、パキスタン元首相暗殺のニュースなどを受け、売りが加速した。ダウ工業株30種平均は5営業日ぶり、ナスダック総合指数は7営業日ぶりの反落となった。
ダウ平均の終値は前日比192ドル08セント(1.42%)安の1万3359ドル61セント。ナスダック総合指数は同47.62(1.75%)安の2676.79、S&P500種指数は同21.39ポイント(1.43%)安の1476.27で引けた。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の出来高は概算で9億8400万株。
パキスタンの首都イスラマバード近郊でベナジル・ブット元首相が暗殺されたと伝えられたのを受け、寄り付き前から先物が売られた。バンク・オブ・アメリカのチーフエコノミスト、ミッキー・レビー氏は「これでネガティブなムードとなったことは確かだ」と述べた。
キャンター・フィッツジェラルドの米国市場ストラテジスト、マーク・パド氏は「地域情勢の不安定化は原油高につながり、米連邦準備制度理事会(FRB)にとってさらなる重荷となる」と述べた。
この日発表された米経済指標は景気の先行きに対する懸念が強まる内容だった。11月の耐久財受注は前月比0.1%の増加にとどまり、市場予想をかなり下回った。また、12月22日までの週の新規失業保険申請件数は1000件増の34万9000件と今年3番目の高水準となり、労働市場の悪化を示唆する最新例となった。
コンファレンスボードの12月の消費者信頼感指数は88.6と、2年ぶりの低水準だった11月の87.8からは改善した。しかし雇用市場に対する消費者の態度は悪化した。
また、信用市場に対する不安も再び広がり、金融株が売られた。ゴールドマン・サックスのアナリストは、金融大手3社の評価損予想を大幅に引き上げた。それによると、ゴールドマンは、シティグループ(NYSE:C)、メリルリンチ(NYSE:MER)、JPモルガン・チェース(NYSE:JPM)が10-12月期に計上する見込みの評価損を合わせて336億ドルとみている。
シティグループは89セント(2.92%)安の29.56ドル、メリルは1.34ドル(2.46%)安の53.20ドル、JPモルガンは1.30ドル(2.89%)安の43.64ドル。
また格付け会社のフィッチ・レーティングスはMBIA(NYSE:MBI)、アムバック・ファイナンシャル・グループ(NYSE:ABK)などの債券保証引受会社が保証する205の住宅ローン担保証券(RMBS)を格下げの方向で見直すとした。MBIAは6セント(0.27%)安の22.27ドル、アムバックは1ドル(3.32%)安の29.14ドル。
学生向け融資最大手のSLM(通称サリーメイ)は2.48ドル(11.21%)安の19.65ドル。同社は前日の取引終了後、普通株と強制転換優先株の公募により25億ドルを調達すると発表した。
● 2007年12月27日
須田慎一郎 ・・・ 先日、東証の斉藤社長と話をしたときに、「ゴールドマンサックスは世界マーケットを支配を目的としているから」とポロッというんですよ。そういう認識は正しいと思いますね。何も謀略史観でいっているわけではなくて、勝負するリングが世界に広がった以上、そこのチャンピオンになることは世界制覇をするということにつながる。
それから、これは日本でほとんど報道されませんが、米中経済協議というものがあります。中国の株式市場は外資規制がありますけれども、外資が買える枠を倍にするということを、アメリカが中国に飲ませてるんですね。おまけに、中国の4大銀行すべて株式を公開して、ニューヨークにも上場しています。
さらに4大銀行に続く十大銀行も、次々と株式公開に踏み切っている。それらすべての主幹事証券会社がアメリカ系なんですね。
須田・・・いよいよアメリカ金融資本が、中国と一体化、あるいは中国にアクセスすることによって覇権を握る方向にいくのかな、という気がします。その中で、日本のマーケットはどう位置づけられているのか。そして日本人はどう生き残っていくのかを考えないといけない。
● 「米サブプライム基金断念 「損失先送り」と不信感 」
朝日新聞 2007年12月23日
米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題への対策として、米3大銀行が設立を目指した「サブプライム支援基金」構想が頓挫した。サブプライムショックによる市場の混乱を鎮めることを狙ったが、逆に、効果が不透明な「損失先送り」と不信感を広げた。
基金構想は、シティグループやバンク・オブ・アメリカなど米3大銀行が中心となって10月に発表した。当初の規模は800億ドル(約9兆1000億円)で、サブプライム問題で資金繰り難に直面したシティなどが事実上傘下に抱える運用会社(SIV)を救済する計画だった。
だが、発表直後から「基金設立でも証券化商品の信用は戻らない」など足元の米金融界で批判が続出。証券化商品の下落が続けば、数年後には基金で購入した商品についても損失の処理が必要になるためだ。
欧米日の約20の金融機関に対し、協調融資の形で協力を呼びかけたものの、損失拡大を懸念する欧州金融機関は当初から及び腰。約50億ドル(約5500億円)の融資枠の設定を求められた三菱UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクには「巨額の融資の割に条件があいまい」という戸惑いの声が当初からあった。
米大手銀の焦りもうかがえたが、結局、邦銀勢は「株主に説明できない」と断る方針に傾いた。損失への懸念から、自行の株価が急落したことが背中を押した。 解決の決め手が見つからないサブプライム危機は、基金構想の頓挫でますます混迷の度を深めそうだ。
●「 日本とヨーロッパの銀行が出資を敢然と拒否した結果、アメリカが、「サブプライム基金」(別名:Super Fund ,Super SIV) の設立を断念 」
2007年12月 21日
(副島隆彦注記。 サブプライム危機を、一服させた、昨年11月には、以下のような記事が出ていた。それを、2008年の1月初め(3日)から始まった、NYの大下落相場が、襲った。そして、サブプライム危機の再燃が、言われて、「シティの9-12月期の損失、2.5兆円(235億ドル)」の発表が、1月14日にあって、それで、世界中が、連日暴落となった。
インドもひどいようだ。ブラジルもひどい。今度は、中国(香港も)も下げている。 日経平均は、1月22日で、13000円を割って、12000円台に突入したようだ。NYも、12000ドルを割るだろう。 副島隆彦注記。2008年1月22日記)
●「モルガン、東京のシティバンク銀本店ビル購入 」
2007年12月19日 日本経済新聞
米モルガン・スタンレーが傘下の不動産ファンドを通じ、米シティグループが保有する東京・天王洲の 大型オフィスビル「シティグループセンター」を約480億円で購入したことが18日わかった。 シティは保有資産の圧縮をめざして昨年から同ビルの売却を検討。日本の不動産市況の先行きを依然として強気にみるモルガンへの売却を決めた。
同ビルは22階建てで、シティが1992年に建設した。シティバンク銀行が本店を置き、同銀行の個人金融部門などが入居している。シティは売却後もモルガンからオフィスを賃借し、同ビルで営業を続ける見込み。
● 「住宅ローン担保証券(RMBS)に対する「逆張り」で4480億円の利益…サブプライム問題を予見 - 米ゴールドマンサックス」
時事通信 2007年12月14日
2007年12月14日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は、米国の低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題が 深刻化する前の段階で、リスクの高い住宅ローン担保証券(RMBS)の 下落を予測する「逆張り」投資を行った米証券大手ゴールドマン・サックスの一部トレーダーらが、11月末までの1年間で40億ドル(約4480億円)近い予想外の巨額の利益を上げたと報じた。
サブプライム住宅ローンの焦げ付きに端を発した金融危機は、 ウォール街(米金融街)の大半の金融機関に深刻な打撃を与えており、 ゴールドマン自身もRMBS関連で15億~20億ドルの損失を被った。
しかし、同社が逆張り投資で稼ぎ出した利益は、こうした損失を埋め合わせて なお余りあるもので、同社は来週発表する決算で過去最高益を計上する見通しだ、と同紙は指摘している。
● 「 米ワシントン・ミューチュアルが減配・人員削減へ、優先株発行で資本も増強」
2007年12月10日 ニューヨーク、ロイター
米最大の貯蓄金融機関である ワシントン・ミューチュアル は10日、配当の73%引き下げと全従業員の11%に相当する3150人の人員削減計画、25億ドルの資本増強策を発表した。同社は住宅ローン関連損失が2008年に拡大すると見込んでいる。
住宅ローン需要の急激な減少を受けて、住宅ローン業務で2600人、法人支援業務で550人を削減するほか、336の住宅ローンオフィスのうち190を閉鎖、信用度の低い借り手(サブプライム)向けの融資を停止する。同社は住宅ローン業務スタッフの22%削減とサブプライムローンからの撤退により、来年には約5億ドルの営業経費が削減できると予想している。
配当については、直近四半期の1株当たり0.56ドルから0.15ドルに削減する。減配前の率で計算すると、株価の下落もあって配当利回りはほぼ12%に達していた。格付け会社イーガン・ジョーンズ・レーティングスのマネジングディレクター、ショーン・イーガン氏は「全米を襲っている住宅ローン津波の新たな犠牲者だ」と指摘した。
インサイド・モーゲージ・ファイナンスによると、ワシントン・ミューチュアルは2007年1─9月で全米第6位の住宅ローン会社。10日の発表を受けて同社株は時間外取引で8%下落した。ワシントン・ミューチュアルはまた、市場の低迷が来年にはさらに悪化し、米国全体の住宅ローン組成が40%減少して1兆5000億ドル規模になるとの見通しを示した。
10日午後には格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが長期債務格付けを「A3」から「Baa2」に2段階引き下げ、同社の格付けはジャンク(投機的)等級に近付いた。同社はまた、25億ドル相当の転換優先株を発行する。
第4・四半期決算については、住宅ローン部門ののれん代償却費(非現金)16億ドルの計上により、最終赤字を計上する見通しを示した。さらにローンの焦げ付きや支払いの延滞を受け、第4・四半期に従来見通しの2倍の15億─16億ドルの貸倒引当金を積む方針を示した。貸倒引当金は第1・四半期には20億ドル程度に拡大する見込みという。
ただ同社は第4・四半期の償却費計上で、自己資本比率や流動性が痛んだりすることはないとしている。ケリー・キリンジャー最高経営責任者(CEO)はこれらの措置によってリテールバンキングを中心に、さまざまなイニシアチブの追求が可能になると説明した。
● 「PIMCOのグロス氏:米国はゼロ成長に向かっている-CNBC 」
Pimco's Gross Tells CNBC U.S. Is `Getting Close' to Recession
2007年12月11日 ブルームバーグ
債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の投資責任者ビル・グロス氏は 11日、米経済専門局CNBCとのインタビューで、米経済はリセッション(景気後退)に近い状態になりつつあるとの見方を示した。同氏は米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ発表後に語った。
FOMCはこの日、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25ポイント引き下げ4.25%とした。グロス氏は「米経済はゼロ成長へと向かっている」とした上で、「必ずしもリセッションではないが、それに近い状態になりつつある。問題は、米金融当局内で意見が分かれていることだと思う。当局者の半分は事態が分かっているが、残りの半分は分かっていない」と語った。
同氏は、「当局者は景気が」FF金利や「FF金利先物で動いていると考えているが、景気は実は」LIBOR(ロンドン銀行間貸出金利)や「5、10、 30年のスワップレートによって動いている」と解説。LIBORを押し下げ、景気に金融緩和を浸透させるには公定歩合をFF金利に近づける必要があると指摘した。
グロス氏は「市場は凍りついてはいないが、いろいろな面で流動性がなくなっている。年末が近づくにつれて、流動性はさらに低下するだろう」として、「多くの人が公定歩合の50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げを望んだのは、年末の流動性を補うためだ」と説明した。
さらに、「12月31日と来年1月に近づくにつれて、問題が生じるだろう。見守るしかない」が、「当局はFF金利やFF金利ではなくLIBORを押し下げる必要があるのに、そのチャンスを逃した」と語った。
● 「米FRBが3回のオペで410億ドル供給、2001年9月以来の規模 」
ニューヨーク 2007年11月1日 ロイター
米連邦準備理事会(FRB)傘下のニューヨーク連銀は1日、3回のオペを通じ410億ドルの資金を供給した。1日の供給額としては、同時多発テロがあった2001年9月以来の規模となる。
FRBは前日、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準を0.25%ポイント引き下げ4.50%とした。きょう1日のオペは、利下げを受けたFF金利を目標水準に近づける試みを反映している可能性がある。
FF金利は、FRBの誘導目標である4.50%を上回る4.625%で推移している。 FRBの報道官は、オペの総額に言及しなかったが、1日の供給額としては2001年9月19日に実施した503億5000万ドルに次ぐ規模と述べた。 3回のオペでは、14日物レポで80億ドル、7日物レポで210億ドル、翌日物レポで120億ドルを供給した。
● 「FOMC:政策金利0.25ポイント下げ-物価・成長リスク「ほぼ均衡」
Fed Lowers Rate by a Quarter Point to 4.5 Percent
2007年10月31日 ブルームバーグ
米連邦準備制度理事会(FRB)は31日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げ4.5%に設定することを決めた。
さらに声明で、「今回の措置に伴い、インフレ加速と成長下振れのリスクはほぼ均衡する」と指摘。新たな金利水準で経済の先行きを見守る姿勢を示した。政策金利の引き下げ決定は9対1。ホーニグ・カンザスシティー連銀総裁は金利の据え置きを主張して、議長提案に反対票を投じた。
FOMCの利下げは9月18日の前回定例会合(50bp下げ)に続き2回連続。新たなFF金利誘導目標4.50%は、グリーンスパン前議長が退任当日の 2006年1月31日のFOMCで決めた水準と一致する。バーナンキ議長は就任後に決定した利上げをすべて解消したことになる。
この日のFOMC声明は「第3四半期の経済成長の足取りはしっかりしており、金融市場での圧迫はいくらか緩和された」と現状を楽観しながらも、「景気拡大のペースは短期的には減速する可能性が高く、これは一部、住宅部門の調整本格化を反映するものだ」と指摘。
「9月に委員会が取った措置と合わせ、今回の措置は金融市場の波乱が景気全般に与えうる悪影響の一部を抑止し、経済が長期的に緩やかに成長するのを促すのが目的」と表明。9月と合わせ75bpの利下げは景気後退回避へ向けた先制的な措置であることを強調した。
成長減速に身構え 米商務省がこの日に発表した7-9月期(第3四半期)の実質国内総生産(GDP、季節調整済み、年率)速報値は前期比年率3.9%成長に加速した。FOMC声明も前期までの高い成長を踏まえ、「第3四半期の経済成長の足取りはしっかりしている」と追認したが、住宅部門の調整進行などに伴い「短期的には成長ペースが鈍化する」と慎重にみている。
実際、第3四半期にも住宅投資は実質GDPに対し1.05ポイントのマイナス寄与となり、前期の0.65ポイントのマイナス寄与から、マイナス幅を拡大している。今期は個人消費が減速すると見られ、ブルームバーグが10日までにエコノミスト71 人を対象にまとめた今期の実質GDP予測中央値は1.8%増に鈍化する。
前日公表された8月のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数(全米20都市)は前年同月比で4.4%低下と、2001年の調査開始以来で最大の低下幅を記録。今後、逆資産効果による個人消費抑制も懸念される。
製造業も今春に踊り場から回復したのもつかの間、金融市場の混乱と住宅市場の不振を背景に勢いが落ちてきた。シカゴ購買部協会がこの日に発表した10月のシカゴ地区の米製造業景況指数(季節調整済み)は49.7と、9月(54.2)から低下。2月以来8カ月ぶりに再び拡大と縮小の分岐点である50を割り込んできた。
FTNファイナンシャルのアナリスト、リンゼー・ピエグザ氏は「今後はさらに悪化するだろう。金融市場だけでなく住宅市場からの悪影響もあり、経済活動の勢いは衰えている」と述べた。
当面は成長と物価の両にらみ 一方、ニューヨーク原油先物相場はこの日、バレル当たり94.80ドルの最高値を記録。ドル相場も対ユーロで最安値を更新するなど、インフレ要因が増えてきた。
FOMC声明は「今年に入り、コアインフレの数値は小幅に改善してきた」と現状を評価しつつ、「最近みられるエネルギーと商品価格の上昇を中心に、インフレへの上昇圧力が再燃すると考えられる」と指摘。「委員会はこうした展開に鑑み、インフレリスクが一部に残ると判断し、慎重にインフレの動向を見守っていく」と、インフレ警戒を怠らないことを強調している。
ハイ・フリークエンシー・エコノミックスのイアン・シェファードソン主任エコノミストは「これから発表される経済統計が成長の下振れリスク拡大を示さなければ、FOMCメンバーは仕事を終えたと考えている。原油や商品相場が上昇しており、インフレ懸念は払しょくできない」と話した。
JPモルガン・チェースの上席米国エコノミスト、ジェームズ・グラスマン氏はFOMC声明について、「FOMCは何も約束したわけではない。市場に対して『落ち着きなさい。データを判断する必要がある』と伝えようとしている。
景気に問題がなければ一段の利下げはしないだろう」と指摘した上で、「先行きはかなり不透明だ。利下げ打ち止めだとは断言できないだろう。危険はまだ多い」と楽観を戒めた。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
「この「第2ぼやき」記事を印刷する」
私は、4月22日から、体調を崩して、40日間ぐらい具合が悪かった。 6月に入って、かなり回復しました。それで、ここの第2ぼやきに、昔の記事の集成(束)を載せます。 2007年の10月と11月の記事です。
サブプライム危機が、2007年の8月17日に、勃発して、しばらくしてからの記事です。NYダウは、10月に、14000ドルの市場最高値をつけました。アメリカの指導者たちは、まだこの時期には、事態の深刻さに気付いていない。
そんなことがあるだろうか、と私たち日本人は、信じられないこととして疑う。彼らアメリカの指導者たちが、真っ青になって、慌てだしたのは、翌2008年の3月の、ベア・スターンズの破綻からである。 副島隆彦記
(転載貼り付け始め)
● (副島隆彦注記。以下の記事には私も笑った。シティのほうは、バンカメからの吸収合併の打ち上げ花火に、ムカッとしただろう。唖然としたと言ってもいい。ここには、食うか食われるかの大銀行(メガバンク)たちの関係の姿が如実に現れていて、まるでアフリカのサバンナのライオンの世界だ。おもしろい記事だ。副島隆彦注記終わり)
● 「バンク・オブ・アメリカが、 首位のシティグループに合併を打診」
2007年11月29日 読売新聞
【ニューヨーク=山本正実】 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は28日、米銀行2位のバンク・オブ・アメリカが、 首位のシティグループに合併を打診したと報じた。 シティの取締役会がただちに拒否し、合併協議には至らなかったという。
ただ、米大手銀は低所得者向け住宅融資 「サブプライムローン」焦げ付き問題で巨額の損失を出しており、立て直しには再編が必要との指摘も多い。 報道によると、バンク・オブ・アメリカが今月に入り、有力な投資銀行の仲介で非公式に打診した。 これに対しシティは「新しい最高経営責任者(CEO)が決まっておらず、合併を話し合うような時間はない」と断ったという。
シティは、サブプライム関連損失が最大約174億ドル(約1兆9000億円)に膨らむ見通しで、 今月4日、チャールズ・プリンス会長兼CEOが引責辞任した。26日には、経営立て直しの一環として、世界最大の政府系ファンド、アブダビ投資庁から75億ドル(約8200億円)の出資受け入れを決めた。
一方、バンク・オブ・アメリカは、サブプライム関連の損失が約38億5000万ドル(約4200億円)と傷が比較的浅い。 シティとの統合で業容を一気に拡大する戦略に打って出た模様だ。
●「米MBIA、08年第2四半期にも破たんの可能性=パーシングのアックマン氏」
2007年 11月 28日 ニューヨーク、ロイター
アクティビスト投資家のウィリアム・アックマン氏は28日、米金融保証会社のMBIA は、追加資本を調達できなければ2008年第2・四半期にも破たんする可能性があるとの見方を示した。
同氏が率いるヘッジファンド、パーシング・スクエア・キャピタルは、MBIAと同業アンバック・フィナンシャル・グループ の株式を売り持ちにしている。同氏は、MBIAは第4・四半期に22億ドルの、アンバックは42億ドルの損失を出すと予想している。
MBIAのスポークスマンは「08年第2・四半期に当社が破たんするというアックマン氏の発言に強く異議を唱える。同氏は02年にも同様の発言を複数行ったが、どれもはずれに終わっている」と述べた。
金融保証会社はサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)関連のストラクチャード・ファイナンス証券に多額の保証を提供しており、アックマン氏によると、サブプライム関連で巨額の評価損を計上したメリルリンチ やシティグループ と同規模のエクスポージャーがある。
金融保証会社は資本が比較的少ないため、保証した債券で少数でも大規模なデフォルト(債務不履行)が起これば、深刻な状況に陥る可能性があるという。MBIA株は年初来ほぼ60%、アンバック株は同75%近く、それぞれ下落している。
●「米シティグループ:コスト削減を検討、最大4万5000人を削減も…CNBC報 」
日経新聞 2007年11月27日
【ニューヨーク=蔭山道子】米銀最大手シティグループは26日、経営環境の悪化に対応するため、業務の効率化とコスト削減を検討中であることを明らかにした。
米経済専門テレビ局CNBCはコスト削減に伴い最大4万5000人を削減する可能性もあると報じた。これに対しシティは「報道された削減人数は事実に基づくものではない」とコメントしている。
●「シティなど銀行にさらなる損失リスク、今度は「導管」で-フォーチュン 」
2007年11月26日 ブルームバーグ
米誌フォーチュン(オンライン版)は26 日までに、大手銀行はコンデュイット(導管)と呼ばれる資金調達の仕組みに関連して、投資家に開示されていない巨額のリスクを抱えている可能性があると指摘した。同誌によると、コンデュイットが発行する証券の多くは住宅ローンなどの資産を担保としている。
銀行は資金調達のためにコンデュイットを設立する。コンデュイットは通常、銀行のバランスシートに連結されてはいないが、コンデュイットが証券を発行できなくなった場合は、債務担保証券(CDO)の場合と同様のプロセスでリスクが銀行のバランスシートに移ると同誌は説明している。多くの大手銀行は「コンデュイットに関する大きなリスクを抱えている」という。
フォーチュン誌によると、9月30日の時点で米銀シティグループには、コンデュイット関連で730億ドル(約7兆8400億円)の簿外資産があった。また、メリルリンチは50億ドル相当のコンデュイット資産を買い取った結果、2007年7-9月(第3四半期)に5億ドル余りの税引き前損失を出したという。
●「ジム・ロジャーズ氏、投資家に米ドル建て資産からの脱却勧める」
2007年11月15日 ブルーンバーグ
投資家ジム・ロジャーズ氏は15日、米ド ル建て資産を保有する投資家に対し、米ドルからの脱却を勧めた。また、自身の 米ドル建て資産を来年夏までに すべて処分する予定だと述べた。
ロジャーズ氏はシンガポールでインタビューに応じ、「ドルを持っている人には、処分を勧める。保有すべき通貨ではない」と語った。ロジャーズ氏は1999年に 世界的な商品相場の上昇を予言したことで知られる。 また同氏は、商品と円、人民元、スイス・フランを買っていることを明らかにした。
シカゴ商品取引所(CBOT)の金利先物動向によれば、12月11日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が4.25%に引き下げられる見込みは72%となっている。 ドルは9日、主要6通貨のバスケットに対し最安値を更新した。
●「7日間で56兆円吹き飛ぶ=東証1部の時価総額」
2007年11月12日 時事通信
日経平均株価が7営業日続落した12日、東京証券取引所第一部の時価総額は469兆6263億円となり、 この間に目減りした金額は56兆5894億円に達した。 同日の取引では、東証1部に上場する1722銘柄のうち9割超に当たる1579銘柄が値下がりし、うち606銘柄が今年の最安値を更新した。
日経平均が今年の最高値(1万8261円98銭)を記録した7月9日の時価総額は572兆9951億円。 これに比べると、103兆3687億円減った計算になる。
● 「シティグループCEOが引責辞任か、サブプライム関連の損失で」
2007年11月03日 ニューヨーク AFP
シティグループ(Citigroup)が4日に開く取締役総会で、チャールズ・プリンス(Charles Prince)最高経営責任者(CEO、57)が辞任表明するとの見通しを米ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)が2日、報じた。
同紙が掲載した関係者の話によると、プリンス氏は取締役会の決定前に辞意を表明するという。シティグループの業績は信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連の損失で大きな打撃を受けた。
同グループが前月15日に発表した7-9月期決算では、住宅ローン関連の損失を15億6000万ドル(約1800億円)、買収融資の評価損が税引き前で13億5000万ドル(約1550億円)とし、その結果、純利益は約24億ドル(約2760億円)と大幅減益となった。
グループの大幅減益について一部の投資家からはプリンス氏の引責辞任を求める声が上がっていた。同紙はこれに先立ち、シティグループが何らかの理由で週末に緊急取締役会を招集すると報じていた。(c)AFP
●「ノーザン・ロック、中銀借入250億ポンドの可能性─会長=英紙」
2007年11月3日 ロイター
英ノーザン・ロック 同紙によると、会長は「債務は200億ポンドにはなっていない。ただその額に迫っており、2月までに最高250億ポンドになる可能性がある」と述べた。これは最近の推定額を下回る。ノーザン・ロックからのコメントは得られていない。 前日発表された英中銀の週間収支データによると、英中銀が緊急支援を承認した9月14日以来のノーザン・ロックの借入総額は、現時点で最大で228億ポンドになっているとみられる。 英中銀は支援額についてコメントを避けている。ファンド運用会社ニュースターのエコノミスト、サイモン・ワード氏は1日、最新の推定額(228億ポンド)から、ノーザン・ロックの借入額が300億ポンドに達する可能性があると指摘した。 2007年11月2日 ブルームバーグ 投資家ジム・ロジャーズ氏は米利下げがインフレ加速を引き起こし経済を損なっているとして、バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の政策は「正気の沙汰ではない」と批判した。 ロジャーズ氏はニューヨークでインタビューに応じ、「バーナンキ氏はお札を印刷したくて仕方がない」と述べ、「正気の沙汰ではない。ドルの価値は崩壊しつつある。商品価格は天井知らずの高騰だ。つまりインフレも天井知らずに上昇するということだ。連中のせいでとんでもない事態になるだろう」と続けた。 ロジャーズ氏(65)はビーランド・インタレスツの会長。同氏はまた、米銀大手のシティグループと住宅金融最大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)の株式を空売りしていることも明らかにした。 FOMCは10月31日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25 ポイント引き下げて4.5%に設定。これで6週間で合計0.75ポイントの利下げが実施されたことになる。 S&P500種金融株価指数は今年に入り15%急落。サブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ローン市場の急激な悪化で借り入れコストが上昇、証券の評価損計上を余儀なくされる銀行が相次いだ。 シティグループ、ファニーメイ ファニーメイの株価は前日比2.32ドル(4.3%)下げて52.18ドル。年初来では12%下げ、2006年9月以来の安値で推移している。 シティの広報担当者マイケル・ハンレッタ氏、およびファニーの広報担当者ジェイソン・ロボ氏のコメントは得られていない。 ロジャーズ氏はジョージ・ソロス氏と共同で1970年代にクオンタム・ヘッジ・ファンドを創立。90年代には世界を旅して思いついたアイデアを著書「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見」、「大投資家ジム・ロジャーズが語る商品の時代」などの執筆に活かしたという。同氏はまた、世界的な商品の上昇相場が1999年に始まると予想したことでも知られる。 2007年 11月 2日 ニューヨーク ロイター 11月2日の米国株式市場は、寄り付き前の取引で、米メリルリンチが3%を超える下げとなっている。2日付のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版は、関係筋の話として、メリルリンチがリスクの高いモーゲージ担保証券のエクスポージャーを少なくするため、ヘッジファンドとの間で、損失の算出日を遅らせることを狙った取引を行ったと伝えた。 また、ドイツ銀行のアナリストは、メリルリンチはクレジットの損失に関連し、追加で評価損の計上を迫られる可能性のある金融機関のひとつだ、としている。 ●「日本の債券相場は大幅高、欧米金融機関懸念で株売り・債券買い-1.6%割れ」 2007年11月2日 ブルームバーグ 日本の債券相場は大幅高(利回りは低下)。前日の米国市場で米債高・株安となった流れを受けて、国内市場でも日経平均株価が 350円超の大幅安となったことから、債券は買い戻しが優勢となった。欧米金融機関への懸念が再燃しており、海外勢を中心に先物で株式売り・債券買いの動きとなった。10年債利回りは10月26日以来の1.6%割れ。先物中心限月12月物は136円台を回復した。 東京先物市場の中心限月12月物は、前日比86銭高の136円8銭と2営業日ぶりに136円台を回復して寄り付き、直後に136円15銭の日中高値をつけた。その後は戻り売りに押されて上げ幅を縮小し、午後零時40分ごろに日中安値 135円77銭をつけた。引けにかけては再び上値を試す展開となり、87銭高の 136円09銭で取引を終了した。 現物債市場で新発10年物の288回債(11月債)利回りは、前日終値(1.665%)に比べ6ベーシスポイント(bp)低い1.605%で開始。その後は水準を切り上げ、午後零時36分ごろに1.615%まで利回りの低下幅を縮めた。午後は逆に水準を切り下げ、午後2時18分ごろに1.585%まで低下した。午後3時すぎは8bp低い1.585%で推移している。 福井俊彦日銀総裁は、衆院財務金融委員会で、「世界的にインフレに注意していく必要がある」と述べる一方で、「世界経済にはダウンサイドリスクも強く出ている」と指摘。長期金利の動向について「上下かなりのリスクをはらんでおり、市場の予想外の変動リスクを念頭に置いている」と語った。 日経平均株価は大幅反落。前日比352円92銭安の1万6517円48銭で取引を終了した。一部投資判断引き下げで欧米金融機関への懸念が再燃1日の米国市場では、CIBCワールド・マーケッツのエクイティアナリストが米シティグループとバンク・オブ・アメリカ(BOA)の株式投資判断を引き下げたほか、米メリルリンチのアナリストがスイスのUBSの投資判断を引き下げたことから、株式相場が大幅下落し、国債の需要が高まった。 米国債相場は急反発し、2年債は今年に入り2番目の上げを記録した。キャンター・フィッツジェラルドによると、2年債利回りは前日比19bp下げて 3.76%。10年債利回りは13bp下げ4.34%とほぼ2年ぶりの大幅低下となった。 一方、米株式相場は大幅反落。ダウ工業株30種平均は362.14ドル(2.6%)下落し13567.87ドル。ナスダック総合指数は64.29ポイント(2.3%)下げて2794.83で終了した。シティグループの株価は4年ぶりの安値に急落した。 フェデラルファンド(FF)金利先物市場動向によると、12月11日の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの利下げが実施される確率は60%と、前日の42%から上昇した。金利据え置きを見込む確率は58%から 40%に低下した。 2007年11月2日 ブルームバーグ カナダのCIBCワールド・マーケッツのアナリスト、メレディス・ホイットニー氏による米銀最大手シティグループの株式投資判断引き下げで米株式相場の時価総額は3690億ドル(約42兆3000億円)吹き飛んだ。市場を大きく揺さぶったホイットニー氏は、シティの減配の可能性に言及できる気骨のあるウォール街のアナリストは自分だけだったと話す。 ホイットニー氏(37)は、「自分が活字にしたことを書ける勇気のある人はほかにいない」と述べ、シティが財務再建のために現金配当の縮小を余儀なくされかねないと予想する。 シティが2週間前に2007年7-9月(第3四半期)の57%減益決算を発表して以来、ドイツ銀行のマイク・マヨ氏ら3人のアナリストがシティグループ株の売りを勧めていたが、ホイットニー氏ほど市場に大きなインパクトを与えていなかった。ホイットニー氏は、シティがあまりに多くの買収を行っている上、損失に備えた余剰資金が「数十年ぶり」の低水準にあるため、シティ株の保有リスクが高まったとみる。 同氏が売りを勧めたのをきっかけに、シティの株価は1日、02年9月以来最大の下げを演じた。S&P500種株価指数も2.6%安と、2カ月ぶりの大幅安。シティの広報担当者、マイケル・ハンレッタ氏は、配当見直しに関する思惑にはコメントしないと述べている。 マヨ氏と同様ホイットニー氏も、シティの問題の責任はチャールズ・プリンス最高経営責任者(CEO)にあると批判。プリンスCEOの「退任の必要性には疑問の余地がない」と述べ、「資本の水準を回復させ、技術投資を増額しなければならない。利益は伸びていないし、総収入も増えていない」と指摘する。 シティの株価は1日、前日比2.85ドル(6.9%)安の38.51ドルと、03年5月以来の安値を付けた。ホイットニー氏はシティ株が「30ドル台前半に向かう」とみている。 ● 「米紙 メリルリンチが、保有する住宅ローン担保証券(MBS)が抱える含み損の決算への計上を子会社に先送り」 2007年11月3日 読売新聞 【ニューヨーク=山本正実】 2日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米大手証券 メリルリンチが、保有する住宅ローン担保証券(MBS)が抱える含み損の決算への計上を先送りする 取引を、複数のヘッジファンドと行っていたと報じた。 低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き急増に伴う損失を隠す取引と言え、米証券取引委員会(SEC)が調査に乗り出す可能性がある。 メリルリンチは2日発表した声明で「不適切な取引が行われたと信じる理由がない」と報道内容を否定する声明を発表した。 しかし、この日は米銀最大手シティグループのトップがサブプライム問題で引責辞任する意向を固めたとの報道も流れ、市場では「米金融機関のサブプライム関連の損失がどこまで膨らむか分からない」という不安が再燃している。 メリルリンチに関する報道が事実なら、同社が10月24日に発表した7~9月期決算で示したサブプライム関連の損失79億ドルが、実際はさらに多額だったことになる。 報道によると、ある取引では、メリルの関連会社が住宅ローン債権を担保にした10億ドル(約1140億円)のCP(コマーシャルペーパー)を発行し、ヘッジファンドが買い取った。 このCPにはメリルが1年後に買い戻す条件が付いており、CPに含み損が生じた場合でも、同社の決算に計上されるのは少なくとも1年後となり、すぐには損失が明るみにならない。 一方、ドイツ銀行が2日発表した報告で、米大手銀行・証券が第4四半期に100億ドルを超える追加の損失を計上するとの見通しが示された。前日には、カナダの投資銀行CIBCが、シティグループは300億ドル(約3兆4200億円)以上の資本増強が必要だとする試算を示した。 ●「サブプライム危機の悪影響は今後も続く-英ヘッジファンド3社首脳 」 2007年11月1日 ブルームバーグ CQSとケンタウルス・キャピタル、アスペクト・キャピタルの英ヘッジファンド3社の首脳は1日、ロンドンで開かれた投資戦略会合で、米国でのサブプライム(信用力が低い個人向け)住宅ローン危機の悪影響が今後も続くとの見方を明らかにした。 CQSを運営するマイケル・ヒンツェ氏、ケンタウルスのバーナード・オペティット氏、アスペクトの共同創業者、マーティン・ルーイック氏は、今年8-9月に米住宅調整が発端となり信用市場で金利が上昇したが、今後混乱が拡大するとの見通しを示した。投資家は最も安全とされる投資対象以外から資金を引き揚げ、保有債券で評価損が生じ、一部のヘッジファンドの解約が相次ぐ事態が生じた。 ルーイック氏は「悪影響が完全に出たとは考えていない」とし、「米市場は非常に厳しい時期を迎えつつある」と話した。 ヒンツェ氏は「いくつかの金融機関は業績の下振れで、市場関係者を驚かせる可能性がある」と語ったが、詳細には言及しなかった。 2007年11月2日 ブルームバーグ 11月2日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、証券大手メリルリンチが複数のヘッジファンドとの間で、高リスクのモーゲージ担保証券(MBS)関連の損失の影響先送りを意図した取引を行っていたと報じた。関係者からの情報として伝えた。 同紙は、米証券取引委員会(SEC)がメリルのモーゲージ関連証券の評価方法や投資内容の開示状況を調査しているとも報じた。同社は先週、モーゲージ投資に関連して79億ドル(約9050億円)の評価損を計上したことを明らかにした。 同紙によると、あるヘッジファンドは、メリルのモーゲージ関連の事業体が発行したコマーシャルペーパー(CP)10億ドルを買い取った。ヘッジファンドには、1年後にメリルにこのCPを売却し、一定のリターンを得る権利が保証されているという。 ● 「英バークレイズ株が一時8.7%安:英中銀に緊急融資求めたとの観測で 」 2007年11月2日 ブルームバーグ 2日のロンドン株式市場では、英銀バークレイズの株価が一時、前日比8.7%下落し、ここ3カ月で最大の下げとなった。バークレイズがイングランド銀行に緊急融資を求めたとの観測が広がった。 バークレイズ株はロンドン時間午前10時45分現在、6%安の537.5ペンスで推移している。バークレイズの広報担当者アリステア・スミス氏と、英中銀の報道官はいずれもコメントを控えた。英中銀が1日発表した日報では、ペナルティー金利での市中銀行に対する緊急融資はないとしていた。 MFグローバル・セキュリティーズのアナリスト、マムーン・タジ氏(ロンドン在勤)は、「バークレイズが若干の融資を求めて英中銀に接触したという憶測がある」と述べた上で、「私の考えではその可能性は非常に小さい。しかし、決してないとは言えない」と語った。 ●「サブプライム住宅ローンを組み込んだ債務担保証券(CDO)7本がデフォルト」 ニューヨーク 2007年11月1日 ロイター スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1日、サブプライム住宅ローンを組みこんだ債務担保証券(CDO)7本がデフォルト(債務不履行)通告を受けたことを明らかにした。 S&Pによると、住宅ローン担保証券(RMBS)の格下げでデフォルト通告を受けたもので、今後様々なCDOが清算される可能性がある。 デフォルト通告を受けたCDO7本は、格付けが最上級の「AAA」からジャンク等級最上級の「BBプラス」までとされるが、S&Pはこれ以外に影響を受けるCDOがどのくらいあるかは明らかにしていない。 2007年11月2日 ブルームバーグ 投資家ジム・ロジャーズ氏は米利下げがインフレ加速を引き起こし経済を損なっているとして、バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の政策は「正気の沙汰ではない」と批判した。 ロジャーズ氏はニューヨークでインタビューに応じ、「バーナンキ氏はお札を印刷したくて仕方がない」と述べ、「正気の沙汰ではない。ドルの価値は崩壊しつつある。商品価格は天井知らずの高騰だ。つまりインフレも天井知らずに上昇するということだ。連中のせいでとんでもない事態になるだろう」と続けた。 ロジャーズ氏(65)はビーランド・インタレスツの会長。同氏はまた、米銀大手のシティグループと住宅金融最大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)の株式を空売りしていることも明らかにした。 FOMCは10月31日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25 ポイント引き下げて4.5%に設定。これで6週間で合計0.75ポイントの利下げが実施されたことになる。 S&P500種金融株価指数は今年に入り15%急落。サブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ローン市場の急激な悪化で借り入れコストが上昇、証券の評価損計上を余儀なくされる銀行が相次いだ。 シティグループ、ファニーメイ ファニーメイの株価は前日比2.32ドル(4.3%)下げて52.18ドル。年初来では12%下げ、2006年9月以来の安値で推移している。 シティの広報担当者マイケル・ハンレッタ氏、およびファニーの広報担当者ジェイソン・ロボ氏のコメントは得られていない。 ロジャーズ氏はジョージ・ソロス氏と共同で1970年代にクオンタム・ヘッジ・ファンドを創立。90年代には世界を旅して思いついたアイデアを著書「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見」、「大投資家ジム・ロジャーズが語る商品の時代」などの執筆に活かしたという。同氏はまた、世界的な商品の上昇相場が1999年に始まると予想したことでも知られる。 2007年 11月 2日 ニューヨーク ロイター 11月2日の米国株式市場は、寄り付き前の取引で、米メリルリンチが3%を超える下げとなっている。2日付のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版は、関係筋の話として、メリルリンチがリスクの高いモーゲージ担保証券のエクスポージャーを少なくするため、ヘッジファンドとの間で、損失の算出日を遅らせることを狙った取引を行ったと伝えた。 また、ドイツ銀行のアナリストは、メリルリンチはクレジットの損失に関連し、追加で評価損の計上を迫られる可能性のある金融機関のひとつだ、としている。 ●「日本の債券相場は大幅高、欧米金融機関懸念で株売り・債券買い-1.6%割れ」 2007年11月2日 ブルームバーグ 日本の債券相場は大幅高(利回りは低下)。前日の米国市場で米債高・株安となった流れを受けて、国内市場でも日経平均株価が 350円超の大幅安となったことから、債券は買い戻しが優勢となった。欧米金融機関への懸念が再燃しており、海外勢を中心に先物で株式売り・債券買いの動きとなった。10年債利回りは10月26日以来の1.6%割れ。先物中心限月12月物は136円台を回復した。 東京先物市場の中心限月12月物は、前日比86銭高の136円8銭と2営業日ぶりに136円台を回復して寄り付き、直後に136円15銭の日中高値をつけた。その後は戻り売りに押されて上げ幅を縮小し、午後零時40分ごろに日中安値 135円77銭をつけた。引けにかけては再び上値を試す展開となり、87銭高の 136円09銭で取引を終了した。 現物債市場で新発10年物の288回債(11月債)利回りは、前日終値(1.665%)に比べ6ベーシスポイント(bp)低い1.605%で開始。その後は水準を切り上げ、午後零時36分ごろに1.615%まで利回りの低下幅を縮めた。午後は逆に水準を切り下げ、午後2時18分ごろに1.585%まで低下した。午後3時すぎは8bp低い1.585%で推移している。 福井俊彦日銀総裁は、衆院財務金融委員会で、「世界的にインフレに注意していく必要がある」と述べる一方で、「世界経済にはダウンサイドリスクも強く出ている」と指摘。長期金利の動向について「上下かなりのリスクをはらんでおり、市場の予想外の変動リスクを念頭に置いている」と語った。 日経平均株価は大幅反落。前日比352円92銭安の1万6517円48銭で取引を終了した。一部投資判断引き下げで欧米金融機関への懸念が再燃1日の米国市場では、CIBCワールド・マーケッツのエクイティアナリストが米シティグループとバンク・オブ・アメリカ(BOA)の株式投資判断を引き下げたほか、米メリルリンチのアナリストがスイスのUBSの投資判断を引き下げたことから、株式相場が大幅下落し、国債の需要が高まった。 米国債相場は急反発し、2年債は今年に入り2番目の上げを記録した。キャンター・フィッツジェラルドによると、2年債利回りは前日比19bp下げて 3.76%。10年債利回りは13bp下げ4.34%とほぼ2年ぶりの大幅低下となった。 一方、米株式相場は大幅反落。ダウ工業株30種平均は362.14ドル(2.6%)下落し13567.87ドル。ナスダック総合指数は64.29ポイント(2.3%)下げて2794.83で終了した。シティグループの株価は4年ぶりの安値に急落した。 フェデラルファンド(FF)金利先物市場動向によると、12月11日の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの利下げが実施される確率は60%と、前日の42%から上昇した。金利据え置きを見込む確率は58%から 40%に低下した。 2007年11月2日 ブルームバーグ カナダのCIBCワールド・マーケッツのアナリスト、メレディス・ホイットニー氏による米銀最大手シティグループの株式投資判断引き下げで米株式相場の時価総額は3690億ドル(約42兆3000億円)吹き飛んだ。市場を大きく揺さぶったホイットニー氏は、シティの減配の可能性に言及できる気骨のあるウォール街のアナリストは自分だけだったと話す。 ホイットニー氏(37)は、「自分が活字にしたことを書ける勇気のある人はほかにいない」と述べ、シティが財務再建のために現金配当の縮小を余儀なくされかねないと予想する。 シティが2週間前に2007年7-9月(第3四半期)の57%減益決算を発表して以来、ドイツ銀行のマイク・マヨ氏ら3人のアナリストがシティグループ株の売りを勧めていたが、ホイットニー氏ほど市場に大きなインパクトを与えていなかった。ホイットニー氏は、シティがあまりに多くの買収を行っている上、損失に備えた余剰資金が「数十年ぶり」の低水準にあるため、シティ株の保有リスクが高まったとみる。 同氏が売りを勧めたのをきっかけに、シティの株価は1日、02年9月以来最大の下げを演じた。S&P500種株価指数も2.6%安と、2カ月ぶりの大幅安。シティの広報担当者、マイケル・ハンレッタ氏は、配当見直しに関する思惑にはコメントしないと述べている。 マヨ氏と同様ホイットニー氏も、シティの問題の責任はチャールズ・プリンス最高経営責任者(CEO)にあると批判。プリンスCEOの「退任の必要性には疑問の余地がない」と述べ、「資本の水準を回復させ、技術投資を増額しなければならない。利益は伸びていないし、総収入も増えていない」と指摘する。 シティの株価は1日、前日比2.85ドル(6.9%)安の38.51ドルと、03年5月以来の安値を付けた。ホイットニー氏はシティ株が「30ドル台前半に向かう」とみている。 ● 「米紙 メリルリンチが、保有する住宅ローン担保証券(MBS)が抱える含み損の決算への計上をこ会社に先送り」 2007年11月3日 読売新聞 【ニューヨーク=山本正実】2日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米大手証券メリルリンチが、保有する住宅ローン担保証券(MBS)が抱える含み損の決算への計上を先送りする 取引を、複数のヘッジファンドと行っていたと報じた。 低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き急増に伴う損失を隠す取引と言え、米証券取引委員会(SEC)が調査に乗り出す可能性がある。 メリルリンチは2日発表した声明で「不適切な取引が行われたと信じる理由がない」と報道内容を否定する声明を発表した。 しかし、この日は米銀最大手シティグループのトップがサブプライム問題で引責辞任する意向を固めたとの報道も流れ、市場では「米金融機関のサブプライム関連の損失がどこまで膨らむか分からない」という不安が再燃している。 メリルリンチに関する報道が事実なら、同社が10月24日に発表した7~9月期決算で示したサブプライム関連の損失79億ドルが、実際はさらに多額だったことになる。 報道によると、ある取引では、メリルの関連会社が住宅ローン債権を担保にした10億ドル(約1140億円)のCP(コマーシャルペーパー)を発行し、ヘッジファンドが買い取った。 このCPにはメリルが1年後に買い戻す条件が付いており、CPに含み損が生じた場合でも、同社の決算に計上されるのは少なくとも1年後となり、すぐには損失が明るみにならない。 一方、ドイツ銀行が2日発表した報告で、米大手銀行・証券が第4四半期に100億ドルを超える追加の損失を計上するとの見通しが示された。前日には、カナダの投資銀行CIBCが、シティグループは300億ドル(約3兆4200億円)以上の資本増強が必要だとする試算を示した。 ●「サブプライム危機の悪影響は今後も続く-英ヘッジファンド3社首脳 」 2007年11月1日 ブルームバーグ CQSとケンタウルス・キャピタル、アスペクト・キャピタルの英ヘッジファンド3社の首脳は1日、ロンドンで開かれた投資戦略会合で、米国でのサブプライム(信用力が低い個人向け)住宅ローン危機の悪影響が今後も続くとの見方を明らかにした。 CQSを運営するマイケル・ヒンツェ氏、ケンタウルスのバーナード・オペティット氏、アスペクトの共同創業者、マーティン・ルーイック氏は、今年8-9月に米住宅調整が発端となり信用市場で金利が上昇したが、今後混乱が拡大するとの見通しを示した。投資家は最も安全とされる投資対象以外から資金を引き揚げ、保有債券で評価損が生じ、一部のヘッジファンドの解約が相次ぐ事態が生じた。 ルーイック氏は「悪影響が完全に出たとは考えていない」とし、「米市場は非常に厳しい時期を迎えつつある」と話した。 ヒンツェ氏は「いくつかの金融機関は業績の下振れで、市場関係者を驚かせる可能性がある」と語ったが、詳細には言及しなかった。 ●「米メリル:ヘッジファンドとモーゲージ損失先送り目的の取引-WSJ 」 Merrill Struck Hedge-Fund Deals to Postpone Losses, WSJ Says 2007年11月2日 ブルームバーグ 11月2日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、証券大手メリルリンチが複数のヘッジファンドとの間で、高リスクのモーゲージ担保証券(MBS)関連の損失の影響先送りを意図した取引を行っていたと報じた。関係者からの情報として伝えた。 同紙は、米証券取引委員会(SEC)がメリルのモーゲージ関連証券の評価方法や投資内容の開示状況を調査しているとも報じた。同社は先週、モーゲージ投資に関連して79億ドル(約9050億円)の評価損を計上したことを明らかにした。 同紙によると、あるヘッジファンドは、メリルのモーゲージ関連の事業体が発行したコマーシャルペーパー(CP)10億ドルを買い取った。ヘッジファンドには、1年後にメリルにこのCPを売却し、一定のリターンを得る権利が保証されているという。 ● 「英バークレイズ株が一時8.7%安:英中銀に緊急融資求めたとの観測で 」 Barclays Falls on Speculation It Asked BOE for Funds 2007年11月2日 ブルームバーグ 2日のロンドン株式市場では、英銀バークレイズの株価が一時、前日比8.7%下落し、ここ3カ月で最大の下げとなった。バークレイズがイングランド銀行に緊急融資を求めたとの観測が広がった。 バークレイズ株はロンドン時間午前10時45分現在、6%安の537.5ペンスで推移している。バークレイズの広報担当者アリステア・スミス氏と、英中銀の報道官はいずれもコメントを控えた。英中銀が1日発表した日報では、ペナルティー金利での市中銀行に対する緊急融資はないとしていた。 MFグローバル・セキュリティーズのアナリスト、マムーン・タジ氏(ロンドン在勤)は、「バークレイズが若干の融資を求めて英中銀に接触したという憶測がある」と述べた上で、「私の考えではその可能性は非常に小さい。しかし、決してないとは言えない」と語った。 2007年10月30日付け の内容の要約 米国でクレジットカードの負債が大幅に増え、「第2のモーゲージ(住宅ローン)爆弾」になりかねないという警告が出た。 米経済専門雑誌「フォーチュン」の最近号(2007年10月30日付け)では、米国のクレジットカード負債が9150億ドル(約100兆円)と大幅に増え、モーゲージ事態のように爆発する可能性を示していると分析した。 昨年末から始まって、今年、本格化したサブプライムモーゲージ(低所得者向けの住宅ローン)関連の負債規模も、今回のクレジットカードの負債と同水準の約9000億ドル規模だった。 米国の各銀行では消費者が使用したカードの代金を財務諸表上に「資産」として表示し、同資産をもとに債権を発行し、続いて「貸出債権」を活用して、さまざまな金融商品を流動化してきた。 これを受け、消費者たちがカードを使用した後、カード代金を期限内に決済しなければ、クレジットカード会社やクレジットカード勘定と連携した証券会社が数珠繋ぎで打撃を受けることになる。 住宅ローンを受けた貸付者たちが借金を返済できず、銀行や該当銀行は発行した各種の派生金融商品が打撃を受けたのと同様のことが起きるわけだ。 ただし、今回は消費者たちが「住宅ローン」ではなく「クレジットカードの代金」という謝金を返済できないということが違うだけだ。 消費者たちが、「カード代金を支払えない」と「返済不履行状態」を宣言し、連携債権の価格が暴落すれば、これを保有したヘッジファンドや年金基金などの機関投資家たちも、連鎖的に打撃を受けることになる。 フォーチュンは、クレジットカードの負債急増で影響を受ける可能性があるところとして、シティーグループやアメリカンエクスプレス、バンクオブアメリカ、キャピタルワン、ワシントンミューチュアルなどをあげた。 フォーチュンのこのような懸念は、これらの銀行が01年以降、最悪の業績を相次いで出したことに基づいている。シティーグループは第3四半期(7~9月)に、クレジットカードの延滞で22億4000万ドルを損失処理した。 シティーグループのゲリークリテンドン財務担当最高責任者(CFO)は、「初めて、シティーカード客の未決済残高が増加し、現金の引き出しが増えた」と、状況が悪化する可能性への懸念を示した。 アメリカンエキスプレスもカードの延滞を憂慮し、準備金を44%増やした。キャピタルワンやバンクオフアメリカ、それからワシントンミューチュアルの状況もさほど変わらない。これらの会社もカード分野の状況悪化に備えて、普段より20%以上、準備金を増やした。 ただ、クレジットカード負債は、サブプライムモーゲージのように一瞬にして爆発せず、モーゲージのような危機はもたらさないだろうという楽観的な分析もある。 フィフスサード銀行のクリストファー・マーシャルCFOは、「クレジットカードの危機は、すぐ隣で爆発するものではない」とした上で、「米国は金融派生証券化の長い歴史を有しており、カードの延滞による影響を十分管理できるだろう」と語った。 シティーグループの抱える不良債権の額など、円高ドル安と相場がきりもみ状態の 今のような状況では、確定しようもない。かつ、正確な額がシティーから 出てくるはずも無い。 だから、日経が出している数字から、最悪のケースをオレ的にあてずっぽしてみた。 バブルはいつかはじけるから、これだけ原油高インフレになって、 原油取引をアラブがドル以外の通貨決済でも行うという方針をほぼ決めた時点で、ドルのバブルがはじけるのはほとんど不可避に近い。 そうすると、デリバティブ(金融派生商品)に含まれるサブプライム爆弾におけるシティーグループ(子会社、日興含めた持ち株会社等も含む)の持分を適当に見積もって、そこから最悪どれぐらいになるかって出しただけ もちろん、あてずっぽの最悪の場合の数字だから、こここまではならないだろう。だが、みんなが思ってるよりも桁が、一桁違うレベルの欠損になる可能性は高い。 私が、今出した数字に対して、シティーグループの全帳簿からサブプライム含んだファンドと、含み資産の欠損引き当てを出せばわかる。それでも本当の損失はいくらかはわからない。 怖いことに、デリバティブ総額の4京9千3百兆円に、さらに資産の減価分が不良資産化する可能性があるから、全世界で二桁の京の資産がサブプライムで影響を受けるかもしれない。 2007年10月31日 ブルームバーグ 投資家のジム・ロジャーズ氏は31日、ロンドンでインタビューに応じ、証券や投資銀行など米金融株の売り持ち高を増やしていることを明らかにした。金融業界の「過剰に高い」報酬と投資損が理由。同氏は資産家ジョージ・ソロスとヘッジファンドのクオンタムを創設したことで知られる。 ロジャーズ氏は「ウォール街では29歳の若者が1年に1000万―2000万ドルも稼いでおり、それを当たり前だと考えている。過剰報酬が横行している」と指摘。弱気相場に入れば金融株は最大70%下落する可能性もあるとの見解を示した。 同氏は過去1年にわたり売り持ちにしている米金融株のポジションをここ6週間でさらに拡大させたと述べた。ETF(上場投資信託)や個別銘柄を通じて売り持ち高を膨らませたとしたが、具体的な銘柄への言及は避けた。 米金融機関で最も利益を上げているゴールドマン・サックス・グループは9月20日、1-9月に従業員に支払う報酬(給与・諸手当・賞与)の準備金として169億ドルを積み立てたことを明らかにした。昨年度通期を上回る過去最高額となっている。その1カ月後、メリルリンチはサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連の証券投資などで四半期の評価損としては過去最高となる84億ドルを計上した。 ロジャーズ氏は「投資銀行は巨額の悪質な証券を抱えており、財務状況がどれだけ悪いかは誰にも分からない」と指摘した。 同氏は自己資金を使ってこれらの投資を実施したとし、運用資産の規模については言及を拒否した。 住宅市場 ロジャーズ氏は米住宅株を3年前から売り持ちにしていることを明らかにした。ただ、ニューヨークで保有している6階建て住宅を提示価格の1500万ドルを上回る値段で売却しようとしていることも明らかにした。その上で、「米住宅市場は堅調な地域もあれば、そうでない地域もある」と述べた。 2007年10月1日 ニューヨーク 共同通信 週明け1日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、米サブプライム住宅ローン問題が最悪の時期を脱したとの安心感から大幅反発し、1万4000ドルの大台を回復。前週末比191・92ドル高の1万4087・55ドルで取引を終え、7月19日以来、約2カ月半ぶりに終値の最高値を更新した。上げ幅は今年6番目で、一時、219ドル高に達し、取引時間中の最高値も塗り替えた。 サブプライム問題の拡大で、ダウ平均は昨年10月から続いた最高値更新が途絶えていたが、市場では「この問題に一区切りついた」(邦銀)と楽観的な見方も広がった。 ただ米住宅市場の低迷が続くほか、原油価格も高止まりしており、株価の先行きには不透明な要素も目立つ。 ハイテク株主体のナスダック総合指数は39・49ポイント高の2740・99で、6年8カ月ぶりの高値 (転載貼り付け終わり) 副島隆彦拝
●「ジム・ロジャーズ氏:バーナンキ議長は「正気の沙汰ではない」-利下げ批判」
Jim Rogers Says Bernanke Is `A Nut' for Cutting Rates
シティグループが先月発表した第3四半期決算は57%の減益だった。2日のニューヨーク株式市場でシティの株価は2003年4月以来の安値に急落。現地時間午前10時44分現在、前日比1.02ドル(2.7%)安の37.49ドルで推移している。
●「米メリルリンチが3%超える下げ、WSJ報道を嫌気=2日寄り前取引」
ABNアムロ証券チーフ債券ストラテジストの市川達夫氏は、「午後に株価が一段安となったことから、先物に株売り・債券買いの資金フローが入った。特に超長期債が堅調。20年債利回りは2.15%近辺での攻防がみられ、ポジション(持ち高)調整となった」と述べた。
●「米シティ減配の可能性言えるのは 自分だけ-CIBCのホイットニー氏 」
CIBC's Whitney Spurred Market Swoon With `Moxie' Citigroup Call
Subprime Fallout Continues, Hedge Chiefs Oppetit, Hintze Say
●「米メリル:ヘッジファンドとモーゲージ損失先送り目的の取引-WSJ 」
Merrill Struck Hedge-Fund Deals to Postpone Losses, WSJ Says
メリルの女性広報担当者は匿名で、同社が個別の取引にはコメントしないと述べるとともに、投資対象の評価には自信があると語った。
Barclays Falls on Speculation It Asked BOE for Funds
●「ジム・ロジャーズ氏:バーナンキ議長は「正気の沙汰ではない」-利下げ批判」
Jim Rogers Says Bernanke Is `A Nut' for Cutting Rates
シティグループが先月発表した第3四半期決算は57%の減益だった。2日のニューヨーク株式市場でシティの株価は2003年4月以来の安値に急落。現地時間午前10時44分現在、前日比1.02ドル(2.7%)安の37.49ドルで推移している。
●「米メリルリンチが3%超える下げ、WSJ報道を嫌気=2日寄り前取引」
ABNアムロ証券チーフ債券ストラテジストの市川達夫氏は、「午後に株価が一段安となったことから、先物に株売り・債券買いの資金フローが入った。特に超長期債が堅調。20年債利回りは2.15%近辺での攻防がみられ、ポジション(持ち高)調整となった」と述べた。
●「米シティ減配の可能性言えるのは 自分だけ-CIBCのホイットニー氏 」 CIBC's Whitney Spurred Market Swoon With `Moxie' Citigroup Call
Subprime Fallout Continues, Hedge Chiefs Oppetit, Hintze Say
メリルの女性広報担当者は匿名で、同社が個別の取引にはコメントしないと述べるとともに、投資対象の評価には自信があると語った。
●「米経済専門雑誌「フォーチュン」の最近号 」
● 「ロジャーズ氏、米金融株の売り持ち高を拡大-過剰報酬で70%下落も 」
Jim Rogers Bets Against U.S. Investment Banks, Housing Stocks
米住宅市場の低迷については、「回復にはまだ長い時間がかかる。4、5カ月では過剰な住宅在庫は解消できない。数年はかかるだろう」と語った。 全米不動産業者協会(NAR)が24日に発表した9月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年換算)は前月比8%減の504万戸と、同統計の算出開始(1999年)以来で最低だった。
● 「NY株、終値も史上最高値 サブプライム問題に一服感」
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