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今日のぼやき 「1456」番 松永知彦氏の長文の歴史論文を載せます。 2014年6月10日 

石川知裕(ともひろ)議員の闘いの経過、1月20日 勝利宣言。2011.2.6

「136」 ユダヤ問題のまじめな優れた歴史文で、ネット上にあったもの。作者不詳。 2010.9.11

「135」 渡邊善美(わたなべよしみ)の造反、離党劇の頃(2008年末から翌1月ごろ)の記事のまとめ。2010.9.11

「134」 雑誌原稿 「米国  ”ねずみ講経済” の 破綻」 2009年2月執筆 を載せます。 2010.9.11



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「91」「サブプライム危機から世界恐慌へ」(26) 2007年8月崩れの次の月である9月の分の記事を載せる。2008.9.13

副島隆彦です。 下↓の「90」番に、サブプライム崩れ当日(8月17日)の前後の記事を載せた。ここは、その次の月だ。

8月17日には、東証の日経平均が874円暴落して、終値は、1万5273円だった。あの日から、世の中は騒然となった。しかし、それでも、世界を支配する権力者たちは、上の人間たちほど、まだ自分たちの力でどうにか出来るのだ、と信じていたようだ。

 だからアメリカ人の庶民層は、まったく慌てていなかった。その後の半年間、今年の3月のベアスターンズ証券の破綻・JPモルガンへの3兆円(300億ドル)の持参金付の吸収合併のあたりまで、本気ではなかったようだ。この危機が、世界恐慌の始まりなのだと、誰よりも一番知っていたのは、副島隆彦だろう。

 私は、あの日、ひとりで静かに祝杯をあげたことを覚えている。
あの日から、敗戦後62年目にして、世界史(ワールド・ヒソトリー)の大きな転換点が出現したのだ。このことの意味を一番かみ締めて知っていたのも私だ。 だから私は、その後の動きの一切を、自分の予想と予測の範囲内で、管理できた。私は、自分はあの日、自分の思想家・日本知識人としての人生に勝利したのだと気づいていた。 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●「世界の中央銀行は「07年のパニック」に打つ手なし-ムーディーズ 」
Central Banks Lack Tools to Fix `Panic of '07,' Moody's Says  By Mark Pittman and Kabir Chibber

2007年9月19日  ブルームバーグ

 格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは19日発表したリポートで、中央銀行が「07年のパニック」のなかで信用市場の安定を回復させる手段を欠いている可能性を指摘し、金融機関に一段の情報開示を求めるべきだとの見解を示した。

 ムーディーズはリポートで、レバレッジを効かせるヘッジファンドの増加とデリバティブ(金融派生商品)が、金利上昇の影響を増幅したと指摘した。

 ムーディーズのクリストファー・マホニー副会長とピエール・カイユトー上級副社長はリポートで、「金融の世界の新しいパラダイムは幾つかの問題をもたらし、世界の金融当局者はまだその解決策を見つけていない」とした上で、「1つ1つの金融危機は新しい教訓をもたらし改革につながる。現在の『07年のパニック』も同様だ」と述べている。

 世界の主要中銀は8月に起こった信用収縮を、当初の対策によって鎮静させることができなかった。金融当局は翌日物の資金供給や利下げなどの伝統的な手段で対応しようとした。イングランド銀行は18日、44億ポンド(約1兆円)を英銀に緊急融資した。米金融当局はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5ポイント引き下げ4.75%とした。

 ムーディーズは、従来ならば米連邦準備制度は銀行への監督権限を生かし、システムへの資金供給によって信用収縮を緩和することができたが、現在では最大の投資家グループの1つとなったヘッジファンドを制御する力がないと指摘。「金融市場の衝撃が経済に影響を与える度合いは、中銀がシステム全体で『流動性』を回復できるかどうかにかかっている」とした上で「当局と市場が金融の世界のプレーヤーらに透明性向上を求めるだろう」との見方を示した。

 19日の発表されたのは今回の信用危機に関する2本目のリポート。前回の9月5日のリポートでは、米国のサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンを裏付けとした証券の価格調整は少なくともさらに6カ月続くとの予想を示していた。マホニー副会長がインタビューで述べたところによると、次回のリポートでは格付け会社が市場で演じる役割について議論する見込み。

● 2007.9.19   あるサイトから

 債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の投資責任者ビル・グロス氏:

 グロス氏は「住宅問題は、さらに金利を押し下げる原動力となるだろう」と語り、米成長率を2.5-3%付近に保つためには、「最終的に少なくとも3.75%までの利下げが必要になるだろう」との見方を示した。

 グロス氏によると、利下げ局面の1回目の下げ幅が0.5ポイントとなったのは過去20年で2回だけで、いずれの場合もその後に米経済はリセッション(景気後退)入りしたという。同氏は「今回もリセッションになるということを示唆しているわけではない」として、「金融当局は住宅市場を注視しているということだ」と述べた。グロス氏は以前から2007年の利下げを予想していた。

 IMCOのマネジングディレクター、ポール・マカリー氏によると、同社は向こう1年の米景気が年初に考えていたよりも大幅に減速するとみている。マカリー氏は18日にPIMCOのウェブサイトに掲載したリポートで、向こう1年の米成長率は1.25-1.75%との予想を示し、3月時点の予想(2-2.5%)から下方修正した。

 グロス氏は、この予想が当たっているならば「米金融当局は今すぐ、積極的な利下げを開始する必要がある」と述べた。4-6月(第2四半期)の米成長率は4%だった。


● 「FOMC声明全文:住宅調整の深刻化と成長抑制のリスクを指摘」

2007年9月18日 ブルームバーグ

 米連邦公開市場委員会(FOMC)が18日の定例会合後に発表した声明の全文は以下の通り。FOMCは本日、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5ポイント引き下げて4.75%とすることを決定した。

 今年前半の経済は緩やかに成長したが、借り入れ条件の引き上げで住宅調整が深刻化する可能性と、経済成長がより広く抑制される恐れが出てきた。この日の決定は金融市場の波乱が景気全般に与えうる悪影響の一部を抑止し、経済が長期的に緩やかに成長するのを促すのが目的。

 今年に入り、コアインフレの数値は小幅に改善してきた。しかしながら委員会はインフレリスクが一部に残ると判断し、慎重にインフレの動向を見守っていく所存だ。

 前回の定例会合以降、金融市場では景気見通しへの不透明感が強まった。委員会はこうした影響や他の経済側面の動向を引き続き見極めつつ、物価安定と持続的な経済成長を促進するために必要に応じて行動する。

 このFOMCの金融政策に対し、バーナンキ議長、ガイトナー副議長(ニューヨーク連銀総裁)、ホーニグ総裁、コーン理事、クロズナー理事、ミシュキン理事、エバンス総裁、プール総裁、ローゼングレン総裁、ウォーシュ理事が賛成した。

 連邦準備制度理事会(FRB)はこれに関連し、公定歩合を0.5ポイント引き下げ5.25%とすることを全会一致で承認した。公定歩合の引き下げはボストン連銀とニューヨーク連銀、クリーブランド連銀、セントルイス連銀、ミネアポリス連銀、カンザスシティー連銀、サンフランシスコ連銀の理事会から提出された。

 <8月17日のFOMC声明>
 金融市場の状況は悪化し、借り入れ条件の引き上げと不透明感の高まりがこの先の経済成長を抑制する可能性が出てきた。最近の経済統計は緩やかなペースでの景気拡大が続いていることを示唆しているものの、FOMCはこうした状況を考慮し、経済成長の下振れリスクが目に見えて高まったと判断した。FOMCは状況を監視しており、金融市場の波乱が経済に与える悪影響を緩和するため、必要に応じて行動を取る準備を整えた。

 このFOMCの金融政策に対し、バーナンキ議長、ガイトナー副議長(ニューヨーク連銀総裁)、フィッシャー総裁、ホーニグ総裁、コーン理事、クロズナー理事、ミシュキン理事、モスコウ総裁、ローゼングレン総裁、ウォーシュ理事が賛成した。


● 「8月米住宅差し押さえ:前年の倍以上、約11万件-リアルティトラック」
U.S. Home Foreclosures Doubled in August, RealtyTrac Says

2007年9月18日ブルームバーグ

 米リアルティトラックが18日に発表したところによると、8月に差し押さえ手続きが開始された住宅物件は10万8716件と、前年同月の4万2144件の倍以上に膨れ上がった。変動金利(ARM)型住宅ローンの金利リセット(見直し)で、サブプライム(信用力の低い借り手向け)ローンの支払い負担が増えたことが背景にある。

 リアルティは差し押さえ物件をオンラインで紹介する住宅情報サービス会社。これによると、8月の差し押さえ件数は2005年の調査開始以来の最高を記録した。州別ではカリフォルニアが4万1714件と首位。フロリダが2万6203件で続いている。

 リアルティのリック・シャーガ執行副社長はインタビューで8月の急増について、「差し押さえの新たな波が押し寄せ始めたに過ぎない」と語る。「ローン開始年の超低金利でしか住宅を購入できなかったのに、金利が上昇し選択の余地がなくなってしまった借り手は多数いる」と述べた。同氏によると、サブプライム向けARMでは最初の年の低金利は2、3年で2倍に跳ね上がることがある。


●「ロジャース氏とフェーバー氏、米利下げはリセッションを招く」
Rogers, Faber Say Fed Rate Cuts Will Spur a Recession

2007年9月18日 ブルーンバーグ

 資産家のジム・ロジャース氏とマーク・フェーバー氏は18日、連邦公開市場委員会(FOMC)が利下げに踏み切った場合、インフレが加速し、国内経済はリセッション(景気後退)に陥り、ドルは急落しかねないとの見解を示した。

 ロジャース氏は上海でインタビューに応じ、「FOMCがウォール街の友人たちを救おうとするたびに、状況は一段と悪くなる」と指摘。「バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が現在よりも速いペースで紙幣をばら撒くことになれば、お察しの通り、経済は深刻なリセッションに陥る。ドルの価値は崩壊し、米国債相場も急落を免れない。米経済は問題を多く抱えることになる」と警告した。

 ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト134人の調査中央値では、18日のFOMCではフェデラルファンド(FF)金利誘導目標が5%に引き下げられる見通し。予想通りとなれば、4年ぶりの利下げとなる。

 ロジャース氏とフェーバー氏はいずれも、FOMCは政策金利を引き上げてインフレを抑制し、ドルを支えるのが適切だとみている。 フェーバー氏は「現在の問題の根源は人為的に低く抑えられた金利と金融緩和政策、さらに極めて無責任な金融政策によって助長された急速な信用の伸びにある」と述べ、「利下げは自殺行為だ」と断言した。

 同氏は香港の資産運用会社マーク・フェーバーのマネジングディレクターとして、約3億ドルの資産運用を監督する。ビーランド・インタレスツの会長を務めるロジャース氏は、1999年に始まった世界的な商品相場高騰を予想したことで知られる。


●「米SEC 投資信託から聞き取り調査-住宅ローン担保証券の評価額で 」
Mutual Funds Struggling to Price Bonds Draw SEC Query

2007年9月17日 ブルームバーグ

 米証券取引委員会(SEC)は、投資信託会社から住宅ローン担保証券について聞き取り調査を行っている。米国のサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン市場で問題が浮上する前に購入した住宅ローン担保証券の価格を、投資家への情報で過大に評価していることを懸念している。

 SEC の投資管理部門の副ディレクター、ダグラス・シャイト氏 によると、SECは8月に投資信託会社大手25社 から聞き取り調査を行った。サブプライム住宅ローンの延滞率が過去最悪の水準となるなかで、住宅ローン担保証券への需要は今年に入り急低下した。

 シャイト氏はインタビューで、サブプライム関連証券の「価格査定での困難について」と、「相当数の解約申し込み」に対してどう対処しているかを複数の投信会社に尋ねたとした上で、「解約に応じるために流動性の高い資産を売っているとすれば、手元に残っている資産の価格査定の重要性はさらに増す」と指摘した。

 住宅ローン担保証券への投資意欲後退は他の証券にも広がり、メリルリンチの指数によれば、ジャンク(高リスク・高利回り)債は7月、月間ベースで5年で最大の下落となった。シャイト氏によれば、先月の調査からは一部の運用会社がサブプライム関連証券の価格査定で苦労していることが分かった。投信は保有資産の額を毎日計算し基準価格を示すことが求められるため、価格が確定できないのは問題だと同氏は述べた。

 住宅ローン担保証券の価格下落を織り込まなければ、投信の基準価格は過大評価されることになる。SECの投資管理部門の元責任者、バリー・バーバッシュ氏は、「価格が過大評価されていれば、解約した投資家は本来よりも多くの金額を受け取ることになる」と指摘した。


●「信用収縮で各行は最大1.2兆ユーロ(191兆円)の債務抱える恐れ=オランダ中銀」

2007年 9月17 日 アムステルダム、ロイター

 オランダ中央銀行(DNB)は17日、世界的な信用収縮による影響で、各銀行は最大1兆2000億ユーロ(1兆6600億ドル)程度の債務を抱える可能性がある、と述べた。

 これに先立ちオランダのメディアは15日、ベリンク中銀総裁の発言として、信用危機で最大1兆2000億ユーロの損失が発生する恐れがある、と報じていた。


●「イラク戦争「石油が目的」前FRB議長、回顧録で政権批判 」

日経新聞、共同通信 2007年9月17日 ワシントン

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070917
STXKB009117092007.html

 国際金融市場に絶大な影響力を振るったグリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が17日発売の回顧録で「イラク戦争は主に石油が目的」と指摘、財政面でも「制御不能な歳出」を放任したなどとしてブッシュ政権を痛烈に批判した。

 18年半にわたってFRB議長に君臨、81歳の今も発言が注目される自称「リバタリアン(自由至上主義)共和党員」の前議長の回想だけに、米政財界に波紋を広げている。 前議長は回顧録「動乱の時代―新たな世界での冒険」の中で、ブッシュ政権が大量破壊兵器の脅威をあおってイラクに侵攻し「『イラク戦争は主に石油が目的』という周知のこと」を政治的に認めようとしなかったと指摘した。

 ブッシュ政権の経済政策については「制御不能な歳出に対し、大統領が拒否権を行使しようとしなかったことが最大の不満」として、議会と対決せず財政健全化を怠ったと苦言。政権内で政治的問題が優先され「経済政策の綿密な議論や、長期的影響の勘案に重点を置いていなかった」と酷評した。

● (副島隆彦注記。債務国である米国は、どうせ、ドル危機で、国内の金利が上がってゆく。FFレート(政策誘導金利)も、懸命に引き下げようとするが、どうせ、実勢に引きづられて、インフレの火消しの意味もあっても、跳ね上げてゆくしかない。)

2007年9月17日

 グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、17日付の米紙USAトゥデーに掲載されたインタビューで、「FRBはインフレを阻止するため、今後数年で政策金利を一時的に2ケタの水準まで引き上げる必要に迫られる公算が大きい」との見通しを明らかにした。

 米住宅価格の現在の水準が著しく高い。 Financial Times紙によると、グリーンスパン前FRB議長は、米住宅価格が今後大きく落ち、2桁台の下落もありうると述べたと言う。初めて米住宅市場にバブルがあったことを認めた。

 From the Financial Times: Greenspan alert on US house prices (hat tips Carlomagno houston)
US house prices are likely to fall significantly from their present levels, Alan Greenspan has told the Financial Times, admitting that there was a bubble in the US housing market.

  In an interview ahead of the release on Monday of his widely-anticipated memoirs, the former chairman of the Federal Reserve said the decline in house prices “is going to be larger than most people expect”.
...

  Mr Greenspan said he would expect “as a minimum, large single-digit” percentage declines in US house prices from peak to trough and added that he would not be surprised if the fall was “in double digits”.

  As Fed chairman, Mr Greenspan had talked about “froth” in the housing sector, but never said there was a bubble in the market as a whole. His successor Ben Bernanke has also avoided the word “bubble”.

 But Mr Greenspan told the FT that froth “was a euphemism for a bubble”.See the article for Greenspan's comments on SIVs and commercial paper. Greenspan is trying to generate interest for his memoirs, but these comments on the housing bubble and falling house prices are still note worthy.


●2007年9月15日

「ショーン・デービット・モートンの最新ニュースレター 」から

 ショーン・デービット・モートンは会員向けに有料のニュースレターを配信している。内容は、予言や警告のみならず株や通貨、貴金属なども含んだ幅広い投資分野のアドバイスだ。
「Coast to Coast AM」のインタビューによると彼のニュースレターは前ゴールドマンサックスの社長で 現財務長官のヘンリー・ポールソンも購読していたようで、予測の的中率には定評がある。

 低所得者向けの住宅ローンであるサブプライムローンの破綻後、破綻の影響の拡大を避けるためアメリカ政府は20日間で約790億ドルを市場に投入した。これは連邦銀行が通貨を増刷することで賄われた。その結果、膨大な額の過剰なドルが流通している。

 一方、連邦銀行は2006年3月以降、世界に流通しているドルの総額を示すM3レポートの公表を中止してるが、連銀の最後のレポートの数値からみて一年で35%のインフレ率だと想定できる。ブッシュ政権や連銀はこれをひた隠しに隠しているが、これは早晩明らかになるだろう。この結果、ドルは暴落し米国債もほとんど紙くずと化す。

 ドルの暴落以降基軸通貨としてのドルは放棄され、米国政府がかねてから準備していたAMEROが導入される。経済崩壊は、マヤカレンダーのコルマンインデックスのNight5にあたる11月17日前後に起こるはずだ。 2008年のアメリカは地獄をみるだろう

●2007年9月15日 毎日新聞

http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20070915k0000e030011000c.html

 米国のサブプライム住宅ローン(信用度が低い借り手用の融資)が破綻(はたん)し、世界経済を揺るがせている。カリフォルニア州などで住宅バブルがはじけたのがきっかけ。 ローン返済が滞り、競売にかけられた住宅数は7月だけで全米で約18万軒。今年末までに100万軒が差し押さえられるという。一体、何が起こったのか??。

 サンフランシスコから車で東に2時間、銀行の差し押さえ率全米一のストックトン。市中心部にある裁判所前で始まった競売はわずか5分で終了。約30件の不動産が差し押さえとなった。ブドウ畑に接する新興住宅地では真新しい家に「大幅値下げ」の
看板がかかる。

 サンフランシスコやサンノゼの高所得者が投資目的でセカンドハウスを購入したため、 不動産価格は00年から毎年10%超も上昇。04年には前年度比43%、05年には63%も急騰した。住宅ローンは「頭金2割、30年」の固定金利が基本だが、金融機関は「頭金なし、最初の1?3年間は金利のみ」、またはごく低利の金利のみを払えばいい変動金利ローンを設定し、投機ブームをあおった。

 不動産業のクレア・キティラスさん(30)は04年初め、33万6000ドル(約3860万円)で家を購入。1年たらずで56万ドルに値上がりしたため、変動金利ローンに借り換え、借入金の一部を2軒目の家(56万ドル)の購入費用に充てた。

 当初は30年固定金利ローンで支払いは月1600ドルだったが、変動金利に変えたため今年は2軒分で月5800ドル。価格は下がり、転売もローン借り換えも不可能になった。「どうせ30年も住まないし、価格は上昇し続けると思っていた」と唇をかむ。

 地元の不動産ブローカーのルイス・マウーツアさん(37)は「悪質なのはサンフランシスコなどのブローカー」と前置きしたうえで、具体的な取引例を明かしてくれた。「預金も良い仕事も信用もなし、家が欲しい気持ちだけがある、という市民に貸し付けた。完済能力があるのは2割だった」  借り手に現金がないため、ローン申請書に借り手の偽の収入証明書を添付するブローカーも。銀行側も気にしなかった。

 住宅ローンは証券化され、結局損をしたのはヘッジファンドや海外の投資家だ。 マウーツアさんは振り返る。「欲にまみれた借り手、非倫理的な方法で貸し付けたブローカー、きちんとしたガイドラインがなかった銀行。責任は全員にある」 サンフランシスコやニューヨークのマンハッタンは居住空間が限られているために不動産価格が下がりにくいが、ストックトンの周囲には農地が広がる。シリコンバレーのような地場産業もない。価格はあと2年は落ち続けるとみられる。

 マウーツアさんは「政府は救済のために税金を投入すべきではない。バブルはまた起きる」 とみる。調査会社のハウジング・プレディクターによれば、米国人の8割が同意見だそうだ。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


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「90」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(25) 記念すべき”2007年8月17日崩れ”のお祝いとなる一周年である。当時の8月の記事の残りを、「58」番(初回)から「65」番((7)までと重ならないものを載せる。

●「不動産投信、海外投資家が売り越し・サブプライム余波」

日経新聞 2007年8月24日

 国内の不動産投資信託(REIT)市場が、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の余波を受けている。8月に入り、資金回収に動いた海外投資家が保有REITの売却を加速。東証REIT指数は直近の高値を付けた5月末から3割下落した。ただ急激な調整で分配金利回りの平均は3%台を回復。足元では利回り水準に着目した投資家の押し目買いが入っているようだ。

 海外投資家は昨年からREIT相場のけん引役だった。だが春先からくすぶり始めたサブプライム問題などを背景に、6月は1年ぶりに売り越し(375億円)に転じ、7月も202億円の売り越しだった。8月に入ってからも、「海外投資家が日本のREITを手じまい売りする動きが続いている」(国内証券)とみられる。

●「 仏BNPパリバ、3ファンド凍結解除へ・サブプライム関連」

日経新聞 2007年8月24日

 【パリ=安藤淳】仏銀最大手BNPパリバは23日、今月7日に実施した傘下の3つのファンドの凍結を28日以降、順次解除すると発表した。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)焦げ付きをきっかけに市場が混乱したのをきっかけに凍結。その後、市場が落ち着きを取り戻し、ファンドの資産価値を適正に評価する「諸条件が整った」としている。

 BNPパリバABSユリボー、BNPパリバABSエオニアの2つのファンドは日本時間28日午後8時に凍結を解除する。残るパーベスト・ダイナミックABSは同30日午後10時に解除する。凍結した7日時点のファンドの資産総額は約16億ユーロ(約2500億円)とみられる。

 BNPパリバはファンドの「資産価値を計算できる新しい手法」を確立したと説明。市場の状況を考慮し、同手法に基づく評価と応募、償還の再開を決めたとしている。7日以降、ファンドの資産価値はBNPパリバABSユリボーが2―3%、BNPパリバABSエオニアは2.5―3.5%、パーベスト・ダイナミックABSは4―5%下がったという。


● 「米上院銀行委員長、FRB議長らと会談へ 」
ttp://www.nikkei.co.jp/news/main/20070821AT2
M2100V21082007.html

日経新聞 2007年8月21日

【ワシントン=小竹洋之】 米上院のドッド銀行住宅都市委員長(民主党)は20日、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長、ポールソン財務長官と21日に会談することを明らかにした。

 サブプライム問題を発端とする金融不安への対応を協議する。同委員長は市場の動揺や信用収縮の広がりに歯止めをかけるため、一段の政策努力を要請する見通しだ。

 来年の次期大統領選に名乗りを上げているドッド委員長は19日、民主党の候補者8人による討論会で、FRBの資金供給と本格的な利下げが必要だと訴えた。住宅ローンの貸し手の規制や借り手の保護も強化すべきだと主張しており、FRB議長に総合的な対策を要請する可能性がある。

● 「日銀、利上げ見送りを決定」

日経新聞 2007年8月23日

ttp://www.nikkei.co.jp/news/main/20070823
AT2C2300L23082007.html

 日銀は23日開いた金融政策決定会合で、政策金利の引き上げを見送り、 現状維持を決めた。誘導対象である無担保コール翌日物金利を年0.5%前後 に据え置いた。金融・資本市場が不安定な状態になっており、実体経済への影響を見極める必要があると判断したとみられる。 正副総裁を含む9人の政策委員のうち、賛成が8、反対が1だった。

●「米住宅ローン会社、破綻・解雇相次ぐ」

日経新聞 2007年8月23日

【ニューヨーク=財満大介】米住宅ローン会社が次々と経営破綻やリストラに追い込まれている。今年、既に約90社が新規貸し出しの停止や破産を申請、4万人が解雇された。短期の資金調達に頼りすぎ、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で金融機関が融資を出し渋ると、資金繰りが一気に悪化した。住宅ローン市場が縮小すれば住宅販売をいっそう落ち込ませ、米経済を冷やす悪循環に陥りかねない。

 22日には大手証券リーマン・ブラザーズ傘下のローン会社と、独立系のアクレディテッド・ホーム・レンダーズが新規の融資を停止。21日は非上場会社で最大手のファースト・マグナス・ファイナンシャルが破産申請した。

●「仏BNPパリバのモーゲージ債トップトレーダー、交通事故で死亡 」
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=a0OsjjQQ_oVc

2007年8月20日 ブルームバーグ

 仏銀最大手BNPパリバでモーゲージ担保証券(MBS)自己勘定取引の責任者だった アンガス・ダンカン氏(48)が18日、米ニューヨーク州ラインベックの近くを自転車で友人宅に向かう途中、交通事故で死亡した。 同州ダッチェス郡保安官事務所によると、ダンカン氏はマンハッタンの約 100マイル(約160キロ)北にあるクリントンで 交差点を横切ろうとした際、乗用車にはねられた。

 ダンカン氏は2004年4月、モーゲージ債の自己勘定取引のトレーダーとしてBNPパリバに入行。その後、マネジング ディレクターに昇格した。ダンカン氏を採用したBNPのマネジングディレクター、ズビグニュー・ライザク氏は、ダンカン氏 には18年のモーゲージ債トレーディング経験があり、洞察力に優れ、落ち着いた物腰の貴重な人材だったと述べた。 ダンカン氏はドイツ銀行(ニューヨーク)にも6年勤務した経歴があり、MBS自己勘定トレーディング責任者を務めた。


●「サブプライム関連証券921億ドル相当、格下げ方向で見直し-フィッチ」
 Fitch to Review $92.1 Billion of Subprime Securities

2007年8月21日 ブルームバーグ

 格付け会社のフィッチ・レーティングスは 21日、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンの関連証券921億ドル(約10兆5180億円)相当について、格下げの可能性があることを示す「アンダー・アナリシス」とした。

 フィッチのアナリストらが21日発表した資料によると、見直しの対象はサブプライム関連証券235件。内訳は131件が2005年以前の証券194億ドル相当で、104件が06年の証券727億ドル相当となっている。

 フィッチによると、格付けが「BBB」以下の証券42億ドル相当は、格付け変更の可能性が最も高い。 同社は7月、05年と06年のサブプライム関連証券の見直しで、1050億ドル相当の格付けを据え置き、130億ドル相当の格付けを引き下げている。

●「市場の混乱、世界の経済成長を圧迫=IMF筆頭副専務理事 」
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-27511520070822?feedType=RSS

2007年 8月 22日 ロンドン、ロイター

  国際通貨基金(IMF)のリプスキー筆頭副専務理事は、最近の世界的な市場の混乱について、世界の経済成長を圧迫することは間違いないとの見方を示すとともに、不透明感が強いため混乱がすぐに終息するとは思えない、と指摘した。

 英フィナンシャル・タイムズ紙とのインタビューで述べたもので、新興国市場については、今のところ混乱をうまく乗り切っているが、打撃を受けずに済むと考えるのはあまりに楽観的だ、との認識を示した。同筆頭副専務理事は「グローバル化した世界においては、何らかの影響があるだろう」とした上で、「最も大きな影響を受けている数多くの金融機関は、米国に拠点を置くところではない」と語った。


●「FRB、利下げ実施すれば信認揺らぐ可能性も」

2007年8月21日 シカゴ、ロイター

 米連邦準備理事会(FRB)が近く利下げを実施するとすれば、それは、金融市場の救済としてではなく、実体経済が打撃を受けることに対する先制措置として行われる可能性が高い。

 ただ、たとえそうだとしても、利下げが実施されれば、米経済のかじ取りを担うインフレファイターとしてのバーナンキFRB議長の信認が新たに問われることとなるだろう。世界的な流動性の問題が過去10年間で最悪の状況となるなか、FRBはこれに対応するため利下げを近く実施するとみられている。金融市場からの圧力がかかるなか、バーナンキ議長は21日、米上院銀行住宅都市委員会のドッド委員長(民主党、コネチカット州)と会談した。

 バークレイズ・バンクのストラテジストは「彼(ドッド委員長)は、FRBに圧力をかけたり、連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定に口出しすることはしたくないと強調したが、発言内容や会談を予定していたこと自体からFOMCがある程度の政治的圧力に直面していることは明らかだ」と語った。

 米サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅ローン)に絡んだ損失により打撃を受けた銀行やファンドがここ数週間、世界各国で相次いでおり、世界の金融市場では過去10年間で最も深刻な信用収縮の問題が生じている。

 FRBは17日、公定歩合を0.50%ポイント引き下げ5.75%とした。また、公開市場操作を通じて、過去1週間で約1000億ドルの資金を銀行システムに供給した。しかしFRBは17日の公定歩合引き下げ後に声明を発表し、8月7日のFOMC後の声明とは異なる新たな政策スタンスを示し、政策金利の引き下げに向けた基礎固めを行った。

 FRBは「金融市場の状況は悪化しており、信用状況のタイト化や不透明性の高まりが、先行きの経済成長を抑制する可能性がある。成長への下方リスクが目に見えて(appreciably)高まった」としている。これを受けて、FRBが金融緩和の方向に政策バイアスをシフトし、すぐにでも利下げを実施する可能性があるとの見方が広まった。

 スタイフェル・ニコラウス・キャピタルの上場株式トレーディング部門マネジングディレクター、アンジェラ・マータ氏は「(FRBの)狙いは、市場にポジティブな心理を与え落ち着かせることだ。その点については(今のところ)成功したと言えるだろう」と述べた。FRBウォッチャーは、FRBが、状況を「監視(monitor)」していると言明したことは、利下げを保証したも同然だとみている。

 BNPパリバのエコノミスト、リチャード・アイリー氏は、FRBのこの文言について「最近において使用されたケースはたったの2回で、どちらの場合もFOMCの場以外での利下げをシグナルしていた」と指摘。「この文言の使用は、FOMC以外で利下げを実施する可能性が大いにあるというシグナルを市場に送ることが明らかに狙いとなっている」と語った。

 <利下げか据え置きか>
 しかし、ノーベル経済学賞受賞者のゲリー・ベッカー米シカゴ大学教授は、FOMCにとって最善の策は、外部からの圧力を振り払い、雇用やインフレ、国内総生産(GDP)に関する実際のニュースを待つことだと指摘する。

 ただ、一方では、クレジット市場の悪化を踏まえると、「政策当局者は、経済への影響に関する明確な証拠を待っている余裕はない」(FTNフィナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロウ氏)との声も聞かれる。米短期金利先物市場では、9月18日のFOMCで、もしくはその前に0.50%ポイントの利下げが行われる確率(FFV7)が高い水準で織り込まれている。

 <モラルハザード>
 FRBが利下げという先制措置をとれば、バーナンキ議長率いるFRBは先任者らと同様、リスクを取り過ぎて失敗した者達の救済に乗り出すという意味で、モラルハザードを引き起こすことになる。一部では、バーナンキ議長はクレジット市場が自律的に立ち直るのを見守るという「愛のむち」的アプローチの方が望ましいと考えるのではないか、との見方も出ている。

 ベッカー教授は「リスクの高い資産への過剰投資の結果、財務状況が悪化しているようなヘッジファンドやその他の金融機関は、自らの過ちの代償を支払うべきだ」との見解を示した。また、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの首席グローバル通貨ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は、9月の利下げは決定したわけではない、と指摘している。


● 「ヘッジファンドの破たん、例年上回る記録的な水準に」

2007年8月17日  ボストン、ロイター

 複数の市場関係者によると、今年は、例年を上回る記録的な数のヘッジファンドが閉鎖に追い込まれるとみられている。ヘッジファンド業界では例年、何百というファンドや運用担当者が静かに姿を消すが、今年は、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に端を発した市場の混乱で、例年にも増してファンドの閉鎖や運用担当者の退社が相次ぐとみられている。

 今年はベアー・スターンズ傘下の著名ファンド2本や、ハーバード・マネジメントの元資金運用担当者が設立したソーウッド・キャピタルが破たん。ゴールドマン・サックスも傘下のファンドに30億ドルの資金を注入した。

 これ以外にも多数のヘッジファンドが巨額の損失を抱えているといわれており、市場では、今後数週間以内にさらに損失を明らかにするファンドがあらわれるとの見方が多い。複数のヘッジファンドに投資しているミレニアム・ウェーブ・アドバイザーズのジョン・モールディン氏は「今年は、問題ファンドの数という意味では、ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)が破たんした98年以来、最悪の年になりそうだ」と指摘。

 複数の専門家によると、現在ヘッジファンドの閉鎖率は年間8%前後だが、閉鎖率は来年初めまでに2倍近くに上昇する可能性がある。現在、世界全体で9800本のヘッジファンドがあるといわれているが、5年以内にその3分の1が消滅するとの予想もある。

 投資銀行モルガン・ジョセフのマネジングディレクター、ランディー・ランパート氏は「ヘッジファンド業界は、これまで右肩上がりで拡大してきたので、今後ある程度の調整が予想される。中小のファンドは苦戦を強いられるだろう」と述べた。

 こうしたヘッジファンドの苦境を背景に、投資家の間では、少なくとも一時的に、リスクの再評価やリスク回避の動きが出ている。ヘッジファンドは非公開情報が多いという理由で、解約に動く投資家もいる。金融株に投資するヘッジファンド「セカンド・カーブ・オポチュニティー・インターナショナル」を運用するトム・ブラウン氏は、1─7月の運用成績がマイナス27%になったことを投資家に伝えたという。

 ジェームズ・サイモンズ氏が運用する「ルネッサンス・インスティチューショナル・エクイティーズ・ファンド」も、先週末時点で運用成績が「マイナス7%台」となった。

 ニューイングランド・ペンション・コンサルタンツのジェーソン・ドブロバイ氏は「ドミノ倒しのような状況になるだろう。別の列のドミノまで倒れることもある。巻き添えになるファンドがたくさん出てくるだろう」と述べた。 追加担保の差し入れや、投資家から解約を求められたヘッジファンドが、株式の売却を余儀なくされ、巨額の損失が発生するケースも出ている。

 メイフラワー・アドバイザーズのマネジングパートナー、ローセンス・グレーザー氏は「今後さらに悪いニュースが報じられ、解約請求が増えるだろう」と予想。「ヘッジファンドの解約は、2001年以来最悪となるとみられる。特に、コンピューターだけに頼って売買しているような特殊な戦略のファンドは影響が大きい」と述べた。

 アナリストの間では、今後、年金基金がヘッジファンド投資を敬遠するようになるとの見方も浮上している。昨年の年金のヘッジファンド投資は69%増の505億ドルだった。政治家からヘッジファンドの規制を求める声が上がっていることも、ヘッジファンド投資にブレーキをかける原因になる、との指摘もある。

 まず最初に犠牲になるとみられるのは、巨額の損失を被った運用資産10億ドル未満の小規模ファンドだ。通常、ヘッジファンドは収入の多くを成功報酬に頼っているため、運用成績がマイナスになれば収入が大幅に減る。「成功報酬をもらえなければ、従業員には自腹で給料を払わなければならない。これは痛い」(ドブロバイ氏)。

 モルガン・スタンレーの調べによると、ヘッジファンドの運用資産全体の68%は上位100ファンドが運用しており、中小ファンドが閉鎖しても、業界全体に大きな影響はないとの見方もある。ただ、業界トップの運用成績をあげるのは、大手ではなく中小ファンドという調査結果もあり、こうした中小ファンドが閉鎖に追い込まれれば、業界全体の問題になりかねない。

 一方、近年ほどのペースではないが、市場の混乱にもかかわらず、今後も新しいヘッジファンドが次々と誕生するとの見方は多い。新ファンドの設立を検討しているというある運用担当者は「破たん証券を買う機会は豊富にある」と語った。

●「米国債 TB利回りが87年以来最大の下げ-リスク回避鮮明に」

Treasury Bill Yields Fall Most Since 1987 on Money Fund Demand

2007年8月20日 ブルームバーグ

  米国債市場は短期証券(TB)の利回りが 1987年以来最大の低下幅を記録。信用収縮を背景に安全性の高い国債に買いが膨らんでいる。

 TB利回りは過去5営業日にわたって低下。マネー・マーケット・ファンド(MMF)が投資先を資産担保コマーシャル・ペーパー(CP)から国債へ乗り換えているためだ。3カ月TBの利回りは2001年9月11日の同時多発テロの影響を受けたとき以上の落ち込みだ。

 キャッスルオーク・セキュリティーズで債券のセールス・ディレクターを務めるジョン・ジャンセン氏は、「市場は完全に、また完璧に恐怖感に包まれている。市場参加者は多くの住宅ローン証券やそれに関連したあらゆるデリバティブ(金融派生商品)がまったく不透明であり、値付けができない状態に恐怖を抱いている」と語った。

 ニューヨーク時間午後4時23分現在、3カ月物TB利回りは前週末比約 0.66ポイント低下して3.09%。ブラックマンデーの翌日1987年10月20日以降で最大の下げ。このときは0.85ポイント低下した。また同時多発テロ後初めて市場が再開された2001年9月13日の下げ幅は39ベーシスポイント(bp、1bp =0.01ポイント)だった。

 TB入札
 質への投資から米財務省が実施した3カ月物TB(210億ドル)の最高落札利回りは2.85%と、2005年5月16日に記録した2.8%以来の最低を記録した。 投資家はまた、安全だと考えられていたMMFも回避している。MMFがサブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ローンを裏付けにしたリスクの高い債務担保証券(CDO)に投資していたとの懸念が背景だ。

 米キャストレトン・パートナーズの債券マネジャー、ヘンリー・スミス氏は、「MMFから撤退し、国債へと投資先の変更を望む顧客がいる」と語り、「市場参加者はTBを購入している。その理由は安全だからだ」と続けた。 ニューズレターのマネー・ファンド・リポートーのコニー・バグビー副編集長によると、機関投資家は8月14日から17日にかけて、国債投資を主にしたMMFへの投資額を397億ドル増やした。

 米連邦準備制度の公開市場操作(オペ)を担当するニューヨーク連銀は20 日、今月23日に償還期限を迎える50億ドル相当のTBを同連銀の公開市場操作用の口座「システム・オープン・マーケット・アカウント(SOMA)」を通じて買い取ると発表、準備高の運用に「より柔軟性」をもたせると述べた。

 利下げ完全に織り込む
 2年債利回りは前週末比10bp低下して4.08%。2年債価格(表面利率 4.625%、2009年7月償還)は1/8上げて101 31/32。  プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)21社のうち、半数以上は連邦公開市場委員会(FOMC)が来月の次回会合までのフェデラルファンド(FF)金利誘導目標引き下げを見込んでいる。

 金利先物市場動向によるとトレーダーは、9月18日のFOMCまでの利下げを完全に織り込んでいる。このうち70%が現在の5.25%から4.75%への引き下げを見込んでおり、残る30%は5%への利下げを予想している。

●「NY連銀:公開オペで380億ドル供給、9.11同時テロ対応に迫る 」
Fed Adds $38 Bln in Funds, Most Since September 2001

2007年8月10日 ブルームバーグ

 米連邦準備制度の公開市場操作を担当するニューヨーク連銀は10日、3回のレポを通じ、金融システムに合計380億ドル(約4兆4950億円)の資金を供給した。供給規模は対米同時多発テロが起きた2001年9月以来で最大。サブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ローン担保債の破たんでゆれる市中銀行の現金需要に対応した。

 ニューヨーク連銀は、サブプライム問題を発火点とする市場の動揺を抑えるため、まずはレポ対象担保を住宅ローン担保証券(MBS)に限定して190 億ドルを供給。その後、MBSと機関債、米国債を担保として160億ドルを追供給した後、午後に入りこの日3度目のレポで30億ドルを追加供給した。サブプライム問題が世界のクレジット市場に波及し、短期金利が上昇し、株価が下げている。ニューヨーク連銀は9日には、4月以来最大規模の合計240億ドルを金融システムに供給した。

 ICAPによると、フェデラルファンド(FF)金利はこの日、2001年1月以来の高水準となる6%で取引を開始していたが、ニューヨーク連銀の2度のオペを経て、連邦公開市場委員会(FOMC)の指令に基づく誘導目標 5.25%に低下した。

 ストーン&マッカーシー・リサーチ(ニュージャージー州スキルマン)のプリンシパル、ウォード・マッカーシー氏は、「FRBは非常に積極的な姿勢をみせており、確実に金融市場の流動性を十分な水準に上げようとしている」と述べ、「うまく行ったようだ」と評価した。

 9・11
 2001年9月11日の対米同時多発テロからの1週間、ニューヨーク連銀は1日平均にして753億ドルの資金を供給した。これまでの最高は同年9月 14日の812億5000万ドル。 連銀は今年に入り前日まで、1日平均90億ドルの資金を市場に供給してきた。 10日の米金融市場では、レポを受けて米国債相場が伸び悩んだ。株価は世界的に下落している。
FRB声明

 米連邦準備制度理事会(FRB)はオペ実施後に声明を発表し、「異例の規模の資金需要」に見舞われている銀行もあると指摘。公定歩合による連銀窓口貸し出しも通常通り実施しているとした。

 メリルリンチが9日に発表したリポートによると、トレーダーの間では来週にも緊急連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、利下げが決定されるとの観測が一部で流れている。 またJPモルガンはこの日のリポートで、今月中の利下げについて「ありそうなことだ」と指摘した。

 一方、クレディ・スイス・グループの金利戦略責任者、ドミニク・コンスタム氏は、「本日の公開市場操作で8月利下げの可能性は低下した」と語る。「FRBは何とか利下げをせずに流動性の問題を解消しようと懸命だ」と付け加えた。

●「サブプライム危機は、米国よりも英国が深刻である-M・リン」
(マシュー・リン氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

U.K.'s Subprime Crisis May Be Worse Than U.S.'s: Matthew Lynn

2007年8月8日 ブルームバーグ

 信用力の低い個人向けのサブプライム住宅ローンの危機が金融市場に与える打撃については、誰もが知るところとなった。世界の株式相場が打撃を被っているのは米国の住宅ローン問題への懸念が理由だ。

 次はどの国がこの問題に見舞われるのだろう?英国でも米国と同様の熱狂的な不動産バブルが発生している。不動産評価が水増しされ、融資基準が緩和された結果、英経済は依然として健全でも、返済の延滞は急増し始めている。英国はサブプライム危機に直面しているだけではなく、米国よりもはるかに深刻な危機に陥りかねない。

 英国の負債と住宅ローンの延滞に関する最新統計は確かに、ぞっとさせられるものだ。ロンドンのコンサルティング会社キャピタル・エコノミクスは投資家向けリポートで、家計は「住宅ローンに関しては一段と苦境に陥っており」、「金利上昇の影響が今後完全に表れてくると、住宅ローンの延滞はさらに増加する公算が大きく、無担保の不良債権が再び増加する可能性がある」と分析した。

 返済を継続できずに差し押さえを受けている住宅の数に、問題の前兆が見える。英国住宅金融貸付組合(CML)によると、今年1-6月期に金融機関が抵当流れ処分にした物件は1万4000件と、前年同期より3割増えた。

 借金多い英国人
 延滞件数もいい状況とは言えず、全体の1%に当たる推定12万5100件の返済が遅れている(CMLのデータ)。状況が改善されなければ、数カ月後にこうしたローンの対象となる住宅は差し押さえを受ける。英国の負債状況をより広範囲で見ても、慰めにはならない。英国立経済社会研究所(NIESR)のデータによると、個人所得に対する家計の負債の比率は英国が1.62と、米国の1.42や日本の1.36、ドイツの1.09を上回る。

 英国も米国と同じ規模のサブプライム危機に直面している。英国で住宅ローンを申し込めば分かるが、銀行は多くの質問もせずに融資を決定する。英金融サービス機構(FSA)は先月、サブプライムセクターでの無謀な融資を批判し、「負担しきれない住宅ローンを承認する結果」をもたらしていると指摘した。

 収入証明なし
 英国の住宅ローンは、「プライム」と「サブプライム」をきちんと分類できない。大手金融機関の大半は、所得証明も求めずにローンを提供している。返済不履行の履歴のない「プライム」とされる借り手の多くは、返済が困難になるほどの住宅ローンを受ける可能性が高い。英国のサブプライム危機は米国よりもはるかに厄介になり得る。理由はこうだ。

 まず、借り手がローンを背負えなくなる兆候が鮮明になっているにもかかわらず、住宅価格の高騰が持続していることだ。英住宅連盟が今週示した予測によると、国内住宅価格は今後5年で40%上昇し、平均価格は2012年までに 30万2400ポンド(約7200万円)に達する見通し。英国の平均住宅価格はすでに、平均所得の11倍となっており、この数字は上昇が続いている。

 次は金利だ。米国の金利はピークに達して、間もなく低下するかもしれないが、英国ではそんなシナリオは描けない。イングランド銀行は少なくともあと1回利上げを実施し、政策金利を6%に引き上げる見込みだ。住宅価格や物価全般に利上げの影響が出てこなければ、金利は引き続き上昇する可能性がある。すでに返済に困窮する借り手にとっては、救いにならない。

 住宅市場のサブプライム危機を終息させるには、2つの自動調整メカニズムが必要だろう。一つは住宅価格が静かに下落して不動産が買いやすくなるとともに、ローンの規模が縮小することだ。もう一つは、金利が安定または低下することでローンの返済を継続しやすくなることだ。

 ただ、いずれも英国には当てはまりそうにない。金利は上昇し、住宅価格も上がっている。その結果、数千世帯が不安定な状況に置かれ、ローンを提供した銀行も同様の状況にある(こうしたローンを購入した投資家は言うまでもない)。

 ただ立ち去るのみ
 不動産価格が上昇している間は、誰もが安泰だろう。住宅価格がローン残高よりも高く評価されていれば、絶対に手放さないだろう。困った事態になれば、住宅を売ることができるし、ローンを返済してもっと安いところに引っ越すことも可能だ。

 しかし、米国で露呈したように、住宅価格が下落し始めれば、その計算は成り立たなくなる。問題が生じた場合に物件を売却してローンを返すことは不可能であり、返済の継続を促す要因はほとんどない。ただ身を引いて、鍵と問題を住宅ローン会社に託すしかないのではないか。 英国はまだ、そうした状況には至っていない。だが、そうなった場合、米国よりもひどい混乱が生じかねない。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


「この「第2ぼやき」記事を印刷する」
「89」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(24) 2008年8月の新聞記事で、ここの「81」番(16)に載せなかった分を載せます。2008.9.13
副島隆彦です。 2008年8月分の新聞記事で、「81」番(16)に載せなかった分を載せます。 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●(副島隆彦注記。以下の記事のような生やさしいものではなくて、メリルリンチもシティバンクもモルガンスタンレーも、8割以上の日本人社員が、昨年秋からどんどん、辞職、退職、クビになったようだ。ようやくこのことが騒がれるようになった。副島隆彦注記終わり)

「外資系金融:過去1年で1109人リストラ、米系企業で7割以上…サブプライム損失が膨らみ 」

2008年8月25日 朝日新聞

 この1年間にサブプライム問題でリストラされた日本の外資系金融機関の 従業員数は1109人?。外資系金融への人材紹介を手がけるエグゼクティブ・サーチパートナーズ(ESP)が、こんな調査結果をまとめた。サブプライム関連の損失額が膨らんだ米系企業でのリストラが7割以上を占めたという。

 日本に拠点がある外資系の銀行、証券会社、資産運用会社、ヘッジファンド、投資ファンドなどで働いていた従業員2万7819人が対象。ESPが独自のネットワークを通じ、聞き取り調査などを実施した。

 部門別では、不動産証券化の業務などを手がけていた従業員のリストラが最も多く、408人。債券・株式業務部門も362人がリストラされた。各社が陣容を拡大してきた投資銀行部門でも、111人が対象に。地位や年齢による偏りはみられなかった。

 サブプライム危機の震源地の米国では、ニューヨーク州で働く証券業界の従業員だけで約4万人がリストラされたとされる。日本でのリストラは欧米に比べれば小規模。ESPの小溝勝信代表は「日本での外資系金融機関の雇用環境は、ITバブルの崩壊時ほどは
悪くない」とみる。ただ、金融不安は収まる気配がない。ESPは調査報告書で「年内にもう一段の人員削減が行われるという観測も多い」としている。(都留悦史)


● 「「30兆円「たんす預金」 発行残高の4割 低金利、先行き不安」

2008年8月23日 産経新聞

 日銀は22日、現金を自宅に保管する「たんす預金」が30兆円程度に上るとの試算を発表した。銀行券の発行残高全体の約4割を占める。低金利が続き、米国の低所得者向け高金利型住宅ローン問題に伴う金融市場の混乱も沈静化しない中で、生活の先行きに不安を抱える高齢者を中心に、現金を手元に置く傾向が強まっているとみられる。試算は世の中に出回る千円札と一万円札の枚数の伸びの違いから算出した。

 約15年前の紙幣の流通枚数は千円札が25億枚、一万円札が30億枚程度だったが、その後一万円札だけが右肩上がりに増加。平成20年6月末では、千円札35億5000万枚に対し、一万円札は倍の70億枚となった。日銀は「一万円札を用いた決済だけが急増したとは考えづらく、増加分は貯蓄目的で保有されている可能性が高い」とみている。

 たんす預金は7年に5兆円程度だったが、約10年前の金融システム危機で次第に増加。14年にペイオフ(破綻金融機関の預金払戻保証額を元本1000万円と利息に限る措置)が部分解禁されたのを機に20兆円台後半に乗り、その後も高止まりが続いている。

 一方、約120兆円がモノやサービスの売買に使われず、銀行や信用金庫などの普通預金に置いたままであるとの試算も示した。


●「 韓国産業銀が米リーマン買収の公算があると表明 」

2008年8月22日 ロイター

 韓国産業銀行(KDB)が同日、米証券大手リーマン・ブラザーズ・ホールディングスは買収対象候補の1つだと表明したと報じた。KDBの広報担当者は「多数の選択肢を検討しており、リーマン」の買収「も含めたあらゆる可能性が開かれている」と述べた。

リーマン・ブラザーズが発したSOS

 資金事情が悪化したリーマン・ブラザーズは今年初めから資金の「輸血」に乗り出した。特に数十億ドルから数百億ドルの資金を運用する国富ファンドを持つ中東国家や中国、韓国などに接触を試みた。業界関係者は「リーマン・ブラザーズだけでなく、米金融機関の大部分が国富ファンドに頼っている」と話した。

 しかし、中東や中国は米国との政治的関係を考慮すると、株式の譲渡先として適切ではないという見方がある。韓国の企画財政部高官は「イスラム国家の中東や競争関係にある中国が買収すれば、米国の企業情報がまるごと流出する可能性があるため、米政府が許可するだろうか」と疑問を投げかけた。

 リーマンの財務状況、予想より深刻
 今月初めにリーマン・ブラザーズの本社がある米ニューヨークで具体的な交渉が行われた。外電によると、交渉で示された価格はリーマン・ブラザーズの簿価価値を50%上回る水準だったという。しかし、土壇場で交渉は決裂した。リーマン・ブラザーズ側が示した高値も負担だったが、産業銀が自ら交渉から手を引いたのだ。

 韓国政府高官は「帳簿を調べたところ、(リーマンの)損失は予想より深刻だった。損失が生じると追加的に資金を注ぎ込まねばならず、政府(産業銀行)が買収に臨むにはリスクが大きすぎると判断した」と述べた。

 没落する150年の老舗
 1850年設立のリーマン・ブラザーズは今年3月、業界5位のベア・スターンズの破産を受け、今回の金融不安で「2匹目のいけにえ」になるのではないかとささやかれている。金融不安を招いたサブプライム住宅ローンにベア・スターンズ並みに攻撃的な投資を行ってきたためだ。

 4-6月期だけで約28億ドル(約3040億円)の損失を出し、キャッシュフローが不足している。リスク資産の総額が500億ドル(約5兆4280億円)に上るとの分析もある。

厳しい財務状況であるのは事実のようだが、話しはご破算になったと報道されている、問題は、150年の老舗を米国が海外企業に売却するか否か、現在、米国の主要メディアはメインで取り上げていない、あのCNBCがS. Korea Bank Interested in Lehman, Boosting Stock程度の報道しかしてないぐらいだから、噂の域を出ないと見るがーー、今現在DJ先物は上昇している、 (注記。韓国の銀行はリーマンブラザーズを買うとは一言も言っていない。)


●「米リーマンの株価急伸、韓国産業銀が買収可能性」

2008年8月22日 ブルームバーグ

 22日朝の米市場で、証券大手リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの株価が寄り付き前の時間外取引で15%急伸した。韓国産業銀行(KDB)がリーマン買収の「可能性を閉ざしていない」とロイター通信に報じられたことを受けて買いが膨らんだ。

 ニューヨーク時間午前8時30分(日本時間午後9時30分)現在、リーマン株は前日比2.03ドル高の15.75ドル。年初から21日まででは80%近く下落していた。リーマン債のクレジット・デフォルトスワップ(CDS)のスプレッドは74ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し315bpとなった(CMAデータビジョン調べ)。低下幅は4月8日以来で最大。

 ロイター通信はこの日、KDBの広報担当者が同行は「多数の選択肢」を検討しており、リーマンの買収も含め「あらゆる可能性を閉ざしていない」と述べたと報じた。リーマンの広報担当者、マーク・レーン氏とKDBのミン・ユソン最高経営責任者(CEO)はコメントを控えた。

●「バフェット氏、ファニーとフレディの純資産は「ゼロ」だと発言」
August 22, 2008

 同氏は、独立企業としての両社は「終わっている」と語り、独立して存続することは難しいとの見解を示した。

● 2008年8月22日 ブルーンバーグ

 元中国中銀行当局者は、「米政府がファニーメイとフレディマックを破たんさせ海外投資家の資産を適切に保護しなかった場合、結果は破滅的だ」とし、「世界の終わりでないにしても、現行の国際金融システムの終えんを意味するだろう」との見解を示した。

●「米証券大手リーマン:不動産など400億ドル売却か、財務内容の悪化で…英FT紙」

2008年8月16日 読売新聞

【ロンドン=是枝智】 財務内容の悪化に苦しむ米証券大手のリーマン・ブラザーズが、保有する不動産や商業用不動産担保ローンなどの資産約400億ドル(約4兆4000億円)をすべて売却する検討に入った。英紙フィナンシャル・タイムズが16日報じた。

 リーマンは一括または分割して売却する方向で、買い手には米大手投資会社のブラックロックやコロニー・キャピタルなどが含まれるという。ただ、買い手との間で価格面で開きが残っているとしている。リーマンは5月末時点で、104億ドルの不動産のほか、商業用不動産担保ローンなどを294億ドル抱えているが、昨年11月末から比べると、価値は計約120億ドルも目減りしている。リーマンの08年3~5月期決算は、純利益が27億ドルを超える大幅な赤字だった。


●「格付け会社のムーディーズ、米ファニーとフレディの優先株を5段階格下げ」

2008年8月22日  ブルーンバーグ

 格付け会社のムーディーズは、両社の優先株格付けを「A1」から5段階引き下げ「Baa3」とした。政府による救済の可能性を反映する銀行財務格付けは「B-」から4段階下の「D+」に引き下げた。ムーディーズは一方で、財務省が両社の優先債や劣後債の支払い不履行を容認するとは考えにくいとの見方を示した。

●「ドバイ政府系企業 幹部・従業員の取り調べ相次ぐ 」

日経新聞 2008年8月16日

 アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ政府系の不動産関連企業の幹部や従業員が相次ぎ、収賄や不正な金融取引に関与した疑いで捜査当局の尋問を受けていることが15日までにわかった。対象者には有力政府系ファンド、イスティスマル・ワールドの副会長も含まれている。今後の展開によっては大規模な金融スキャンダルに発展するとの観測も浮上してきた。

 ロイター通信などによると、不動産開発大手ナキール・プロパティーズは15日、同社の従業員が収賄容疑で調べられていると声明で認めた。イスティスマルもアデル・アルシラウィ副会長とフェラス・カルトゥーム・グループ最高財務責任者(CFO)がそれぞれ入社前の職務に関連し尋問を受けていると明かした。ナキール、イスティスマルはともにドバイ政府の持ち株会社ドバイ・ワールドの傘下にある。

 イスティスマルの2人には同社が筆頭株主の不動産融資大手タムウィールに絡む不正な取引に関係した疑いがかけられているとみられる。


●「スペイン、住宅バブル崩壊で6兆円超の景気対策 「欧州経済の優等生」に逆風」

日経新聞 2008年8月15日

 スペイン政府は14日、臨時閣議を開き、特別融資枠の設定や税還付、公共工事の増加を柱とする総額6兆円強の景気対策を決めた。住宅バブルが崩壊した同国経済は昨年までの4%近い成長から足元はほぼゼロ成長に減速。ここ数年は「欧州経済の優等生」といわれたスペインだが、信用収縮を伴う世界経済減速の逆風をまともに受けている。

 スペインの4―6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比0.1%増となり、増加率は前年同期の10分の1に落ち込んだ。7―9月期はマイナス成長になるとの見方も出ている。サパテロ首相は夏休みを切り上げて臨時閣議を開き、24の施策からなる景気対策を決めた。

 対策は公的金融機関を通じ住宅建設や中小企業向けに特別融資を実施したり、付加価値税(VAT)などの一部を還付したりする。総額は同国のGDPの約4%に相当する約400億ユーロ(約6兆5000億円)に上る見通しで、2010年をメドに3%程度の経済成長率を目指す。


● 「日本経済、「失われた10年」の悪夢再び? 」
http://news.livedoor.com/article/detail/3776025/

ライブドア・ニュース 2008年8月14日

 日本経済が「失われた10年」の不景気の悪夢に再び苦しんでいる。日本政府は13日、今年第2四半期(4‐6月期) の経済成長率が昨年同期に比べマイナス2.4%を記録した、と発表した。前期比では成長率マイナス0.6%となる。

 日本が前年同期比でマイナス成長を記録したのは、2002年第2四半期(マイナス0.6%)以来6年ぶりのこと。景気が後退している最も大きな理由は個人消費の減少で、前期に比べ0.5%減少した。

 日本の景気が再びマイナス成長率を示したことにより、02年2月から始まった日本の戦後最長の景気拡大が終わり、再び景気の後退局面に入ったのではないか、という懸念が高まっている。日本の内閣府は、先週発表した月例経済報告で、日本の景気が「弱含んでいる」という表現を2001年以来初めて使用した。

 経常収支の黒字も史上最大幅で減少した。財務省は13日、6月の日本の経常収支の黒字が昨年同期(1兆5200億円)より67.4%減の4939億円を記録した、と発表した。6月の輸出は昨年同期比で1.5%減少したが、輸入は石油類など原材料価格高騰の影響で17.8%増加した。輸入物価の上昇は、卸売価格も引き上げている。卸売物価に該当する7月の企業物価指数は、1年前より7.1%上がり、27年ぶりに最高値を記録した。

 日本経済に関する否定的なニュースが続出する中、13日の日経平均株価は前日より280.55円安(マイナス2.11%)の1万3023円5銭の値を付けた。

 景気後退が本格化しつつあることに伴い、日本政府も対策の準備に乗り出している。福田康夫首相は最近「日本経済の状況は大変深刻だ」と語り、8月末ごろ景気浮揚策を打ち出す計画であることを明らかにした。カリヨン証券の加藤進マネージング・ディレクターは「日本は既に昨年末から景気の後退局面に入っており、景気の不振は12‐18カ月間続く可能性がある」と語った。


●「三菱UFJ、米銀をTOB完全子会社化…3000億円規模 」

2008年8月12日  読売新聞

 三菱東京UFJ銀行は12日、傘下の米有力地銀ユニオン・バンク・オブ・カリフォルニア (本部・サンフランシスコ市、UBOC)を完全子会社化する方針を固めた。

 同日午後にも発表する。UBOCの親会社である米持ち株会社に対する株式保有比率を、株式公開買い付け(TOB)で現在の約65%から100%に引き上げる予定で、取得金額は3000億円規模。大手銀行による米上場金融機関の完全子会社化では過去最大規模となる。

 完全子会社化で富裕層の多い米カリフォルニア州での営業強化を狙うとともに、三菱UFJフィナンシャル・グループの連結決算に業績堅調なUBOCの利益を一層取り込みたい考えだ。UBOCは、カリフォルニア州など米西部を中心に約340の拠点を持つ。

●「米証券取引委、空売り規制の恒久化を検討=NYポスト」

2008年8月12日  ロイター

 米ニューヨーク・ポスト紙は、関係筋の話として、米証券取引委員会(SEC)は、金融株を対象とした空売り規制を恒久的なものにすることを検討しており、来月に新提案を公表する見通しだと伝えた。同紙によると、SECは前月から実施している借り株の裏付けのない空売りを禁じる緊急規制に関して、拡大を検討している。また、3日以内に株式の借り入れを行わなかった場合、制裁金の導入も検討しているという。

 現在の規制では、シティグループやリーマン・ブラザーズなど米主要金融機関の19銘柄を空売りする場合、事前に株式を借り入れる必要がある。この緊急規制は、金融機関株式の大幅下落の原因ともされる株価操作の取り締まり強化の一環で、12日に期限切れを迎える。同紙によると、SECの新提案は9月中旬に発表される予定だが、最終的な取りまとめには数カ月かかる可能性もあるという。SECのコメントは現在のところ得られていない。

● 「米農地価格は過去最高水準、米住宅危機のさなかでも-穀物価格高騰で 」

2008年8月4日 ブルームバーグ

 米国の農地価格は、その他の不動産市場が大恐慌以来で最悪の住宅危機で低迷するさなかにあっても、過去最高となっている。穀物価格の高騰が農業用不動産の価格を押し上げている。

 米農務省が4日発表した年次報告書によれば、今年初めの農場の土地・建物価格は1エーカー(約40.47アール)当たり平均2350ドルと、前年比8.8%上昇。トウモロコシや小麦、大豆の値上がりにより、カンザスやネブラスカ、ノースダコタ、サウスダコタなどの州を含む地域では不動産価格の上昇率は 15.5%と、国内最高となった。

 米農務省によると、同地域の不動産ブームは商品価格上昇を反映しており、商品高騰で今年の農家の純収入は923億ドルと、昨年の887億ドルから押し上げられるもようだ。アイオワ州立大学のブルース・バブコック氏は、収入増加で農業従事者は米モンサントやアグリウムからの肥料や種子の購入のほか、トラクターやトラックへの新規投資に資金を充てる可能性が強まったと指摘する。

 米国で最も高額な農地はマサチューセッツ州で、1エーカー当たり1万 2200ドルだった。ロードアイランド州やコネティカット州がこれに続く。最も安いのは1エーカー当たり平均630ドルのニューメキシコ州。

 シカゴ商品取引所(CBOT)の小麦相場は昨年77%上昇し、大豆は78%、トウモロコシは17%それぞれ値上がりした。いずれも今年に入り最高値を更新しており、08年は過去最高となった07年を上回ると、バブコック氏は予想している。

●「ARS不正販売等の疑いで、米シティに法的措置検討=NY州司法長官」

2008年 8月1日 ニューヨーク、ロイター

 ニューヨーク州のクオモ司法長官は1日、米シティグループに関し、金利入札方式の証券「オークションレート証券(ARS)」を不正に販売し、同州によって提出が命じられていた証拠資料を同社が破棄した疑いがあるとして、同社に対して法的措置を取ることを検討している、とした。

 ロイターが入手した文書によると、NY州は、ARS市場に関する5カ月間の調査で、ARSが現金と同様に流動的とシティが顧客に不正に確約したことが判明したと指摘した。ARSは今年に入りクレジット市場のひっ迫から売却が困難になっている。NY州はシティに対し、ARSを額面価格で買い戻すよう求めている。シティからのコメントは得られていない。


● 「S&Pが米ビッグスリーを格下げ 「Bマイナス」に」

日経新聞 2008年 8月1日

【ニューヨーク=米州総局】米メディアによると、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は31日、米自動車大手(ビッグスリー)のゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーをともに「B」から「Bマイナス」に格下げした。いずれも投資不適格の等級。原油高で大型車を中心に自動車販売の不振が続いており、手元流動性の減少が続くとみている。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝
「この「第2ぼやき」記事を印刷する」

「88」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(23) 2008年7月分の新聞記事の「80」番に載せなった残りを載せる。2008.9.13

副島隆彦です。2008年7月分の新聞記事のまとめは、「80」番(15)に載せたのだが、載り切らなかった分をここで載せます。  副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)


● 「サブプライム問題  外資金融勤め暗転:リストラの荒波…高給か安定か、揺れる学生」

朝日新聞 2008年7月31日

 サブプライム問題に揺れ続ける欧米金融大手のリストラの荒波は、東京を拠点とする社員ものみ込みました。すんなり転職先が決まらない例も目立ちます。報酬が高い半面、ドライに人員を削減するのが外資流とはいえ、今回の「危機」は根深いようです。

「人員縮小」突然の通告
 底冷えのする2月のことだった。外資系証券で働く20歳代の男性は午前中の仕事を終えると、上司に別の階の会議室に来るように呼ばれた。 「本社の業績が悪化した。申し訳ないが人員を縮小する。サインして欲しい」 退職金や給与支払いの総額を書いた書類があった。突然の人員整理の通告だった。

 その場でサインはできず、「持ち帰ります」と告げた。ただ、通告後はパソコンを使って仕事ができない決まりになっている。荷物をまとめて会社を去るしかなかった。「金融の職人になりたい」。そんな思いで大学卒業後すぐに外資系証券に入社。数年前に会社を変わり、不動産を証券化するチームに属した。風向きが変わったのは昨年末ごろ。サブプライム問題で市場が荒れ、機関投資家が証券化商品をなかなか買わなくなった。

 金融技術の高い、外資系金融の現場で働きたいとの思いが強い。以前勤めた外資系の面接を受けたが、「採用を絞っているので今は採れない」と言われた。まだ、採用されるめどは立っていない。別の外資系証券大手に勤めていた40歳代の男性は、新しい職を見つけるため20~30社にかけあった。内定寸前まで話が進みながら、手のひらを返したように断られたこともある。「これまでにいくつも会社を変わったが、今回は環境が最も悪い。サブプライム危機はそれだけ深刻なのだろう」

 兆円単位の損失を次々と計上している外資では、経営立て直しに向けて全世界で数千人にのぼる人員削減が相次ぐ。傷が浅いはずの東京市場も例外ではない。「外資系証券の中には、日本株の運用や証券化商品の販売を手がける20~50人単位のグループが丸ごと消えた会社もある」(人材紹介大手)

 人材紹介などを手がけるエグゼクティブ・サーチ・パートナーズの小溝勝信代表は「日本の外資系金融機関で働く人口は銀行・証券会社で計約2万5千人。そのうち千~2千人が昨年末からのリストラや希望退職などで職を変えた」と推測する。

 外資系金融は06年の高収益を追い風に、07年に東京でも大量採用した。ある欧州系金融機関は「コストが高い中途採用は厳選し、安く使える新卒採用を増やしたい」と打ち明ける。その分、リストラ組の職探しは厳しさを増す。「通常はこちらから連絡をとるが、今回は逆に向こうから1日に数十人単位で問い合わせがあった」。就職仲介会社の社長は、リストラされた社員からの問い合わせに応じるため、年末から春まで携帯電話を握って床についていたという。「経験したことのないくらいの特需」(ヘッドハンター)だった。

 多くの外資はこの4~6月期決算でも、サブプライム関連の損失を積み増した。「自分自身は好業績を上げていたのに、リストラされてしまった」。欧州系の金融大手に勤めてきた30歳代の男性は最近、職探しに走り出した。

 高給か安定か 揺れる学生
 学生も敏感に反応する。内定していた09年春の入社を取り消された学生もいる――そううわさされているからだ。「外資系で株式や債券のトレーダーになるのが夢だった」という東京都内の男子学生(24)は、外資系金融機関への就職をあきらめ、国内の大手電機メーカーへの就職を決めた。気持ちが変わったのは、米欧でサブプライム危機がはじけた昨夏。外資が東京の事務所で実施した職場体験に参加したのがきっかけだった。 「損失がどこまで膨らむかわからない。ひょっとしたら、うちの会社はつぶれるかもしれない」。

  あこがれの先輩が発したのは弱気な言葉だった。目の前にずらりと並んだパソコン画面を眺める債券トレーダーは、値動きの激しさにいら立っていた。

 「高給と仕事のやりがいにあこがれたが、重圧を受ける社員を目の当たりにして、外資でやっていく自信がなくなった」。この学生はそう漏らす。欧州から日本に留学していた若者は今春、日本の証券会社に就職した。「欧米系で不安な人生を 送るより、安定してキャリアを積める日本的経営の方がいいのではないか」と考えたという。 (都留悦史、古屋聡一)

●「米SECの調査、リーマンめぐる財務悪化などの憶測風説に焦点」

2008年7月28日

 ウォールストリート・ジャーナルは、米証券取引委員会(SEC)が米証券大手リーマン・ ブラザーズ・ホールディングスの財務悪化や大口顧客を失いつつあるなど6、7両月に流れた憶測に焦点を絞って、不正な株価操作の有無を調査していると報じた。調査の状況に詳しい複数の関係者の話を基に伝えた。


 SECは、多くのヘッジファンド運用会社などに通話記録や給与詳細の提供を求める召喚状を送った。同紙によると、召喚状は連邦準備制度の融資制度や英バークレイズ、ヘッジファンド運用会社SACキャピタル・アドバイザーズ、債券ファンド運用最大手の米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)に言及していた。SECの調査はまだ初期段階だという。

●「米銀行2行が経営破綻 サブプライム問題根深く」

2008年7月26日 毎日新聞

 【ワシントン斉藤信宏】米連邦預金保険公社(FDIC)は25日、ネバダ州のファースト・ナショナル・バンク・オブ・ネバダとカリフォルニア州のファースト・ヘリテージ・バンクが経営破綻(はたん)したと発表した。 FDICは2行の資産を差し押さえ、ネブラスカ州のミューチュアル・オブ・オマハ・バンク に譲渡した。米国内では2週間前にもカリフォルニア州の住宅金融大手インディマック・バンコープが破綻したばかり。

 25日に破綻した2行は資産規模こそインディマックの10分の1以下と小さいが、相次ぐ金融機関の破綻は、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題の深刻さを改めて浮き彫りにした。

 FDICによると、ファースト・ナショナルの総資産は約34億ドル(約3670億円)で預金額は約30億ドル、ネバダ州内などに25支店を構えている。ファースト・ヘリテージは資産2億5400万ドル、預金額は2億3300万ドルで支店数は3店。ファースト・ナショナルはサブプライム関連の評価損などの影響で、08年1~3月期に1億3130万ドルの純損失を計上。経営の先行きが危ぶまれていた。


● 「空売り規制の全銘柄への拡大提案へ、新たな対策も検討=米SEC委員長」

2008年 7月 24日 ワシントン 、ロイター

 米証券取引委員会(SEC)のコックス委員長は24日、金融大手19社の株を対象とした空売り規制について、全銘柄への拡大を近く提案する方針を明らかにした。

 同委員長は下院金融委員会で証言し、空売り規制を市場全体に拡大することを検討しているとし「間もなく提案を行う」と述べた。 また記者団に対し、大規模な空売りポジションの報告義務付けなど、新たな空売り規制を検討していることを明らかにした。


●「UBS株が大幅安:米ニューヨーク州が提訴-入札方式証券めぐり 」

2008年7月25日 ブルームバーグ

 25日のスイス市場で、同国の銀行最大手UBSの株価が大幅安となった。米ニューヨーク州のクオモ司法長官は同行が入札方式証券(ARS)を安全な投資先として勧めたことが詐欺的行為に当たると主張し同行を提訴した。

 UBS株は一時6.4%安となった。チューリヒ時間午前9時6分(日本時間午後4時6分)現在、1.24スイス・フラン(5.4%)安の21.76スイス・フラン。

 クオモ長官はUBSに、同行顧客が保有するARS250億ドル(約2兆7000 億円)相当を額面価格で買い戻すことを求めている。2月にARS市場が崩壊して以来、マサチューセッツ州とテキサス州も同様の主張で同行がそれぞれの州で販売したARSの買い戻しを迫っている。

 UBSの広報担当者カリーナ・バーン氏は電子メールで、「徹底的に争う」方針を表明した。同行がARSを自行のバランスシートから顧客口座に移転するため「広範な販売促進活動を展開したという主張を否定する」とした上で、一部の行員に不適切な判断があった可能性については認めた。 UBSは16日、クローズドエンド型ファンドに販売した入札方式優先株 35億ドル相当を買い戻す計画を公表していた。

●「NY州司法長官、UBS提訴-販売した入札方式証券の買い戻し要求」

2008年7月24日 ブルームバーグ

 米ニューヨーク州のクオモ司法長官は24日、入札方式証券(ARS)の販売をめぐり、スイスの銀行大手UBSを民事提訴した。 過去5カ月間、ARS市場は事実上、凍結している。同司法長官はUBSに対し、同社のニューヨークなどの顧客が所有するARSを額面通りの価格で買い戻すよう求めている。

 同司法長官はUBSについて、投資家にARSを安全な金融商品として販売を促進したことは詐欺的だったと主張している。訴状によると、UBSはARS市場で混乱が生じた後も販売を続け、同行幹部らは個人的に保有する2100万ドル相当のARSを売却した。

 クオモ長官は記者会見で、「UBSは顧客との信頼関係を著しく損ねただけでなく、幹部らはARS市場が崩壊し始めるといち早く同市場から撤退し、数千人もの顧客に押し付けた」との声明を発表した。

 ニューヨークはUBSを提訴した3番目の州となった。UBSは3300億ドルのARS市場でシティグループに次ぐ大手引き受け業者。2月に利回りを決定する入札で買い手が現れなかった際、UBSなどの銀行は最後の買い手としての役割を放棄。数千のARS入札が不成立に終わり、投資家は保有するARSを売却できなくなった。

 クオモ長官は4月にARSのマーケティングをめぐる捜査の一環として、銀行と証券会社計18社に召喚状を送付していた。ARSの発行体は州や市、医療機関、クローズドエンド型投資信託、学資ローン関連組織などで、償還期間は通常、20年あるいは40年。

 UBSの広報担当者カリーナ・バーン氏は電子メールで、同行保有のARSを売却し、顧客の口座に移行させるよう「当行が広範な勧誘を実施したとの訴えを全面的に否定する」と指摘した。
同氏はただ、「UBSは従業員による違法行為はなかったと信じているものの、一部の個人が誤った判断を下したケースがあったことが判明した。これらの個人に対し、適切な懲戒措置を検討している」と述べた。

 UBSは今月16日、最大35億ドルの入札方式優先株を売却先のクローズドエンド型投資信託から買い戻すと申し出ていた。クオモ司法長官は24日、この提案は不十分であるとして、UBSは売却したすべての入札方式証券を買い戻す必要があると主張した。

● 「住宅ローン対策法案成立へ 焦げ付き、差し押さえ急増の歯止めとなるか 」

産経新聞 2008年7月24日

 住宅調査会社リアルティ・トラックによると、今年1~6月の全米の差し押さえ件数は、昨年同期比56%増の144万件。差し押さえは周辺の住宅価格を下げ、別の差し押さえを誘発する。CRLの調査によると、近隣の差し押さえで自宅の価値に影響を受ける世帯は全米4100万世帯、目減りした住宅資産価値は3560億ドル(約38兆円)に上る。その逆資産効果は消費落ち込みだけでなく、地域社会の破壊を招く。

 クリーブランド(オハイオ州)やボルティモア(メリーランド州)など差し押さえ急増に街が荒廃した全米の大都市は今年に入り、再開発費用を求めて、サブプライム融資を急拡大させた大手金融機関を相手に訴訟を起したほどだ。

 “津波”は低所得者層からミドルクラス、富裕層にまで波及。高額ローンが支払えず100万ドル(106億円)以上の邸宅が差し押さえとなる「ラグジャリー・フォークロージャー(豪華な差し押さえ)」も起き、豪邸を手放すテレビタレントや元プロスポーツ選手らセレブも珍しくない。

●「米石油輸送大手が破産法申請 原油高騰で損失回避策が裏目に」

日経新聞 2008年7月23日

【シカゴ=毛利靖子】 米石油保管・輸送大手のセムグループは22日、米連邦破産裁判所に連邦破産法11条 (日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。在庫の値下がりリスクを回避する目的で原油先物を売却したところ、逆に原油価格が高騰し、損失が膨らんだ。

 今回の原油高騰局面で、米エネルギー産業のインフラを担う主要企業の経営破綻が明らかになるのは初めて。同社は原油タンクや送油管を保有し、石油大手から仕入れた原油を製油所に販売する。在庫を売却するまでの間に原油価格が下がると損失が発生するため、それを避けるため原油先物やオプションを使いつなぎ売りを実施していた。

 ニューヨーク・マーカンタイル取引所での先物売却で被った損失は24億ドル(約2500億円)を超える見込み。先物の相対取引も使っており、損失がさらに増える可能性がある。金融機関から追加担保の差し入れを求められ、資金繰りに行き詰まった。


●「NZ準備銀、5年ぶり利下げ 景気減速受け 」

日経新聞 2008年7月24日 シドニー 高佐知宏

 ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は24日、政策金利を年8.0%へ0.25%引き下げた。世界的な信用収縮に伴う金融機関の資金調達コスト増や物価上昇を背景に「景気減速の恐れが高まった」(ボラード総裁)として、2003年7月以来、5年ぶりの利下げに踏み切った。

 ガソリン高や食料品価格の上昇で7―9月期の消費者物価指数(CPI)は前年同期比5%程度の上昇となる見込み。総裁は「インフレ率は中期的には目標値上限(3%)以下に収まる」との見通しを示したうえで「(利下げにより)家計や企業の借り入れが容易になる」と述べた。

 ニュージーランドでは大手投資会社ハノーバー・ファイナンスが23日、世界的な信用収縮による経営環境悪化を受け、投資家などへの利払いを停止し、総額5億5400万ニュージーランドドル(約446億円)の資産を凍結した。これを受けニュージーランドドルも下落するなど経済の先行きに不透明感が広がっている。(11:02)


● 「差し押さえで主婦自殺」

2008年7月23日 ニューヨーク、共同通信

 米マサチューセッツ州トートンで22日午後、自宅を差し押さえられることになった主婦(53)が、競売関係者が物件を見に来る直前にライフルで自殺した。米紙ボストン・グローブなどが23日報じた。

 米サブプライム住宅ローン問題に絡む自殺などの悲劇はこれまでも伝えられているが、競売関係者が自殺の現場を目の当たりにしたようなケースは異例とみられる。

 同紙などによると、主婦は22日午後2時半、ローンを組んだ住宅金融会社に自殺を予告するファクスを送り、会社からの連絡で駆け付けた警官が遺体を同3時半に発見した。競売関係者も同じころ現場に到着。午後5時から競売手続きが始まる予定だった。主婦が夫と息子にあてた遺書には「生命保険で(ローン残額を)払って」と記していた。

●「農林中金、米シティの資産5千億円分を購入」

朝日新聞 2008年7月16日

 農林中央金庫は米金融最大手シティグループから、シティの資産をもとに組成した総額約5千億円分の証券化商品を購入した。サブプライム問題で巨額の損失を出し、資本増強と資産の大幅な圧縮を進めるシティの要請に応じた。サブプライムで痛手を負った欧米金融機関が投融資に慎重なのと対照的に、損失が比較的少なかった日本の金融機関の積極姿勢が目立っている。

 農中が買ったのは、シティが保有するクレジットカード・自動車ローン債権などから組成した証券化商品。今年1月ごろから複数回にわたって買い取りを進めた。

 シティの昨夏以降のサブプライム関連損失は、米金融大手で最大の約460億ドル近くに膨らんだ。シティは中東の政府系ファンドなどの出資を仰ぐ一方、従来の拡大路線を転換し、5月には4千億ドル(約42兆円)分の資産を売却する方針を打ち出した。

 シティのカード・自動車ローンなどは返済能力の高い利用者が多く、優良債権が多いとされる。農中にとっては「資産の安全性が高い割に利回りが良い。金融市場の混乱による欧米金融機関の投融資意欲の減退傾向が逆にチャンス」(幹部)だという。

 日本の金融機関には、欧米企業の資金調達の際にも出番が増えている。6月には三井住友銀行の主導で米IBM向けに500億円の融資案件をまとめ、今月11日には、みずほコーポレート銀行が主幹事となってスウェーデンのトラック大手ボルボ・グループに総額1100億円を協調融資すると発表した。


● 「米議会:原油の持ち高制限や公表義務付け強化検討-80ドルが適正 」

2008年7月23日 ブルームバーグ

 米議会は、原油の需要をゆがめ相場高騰につながったと考えられる先物取引の一部を禁止する可能性がある。原油相場は過去1年間で69%高騰した。

 米議会は、投資家が保有できる原油先物の持ち高の制限や公表義務付けの強化を検討している。議員らは、米ゴールドマン・サックス・グループなどの投機筋は、現物の受け渡しを行う意思がないのに相場変動に対して投資しており、そのことが相場高騰につながっている可能性があると主張している。

 米上院で今週審議される提案が導入されれば、相場がこれまでより需要に即した水準になる可能性があると、提案者らはみている。メキシコ石油公社(ペメックス)のジーザス・レイエス・ヘロレス最高経営責任者(CEO)によると、投機筋の影響を排除すれば、原油相場は1バレル当たり80ドル近辺と、22 日終値と比較して38%低い水準まで下落するとみられる。一方、年間の取引規模が4兆ドル(約430兆円)に上る原油市場の機能を阻害する可能性があるとして、提案の導入に批判的な声もある。

 テッド・スティーブンズ上院議員(アラスカ州、共和党)は石油輸出国機構(OPEC)に触れながら「米国民はOPECだけではなく、自国内の投機筋にも利用されている。歴史的に見れば、これは悪影響を及ぼす問題ではなかった。投機は最近になって持続不可能な水準に達している」との見方を示した。

 上院の共和党議員らは、投機の制限に関する投票を24日にも実施する見込み。下院は、8月に1カ月間の休暇が始まる前に投票を実施する計画だ。ブッシュ米大統領はいかなる法案も検討する意向を示している。


●「米議員がファニーとフレディの救済策で合意、23日に下院で採決も」

2008年7月22日 ブルームバーグ

 米下院金融委員会のフランク委員長(民主、マサチューセッツ州)は22日、議員がファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の救済計画で合意に達し、下院が23日に救済法案を採決する可能性があることを明らかにした。

 ブッシュ政権が提案した計画を修正した同法案では、米財務省が融資や出資の形で、ファニーとフレディに資金を投入する権限が与えられる。同法案では納税者の負担を制限するため、財務省が国債発行上限を超えて支援を行うことが禁止されている。また、ポールソン財務長官にファニー、フレディ両社の配当を制限する権限を与え、首脳陣の報酬は当局の承認が必要となる。

 フランク委員長は救済法案について、上院議員とともに「財務省が100%受け入れ可能だ」と指摘した。上院銀行委員会のドッド委員長(民主、コネティカット州)とシェルビー上院議員(共和、アラバマ州)は電子メールで「下院の代表と幅広く、概して実り多い協議を行ってきた」とし「われわれは引き続き法案の先行きに楽観的だ」との声明を発表した。


●「米住宅金融2社、公的資金250億ドル…議会が救済策試算」

2008年7月23日 毎日新聞

 米議会予算局(CBO)は22日、経営不安に陥った政府系住宅金融会社2社に対する救済策の試算を公表し、議会上下両院で調整中の法案が成立した場合、米政府は2社に250億ドル(約2兆6750億円)を投入することになると見込んだ。

 現状のまま金融市場が落ち着きを保てば、株式の買い取りや政府による融資が実際に必要となる可能性は50%未満と見通したが、住宅市場の落ち込みに歯止めがかからなければ、2社の財務状況は一段と悪化し、公的資金投入もあり得ると分析した。

 救済対象となっているのは、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2社。CBOは、政府による救済策について「2社が金融市場で資本増強する際の大きな保証になる」と評価したうえで、「住宅市場さえ回復すれば、政府予算に影響を与えることはない」と指摘した。ただ、現状では住宅市況に回復の兆しは見られず、CBOも最終的には「08年~10年秋までの間に公的資金の投入が必要になる」と結論付けた。


●「米住宅金融2社:債券など160兆円超は海外に」

毎日新聞 2008年7月22日

 ポールソン米財務長官は22日、ニューヨークで講演し、経営不振の政府系住宅金融大手2社が発行する債券や保証する住宅ローン担保証券の残高が総額5兆ドル(約530兆円)に達し、そのうち1兆5000億ドル(約160兆円)超を海外の中央銀行や金融機関などが保有していることを明らかにした。

 長官は、国際金融市場の安定には「両社の経営安定が不可欠」とあらためて表明。米政府が両社を支える強い姿勢を国内外の投資家に知らせる重要性を強調した。米政府は公的資金の投入を検討しているが、長官は「納税者を保護する」として、損失を出さないよう慎重に行動する考えを示した。「現在の金融混乱を乗り越えるにはさらに時間がかかる」とし、金融機関の経営者にさらなる資本増強を求めた。(共同)

●「米ゴールドマンの第2四半期リスク資産は約43兆円 」

2008年7月7日 ニューヨーク、ロイター

 米ゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)は7日、第2・四半期末時点で同銀が保有するリスク資産が4016億ドル(約43兆0150億円)になったことを明らかにした。 ゴールドマンの四半期報告によると、内訳は市場関連リスクが2061億ドル、信用リスクが1580億ドル、業務リスクが375億ドル。また、第2・四半期末時点のレベル3資産は、前四半期比19%減の781億ドル。

 総資産に占める割合は7%となる。減少は資産の売却のほか、商業用不動産や銀行およびブリッジ・ローンがレベル2資産に移行したことを反映した。

● 「米ゴールドマンCEO、リーマンとベアーの株価操作疑惑で問いただされる=WSJ 」

2008年7月16日 ロイター

 16日付の米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、米リーマン・ブラザーズとベアー・スターンズの株価下落にゴールドマン・サックスが関与していたのではないかといううわさについて、リーマンとベアーの最高経営責任者(CEO)がゴールドマンのCEOに真偽を問いただした。関係筋の話として報じた。

 WSJによると、今年3月に事実上の破たん状態に陥った当時にベアーのCEOだったアラン・シュワルツ氏はゴールマンのロイド・ブランクフェインCEOに対し、ゴールドマンのロンドン支局のトレーダーらがベアーの破たん前に同社の株価を操作していたとされるうわさの真偽について尋ねた。

 また、株価が大幅に下落しているリーマンのリチャード・ファルドCEOも、ブランクフェインCEOと話をしたという。またファルドCEOは、同社について悪いうわさを流した疑いのある個別のトレーダーとも接触した、とWSJは伝えている。 上場企業の株価操作を目的に、虚偽と知りながらうわさを流布することは法律で禁じられている。

 米証券取引委員会(SEC)は、リーマンとベアーの株価下落を狙ったうわさの流布によって投資家が利益を得たかどうか調査している。 ゴールドマンは不正行為はないと主張している。

http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/
idJPnTK015846820080716


●「米監督当局、ファニーメイとフレディマックの帳簿を調査=NYT」

2008年 7月 22日 ロイター

 米連邦準備理事会(FRB)と米通貨監督庁(OCC)の検査官は、政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック) の帳簿について調査を行っている。22日付のニューヨーク・タイムズ(NYT)がポールソン財務長官の話として報じた。

 報道によると、FRBとOCCは、ファニーメイとフレディマックの株価急落により市場に不安が広がったことを受け、両社の帳簿の調査を開始した。 ブッシュ政権は議会に対し、GSE支援策の承認を促しているが、米議員の中には、両社が保有または保証するモーゲージ債に関連した潜在的な損失の規模を把握せずに支援策を承認することに懸念を示す声もあり、両社の財務状況への関心が強まっている。

 NYTはまた、FRBとOCCにとって、監督下にある銀行の多くが両GSE発行の債券を保有しているという面でも、両社の財務状況の健全性は重要であると指摘した。

●「米金融大手10社のサブプライム損失、過去1年間で21兆2千億円に」

朝日新聞 2008年7月19日

 米金融大手10社の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン関連の損失が、過去1年間で計約2千億ドル(約21兆2千億円)に達する見通しになった。08年第2四半期決算でも損失計上が収束に向かう兆しは見えず、業績低迷は長引きそうだ。

 18日までに発表された7社の08年第2四半期(3~5月期または4~6月期)の決算では、サブプライム関連損失は計400億ドル近くまで膨らんだ。21、22日に発表予定のバンク・オブ・アメリカとワコビアを合わせると計500億ドル規模になる見通し。

 サブプライム危機が深刻化した昨夏以降、米金融機関は巨額の関連損失を相次いで計上した。大手10社(うちベアー・スターンズは今年3月に実質破綻(はたん))では、08年第1四半期までで計約1500億ドルに及ぶ。第2四半期を合わせると2千億ドル規模になるのはほぼ確実と見られる。

 四半期ごとの動きを見ると、ピークは07年第4四半期(07年9~11月期または10~12月期)の700億ドルで、08年第1四半期は約550億ドルまで減った。しかし、08年第2四半期もほぼ同規模の見通しで、金融機関によっては再び増えたところもある。

 過去1年で600億ドル以上の関連損失を計上したシティグループの ゲイリー・クリッテンデン最高財務責任者は18日の会見で、「住宅価格の下落と失業率の増加、景気の減速が長引いているのが影響した」と説明した。

 景気の落ち込みに伴い、サブプライムローンだけでなく、返済能力が高いと見られていた通常の住宅ローンにまで焦げ付きが広がっている。「通常の住宅ローンの(焦げ付き増などによる)損失は今後、現在の3倍に増える可能性がある」 (JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者) との見方も出ている。


●「シティは6兆円 関連損失最大」

2008年7月19日 ニューヨーク、共同通信

 米銀大手シティグループが十八日発表した二〇〇八年四-六月期決算は、サブプライム住宅ローン問題に関する損失が膨らんだことから、純損失が二十四億九千五百万ドル(約二千七百億円)となり、四半期ベースで三期連続の赤字となった。

 同ローン関連の金融商品の評価損などで計約七十二億ドルに達したほか、クレジットカード事業の関連などで貸倒引当金も計約七十二億ドルに上った。同問題が本格化した昨年夏以降で、貸倒引当金を含む関連損失は累計で五百九十億ドル(約六兆三千億円)規模となり、サブプライム関連では世界の金融機関で最大規模の損失となる見込み。

 シティの純損益の赤字額は〇八年一-三月期の五十一億千百万ドルからは半減し、市場予想を下回ったが、四・四半期連続で巨額のサブプライム関連の損失を計上したことになり、一段の資本増強などを迫られる恐れもありそうだ。


● 「米証券取引委が空売り緊急規制を修正、一部例外認める」

2008年7月18日 ワシントン、ロイター

 米証券取引委員会(SEC)は18日、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)や連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)など金融機関19社株の操作的な空売り(ショートセル)に対する緊急規制を修正した。一定のマーケットメーカーについて、空売り前の事前株式借り入れは必要ないとした。

 緊急規制では、空売りを実施する前に証券を借り入れること、期日に証券を受け渡すことが必要となる。規則は21日から実施されるが、最大30日間有効となる可能性がある。


● 「【金融不安】アメリカ住宅金融公社救済のため、日本の外貨準備の一部を米国の公的資金注入の資金源として提供する案が浮上」

産経新聞 2008年7月17日

 7月16日、渡辺喜美(わたなべよしみ)金融担当相は訪ねてきた米政府元高官に語りかけた。 「米住宅抵当金融公社の経営不安を憂慮しています。まず、日本は政府の保有分はもとより、民間に対しても 住宅公社関連の債券を売らないように言います」

 うなずく米要人に対し、渡辺氏は続けた。「米政府が必要とすれば日本の外貨準備の一部を公社救済のために米国に提供するべきだと考えている」

 昨年8月の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライム・ローン)危機勃発(ぼっぱつ)後の金融不安は、最近表面化した連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2公社の経営危機でさらに深刻化している。

 米政府や連邦準備制度理事会(FRB)は公的資金注入など公社救済策を検討中だ。しかし、公的資金必要額は住宅価格下落に比例して膨張する。両公社の住宅ローン関連債権は米住宅ローン総額の半分近い5兆2000億ドル(約550兆円)で、日本の国内総生産(GDP)に相当する。

 両公社が発行している住宅関連証券が投げ売りされるようだと、米国のみならず欧州、日本、中国など国際的な信用不安になる。そればかりではない。米国債への信用は損なわれ、ドルは暴落しかねない。 株式の低迷に加え、米国債とドルが暴落すれば、ドルを中心とする国際金融体制は崩壊の危機に瀕し、世界経済全体が根底から揺らぐ。

 渡辺案は、米国の自力による住宅公社再建には限界があるとみて、この6月末で1兆ドルを超えた日本の外貨準備を米国の公的資金注入の資金源として提供する思い切った対米協調である。


●「米ワコビア、サブプライム損失1年で2.1兆円」

毎日新聞 2008年7月22日

【ワシントン斉藤信宏】米金融大手ワコビアは、22日発表した08年4~6月期決算の中で、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題 に絡む証券化商品の評価損など計61億ドル(約6470億円)の損失を計上、88億5500万ドル(約9400億円)の大幅赤字に転落した。

 赤字は2四半期連続。証券化商品などの評価損に加えて、個人向けローンなどの焦げ付きに対する引当金の積み増し分56億ドルも計上しており、サブプライム絡みの損失はこれまでの1年間で計201億ドル(約2兆1300億円)に膨らんだ。

 ワコビアは住宅ローン事業を業務の中核としており、今年に入ってからローンの焦げ付き加速で業績が悪化している。手元資金を確保するため、四半期ごとの配当を1株あたり37.5セントから5セントへ大幅に減らすとともに、従業員の約5%にあたる6350人を削減する方針を明らかにした。ワコビアの決算で米金融大手8社の4~6月期(一部は3~5月期)決算が出そろったが、1年間でのサブプライム絡みの損失は8社で計1779億ドル(約18兆8600億円)に達した。


● 「サブプライム損失に続く! メガバンク3行を襲う3つの重大危機」

週刊現代 2008年7月17日 掲載

 米国の“金融恐慌”にひとのみされている現状
 不動産、建設に続き、金融株もまた株価暴落の中で下がり続けている。メガバンクも例外ではなく、軒並み一時の半値以下だ。株価を下げる最大の原因は、今もくすぶる欧米のサブプライム損失にある。日本のメガバンクの損失額は欧米金融機関よりヒトケタもフタケタも小さいし、本業は順調なのに、どうして売られ続けるのか。単に欧米のサブプライム損失への疑心暗鬼だけではない。

 米住宅公社関連債の衝撃
「メガバンクはサブプライムの“優等生”という常識が覆された」 証券幹部が金融株下落の原因をこう言う。

 米政府の経営支援を仰がねばならない2つの米住宅金融公社(ファニーメイとフレディマック)関連債券問題で、3メガバンクが巨額の保有残高を抱えていることが明らかになった。
 中でも三菱UFJフィナンシャル・グループ の場合が衝撃だ。サブプライム問題では、3メガの中で三菱UFJの損失額は1230億円と最も少なかった。

 ところが、そんな健全な銀行の関連債券保有残高が3.3兆円と、みずほフィナンシャルグループの1.2兆円、三井住友フィナンシャルグループの0.2兆円を大きく上回っていたのだ。「裏切られたショックが大きかった」(前出の証券幹部)

 米住宅公社の関連債は、本来、米国債に次いで信用力の高い債券だ。暗黙の政府保証が付いているといわれるほどで、多少のことがあっても世間の不安をかき立てる類のものではない。だがこの2公社が公的資金を投入せざるを得ない事態になり、発行する債券の信用もガタガタ、急落なのだ。紙くずになるとまでは言わないが、「第2のサブプライムショック」として不安が市場に広がるのは自然だ。

 米国で始まった取り付け騒ぎ
 「7月11日朝、テレビをつけたら銀行の経営破綻を伝えるニュースが流れていました。多くの人々が銀行に押し寄せて預金の引き出しなどでもめている。取り付け騒ぎであることがすぐに分かりました」

 米在住の邦銀幹部がこう振り返った。破綻したのは、カリフォルニア州にあるインディマックという地銀。インディマックは個人向け住宅融資事業を手がける独立系住宅金融の最大手で、低所得者向けもやっていた。15日付の「フィナンシャル・タイムズ」は、インディマックに続きそうな破綻寸前の銀行の名前を取り上げるなど倒産連鎖の危機を特集していた。

 「日本のメガバンクが自らの意思とは別に、3行合計で4.7兆円もの資金を公社関連債に投じていたことで、すでに米国の金融恐慌的な状況に巻き込まれていると見るべきです。果たして、3行はこの難局を巧みに泳ぎきれるか」(前出の邦銀幹部)

  外資買収に突っ走る不安
「米金融機関を助けてやってくれ」 サブプライム問題が深刻さを増す中で、米金融機関や米政府筋から陰に陽にメガバンクへ支援の打診がある。これをチャンスと見たのか、「欧米金融が弱っているうちに邦銀が国際金融のリード役になるべき」という論調が目立つ。 「水面下では、三菱UFJに米リーマンの面倒を見てもらいたいという話が来ているようです。三井住友は英バークレイズに1000億円の支援を決めた」(金融関係者)

 おだてられてこんな話に乗っていいのだろうか。外資系金融幹部がこう忠告する。「かつて長銀を手に入れるため、瑕疵(かし)担保条項という飛び道具を使った米リップルウッドのように、国際金融で勝ち抜くために火事場泥棒みたいなことを平気でやってのける。晩熟(おくて)の邦銀にそれができるのか」

 もしできなければ、ババを引かされ、損失を全部背負わされてオシマイ。97年当時のような金融不安は、もうまっぴらゴメンだが、メガバンクを取り巻く環境はあの頃に近づきつつあるのだ。

●「米銀150行程度が今後1年半ほどで破たんか、アナリスト予想-NYT」

2008年7月14日 ブルームバーグ

 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT、オンライン版)は14日、金融業界のアナリストの間で、今後1年から1年半で全米の銀行7500行中、150行程度が破たんする恐れがあるとの見方が出ていると報じた。中小の銀行で経営が急速に悪化しているためで、破たんを逃れた銀行でも、支店の閉鎖や他行との統合を迫られる公算が大きいという。

 同紙によると、米レイデンバーグ・ソールマンのアナリスト、リチャード・ボーブ氏は週末にかけて、問題のある銀行のリストを公表。「誰もがリストを作成していて、次とその次に破たんする銀行はどこか、銀行のうちどれだけが破たんするのかを突き止めようとしている」と述べた。

 

●「【金融】「サムライ債」、完売 米シティが日本投資家向けに発行」

2008年7月7月 産経新聞

 米サブプライム住宅ローン問題で巨額損失を出し続けている米シティグループが日本の投資家向けに社債を発行したところ、わずか4営業日で完売し話題を呼んでいる。期間3年で利率2.66%という条件について、「シティの経営状況を考えれば、もっと投資家に有利な条件を提示すべきでは」(金融筋) との声もある。それがあっという間に完売してしまうのは、なぜなのか-。

 話題になっているのは、「シティグループ・インク 第24回円貨社債」。日本円で購入できることから、「サムライ債」とも呼ばれている商品だ。購入は100万円単位。募集期間は6月13日から30日までだったが、発売4営業日目の18日には、発行総額1865億円分が完売となった。

 販売窓口だった日興シティホールディングスは「AAマイナスという高い格付けの社債であることや、円建てであるため為替リスクがないということもあり、ご好評のうちに完売となりました」(広報部)と説明している。

 ちなみに、日本の金融機関の3年定期預金の金利は全国平均で0.4%台。もっとも高いものでも、日本振興銀行の夏のボーナスキャンペーンの金利1.5%とみられ、これらの金利と比べると、シティの社債の2.66%は破格の高金利にみえる。

 ただ、専門家の間には異論もある。シティが今年1月に一般公募した優先転換社債の利回りはドル建てで6.5%。今回の円建て社債の2.66%を大きく上回る水準だったため、「今のシティの状況で2.66%は低い。日本の投資家にも、もっと有利な条件を提示すべきでは」(金融筋)との不満も出ているのだ。

 実際のところ、2.66%という利回りをどうみればいいのか。ある金融専門家に聞いてみると、「金融機関が他の金融機関から資金を調達する際に用いられる円金利スワップレートは現在、期間3年物で1.4%程度。シティの円建て社債の利率が3年で2.66%ということは、シティの経営状況に対するリスクプレミアム(上乗せされた金利)が1.2%程度は乗っているということで、言われるほど悪いわけではないのでは」との答え。

 シティが発行したドル建て優先転換社債の金利よりも大幅に低いことについては、「ドル建ての金利と円建ての金利は別物。比較するのには無理がある」との解説だった。もちろんこの円建て社債は通常の債券と同様、満期前に売却する場合には市場金利の動向や発行体であるシティの経営状況に応じて販売価格が変動し、元本割れのリスクもある。

 また、シティは完売翌日の6月19日、ゲーリー・クリッテンデン最高財務責任者が「サブプライム問題による評価損を大幅に追加計上するため、4-6月期の業績が押し下げられる」と発言し、世界中の投資家にサブプライム問題の傷口の深さを印象づけた。円建て社債はなかなかの投資商品のようだが、シティを取り巻く環境を考えると、購入者には釈然としない部分も出てきそうだ。 http://www.zakzak.co.jp/top/2008_07/t2008070710_all.html

●「【金融】数百の米銀が破たんの可能性、業界救済のための納税者支出は2兆ドルも-ルービニNYU教授=バロンズ 」
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/
idJPnTK016647820080804

2008年7月3日、ニューヨーク、ロイター

 3日付の米投資週刊紙バロンズは、エコノミストで米ニューヨーク大学教授のヌリエル・ルービニ氏の発言を引用し、米国は、少なくとも1年半は継続し、数百の銀行を破たんに追い込むリセッションの第2イニングにあると報じた。

 ルービニ氏によると、国民は金融サービス業界の残りを救済するため、多額の税金を支払う必要に迫られる見通しだ。同氏は納税者の支出について少なくとも1兆ドルとし、どちらかといえば2兆ドルに達するだろうとした。同氏は、銀行は山のような損失を抱えて債務超過に陥る見通しだとし、住宅価格の急落に加え、サブプライム住宅ローンについて、これまでのところ評価損の計上にとどまっているためだと述べた。

  同氏によると、銀行は消費者信用損失にも直面しているものの、引当金が不足している。さらに、担保価値がほぼゼロとなった住宅担保ローンの貸付残高が数百万ドルに及ぶことも指摘した。ルービニ氏によると、米消費者が貯蓄を減らす一方、連邦準備理事会(FRB)は問題がサブプライム住宅ローンより先に広がっていることを認識できず、危機にうまく対応できていない。

  同氏は、政府は過剰な規制を行っているとし、困難を抱えた金融機関の救済や、あらゆる市場への介入を例示した。ルービニ氏は「連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社 (フレディマック)、ならびにベアー・スターンズ債権者の救済や、新たな貸付制度を伴う金融システムの構築に関連し、規制当局は自らを調査すべきだろう。米国債と有毒性のある証券の交換にほかならない」と述べた。

 その上で「従来のように利益を私有化し、損失を国有化している。米証券大手と富裕層のための社会主義だ」との見方を示した。ルービニ氏は破たんに陥る金融機関について、住宅や商店、商業用不動産など米地域社会の中軸に融資を行う地銀が含まれると述べた。

 同氏は「40行近い中堅地銀のうち、3分の1は窮地にある」とし、半数は破たんに陥ると予想した。さらに、一部の大手行も債務超過に陥る可能性があるが、「ツー・ビッグ・ツー・フェール」とみなされるだろうと述べた。同氏は世界経済については「極めて強気」にみていると強調し、中長期的にポジティブな状態が続くと予想した。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


「この「第2ぼやき」記事を印刷する」
「87」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(22) 2008年4月の新聞記事を載せます。 2008.9.13

副島隆彦です。 どんどん続けて載せます。 2008年4月分の金融・経済の新聞記事です。 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)


●「再び市場混乱の引き金に? 燻(くすぶ)る米国金融機関の「問題資産」」

2008年04月30日   週刊ダイヤモンド編集部  竹田孝洋

 市場関係者が固唾をのんで見守っていたメリルリンチ、シティグループの2008年第1四半期決算。またも巨額のサブプライム損失を計上したが、主要国の株価は無風だった。FRB(米連邦準備制度理事会)がなりふり構わずベア・スターンズ救済に踏み切った(2008年4月17日) ことで、市場に「大手金融機関が危機に瀕しても当局が救済する。金融システム不安が起きる可能性は小さくなった」(伴豊・新光証券チーフクレジットアナリスト)という安堵感が広がったためだ。

 だが、安心するのは早い。確かに、金融システム不安の噴出は遠のいたようでも、個々の金融機関の損失計上が収まったわけではないからだ。先日のG7で、金融機関は今後100日以内に複雑で流動性のない商品について情報開示をするよう求められた。流動性のない商品といえば、レベル3資産がまさに該当する。米系金融機関がSEC(米証券取引委員会)への報告書で開示しているもので、これこそが今後も燻り続ける火種だ。

 主要金融機関のレベル3の対総資産比率を見てみる。07年12月末でシティが6.1%(自己資本比率5.2%)、メリルが4.1%(同3.1%)、08年2月末でゴールドマン・サックスが8.1%(同3.6%)、モルガン・スタンレーが7.2%(同3.1%)。JPモルガン・チェースは決算発表の席上で「3月末の比率が約6%」(同7.6%)と発表した。自己資本比率を上回る金融機関もあり、その存在がいかに不気味かがわかる。

 さらに注視すべきはその中身だ。たとえば、ゴールドマン・サックスのレベル3は、「商業用不動産ローンとその証券化商品が約15%を占める」(藤岡宏明・大和証券SMBC金融市場調査部次長)。

 4月8日に発表されたIMF(国際通貨基金)の試算では、商業用不動産の証券化商品は2割強の損失を抱えているとされた。が、商業用不動産の下落はこれから本格化する。そのほか、レベル3 にはレバレッジローンなども含まれており、「こちらも景気後退による延滞増加で 価格下落が必至」(石原哲夫・みずほ証券シニアクレジットアナリスト)と予測される。

 金融機関は損失計上の原因となる問題資産を抱えたままだ。「思わぬ巨額損失計上で市場が再び悲観に振れるリスクは残る」(中川隆・大和証券SMBC金融市場調査部次長)。株式市場混乱の恐れは消えてはいない。

●(副島隆彦注記。以下が、M君が言っていた、4月末市場で起きた市場の「狼狽(ろうばい)買い」だろう。)

「金融混乱一服の背景にヘッジファンドのクレジット買い、「逆張り」ポジションで大勝負挑む」

2008年4月24日 ロイター、東京、基太村真司記者

 4月に入ってから各国株価やドル相場が下げ止まるなど金融市場は表面上、一時の混乱から落ち着きを取り戻している。各国当局の相次ぐ利下げや資金供給策が少しずつ効果を発揮し始めたことが一因とされるが、市場混乱の中でも好成績をあげてきた一部のヘッジファンドが水面下で、大きく値下がりしている商品の反発を見込んで買いを入れる「逆張り」に動いていることも大きな要因となっている。多くの関係者が混乱は収束していないとの見方を示す中、大勝負に出たヘッジファンドの行方を、市場関係者は固唾(かたず)を飲んで見守っている。

 「状況が好転した訳でもなんでもない。いくつかの大手ヘッジファンドが、タダみたいな値段になった債務担保証券(CDO)などのクレジット商品を買いあさっているだけだ」。ヘッジファンドに詳しいある金融関係者は、市場混乱が一服となった背景をこう解説する。

 ヘッジファンド全般は最近の金融市場の混乱による運用成績の悪化に加え、取引相手である大手金融機関の業績不振による信用枠縮小などを背景に、戦績は苦戦している。モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の調べでも、3月のヘッジファンド運用成績はマイナス2.86%と世界の主要な株式・債券市場のパフォーマンスを下回った。

 しかし、そうした環境でも当然、すべてのファンドが損失を抱えたわけではない。急騰する商品相場の買いや急落したクレジット商品の売り仕掛けで、好成績を挙げた敏腕ファンドも少なくないという。欧州を拠点とし「業界内で名前を知らない者はいない」(業界関係者)ある大手ヘッジファンドも、3月下旬以降は「クレジット商品に『逆張り』的に買いを入れ続けている」(先の金融関係者)。

 各国の相次ぐ利下げや資金供給策が「限定的ではあるが、市場安定に一定の効果は生み出した」(在京外銀の資金担当部長)ことで、こうした「逆張り」の動きがさらに、相場の下げ止まりにつながりやすくなったとの見方は少なくない。金融混乱の震源地ともいえるクレジット市場の値動きが落ち着き始めたことで、金融市場で強まっていた株売りや債券買い、ドル売りといった今までの流れを逆転させる動きも増幅し始めている。

 あるメガバンクの為替担当責任者も「状況をよく考えたら(株買いやドル買いが)おかしいのは理解しているが、実際にキャッシュリッチな連中から買いが入って下げ止まり、値動きが鈍ることでポジション解消に伴う(株やドルの)買い戻しが入りやすくなっている。その動きをディーラーとして見送るわけにはいかない」と、目立ち始めた「逆張り」に追随せざるを得ない実情を明かす。

 ヘッジファンド向けの監査・税務サービスなどを手掛けるロススタイン・カスが今月半ばに米国のヘッジファンドを対象に行った調査では、9割以上のファンドマネジャーが今年、業界に大量の新規資金が流入すると回答した。「ヘッジファンドは仮にひとつが清算しても『雨後のたけのこ』のように次々に出てくる。名前を変えながら生き残っているファンドもある。ヘッジファンドは業界全てがやられて厳しいというイメージが先行しているが、さすがに強気だ」(先の業界関係者)。

  逆張り勝負に出たヘッジファンドの読み通り事態が収束に向かうか、順張りで売り込んだ向きがヘッジファンドをなぎ倒すか――。「時間の経過とともに状況が好転すれば彼らの勝ちだが、そう簡単に事態は解決しないだろう。かといって売り仕掛けも機能しなくなってきた。最近の相場は久しぶりに、非常に難しい。正直に言ってまったく見通せない」。ある外銀のチーフディーラーも、こう着相場の中で試行錯誤を繰り返しつつ、ヘッジファンドの仕掛けた勝負の行方を見守っている。


●「銀行の自己資本、積み増しを・バーゼル委」

日経新聞 2008年4月17日

 日米欧の銀行監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会は、16日、7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で合意した監督強化策に沿い、銀行の健全性を示す自己資本比率の計算方法を厳しくすると発表した。 世界の金融機関が多額の損失を負った債務担保証券(CDO)など「二次証券化商品」を抱える銀行に対し、自己資本を厚く積むようルールを変える。

 金融庁はバーゼル委が年内に出す結論を受けて、自己資本比率規制の告示を改正し、来年以降の適用を目指す。バーゼル委は米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)に端を発した市場混乱に関連し、欧米主要行が大規模な損失を計上する原因となった「二次証券化商品」に問題があると指摘した。


●「米メリルの1-3月:赤字、評価損65億ドル-約3,000人削減へ 」

2008年4月17日 ブルームバーグ

 米証券大手メリルリンチが17日発表した 2008年1-3月(第1四半期)決算は、3四半期連続の赤字となった。65億ドル(約6,660億円)を超える評価損と投資銀行の手数料収入40%減が響いた。同社は従業員約3,000人を削減すると発表した。

 第1四半期の純損益は19億6,000万ドル(1株当たり2.19ドル)の赤字。前年同期は21億6,000万ドル(同2.26ドル)の黒字だった。ブルームバーグがまとめたアナリスト6人の予想平均では、17億2,000万ドルの赤字が予想されていた。メリル株は一時、3.7%安となった。

● 2008年4月18日

[連鎖する大暴落 静かに恐慌化する世界]
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4198625093.html

 相場はCMEに操られている。何れ そこから決壊が起こる。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)は 110年の伝統を持っている。先物取引としては、株価指数と通貨(為替)先物を得意とする。この2つは金融先物市場で、今や世界の金融投機(スペキュレーション)の王者である。危険な金融博打は全てここで行なわれていると言っても過言ではない。

 CMEは、昨年2007年7月には、CBOT(シーボット)という、シカゴで170年の伝統を誇った、穀物と豚肉などの現物の取引所を、競争で打ち負かして吸収合併してしまった。 更に、ニューヨークにも手を伸ばして、今やNYMEXにも合併の王手をかけている。

(注:NYMEXは既に今年の3月18日に買収済み。) NYMEXは、商品(コモディティ、鉱物類、基本物資)のとりわけ原油先物の取引所として有名だ。NYMEXは、もうひとつ別のニューヨークのCOMEXという 主に金地金の先物取引で有名だった市場を既に吸収しているので、これで全米のすべての先物取引がCMEの傘下に入ることになる。株式も通貨(為替)も原油も金も穀物・農産物も先物取引はすべてCMEグループが行なうことになる。

  米国外で扱われる「ユーロドル」と呼ばれる米ドルの金利先物取引も開発した。この「ユーロドル」というアメリカ合衆国の外に流れ出している米ドルが今では、米国債(長期金利)や政策金利(FFレート)までをも引きずり回すようになっている。国家(政府)の金融政策(通貨量と金利を決める)さえもレオ・メラメッドが握って実質的に動かそうとしている。

(注:レオ・メラメッドは、CMEをつくった人です。[金融の倫理/福井日記 No.169]
http://blog.goo.ne.jp/motoyama_2006/e/299e93d26
592c528f9141eec4fbc0d60 )

 レオ・メラメッドの唯一の強大な敵は、やはりヨーロッパの先物市場である。ヨーロッパのEUの統一の先物取引所である「ICEフューチャーズ」(ロンドン)が強力にCMEと競争している。石油(原油)や天然ガス、電力の卸売、二酸化炭素の排出権などの先物を扱って成長してきた、欧州勢の先物取引所であるICEフューチャーズが、激しくCMEを追い上げている。ICEフューチャーズは、明らかに欧州ロスチャイルド財閥がアメリカに対抗するためにじっくりと育てて築き上げた先物の取引市場である。


●(時価会計の放棄が、アメリカ国内で始まった。恥も外聞もない。副島隆彦注記。)

「SECからの手紙 」

2008年4月17日 日本経済新聞

 米国の全上場企業の最高財務責任者(CFO)たちに米証券取引委員会(SEC)から手紙が届いた。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が深刻になるなか、盛られていたのは実質的な時価評価の後退だった。

  手紙が取り上げているのは米財務会計基準審議会(FASB)が二〇〇七年十一月に導入した新会計基準「FAS157」。企業がこれに基づくSEC提出書類(フォーム10-K)を作る際の考え方を示している。 FAS157は有価証券を性質に応じて三つに分類。
流動性が高く時価が測れる レベル1、
参照できる指標がある レベル2、
取引が薄く時価がない レベル3 だ。

 手紙は「広範な有価証券をレベル3に分類できる」 としている。本来レベル2に入るものでも今は市場がゆがんでいるとの解釈だ。そのうえでレベル3について、どういう方法で評価したかのモデルを開示するように求めている。

 例えばサブプライムローンを組み込んだ証券化商品などレベル2の参照価格は、トリプルA格でもとの価格の五〇%程度。それをレベル3と見なし、開示モデルによる評価を公正価格(フェアバリュー)として構わないというわけだ。開示モデルさえしっかりしていれば七〇%と評価することも可能になる。

 これによって金融機関のサブプライム関連損失の抑制効果が見込める。レベル2には債務担保証券(CDO)やLBO(借り入れで資金量を増やした買収)融資などかなりの資産が入る。一部の会計士はレベル2を市場の参照価格を使って厳格評価する姿勢だった。その場合、債務超過に陥る金融機関が出て、連鎖破綻が起きかねなかった。SECは会計士へのけん制も狙ったもようだ。

●2008年4月18日

 ロンドン・タイムは、米シティグループの決算発表後に、ドル買いが加速した。シティグループの決算は、「税引き前評価損が ▲60億ドル、純損失が51億ドル、1株当たり損失が1.02ドルとなった」 が、「市場はサプライズな損失拡大がなければ、ネガティブに反応しなくなっている」(LDN邦銀筋)との声も聞かれた。

 他の米企業の決算も発表となるなか、ダウ先物は前日比+150ドル高の1万2808ドルまで上昇した。この動きを受けてドルが急騰した。ドル円は2月29日以来の高値104.25円まで上昇した。 ユーロドルは、「欧州系の銀行経由でユーロポンドの売りが断続的に入った」(外銀筋)こともあり、4月15日以来の安値である 1.5756ドル まで急落。

 この動きのなかでユーロ円は円売りで反応。年初来高値を164.45円まで更新する動きとなった。 いったんドル買いの動きは落ち着いている。 「公的資金の売りがあるとの思惑があった102.60円」(信託筋) 近辺からスタートし、各節目を抜けてきたドル円のショートカバーが一服した感もある。

 上昇の加速に、ドル買いでついていけた短期筋がいたとしても、そろそろ利食いが入ってもおかしくはないところだ。ここからは株式なども含め、米金融市場の動きを眺めながら、ポジション調整となりそうだ。


●「金融機関首脳:信用収縮ほぼ終息と相次ぎ発言-投資家はほぼ信用せず 」
Bank Chiefs See End for Woes Investors Can't Forget

2008年4月16日 ブルームバーグ

 米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)と米証券大手リーマン・ブラザーズ・ホールディングスのリチャード・フルドCEOは今週、信用収縮が終息に向かっているとの認識を示した。同業他社のトップからも先週、同様の発言が相次いだ。しかし、投資家は納得していない。

 ダイモンCEOは16日、信用危機は「恐らく75-80%」終わったと述べ、フルドCEOは15日、信用収縮の「最悪期は過ぎた」と株主に対して語った。先週には、ゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブランクフェインCEOが、危機は「始まりよりは終わりに近い」とし、モルガン・スタンレーのジョン・マックCEOはサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン危機は野球の試合に例えれば8回か「恐らく9回の表」との認識を示した。

 信用市場の混乱が抑えられた、あるいは終息に近づいているとの楽観的な見通しを主要金融機関のトップが示したのは今回が初めてではない。しかも過去の見方は間違っていた。昨年末時点で約970億ドル(約9兆9000億円)の関連評価損は今年2月末までに1810億ドルに拡大。世界の主要金融機関の資産評価損・信用損失は2007年初めからこれまでに2550億ドルに達している。

 イースタン・インベストメント・アドバイザーズ(ボストン)のマネジングディレクター、ローズ・グラント氏は株主が「状況は良好に戻ったと信じ始めるにはさらなる証拠」が必要だと指摘。金融機関が評価損や信用損失の規模を完全に明らかにするまでは「投資家は様子見を決め込むだろう」と話す。

 今週は金融機関の損失規模が一層明らかになる。資産規模で米銀3位のJPモルガンが16日発表した2008年1-3月(第1四半期)決算は、前年同期比 50%減益。評価損と貸倒引当金で51億ドルを計上した。米証券最大手メリルリンチは17日に、米銀最大手シティグループは18日にそれぞれ決算を発表する。

● (副島隆彦注記。「ECBが、必要資金をすべて供給してくれるので、欧州の銀行は安泰」という皮肉と冗談が流行っている、という記事。その際に、ECBは、劣悪化している“ジャンク債“である住宅ローン抵当債券(モーゲッジ債券、住宅ローン証券化商品)を担保としてどんどん引き受けてそれで緊急の融資をしてくれる。そういうことだ。

 ということは、今後、このモーゲッジ債券が紙くず化したときに、ECBが、デフォールトする、すなわち国家破産する、ということになる。国家は破産しないのだろうか、という問題になる。副島隆彦記)

「欧州、公的支援で“安定”・サブプライム危機」

2008年4月23日 ブルームバーグ

 米金融界が信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の対応に追われる一方、欧州では一部の銀行で巨額損失が発覚しても市場全体は何とか小康状態を保っている。欧州中央銀行(ECB)や各国政府による実質的な「公的支援」が危機を抑え込んでいるためだ。ただ、専門家の間では、問題の先送りにつながるとの指摘も出ている。

 スペイン最大の住宅金融会社はECB――。金融関係者の間でこんな冗談がはやっている。同国の民間銀が住宅ローン証券などを担保にECBからの借り入れを急増させているのだ。証券化市場で銀行が調達できなくなった分をECBが肩代わりしている格好。昨年12月だけでこの方法による資金供給額は440億ユーロ(約6兆7000億円)と通常の2倍強に膨らんだ。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


「この「第2ぼやき」記事を印刷する」
「86」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(21) 2008年3月の新聞記事で「84」番に載せなった分。まだこんなにありました。2008.9.13
副島隆彦です。 ここの「84」番に載せた2008年3月分の記事以外の、3月分の新聞記事の残りを、整理しましたので、載せます。 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●「ルービン元財務長官、政府の迅速な対応求める-住宅差し押さえ増加で」
Rubin Calls for Urgent Government Action to Stem Foreclosures

2008年3月21日 ブルームバーグ

 ルービン元米財務長官は21日、住宅の差し押さえが増加していることについて、政府の迅速な対応を呼び掛けるとともに、税金投入の必要性を示唆した。

 米銀シティグループの経営委員会会長を務めるルービン氏は「迅速な行動が強く求められている」と指摘。「わたしなら、何らかの形で公的資金を投入することを非常に、真剣に検討する」との考えを示した。

 ルービン氏は、不動産価値の目減りに苦しむ住宅所有者に対する政府支援の強化には、米連邦住宅局(FHA)の関与が必要だと指摘。「少なくともわたしの意見で、現在欠けているもの」は、差し押さえに直面しているすべての住宅ローンを対象にした措置だとの見方を示した。ブルームバーグテレビジョンのインタビューに答えた。

 さらに、差し押さえの増加は、信用逼迫(ひっぱく)の中心にある問題だと指摘。「信用市場は未体験ゾーンにある。今後も多くの問題が起こる可能性がある」との見通しを示した。一方で同氏は、景気の下支えや金融市場の逼迫感緩和のために連邦準備制度理事会(FRB)が決定した一連の措置を称賛。「FRBは非常に良い仕事をした」と述べるとともに、ベアー・スターンズ救済でFRBと協力した財務省の対応も評価した。

 同氏はまた、米国はすでにリセッション(景気後退)入りしたという認識を示さなかった一方で、米経済が深く長い収縮期にあるかもしれない確率は3分の1だとの見方を示した。


●「米証券GSとリーマンの格付け見通しを「弱含み」に引き下げ-S&P 」
Goldman, Lehman Rating Outlook Cut to Negative by S&P

2008年3月21日 ブルームバーグ

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は21日、米大手証券のゴールドマン・サックス・グループ(GS)とリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの信用格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から、将来の格下げの可能性がある「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。米大手金融機関の利益は今後1年間で最大30%減少する可能性があると指摘している。一方でS&Pは、ゴールドマンとリーマンの長期信用格付けをそれぞれ「AA-」、「A+」で継続した。

 S&Pは、米連邦準備制度理事会(FRB)が決定した証券会社対象の公定歩合貸し出しと、JPモルガン・チェースによるベアー・スターンズ買収計画に関連した特別融資は「流動性の懸念を軽減する」と指摘した上で、「それでも、資本市場の混乱の持続や大幅な景気鈍化の可能性は若干あるとみている」との判断を示した。

 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは17日、リーマンの格付け見通しを「ポジティブ(強含み)」から「ステーブル(安定的)」に引き下げるとともに、長期信用格付けを「A1」で継続している。


●(副島隆彦注記。アメリカの一般国民は、まだ、自国が金融恐慌から大不況に突入するのだ、ということを知らない。自覚が無くて、「何とかなるさ。政府がなんとかしてくれるさ」 と浮かれている。以下のCNNの世論調査の記事から、そのことが分かる)

「米国民の6割、来年には景気回復と 最新世論調査結果」

2008年3月22日 CNN

 信用力の低い消費者向け住宅ローン(サブプライムローン)焦げ付き問題が原因で金融市場が混乱、景気後退への懸念が強まっている米国経済の先行きで、米国民の6割が来年には経済が持ち直すと考えていることが最新世論調査で21日分かった。

 現在の景気については75%が悪いと答えていた。経済対策は、今年の米大統領選でも主要争点に浮上。有力候補は次々と景気対策案を提示している。過去2回の景気後退はあくまで短期間で終わったことから、この経験が今回の調査結果に反映したともみられている。

 世論調査によると、83%が現在の生活水準を来年も維持出来ると回答。85%は今後半年内に仕事は続けられると考えていた。調査はCNN、オピニオン・リサーチ社が共同実施した。3月14日─16日に、成人千人以上を対象に実施した。 以前の調査では、米国民の71%がイラク戦費が米経済の現在の低迷につながっていると判断していることが分かっている。反対意見は28%だった。

●(副島隆彦注記。アブダビとシンガポールの政府にアメリカ政府が緊急の資金の供与の救援を求めている。アメリカのドル覇権の終わりへの道だ。)

「アブダビとシンガポールが米国財務省とSWF投資について協定締結 」
http://blogs.yahoo.co.jp/dfdcc441/4587278.html

2008年3月20日、

 米国、アブダビ、シンガポールは、SWFによる対米投資について協定を締結した。これはアブダビ・シンガポールに対する5つの原則と、米国に対する4つの原則からなる。エッセンスは、SWFの投資は商業目的に基づくものとし、米国は安全保障に抵触しなければ投資を受け入れる、というもの。9項目は下記である。

SWF側の政策原則
Ⅰ 投資は商業目的に基づくものとし、この原則を明文化する
Ⅱ投資目的、投資対象などにつき、よりディスクロージャーする
Ⅲ ガバナンス、内部統制、リスクマネジメントを確保する
Ⅳ 民間企業と公平に競争する
Ⅴ投資受入国側の法規制やディスクロージャーへの要望に応える

投資受入国側の政策原則
Ⅰ 対内投資について保護主義的措置を設けない
Ⅱ 投資受入国は、投資受け入れに際しての規制を明確化する
Ⅲ SWFを他の投資家と差別しない
Ⅳ SWFの投資決定を尊重し、安全保障上にかかわる場合を除いて投資は受け入れる


●(副島隆彦注記。 RMBS =モノラインが作ったモーゲッジ証券商品を売り買いする債券市場 が、崩れそうなので中銀たちが救済しようとしている段階であるらしい。でもFRB以外は、救済しないし、出来ない。)

「英中銀:金融市場のひっ迫緩和で他の中銀と協議-公的資金は検討せず」
Bank of England Seeks to Ease `Strains' in Markets

2008年3月22日 ブルームバーグ

 イングランド銀行(英中央銀行)は22日、金融市場のひっ迫を緩和する方法について、他の中銀と協議していることを明らかにした。ただ、公的資金を求めることは検討していないという。

 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は同日、米欧の中央銀行がモーゲージ担保証券(MBS)の購入を検討していると伝えたが、英中銀は同行がその中には含まれていないと指摘した。米連邦準備制度理事会(FRB)もMBS購入に関して議論に入っていないとしている。

 英中銀は「われわれは他の多くの選択肢を検討しているが、その詳しい内容に言及するのは時期尚早だ」との声明を発表した。金融機関は英中銀が短期市場の状況改善に向けて十分な措置を取っていないと批判している。


●(副島隆彦注記。またひとつ、米大手ノンバンクが潰れる。)

「WSJ紙-CITが信用枠全額引き出し、資金調達難が拡大」

2008年3月21日 ダウ・ジョーンズ

ニューヨーク、ウォール・ストリート・ジャーナル

 ウォール街を震源とする揺れはまだ続きそうだ。米金融サービス大手CITグループ(NYSE:CIT)は20日、信用危機のため通常の資金調達方法での調達ができなくなり、73億ドルの信用枠全額を引き出したと明らかにした。CITが手元資金確保のために資産を売却し貸出事業を縮小すれば、同社の商業融資を利用している企業に悪影響が及ぶことになる。CITのジェフリー・ピーク最高経営責任者(CEO)は「現在の市場環境を考えると、事業規模を縮小する必要があると認識している」と語った。

 同社は銀行ではないが、必要な資本全額を通常の銀行融資で調達しきれない企業への融資を手掛ける企業としては大手。50カ国以上の30以上の業界に顧客を抱える。昨年末時点の運用資産総額は832億ドルで、クリーブランドを本拠とする米地銀持ち株会社キーコープとほぼ同じ規模。

 CITは銀行預金を運転資金に充てることができないため、通常はコマーシャルペーパー(CP)による短期資金調達のほか、資産担保証券(ABS)や社債の市場などに頼っている。だがこれらの資金調達源は信用収縮のため凍結状態が続いている。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が今週、同社を格下げしたことも、資金調達難に拍車をかけた。CITは2月、創立100周年を迎えた。

 同社が緊急融資枠の利用を余儀なくされたと発表したことを受け、同社の株価は一時、前日比45%安まで下落した。その後やや持ち直し、終値は同2.01ドル(17.27%)安の9.63ドルとなった。これは、変動の激しい環境で同社は幾らか時間稼ぎができたと投資家が考えていることを示唆している。

 CIT幹部によると、過去1週間で同社の資本市場へのアクセスはほぼ絶たれたという。これにより、企業の規模にかかわらず同社から融資を受けるのは難しくなり、借り入れコストが増えると考えられる。サンドラー・オニール・アンド・パートナーズのアナリスト、マイケル・タイアーノ氏は「これは連鎖反応。CITの資金調達難は同社の融資先の資金調達難を通じて融資のデフォルト(債務不履行)につながる可能性がある」と語った。

 CITの問題は、中小企業への信用収縮を示す最新の兆候だ。住宅ローンやその他の消費者金融でのデフォルトが増加し、多くの銀行があらゆる種類の融資に慎重になった。このことは、米国の景気減速に追い打ちをかける恐れがある。米連邦準備制度理事会(FRB)の1月の調査によると、銀行の約3分の1が商業融資の基準を強化し、約40%が商業融資の金利を引き上げている。

 CITのジョセフ・レオーネ最高財務責任者(CFO)は「当社は、資本を確保するために融資事業を縮小する必要があるが、既存の顧客との事業は継続する」と語った。ピークCEOによるとCITは、「預金は潤沢だが資産の乏しい」さまざまな預金取扱機関と、借り入れについて交渉してきた。だが、ある銀行と合意に近づいたものの、このところの市場の混乱で「やや後退した」という。

 CITは、CPの償還に加え、2008年に期限を迎える97億ドルの返済に備えて資金を調達する必要がある。返済額が最も大きなものは期限が5月に迫っており、38億ドルの返済または借り換えをしなければならない。同社の現在の手元資金は25億ドル弱で、50億-70億ドル相当の資産を売却する予定。

 同社は、信用枠全額を引き出したことで、事業規模縮小後の同社が年内に必要とする資金は賄えるはずだとしている。また証券化などによって幾らかの資金調達ができるという。アナリストは、CITが今回、信用枠全額を引き出したのは賢明だったとみている。

 かつて評判だった企業が目立ったつまずき方をしていることで、投資家は動揺が増幅され、CITなどの金融各社から遠ざかっている。ベアー・スターンズは16日、JPモルガン・チェースに1株当たり2ドルで買収されることで合意した。また米未公開株投資会社カーライル・グループ傘下のカーライル・キャピタルは同日、同社清算の方針を明らかにしている。


● 2008年3月22日

(1)新銀行東京と前後して木村剛が設立した日本振興銀行についても、私は即座に倒産必至だと述べた。

(2)木村剛は金融庁顧問の職権を利用して親しいサラ金会社に銀行のライセンスを取得させた。しかしサラ金が銀行経営に成功するのは至難である。
 第1に、サラ金は通産省管轄であるが、銀行は金融庁管轄である。金融に無知な通産省に比べると、金融庁の検査は桁違いに厳格である。
 第2に、サラ金の上限金利が29%であるのに対して、銀行の上限金利は実質10%である。金融庁は年率10%を超える融資案件を片端から不良債権と見なし、貸倒準備金の積み立てを要求する。

(3)これだけのハンデがあれば、サラ金の経営者が銀行経営で成功するわけがない。サラ金で儲けたから銀行の看板を持てばもっと儲かると考えたところに、木村剛の浅薄さが露呈していた。

(4)この程度の才能が金融庁顧問として絶大な権力を振るい、日本の巨大企業30社を名指しで「つぶせ」と恫喝していたのである。

(5)企業の過剰債務は銀行の過剰融資である。竹中大臣は木村剛の強面(こわもて)を利用して銀行を威嚇し、過剰融資の責任を追及した。ダイエーや日商岩井やUFJ銀行が事実上の倒産に追い込まれた。

(6)つぶすと脅かされて、金融機関と企業は借金を返済するために株式と不動産をたたき売った。買い手不在の市場で大暴落した株式と不動産を、ユダヤ資本がダ同然で一手に買い占めた。

(7)竹中大臣はユダヤ資本に荷担して日本の国益を破壊していると、当時私は批判し続けた。事実、株主名簿の50%を占めていた金融機関と取引先企業が消えた。
代わって外国人株主が30%を支配し、東京株式市場をユダヤ資本が占拠したのである。今上場企業は外国資本の買収におびえ、株式持ち合いを復活している。

(8)さて、日本振興銀行はたちまち大幅赤字に陥り、内紛に揺れた。その後の状況を私は知らない。知ろうとも思わない。

(9)当時、ケンカが強く、颯爽としていた石原慎太郎と竹中平蔵と木村剛は、権力におぼれて悔いを後世に残した、と私は思う。


●「米欧中銀、モーゲージ担保証券市場のてこ入れについて協議-FT紙」
Central Banks Discuss Mortgage-Backed Debt Rescue Plan, FT Says

2008年3月22日 ブルームバーグ

 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は 22日、米欧の中央銀行がモーゲージ担保証券(MBS)市場を下支えするため、公的資金投入の妥当性を検討していると報じた。情報源を明示せずに伝えた。

 同紙によると、米連邦準備制度理事会(FRB)とイングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)は、金融市場の混乱への対応に関する協議の一環として、MBSをめぐる話し合いの初期段階にある。MBS価格のさらなる低下を防ぐため、公的資金を大規模なMBSの購入に充てる案が検討対象になっているという。

 この構想にはイングランド銀が最も積極的。FRBも最終的な手段として用いることには原則として前向きで、ECBが最も消極的だという。


●「ECB、ユーロ高で介入圧力高まるものの当面は口先介入のみか」

2008年 3月20日 フランクフルト、ロイター

 対ドルで史上最高値を更新し続けているユーロ相場は、欧州中央銀行(ECB)に為替介入を促す水準に達しているが、ECBは今のところ口先介入にとどめる考えとみられている。

 ECBと米連邦準備理事会(FRB)が経済における最優先事項に関する立場の違いを棚上げし、協調してドル安阻止に取り組むことを検討するには、ユーロが現在の1.54ドル付近から1.65ドルへと急伸する必要がある。

 ドル下落が米国のインフレやユーロ圏の成長見通しだけでなく、世界の金融安定をも揺るがしかねない事態になれば、為替介入が現実的な選択肢になる。

 為替介入するとすれば、日銀やイングランド銀行(英中銀)、スイス中銀の協力も必要になるが、今のところ各当局は、意表を突く動きは金融混乱を和らげるどころか深刻化させるだけとみているようだ。

 ある主要7カ国筋は「市場は十分ボラタイル。われわれが予想外の行動をしてそれを助長する必要はない」と述べた。同筋は、昨秋の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が、声明の為替に関する文言を修正しなかったのはこうした主張があったためだ、としている。一方、介入圧力がじわじわ高まっているとみる外為市場ウォッチャーは多い。

 「介入が近づいているのは確実」とみるカリヨンの外為調査責任者、ミトゥル・コテチャ氏は、「為替市場のボラティリティは、最近数週間、とりわけここ数日で著しく高まっており、ドル暴落のリスクも出てきている」と指摘した。

 それでも、コテチャ氏も他の通貨ストラテジストも、現段階でECBは介入の準備ができていないと考えている。INGの為替戦略責任者、クリス・ターナー氏は「市場の状況について中銀の間で連絡を取り合っていても驚かない。しかし、われわれはユーロ高が1.60─1.65ドルまで進行するまで介入があるとは思わない」と話す。

 ECBはとりあえず、ユーロ高への口先介入を強めるとみられている。口先介入で市場を制することができなければ、中銀の信認は傷つき、さらなる混乱をもたらす恐れがある。タレット・プレボンのG7エコノミスト、レーナ・コミレバ氏は、口先介入が強まれば実際の介入が近づいていると見なすべきだが、実際は逆で、介入を迫られる状況を回避するための戦略だとみている。

 <FRBとの立場の違い>
 ユーロは今週に入って1.59ドル台で最高値を更新したほか、主要通貨バスケットに対する実効レートでも最高値を付けた。

 ECBが記録的水準に高まったインフレを抑制するため政策金利を据え置く方針である一方で、FRBは景気支援に向け利下げしているため、ドルの下落は特に対ユーロできつくなっている。

 しかし、ストラテジストの間では、介入がドル支援効果を持つためにはECBとFRBが現在の立場を放棄しなければならない、との意見が大勢。

 バークレイズ・キャピタルの欧州担当チーフエコノミスト、ジュリアン・キャロウ氏は、それがECBが現段階で実際の介入より言葉による介入を志向する理由だと指摘。

 「ECBのコメントは、市場の為替の動きに関する見方に対抗しようとしている。一方で、2つのリスクも示している」と述べる。一例がビーニ・スマギ専務理事の18日の講演。専務理事は、市場は時にオーバーシュートし、世界経済に悪影響を与える可能性があるとの見解を示した。講演を受け、ドルは対ユーロで約2セント上昇した。

 バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの外為調査責任者、サイモン・デリック氏は、専務理事の発言はECBのユーロ高への懸念を反映しているとみており、「まさに介入前に出てくる言葉だ」と述べている。

 <米国は動くか>
 ただ、世界的な中銀の協調介入は、米国の協力抜きではあり得ない。トリシェECB総裁は、米国が強いドル政策を維持する方針を示したと、繰り返し述べている。ECB理事会メンバーのメルシュ・ルクセンブルク中央銀行総裁は17日、ロイターに対し、ドルには「特別な責任」が付与されている、と述べた。

 これらECB要人の発言について、バークレイズ・キャピタルのキャロウ氏は、ドル安によって中国などのアジア、中東の国・地域が事実上のドルペッグ制を放棄し、新たな混乱をもたらすのではないかというECBの懸念を反映している、と指摘する。
 こうした懸念は、米財務省およびFRBをさらなるドル支援に突き動かす可能性がある重要な要素のひとつだ。

 キャロウ氏は、FRBにとって最大の懸念は経済成長だとした上で、米国の姿勢が変わるためには、ドル相場の不安定さが米経済に与える悪影響の方がドル安による輸出へのプラス効果を上回っていると米政権が認識し始める必要があるとみているが、「そこに至るまでの道のりは長い」と述べている。


●2008年3月22日

 今のアメリカ経済に起こっている金融危機は、かつて日本で起こったことと同じだ。今は、金融・土地バブルが崩壊した日本の1993年ぐらいの感じだ。

 銀行は「健全行」とみなされる基準であるバーゼルⅡ を クリアするため 自己資本( 自己資本比率8%を達成する義務 ) を高く保つ必要がある。 そのためにはリスク資産を減らさざるをえない。

 だから、サブプライム関係の不良債権を多く持っていて、それが時価会計のために表に出さざるを得なくなっているヘッジファンドに対し、銀行が、マージンコール(増担保要求)みたいな形で、貸し渋り貸し剥がし をやっている最中だ。 またこれをやらざるを得ない。

 ヘッジファンドの方としてはこれに対して資産の現金比率を高めて備えるしかなく結果として現金化できるものを片っ端から売っている。 この場合、利が乗っているか、市場が大きく取引が厚くて売っても大きく損が出ないもの、すなわち、日本株などが優先的に売られた。価格が高騰していた商品をどんどん売って利益確定しているということだ。

 短中期の国債なんかが高騰しているのも、現金を安全に安心して置いておける殆ど唯一の場が国債だから。つまりヘッジファンドの絶対的な流動性不足の結果としてのポジション・クローズである。このことは、つまり、アメリカのヘッジファンド破綻 のカウントダウンが始まっているということだ。バーナンキといえども ヘッジファンドを直接救済するなどということはやらない。


● 「商品市場の突然の失速、背景にファンドのレバレッジ外し」

2008年3月 20日 ニューヨーク、 ロイター

 20日の米金融市場では、投資リターンを高める目的でかけていたレバレッジを縮小し、利益を確定する動きで商品が売られ、ドルが上昇した。 原油など19商品の先物で構成するロイター/ジェフリーズCRB指数は今週、8.3%下落、下落率は指数の算出が始まった1959年以来、最大となった。

 7カ月前に信用危機が始まってから、市場の突然の変調を想定した投資家によるレバレッジ外しがみられるようになった。

 米投資銀行ベアー・スターンズの事実上の破たん、米連邦準備理事会(FRB)の利下げと、信用危機の新たな段階ともいえる展開だった今週は、高レバレッジの投資家が、追加担保の差し入れ要求への対応などで、益の出ていた取引の解消を余儀なくされた。

 バーラ・キャピタル(シカゴ)のシニアポートフォリオマネジャー、ピーター・ビソールド氏は 「大規模なフローと数年分に相当するディールの解消が起こっている」 と述べ、ファンドの中には、リスクエクスポージャーを減らすために安全な政府債や高格付けの社債を売っている向きもいる、と指摘した。

 こうしたリスク回避の影響が最も顕著に表れたのは商品市場。 リセッション入りした可能性もある今回の米経済減速局面でも素材価格は底固さを示し、米原油先物は週明け17日に 1バレル=111.80ドルの最高値を付けていた。しかし、商品価格は突如、上昇が失速した。

 投資家のデニス・ガートマン氏は最新のガートマン・レター「上手なトレードも時には失敗に終わる。それが目の前に突きつけられた。われわれは、1日にして天才から愚者に成り下がった」 と述べた。同氏は、金上昇・株安を見込んだポジションを半分に減らすという。

 <企業の経営問題にも神経質>
 投資家は、資金繰りが悪化したベアーがJPモルガン・チェースに救済買収を仰ぐに至ったような、企業の存続にかかわる問題にも神経質になっている。上場先物・オプションの取引仲介最大手の米MFグローバル は17日、事業を行うのに十分な資金を確保している、との説明に追われた。資金繰り悪化懸念が浮上した同社の株価は今週、49%も下落した。

 米連邦準備理事会(FRB)は16日、公定歩合の緊急引き下げとともに、プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)向けの新貸出制度を発表した。制度は、大手に限るものの金融機関に低利で資金を調達する道を開くものだが、かえってカウンターパーティーリスクをめぐる懸念を増幅させた。

 レバレッジ外しは、海外市場でも主要なファクターとなった。オーストラリアでは借り入れコストが約18年ぶりの高水準に上昇したほか、日本では10年物国債先物が2003年半ば以来の高水準を記録した。

 シティグループは、ファンドによるデリバレッジが資産価格のデフレサイクルを引き起こすとの見方から世界経済成長予想を引き下げた。シティグループのリポートは 「国際的な金融機関の多くが、米モーゲージ証券絡みで損失を出したため、バランスシートを縮小し続けている。この過程で他の金融機関への信用供与も減っている」と指摘。 「こうした動きが資産価格や大手金融機関のバランスシートにさらなる圧力となる」とみている。


● 「商品相場急落の裏にヘッジファンド危機、実質ゼロ金利のドル相場にさらなる重し」

2008年3月21日 東京、ロイター

 商品相場の急落は単なる利益確定でなく、巨額損失で身動きが取れなくなったヘッジファンドの投げ売りらしい――。21日の外為市場ではこんな観測が出回った。急激な相場変動によって運用成績が悪化した大手ファンドの損失計上や破たんのうわさも相次いでいる。大幅利下げで実質ゼロ金利となった米国の通貨ドルは連邦公開市場委員会(FOMC)後に下落が一服しているが、センチメントは悪化の一途をたどっている。

<モノラインに次ぐターゲットはヘッジファンド>
 為替市場では、ヘッジファンドの動向が急速にクローズアップされている。依然として巨額の損失懸念がくすぶってはいるものの、大手銀行や大手証券では政府系ファンドの出資や同業者による合併が動き出し、モノラインは米政府も巻き込んだ救済策が練られ始めた。

 しかし、損失を抱えたヘッジファンドへの目立った対策はまだ、ファンドの「幹事行」にあたるプライムブローカーへの貸し出し緩和策のみ。「相次ぐ救済は一歩間違えるとモラルハザードになりかねない」(邦銀関係者)ことは確かだが「ファンドの損失が今後拡大していくのではないか」との懸念に、市場の不安心理は増幅し始めている。

 ニューヨークでドルを売り仕掛けているある為替ディーラーも「サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題で銀行、証券、金融保証会社(モノライン)が次々にやられて(損失を計上して)きたが、まだヘッジファンドが残っている」とにらむ。

 20日海外の取引では、ニューヨーク・マーカンタイル取引所の米原油先物CLc1が一時98.65ドルと、2週間ぶりの水準へ急落。最高値を更新した17日からわずか3日で、1割を超える下げとなった。

 原油市場では米国の原油需要が低迷するとの見方が引き金になったとされているが、19の商品先物で構成するロイター/ジェフリーズCRB指数.CRBも20日に一時377.45と、1カ月ぶり低水準に急落。CRB指数の今週の下落率は、指数の算出が始まった1959年以来最大を記録するなど、高騰の続いてきた商品相場は軒並み下落している。「運用難で首の回らなくなったヘッジファンドがとりあえず、利益の出ている商品を投げ売っているようだ」(市場筋)との観測が浮上するまでに時間はかからなかった。

<低金利のドルは「調達通貨」、マインド好転せず売り継続の見方大勢>
 日々数多くのうわさが流れる外為市場では、3月上旬は銀行や証券など大手金融機関の損失計上をめぐるものが大半だったが、今週に入ってからはファンドをめぐるものが急増。19日夕方の取引では「欧州系の大手ファンドが破たん目前らしい」とのうわさが流れた。

 20日には英紙フィナンシャル・タイムズが30億ドル規模の英ヘッジファンド、エンデバー・キャピタルが17日の東京円債市場で資産の4分の1以上を失う損失を出したと伝えたことが話題となった。サブプライム問題に「ファンド運用難」という新たな懸念が急速に現実味を帯びてきたことで、18日のFOMC後に一服となっていたドル売りが再び強まる可能性を指摘する声が出ている。

 「ドルが下がりそうな話題には事欠かない」(後出の都銀)最近の外為市場では、大幅な米国の利下げで、ドルの下落が長期化すると予想する声も出始めた。相次ぐ利下げで米国の政策金利は2.25%へ低下。キャリートレード全盛のころには円と同様に低金利の調達通貨とされてきたスイスの2.75%をも下回り、G7では日本に次ぐ低さとなった。

 実質金利はマイナス域に突入しており、ドルは「もはや運用通貨でなく、円と同じく調達通貨。円と同じく売られやすくなった」(別の都銀)。さらに、ドル安見通しの強まりを受けて米国への資本流入が細れば、経常赤字のファイナンス懸念が生じ、再び米国の双子の赤字を含む世界経済の不均衡問題がテーマとなる可能性もある。


● (副島隆彦注記。白川代行は、なかなかしっかりしているようだ。)

「白川日銀副総裁(総裁代行)の一問一答」

2008年 3月21日 東京、 ロイター

 白川方明副総裁(総裁代行)は21日、就任会見を行い、総裁不在という異例の事態の中でしっかりと任務を遂行していくとの決意を述べた。会見での主なやりとりは、以下の通り。

 ──副総裁就任にあたっての抱負。また、総裁不在が業務運営上どのような影響が出てくるのか。

 「現在、日本経済は国際金融市場の動揺や世界経済の減速、エネルギー・原料価格高騰による中小企業の収益環境の悪化や生活関連物資の値上がりなど、内外とも多くのリスク要因・不確定要因を抱えている。金融政策運営にあたっては、経済・物価の見通しと、上下両方向のリスク要因を謙虚な姿勢で幅広い角度から分析することが求められている。そうした丁寧な情勢分析の上に立ち、必要な政策を機動的に実施することを通じて、長い目で見た物価と経済の安定に貢献していきたい」

 「金融政策は金融市場や金融機関の行動を通じて効果を発揮するものであり、その透明性は政策のアカウンタビリティ(説明責任)の面でもそうだし、政策の有効性を確保する上でも重要な前提となってくる。適切な政策を積み重ね、これをしっかり説明していくことで、国民の信頼を得られるよう努力するつもりだ。そうした信認こそが、日銀の独立性を確保する大切な基盤となる」

 「金融システム面だが、まずは現在進行中のサブプライムローン問題に端を発した国際金融市場の動揺に対して、適切に対処することが最優先課題だと考えている。それと同時に、今回の経験も踏まえて、マクロの金融政策や金融システムをめぐる政策、制度のあり方についてどのような教訓を引き出すべきか、しっかり検討する必要がある。そうした検討を踏まえた上で、リスク点検の体制を強化していく、その場合に個別金融機関のリスク管理の重要性だけではなくて、金融市場の中のどこにリスクが蓄積され、それが金融システムの安定のどのような影響を与えていくか、ミクロ・マクロからの点検をしっかりやっていきたい。私自身も金融機関や市場参加者と密接な意見交換を行っていき、現在、起きていることについて感覚のズレが生じることのないようにしてきたい」

 「日銀の機能はこのほか、銀行券の円滑な決済や決済システムの安定的な運行など、日々の業務で支えられている。日本銀行は当然のことながら銀行であり、その基礎は業務にあるというのは若いころからの強い信念だ。業務や組織運営面では職員の1人1人中央銀行員としての誇りを持ち、専門的な能力を最大限発揮できるような組織を作っていくために努力をしていきたい。組織形態や仕事の進め方など、あらゆる面で常に新しい目で柔軟に見直し、組織の効率化、活性化を進めていきたい」

 「総裁が欠けるという異例な事態だが、経済や金融には1日の休みもなく、日銀の業務が滞ることはいかなる意味でも許されない。総裁が任命されるまでの間、日銀の運営を預かる者として、しっかり職責を果たしていきたい。先ほど、2番目の質問で総裁不在という事態がどのような影響があるかということだったが、日銀全体の組織として日銀の機能がいささかも影響を受けることがないようにやっていく、そういう組織だと思っているし、微力ながらしっかり代行の仕事を果たしていきたい」

 ──今後の適切な金融調節のあり方について。

 「まずお断りしなければならないのは、私自身は今まで大学に1年8カ月大学におり、やや長期的な観点から日本の経済あるいは中央銀行のあり方について、興味を持って勉強してきた。ただ、足元の金融政策、経済政策について、詳細にこれまで研究してきたわけではない。日銀で働くことの一番大きな魅力・強みは、経済・金融に関して、ミクロ・マクロさまざまな情報が入ってくる、その様々な情報をいろいろな角度から分析をしていくというのが中央銀行の一つの魅力だと思っている。私自身は具体的な魅力にまだこの時点で直接接しているわけではない。、その意味で、その質問に対する答えは少し一般的な答えにならざるを得ない」

 「先ほどの抱負でも少し申し上げたが、私が日銀の中で金融政策を事務方として担当する、そういう仕事をやってきたときのいくつかの教訓がある。1つはこれは昔から言われていることだが、金融政策の効果が波及するまでには非常に長い時間がかかる。したがって、足元の経済の情勢、これはこれで非常に大事だが、しかし少し長い目で見て物価の安定がどのように維持されるのか、維持されないのか。したがって、持続的な経済成長が維持されるのか、されないのか。その点検の姿勢が非常に大事だ。具体的な方法論は何かということで世界の中央銀行が頭を悩ませているわけだが、いつも意識していることの一つはそういうことだ」

 「2つめは、これも抽象論になるが、経済が変化するときには非常に変化すると。これは上にも下にも変化をするときには非常に大きな変化をする。それだけに、金融政策運営にあたっては、予断を持ってはいけない。いろいろな情報を集めて、その意味を考えて、その上で最終的には、もちろん不確実性に満ち満ちているわけだが、最後は判断しなければいけない。その時に、繰り返しになるが、予断を持つことなく判断をしていきたい」

 「3つ目は、もう少し具体的な話になってくるが、日本のバブル以降の経験を振り返ってみると、あるいは最近の米国のサブプライムローン問題というか、クレジットローンの崩壊という問題をみてみると、あらためてこの20年近く、資産価格と実体経済の複雑な相互依存関係がいろいろな形で経済の変動を引き起こしているという感じがする。そうしたことも意識してやっていく。ただ、このことは私自身が意識している一般的な原則で、当面の金融政策について何かそれを示唆しようとしているわけではない。これから、そうした基本的な考え方を踏まえて、その上で様々な情報を集めて、4月の決定会合に臨みたい」

 ──政府は景気が踊り場に入ったとの判断を示しているが、足もとの景気の認識についてどうみているか。また国会の所信表明で潜在成長率と比較すると現在の短期金利は低いとおっしゃったが、利下げについてどのようにお考えか。

 「現時点での景気認識としては、見通しの判断は3月の決定会合で示した基本的見解と大きな違いはない。日本経済は足もと、住宅投資の落ち込みや原油高などの影響から減速しているが基調としては緩やかに拡大をしている。ただ、先行きは当面は減速するという姿がどのくらい続くかわからないが、その後は緩やかな拡大が続くというのが標準的ケース。しかし、標準的なケースを強調することも大事だが、今は非常に不確実性が高い」

 「実質短期金利というのは少し長い目で見た場合として申し上げた。実質短期金利はおおまかに申し上げるとだいたいゼロだ。潜在成長率が1%台半ばから後半。その意味では金融政策は非常に大きな緩和方向の力を発揮すると思う。ただ金融政策が経済に対して及ぼすルートは、短期金利から始まって中長期の金利、それも国債金利で計る金利だけではなく、実際に企業が計る金利、つまりクレジットスプレッドを加味した金利などを総合的に判断したフィナンシャルコンディションなど、何らかの金融政策の持っている金融緩和の力というものを具体的に判断していく」

 ──米国金融当局は大手証券ベアースタンズに流動性供給を行ったことへの評価について聞きたい。米国の金融政策についてドルの信認に悪影響が出ることについて、どう見ているか。

 「1つの大きな教訓としては、流動性の問題が原因となってソルベンシーが悪化することは防がなければならないということ。そうなると大変大きな影響がある。ベアースターンズに対して流動性を供給したことは日本の経験に照らして適切だったと思う。と同時、流動性の供給というのは必要な政策ではあるが、これだけで問題が解決するわけではない。そのことも中央銀行は意識しながら、最終的な金融市場の最後の貸し手だと意識しながら行動していくということ。この点においてはFRB(米連邦準備理事会)も日銀も同じ」

 「為替レートについては、今のサブプライム問題に端を発した金融市場の動揺、ドルの為替レートも減価しているのは事実。こうした動きにはずみがつくと、金融市場にとっても米国経済にとっても悪影響が及ぶし、その辺も意識しながら米国は対応をとろうとしていると思う」

 「経済全体の動き、米国経済の動き、金融市場、為替市場、など総合的に考慮しながらFRBは対応をとろうとしていると私には思える」

 ──米国経済減速の影響が世界経済に及ぼす影響についてどうみているか。デカップリング論についてどうお考えか。

 「経済はすべてリンクしているので、完全無欠なデカップリングが成り立つわけではない。経済は世界経済も日本経済もそうだが、需要項目をみると、日本は6割が個人消費。世界経済でもその割合に応じてその影響が異なってくる。米国が圧倒的に大きなウエートを占めていた時の経済と、今のように中国やインドのウエートが高まった経済を比べると、昔に比べると中国やインドのそれ自体の景気の拡大の影響が、従来より大きなウエートを占めている。しかし、完全なデカップリングは成り立たないと思う。したがってデカップリングについて事実かどうか、なかなか答えが難しいと思う」

  ──今の政策金利が0.5%である現状で、利下げの効果について期待できると考えているか。

 「金融政策をみる場合、短期金利だけに注目して議論をしがちだが、米国金利をみると昨年9月からFFレートが3%下がったが、一方で信用スプレッドは大きく拡大した。そういう意味で、放っておくと実質的な金融タイト化が進んでいく、それを何とか防ごうとする、それがどちらが強いかということ。米国では短期金利だけでみると、ものすごく金融緩和の力を発揮しているか、実現されているかというと必ずしも判然としない。したがって金融緩和の力を評価する時に、短期金利の力だけで評価しては必ずしも適切ではない」

 「金融緩和全体、あるいは信用スプレッドを加味した民間の金利がどうなるか、その辺のアベイラビリティがどうなるか、それを総合的に判断しなければならない。短期金利だけで機械的に評価するのは適切でない。同時に、短期金利がどういうレベルにあるかも含めて1つのベンチマークとしてはみてるが、実質短期金利と成長率の関係だけから足元の政策をみるアプローチを私は取っているわけではない」
(ロイター日本語ニュース 中川泉記者)


●「クリントン氏が米景気対策第2弾を提唱、300億ドルの緊急住宅基金など」

2008年 3月 20 日 アンダーソン(米インディアナ州 )、 ロイター

 米民主党の大統領候補指名を目指すヒラリー・クリントン上院議員は20日、景気刺激策の第2弾として、300億ドル規模の緊急住宅基金の創設などを訴えた。

 クリントン陣営が発表した声明によると、クリントン氏は「現在の住宅・信用危機は米国経済にとって最大の脅威」とし、緊急基金によって州当局が差し押さえられた不動産を買い取り、モーゲージの借り換えを支援するスキームを提唱。また、州の住宅当局に最大で100億ドルを拠出し、不良債権化したモーゲージの借り換えを支援する案も盛り込んだ。

 クリントン陣営は、議会を通過し、ブッシュ大統領が署名した1680億ドルの景気刺激策について、住宅問題を解決するには十分でないと批判。「住宅価格の下落や過去最悪水準の差し押さえによって、数百万の家族が打撃を受けるばかりか、全米の地域社会が深刻なリセッションに陥りかねない」としている。

●「「暗黒の月曜日」以来の外国人売り越し額、歴代2位-3月2週日本株」

2008年3月21日 ブルームバーグ

 東京証券取引所が21日発表した3月第2週(10-14日)の投資主体別売買動向(東証・大証・名証3市場の1・2部合計)によると、外国人は9226億円売り越した。売り越しは4週連続で、週間ベースでは1987年10月3週 (売り越し額1兆1220億円) のブラックマンデー時以来歴代2位の大きさとなった。円高など悪材料が重なったことが要因。

 同週末の日経平均株価は前週比541円(4.2%)安の1万2241円となった。米国の雇用減少や円高進行などで景気や企業業績に対する警戒感が一段と台頭。日経平均は一時05年8月以来の安値を記録した。

 水戸証券の松尾十作投資情報部長は、外国人の売り越しについて「為替の円高、金融不安、日銀総裁問題、日銀短観での景況感悪化懸念などが重なったことが大きい」と指摘する。なお、今週についてはドル安・円高の一服や商品相場の下落など外部環境に先週とは変化が出てきたことで、「売りは一巡した可能性が高い」(同氏)と予測していた。

 このほか、売り越し主体では生・損保(59億円)など。国内勢はほぼ買い越す中、外国人の記録的な一手売りが相場を崩したことが確認された。


 半面、買い越しでは証券会社の自己売買部門(4981億円)が2週ぶりに買い越したほか、信託銀行(2207億円)と個人(1258億円)はそれぞれ2週連続で買い越した。事業法人(6144億円)も買い越し基調が継続。信託銀行の買いについては、「日経平均1万2500円水準を下抜けたことで、買い下がり姿勢を強めたため」(松尾氏)という。

●「米国債(20日):3カ月物TB利回り、一時54年以来最低の0.387%」
Treasury 3-Month Bill Rates Drop to Lowest Since At Least 1954

2008年3月20日 ブルームバーグ

 米国債市場では3カ月物財務省短期証券(TB)利回りが低下。少なくとも1954年以来の低水準に落ち込んだ。米金融会社CITグループ が短期金融市場での資金調達ができなくなり、緊急の信用枠を利用したことから投資家は国債に買いを入れた。

 投資家による信用市場への信頼感が損なわれ、TBの利回りは一時、0.387%まで下げた。バンガード・グループ(ペンシルベニア州バレーフォージ)で 450億ドルの米国債運用を手がけるデービッド・グロック氏は、「市場は正気ではない。市場を占めている最大の要素は質への逃避だ」と述べた。

 キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後2時57 分現在、3カ月TB利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上げて0.57%。

 米証券業金融市場協会(SIFMA)の勧告により、20日は2時までの短縮取引だった。21日の米英市場は復活祭を控えたグッドフライデー(聖金曜日)で休場となる。

 2007年初めからこれまでサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンや債務担保証券(CDO)に絡む損失や評価損として世界の金融機関が計上した金額は総額1950億ドルに上る。

CITグループの緊急の信用枠利用
 米金融会社CITグループは緊急の信用枠であるバックアップラインから資金を引き出したことを明らかにし、資産売却の可能性を示した。資本市場での長引く混乱や格付け会社による格下げが緊急のバックアップライン利用につながった。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は16日に公定歩合の引き下げを発表したほか、投資銀行への貸し出し窓口を新設、さらに金融市場の混乱を鎮めるため、米ベアー・スターンズの身売りを支援した。

 FRBの公開市場操作(オペ)を担当するニューヨーク連銀は2000億ドルのターム物米国債貸与ファシリティー(TSLF)プログラムとして27日に実施する第一回の入札規模を750億ドルとすると発表。同連銀は担保の対象を政府機関の担保付住宅ローン証券や商業不動産ローンに絡む証券などに拡大した。

イールドカーブのフラット化
 2年債と10年債の利回り格差は4日連続で縮小した。イールドカーブのフラット化は投資家がインフレ鈍化を見込み長期債を選好していることを示唆する。 2年債利回りは12bp上げて1.60%。

 2年債価格(表面利率2%、2010年2月償還)は8/32下げて100 24/32。10年債利回りは1bp未満上げて3.34%。2年債と10年債の利回り格差は174bpに縮小した。 金利先物市場動向によると、4月30日のFOMC会合でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標がさらに0.5ポイント引き下げられる確率は52%となっている。前日は82%だった。


●(副島隆彦注記。 以下の記事の次の2箇所が重要。
「 ある邦銀関係者も「原油や貴金属の大幅な下落は、単なる益出し売りの結果ではなく、ポジションクローズによるキャッシュ化の表れのようだ。信用収縮が新たな段階に入った兆候だ」と指摘する。」 「 先の外資系証券の関係者は「ヘッジファンドのポジションクローズの先に何があるのか、真剣に考えたくないような暗い展開が、このままでは待っていることになる」と警戒感を強めている。」

(副島隆彦注記。 この記事のように、今は、日本もアメリカでも、国債買い に資金が逃げ込んでいる。この先のことを考えると、資金を吹き飛ばすことが怖くて、どうしたらいいかわからなくて、ものすごく恐ろしいので、とにかく、国債に逃げ込もう、という感じだ。  これが、やがて、国債も暴落(金利の大上昇)の結果となるだろう。

 アメリカ本国のヘッジファンドのポジション・クローズで、現金となった資金が、国債を買っているのだ。これらは、信用収縮(クレジットクランチ)を加速させる。 大きくは、膨大に作られた、過剰流動性(余分のマネー)を消し去る市場の正常化の動きである。天罰が下(くだ)るべき人々にくだるだろう。
商品(コモディティ、鉱物資源=工業品 、穀物・農産物)市場から、資金が逃げ出して、それで、株式を押し上げやふりをして、本当は国債市場に移っているだけの動きだが、この「国債への逃げ込み(苦しいときの、国家=政府頼み)は、どうせ、うまくはゆかない。最後は、国債(国家の借金証書)が、そのボロボロの実情を反映して、大きく崩れるのだ。そのとき、金利が暴騰する。 それが怖いのだ。そのときが、大恐慌突入だ。もちろん、そのわきで、株も、為替(ドル円)も、おなじように大暴落をさらに続けるのは当然のことだ。副島隆彦注記おわり )

●「米欧市場でヘッジファンドの現金化加速、信用収縮は新段階に」

2008年3月21日 東京、 ロイター

 前日米株式市場の上昇を好感して3月21日の東京株式市場は上昇したが、NY市場の動向に詳しい市場参加者によると、米株の上昇は一部のヘッジファンドなどがポジションを閉鎖するためにやむなく買い戻しを余儀なくされている部分も多い。

 原油や貴金属の下落とあいまって、ヘッジファンドなどリスクマネーを取り扱っている参加者のポジション閉鎖とキャッシュ化(現金化)の流れが加速しており、世界的な信用収縮は新たなステージに突入した可能性が高い。

 <米株上昇で楽観的見方が広がる東京市場>
 21日の株式市場では、日経平均が続伸。20日の米国株式市場は、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ) と 連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック) の自己資本規制が緩和について19日に公表されたことを好感し、ダウ平均が大きく反発した流れを受け、金融、不動産などを中心に買いが先行した。

「朝方は一部のスイス系証券からの売りが目立っていたものの、小口の買い戻しが続き、底堅さを持続している。期末特有の株高期待が高まりつつある」(準大手証券エクイティ部)という。

 三菱UFJ証券・シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏は 「米国市場では、金融システム不安の後退で金融株が上昇し、投機的な原油、金などの商品市況が下落する理想的な形になった。恐れられていたスタグフレーションが回避されれば、目先の株価は日米とも堅調な動きになりそうだ」 と話している。

 このように東京市場では、米株や米市場への楽観的な見方が多く、株価を支えているが、市場の一部には、楽観は禁物との声も出ている。カブドットコム証券・マーケットアナリストの山田勉氏は 「為替もまだ戻りが弱く、株式を積極的に買う材料にも乏しい。足元はテクニカル要因での上昇の域を出ない。投資銀行の決算は一巡したが、4月からは商業銀行の決算が本格化する。

 サブプライムローン絡みで、特に欧州金融機関の損失額が膨らむ可能性もある」と警戒。さらに足元の動きは「これまでのドル売り・株売り・商品買い・債券買いのポジションだったヘッジファンドのアンワインドが始まった可能性が高い」とみている。

<米株上昇の裏で起きているポジション閉鎖の動き>
 さらに悲観的な見方もマーケットの一部にはくすぶっている。ある外資系証券の関係者は「米株の戻しは、一部の参加者がショートポジションを閉じるために買い戻しているに過ぎない。ファニーメイなどの自己資本比率規制の緩和は、ある種の後付け材料にされた面がある」 と指摘する。

 その上で「米金融機関に余裕がなくなって、その前段としてヘッジファンドへの融資が絞られ、ポジションを閉じている米系ヘッジファンドが目立っている。きょうの東京株式市場の上げは、つかの間の休息のようにみえる」と話す。

 ある邦銀関係者も「原油や貴金属の大幅な下落は、単なる益出し売りの結果ではなく、ポジション・クローズによるキャッシュ化の表れのようだ。信用収縮が新たな段階に入った 兆候だ」と指摘する。実際に米原油先物は20日に2週間ぶりとなる1バレル=100ドル割れとなり、金現物は今週に入って1オンス=1000ドルを超えて史上最高値を更新したが、一転して21日には910ドル台で推移する下落となっている。

 また、マーケットの病巣の根源である金融システム不安の抜本的な解決に必要だとの声が高まっている公的資金の注入に対し、米当局から積極的な見解はいまだに出ず、マーケットからは「金融機関の損失額が少ないという理由で株価が上昇しているうちは底入れ感が出にくい。

 確かにベアー・スターンズ の身売りは象徴的ではあったが、すべての大手金融機関がうみを出し切ったという印象を与えなければ、投資家の疑心暗鬼は消えない」(欧州系証券幹部)との見方が出ている。

 <円金利市場でも影を潜める裁定取引>
 円債市場でも、大きなゆがみを伴った不自然な動きが、静かに進行している。国債先物は前引けにかけてまとまった売りが出て、中心限月6月限は前営業日比41銭安の140円83銭のほぼ安値引けとなった。午後も140円80銭台での取引が続いた。

 しかし、現物の長期ゾーンにはあまり売りが出ず、10年最長期国債利回りは1.245%─1.285%での推移。一方、30年国債利回りは大幅に買われ、前営業日引け値比で0.065%低下の2.345%まで低下した。先の邦銀関係者は 「現物と先物や、その他の年限同士の裁定取引が全くワークしていない。円金利市場でも、ヘッジファンド勢の動きに振り回され、ファンダメンタルズとは全く違った値動きになっている」と指摘する。

 先の外資系証券の関係者は「ヘッジファンドのポジションクローズの先に何があるのか、真剣に考えたくないような暗い展開が、このままでは待っていることになる」と警戒感を強めている。

●「バーナンキFRB議長の手腕評価か-商品相場反落とドル・米株反発 」
Commodities Drop, Rally in Dollar, Stocks Vindicate Bernanke

2008年3月21日 ブルームバーグ

 商品相場の大幅な反落は、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米金融機関に対する信頼感を復活させたことを示唆しているのかもしれない。

 FRBは16日、米銀JPモルガン・チェースによる米5位の証券会社ベアー・スターンズの買収を支援する融資とプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)に公定歩合での借り入れを認める措置を発表。「最後の貸し手」としての役割を一段と高めた。こうした金融当局の一連の動きを受け、米株式市場の指標、S&P500種株価指数は今週、週間ベースで1カ月ぶりの大幅上昇となり、ドルは1973年以来の安値から反発した。

 インフレリスク回避を狙い金や原油、トウモロコシを買い入れていた投資家は、手元の現金を増やし、株式に投資するため、商品を売却。19種類の商品で構成するロイター・ジェフリーズCRB指数は2月29日に過去最高を付けていたが、今週は8.3%安と、少なくとも1956年以来の大幅な下落率となった。

 エクイデックス・ブローカレージ・グループ(ニュージャージー州クロスター)のリテール取引ディレクター、ロン・グッディス氏は、「バーナンキ議長は商品バブルに対する配慮を示した。商品相場は現実に戻りつつある。株式市場も大丈夫な様子で、バーナンキ議長への見方は少し改善した」と述べた。

 18日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の引き下げ幅が0.75ポイントとなった。投資家は少なくとも1ポイントの利下げがあるのではないかと見込んでいた。利下げ幅が市場予想より小さかったことで、FRBがインフレへの対応を軽視しているとの懸念は後退した。

 FAFアドバイザーズ(ミネアポリス)のチーフエコノミストで、連邦準備制度で調査を担当したキース・ヘンバー氏は、FRBが「明らかに一定の安定性を確保した」と指摘した上で、「かなりうまい対策の組み合わせで、それが機能しているようだと言わざるを得ない」と話した。

貸し渋り
 FRBは20日、16日発表した措置に基づく大手証券会社への貸し出し残高(19日現在)が288億ドル(約2兆8700億円)に達したと発表。銀行以外へのこうした融資は1930年代以来で初めてとなる。

 誰もがバーナンキ議長が、金融機関の流れを変えたと考えているわけではない。FRB副議長を務めたプリンストン大学のアラン・ブラインダー教授は、バーナンキ議長が1929年のニューヨーク株暴落に端を発した大恐慌時代以来の「異例の措置を取った」と指摘。バーナンキ議長は「今回のパニックを抑えるため超過勤務をしているが、これまでのところ抑制されていない」という。

 プロスペクター・アセット・マネジメント(イリノイ州エバンストン)のレオナード・カプラン社長は、FRBに相場のコントロールは可能かもしれないが、「銀行の貸し渋りが続いている」と語った。


●「FFレートが下がっても、住宅ローン金利が低下せず」

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)2008年3月19日

 個人投資家は米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げの恩恵をあまり享受していない。FOMCは2007年9月以降、3月18日まで6回に渡る利下げに踏み切った。18日開催のFOMCまでにフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標が2%以上低下した。

 にも関わらず、米30年固定住宅ローン金利は7日週に5ヶ月ぶりの水準へ上昇。18日開催のFOMC直前、100bp利下げ期待が高まった 14日週に5.75%へ低下するに止まっている。住宅ローン金利が低下しない背景としては、投資家が住宅ローン担保証券(MBS)を購入する投資家が、米10年債利回りに対し金利にプレミアムを求めているため、利下げが反映されにくい事情が挙げられる。

 低所得者向け住宅ローン(サブプライム)問題が浮上するまでは発生していなかったことであり、 通常ならFF金利誘導目標の引き下げを受け住宅ローン金利も5%近くまで急低下してもおかしくはなかった。利下げが住宅ローンに反映されなければより低い金利への借換もままならず、個人投資家には利下げ効果は波及しきれていないようだ

● (以下のことは、副島隆彦が10年前から書いてきたことだ。副島隆彦注記)

2008年3月16日

商品バスケット構想
 アメリカの国際金融資本はアメリカの経済の崩壊及び現行の国際通貨体制の破局を演出して商品バスケット構想による新国際通貨体制の構築を目論んでいる。その目的は、アメリカが世界を集中管理するために累積赤字をなくして世界の基軸通貨としてのドルを揺るぎ無いものにしなければならないことである。

 そこで考え出されたのが商品バスケット構想というドル安定化策というわけです。それは、ゴ-ルド、オイル、農産物の3つの基本商品をアメリカが管理できるという前提のもとに通貨のドルとこの3つの基本商品をクロスさせることによって、ドルの優位性を回復しようとするものです。

 金本位制にかわる新たな兌換制度と考えてください。 この場合、単品では過去の金本位制と同じ形になるからまずい。とすれば3つの商品を含めたインデックスをつくり、そこにドルや他の通貨をリンクしていこうというもの。

 国際商品市況の最も基本である農産物、エネルギー元としてのオイル、最後のヘッジとしてのゴールド、この3つがすべて含まれたものにドルが 兌換できるとなればドルが一番良いということになり世界中からアメリカに投資が殺到しアメリカが再び繁栄する。

● 「「金融収縮は未知の水域」・ルービン、サマーズ元米財務長官」

日経新聞 2008年3月15日

 米クリントン政権時代に財務長官を務めたシティグループのロバート・ルービン経営執行委員長とハーバード大学のローレンス・サマーズ教授は14日、ワシントン市内で講演し「金融収縮は未知の水域に入った」と危機感を表明し、政府支援の拡大を訴えた。両氏とも公的資金活用の必要性を示唆しており、両氏の提言が民主党や同党大統領候補の政策に取り入れられる可能性がある。

 ルービン氏は「あくまでも個人の見解」と断ったうえで「低所得者層が家を失わないためにも(住宅ローン分野に)公的資金を使うべきか検討する段階に入った」と言明した。

 サマーズ氏は「米国が景気後退局面に入ったのは明らか」としたうえで、「(金融機関などの)市場仲介者が望もうと望まなくても、私的、公的な方法を問わず、自己資本を緊急に増強する必要が出てきた」と発言。金融機関を支援するべく政府の資金を利用する案を示唆した。(ニューヨーク=松浦肇、15日)

● (LTCM の ジョン・メリウェザーが、また大損(10億ドル=1000億円 のうちの24%? それでは済むまい)をしたようだ。馬鹿なやつだ。副島隆彦注記)

“John Meriwether's Bond Fund Loses 24% on Credit-Market Plunge”
By Katherine Burton and Saijel Kishan

March 19,2008 Bloomberg

  JWM Partners LLC, the investment firm run by ex-Long-Term Capital Management LP chief John Meriwether, lost 24 percent in its $1 billion fixed-income hedge fund this year through March 14, according to two people with knowledge of the matter.

 Meriwether's Relative Value Opportunity fund was hurt as bond managers such as Peloton Partners LLP and Carlyle Capital Corp. were forced to sell securities to meet margin calls, said the investors, who asked not to be identified because JWM doesn't publicly disclose returns. The Greenwich, Connecticut- based firm, which is selling holdings to reduce borrowings and lower risk, didn't have any loans called, they said.

 ``There's been a lot of forced de-leveraging,'' said Benjamin Sarly, head of marketing at Sanno Point Capital Management in New York, a relative-value credit fund.
Meriwether declined to comment.

 JWM Partners opened a year after Russia's 1998 default resulted in almost $4 billion of losses for Greenwich, Connecticut-based Long-Term Capital. The Federal Reserve orchestrated a bailout by its 14 lenders.  Relative-value funds try to profit from price changes between related bonds. They rarely make outright bets that a specific bond will rise or fall. Investors in these funds expect to make about 1 percent a month.

 To contact the reporters on this story: Katherine Burton in New York at kburton@bloomberg.net; Saijel Kishan in London at skishan@bloomberg.net  March 19, 2008

● JPMorgan Chase Warns Of Systemic Margin Call, 30% Home Price Decline

POSTED: Tuesday, March 11, 2008
FROM BLOG: Boom2Bust.com - “The Most Hated Blog On Wall Street” Boom2Bust.com is an independent financial blog that seeks to warn and educate its readers about the coming U.S. financial crash.

 On Saturday, Reuters reported that Wall Street banks may be subject to a “systemic margin call” that might deplete the financial institutions of $325 billion of capital, as subprime mortgages continue to deteriorate, JPMorgan Chase & Co. said in a report late Friday. After Thornburg Mortgage Inc. received a default notice after the lender missed a $28 million margin call, JPMorgan Chase said more default notices and margin calls were likely. The Carlyle Group’s mortgage fund also failed to meet $37 million in margin calls last week.

 According to the report by JPMorgan Chase & Co.:

A systemic credit crunch is underway, driven primarily by bank writedowns for subprime mortgages. We would characterize this situation as a systemic margin call.

 JPMorgan Chase, the third largest banking institution in the United States, said the credit crisis that began about a year ago will likely intensify after weak U.S.employment numbers were released Friday. The global financial services firm added that the biggest monthly job decline in nearly five years “points to an economy in recession.”

 In addition, JPMorgan Chase revised their subprime-related home price forecast. Now, the New York City-based bank anticipates subprime-related home prices will fall 30%, instead of 25% as previously forecast. These prices have already declined 14% since the middle of 2006, JPMorgan said.

Source:“Banks face ‘systemic margin call,’ $325 billion hit: JPM”Walden Siew
Reuters, March 8, 2008

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

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「85」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(20) 2008年5月は、不思議なぐらいにW.バフッェトとグリーンスパン元FRB議長の発言が世界金融記事として載った。 2008.9.13
副島隆彦です。 2008年5月ごろは、今考えても不思議なぐらいにウォーレン・バッフェト とアラン・グリーンスパンの講演会先での発言やインタビュー発言が、世界中の金融記事となって連日のように載った。あとあとの参照の為に、それらをまとめてここに載せておく。  副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)


●「投資家バフェット氏:ウォール街や規制当局に苦言-一段の痛みを予想」
Buffett Castigates Wall Street, Bankers, Regulators on Blund

2008年5月5日 ブルームバーグ

 投資家ウォーレン・バフェット氏は、金融システムを制御不可状態に陥れ、証券大手ベアー・スターンズからの資金流出を引き起こし、他の銀行をも破たんのリスクさらしたとして、ウォール街の投資銀行と住宅金融業者、規制当局に苦言を呈した。

 バフェット氏は4日の記者会見で、「ウォール街はもうけを追求するばかりで結果を考えない」と指摘した。また、「銀行は、相当期間にわたり真実を伏せたままで事業を続ける余地がある」との見解を示した。

 バフェット氏と投資パートナーのチャーリー・マンガー氏はオマハ(ネブラスカ州)で2日にわたり開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会で、格付け会社と金融保証会社(モノライン)、政策当局者も批判した。バフェット氏はまた、悪影響がさらに続くと予想するとともに、ドル安のなかで海外での企業買収を示唆した。

 バフェット氏は「一段の痛みがあるだろう」と語った。米経済はリセッション(景気後退)入りしているとの見解をあらためて示した上で、3月に米連邦準備制度理事会(FRB)が推進したJPモルガン・チェースによるベアー・スターンズ買収は「損失が終わったことを全く意味しない」との認識を示した。

 バークシャーの副会長のマンガー氏は「規制当局も会計事務所も、われわれの信頼を裏切った」と述べた。 バフェット氏は株主総会開始前のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「ベアー・スターンズが(3月17日に)破たんしていれば、翌日には他の銀行が倒れていたことだろう」と語った。救済を主導することを当局者に打診されたが、バークシャーには状況を分析する資源も時間もなかったことからこれを拒否したことも明らかにした。

 同氏は格付け会社が、地方債保証だけでは達成できないような増益率をモノラインに求めることによって金融システムをゆがめたと指摘。モノラインは「ウォール街と格付け会社が求める増益率を達成するために」、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連などリスクの高い証券の保証に進出し、そのような証券の市場を全世界に拡大させたと批判した。

 またバフェット氏は5月4日、バークシャーの子会社による英国での「中規模」の企業買収が「恐らく近い」と発言。英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)が売却する保険部門について検討する考えも示した。

 さらに、アジア通貨がドルに対して上昇すると予想し、同地域での買収を検討する方針も示した。ただ、コスト高が日本企業の買収を妨げるだろうと述べた。また、中国への批判の高まりを予想するとともに「中国について被害妄想的になることは大間違いだ」と指摘した。


●「資産家バフェット氏:一部モノラインは「AAA」格付けに値せず 」
Buffett Says Bond Insurers Don't Deserve AAA Rating

2008年5月4日 ブルームバーグ

 米保険・投資会社バークシャー・ハサウェイを率いる資産家ウォーレン・バフェット氏は4日、一部の金融保証会社(モノライン)は最高位の信用格付け「AAA」に値しないとの認識を示した。バークシャーはモノライン事業に進出、最大手の米MBIAやアムバック・ファイナンシャル・グループと競合する立場となった。

 バフェット氏はこの日の記者会見で、14%金利で資金を借りたり、株価が95%下落しているようなモノライン会社に対し、格付け会社は最高位の信用格付けを付与するべきではないと主張した。バークシャーは前日、年次株主総会を開催した。

 バフェット氏は 「株価が1年間で96ドルから4ドルに下落した企業で、AAA格付けを維持したというようなケースがこれまであっただろうか。私はみたことがない」と語った。

 バークシャーは、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスを傘下に持つ米ムーディーズの株式約2割を保有している。そのためムーディーズがバークシャーに対し好意的な判断、あるいは競合他社に対し逆の姿勢をとることで、格付けがバークシャーに有利に働く可能性もある。これに対し、バフェット氏は3日、ムーディーズに対し影響力を行使しようとしたことは1度もないと言明した。

 MBIAの広報担当者、ウィラード・ヒル氏は電子メールで「格付け会社は既に評価・判断を下しており、ほかの誰よりも格付け評価を下す上で良い位置にあることは明確だ」と述べた。アムバックとムーティーズ、同業の米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)からはコメントを得られなかった。

●「グリーンスパン氏:米国は「色の薄いリセッション」、年内継続も」
Greenspan Sees U.S. in `Pale Recession,' May Last Through Year

2008年5月5日 ブルームバーグ

 グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、5日までに、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューに答え、米国は「極めて色の薄いリセッション(景気後退)」の状態にあり、活気のない状態は年内続く可能性があるとの認識を示した。

 グリーンスパン氏は米経済がゼロ成長程度のペースに「後退しつつあるのは明確だ」と述べるとともに、米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)市場の混乱に端を発した信用危機について終えんを宣言するのは時期尚早との見方を明らかにした。

 同氏は金融政策については言及せず、米経済はよりインフレが加速しやすい環境に戻りつつあるとの認識を示した。海外での賃上げに伴い輸入物価が上がり、既に食品やエネルギーなど商品価格の上昇で高まっている上昇圧力がさらに増すことになる。

 バーナンキFRB議長はニューヨーク時間5日午後8時半(日本時間6日午前9時半)に住宅ローン市場について講演する予定になっている。

 グリーンスパン氏は米経済を、手持ち資金が潤沢な企業と損失拡大の金融機関との綱引き状態にあると評した。同氏は「これは非常にまれな状況」であり、「どう見ても双方とも勝ち目がない状態だ」と語った。グリーンスパン氏は、米経済は年内低迷が続くというのが望み得る最善であり、また最も可能性が高く、「間違いなく、一番慈悲深いシナリオだろう」と語った。

 同氏は「米国はリセッション入りしている」が、「現時点ではひどく色の薄いリセッションで、雇用減少は予想されたほど大幅とはなっていない」と指摘した。グリーンスパン氏は、景気回復が始まるのは、住宅価格が安定の兆しを見せ、金融機関から住宅ローン関連の評価損の重圧が取り除かれるようになってからだとの見方を示した。


●「バフェット・ソロス両氏がデリバティブ取引急増に警鐘 」

2008年5月5日(月)

 バークシャー・ハザウェイの年次株主総会で「ドル安は今後も続く」との見方を示した米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が「最近ヘッジファンドの雄、ジョージ・ソロス氏らと伴にデリバティブ市場の急拡大に伴うリスク増大に懸念を示しつつある」(在米金融筋)という。

  事実、デリバティブ市場が拡大するにつれて市場参加者はベアー・スターンズ証券のような取引相手の経営不安を一段と懸念するようになっている。BIS(国際決済銀行)によると先物取引市場での金融先物取引やオプションの名目契約残高は05年12月末期日物が58兆ドルから64%増え08年9月末期日物残高は95兆ドルに急増している。

 先物の名目契約残高とは現物取引で言う「取引高」を指すが店頭市場での金融先物、スワップ、オプション、その他のデリバティブ取引の名目契約残高は05年12月末の298兆ドルから07年6月末には516兆ドルと74%の急増となっている。また、これら先物取引に伴う証拠金の残高をBISは11兆ドルと推定する。直近の数字は公表されていないがこの金額より多いことは間違いない。

 米通貨監督局の推計によると、第3四半期に決済期日がくる米商業銀行のデリバティブ取引名目契約残高は172兆ドル。しかし、これらの契約残高のうち、ネットのクレジット契約残高は2520億ドルに過ぎない。 「ソロス氏はハイリスク商品であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を世界の金融市場の頭上に吊るされた“デモクレスの剣”」(在米金融筋)と語る。

 なお、CDSは金利支払の遅延に対する一種の保険であり、CDS市場はすでに45兆ドルと政府債発行市場の約5倍の規模に膨らんでいる。なおIMF によると、CDSは銀行が最大の利用者で、ヘッジファンドが全体の3分の1を占めている。


● 「米経済はリセッション、銀行は今後も住宅問題により圧迫=バフェット氏」

2008年 5月 5日  オマハ(米ネブラスカ州) ロイター

 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏は4日、米経済はリセッション(景気後退)にあるとの見方を示した。4日の記者会見で語った。 前日(3日)には、同氏率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイ の年次株主総会が当地で開催され、過去最多の3万1000人が参加した。

 米商務省が4月30日に発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比プラス0.6%となったが、これについてバフェット氏は、米国の人口も同時に増加しており、実質のGDP伸び率はこれより低いと指摘。また、この統計が米経済成長の収縮を示していないとしても、人々そのように感じている、と述べた。

 同氏は「米経済はわたしの定義するリセッションの状況にある」とし「わたしは、個人が3カ月、6カ月あるいは8カ月前に比べて順調にやっていない状況、企業についても同様のことがいえる状況をリセッションと定義する」と述べた。また同氏は、住宅問題が銀行の決算を「今後数年間にわたり」圧迫すると指摘。銀行が抱える巨額の損失と評価損の計上は「決して」終わっていないとし、「一段の痛みを経験することは間違いない」と語った。

●「中国に景気過熱リスク、今年の成長率は8%上回る公算大-李財政次官 」
 China's Economy May Overheat, Vice Minister Li Says

2008年5月5日 ブルームバーグ

 中国の李勇・財政次官は5日、同国には景気過熱リスクがあるとの認識を示した。 マドリードで開かれたアジア開発銀行(ADB)総会で李次官は、食品価格の上昇が「主要な懸念」で、投資も依然として急速に伸びていると語った。

 輸出増に伴い中国に流れ込む資金を背景に、同国はインフレ加速懸念にさらされている。李次官は、中国当局は流入資金について「不胎化」(金融調節を通じて市場への影響を防ぐ)努力を強化していく方針を示した。

 3月の中国のインフレ率は8.3%と、2月の8.7%からは低下したものの、依然として高水準にある。同次官は、中国はインフレ抑制に向け「多くの政策」を講じていく考えだが、世界的な物価上昇に対してはほとんど役に立たないだろうと指摘。また、資金の流入を抑制するために資本規制の強化を図る意向のないことも明らかにした。 今年の成長率については、政府目標の8%を上回る可能性が高いとの見方を示した。

●「通貨融通800億ドルで合意・ASEANプラス3財務相会合」

日経新聞 2008年5月5日 マドリード、御調昌邦

 日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)は4日にスペインのマドリードで開いた財務相会合で、通貨危機の際に複数の国の間で外貨を融通しあう「通貨スワップ協定」を800億ドル(8兆円強)以上とすることで合意した。2国間で外貨を融通し合う今の仕組みを改めるとともに、融通する資金の規模を現在の実質580億ドルから大幅に拡大する。

 資金の融通枠の8割を日中韓が拠出し、残りをASEANが出すことを決定。資金供給発動条件や経済情勢などの相互監視(サーベイランス)の仕組みも議論した。

●「資産家バフェット氏:ドルは引き続き他通貨に対し下落基調と見込む 」
Buffett Says U.S. Dollar to Remain Weak Versus Other Currencies

2008年5月3日 ブルームバーグ

 米保険・投資会社バークシャー・ハサウェイを率いる資産家ウォーレン・バフェット氏は3日、ドルは他通貨に対し今後も引き続き下落基調が続くとの見方を示した。

 この日ネブラスカ州オマハで開かれた同社の年次株主総会での質疑応答で、バフェット氏(77)は、火星の通貨単位の呼び名はどうでいいが、「本日、自分が火星から10億 『火星ドル』を携えて地球に降り立ち、投資先を考えるとしたら」 、全額をドルに投じることはないだろうと述べた。

 バフェット氏は少なくとも2002年以降、ドル下落を見込んだ投資を行ってきている。同氏は 「米国はドルの下落につながるような政策を取り続けていく」との見方を示した。また同氏はこの日、米国外で大型の企業買収を行う際、為替リスクのヘッジを行う「必要はない」と感じていると説明した。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


「この「第2ぼやき」記事を印刷する」

「84」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(19) 2008年3月の記事をまとめて載せます。 2008.9.10

副島隆彦です。 続けて、2008年3月分の記事のまとめを載せます。 基本的で、重要な情報文の怒涛の公開です。 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

● 「偽造の「丸紅保証書」で投資、米証券が240億円回収不能」

日経新聞 2008年3月29日

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080329AT
1G2805828032008.html

 東京都内の医療コンサルティング会社の関係者らが偽造された大手商社丸紅の保証書を使って投資を募り、米大手証券が出資した約240億円が回収不能となっていることが28日、関係者の話で分かった。丸紅は偽造にかかわったとして男性契約社員2人を今月上旬に解雇し、警視庁に有印私文書偽造容疑で被害届を提出した。同庁は資金の流れなど事実関係の確認を進めている。

 約240億円が回収不能になったのは、米大手証券リーマン・ブラザーズの日本にある関連会社。リーマンは近く詐欺容疑などで取引にかかわった数人を刑事告訴する方針。リーマン同様に投資した別の米大手証券は出資金を回収したが、数十億円規模の回収不能金が発生した投資家もほかに複数いるとみられる。


●「ウォール街金融各社、計3万4,000人削減-ネットバブル崩壊後で最悪 」

2008年3月24日 ブルームバーグ

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=as9nE2e6G_ZU&refer=jp_japan

  住宅ローン関連の損失や評価損に打撃を受けたウォール街の金融各社は、 過去9カ月に計3万4,000人余りの従業員を削減した。2001年のインターネットバブル崩壊以降で最多の削減となっている。 シティグループ、リーマン・ブラザーズ、モルガン・スタンレーなどがこれまでに人員削減を発表。米証券業金融市場協会(SIFMA)によると、ネットバブル崩壊時には同じ期間で3万9,800人が削減され、続く2年間で削減数は9万人に上った。

  昨年のサブプライム(信用力が低い個人向け)住宅ローン危機と、それに続く信用収縮は、世界の大手金融機関に少なくとも2,000億ドル(約20兆円)の評価損および損失を負わせた。 全米5位の証券会社だったベアー・スターンズは、顧客や貸し手に見捨てられて緊急買収に応じざるを得なくなり、米金融市場のパニックの象徴になった。アナリストの間では、金融機関の損失は今後も拡大するとみられている。

 経営幹部クラスの人材紹介会社バタリア・ウィンストン・インターナショナル(BWI)のパートナー、ジョー・ベネット氏は「今回の危機は2001年よりずっと悪く、期間もどれほど続くかわからない」と指摘。人員削減数は「数年で10万人を上回る可能性がある」と述べた。 尚 ゴールドマン・サックスは1月25日に成績の悪い従業員を削減する制度を反映した人員削減だと説明している。

●「米欧市場でヘッジファンドの現金化加速、信用収縮は新段階に」

2008年3月 21日 ロイター

 前日米株式市場の上昇を好感して21日の東京株式市場は上昇したが、NY市場の動向に詳しい市場参加者によると、米株の上昇は一部のヘッジファンドなどがポジションを閉鎖するためにやむなく買い戻しを余儀なくされている部分も多い。

 原油や貴金属の下落とあいまって、ヘッジファンドなどリスクマネーを取り扱っている参加者のポジション閉鎖とキャッシュ化(現金化)の流れが加速しており、世界的な信用収縮は新たなステージに突入した可能性が高い。


●「NY市場 リーマンに信用危機の噂、同社は事実無根と否定」
2008年3月28日(金)

 午前のNY株式市場で、リーマン・ブラザーズ株価が大幅に下落している。 ベアー・スターンズに流動性危機が起こって以来、業界内では同じくらい の位置でもある同社にも信用危機の噂が耐えない。きょう株式オプション市場で同社のプット(売る権利)に大量の商いが成立したことで、市場では再び信用危機の噂が増幅している。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場でも、同社のスプレッドが拡大(クレジットリスク増大)している。

  これについてリーマン・ブラザーズ側は「信用危機の噂は事実無根、短期のショート筋が流布しているのではと疑っている」と否定している。


● 2008年3月28日(金)

欧州でバブルと言えばスペイン

Roof threatens to fall in on Spanish property
ttp://www.ft.com/cms/s/0/8ee25908-fb9e-11dc-8c3e-000077b07658.html

Spain's residential property market is heading for a hard landing, as tightening credit
conditions exacerbate problems of oversupply and years of rampant price inflation.

 不動産市場はハードランディングの様相。 ECBの緊急融資もスペインの機関がかなり利用した。

According to the INE, sales of previously owned homes and apartments suffered the
biggest decrease in January, down more than 35 per cent year-on-year to about 32,400
units. New home sales in January slipped almost 15 per cent from the year-ago period,
to some 29,400, compared with closer to 10 per cent towards the end of last year.

販売数は中古で35%の減少、新築で15%の減少 (YTY)

The economy, and in particular its dependence on a construction sector that is rapidly
decelerating, became the central theme of the election and poses the biggest challenge
to the government of Jos? Luis Rodr?guez Zapatero, prime minister.

建設業、住宅産業 はスペインでも厳しい。


● 「デモ隊が米ベアーS本社に侵入-JPモルガンCEOに面会求め騒ぐ」

Protesters Enter Bear Stearns Lobby, Demand Meeting With Dimon

2008年3月26日 ブルームバーグ

 米証券大手ベアー・スターンズの米銀JPモルガン・チェースへの身売りで米政府に抗議するデモ隊が26日、ニューヨークのベアー・スターンズ本社のロビーに侵入するという騒ぎがあった。

 人権団体ネイバーフッド・アシスタンス・コーポレーション・オブ・アメリカ(NACA)のデモ参加者約200人がビル後方の出入り口から侵入。JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)との面会を要求して騒いだ。参加者はその後、約30分で同ビルから引き揚げたという。

 NACAのブルース・マークスCEOは同日インタビューに応じ、ベアー・スターンズの身売りについて「これは納税者による救済だ」と指摘。「住宅ローン危機の原因を作り出した人に解決させるべきだ」と強調した。JPモルガンの広報担当、ジョゼフ・エバンジェリスティ氏はデモとNACAの主張に関するコメントを控えた。


●「3月26日「サブプライム損失120兆円の可能性も、G・サックス試算」

2008年3月26日 読売新聞 ニューヨーク、山本正実

 米大手証券ゴールドマン・サックスは、サブプライムローン問題を背景とした金融市場の混乱で、世界の金融機関や投資ファンドなどの損失が1兆2000億ドル(約120兆円)に達する可能性があるとの報告をまとめた。

 このうち、米国分の損失は、約4割に相当する約4600億ドルにのぼるという。米メディアが25日、一斉に報じた。国際通貨基金(IMF)は、世界全体の損失が約8000億ドルになるとの試算を発表している。今回の推計はこれを大きく上回っており、サブプライム関連の損失拡大がさらに続くとの見方が広がりそうだ。

 ゴールドマンは報告で、「評価損を出すなどした金融機関が、自己資本比率を維持するため融資を控え、信用収縮が一段と進む」とも指摘している。


●「S&P、FGICと子会社を再度格下げの可能性-資本調達を疑問視 」
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=aXen8InAVL9g&refer=jp_home

2008年3月21日 ブルームバーグ

  米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は21日、 金融保証会社(モノライン)のファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランスと 親会社FGICの格付けを再度引き下げる可能性があることを明らかにした。資本調達の能力などを疑問視している

 

●「米株式、70年代以来の弱気相場の恐れ-投資家は買いシグナルに無反応」
Buy Signals Abound in U.S. Stocks Shadowed by 1970s Bear Market

2008年3月17日 ブルームバーグ

 投資家が約20年ぶりの強い買いシグナルを無視するなか、米株式相場はこの40年で最も広範囲にわたる弱気相場となる瀬戸際にある。

 構成する10業種すべてが下落し、S&P500種株価指数は昨年10月9日の過去最高値から18%、2000年初め以来で12%それぞれ値下がりしている。今回の下落は、米株式相場にとって過去80年で最悪の時期だった1970年代と 1930年代の下げに似ている。同指数が20%下げた過去6回のうち、唯一、1987 年の株価暴落(ブラックマンデー)だけが非常に幅広い売りを浴びた。

 ファースト・イーグル・グローバル・ファンドのジャンマリー・エベイアール氏は、「これは第2次世界大戦後で最大の金融危機だという意見に賛成だ」とし、「米経済は1-6月(上期)に減速し、その後に好転するとの立場をとる投資家は、恐らく夢を見ているのだろう」と述べた。213億ドル規模の同ファンドは現金と金が約25%を占め、米株式の保有割合を上回っている。

 過去10 年間の年間平均リターン(投資収益率)は15.2%で、これに対しS&P500種株価指数の年率の上昇率は0.1%に満たない。 株価下落で、S&P500種株価指数の構成企業の予想PER(株価収益率)は約18年ぶりの低水準となっており、米10年物国債に対するバリュエーション(株価評価)は少なくとも過去20年で最低。大恐慌以来で最悪の住宅不況や住宅ローンに関連した

 2000億ドル(約19兆4500億円)の銀行の損失計上に加え、先週にはニューヨーク連銀と米銀大手JPモルガン・チェースが米証券大手ベアー・スターンズの緊急支援を実施するなか、投資家は従来の買いのシグナルに従った行動はしていない。
弱気相場まで2.3ポイント

 S&P500種株価指数は、弱気相場の目安とされるピークからの20%下落まで約2.3ポイントに迫った。シティグループやカントリーワイド・ファイナンシャルなどの金融関連会社の下げが最もきつい。金融株は昨年10月以来、 34%値下がりしており、下落率は10業種で最大。 先週は0.4%安と3週連続の下落となった。MSCIアジア太平洋指数は2週連続の下落で、2.6%安。ダウ欧州株価指数は1.2%下げた。

 14日の米市場で株安はさらに加速した。住宅ローン債券の引き受けで米2位のベアー・スターンズの資金繰りが「大幅に悪化した」との発表を受け、ニューヨーク連銀と米銀3位のJPモルガン・チェースによる緊急支援が行われたことに反応した。ベアー・スターンズは同日、時価総額の約半分を失った。

  クレディ・スイス・アセット・マネジメントのボブ・パーカー副会長(ロンドン在勤)は「株価が底入れする前に、一段安の展開があるだろう」との見方を示した。

●「SQを覆うソシエテの影」

日経ヴェリタス 岩切清司 2008年3月11日

 2008年3月11日 の東京株式市場で、日経平均株価は3日ぶりに反発。しかし、売り方の買い戻しとの見方が大勢で戻りは鈍い。円高・原材料高という外部環境の悪化に加え、14日の株価指数先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出を控えていることも手控え要因。

 ソシエテ・ジェネラル証券が日経平均先物3月物の買い建玉を3万枚超も保有しており、その動向に市場は身構えざるを得ないためだ。デリバティブ市場の主導で日経平均が1万2000円を割り込む場面が出るとの指摘もある。

 「今回のSQで不気味な影を落としているのがソシエテのポジション」(岡三証券の森本敏喜トレーディング・マネジャー)。10日時点では3万6000枚超(想定元本で4500億円、 1枚約1300万円)で、2番手の買い建玉と比べて3倍超と突出ぶりである。

●「スイス・フラン:対ドルで上昇、初の等価突破-リスク回避の高まりで」

2008年3月14日 ブルームバーグ

 14日の欧州外国為替市場では、スイス・フランがドルに対して上昇し、初めて1ドル=1スイス・フランの等価を超えた。米ベアー・スターンズが緊急資金受け入れを余儀なくされたことを受け、米国がリセッション(景気後退)入りするとの懸念が高まり、スイス・フランで調達した資金で購入した高利回資産を売りスイス・フランを買い戻す動きが強まった。

 スイス・フランは今年、主要16通貨すべてに対して上昇している。株式相場が下落するなか、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン危機を背景に、キャリートレードを巻き戻す動きが広がっている。スイス経済が世界的な信用収縮からの最悪の影響を免れていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)よりもスイス国立銀行(SNB)は利下げに消極的との見方もスイス・フランの支援材料となっている。

 スイス・フランは一時、1ドル=0.9988フランまで上昇した。チューリヒ時間午後3時3分(日本時間午後11時3分)現在は同0.9996フランで取引されている。13日は1ドル=1.0093フランだった。


●「NY株、一時300ドル安・金融不安が再燃、円は99円56銭 」

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080314AT2
M1403L14032008.html

2008年3月14日 ニューヨーク、日経新聞

 14日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、下げ幅は一時300ドルを超えた。正午(日本時間15日午前1時)現在、前日比175ドル03セント安の1万1970ドル71セントで推移している。ベアー・スターンズへの緊急融資の発表を受けて金融不安が再燃した。

 外国為替市場では株価急落を受けてドルが売られ、一時1ドル=99円56銭と1995年10月以来の円高・ドル安水準となった。正午現在、前日比50銭円高・ドル安の100円10―20銭で推移している。対ユーロでも一時1ユーロ=1.5690ドルとユーロ導入以来の最安値を更新した。

 金先物相場は4日続伸。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である4月物は一時1トロイオンス1009ドルちょうどを付け過去最高値を更新した。正午現在、前日比6.6ドル高の1000.4ドル。 (01:28)

● (副島隆彦注記。 以下のブルーンバーグのコラムニストは、日本あやつり班の仲間だ。アメリカが、自民党と財務省官僚たちに指図して、ごり押ししようとしている武藤敏郎を日銀総裁にしようとしている。そうならないで別の人物に差し替える、という案が、今の日本の国会の勢いでは通りそうなので、グローバリストどもは焦っている。日本は、ここでも「ぐちゃぐちゃ戦法」 を取っている。

 この手が属国としては最高である。 偉い。日本の指導者たちは、暗黙の団結をしている。この戦法が、どんどん金融で崩れつつあるアメリカ帝国には一番、効き目がある自民党の実力政治家たちでも、一部の、本当に馬鹿なアメリカへの忠勤ハチ公をやろうとする、愚劣なごろつき政治家たちを除いては密かに武藤敏郎案に反対している。小泉・竹中平蔵クラスのアメリカの忠犬そのものになると、事態の深刻さをよく知っているので、かえって何も言わないようだ。

 以下のW・ペセック という男 が、「日銀を政争の具にするべきではない」というのは、アメリカの焦りだ。日本側の、日銀総裁をなかなか決めようとしない、という この「ぶらかし戦術(戦法)」に、苛立っているのだ。副島隆彦注記終わり)

「 混乱する世界が日本の「愚」に目を向ける-W・ペセック 」

BOJ Is Hamstrung as Stupidity Reigns in Tokyo: William Pesek

2008年3月14日 ブルームバーグ

 世界市場が大きく揺れ動いている現在、世界は日米欧の当局者の動向に注目している。しかし来週、世界は日銀総裁空席という事態を目の当たりにする可能性がある。

19日に任期が切れる福井俊彦日銀総裁の後任人事で、民主党など野党は武藤敏郎副総裁の総裁昇格に反対している。確かに、心を躍らされるという点では武藤副総裁は最高の候補者ではないかもしれないが、総裁となっても全く問題のない人物だ。

 問題なのは、日本のイメージにさらに泥を塗りかねない浅薄な政争なのだ。これまで世界のメディアが日本を取り上げる際、「野党リーダー」という言葉が使われることは少なかった。事実上、一党支配が続いていたからだ。

 しかし、民主党が昨年、参議院第一党となり、今や日本はこれまで経験したことのない機能する二大政党制に足を踏み入れている。だがこれまでのところ、二大政党制は政治的まひ状態を招き、不運な犠牲者となったのが日銀だった。

《 点数稼ぎ 》  民主党は、日銀の独立性という観点から元財務事務次官の武藤氏の総裁就任に反対すると主張しているが、おかしな話だ。日本の政治家は実際には、日銀が独立性を発揮して利上げを進めることなど望んでいない。そんなことは政治家の生命を著しく困難なものにする。

 これはあくまでも政治的な点数稼ぎなのだ。ただ、日銀を点数稼ぎに利用するのは間違っている。福井総裁の任期を若干延長することも考えられるが、浅薄な政治ではこのような措置は難しいだろう。これは日本の危機だ。

 愚かしいことが多過ぎる。自民党にしても、野党が武藤氏に反対することを知っていながら代わりの候補を用意しなかったのはおかしい。野党のリーダーも、武藤氏に代わる総裁候補者を胸の中で決めておかなかったのはおかしい。

《福田政権の問題 》 日本の景気回復は揺るぎ始めており、政府は経済問題に集中する必要がある。しかし、政府はインド洋での海上自衛隊の給油支援や調査捕鯨、中国からの輸入食品の問題などに力を入れてきた。 政府がまず集中すべきなのは、リセッション(景気後退)の回避と、より多くの国民が経済成長の恩恵を享受できるようにすることだ。

《活気ある国内市場へ 》 そのためには、家計の貯蓄縮小と支出拡大を促す必要がある。もちろん米国の消費者のように借り入れによって消費を増やすのではなく、あくまでも活気のある国内市場の創出が求められる。トヨタ自動車は今週、2008年春闘の労使交渉で、1000円の賃上げを回答した。松下電器産業も同額の回答をしている。この金額は私からみればおかしいと思える。内閣府が発表した2月の消費者態度指数が5年ぶりの低水準となったのもむべなるかなと考えざるを得ない。

 日本にとってより大きな問題は、硬直した、変化を嫌うビジネスモデルだ。小泉純一郎元首相は任期中、改革を目指した。しかし小泉氏の首相退任後、改革の勢いは失われ、株の持ち合いや買収防衛策は小泉政権時代よりも増えている。

 民主党が改革を進めることも期待されたが、小沢一郎代表が率いる同党は政治的駆け引きを優先させているように思える。政治家は常にそういうものだ。だからといって、日銀を政争の具にするべきではない。現在の世界の状況はあまりにも不安定であり、日銀総裁が空席で乗り切れるような時期ではない。まさに愚の骨頂だ。(ウィリアム・ペセック)

(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

●(副島隆彦注記。 米財務省が、泣き言を言って、「米国債を売らないでくれ。お願い」と言い出している。)

http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPnTK81256562
0080314?rpc=195

[ロンドン 2008年3月 14日 ロイター] キミット米財務副長官は14日、海外投資家は今後も米国債保有を続ける必要があるとして、ドル安に関する懸念を否定した。

 副長官はCNNテレビで「われわれは、外国政府を含め、米国のあらゆる種類の証券を買っている投資家の意思決定に注目している。 政府を含め、海外投資家は分散投資の一環として今後も米国の証券を保有する必要があるだろう」と述べた。

 現在の世界的な金融危機への対応については、各国政府が責任を共有している、との認識を示した。 副長官はまた、政府系ファンドの動向を注視する必要があるとのこれまでの見解を繰り返し、「これまでのところ、政府系ファンドは世界経済にとって非常に前向きの力となっている。ただ規模と数が拡大しており、警戒が必要だ」と述べた。


●「特集:ドル100円割れ1871年以降の円の歴史」

2008年 3月 13日 東京  ロイター

 ドルが対円で1995年11月以来12年4カ月ぶりに100円を割り込んだ。以下は1871年以降の円の対ドル相場で節目となった主な出来事。

1871年---明治維新で新貨幣条例が施行され、円が日本の通貨となる。金本位制を導入。

1949年---第二次大戦後、ブレトン・ウッズ体制の下で1ドル=360円に設定される。

1959年---上下0.5%の変動幅が設定される。

1963年---変動幅が0.75%に拡大される。

1971年---米国が金本位制を廃止し、固定相場制のブレトン・ウッズ体制が崩壊。世界の通貨が交換比率の再調整を余儀なくされる。

1971年12月---スミソニアン協定により、ドル/円が308円に改定される。変動幅は301.07─314.93円に拡大。

1973年---日本の通貨当局がドル/円の変動相場制への移行を決定。円は263円まで上昇。

1978年---円が対ドルで200円を初めて上回り、177円まで上昇。

1980─1985年---日本の巨額の貿易黒字にもかかわらず円の上昇が止まり反転。米国の金利上昇で日本の投資家によるドル資産への投資が増加。

1985年---7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の前身となるG5(米、英、西独、仏、日)がドル高是正に向けたプラザ合意に調印。円は合意前の240円付近から10月には211円、11月には200円と、短期間に20%上昇。

1986年---ドルがさらに下落。1月には約190円、4月には167円、8月には153円となる。

1987年---2月にG7のうち6カ国が通貨安定と幅広いドル安阻止を目的にしたルーブル合意に調印。ドルの下落は止まらず、153円付近から4月には137円、年末には120.80円に。

1988年1月4日---ドルが東京市場で戦後最安値の120.45円に下落。以降5年以上この水準が最安値となる。日銀は大蔵省(当時)の委託でドル買い/円売り介入を実施。

1993年4月17日---ドルが東京市場で100.40円に下落し、戦後最安値を更新。

1994年6月21日---ドルがニューヨーク市場で100円の大台を割り込み、戦後最安値の99.85円を付ける。終値は100.30円。

1995年4月19日---日米貿易摩擦が大規模なドル売りを誘発し、ドルは戦後最安値の79.75円を付ける。1995年末には103.40円付近に回復。

1998年6月17日---ドルが144円超に急伸したため、米通貨当局が日銀の円買い介入に協調。介入額は8億3300万ドル。その後、円キャリー取引が一因となり、8月にはドルが148円付近に上昇。

1998年---米ヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の破たんをきっかけとした世界の金融市場の動揺を受けてキャリー取引が急速に巻き戻される。10月の1週間でドルは136円付近から111.50円付近まで急落。

1999年---介入の繰り返しにもかかわらず円高が進行。11月には102円に達する。

2001年---9月11日の対米同時多発攻撃事件を受け、日銀が円売り/ドル買い介入を実施。

2003年---日本経済がバブル崩壊後の低迷とデフレから抜け出せない中、輸出企業を保護する目的もあり、財務省が対ドルでの円上昇に歯止めをかけるため大規模な介入を開始。財務省は1年間で20兆4000億円(2000億ドル)を介入に使い、そのほぼすべてがドル買い/円売りに充てられる。

2004年---財務省の第1・四半期の介入額は14兆8000億円(1450億ドル)。1月9日単独で1兆6700億円をドル買いに支出。財務省はこの後、3月に介入を停止し、以降全く実施していない。

2005年---円は1月に101.67円まで上昇。その後、円キャリー取引と日本の投資家が外貨資産に資金をシフトさせたことを背景に下落基調となり、12月には121.40円を付ける。

2007年6月---ドルが4年半ぶり高値の124.14円を付ける。

2007年7月---円が幅広く下落し、実質実効為替レート(REER)ベースで22年ぶり安値を付ける。2005年1月以降、円はREERベースで25%下落。

2007年8月---米サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手への住宅ローン)危機に端を発した金融市場の急変で円キャリー取引の巻き戻しが一気に進展。ドルは120円付近から111.60円に下落。高利回り通貨の豪ドルとニュージーランドドルは10%近く急落。 (出所:ロイター、日銀、イングランド銀行)

 

●「米政府、格付け会社の監督強化=金融不安再発防止策を発表へ-WSJ紙」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080313-00000088-jij-int

2008年3月12日 ワシントン、 時事通信

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は12日、米政府が住宅ローン業者や格付け会社の監督強化などを柱とする金融・信用不安の再発防止策をまとめ、ブッシュ大統領に勧告すると報じた。ポールソン財務長官が13日の講演で発表する。

 財務長官は同紙のインタビューに対し、再発防止策には、連邦および州での監視強化や全米統一の免許基準導入を通じた住宅ローン業者の規制強化が盛り込まれると説明した。 さらに格付け会社と監督当局には、通常の債券と複雑な仕組み債との区別を徹底するよう求める。また証券化商品を格付けする際には利益相反の有無の公表を格付け会社に義務付けるほか、 証券化商品を組成する金融機関に対しては、複数の会社に格付けを依頼するよう要請する。


● 「カーライル・キャピタルが債権者と合意できず、残り資産差し押さえへ」

 ニューヨーク、香港 2008年3月12日 ロイター

 米プライベートエクイティのカーライル・グループ[CYL.UL]傘下のカーライル・キャピタル は12日 債権者との協議が合意に至らず、残りの資産が差し押さえとなる見通しを明らかにした。

 世界のクレジット市場の新たな懸念要素が明らかになったかたちで、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では指標となるiTraxx指数(日本を除く)のスプレッドが ワイド化した。カーライル・キャピタルのデフォルト総額は約166億ドルで、12日時点でポートフォリオ上の唯一の資産は米政府機関発行のトリプルA格の住宅ローン担保証券(RMBS)。

 同社は過去7営業日の間、追加担保の差し入れ要求額が 4億ドルを上回ったことを明らかにしていた。追加担保の要求に応じることができず、債権者が担保の差し押さえに動くという。

 これを受けアナリストは、米住宅市場の低迷に端を発した世界的なクレジット危機への懸念が深刻化する、とみている。 香港のBNPパリバのクレジットアナリスト、ブレット・ウィリアムス氏は 「センチメントは総じてネガティブ。レバレッジの高いファンドが追加担保差し入れに応じられなかったというニュースは、損失拡大で余儀なくされる売りや担保不足、追加担保差し入れに応じられない状況が増えるといった悪循環への懸念を増大させる」と述べた。

 カーライル・キャピタルによると、親会社のカーライルは債権者との交渉に積極的に参加した。借り換えが成功する場合は多額の追加資本を投入する用意があるという。債権者との交渉は12日遅くに難航。一部の債権者による評価で住宅ローン担保証券の価値が低下し、13日に約9750万ドルの追加担保差し入れの必要が生じる見込みだという。


●「米金融保証会社、「実際の損失」は時価評価下回る可能性=ムーディーズ」

2008年 3月 11日 ニューヨーク、ロイター

 ムーディーズ・インベスターズ・サービスは11日、債券の元利支払いを保証する米国の金融保証会社について、実際の損失は、保有資産の時価会計で計上した損失を大幅に下回る可能性があるとの見解を示した。

 モーゲージ関連の債券保証で数十億ドルの支払いを迫られるとの懸念から、大手金融保証会社の株価は急落している。過去半年間でMBIA が81%、アムバック・フィナンシャル・グループは79.4%それぞれ下げている。

 しかし、ムーディーズのアナリスト、テッド・コリンズ氏はコンファレンスコールでの質疑で、金融保証会社が抱えることになる損失については、時価会計ではなく「実際の経済的な損失」を算定して格付けを行うアプローチをとっていると述べた。同氏によると、この損失予測額は「計上されている時価評価による損失」を下回るとしている。

 会計監査会社などは金融機関に対し、保有資産を時価評価して把握しやすくするよう圧力をかけているが、一部の金融機関では、短期的に振れやすい価格は実際の損失を過大評価させるとして不満が出ている。金融保証会社が抱えている損失が見通しよりも少ないことが判明すれば、投資家にとってはある程度プラス材料になる。 アムバックはクレジット・デリバティブで数十億ドルの評価損計上に追い込まれたが、これらの償却は必ずしも実際の損失に反映される必要はないという。


●「米フレディマック、利益率向上で今年の収益改善へ=CFO」

2008年 3月 12日 ニューヨーク ロイター

 米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の幹部は12日、利益率の向上で今年の収益が改善するとした上で、深刻な不動産市場の問題には対応できる十分な資本があると指摘した。

 住宅価格の下落とローン破たんの増加を受け、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)関連資産などの評価損計上で、フレディマックは同業の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)とともに昨年下期に業績が悪化した。フレディマックは07年通期に31億ドルの損失を計上した。

 ピツェル最高財務責任者(CFO)は、利益率の向上で収益が前年から改善するとの見通しを示した。また、米国一般会計原則(GAAP)による投融資の時価評価で「2007年は痛手を負ったが、08年はそれほどひどいものにはならない」と述べた。GAAPでは、公開企業はバランスシート上の資産を時価評価しなければならない。

 モルガン・スタンレーのアナリストは、フレディマックの第1・四半期の1株損益について「従来予想の1.44ドル損失から0.63ドル損失に修正した。しかし、黒字に転換するのは第2・四半期ではなく、第3・四半期になる」との見通しを示した。


●「公的資金が必要になる可能性=IMF筆頭副専務理事」

2008年3月12日 ワシントン、 ロイター

  国際通貨基金(IMF)のリプスキー筆頭副専務理事は12日、世界的なクレジット問題は深刻化するおそれがあり、各国中央銀行は経済への影響を緩和するために、幅広い対策を検討しておく必要があるとの認識を示した。

 同副専務理事は講演で「(クレジットの)問題がさらに深刻化するリスクが高まっていることについて、現時点では疑いの余地は少ない。世界の金融システムと経済を強固にするには、断固とした行動が必要になる」と語った。

 また、金融政策だけでは不十分な可能性があるとの見方を示し「金融システムを守るために、公的資金の活用も含めすべての選択肢を用意しておかなければならない」と述べた。

 「個別の銀行に公的資金を注入することを提唱するつもりはないが、市場を通じた解決方法が尽きた場合には、公的部門が介入することが適切であることを認識している」と語った。

 リプスキー副専務理事は、米欧中銀の新たな流動性対策は「有益だ」として評価した。ただ、金融政策は現在の問題に対処する上で、比較的効果が弱い可能性があると述べ、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ後も長期金利は依然として高止まりしていると指摘した。

 FRBは「適切に」行動したとする一方で、欧州中央銀行(ECB)は「成長への下振れリスクが高まりインフレリスクが低下すれば、柔軟な」対応が可能になるとの見方を示した。


● 「米原油在庫が大幅増加、ガソリン在庫は15年ぶり高水準=EIA週間在庫統計」

2008年 3月 12日 ニューヨーク ロイター

 米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が12日発表した週間石油在庫統計(3月7日までの週)によると、輸入増や稼働率低下を背景に、原油在庫が大幅に増加した。ガソリン在庫も15年ぶり高水準となった。

 原油在庫は620万バレル増の3億1160万バレルとなり、2007年11月23日終了の週以来の高水準となった。ロイターがまとめたアナリスト予想は170万バレル増だった。

 輸入は日量111万バレル増の同1055万バレルだった。製油所稼働率は0.9%ポイント低下し85.0%。アナリスト予想は0.2%ポイント上昇だった。ガソリン在庫は170万バレル増の2億3600万バレルとなり、アナリスト予想(30万バレル増)を大幅に上回り、1993年3月以来の高水準となった。

 ヒーティングオイルやディーゼルを含む留出油在庫は120万バレル減少し1億1640万バレル。アナリスト予想は190万バレル減だった。


●「米ワシントン・ミューチュアル、英ヘッジファンドが出資打診=WSJ」

2008年 3月13日10ロイター

 [ニューヨーク 12日 ロイター] 12日付の米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙(電子版)は、英ヘッジファンドのトスカファンド・アセット・マネジメントが、米大手貯蓄金融機関ワシントン・ミューチュアルに対し出資の可能性を打診したと報じた。

 関係筋の話として報じた。トスカファンドは今週、ワシントン・ミューチュアルの取締役会に接触、自己資金を投じることを打診した。ワシントン・ミューチュアルには、ゴールドマン・サックスか投資家ウォーレン・バフェット氏が資本注入するとの観測も出ている。


●「ドル12年ぶり100円割れ、サブプライム問題を背景に全面安」

2008年3月13日 東京、 ロイター

 13日夕方の外為市場で、ドル/円が一時99.77円まで下落。12年4カ月ぶりに100円を割り込んだ。ドルは対ユーロでも1999年のユーロ導入来安値を一時更新した。

 また、主要6通貨に対するドルの値動きを示すドル指数も過去最低を記録。市場筋によると、サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題を背景に、海外大手金融機関の経営悪化や米景気減速に対する懸念が高まり、ドル安が進んでいる。(基太村真司記者)


●「NY原油、初の110ドル台 ドル安で資金流入が加速」

2008年3月13日 共同通信

 12日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は、主要通貨に対するドル安が進んだことで投機資金の流入が加速し、指標となる米国産標準油種(WTI)4月渡しが1バレル=110・20ドルまで上昇、初めて1バレル=110ドルを突破し、6営業日連続で最高値を更新した。

 これまでの最高値は、11日に記録した109・72ドル。12日の終値は前日比1・17ドル高の109・92ドルで、終値ベースでも最高値を更新した。原油先物相場は1月2日に初めて100ドルに達してから、わずか2カ月余りで1割上昇した。原油高の加速で、米景気の後退懸念とインフレへの警戒感が一段と強まりそうだ。

 12日の取引では、原油在庫の増加を示す米統計が発表されたことを受け、107ドル台に下落する場面もあったが、ドル安傾向が続いたことからヘッジファンドなどの買いが入り、再び上昇に勢いがついた。米サブプライム住宅ローン問題の影響拡大を背景に、株式市場から商品市場に資金を移す動きも続いている。市場関係者は「需給関係を材料にするよりも、投機的な動きが勝っている」(米アナリスト)と話している。(共同)


● 「新生が本店ビル売却 りそななど他の金融機関でも相次ぐ」

2008年3月13日  産経新聞

 新生銀行は13日、子会社の「ドルフィン・ジャパン・インベストメント」(東京)が保有する東京都千代田区の同行本店ビルの信託受益権を売却すると発表した。ドルフィン社の売却益は660億円に上る。

 一方で、新生銀は米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題に伴う市場の混乱による損失も拡大。今回の本店ビル売却と合わせ、平成20年3月期連結決算の業績予想を修正した。経常利益は従来の600億円から200億円に大幅に下方修正するが、逆に最終利益は500億円から650億円に上方修正した。

 新生銀は売却後も賃料を支払って現在のビルに残り、3年以内に東京都内の別の場所に本店を移す予定。りそなホールディングスも、東京・大手町にある東京本社ビルを売却する方向で最終調整している。売却先は複数の不動産会社から絞り込む方向で、売却額は1500億円超で調整している。売却益は、個人向け(リテール)取引の強化などにあてるとみられる。東京本社の機能は売却後に移転する計画だ。

 米金融大手のシティグループの日本法人、シティバンク銀行も、本店がある東京・天王洲の商業ビルを売却した。金融機関の間では、コスト削減や事業再編の観点から不動産を処分する動きが広がっている。


● 「新生銀が本店売却で当期益上方修正、金融庁の収益目標抵触を回避」

2008年3月13日  東京、 ロイター

 新生銀行<8303.T>は13日、連結子会社が保有する本店不動産の信託受益権を売却すると発表した。これに伴い、2008年3月期の単体当期純利益見通しを従来予想の430億円から500億円に引き上げた。

 公的資金注入行に対して課せられている金融庁の収益目標をクリアする見通しとなり、行政処分発動による経営陣辞任を免れる見通しとなった。

 連結子会社のドルフィン・ジャパン・インベストメント(東京都千代田区)が保有する同行本店不動産の信託受益権を、モルガン・スタンレーが運用している不動産ファンドが出資する特定目的会社に売却する。帳簿価額520億円に対し売却価額は1180億円と約660億円の売却益が発生する。

 金融庁が公的資金注入行に課している収益の「3割ルール」では、銀行が作った経営健全化計画の収益目標を3割を超えて下回った場合、行政処分が発動されることになっている。新生銀の場合は、420億円がボーダーラインになっており、従来予想の430億円の利益予想ではぎりぎりの水準だった。国内証券の銀行アナリストの1人は「3割ルール回避のための益出しだろう」とコメントした。

 一方で、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の影響で経常利益見通しは下方修正し、08年3月期連結経常利益見通しは600億円から200億円に引き下げた。追加的な米国住宅ローン市場関連費用や最近の海外クレジット市場の混乱による影響などを見込んだ結果だという。(ロイター日本語ニュース 布施 太郎)


● 「新生銀本店を1180億円で売却、健全化計画の達成狙う」

2008年3月13日  読売新聞

 新生銀行は13日、子会社が保有している東京都千代田区の本店を米証券大手モルガン・スタンレー系の特別目的会社に売却すると発表した。

 売却額は土地と建物を合わせて1180億円。これにより、新生銀行は2008年3月期連結決算で560億円の売却益を特別利益として計上し、税引き後利益を従来予想より150億円多い650億円に上方修正した。

 新生銀行は07年3月期決算で税引き後利益が初めて赤字に転落し、国からの公的資金注入に伴う経営の健全化計画を見直した。今回の本店売却は計画で定めた利益水準を達成するのが目的と見られる。新生銀行は今後3年以内に新しい本店に移転する予定だ。

●「先進国でインフレ目標の下限がゼロ%の国ない=伊藤日銀副総裁候補」

ttp://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-
30759320080311

東京 2008年3月11日 ロイター

 日銀の副総裁候補となっている伊藤隆敏・東京大学大学院教授は11日午前の衆院での所信聴取で、 中央銀行の最大の責務は物価安定だと述べた上で、インフレ率は低いがマイナスではないということが物価安定だとの認識を示した。

 その上で、諸外国にはインフレ目標を採用するところが多いが、先進国の中でインフレ目標の下限がゼロ%の国はない、と指摘した。 伊藤副総裁候補は、日銀のあるべき姿と果たすべき役割について「金融政策の最大の責務は物価安定との認識が各国研究者や当局の間で共有されている」とし、「この場合の物価安定はインフレ率は低いがマイナスではない、一定の範囲内に収まっているという意味だ」と定義した。

 さらに「中銀が物価安定を図っているというマーケット関係者の信任・期待を得られていることも重要。つまり、物価安定というのは実行と期待の両方が重要だ」と述べた。

 日銀の独立性に関しては「十分に透明で説得的な説明を行う責務があるととともに、結果に対する説明責任を問われる」と指摘。日銀の総裁・副総裁は内外に金融政策の目的、経済状況、現状と見通しなどを説明することが求められているとした。そうした課題について日銀はこれまでいろいろと改善努力をして前進したが、まだ完成の域には達していないとして、今後の改善のための議論に副総裁として参加していきたいと述べた。

 日本の金融政策の枠組みについては、透明性・説明責任・市場の期待に対応するために「諸外国ではインフレターゲットを導入するところが多くなった」と指摘。さらに「先進国の中でその下限がゼロ%の国はない」とも述べた。インフレ目標を導入しない場合の透明性については各国とも模索を続けているとした。ただインフレ目標はインフレを引き起こすことを目的としているのではなく、インフレ率を低位だがマイナスではない 範囲に安定的に抑える政策だと付け加えた。

 世界経済の現状については、不況のリスクの高まりという第1のショックと資源価格の高騰などの第2のショックに 見舞われているとの認識を示した。その上で「一番恐れられているのは成長率の鈍化と一般物価上昇の組み合わせであるスタグフレーションだ」と指摘、「金融政策の対応が非常に難しい」と語った。「日銀の副総裁としてこの困難な問題に真剣に向き合い、総裁・副総裁・審議委員と協力しながら最適な金融政策を検討していくつもりだ」と決意を述べた。

 伊藤副総裁候補はこれまでの経験から各国の政策当局にネットワークを築いていることを披露し、「もし副総裁に就任できればこのネットワークが貢献できると思う」と述べた。


●「ムーディーズとS&P、「AAA」サブプライム関連証券格下げに遅れ? 」

2008年 3月11日 ブルームバーグ

「 格付けを据え置いている事実はこっけいだ カイル・バス氏 」
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&refer=jp_top_world_news&sid=arheznShSUJM

 米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とムーディーズ・インベスターズ・サービスは、サブプライム住宅ローン関連証券ほぼ1万件の格付け引き下げ後、 市場に最も意味のある証券の格下げは実施していない。これらは金融機関や保険会社の主要な投資先であるトリプルA格付けの証券だ。

 ブルームバーグのデータによれば、サブプライム関連証券動向を示すABX指数を構成する同格付けの証券80本中、 S&Pが2月に厳格化する以前の基準を満たしているのは1本もない。
ドイツ銀行が2006年5月に発行した証券の格付けは、裏付けとなる住宅ローンの43%が焦げ付いているにもかかわらず、S&Pとムーディーズから最高格付けを付与されている。

 基準に厳密に従えば、少なくとも1200億ドル(約12兆2460億円)相当の証券がトリプルA格付けを失い、 金融機関の巨額評価損計上につながった住宅ローン危機の痛みはさらに広がることになる。クレディ・スイス・グループによれば、住宅差し押さえが過去最悪を記録後、 トリプルAの証券は額面1ドル当たり 61セントにまで値下がりした。

 「AA」へ格下げとなれば、さらに26セントまで下がる可能性があるという。テキサス州ダラスのヘッジファンド、ヘイマン・キャピタル・パートナーズのカイル・バス最高経営責任者は、ムーディーズとS&Pが「格付けを据え置いている事実はこっけいだ」と指摘。


● 日経新聞 2008年3月11日

 11日、午前8時30分ごろ、米連邦準備理事会(FRB)が政府機関債や格付けの高い住宅ローン担保証券(MBS)などを 担保に最大2000億ドル相当の米国債を貸し出す制度を導入すると伝わった。

 金融機関の資金繰りやMBS市場の流動性が改善するとの見方から、ドルを買う動きが広がっている。 同制度の導入が伝わる前は、円は102円10銭前後で推移していた。

 FRBは同時に、欧州中央銀行(ECB)やスイス国立銀行との間で締結している通貨スワップ協定の拡充を発表した。 ドル資金の供給額を増やすほか、期間も9月30日まで延長する。


●「カーライル株が急落」

共同通信 2008.3.11

Shares in Carlyle Capital plunge

The Associated Press March 11, 2008 AMSTERDAM, Netherlands

 Shares in troubled mortgage-bond fund Carlyle Capital Corp. Ltd. are plunging after regulators lifted a halt to trading in Amsterdam.

 Shares were suspended Thursday after tumbling more than 50 percent on news that the London-based fund was hit with default notices from creditors and that it was unable to meet margin calls.

 Shares of the stock are down 21 percent to $3.95 (2.57 euros) Tuesday.The fund, managed by a unit of Washington D.C.-based Carlyle Group, is in talks with remaining lenders to prevent them from foreclosing on $16 billion in securities.

●「人民元が小幅続伸――元切り上げ後の高値、夕刻は7.1028―30元」

日経新聞 2008年3月12日

 11日の中国外国為替市場で人民元相場は対米ドルで小幅に続伸。中国人民銀行(中央銀行)傘下の中国外貨交易中心(外為取引センター)が運営するホームページ「中国貨幣網」によると、現地時間17時30分(日本時間18時30分)時点の銀行間取引のレートは、前日の同時点に比べ0.0002元の元高・米ドル安の1米ドル=7.1028―30元だった。

 一時は7.1000元近辺に上昇し、2005年7月の元切り上げ後の最高値を更新した。一方、同時点の外為取引センター経由の取引は7.1020―41元だった。


●「NY円売り優勢、103円ちょうど近辺に下落」

日経新聞 2008年3月12日

 11日朝方のニューヨーク外国為替市場では円売り・ドル買いが優勢になっている。午前8時45分現在、前日比1円25銭円安・ドル高の1ドル=102円95―103円05銭前後で推移している。午前8時30分ごろ、米連邦準備理事会(FRB)が政府機関債や格付けの高い住宅ローン担保証券(MBS)などを担保に最大2000億ドル相当の米国債を貸し出す制度を導入すると伝わった。

 金融機関の資金繰りやMBS市場の流動性が改善するとの見方から、ドルを買う動きが広がっている。同制度の導入が伝わる前は、円は102円10銭前後で推移していた。

 FRBは同時に、欧州中央銀行(ECB)やスイス国立銀行との間で締結している通貨スワップ協定の拡充を発表した。ドル資金の供給額を増やすほか、期間も9月30日まで延長する。


●「通貨の対ドルペッグ制撤廃を検討、GCCの統一行動を望む=カタール首相」

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-30747620080310

ドバイ 2008年3月10日 ロイター

 カタールは自国通貨の対ドルペッグ制撤廃を検討しているが、湾岸諸国が一致して行動することを望んでいる。 ハマド首相が安全保障会議で語った話として、10日付のガルフ・タイムズ紙が伝えた。それによると、ハマド首相は、対ドルペッグ制の放棄は用意ではないが検討していると表明。「湾岸協力会議(GCC)諸国が統一した行動を取るよう望む」と述べた。

● 「産油国がドルを見限る日」

日本経済新聞 2008年3月7日 ニューヨーク、松浦肇

 米メディアは金融不安一色だが、「米国の本当のアキレスけんは中東にある」(エネルギー市場 に詳しい、EMIのドミニク・シリチェラ氏)。

 金とドルの交換を停止した1971年のニクソン・ショック。ドルの地位は凋落(ちょうらく)するとみら れたが、72-73年にサウジアラビアが原油輸出をドル決済すると決めると、石油輸出国機構(OPEC)加盟国が追随。ドルは金の代わりに石油という信用の裏付けを得た。

 だが、ドル安に歯止めがかからないのを受け、「今後1-2年以内にOPECではドル以外での決済を増やすべきだとの議論が本格化する」とシリチェラ氏はみる。  ドルが原油との独占的な兌換(だかん)通貨としての地位を失い、米国が通貨機軸国の座から降りる――最も恐れていたシナリオがウォール街でささやかれ始めた。

● 「サブプライム問題、SIV処理で日本の金融機関に影響も」

2008年 03月 7日東京、ロイター

 3月17日から始まる週には、米ゴールドマン・サックスなど米金融機関の決算発表が予定されており、サブプライム問題の影響を探ろうとする関係者の注目を集めている。各金融機関とも本体で保有する証券化商品の損失処理に加え、関連SIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)の処理にかかろうとしており、ここでは日本の金融機関に影響が出る可能性も指摘されている。

 金融機関はサブプライム問題にからむ本体の損失処理に追われているほか、さらに関連SIVの処理にかかろうとしている。SIVを連結することで金融機関の処理負担がふくらむと予想されているが、難しいのは、金融機関本体はクレジットラインの提供などにとどまっており、出資の多くは別の金融機関などが行っている点だ。処理によって出資金融機関に損失が出る可能性が高いため、交渉が難航する可能性がある。

 また、日本の金融機関は相対的にサブプライム問題による損失が少ないとみられているが、草野グローバルフロンティア代表取締役、草野豊己氏は「SIVには出資を行っている可能性がある」とみており、SIV処理の過程で日本の金融機関にも損失が生じることもありうるという。

 さらに「金融機関に関連するVIE(変動持分会社)の問題がある」と指摘するのは日興コーディアル証券シニアストラテジストの河田剛氏。河田氏によれば、SIVもVIEのひとつだが、多くのVIEは連結されておらず、金融機関のバランスシートに織り込まれていない。VIEの多くは運用を地方債などで行っているというが、CDOなどを組み込んでいる運用しているケースもあり「財務が悪化すれば金融機関が損失を処理せざるを得ない可能性がある」(大手証券)という。

 その後には傘下や融資先のヘッジファンド処理が待っている。3兆ドルとみられるCDOのうち1兆4000億ドルをヘッジファンドが保有しているが、草野氏は「このうちの約半分はエクイティで価値はほぼゼロになっている」とみており、金融機関が処理に追われる状況は、まだ続きそうだ。


●「FRB議長に不信感=ニューヨーク」

松浦肇 日経新聞 2008年3月7日

 「米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長に対して、辞任を求めるらしい」 米ウォール街のご意見番、ヘンリー・カウフマン氏が今月、記者を呼んだ毎年恒例の晩さん会を開く。ニューヨーク連銀、旧ソロモン・ブラザーズ証券を経た米国の著名エコノミストが、その場でFRB批判を展開する予定なのだという。

 カウフマン氏はITバブルやアナリストの不正問題などに警鐘を鳴らしたことでも知られる。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に関しても、同氏は昨年初めから、「中央銀行が中心となって商業銀行の資金の流れだけでなく、保険会社、投資銀行、ヘッジファンドなどを一元的に監督し、金融政策の対象とする組織が必要」と主張してきた。

 だが、米金融当局は昨年夏まで楽観論を展開していた。利下げや国際協調のタイミングが遅れたことにカウフマン氏はおかんむりなのだという。FRBなど金融当局は、1998年に破綻したロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)危機を乗り切った自信から、金融機関が抱える信用リスク量をチェックすることでシステミック(世界連鎖的)な金融危機を防ぐ監督モデルを確立したが、証券化市場の拡大、格付けの適時・正確性など新しい問題に対応できなかった。

 6日の米株式相場は大幅安となり、S&P500種株価指数は年初来安値を更新。原油高によるインフレ懸念に加え、相変わらずサブプライムローン問題から派生した信用収縮に市場関係者は頭を悩ませている。市場で話題となったのが、シティグループのヴィクラム・パンディット最高経営責任者(CEO)が今週に入って全社員に送ったメールだ。

 「当社の財務内容は健全です」「資本は十分でバランスシートは強い」 シティに対しては週初にウォール街のアナリストが「第1四半期に巨額の追加損失を出す」とリポートを書いており、パンディットCEOのメールには社員の不安を打ち消す意思があったようだ。だが、一介のアナリストの意見に世界最大の金融機関トップが反論する様は異様である。

 米抵当銀行協会(MBA)が同日発表した昨年10~12月期の住宅ローンの延滞率は85年以来の高水準で、住宅の差し押さえ率は過去最大となった。加えて、住宅ローンを手掛ける投資会社ソーンバーグ・モーゲージとカーライル・キャピタルがデフォルト(債務不履行)の通知を受け取っていたことが明らかになった。投資会社が今後、証券化商品を投げ売りすれば、シティなどが保有する証券化商品が一層の値崩れを起こす。

 処方せんを提示しきれていない政治も心もとない。銀行・証券の壁を無くし、金融保証会社モノラインに地方債ビジネスからデリバティブ(金融派生商品)への業務拡大を許した90年代の規制緩和に一因があったことが明らかになってきているが、共和党での代表選出を決めたマケイン候補は「あくまでも自由主義を支持します」と宣言した。

 2候補者が伯仲する民主党もしかり。クリントン候補はここにきて形勢が不利になるやいなや、ファンドや石油業界への課税強化など大衆迎合的な政策を口にし始め、自由貿易に批判的なオバマ候補と似たような経済政策となった。

 サブプライムローン問題についても、思い切った財政出動や低所得者救済など両候補者の対応策には大差がない。大統領選による政治の空白という悪いタイミングに経済危機がやってきた。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

 

 


「この「第2ぼやき」記事を印刷する」
「83」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(18) 2008年2月の分の記事で集めたものを載せます。 2008.9.10

副島隆彦です。 「サブプライム危機から世界恐慌へ」の18番目として、2008年の2月に起きていた金融事件の報道記事をまとめて載せます。  副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●「米シティがまた配当を引き下げも、追加評価損の可能性で-調査会社」

Citigroup May Have to Reduce Dividend Again, CreditSights Says

2008年2月26日 ブルームバーグ

 調査会社クレジットサイツによると、米銀大手シティグループは、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連で360億ドル(約3兆8600億円)の評価損を計上する可能性があるなかで、一段の配当引き下げを迫られる可能性がある。

 クレジットサイツのアナリスト、デービッド・ヘンドラー氏(ニューヨーク在勤)は25日付の顧客向けリポートで、「追加評価損のリスクは、配当の一段の引き下げや無配になりやすい状況が続いていることを示すものだ」と指摘した。

 シティは2007年10-12月(第4四半期)決算で純損失が98億ドルと、創業196年の歴史で最大の赤字となった。サブプライム関連の債務担保証券(CDO)の評価額も200億ドル引き下げた。チャールズ・プリンス氏から最高経営責任者(CEO)職を引き継いだ

 ビクラム・パンディットCEOの下で、シティは1月に配当を41%引き下げた。ヘンドラー氏によると、パンディットCEOは資本増強に向けて資産売却を余儀なくされる可能性がある。 シティはすでに、シンガポールやクウェート政府傘下のファンドなどから 220億ドルを調達している。ただリポートによると、こうした取り組みは 「不十分であることが判明する可能性があり」、同行の「部分的または全体的な分割」もあり得る。 ヘンドラー氏は、シティの08年1-3月(第1四半期)の1株利益が75 セントになるとの見通しを維持している。


●「シティの「TOB」、次の震源地に?」

2008年2月25日 日経ヴェリタス 編集委員 小平龍四郎

 25日の東京株式市場で話題を集めたのは、米国で近く発表されそうな米金融保証専門会社(モノライン)大手、アムバック・ファイナンシャル・グループの救済策。先週末の米国市場でメディアが伝えたところによると、米欧の銀行団が総額で約30億ドルの資本を入れる。報道をきっかけに先週末の米株式市場では買い戻しが進み、日本の株式市場が良い雰囲気を引き継いだ。

 救済団の中心になるとみられるのが、米シティグループとスイスのUBS。最近まで自社の資本増強に走り回っていた銀行が、今度は救う側だ。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の潮目が変わるのか。それとも、米クレジット市場の崩壊を防ぐための苦肉の策か。「30億ドルでは応急処置の域を出ない。その3倍くらいの規模なら話は別だが…」。ピムコ・ジャパンのクレジットアナリスト、小関広洋氏は冷めた見方をしていた。

 救済は弱者が弱者を救う構図だ。サブプライム問題が表面化する前の2007年初めに88ドルあったアムバックの株価は、今は10ドルそこそこ。救う側のシティとUBSも似たようなもので、昨年初めに比べそれぞれ54%、44%も安くなっている。同じ期間のS&P500「金融」の下落率は26%だから、サブプライム問題に等しく揺れ続ける金融業界のなかでも、両銀行は負け組に属すると言ってよいだろう。

 米国の証券化商品と地方債を保証するインフラ役のモノライン。その信用崩壊劇の主役の1人であるアムバックの救済は地方債市場の動揺を鎮めるだけでなく、銀行が自らを救う企てでもある。

 「新たな震源? TOBって何?」。JPモルガン証券のクレジット調査部長、中空麻奈氏は最近、こんな表題のリポートを出した。ここで言うTOBとは、もちろん「株式公開買い付け」ではない。「テンダー・オプション・ボンド」の略で、銀行などの簿外にある特別目的会社(SPC)が米国の短期地方債に投資するために発行する債券だ。投資家の求めに応じてSPCが額面で買い取る条件(テンダー・オプション)がついている。

 シティが米証券取引委員会(SEC)に提出した2007年の財務資料によると、TOBを発行している基金の総資産は12月末に502億ドル。昨年後半に連結する・しないで大騒ぎになったSIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)資産が580億ドルだから、それにほぼ匹敵する残高だ。シティは500億ドルのうち280億ドルは「非連結」とし、残り220億ドルは「一般的には連結だが非連結の場合もある」などと、あいまいな説明をしている。

 米地方債市場の混乱が続けば、TOBの買い取り請求が増えSPCの資金繰りが悪化。資金援助や銀行本体への連結を迫られ、それが再び株価底割れの引き金を引きかねない。

 なじみのない仕組みが次々に登場するサブプライム問題。TOBのように市場からの資金調達によって地方債に投資する仕組みはほかにもある。JPモルガン証券の調べでは1兆ドル強の米短期地方債のうち、TOBなどの「仕組み投資」で購入されている割合は約9割に達する。その仕組みを仕切っているのは多くの場合、銀行だ。

 地方債市場の正常化はTOBという「新たな震源」の封じ込めにつながる。しかし、弱者が弱者を支える構図に変わりはない。「アムバック救済」で銀行株を本格的に買い進むのは無理がある。

 「強欲と恐怖」と題するリポートで有名な香港系大手証券CLSAの株式ストラテジスト、クリストファー・ウッド氏は25日午後、セミナーのため東京にいた。「株式市場がアムバック救済の報道に反応しているが」。こう話題を向けると皮肉っぽく笑い、「本当に発表するのかねえ…」と言い残して会場のホテルを去った。弱者が弱者を救う構図が、苦し紛れにしか見えないと言わんばかりだった。

●「逆張りファンド」に賞味期限、サブプライム後にらむ 」

「日経ヴェリタス誌 ニューヨーク 伴百江 2008/2/15

 米国のヘッジファンド業界で昨年最も関心を集めた商品のひとつに「サブプライム逆張り投資ファンド」がある。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連の証券化商品をカラ売りして「値下がり益」を得る投資手法を取り入れたファンドだ。サブプライム危機が深刻になればなるほどもうかる仕組みで、巨額の運用収益を上げたファンドも少なくない。ところが、こうした逆張り派の一部が、早くもサブプライム後をにらんで動き出しているという。

 「ポールソン・クレジット・オポチュニティーズ2」ファンド。ヘッジファンド運用会社(本社ニューヨーク)のポールソン・アンド・カンパニーが昨年1月に新規設定したこのファンドは「逆張りファンド」の代表格。米ヘッジファンド業界雑誌「アブソルート・リターン」の07年に最も成功したファンドにも選ばれた。

 運用開始時に1億3000万ドルだった運用資産は年末に24倍の32億ドルに膨らんだ。1年間の総収益率(証券の値上がり益と金利の合計を元本で割った比率)は実に350%。運用収益の拡大につれて投資家の資金が殺到した。

 「サブプライム逆張りといっても、言うはやすく行うは難し」――。あるヘッジファンド運用会社のトレーダーは言う。少なくとも2年ほど前まで、ポールソン社が設定したような逆張り投資は存在しなかった。住宅物件や住宅ローン債権をカラ売りする市場はあり得ず、住宅ローン担保証券(RMBS)を株式のように空売りすることも難しい。カントリーワイド・ファイナンシャルなど住宅ローン会社の株式をカラ売りするくらいしか逆張り投資の手段はなかった。

 金融テクノロジーが「サブプライム逆張り投資」を可能にした。06年に米金融情報サービス会社マークイット・グループがサブプライムRMBSの指数であるABX指数を開発。同指数が店頭市場で取引されるようになり、株式と同じように複数のサブプライムRMBSをバスケット売買できるようになり、この指数のカラ売りを通じて、サブプライム関連証券の逆張り投資ができるようになった。同時に経営の悪化した企業の社債投資の際に一種の保険として開発されたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が普及。住宅ローン会社のCDSに投資して逆張り投資する道も開けた。

 資産担保証券投資専門のヘッジファンド、MKPキャピタル・マネジメント。同社はポールソンと並んでサブプライム危機を投資の好機に転換した数少ない運用会社の1つだ。運用する5本のファンドのうち、昨年年間の総収益率は最大で40%を確保した。

 「米住宅市場の異変を最初に感じ取ったのは05年終わりのこと」。MKPのプリンシパル、アンソニー・レンブキ氏は、住宅価格の上昇ペースが鈍り始め中古住宅販売が突然減速したのをきっかけに住宅市場の先行きに懸念を抱き始めたという。06年に入って売れ残り住宅在庫が急激に増えるにつれ、住宅価格が下落して1番痛手を被るのはサブプライムローンの借り手だと認識。06年半ばあたりからモーゲージ会社のCDSへの投資やABX指数の空売りを始めたという。

 レンブキ氏は、“モーゲージ証券の産みの親”と呼ばれるルイス・ラニエリ氏が80年代に活躍した旧ソロモン・ブラザーズの住宅ローン担保証券事業部門出身だ。このモーゲージのプロは「住宅ローン価格が底をつけるのは早くて09年。ローンのデフォルト(債務不履行)とそれらのローンからの損失はあと3年超は高水準が続く」と悲観的だ。

 そのレンブキ氏が予想外の言葉をつぶやいた。サブプライムRMBSの中にはかなり価格が下落したものもあり「そろそろ買い時だ」というのである。サブプライム逆張り派による住宅ローン市場の見通しはサブプライム証券市場の行方を占う上で重要なサインになる。ただ弱気見通しが長引けばサブプライム逆張り投資もしばらく続くと思うのは素人判断のようだ。同氏は「サブプライム証券の空売りで儲けられる余地はもう限られてきた」と指摘する。

 ABX指数の値動きをみてみよう。06年前半に組成されたサブプライム住宅ローン(格付けトリプルB)で構成するABX指数は直近で16前後。06年7月には100まで上昇したことを踏まえれば、まさに「サブプライム証券の価値は劇的に下がった」(レンブキ氏)といえる。

 レンブキ氏の側近に聞くと、逆張り派が次に注目しているのはディストレスト(デフォルトや経営悪化などで価格が急落した証券)投資だという。倒産した企業の社債や値下りしたサブプライム関連の一部証券などが対象で、いわば底値買いの順張り投資といえる。MKP以外にも「同商品に目を付け始めたヘッジファンドが何社か出てきている」という。

 市場のゆがみをいち早く察し、誰よりも早く潜在成長力のある投資先をみつけるのが役割のヘッジファンドは「逆張り投資」の賞味期限をかぎ取って、すでにポスト・サブプライムに照準を定め始めたようだ。


●「証券 2月15日暴落危機 ヘッジファンド集中売り懸念」

http://www.zakzak.co.jp/top/2008_02/t2008021429_all.html

産経新聞 2008年2月14日

 日経平均株価は14日、前日比558円高と急伸して取引を終えたが、市場では「2月15日暴落」への警戒感が高まっている。 巨額の資金を運用しているヘッジファンドの解約に伴う大規模な手じまい売りが、同日の相場を押し下げるという懸念が広がっているためだ。

 こうした売りは最近、3カ月ごとにみられ、昨年8月と11月の中旬に起きた暴落の際も引き金になったとされる。同じことがまた起きるのか-。 暴落不安の背景にあるのは、年金資金などの機関投資家や富裕層から資金を募って運用するヘッジファンドの「45日ルール」だ。

 大半のヘッジファンドは、解約できるタイミングを四半期末に限定。資金を出している投資家は解約する場合、各四半期末の45日前までにヘッジファンドに通告する必要がある。 通告を受けたヘッジファンドは保有していた銘柄を処分して清算する。「買った株の値下がりで損失が出ているヘッジファンドほど、解約される確率が高い。このため保有株を市場で売却する動きが強まる」とは外資系証券エコノミスト。 ヘッジファンドの解約が増えれば増えるほど、株の売り圧力も強まることになる。

 3カ月ごとにやってくる解約時期が次に来るのは3月末。 通告期限はその45日前の「2月15日」ということになる。 四半期ごとの解約や、45日前の通告というヘッジファンドのルールは今に始まったことではないが、株式市場で特に注目を集めるようになったのが、サブプライム(低所得者向け)住宅ローン問題が表面化し、巨額損失を抱えるヘッジファンドが続出した昨夏以降だ。

 昨年9月末の解約時期の通告期限だったのが8月16日。この日の日経平均株価は327円安となり、翌17日には874円安と昨年最大の下げ幅を記録した。 続く12月末の解約時期の45日前にあたる11月16日は241円安。その後も株価は軟調に推移し、同月22日にはこの年の取引時間中の最安値(1万4669円85銭)を付けた。ともに解約時期の45日前近辺で急落が起きているのだ。

 3カ月ごとにやってくる危機の局面だが、市場関係者は「特に日本の投資家にとって要注意なのが、3月末の解約のタイミングだ」と警告する。その45日前の2月15日あたりが要警戒というわけだ。この日は金曜日のため、来週明けまで警戒が必要になりそうだ。

「3月末に決算期を迎えるのが日本の特色。このため、日本の投資家が出資しているヘッジファンドでもこの時期に解約が集中するとみられる。日本の投資家が出資するファンドには、日本株を運用対象としているファンドも少なくないため、日本株への影響も小さくない」(前出の市場関係者)という。

● 「米住宅バブル崩壊の行方」

2008年2月12日 ビジネスウィーク誌

 米エール大学の金融経済学者ロバート・J・シラー教授は、以前から住宅価格は値下がりすると主張してきた。1925年から1932年まで続いた住宅価格の下落では、それが銀行の体力を弱め、1929年に米国で始まる大恐慌につながったと同教授は指摘する。
住宅を担保にした借金が家計を圧迫し、消費が冷え込む

 住宅ブームの頃の米国人にとって、「持ち家はATMの代わり」とよく言われたものだが、実際その通りだった。多くの人が、キャッシュアウト・リファイナンスやホームエクイティローンといった自宅を担保とするローンを使い、持ち家という資産からキャッシュを作ってきたのだ。今のところ、こうしたエクイティ(自宅の純資産額)からの換金額は、2007年第3四半期も年換算で7000億ドルと驚くほど高い水準だ。

 しかし、住宅価格が下がり続ければ、換金額も減少し、景気悪化に拍車がかかるだろう。BusinessWeek誌の依頼により米不動産専門ウェブサイト、ジロウ・ドット・コムが行った分析では、全国で住宅価格が20%下がった場合、昨年家を購入した人の3分の2が自宅の資産価値以上の借金を背負うことになる。これではエクイティを担保にカネは引き出せない。


● 2008年2月12日 ブルームバーグ

  米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT、オンライン版)は12日、複数の投資顧問会社の話として、ヘッジファンドの破たんが今年、過去最高に達する可能性が あると報じた。実績のない新規ファンドの増加や金融市場のボラティリティ(変動性)拡大を理由に挙げている。

 同紙がSYZを引用して伝えたところでは、ヘッジファンドの1つセールフィッシュ・キャピタル・ パートナーズが先週清算を開始するなか、デービッド・スレーガー、ティモシー・バラケット両氏が運用するアティカス・ヨーロピアン・ファンドは13%余り下落。またリー・エンズリー氏が運用するマーベリック・キャピタルは1月25日までで9%下落した。

 同紙によれば、ヘッジファンドが取った戦略で、今年利益につながったものはほとんどない。 また、株式主体のヘッジファンドは1月、平均で4.1%下落と、 2000年11月以降で最悪の成績になった。

 新規ファンドのパフォーマンスはこれまでのところ低調だという。オルタナティブ投資データベース、バークレー・グループのソル・ワクスマン社長は、1月1日にスタートしたゴールドマン・ サックス・インベストメント・パートナーズが同月6%下落したのをはじめ、1月に運用成績を発表した 1241 のヘッジファンドのうち75%がマイナスとなったと話した。

● 「世界市場、“再連動”に大揺れ― 米国の緊急利下げが効かない理由」

2008年2月12日 日経ビジネス 評論記事

 1月半ば、世界の株式市場が再び大揺れした。米国の緊急利下げという異例の対応にも、市場はほとんど反応しない。投資家を怯えさせるのは、「世界経済はやはり連動している」という事実だ。

 世界の株式市場にとって、今年はめでたい新年どころではなかった。米国株は1月としては過去1世紀以上なかった下げを記録。世界的な株安の引き金を引くとともに、米連邦準備理事会(FRB)による0.75%の緊急利下げという極めて異例な対応を招いた(=この記事が出た後、FRBは0.5%の追加利下げをした。)

 1月24日に仏ソシエテ・ジェネラルが歴史的な巨額損失を発表しても、市場はもう驚くことさえできなかった。今回の株安は単なる周期的な市場サイクルの変化ではない可能性がある。実際、この10年で形作られてきた資本市場の構造や、2000年のインターネットバブル崩壊以降、世界の金融当局が取ってきた政策そのものへの疑念が広がっている。

 「我々は過去に犯した過ちの代償を払わねばならない」。世界経済フォーラムの創設者クラウス・シュワブ氏は、年次総会(ダボス会議)でこう語った。また、著名投資家のジョージ・ソロス氏曰く、「これはただの危機ではなく、1つの時代の終焉だ」。傷んだ金融機関が資本注入を受ける間にも、そこで働くアナリストらは現状を過去の長い弱気相場や景気後退期と比較するリポートを出し始めた。

米国の景況悪化と信用収縮

 1月半ばの株価急落には直接的な引き金が2つあった。1つは、米国の経済統計が悪化し、米国が景気後退に陥るとの見方が強まったこと。もう1つは、2007年第4四半期の決算発表が始まり、ウォール街の楽観的な予想が実現不能であることが見えてきたことだ。

 収益見通しの急転はすさまじい。第4四半期が始まった時、ウォール街のアナリストは米企業の利益が年率換算で11%以上の伸びを示すと予想していた。信用収縮の悪影響は第3四半期にほぼ出尽くしたと見ていたのだ。

 それが1月初旬には9.4%の減益予想に転じ、3週間後、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)500株価指数の構成企業の予想減益率は19%に拡大していた。「9.11」のテロ直後の2001年第4四半期以来の減益幅である。経済と企業収益に関するこれほどの悪材料が株安を招くのは無理ないが、それより懸念されるのは、急激な株安を受け、根本的な仮説の見直しが起きていることだろう。

 問題の1つは、「デカップリング(非連動)」理論を巡る懸念だ。大きくなった新興市場は内部成長の源を見つけたというこの考えに従えば、これらの国は米国の景気後退の影響を回避できるうえ、欧米企業が受ける打撃も和らげる。過去数カ月、デカップリングに対する信念が世界の株式市場の心理を支え、信用収縮の影響を相殺してきた。だが、この数週間で、その信念が崩れてしまった。

 投資家がデカップリングを重視する姿勢にかねて違和感を覚えていたというある米政府高官は、「今、米経済を襲う問題がグローバルであることが明白になった。石油は世界的な問題だし、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)は世界中に売られた。住宅市場の減速は米経済全体に大きな影響を与える」と言う。

 1月半ばに株価暴落を招くような大ニュースがあったわけではない。だが、市場心理が変わると、投資家は“言い訳”を見つける。多くの投資家は米経済の悪化を見て、自分たちがどれだけデカップリングに賭けているか思い知らされたのだ。

 デカップリングへの賭けが際立つようになったのは、FRBが利下げに動いた昨年8月以降だ。利下げを受け、米経済は減速するが、流動性の拡大で新興市場の成長は一層高まるという見方が広がった。実際、米国の利下げから数週間で、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の株式市場は50%以上急騰した。その間、S&P500の上昇率は11%にとどまっている。

 MSCI世界株指数*2が昨年10月末に天井をつけて以降、MSCI・BRIC指数は22%下落した。これは下げ幅が14%足らずのS&P500よりきつい下げで、市場は「リカップリング(再連動)」のショックに見舞われた。米国経済の問題は米国そのものよりも他国に大きな影響を及ぼしたのだ。もう1つの仮説も見直しが進んでいる。信用危機の影響である。

 当初、信用収縮の影響を甘く見すぎた株式投資家は、その2次的効果が1998年の米ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)破綻や80年代後半から90年代初頭にかけてのS&L(貯蓄金融機関)危機を上回ることを想定し始めた。今回は特に著しい低金利が続いたうえ、不良債権が世界の金融システムに広がっているためだ。金融機関は信用供与を絞り、「好況を支えた信用の動脈流が細り始めた」とUBSのジョージ・マグナス氏は言う。


●「世界の原油業界関係者、米国経済の健全性に対する懸念を表明」

2008年 02月 12日 ヒューストン、 ロイター

 12日に当地で開かれたCERAウィーク・エナジー・コンファレンスで、世界の原油業界関係者から、米経済の健全性に対する懸念を表明する声が相次いだ。業界関係者は、米経済の弱さが他のセクターに波及し、世界のエネルギー需要を損ないかねない兆しを注視している。

 サウジアラビアのサウジアラムコの最高経営責任者(CEO)、アブドラ・ジュマ氏は基調演説で「サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の影響が世界の市場に広がり、世界の経済成長をリスクにさらし、原油市場全般、特に原油需要に不透明感をもたらしている」と語った。

 ノルウェーのスタトイハイドロのCEO、ヘルジ・ランド氏もジュマ氏と同様の懸念を示し、「不透明感はこれまでよりも深まっている」と述べた。ハーバード大学の公共政策および経済学教授のケネス・ロゴフ氏は、米経済は世界経済の25%を占めると指摘した上で「米経済が緩やかにスローダウンすれば、他国がその影響から逃れることは困難になる」と述べ、米経済はすでに緩やかなリセッション(景気後退)に突入しているとの見方を示した。

 米国の原油生産・精製会社ヘスのジョン・ヘスCEOも、景気減速により米東部沿岸地域にある同社のコンビニエンスストアの販売が落ち込んでいるほか、精製マージンも低下していることを明らかにした。

 

●「米地方債の金利が急上昇-入札で十分な需要なし、銀行が支援せず」
Auction-Bond Failures Roil Muni Market, Pushing Rates to 20%

2008年2月13日 ブルームバーグ

 米国では定期的な入札を通じ金利が決まる地方債が最近、十分な買い手を集められない状況となっている。ゴールドマン・サックス・グループやシティグループなど入札を仕切る金融機関が、地方債を買い入れないとの見方が背景にある。

 ブルームバーグのデータによれば、ニューヨーク、ニュージャージ両州の港湾局発行の地方債1億ドル(約107億円)の金利は12日、20%に急上昇した。1週間前は4.3%だった。当局者によれば、ニューヨーク州都市交通局なども需要を集めることができなかったという。債務を保証する金融保証会社(モノライン)に対する信頼性の低下に伴い、地方自治体などが発行する債券に対する需要が落ち込んでいる。

 コンサルティング会社のミュニシパル・マーケット・アドバイザーズ(マサチューセッツ州コンコード)のマネジングディレクター、マット・ファビアン氏は、「これは入札で金利を決める債券市場が終わる始まりだ。銀行がこの市場を支えることをやめてしまった」と述べた。十分な買い手がいない場合、地方債の入札は成立せず、債券売却を望む債券保有者は、その債券を持ち続けることになる。

●「米大手金融機関の延滞住宅のローン支援策の骨子 」

2008年2月13日

 米大手金融機関6社と財務省・住宅都市開発省は12日、住宅ローン 滞納者の差し押さえを猶予する新対策を発表した。  米国では住宅ローンを60日以上滞納している人が昨年末時点で170万人いると推定されており、一定の条件を満たせば、多くの滞納者が今回の 救済策の対象となる見通し。 対策の詳細は以下の通り。

 サービサーは、住宅ローンの返済が90日以上延滞している借り手に対し、書簡を通じて今回の対策を説明する。 今回の対策に応じた借り手は、差し押さえ手続きが最大30日間猶予される。この間、金融機関はローンの条件変更を目指す。 差し押さえ手続きを猶予された借り手が、新しい融資条件のもとで 3カ月間返済を行えば、その後もその融資条件が適用される。

 今回の対策は、すべての住宅ローン(プライムローン、サブプライムローン、ホームエクイティ・ライン・オブ・クレジット)が対象となる。投資用不動産、空き家、30日以内の競売実施が決まっている物件は対象外となる。

 今回の対策には、国内モーゲージの推定約50%のサービシングを担当している以下の金融機関6社が支持を表明した。バンク・オブ・アメリカ 、JPモルガン・チェース 、シティグループ 、カントリーワイド・フィナンシャル 、ワシントン・ミューチュアル 、ウェルズ・ファーゴ 。

●2008年2月13日 (水)

 債券市場は8週ぶりに反落。7日の米四半期定例入札にて米30年債入札が過去最低の利回りを示現。 それに伴って海外応札比率が10.7%と前回から3分の1減となったことが嫌気され、売り優勢となった。

 8日にダウ平均が100ドル安に見舞われたが、債券は7日の急落分を取り戻すことができないなど上値の重さが気になる。ただ、米1月既存店売上高の悪化もあって、13日の小売売上高も弱い内容となりそうなこと。さらに米12月卸売在庫の積み上がりで16日の米1月鉱工業生産も鈍化しそうなことから、深押しは回避すると考えたい。

 ダウ平均の落勢が続くようであれば、見直し買いムードが高まることも考えられよう。米10年債利回りは3.5%を割り込み1月23日に開けた窓を埋める場面があっても不思議ではない


●「米投資家バフェット氏、金融保証会社に救済案 」

日経新聞 2008年2月12日

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080212AT2M
1203A12022008.html

 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が「モノライン」と呼ばれる金融保証会社に救済案を提示したことが12日、明らかになった。同氏が率いる投資会社、バークシャー・ハザウェイが最大8000億ドル(約86兆円)まで地方債を再保証するという内容。モノライン各社は信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に絡んで経営が悪化しており、米金融市場の不安定要因となっている。

 米国の地方債は個人を含めて投資家のすそ野が広く、保証をしているモノラインの経営が一段と悪化すると、金融市場の混乱に拍車をかける恐れがあった。バフェット氏が保険契約を使って8000億ドルの再保証を提示したことは、モノラインが保証している地方債の6割程度をカバーすることになり、実現すれば市場が安定化に向かう可能性が高まる。

(巷の意見。 バフェットは、やっぱり賢いよ。 投機が投機を呼び、その保証をモノラインがしていた。そのため、モノラインの行っている保証の中身が無い、可能性が高い。 モノラインの怪しい保証の中身で確実に実態があるのは地方債の価値であり、これは実体と確実にリンクしている。

  バフェットは、今回の地方債の再保証で火中の栗を拾うことで 長期的にみて、絶対的な信用を取りに行った。つまり、10年後にシティ、メリルリンチ、ゴールドマンサックスは、アメリカ国民からほとんど信用されなくなるだろうが、バークシャーハサウエイは、国民、州政府からの 絶対的な信用を得ることになる。やっぱり、バフェットはただ者じゃない。)

( その後。 2008年2月12日 のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で金融保証会社(モノライン)の 米MBIA と アムバック・ファイナンシャル・グループの社債保有リスクが上昇した。

 米投資家ウォーレン・バフェット氏が地方債8000億ドル(約85兆8200億円)相当の再保証を申し出たが、サブプライム(信用力の低い個人向け)ローン関連証券が除外されていることが注目された。 モノラインにとっては福音のはずなのだが、今日もモノライン大きく下げた。モノラインの破綻回避はもはや不可能だろう。

終値 値        (下落率)
MBIA             11.50 -2.08 (-15.32%)
アムバック           8.90 -1.58 (-15.08%)
Security Capital Assurance   1.89 -0.16 (-7.80%)


● 「ニューヨークの不動産王ハリー・マクロー氏にデフォルト通知=WSJ」

2008年 02月 11日 ニューヨーク 、ロイター

 米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版は、ニューヨークの不動産王として知られるハリー・マクロー氏が11日、4件の不動産に関する債務についてデフォルト通知を受けたと伝えた。今後、差し押さえにつながる可能性があるという。

 WSJが複数の関係筋の話として伝えたところによると、貸し手がマクロー氏の債務31億ドルの返済期限延長に応じなかったことを受け、特別サービサー(債権回収業者)がデフォルト通知を送付した。


●「世界的な市場混乱に直面し形骸化が鮮明になったG7、メンバー国チェンジの声も」

2008年 02月 12日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/economicPolicies/idJPnTK
008733820080211

 「ユーロ諸国はユーロの導入後、しばらくは米国に気を使っていたが、その後は米国が何を言っても、真剣に取り合うことは無くなり、基本的に相手にしなくなった」とファースト・インターステート・リミテッド香港のCEO兼チーフ・インベストメント・マネージャーの中山茂氏は分析する。

 「米国の弱体化の中で、節度のない非道徳的(immoral)行動は、特に米金融界でまん延している」と斉藤氏は続ける。 「アメリカは詐欺まがいのビジネスモデルを作り上げて、世界中に押しつけた。 そのモデルが馬脚を現したというのが、サブプライム問題の本質だろう」と中山氏は指摘する。

 「一国の非道徳的行動や金融節度の欠如が引き起こした国際金融市場の混乱に対して、自分はすべき事をしたので、次は他国の出番だと言われても困る、というのが他のG7メンバーの本音だろう」(国際金融筋)という。

 「G7はグローバルな金融市場の実勢からみると、影響力をもつ代表国の集まりとはいえない。欧州代表は4カ国も必要なく、欧州連合に一本化し、後は、米国、日本と有力新興国の中国、インド、ロシアで構成すべきだ。」 とロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのウィレム・ビューター教授は語る。


●「世界的な市場混乱に直面し形骸化が鮮明になったG7、メンバー国チェンジの声も」

2008年 2月 9日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities/idJPnTK
008733820080209

 欧州が米国に距離を置く姿勢は、今回始まったことではない。「ここ10年ほど、G7を自分の都合に合わせて使おうという米国の意図があからさまで、欧州諸国はG7会議に距離を置くようになった。今となっては、ほとんどの国が、真剣に議論して具体的な結論を出すフォーラム だとは思っていないだろう」(国際金融筋)という。

 「ユーロ諸国はユーロの導入後、しばらくは米国に気を使っていたが、その後は米国が何を言っても、真剣に取り合うことは無くなり、基本的に相手にしなくなった」 トリシェECB総裁は、国際金融市場の混乱は、米経済の対外不均衡(米経常収支赤字)に起因するとの見解を明らかにしているが、G7後の会見でトリシェ総裁は「強いドルが米国の国益であるとの米高官らの考えを、興味深く拝聴した」

 とやや皮肉を込めて述べている。累積する巨額の対外赤字を抱える米国が、今後もドル高政策を続けることは不可能なことを、同総裁は十分承知しているはずだ。

 米独の確執は根深い。昨年4月にワシントンで開かれたG7には、ドイツのシュタインブリュック独財務相がアフリカへの家族旅行のために欠席し、5月にドイツのポツダムで開かれたG8財務相会合には、ポールソン米財務長官が多忙のために欠席した。 当時は経済規模でみて、世界のGDPのうちG7諸国のシェアは約7割だったが、現在は5割まで低下した。

 世界の外貨準備における米ドルの比率は2000年末の71.11%から昨年9月末の63.77% まで低下し、ユーロの比率は2000年末の18.30%から同26.43%まで上昇した。 昨年9月末で6兆0371億ドルの世界の外貨準備のうち、先進国が保有する分は1兆4783億ドルで、新興国が保有する分は4兆5589億ドルとなっている。

●「OPEC事務総長、「ドルに代えてユーロが石油取引に用いられることも」」

2008年02月10日    Jam-e Jam紙

  OPEC(石油輸出国機構)の石油取引にドルに代えてユーロをとイランが提案してから数ヶ月、この提案は次第にOPEC加盟国に支持されてきている。石油市場を大きく揺るがした最近の発言でアブドッラー・アルバドリーOPEC事務総長は、OPECは向こう10年のうちにドルに代えてユーロで石油価格を設定しうると発表した。

 バドリー事務総長は経済誌MEED〔Middle East Economic Digest〕のインタビューで次のように述べた。「OPECはドル価下落の悪影響を防ぐため、ユーロを用いることもあり得る。これは出来ないことではないが、確実に時間がかかるだろう。」 世界の国々は西暦2000年の初めから現在まで、ドル価下落によって多くの損失を被ってきたが、このことがユーロの用いられる可能性を高めている。ドル価はここ6年間で世界の主要通貨に対し約44%下落している。

 このような状況において、バドリー事務総長の発言は世界の株式市場でユーロの対ドル相場を引き上げた。 バドリー事務総長は、「ニューヨークやシンガポール、さらにはドバイといった大規模な石油取引市場で円やユーロが用いられるのをあなた方が目の当たりにすることもあり得る」と付け加えた。

 OPEC事務総長は「2つの世界大戦とその後の50年をかけて、ドルが国際取引における基軸通貨となった。 しかし現在、我々はこのユーロというもう一つの強力な通貨の台頭を目の当たりにしている」と指摘した。これはイランの提案に対してOPECが初めて示した真摯な反応とみなすことができる。

 イランで、石油製品取引所が活動を開始します。イランのノウザリー石油相が、石油製品取引所の活動開始について伝えました。 ノウザリー石油相は、13日水曜、「この取引所は、来週の日曜日に正式に活動を開始する予定である」と述べています。さらに、「OPECのようなガス生産国の組織の設立のための協議も継続する」と語っています。

● 「サブプライム問題、国内にも波紋拡大 戦略修正・再編に狂い」

2008年2月19日  産経新聞

 欧米に比べサブプライム問題の影響が軽微とされてきた国内金融機関だが、経営戦略に暗い影も差し始めている。サブプライム関連損失の拡大で業績悪化は避けられず、経営戦略の軌道修正を余儀なくされるところも出てきた。

 あいおい損害保険は18日、サブプライム関連投資で2008年3月期に800億~900億円規模の損失を計上する方向で調整に入った。証券化商品の時価が大幅に下落しているのが要因で、業績の下方修正は避けられない見通した。

 みずほフィナンシャルグループ(FG)は、 傘下のみずほ証券を中心に同関連の証券化商品が値下がりし、08年3月期のみずほFGの関連損失は3950億円に膨らむ見通し。その余波で、やはり傘下の新光証券とみずほ証券の合併も、当初予定の今年1月から5月に延期した。

 このため、みずほFGは、「傘下証券の合併を確実にする」(幹部)ため、みずほ証券に2500億円の追加増資を決めた。

 新生銀行も、同関連損失が昨年9月の198億円から12月末で228億円に拡大。08年3月期の業績予想も下方修正した。公的資金注入行は経営健全化計画の収益目標を3割下回ると、金融庁から行政処分を受ける。新生は前期も「3割ルール」に抵触しており、2期連続未達ならティエリー・ポルテ社長の責任問題に発展する可能性が強く、同行にとっては正念場だ。


● 2008年2月13日  ワシントンポスト紙

  ニューヨーク州知事のスピッツァー氏が、セックス・スキャンダルで辞任せざるを 得なくなったのは、ほぼ1ヶ月前にワシントンポストに載せた投稿のせいだと言われている。典型的な国策捜査で、辞任しなければ、訴追は免れなかった。

 投稿でスピッツァーは略奪的貸付を可能にしたのは、ブッシュ政権が2003年に通貨監査局を通して行った通達にあるとする。その通達によって、各州にあった略奪的貸付を禁止する法律を無効にした。さらに通貨監査局はルールを新しくして州当局による都市銀行から消費者を守ることを出来ないようにした。

 今回のサブプライムローンは、ブッシュ政権、格付け会社、投資銀行が一体になって、住宅購入者や、債券購入者に対して行った犯罪である。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


「この「第2ぼやき」記事を印刷する」
「82」 サブプライム危機から世界恐慌へ」 (17) アメリカ人(ユダヤ人ではない)投機家ジム・ロジャーズのインタヴュー記事をまとめて載せます。 2008.9.10

副島隆彦です。 今日は、2008年9月10日です。

 昨年の11月から今年の1月にかけて、何故か分からないが、世界中の金融・経済メディアに、投機家のジム・ロジャーズの発言が、相次いで、集中的に取り上げられた。 「自分は、もう、アメリカ国内のドル建て資産をすべて売り払って(処分して)、シンガポールに移住する。これからは、中国だ。中国の時代だ。それと、金融資産を、どんどん実物資産に置き換える」ということを、一貫して主張していた。

 私は、大方の線で、ジム・ロジャーズと同じような主張を、日本国でしてきた言論人なので、親近感を感じてきた。しかし、ジム・ロジャーズは、かつてジョージ・ソロスと組んで、国際為替投機や、1997年からのアジア通貨危機を仕組み、その前に、上海、香港の土地投機を激しくやった男なので、簡単には、信用しない。きっと大きな裏があるだろう。そのうちに露見するだろう。のちのちのために、ここに纏(まと)めて載せておく。
 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

(副島隆彦注記。私は、以下の記事の通り、ジム・ロジャーズがNYで買って、丁度30年暮らした家を、何と買った時の、150倍の値段で、テキサスの石油と、銀投資で有名なハント兄弟 の一族の女性に売った記事に、おおいに驚いた。ここには、歴史時間の経過と呼ぶべき、重要な金額の表示(指標、インデックス)が見られる。この記事は後々、参照するために重要である。副島隆彦注記終わり)

●「ジム・ロジャーズ氏:NYの自宅売却-約18億円、購入価格の150倍 」

Jim Rogers Sells New York Townhouse for $16 Million

2007年12月19日 ブルームバーグ

 投資家ジム・ロジャーズ氏(65)は、ニューヨークの自宅を1600万ドル(約18億1200万円)で売却した。価格は1977 年に購入したときの150倍だった。
  1年間売りに出ていたロジャーズ氏の6階建てのタウンハウスは、12月17 日に売れた。成約価格は売り出し価格より100万ドル高かった。仲介業者によると、ニューヨークのアッパーウエストサイドの1戸建てタウンハウスとしては最高額だった。
現在はシンガポールに住むロジャーズ氏は、このタウンハウスを1977年に 10万7000ドルで購入した。仲介業者のウェブサイトによると、ハドソン川を見下ろす同氏のタウンハウスは「ニューヨーク市で最も選りすぐりの物件の1つ」。
  ロジャーズ氏は10月31日のインタビューで、米住宅市場低迷の回復は「まだまだ先」との考えを示し、「4、5カ月で過剰在庫がはけることはない。数年かかるだろう」と話していた。

●「商品相場の中期的高騰続く 投資家のジム・ロジャーズ氏」

産経新聞 2008年1月27日

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080127/biz
0801271704001-n1.htm

 商品市況の長期的な強気相場を予測した元コロンビア大学教授のジム・ロジャーズ氏は産経新聞のインタビューに応じ、「10年以内に原油相場は1バレル=150から200ドルに突入する」と述べ、商品の中期的高騰は続くとの見通しを示した。一問一答は次の通り。

 --サブプライム問題が商品相場に与える影響は

「米国が不況に入り、需要が低迷すれば銅などの原材料や原油も影響を受けるかもしれないが、一時的なものにとどまる。原油は40年以上、巨大油田が見つかっていない。中長期的に見ればまだ上がる」

 --新興国の株式市場をどうみる

「今回の混乱で、中国以外の新興国株をすべて売った。2~3年で価格が下がれば買い戻すかもしれないが。中国は間違いなく大国になるし、インドやロシアより有望だ」

 --アジアでの日本の優位性は中国にとってかわられるのか

 「欧州の英国とドイツの関係をあてはめると答えはおのずから出てくる。英国は当初、ドイツの巨大化を恐れたが、結局両国とも存在感を増した。日本と中国は共存共栄を考えるべきだ」


● 「ロジャーズ氏の08年金見通し:当面は下落、後に反発しさらに高値へ」

Gold Will Probably Fall, Then End Year Higher, Jim Rogers Says

2008年1月18日 ブルームバーグ

 米投資家のジム・ロジャーズ氏は18日、今年の金相場について、しばらくの間下落するが、その後再び上昇し、現在の水準よりもさらに高値で一年を終えるだろうとの見方を示した。
ロジャーズ氏はブルームバーグのテレビ取材に応じ、金は「これまで非常に強気相場で推移していることから」下落に向かうと述べ、「相場が下落すれば私はさらに金に買いを入れるだろう」と続けた。

 金現物は今月14日にオンス当たり914.30ドルと、最高値を記録。少なくとも第2次世界大戦以降では最長期間の上昇相場を記録している。原油高がインフレを加速させたほか、信用市場の混乱で投資家が質への逃避を求めたのが背景だ。金相場は2007年に31%上昇し、年間ベースでは7年連続での上昇を記録した。


●「ジム・ロジャース氏:ドルとポンド売り、人民元とスイス・フラン買い」

 Rogers Says Global Currencies are `Under Stress,' Sells Dollar

2008年1月7日 ブルームバーグ

 投資家のジム・ロジャーズ氏は7日、世界の通貨が「圧迫される」なか、ドルとポンドに売りを出したと明らかにした。 同氏はシンガポールからのテレビインタビューで、「世界経済にはインフレが生じており、米国と英国政府はこれまでインフレに関してうそをついてきた」と指摘。「紙幣を増発すればその分状況は悪化する」と述べた。同氏はまた、中国人民元とスイス・フランに買いを入れたことも明らかにした。

●「ジム・ロジャーズ氏:米リセッションは「世界を駆けめぐる」-CNBC」
Jim Rogers Says U.S. Recession Will `Ripple Around the World'

2007年12月14日 ブルームバーグ

 投資家ジム・ロジャーズ氏は14日、米経済専門局CNBCとのインタビューで、米経済は既にリセッション(景気後退)入りしているとの見方を示すとともに、米国のリセッションは全世界に影響をもたらすだろうとの見解を示した。

 同氏は「米国のリセッションは世界を駆けめぐり、中国の一部にも及ぶだろう。ただ、中国経済の多くの部分は米国のリセッションについて知らないままに終わるだろう」と語った。同氏はニューヨークの自宅を売却し家族とともに中国に移住しようとしている。

 同氏はまた、ドルを空売りしているとして、「ドルは英ポンドと同じ道をたどり、世界の準備通貨の地位を失うだろう」と述べた。


●2007年11月24日

 投資家ジム・ロジャーズ氏は23日、ABNアムロ・マーケッツ主催のアムステルダムでの 会合で、自分自身の資産をすべて米ドル以外に移し、中国の人民元を買う計画を示した。 米金融当局がドルの価値を押し下げる政策を取っているからだと説明した。

 ロジャーズ氏は「向こう数カ月で自分の全資産を米ドル以外の通貨に移したい」と語り、 「米国の状況について、それくらい悲観的だということだ」と説明した。 同氏は中国の人民元は向こう10年で4倍になるとの予想を示した。また、プラチナや 金、銀、パラジウムなどの保有を続けるつもりだと語った。

  米ドルは今年、主要16通貨のなかでメキシコ・ペソ以外のすべてに対して 下落して いる。米国の成長減速や9月の利下げで、ドル建て資産の人気が低下した。 ロジャーズ氏は、ドルの「質を下げるのが、米国の中央銀行と政府の公式の政策だ」 と述べた。同氏は「米ドルは世界の準備通貨だが、これは変わりつつある」とした 上で、「かつて世界の準備通貨だった英ポンドは、その地位を失う間に80%下落した」と指摘した。

 ロジャーズ氏は人民元について、「今買うのに最良の通貨」だろうとして、「向こう10年前後で人民元が大きく下落する状況が思い浮かばない。3倍にも 4倍にもなるだろう」と指摘。高成長の中国は「21世紀の最も重要な国になるだろう」との見方を示した。

 同氏はまた、スイス・フランと円を買っているとして、「この2通貨はキャリー トレードのため下落している」が、円とスイス・フランを調達通貨としたキャリー トレードには「いつの日か巻き戻しが起こり」、これらの通貨は「一直線に上昇するだろう」と予想。「私は円を買っている」と述べた。

 ロジャーズ氏は株と債券の上昇相場は「終わった」との見方を示した。一方、商品については強気を維持し、「今後5、10、15年に富が築けるのは商品だろう。現在の上昇相場は2014-22年ごろまで続くだろう」と語った。また、「貴金属よりも農産物が高リターンだと思う」と述べた。

●「ジム・ロジャーズ氏:米国は史上最悪の「信用バブル」-調整は6年」
Jim Rogers Says U.S. Enduring Worst `Credit

2007年11月5日 ブルームバーグ

 投資家ジム・ロジャーズ氏は5日、インタビューに応じ、米国の信用市場は史上最悪のバブルの状態にあるとし、過剰をそぎ落とすには最大6年かかる可能性があるとの見方を示した。

 同氏は「米国の歴史のなかで、頭金なしに住宅が買えたことなどいまだかつてなかった」と指摘。「米国は過去最悪のバブルを体験中で、調整には長い時間がかかるだろう。バブルは5、6カ月で治癒(ちゆ)するものではない。5、6年かかるだろう」と語った。

 ロジャーズ氏はまた、米ドルと投資銀行株には悲観的だとして、「ドルは非常に深刻な状態にある」と述べた。同氏は「世界には買うものがいくらもある。慎重にして、ウォール街の投資銀行の株のようにバブルになっているものを買わないようにすればいいだけだ」と語り、「投資銀行はまだまだ、大掃除の余地がある。ウォール街に友人は多いが、彼らは資産に起こっていることを理解する必要がある」と解説した。

●「 ロジャーズ氏:バーナンキ議長は「正気の沙汰ではない」-利下げ批判 」

Jim Rogers Says Bernanke Is `A Nut' for Cutting Rates

2007年11月2日 ブルームバーグ

 投資家ジム・ロジャーズ氏は米利下げがインフレ加速を引き起こし経済を損なっているとして、バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の政策は「正気の沙汰ではない」と批判した。

 ロジャーズ氏はニューヨークでインタビューに応じ、「バーナンキ氏はお札を印刷したくて仕方がない」と述べ、「正気の沙汰ではない。ドルの価値は崩壊しつつある。商品価格は天井知らずの高騰だ。つまりインフレも天井知らずに上昇するということだ。連中のせいでとんでもない事態になるだろう」と続けた。

 ロジャーズ氏(65)はビーランド・インタレスツの会長。同氏はまた、米銀大手のシティグループと住宅金融最大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)の株式を空売りしていることも明らかにした。  FOMCは10月31日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25 ポイント引き下げて4.5%に設定。これで6週間で合計0.75ポイントの利下げが実施されたことになる。

 S&P500種金融株価指数は今年に入り15%急落。サブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ローン市場の急激な悪化で借り入れコストが上昇、証券の評価損計上を余儀なくされる銀行が相次いだ。

 シティグループ、ファニーメイ  シティグループが先月発表した第3四半期決算は57%の減益だった。2日のニューヨーク株式市場でシティの株価は2003年4月以来の安値に急落。現地時間午前10時44分現在、前日比1.02ドル(2.7%)安の37.49ドルで推移している。

 ファニーメイの株価は前日比2.32ドル(4.3%)下げて52.18ドル。年初来では12%下げ、2006年9月以来の安値で推移している。 シティの広報担当者マイケル・ハンレッタ氏、およびファニーの広報担当者ジェイソン・ロボ氏のコメントは得られていない。

 ロジャーズ氏はジョージ・ソロス氏と共同で1970年代にクオンタム・ヘッジ・ファンドを創立。90年代には世界を旅して思いついたアイデアを著書「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見」、「大投資家ジム・ロジャーズが語る商品の時代」などの執筆に活かしたという。同氏はまた、世界的な商品の上昇相場が1999年に始まると予想したことでも知られる。


●「ロジャーズ氏、米金融株の売り持ち高を拡大-過剰報酬で70%下落も 」

Jim Rogers Bets Against U.S. Investment Banks, Housing Stocks

2007年10月31日 ブルームバーグ

 投資家のジム・ロジャーズ氏は31日、ロンドンでインタビューに応じ、証券や投資銀行など米金融株の売り持ち高を増やしていることを明らかにした。金融業界の「過剰に高い」報酬と投資損が理由。同氏は資産家ジョージ・ソロスとヘッジファンドのクオンタムを創設したことで知られる。

 ロジャーズ氏は「ウォール街では29歳の若者が1年に1000万―2000万ドルも稼いでおり、それを当たり前だと考えている。過剰報酬が横行している」と指摘。弱気相場に入れば金融株は最大70%下落する可能性もあるとの見解を示した。

 同氏は過去1年にわたり売り持ちにしている米金融株のポジションをここ6週間でさらに拡大させたと述べた。ETF(上場投資信託)や個別銘柄を通じて売り持ち高を膨らませたとしたが、具体的な銘柄への言及は避けた。

 米金融機関で最も利益を上げているゴールドマン・サックス・グループは9月20日、1-9月に従業員に支払う報酬(給与・諸手当・賞与)の準備金として169億ドルを積み立てたことを明らかにした。昨年度通期を上回る過去最高額となっている。その1カ月後、メリルリンチはサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連の証券投資などで四半期の評価損としては過去最高となる84億ドルを計上した。

 ロジャーズ氏は「投資銀行は巨額の悪質な証券を抱えており、財務状況がどれだけ悪いかは誰にも分からない」と指摘した。
 同氏は自己資金を使ってこれらの投資を実施したとし、運用資産の規模については言及を拒否した。

住宅市場    米住宅市場の低迷については、「回復にはまだ長い時間がかかる。4、5カ月では過剰な住宅在庫は解消できない。数年はかかるだろう」と語った。 全米不動産業者協会(NAR)が24日に発表した9月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年換算)は前月比8%減の504万戸と、同統計の算出開始(1999年)以来で最低だった。

 ロジャーズ氏は米住宅株を3年前から売り持ちにしていることを明らかにした。ただ、ニューヨークで保有している6階建て住宅を提示価格の1500万ドルを上回る値段で売却しようとしていることも明らかにした。その上で、「米住宅市場は堅調な地域もあれば、そうでない地域もある」と述べた。

●  日本政府は、日本が大量に保有している米国債を売却することは、実際上、不可能である。

 米国債を売れないように、日本の機関投資家(大銀行、生保、大証券)は、それぞれ一札入れさせられているらしい。間に、日本の財務省のアメリカの手先代表(日本の大蔵官僚の中の大場とも満ら、旧国金局=「通貨マフィア」のロックフェラー財閥の子分たち)たちが、入っている。

 もし保有する米国債を売却すれば、米国債は市場で暴落する。その売却代金を、たとえば、10兆円(1千億ドル)でも円転して日本国内に持ち帰れば、その円転(ドル売り)の時点で、超円高になる。

 日本政府が保有する米国債は、FRBの管理下に置かれている。米財務省とは、一応、別個の管理下にあることになっている。
勝手に売ることはできない。まるで「火星の土地」を買ったようなものである。

 当事者達は「いや米国債は利子を生む」と引下がらない。しかしその利息でまた米国債を買っているのだから、火星の土地がさらに増えるだけである。 これが使えるようになるのは、おそらく円レートが40円以上にもなって日本の産業が 完全に崩壊した後であろう。


●「NY株、一時最高値 150ドル高まで上昇」

2007年10月6日 共同通信

 10月5日 のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、米サブプライム住宅ローン問題の拡大による米景気の失速懸念が後退したとの見方から続伸し、3日ぶりに1万4000ドルの大台を回復した。一時、前日比150.23ドル高の1万4124.54ドルに達し、一日につけた取引時間中の最高値を更新した。

 終値は前日比91.70ドル高の1万4066.01ドル。ハイテク株主体のナスダック総合指数は46.75ポイント高の2780.32。朝方発表の9月の米雇用統計が市場予想を上回り、サブプライム問題の拡大による実体経済への影響は限定的と受け止められたため、買い安心感が広がった。ただ取引終了にかけては、週末で利益確定の売り注文も出て、上げ幅を縮小した。(共同)


● ジム・ロジャーズ独占インタビュー 「米国に代わる国は、中国以外に無い」

2008年01月31日 週刊ダイヤモンド編集部

 ジョージ・ソロスの右腕として10年間で4200%という驚異的なリターンを実現したことで知られるあの伝説の投資家、ジム・ロジャーズが、長年住み慣れたニューヨークを後にし、シンガポールに活動の拠点を移した。理由は明快だ。米国よりアジアに確かな未来を感じたからだという。稀代の相場師は、週刊ダイヤモンドとのインタビューで、サブプライム・ローン問題に揺れる米国経済の行方にひときわ厳しい評価を下した。

 週刊ダイヤモンド(以下D.W):米国を離れ、シンガポールに移住した理由は何ですか?

ジム・ロジャーズ  端的に言えば、中国語圏の都市に移住したかったからです。ひとつはパーソナルな理由によるものです。私には中国語が話せる4歳の娘がいますが、その語学力をさらに伸ばしてあげられるような環境に移りたかった。その点、英語や中国語などを公用語とするシンガポールは移住先として申し分ありませんでした。

 ただ、それだけではありません。私自身、“未来の波”に乗りたかったからです。現在の中国語圏に居を構えることは、1907年のニューヨーク、1807年のロンドンで暮らすことに等しいと思っています。

D.W:しかし、なぜ北京や上海ではなくシンガポールなのですか?

J.R:むろん北京や上海などの中国本土の大都市に加えて、香港も考えました。しかし、公害がひどく、どうしても踏み切れなかった。その一方で、シンガポールには優れた医療や世界最高レベルの教育制度があり、これから先何年も住みたい場所だと思ったのです。

D.W:米国に住んでいては、あなたのいう未来の波に乗れないと考えたのですか

J.R:こう答えましょう。私が後にした米国経済は今、ひどい状態にあります。サブプライム・ローン問題で広がった膿を出し切るまで、あと5~6年はかかるはずです。振り返れば、近年の信用バブルは、米国史上最悪のものだったといわざるを得ません。

 私はかなり前から警告を出し続けていました。私自身、3年前には住宅建設関連株やファニー・メイ(米連邦住宅抵当公庫)債券を手放しています。また2007年早々に、シティバンクを含めた投資銀行関連株も売り払った。

 だがほとんどの人は、私の警告に耳を貸さなかったのです。 その上、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げで、状況がさらに悪化している。インフレが蔓延しているというのに、いいですか、繰り返しますが、インフレが目の前にはっきりと姿を現していたにもかかわらず、利下げを繰り返した。これによって、米国はドルがどんなに弱体化してもかまわないというシグナルを世界中に送ってしまったわけです。

 通貨の価値を下げることで国際競争力を取り戻そうとした国は歴史上いくつもありますが、この方法は短期的には有効であっても、中期、長期的にはまったくうまくいった例がありません。

D.W:しかし、FRBの金融緩和がなければ、米国経済はすでに本格的な景気後退局面に突入していたのでは?

J.R:私はこう見ています。アラン・グリーンスパン、ベン・バーナンキとFRB議長が2代続いて米国経済の基盤を損ねたのだ、と。金融緩和とは景気後退に一時しのぎの絆創膏を貼ったようなものです。やや乱暴な言い方ですが、景気後退をさっさと起こさせればいいのです。経済にとって景気後退は決して悪いことではありません。

 景気後退には過剰な部分を取り去って、経済システム全体を正常化させる機能があるからです。 もちろん、景気後退によって損害を被る人びとも出てくるでしょうが、後になって国全体が悪質なインフレに苛まれるよりはましです。しかし、FRBは痛みを避ける道を選んでしまった。この政策の失敗によって、米ドルが“傷物”通貨になってしまったことを、私は嘆かずにいられません。

D.W:ドル相場はさらに下げると見ていますか?

J.R:短期のことを聞いているのですか? であるならば、目先の相場はまた別の視点から語る必要があります。ドルは確かに軟調ですが、よほどのことがないかぎり、急降下をひたすら続ける通貨などはありません。通貨に対する悲観が一辺倒な場合、次に急激な上昇が起こることはじつは多いのです。ただ、私自身は、やはり中国の元に注目していますが。

D.W:しかし、その中国については、バブル崩壊の懸念が高まっています。

J.R:私は、一般の懐疑心が強ければ強いほど、元を買いますね。中国経済がこれからトラブルに見舞われるのは本当のことだと思います。ただ、19世紀の米国は15の不況と南北戦争と4代の大統領を経て経済大国に成長したことを思い出してください。

 しかも中国は、歴史上何度も興隆を経験した唯一の国家です。今、米国に代わる国家があるとすれば、やはり中国以外にはありません。インドやベトナム、アンゴラなど、他の新興国も期待できますが、今やMBA(経営学修士)の連中が世界中を踏破して新興経済圏は喰い尽くされた感があります。だから私は、中国関連を除いて新興経済関連株はすべて売ってしまったところです。(聞き手:在米ジャーナリスト 瀧口範子)

●(フォーチュン誌のジム・ロジャーズへのインタヴュー記事)

'It's going to be much worse'  Famed investor Jim Rogers sees hard times ahead for the United States - and a big opportunity looming in China.   By Brian O'Keefe, senior editor

Jim Rogers says the Fed, and Fed Chairman Ben Bernanke, are out of control.

The central bank's second interest rate cut in a week raises the risk of inflation and bails out the banks.
Legendary investor Jim Rogers made a bundle by anticipating a boom in commodities. Now he's focusing on the People's Republic.

NEW YORK  (Fortune)    -- You might expect Jim Rogers to be gloating a little bit. After all, the famed investor has been predicting a recession in the U.S. economy for months and shorting the shares of now-tanking Wall Street investment banks for even longer.

 And with fears of a recession sparking both a worldwide market sell-off and emergency action from Federal Reserve chairman Ben Bernanke, Rogers again looks prescient - just as he has over the past few years as the China-driven commodities boom he predicted almost a decade ago began kicked into high gear.

  But when I reached him by phone in Singapore the other day there was little hint of celebration in his voice. Instead, he took a serious tone.

"I'm extremely worried," he says. "I have been for a while, but I just see things getting much worse this time around than I expected." To Rogers, a longtime Fed critic, Bernanke's decision to ride to the market's rescue with a 75-basis-point cut in the Fed's benchmark rate only a week before its scheduled meeting (at which time they cut it another 50 basis points) is the latest sign that the central bank isn't willing to provide the fiscal discipline that he thinks the economy desperately needs.

"Conceivably we could have just had recession, hard times, sliding dollar, inflation, etc., but I'm afraid it's going to be much worse," he says. "Bernanke is printing huge amounts of money. He's out of control and the Fed is out of control. We are probably going to have one of the worst recessions we've had since the Second World War. It's not a good scene."

Rogers looks at the Fed's willingness to add liquidity to an already inflationary environment and sees the history of the 1970s repeating itself. Does that mean stagflation?  "It is a real danger and, in fact, a probability."

Where the opportunities are

 The 1970s, of course, was when Rogers first made his reputation - and a lot of money - as George Soros's original partner in the Quantum Fund. And despite his gloomy outlook for the U.S., he still sees opportunities in today's world. In fact, he sees the recent correction as a potential gift for investors who know where to head in global markets: China.

Rogers has been fascinated with China ever since he rode his motorcycle across the country two decades ago, and he's been a full-fledged China bull for several years. In December he published his latest book, an investor-friendly tome titled "A Bull in China:

 How to Invest Profitably in the World's Greatest Market." And that same month he sold his beloved Manhattan townhouse for $15.75 million to a daughter of oil tycoon H. L. Hunt and moved his family full-time to Singapore - the better to be closer to the action in Beijing and Shanghai. (He bought the New York mansion 30 years ago for just over $100,000; not a bad return on his investment.)

But in a November interview I conducted with Rogers, he admitted that he was rooting for a serious correction in China to cool off an overheating market and bring back prices to a reasonable level. With the bourses in Shanghai and Hong Kong both some 20% off their recent highs as of late January, Rogers says he's starting to consider new investments.

"I'm delighted to see what's happening in Shanghai and Hong Kong," he says. "As I've said, if things hadn't cooled off, the Chinese market was in danger of turning into a bubble. I find this most encouraging.

 The government's been doing its best to try and cool things off. Mainly they've been trying to deal with real estate but it's having an effect on stocks, too. I would suspect the correction isn't quite over in China. But I'm gearing up.

 I didn't put in any orders for tomorrow but I'm starting to prepare my list of things to buy in China. Whether I buy this week or this month or this quarter, who knows. But I'm starting to think about buying new shares in China for the first time in a while. And I'm not thinking about buying in America."

 Ultimately, Rogers doesn't think that the troubles in the United States will be much of a drag on the prospects for the People's Republic. "Anybody who sells to Sears (SHLD, Fortune 500) or Wal-Mart (WMT, Fortune 500) is going to be affected, without question," he says. "Some parts of the Chinese economy are going to be untouched, however. They won't even know America's in recession. They won't care if America falls off the face of the earth."

“We are probably going to have one of the worst recessions we've had since the Second World War. It's not a good scene.” Jim Rogers

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


「この「第2ぼやき」記事を印刷する」
「81」「サブプライム危機から世界恐慌へ」(16) 2008年8月に起きたことの記事を載せます。 2008.9.4

副島隆彦です。 「15」に続けて、2008年8月に起きたことの金融記事をまとめて載せます。 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●「中国銀行:ファニーとフレディ債の保有29%減らす-保証MBSは22%減 」

2008年8月29日 ブルームバーグ

 中国の銀行大手、中国銀行は米住宅金融投資会社ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の社債(連邦機関債)の保有を過去2カ月に29%減らした。両社の損失拡大や米政府による救済憶測のなかで保有高を圧縮した。

 中国銀行が決算とともに発表したところによると、同行は6月30日-8月 25日の間にファニーメイ・フレディマック債の保有を約31億4000万ドル減らして75億ドルとした。両社が保証する住宅ローン担保証券(MBS)は22%減らし51億7000万ドル相当とした。

 米財務省はファニーメイとフレディマックの財務状況が悪化した場合は支援することを表明しているが、アジアの投資家は両社への慎重姿勢を強めている。米資産運用会社ルーミス・セイレスのダニエル・ファス副会長は今週、海外投資家は「信用への懸念から投資を手控えている」と指摘していた。


● 「仏クレディ・アグリコル4-6月 前年同期比94%減益-評価損響く」

2008年8月28日 ブルームバーグ

 時価総額でフランス3位の銀行、クレディ・アグリコルが28日発表した2008年4-6月(第2四半期)決算は、米国の金融保証会社(モノライン)関連の評価損が響き、前年同期比94%減益となった。

 発表資料によると、純利益は7600万ユーロと前年同期の12億9000万ユーロから減少。ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリスト予想の中央値(1億5000万ユーロ)も下回った。

 第2四半期にはモノラインの保証付き証券で6億9300万ユーロの評価損を計上した。アナリストは評価損の総額を10億5000万ユーロと予想していた。証券部門のカリヨンは3四半期連続の赤字だった。

 MFグローバルのアナリスト、マムーン・タジ氏は決算発表前に、「カリヨン部門のリスクテークが全体の業績低迷の理由だ」とし、投資銀行事業の見直しがリスクテーク意欲と将来の収益力に影響するのは必至だと指摘した。

 クレディ・アグリコルは今年3月までに、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン危機に絡む評価損55億ユーロ(約8900億円)を計上し、5月には証券部門のトップを更迭。7月には59億ユーロの増資を実施した。6月末時点の中核的自己資本(Tier1)比率は8.9%だった。

 クレディ・アグリコルは5月15日に、パトリック・バルロフ氏をカリヨン部門のトップに指名。7月17日には同部門の幹部陣を刷新した。同行はカリヨンの再編について9月10日に詳細を発表する。また、向こう1年半-2年の間に50億ユーロ相当の資産を売却する方針も5月に示した。


●「米倒産、歯止めかからず 7月5600件に急増、3年ぶり高水準 」

2008年8月28日 日経新聞 ニューヨーク

 米企業の倒産ペースが加速している。7月の倒産件数は前年同月比57%増の5664件と、法的整理の条件が厳しくなった2005年10月以降、単月として過去最高だった。 個人消費の冷え込みを映し、小売り、外食企業の倒産が目立つ。 8月に入っても住宅、自動車関連の不況業種の倒産が続出。 金融機関が融資基準を厳しくしていることもあり、当面は倒産件数が高止まりするとの見方が支配的だ。

 企業が裁判所に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)や清算などを申請した件数を、米民間調査会社ジュピター・ イーソーシズがまとめた。7月の倒産件数は直近のピークだった
5月(5319件)を上回り、3年ぶりの高水準。倒産件数は年初は月4000件台で推移していたが、ガソリン高による個人消費の伸び悩みや住宅公社の経営問題を受けた信用収縮を背景に件数は 増加傾向にある。

●「8月の英住宅価格、ほぼ20年ぶりの大幅低下-ネーションワイド 」
U.K. Annual House Prices Drop Most Since 1990, Nationwide Says

2008年8月28日 ブルームバーグ

 英住宅金融4位のネーションワイド・ビルディング・ソサエティが28日発表した8月の英住宅価格は、前年同月比でほぼ 20年ぶりの大幅低下となった。住宅ローンの貸し渋りやリセッション(景気後退)の見通しが、住宅購入意欲の低下につながった。

 8月の平均住宅価格は前年同月比10.5%低下の16万4654ポンド(約3300 万円)と、1990年10-12月期以来の大幅な落ち込みとなった。前月比ベースでは1.9%の低下。7月は同1.5%低下だった。

 約10年ぶりの高水準にあるインフレ率や景気の停滞、銀行による住宅ローンの貸し渋りを背景に、不動産相場は90年代初めの前回リセッション以来の大幅な落ち込みとなっている。イングランド銀行のキング総裁は今月、10年間にわたり活況が続いた後、住宅価格は「著しい調整」に直面しているとの見方を示した。

 ネーションワイドのチーフエコノミスト、フィオヌアラ・アーリー氏は「最近の住宅市場の動きは非常に鈍い」と指摘。「経済や住宅市場の状況に対する信頼感はおおむね弱い」との認識を示した。イングランド銀は、インフレ加速と景気後退のリスクを両にらみし、政策金利を4月以降5%に据え置いている。

●「日米欧、ドル防衛で秘密合意 3月の金融危機時」

2008年8月28日 日経新聞

 米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけにした米金融不安でドルが急落した今年3月、米国、欧州、日本の通貨当局がドル買い協調介入を柱とするドル防衛策で秘密合意していたことが明らかになった。

 ドル暴落で世界経済に大きな混乱が広がるのを回避するためで、為替市場の安定に向けた緊急共同声明も検討された。米ブッシュ政権はかねて介入に慎重姿勢を貫いてきたが、深刻なドル離れで方針転換を余儀なくされた格好だ。米国主導のドル防衛策は過去にほとんど例がない。米住宅公社の経営問題などでドル不安はなおくすぶっており、各国当局が再び連携を探る可能性がある。

 複数の国際金融筋によると、各国当局がドル防衛策の詰めの作業に入ったのは、米証券大手ベアー・スターンズの経営危機が表面化した3月中旬。金融システムの動揺が収まらず、世界的なドル安、株安に歯止めがきかなくなっていた。

●(副島隆彦注記。アメリカはこの4月に、時価会計を放棄して実質、骨抜きにし、ルール変更したくせに、このようにわざとらしいことをやってみせる。本当に偽善者どもの国だ。)

「米SEC、国際会計基準への切り替えスケジュール提案 」

2008年8月28日 AP通信 ワシントン

 米証券取引委員会(SEC)は27日、 上場企業の国際会計基準採用を2年以内に認める方針を打ち出した。 2014年以降は全上場企業に対し採用を義務付ける可能性もある。 グローバルスタンダード受け入れをめぐっては一部の投資家や議員から反発も出ているが、 推進派は金融市場の国際化が進む中で当然の動きであり、 国外の企業を呼び寄せる一助にもなると指摘している。


●「経済コラム、米住宅公社問題から恐ろしい現実が見える - W・ペセック」

2008年8月27日 ブルームバーグ

 機密情報資料。失業統計。国家安全保障費の見積り。政局の世論調査。世界のリーダーたちは、よく読んで理解しなければならない書類が山積している。米国の次期大統領の必読書類リストにはさらに、連邦準備制度理事会(FRB)の表「H.4.1」が加わる。

 エコノミストたちは、ニューヨーク連銀が毎週発表する資料から、この表を入手している。資料の名前は無味乾燥な「準備金の構成項目と収支」というもので、歴代の米大統領たちがその内容を熟読していたことが知られていないのは無理もない。

 次期大統領は同表から、外国人が米国の生活水準を維持する上でいかに積極的に資金を提供し続けているかを知ることになる。悲しいかな、米国民は、アジアからの資金提供がない状態で生き抜く方法を学ばなければならない十分な理由がある。

 多くのアナリストが予想していたような大幅なドル資産離れは、まだ起きていない。米国債に対する需要は、ドルが下落し、信用危機が深刻化するなかでも、極めてしっかりしている。米住宅公社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の問題ですら、まだ大幅な資本逃避をもたらしていない。

 「まだ(yet)」という単語がここでは重要な意味を持つ。中銀が保有する米政府機関債が今月約100億ドル減少したのは、資本逃避が進行中であることを必ずしも意味するものではない。しかしアジア諸国は、米当局が住宅公社の問題にどのように対処していくか、憂慮しながら見守っている。

 格付け会社フィッチ・レーティングスでアジア地域のソブリン格付け担当責任者、ジェームズ・マコーマック氏(香港在勤)によると、中国はファニーメイとフレディマックを中心に長期の政府機関債を3760億ドル相当保有している。ファニーメイとフレディマックは大き過ぎてつぶせないだけでなく、地政学的な意味も大き過ぎて倒すわけにはいかない。

  恐ろしい結果
 中国人民銀行の元貨幣政策委員、余永定氏は先週、「米国政府がファニーメイとフレディマックの破たんを容認し、海外の投資家に十分な補償を行わなければ、恐ろしい結果になる」と指摘した。「それが世界の終わりでないとしても、現在の国際金融システムの終わりということだ」と語った。

 ファニーメイとフレディマックが救済されたとしても、最近の動きはわれわれが知るところの米国の金融取り決めの終わりを示している。米国が今考慮すべきは現実である。 この問題に対処していく上では、中国だけでも十分厄介な「顧客」ということになる。控えめに見積もっても、中国が保有する米政府機関債は同国の国内総生産(GDP)の10%に相当する。米国が、投資家に対し返済の遅れと減額を通知したらどうだろう。

 五輪の成功にどっぷり浸っている中国国民13億人は、自分たちに多大な損失を被らせ、米国民が依然として裕福な状態に、どのように対応するだろうか。FRBの表で立場を逆転させてみれば、米国民の間で中国への資金提供をやめるべきだとの世論が高まることは容易に想像できよう。

  アジアの担保
 米国は現在のような危機的状況にあっても足元は今後も堅固との理論は、同国がアジアからの資金にいかに依存しているかという点を軽視している。米国は過去数年間にわたり生産性の高い経済を構築してきており、アジア諸国はそれを担保にしていると、しばしば指摘される。確かにそれは本当だ。

 同時に、アジア諸国には選択肢がほとんどないのも事実だ。貿易黒字の規模を背景に、アジア各国は最も流動性の高い証券市場に資金を投資し、自国通貨が競争面で不利な水準まで上昇することを回避する以外に、ほとんど選択肢がないのだ。

 選択肢の1つとしては、ユーロ建て資産への投資が挙げられる。ただし、ドル資産からの分散投資はリスクを伴う。ドル資産を大量に保有する日本や中国、ロシアといった国々がユーロ資産にシフトしていることを投資家がかぎつければ、ドル相場は大きく下げ、中銀は多大な損失を被ることになる。

 共存関係の話のようだが、実際の問題は米国の海外資金への依存度合いだ。米国の経常収支赤字は2008年1-3月(第1四半期)に1764億ドルと、1993 年以来の平均1000億ドルを上回っている。それは、米国が世界の景気拡大を支えてきたことによるのではなく、アジアの資金が米国に危険なまでに身の程を超えた生活を提供してきた結果である。

  ほころびた金融システム
 米金融業界の苦境がさらに深刻化した場合、アジア諸国は投機的な投資を回避するために、米国に投資していたそうした資金が必要になる。その場合でも、過去1年間のドルの乱高下がアジア諸国を慎重にさせるだろう。

 米ベアー・スターンズの事実上の破たんを受けて米国型の資本主義への信頼が損なわれるなか、ドルは米金融当局による利下げを受け、過去1年間に対ユーロで7%、対円で5%それぞれ下落した。米金融機関に巨額の出資を行っている政府系投資ファンド(SWF)も考え直すかもしれない。

 民主党のオバマ候補、共和党のマケイン候補、どちらが就任するにせよ、次期米大統領はほころびが見られる米金融システムを修復し、国民に過度の借金体質を改善させることが課題になる。米国がアジアからの資金にこれまでほどは頼れないと認識するなかで、そうした過程はより厳しいものとなろう。

 マケイン候補は、アジアからの資金なくしてどのように減税分を補うのだろうか。オバマ候補は、米国がかくも依存している地域に対し用いている保護主義論をどうやって貫いていくのだろう。

 両候補が問い掛けている強いアメリカ論はすべて、米国がいかに経済政策面での一部自治権を失いつつあるかという点を無視したものだ。ポールソン米財務長官が取り組んでいる政府機関債の再構築への動きは外交政策の意味を持ち、今後もそうしたプリズムを通して見ていかなければならないだろう。次期大統領が多忙であることは間違いない。そして、アジアからの資金流入がこれまでより細るなかでかじ取りを強いられることは、さらに疑いようがない。


●「FRBによる金融危機回避措置の代償は-Jベリー 」

2008年8月28日 ブルームバーグ

 サブプライムローン(信用力が低い個人向け住宅融資)問題が引き金となった金融危機から1年が経過して、米国の金融システム内にある多くの弱点が明らかになってきた。政治的に可能だとしても、こうした弱点をすべて克服するには数年かかりそうな気配だ。

 金融機関の破たんが金融システム全体の崩壊につながるようなシステミックリスクを回避するには、相互に関連した多くの措置が必要となる。そうした災難は今年3月、かろうじて回避された。米連邦準備制度理事会(FRB)が米証券大手のベアー・スターンズの破たん回避に向けて、例外的な措置を講じたためだ。

 つまり、こうした措置は金融機関のリスクを制限する方法が含まれることになるだろう。必要な措置の多くは強い反対に遭うことになりそうだ。というのも、リスクを制限すれば、かつてのような高い収益性を回復することができなくなるからだ。

 米モルガン・スタンレーのエコノミスト、リチャード・バーナー氏は今月25日、投資家は「レバレッジやリスクテーク、金融機関の収益などに対する規制が何を意味するか完全には理解していない」と指摘した。しかし、野放図なリスクテークや金融システムを十分監視していなかったことの代償は大き過ぎて、放置するわけにはいかない。

  規制回避
 米国の金融業界やそのロビー集団は政治家の主要な資金源でもあり、大部分はその種の規制強化を回避することが可能だった。それが間違ったことだとしても、彼らは再び規制強化を阻止することができるかもしれない。 これに対し、FRBのバーナンキ議長は今月22日の講演で、「金融システムの将来や金融関連規則をめぐって起きる国民的な議論」となる問題の一端を示した。こうした議論の及ぶ視野は気が遠くなるほど幅広い。

 ベアー・スターンズ問題は、重大なシステミックリスクをもたらす可能性のある金融機関の破たんへの対処に関して、「明確な法的枠組み」が存在しなかったという事実を浮き彫りにした-。バーナンキ議長はこう指摘した。通常の時間がかかる破産手続きは明らかに機能しないのだ。

 FRBは前例のない措置で、米銀JPモルガン・チェースによるベアー・スターンズの救済合併を後押しした。これは潜在的に税金投入につながる可能性があるため、同議長は財務省に責任を移譲し、資金源を付与する法律の成立を提案した。

 他の投資銀行がベアー・スターンズのような流動性危機に陥らないようにするため、FRBは窓口貸付制度の対象をプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)にまで広げた。それは、「異常かつ切迫した環境」の下では銀行業以外に対しても中央銀行の貸し出しを認めた大恐慌時代の法律を拠り所としている。「異常かつ切迫した環境」は、今まさにサブプライム危機に当てはまる。

 ただ、バーナンキ議長や他の金融当局者らは、そうした貸出制度の権限が明確に付与されるように「連邦準備法」の改正が必要だと考えている。それと同時に、当局者らはFRBが投資銀行にも窓口貸付を行うとすれば、銀行に対する場合と同様に、規制や監督を行う法的な権限も必要だと指摘している。

  他の選択肢はない
 現在、FRBは米証券取引委員会(SEC)との合意覚書に基づき、投資銀行に検査官を派遣している。SECには投資銀行を監督する権限がありながら、これまでリスクの度合いや投資レバレッジの程度を実際に規制したことはなかった。 適切な権限が付与されれば、FRBはこうした措置を取るだろうし、その過程で金融業界の収益性を限定することになるだろう。

 しかし、これ以外には選択肢はないだろう。米国の金融システムが発展するにつれて、金融機関のいくつかは「大き過ぎてつぶせない」存在になったからである。ベアー・スターンズの場合と同様に、経営破たんすれば、金融システム全体や米経済に対し、リスクを負わせることになろう。

 米政府による効果的な監視とは、証券会社が「資本や流動性といった緩衝材を適切に維持し、リスクや流動性管理に対する総合的なアプローチを発展させる」ようにすることだと、バーナンキ議長は講演で述べた。 現在、明らかになっているように、いくつかの巨大投資銀行の経営者らはリスクや流動性の管理に大失敗し、受けたリスクに対して資本が少な過ぎた。同議長はほかにも立法措置につながる可能性のある問題に触れた。これは資本規定や貸倒引当金、信用供与の急拡大につながる他の規則を見直す必要性があるものだ。

 現在の金融危機は、米国の金融構造や金融機関の経営、規制、監督には数多くの問題があることを示した。FRBは危機を鎮めようと試み、将来を見越して、包括的な方法でより強固なシステム構築を目指している。大統領と議会は来年の年明け早々から、自らの役割を引き受け、努力する必要がある。
(ジョン・ベリー)

● 「独ドレスナー銀売却、コメルツ銀・中国国家開発銀との交渉本格化」

2008年8月 26日 フランクフルト、 ロイター

 ドイツ保険大手アリアンツ傘下ドレスナー銀行の売却をめぐる交渉が、アリアンツと中国国家開発銀行および独コメルツ銀行との間で佳境を迎えている。複数の関係筋が26日、ロイターに語った。アリアンツに近い筋は同日、両買い手候補との話し合いが本格化していると述べ、交渉に近い別の関係者は中国国家開発銀と合意する見込みが十分にあると語った。当事者はすべてコメントを拒否している。

 これまではコメルツ銀行が買い手の最有力候補と目されていた。コメルツ銀の買収が成功すれば、ドイツで2位と3位の銀行が合併することになり、ドイツ銀行に対抗する一大銀行グループが誕生する。関係筋はまた、ドレスナー銀行がコメルツ銀に2段階で売却され、アリアンツが少数株主として株式の保有を継続する可能性や、アリアンツが中期的に統合銀行の30%前後の株式を取得する可能性があるとも述べた。

 ドイツの日刊紙フランクフルター・アルゲマイネは、金融業界関係者らの話として、中国国家開発銀がドレスナーにかなり高い買収価格を提示しており、それを現金で支払う用意があると報じた。

●「外貨準備、ドル比率最低に 世界の合計3月末63% IMF調べ」

日経新聞 2008年8月26日

【ニューヨーク=山下茂行】 世界の外貨準備に占める米ドルの比率の低下が止まらない。国際通貨基金(IMF)の調べでは3月末時点で、各国金融当局が保有する外貨準備のうち米ドルの占める比率は63%と、1999年のユーロ発足以来で最低となった。ユーロ台頭に加え、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけに、米経済力を象徴してきたドルの基軸通貨としての立場は浸食されつつある。

 IMFによると、外貨準備のうちで通貨構成が確認されているのは米ドル換算で合計約4兆3200億ドル(約475兆円)。このうち米ドルで保有されているのは約2兆7200億ドルで、その比率63%は、昨年末に比べ1ポイント減少した。


●「米アラバマ州ジェファーソン郡、破産申請を準備-30億ドル不履行か」

2008年8月26日 ブルームバーグ

 米アラバマ州ジェファーソン郡当局は、金利急上昇に見舞われ支払いが困難になった30億ドル(約3300億円)の債券の問題で、債権者と合意できなかった場合に備え、破産届け出を用意するよう司法担当者に通達した。

 ジェファーソン郡政委員会は26日、法律事務所ブラッドリー・アラント・ローズ・アンド・ホワイトと郡検事にJPモルガン・チェース率いる債権団との交渉と、交渉決裂時の破産申請書類の準備を委託する計画を全会一致で承認した。シティグループなど複数のバンカーや助言機関も郡に解決案を提示したが、支持は得られなかった。

 郡政委員会のコリンズ委員長は記者団に対し「成功を望んでいるが、必要ならば届け出も準備する」と指摘。「今回の決議はうまく機能する可能性がある。金融各社は裁判所に持ち込みたくはないとも考えられる」と話した。

 ジェファーソン郡が問題の債務を履行しなければ、米国史上で最大の地方債のデフォルト(債務不履行)となる。これまでで最大のデフォルトは、1983 年のワシントン公共電力システムの債券の22億5000万ドル。地方自治体の破産届け出としても、94年のカリフォルニア州オレンジ郡の破産以降で最大規模になる見込みだ。

● 「米GSE株が続伸、国有化観測が後退 」

2008年 08月 26日 ニューヨーク、ロイター

 26日の米株式市場では、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)株が2日連続で上昇した。 両社をめぐっては、住宅市場の悪化で自己資本が不足し、国有化が必要になれば普通株が無価値になるとの懸念が浮上していた。株価は20年ぶりの安値近辺まで下げていたが、ここ数日は、国有化の必要はないとの見方が強まっている。

 両社は過去4四半期連続で赤字を計上しているが、シティグループとゴールドマン・サックスのアナリストは26日、国有化以外の選択肢が存在すると指摘した。 ローラー・エコノミック&ハウジング・コンサルティングの創業者トマス・ローラー氏は「政府による救済は差し迫っていないとの見方が広がっている」と述べた。

 ノルウェーの政府系ファンドは26日、ファニーメイとフレディマックへのエクスポージャーが、昨年末の1290億クローネから、880億クローネ(163億6000万ドル)に減ったことを明らかにしている。


● 「信用収縮、本番はこれからか-米金融機関債、09年までに過去最大の償還」

2008年8月26日 ブルームバーグ

 米証券大手メリルリンチやリーマン・ブラザーズ・ホールディングス、米銀ワコビアを含む米金融機関は借り入れコストがいかに高くなったかを間もなく知ることになるだろう。

 JPモルガン・チェースによれば、2009年末までに償還を迎える米金融機関の社債は過去最高の8710億ドル(約95兆5000億円)。 米国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)も過去最大級に拡大しており、メリルリンチの指数データによると、年間の利払いが1年前と比べ 最大230億ドル増える可能性がある。

 借り換えコストが高く付けば、金融機関は資本市場での借り入れ能力を抑制され、個人や法人向け融資を一段と絞り、それが既に01年以降最も緩慢なペースの米景気にさらに水を差す結果となる。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先週、最上級格付けの米金融機関50社中、ほぼ半数の見通しが6月30日時点で「ネガティブ(弱含み)」だったとしており、同比率は過去15年で最も高くなった。

 フィフス・サード・アセット・マネジメントのシニア・ポートフォリオマネジャー、マーコ・ミケリック氏は「資本主義のギアが止まりつつある」と指摘。 「銀行セクターには多大な懸念がのしかかり、資本争奪が起きている」と語る。金融機関債のスプレッドは平均で414ベーシスポイント(bp、1bp= 0.01%)と、昨年の最小水準76bpを大きく上回っている。投資適格級債全体のスプレッドは平均で約314bp。

  バンク・オブ・アメリカ(BOA)の証券部門でかつて債券調査責任者を務めたデービッド・ゴールドマン氏はブルームバーグラジオとのインタビューで、「信用収縮は今始まったばかりだ」と指摘。その理由として、「これまでの損失で資本が相当傷んでしまった金融機関は、これから家計や法人向け融資を絞らざるを得ない。いよいよデフォルト(債務不履行)が起きる」と説明した。 現在は投資家に転じているゴールドマン氏は運用していたファンドを閉鎖したと語る。市場が「殺伐とする」可能性が高いためだという。

 

●「米政府系住宅金融:2社株価急落 公的資金投入観測強まり」
2008年8月22日 共同通信

 【ワシントン斉藤信宏】米株式市場で、政府系住宅金融会社2社の株価が急落している。米政府による公的資金投入の観測が強まり、株主価値が消失するとの憶測が売りにつながっているためだ。

 株価が急落しているのは、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2社。両社とも、米国民の住宅取得を促進するため、債券を発行。調達した資金で民間金融機関から住宅ローン債権を買い取り、証券化して投資家に販売する業務を担う。

 低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題の影響で住宅市況が低迷、7月に経営不安が表面化した。米政府が公的資金による救済を可能にする法律を成立させて有事に備えてきた。

 今週はじめに米経済誌バロンズが「米政府が2社に資本注入する可能性が高まっている」と報じたことで、国有化に伴う株主価値の消失が現実味を帯びた。ファニーメイの21日の終値は4.85ドル、フレディマックは3.16ドルまで下落するなど、すでに市場は2社への公的資金投入を織り込み始めている。

●「米ファニーとフレディへの公的支援、2230億ドルの債務借り換え次第か 」

記者:Dawn Kopecki 2008年8月20日 ブルームバーグ

 米住宅公社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)が、2230億ドル(約24兆 5000億円)相当の債券を9月末の償還期限に返済できるか否かが、公的支援を回避できるかの決め手になる可能性がある。

 両社が公表した数値とブルームバーグのデータによると、9月30日が期日となる債務は、ファニーメイが約1200億ドル、フレディマックが1030億ドルだ。

 ポールソン財務長官は7月、ファニーとフレディの資金調達コストが上昇し、両社が発行した債券への需要が縮小している兆候がみられたことから、緊急時に無制限に資金を投入する権限を議会に求めた。しかし、両社の資本が信用関連損失で目減りするとの懸念が広がるなか、両社の調達コストは再び上昇している。
クレディ・スイス(ニューヨーク)のアナリスト、モシュ・オレンバック 氏は、債務を借り換えできるかどうかが最も重要な要因だと指摘した上で、「これまでのところは両社とも借り換えは可能な状態だ」と述べた。

 ただ、ファニーメイの3兆ドルの債券に対して、最大の国外保有者であるアジアの投資家は購入割合を減らしてきており、ポールソン長官が公的支援を実施する必要性が潜在的に高まっている。 JPモルガン・アセット・マネジメント債券運用部長の国部真二氏(東京在勤)によると、同社の日本拠点ではファニーメイとフレディマックの債券保有を減らしている。富国生命保険の桜井祐記取締役財務企画部長も、ファニーとフレディの今後の行方をやや懸念していると指摘。事態が好転しているようには見えないと述べた。

●「元IMFロゴフ氏:米経済はリセッション入り-大手米銀破たんも」

2008年8月19日 ブルームバーグ

 元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのケネス・ロゴフ米ハーバード大学教授は、米経済は信用市場の混乱によってリセッション(景気後退)入りしており、大手米銀が破たんする可能性があるとの見方を示した。

 同教授はシンガポールでブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、「米国での最悪期はまだこれからだ」とし、「金融業界は縮小が必要だ。中規模と小規模の銀行が幾つか倒れるだけでは不十分だと思われる」と語った。米住宅市場の急減速を発端に昨年発生した信用危機は、金融機関に巨額損失をもたらしている。

 ロゴフ教授は、米住宅金融投資会社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)について、「10年前に閉鎖するべきだった」とし、「国有化する必要がある。株主が投資した全額を失うのはやむを得ない。債券は保証するべきだろう。米国は両社の債務を政府が保証するという印象を与え続けてきたからだ」と語った。

 また、ロイター通信によると、ロゴフ教授は19日にシンガポールでの会議で、信用危機は悪化する公算が大きく、大手米銀が破たんする可能性があると発言した。同教授はブルームバーグとのインタビューで、「業界が縮小するときにはいつも、大手プレーヤーの退場があるものだ。大手投資銀行の間でも統合が見られるだろう」と語った。

 さらに、「システムで教訓を生かすためには、一部の金融機関を破たんさせることも必要だ。巨額の利益を上げながら、救済される業界があってはならない」と述べた。  ロゴフ教授は、米経済がすでにリセッション入りしているとした上で、住宅市場は悪化が続くとの見方を示した。米景気低迷は2009年7-12月(下期)に入っても続くとの見通しも示した。米政策金利については「低過ぎる」として、現行水準が続けばインフレ圧力の増大を招くと警告した。


●「米政府系住宅金融2社への公的資金注入に現実味 米金融危機」

 2008年8月19日 産経新聞

 【ワシントン=渡辺浩生】 経営不安が続く米政府系住宅金融会社、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)に対し、米政府が近く公的資金注入に踏み切るとの見通しが強まっている。内外投資家への影響は大きく、財務省は観測の火消しに躍起だが、資産劣化は止まらず、一時国有化のシナリオも取りざ
たされ始めた。

 米週刊経済誌バロンズ(18日付)は政権関係者の話として、財務省が数カ月以内に両社への公的資金注入に踏み切る公算が強まっていると報じた。

 米住宅ローン残高の半分にあたる約5兆ドルを保証・保有する両社の経営危機を回避するため、財務省に両社の株式購入の権限を与える救済策を盛り込んだ住宅関連法が先月、スピード審議で成立したばかりだ。

 財務省報道担当は18日、報道を否定したが、ニューヨーク株式市場で両社の株価はそれぞれ20%も急落した。ロイター通信によると、海外の中央銀行は保有する両社の株式・債券のうち約110億ドル分を過去1カ月間に売却したという。

 不安が再燃したのは、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題の拡大で資産劣化が著しいため。フレディマックは4~6月期決算で、全資産を時価評価した場合、約56億ドルの債務超過に陥ると判明。ファニーメイも自己資本の水準が、損失処理には不十分とされる。

 同誌によれば、財務省は両社が追加増資に失敗すれば、両社発行の優先株を引き受ける。その場合、両社普通株式の保有者は資産を失い、優先株保有者や、約190億ドルの劣後債保有者も損失を被ると指摘。さらに、財務省は両社経営陣を刷新して事業縮小や資産売却を進め、株式を再公開して民営化するか、政府機関の傘下に収める「準国有化策」のシナリオも報じた。

 米政府は支援策を「予防的措置」(財務省幹部)と強調するが、エコノミストの間では「最終的に公的資金注入に行き着く」(ビンセント・ラインハート元連邦準備制度理事会金融政策局長)との見方が強い。


●「米カルパース:株式投資減らしディストレスト債ファンドに振り向け」

2008年8月18日 ブルームバーグ

 米最大の公的年金基金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は、株式投資 を減らし、最大23億ドル(約 2530億円)をレオン・ブラック氏が 運用するディストレスト債ファンドに投資する。 社債デフォルト(債務不履行)率が1年以内に2倍に上昇する と見込まれるなかで、ブラック氏のアポロ・グローバル・マネジメントは割安な債券や融資債権を買い取るファンド3本を設立した。 当局への届け出によると、これらのファンドの当初資金の大半はカルパースが出資した。

●「 米住宅差し押さえ、7月は前年比55%増 民間調べ」

2008年8月16日 日経新聞

 【ニューヨーク=財満大介】7月に米国で住宅ローン返済が滞って差し押さえを受けた件数が27万2171件と、前年同月比で55%の大幅増となったことが、米不動産調査会社リアルティトラックが14日発表した調査でわかった。6月に比べても8%増えており、住宅不況が直近で一段と進行していることを裏付けた。

 差し押さえ件数が最も多かったのはカリフォルニア州で、約7万2300件。次いでフロリダ州の4万5900件、オハイオ州の1万3500件の順だった。フロリダ州は前年同月の2.4倍に急増した。住宅バブル期に開発が進み、住宅価格が急騰した地域が上位を占めている。

●「「ゴールドマン、JPモルガンも危機に「無縁ではいられない」-UBS 」

2008年8月15日 ブルームバーグ

 米証券最大手ゴールドマン・サックス・グループと米銀JPモルガン・チェースは同業他社と比べれば、信用危機をこれまで切り抜けてきたものの、第3四半期には「致命的な」影響を受けるかもしれないと、スイスの銀行UBSは指摘する。貸倒損失が増え、銀行業務の収入が落ち込むためだという。

 UBSのアナリスト、グレン・ショアー氏は15日付リポートで、「競合他社がはまった多くの落とし穴をこれまで回避した」ゴールドマンも収益減少に「無縁ではいられない」と予想。時価総額で米銀2位のJPモルガンも資産評価損や消費者向け融資の悪化に直面していると指摘した。

 両社の業績は過去2四半期にわたって市場予想を上回り、評価損と貸倒損失もモルガン・スタンレーやバンク・オブ・アメリカ(BOA)、シティグループのそれを下回っている。このため、株価下落率もS&P500金融株指数に比べて小幅にとどまり、ゴールドマン株は金融株指数がピークを付けた昨年10月以降、27%安、JPモルガンが21%安となっている。金融株指数は41%下落。

 ショアー氏は両社について、「信用危機時の投資避難先とみられてきたので、投資家は短期的に持ち分を減らす可能性があるとわれわれは考えている」と指摘した。同氏はゴールドマンの今年6-8月(第3四半期)の1株利益見通しを2.25ドルと、従来予想の3.20ドルから引き下げ、JPモルガンの第3四半期(7-9月)についても25セントと、同62セントから下方修正した。


●「米カルパース、株式投資減らしディストレスト債ファンドに振り向け 」

2008年8月18日 ブルームバーグ

 米最大の公的年金基金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は、株式投資を減らし、最大23億ドル(約 2530億円)をレオン・ブラック氏が運用するディストレスト債ファンドに投資する。

 社債デフォルト(債務不履行)率が1年以内に2倍に上昇すると見込まれるなかで、ブラック氏のアポロ・グローバル・マネジメントは割安な債券や融資債権を買い取るファンド3本を設立した。 当局への届け出によると、これらのファンドの当初資金の大半はカルパースが出資した。

● 「米で証券集団訴訟が急増 株主、サブプライム関連で損失」

日経新聞 2008年8月16日

【シカゴ=毛利靖子】 信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響が広がる中、損失を被った株主らが欧米の金融機関などを相手取って起こす証券集団訴訟が急増していることが分かった。サブプライム関連で今年起こされた訴訟の数は65件で、既に昨年1年間(39件)の1.7倍に達している。提訴を受けた米大手銀行シティグループなどが金融商品の買い戻しを決めた例もあり、株主からの責任追及の動きは今後も広がりそうだ。

 スタンフォード大学ロースクールが集計した。証券集団訴訟は「情報開示が不十分だった」などとして、損失を被った株主が当該企業を訴えるもの。サブプライム問題が表面化した昨年から直近までの累計で、同問題に絡む提訴数は100件を突破した。米連邦裁判所に持ち込まれた証券集団訴訟の総数も、今年に入って既に127件にのぼり、同じペースで年末まで推移した場合、年間では4年ぶりの高水準となる見込みだ。

●「三菱UFJが米銀を完全子会社化 」

2008年8月13日 日経新聞

 大手邦銀による欧米金融機関への大型出資が相次いでいる。これまで動きのなかった三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は12日、米有力地方銀行のユニオンバンカル・コーポレーション(UNBC、カリフォルニア州)を完全子会社化する計画を正式発表した。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を逆手に3メガバンクが投資と融資の両面で、米欧市場で存在感を高めようとしている。

 三菱UFJはすでに65%の株式を保有しているUNBCに対して、今月18日から9月15日までTOB(株式公開買い付け)を実施し、同社の完全子会社化を目指す。買い付け価格は1株当たり63ドル。ニューヨーク証券取引所の11日終値に8.3%上乗せし、過去30日間の平均終値を24.5%上回る。


●「スイス金融大手UBSが2兆円規模の買い戻し オークション証券を不適切販売」

2008年8月9日 共同通信

 スイスの総合金融大手UBSは8日、米自治体などが発行するオークション証券(ARS)の不適切な販売問題で、投資家が保有する計186億ドル(約2兆400億円)分すべてを買い戻すと発表した。

 販売の際にUBSが投資家への十分な説明を怠ったとして訴えていたニューヨーク州などとも和解、同州などに対し罰金計1億5000万ドルを支払うことも決めた。現在の証券価格が下落しているため、罰金も含めた損失は9億ドル程度を見込む。

 ARSをめぐっては既に米銀行大手のシティグループ、米証券大手のメリルリンチも大規模な買い戻しを決めており、大手3社の買い戻し額は計360億ドル規模に達した。シティとメリルは個人投資家、中小企業などが対象で、機関投資家向けも含めた買い戻しを決めたのはUBSが初めてという。(共同)

●「フレディマックが実質債務超過、投資家の見方交錯」

2008年 8月 6日 ニューヨーク、ロイター

 米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は6日、第2・四半期決算を発表し、保有資産を時価ベースで評価すると、56億ドルの実質債務超過になると表明した。これを受け、一部の投資家の間では、フレディマック株はほぼ無価値となるとの見方が浮上。同社が発行する政府機関債については、米政府が住宅公社支援の意向を鮮明にしているため大きな問題はないが、株式投資はリスクが高いのではないかとの声が出ている。

 フレディマックがこの日発表した第2・四半期決算は8億2100万ドルの赤字。赤字幅は予想を上回り、6日のフレディマック株は20%近く急落、6.49ドルで取引を終えた。ただフレディマックの株式時価総額は依然42億ドルあり、少なくとも一部の市場参加者は、同社株に投資価値があると考えていることになる。

 ウエストウッド・キャピタルのマネジングディレクター、ダン・アルパート氏は「投資家は、フレディマックが、景気の回復、住宅市場の回復、公的支援のいずれかが実現するまで、持ちこたえるとみているのだろう」と述べた。確かに住宅市場は、回復基調にあるとは言えないまでも、底入れに向けた兆しが出ている。5月のケースシラー住宅価格指数は前月比0.9%低下と、前月から低下率が鈍化、予想よりも緩やかな低下にとどまった。

 フレディマックの保有資産であるモーゲージ証券についても、多くが売られすぎの状態で、住宅市場の回復に伴い、価格は持ち直すとの見方がある。ただ、モーゲージ市場の低迷は否定できない。フレディマックのサイロン最高経営責任者(CEO)は、アナリストとの電話会議で「今日の経済環境は厳しく、住宅市場は安定には程遠い」とし、「住宅価格が底打ちするまでの全過程の半分を通過したに過ぎないと考えている」と語った。

 市場は、フレディマックや連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)に強い懸念を表明している。両社は、米モーゲージ証券12兆ドルの半分弱を保有・保証しているが、モーゲージ証券下落や住宅市場支援で自己資本が不足するとの懸念が浮上、7月に株価が急落した。フレディマック株は1年で90%近く急落。ファニーメイ株も80%近く下落しており、政府が緊急支援策をとりまとめる事態となった。

  <増資計画>
 フレディマックは、財務基盤強化のため55億ドルの増資を行う方針だが、増資が実現しても、実質債務超過分56億ドルをほぼ帳消しにする効果しかない。財務諸表によると、簿価ベースの保有資産は129億ドルとなっている。キーフ・ブリュエット・ウッズの株式担当チーフストラテジスト、フレデリック・キャノン氏は「55億ドルの増資では不十分である可能性が濃厚だ」と指摘。

 ウエストウッドのアルパート氏も、公的支援が実施されれば、株主責任が問われる可能性があるとの見方を示した。同氏は「必要な増資規模を考えれば、株式は大幅に希薄化する見通しだ。国有化のリスクもある」と述べた。フレディマックはコメントを拒否している。


●「米国の金融危機は1年半は継続し、数百の銀行を破たんに追い込むリセッションに」
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK
016647820080804

ニューヨーク 2008年8月3日 ロイター

 3日付の米投資週刊紙バロンズは、エコノミストで 米ニューヨーク大学教授のヌリエル・ルービニ氏の発言を引用し、米国は、少なくとも 1年半は継続し、数百の銀行を破たんに追い込むリセッションの第2イニングにあると報じた。

 ルービニ氏によると、国民は金融サービス業界の残りを救済するため、多額の税金を支払う必要に迫られる見通しだ。同氏は納税者の支出について少なくとも1兆ドルとし、どちらかといえば2兆ドルに達するだろうとした。

 同氏は、銀行は山のような損失を抱えて債務超過に陥る見通しだとし、住宅価格の急落に加え、サブプライム住宅ローンについて、これまでのところ評価損の計上にとどまっているためだと述べた。

 同氏によると、銀行は消費者信用損失にも直面しているものの、引当金が不足している。 さらに、担保価値がほぼゼロとなった住宅担保ローンの貸付残高が数百万ドルに及ぶことも指摘した。 ルービニ氏によると、米消費者が貯蓄を減らす一方、連邦準備理事会(FRB)は問題がサブプライム住宅ローンより先に広がっていることを認識できず、危機にうまく 対応できていない。

 同氏は、政府は過剰な規制を行っているとし、困難を抱えた金融機関の救済や、あらゆる市場への介入を例示した。 ルービニ氏は「連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社 (フレディマック)、ならびにベアー・スターンズ債権者の救済や、新たな貸付制度を伴う 金融システムの構築に関連し、規制当局は自らを調査すべきだろう。米国債と有毒性のある証券の交換にほかならない」と述べた。

 その上で「従来のように利益を私有化し、損失を国有化している。 米証券大手と富裕層のための社会主義だ」との見方を示した。 ルービニ氏は破たんに陥る金融機関について、住宅や商店、商業用不動産など米地域社会の中軸に融資を行う地銀が含まれると述べた。

 同氏は「40行近い中堅地銀のうち、3分の1は窮地にある」とし、半数は破たんに陥ると予想した。さらに、一部の大手行も債務超過に陥る可能性があるが、「ツー・ビッグ・ツー・フェール」とみなされるだろうと述べた。同氏は世界経済については「極めて強気」にみていると強調し、中長期的にポジティブな状態が続くと予想した。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


「この「第2ぼやき」記事を印刷する」
「80」 「サブプラム危機から世界恐慌へ」(15) を載せます。2008年の7月に起きたことの記事を載せます。2008.9.4

副島隆彦です。 今日は、2008年9月4日です。

 この第2ぼやきに、ようやくのことで、「サブプライム危機から世界恐慌へ」(15)を載せます。2008年7月の分の記事を集めたものを載せます。

私は、今年、2008年の金融・経済の記事を集めたものを、1月以降、全く載せていません。 何が、それほそ忙しかったのか、自分でも忘れました。とにかく、忙しかった。

3月に、「連鎖する大暴落」(徳間書店刊)を出して、そのあと、すぐにPHP研究所からの「時代を見通す力(ちから)」を書くことで、4月、5月の2ヶ月は本当にきつくて苦しかった。
それを、書き上げて、やれやれと思ったら、すぐに7月に入って、この「時代を見通す力」が出版されたのは、7月末で、実際には8月の夏の盛りだった。

 こうやって、私の時間は過ぎてゆく。この9月6日から、祥伝社からの、毎年恒例の「エコノ・グローバリスト・シリーズ」の11冊目である、「恐慌前夜」が発売になる。この本を書き上げるのに、7月後半から8月前半までの一ヶ月がかかった。だから、私は、この第2ぼやきに、何も載せられなかったのだ。

1月分は、「13」までで載せているようだから、急いで、今から、今年の2月の分から、8月の分までをここに、載せます。
副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●「FRBの資金供給、資産構成上の限界に近づきつつある=日銀金融市場局長」

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK
014102520080729

2008年7月29日 ロイター

 日銀は29日、「サブプライム問題に端を発した短期金融市場の動揺と中央銀行対応」と題したリポートを公表、これについて中曽宏金融市場局長は、米連邦準備理事会(FRB)がとった様々な対応措置の結果、短期国債の保有額の大幅減少によりバランスシート上、資金供給余地が限界に近づきつつあると指摘した。

 同リポートは、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に対する 主要中銀の対応をまとめたもの。FRBはサブプライム問題発生後、短期金融市場に大量の資金供給を行ったほか、プライマリーディーラーを対象に幅広い担保を裏付けとした1カ月物入札型ターム物貸出(TAF)の導入や、MBSなどを担保としてFRBが保有する国債を貸し出すなど、様々な措置を講じてきた。こうした措置が奏功して、米国の短期金融市場は当初に比べてある程度緊張感が緩和した。

 ただ、足元の国際金融市場の状況について中曽局長は「だんだんと周辺部に動揺が広がってきている」との認識を示し、特に注目しているLIBOR─OISスプレッドは基本的に高い
状況が続いていると指摘。「カウンターパーティ信用リスクと流動性リスクの両方が縮小しないことを背景に、緊張状態はまだ続いている」とし、今後も縮小しにくい状況との見通しを示した。

 こうした中、FRBのバランスシート(資産サイド)は昨年夏までに比べて大きく変化した。 短期の資金供給オペが大幅に増加したことを映じて、FRBは買い入れた短期国債を、現金
償還などによってその残高を減額することにより、準備預金残高が一方的に増加することを回避、翌日物金利の誘導を円滑に行うことを企図。また、すう勢的に増加してきた長期国債の
保有も減少、保有国債のうち債券貸し出しへの利用も増加した。

 この結果、FRBのバランスシートは、長期国債、短期国債ともに減少し、代わりに短期オペの比率が増加。短期国債買い入れ額はほとんど残高がなくなりつつあり、これ以上の資金供給が難しい状況に なりつつある。中曽局長は今後の対応について、FRBがこれまであまり行ってこなかった資金吸収オペなどを活用して、バランスシートを短期国債の買い入れと両建てで膨らませる方法もあるとした。

 リポートではサブプライム問題以降に欧米中央銀行が抱えた金融調節面の課題として、翌日物金利のボラティリティの高まり、ターム物金利と翌日物金利のかい離幅拡大、ドル建て金融市場のひっ迫などクロスボーダーでの波及、有担保資金取引市場の著しい機能低下、中銀のいわゆる補完貸付利用に対する民間金融機関の抵抗感の強さをあげた。

 こうした課題に対し、各国中銀では、翌日物オペの頻度・規模面の増加や、オペの長期化や柔軟化、 ドル資金の為替スワップによる供給などの措置が講じられたと論点を整理した。


● 「米SECが金融機関株の空売り制限期間を延長の公算、対象銘柄も増加へ=WSJ 」

2008年 07月 27日 フィラデルフィア 、ロイター

 米証券大手の幹部らは、米証券取引委員会(SEC)が金融機関株の空売り制限期間を延長する可能性があるとみている。また規制の対象銘柄も増やす公算が大きいという。米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が27日、電子版で伝えた。

 空売りの制限期間は29日で終了する。証券幹部らは、SECが対象を現在の19金融機関から拡大すると予想しているという。同紙によると、証券幹部やロビイスト、ヘッジファンド業界の代表らは週末、SECと協議を行い再考を求めた。

 ヘッジファンド業界団体は25日のSECとの電話協議で、SECが期間を延長するとともに、対象銘柄に保険会社や建設会社を含めることを検討しているとの印象を受けたという。同紙によると、SECはまた、空売り規制を恒久的なものにするよう取り組んでいる。SECの政策担当者は選択肢を絞り込んだ上で、早ければ28日にSEC4委員に提唱する可能性があるという。現時点でSEC広報官からコメントは得られていない。

 ネット上にあったコメント。 制度を恒久的にしようなどと言っているが、市場を小手先で操作しようとするとしっぺ返しを食うことをわかっているのか。それでも、一時的であれ、効果があるのも事実。今週が山と見る、


● 2008年7月26日(土)に、住宅公社(救済)法案 Housing and Economic Recovery Act of 2008 が上院で決議され通過した。元々は住宅ローンの借手(かりて)救済 Housing Reform という名目で貸し手の金融機関をも救済 するために議論されていた。

 ところが、例のGSE(ガヴァメント・サポーテッド・エンタープライズ、政府支援企業である、ふたつの住宅公社) 危機説が流れてからは、「GSE救済法案」という雰囲気になり、出来上がってきた法案は下記リンク先にあるとおりだ。全部で670ページ以上ある。

http://www.house.gov/apps/list/press/financialsvcs_
dem/hr3221_bill_text.pdf

Housing Reform として議論されていた間は、ブッシュ大統領は「拒否権発動を辞さず」という絶対反対という態度を貫いてきた。議会主導で、目下の金融危機を乗り切ろうとする動きに、執行部(行政権)として泥を塗られた感じがするからだ。 ブッシュ政権の態度が明確に変わったのは、法案が「GSE救済」の色を濃くしてからだ。

 実際、このHousing Reform関連法 については、この10月1日から施行だが、GSE救済に関しては、大統領の署名があり次第、すぐに有効となるらしい。それくらい緊急を要する話だったのだ。 それとも、最初からGSE救済を念頭に置いていたのではないか。

 そして、法案名 の一部に、Economic Recovery 「景気回復」 とあるとおり、中身は住宅ローン問題やGSEに限ったものではない。 自動車メーカーのクライスラーの救済を念頭に置いた項目も盛り込まれている。

 GSE救済については、Paulson財務長官に一任ということらしい。肝心の、大量の住宅ローンの焦げ付き者の発生の問題については、今まで同様 「やってますよ」 というポーズだけであり、実質はあまり効果がないようだ。 引き続き、全米で、住宅価格下落とForeclosureの津波は続いている。


●「米金融危機:自己責任原則の放棄で米国は弱体化、ドルは凋落 」

2008年 07月 18日  ロイター、東京   森 佳子 記者

 信用バブル崩壊後の不良債権問題の深刻化で追い詰められた米国は、「自己責任原則」や「時価会計ルール」など米国社会の真髄を貫くルールを自ら放棄しはじめた。

 これは急場しのぎとしては有効かもしれないが、世界の信頼を損なうことで、米国の弱体化は加速し、基軸通貨ドルの凋落の歩みを早め、将来に取り返しの付かない禍根を残すことになるとの見方が世界の投資家の間で聞かれる。

 <自己責任原則の放棄>
 金融界に限らず、米国社会の根幹をなすルールは「自己責任原則」であり、これを法律に例えれば米国の憲法のようなものだ。
 しかし、3月に資金繰りに窮した米証券ベアー・スターンズに緊急融資枠を設定して救済をはかったことを皮切りに、このところ米国が様々な場面で自己責任原則を放棄するケースが目立ってきた。

 「インベストメント・バンクが先導した信用バブルが弾け、金融界が苦境に陥ったことで切羽詰った米国は、とうとう自己責任原則という『踏み絵』を踏んでしまった」とファースト・インターステート・リミテッド香港社長、中山茂氏は指摘する。
 自己責任原則は時価会計ルールと並んで、他国が米国スタンダードを受け入れる際に「フェアな基本理念」として認識され、米国スタンダードは世界的な広がりをみせた。

 「これを放棄することは、米国の自己否定を意味し一番の強みを捨てたことになる。今後、米国の信用は、国際的にも国内的に失墜し、弱体化が加速するだろう」と中山氏は予想する。

 ベアー救済劇の翌日には、米連邦準備理事会(FRB)が米証券会社に対する連銀窓口貸出(Primary Dealer Credit Facility=PDCF)の開始を発表したが、証券会社は本来FRBの監督外にある業態で、流動性供給はFRBの使命を逸脱した異例の措置だ。

 だが、バーナンキFRB議長は、当初は半年間の期限付きだったPDCFを年末を越えて延長する用意があるとまで表明した。
 今月14日、米政府は経営難が懸念されている2つの政府系住宅金融機関(GSE)、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ) と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の救済に着手、現在は1公社につき22億5000万ドルの融資枠の上限を引き上げ、両公社の資本増強のために株式を購入する方針を表明。さらに連銀窓口貸出枠で資金供与する提案もした。

 米国が自己責任原則を放棄してまで、必死にウォール街を救済するのは、マイナス成長やリセッションを回避したいからだ。
 だが、著名投資家のジム・ロジャーズ氏は「リセッションはシステムに存在する過剰を取り除くという意味で『善』である」と言う。

 「米国が過剰(マネー)にまみれたウォール街を救済して、リセッション回避をはかることは愚かしく、米国は、実際にリセッションを体験するより、はるかに高価な代償を支払うことになるだろう」とし、「無分別な資金供給によって、FRBは自らの衰退を招くだけでなく、激しいインフレを招き、基軸通貨としてのドルの終焉を早めるだろう」とロジャーズ氏は警告する。マネーモーニングとのインタビューで答えた。同氏は米政府のGSE支援について「完全なる自己破滅的行為」と評している。

 都合に合わせてルールを変更するということは、米国が政治の世界で何度もやってきたことだ。これが経済の世界でも通用するのか、目下、金融市場に試されている。

 ドルに対するバスケット通貨(ユーロ、円、ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフラン)の加重平均値であるドルインデックスは、2001年7月の120.90から4割超下落して3月には過去最低の70.689となった。現在は72台を推移している。

 ロジャーズ氏は、米国債はここ1―2年の間に現在のトリプルAから格下げされるだろうと予言する。

 <時価会計原則の裏技>
 米国は金融機関の決算について、時価会計ルールを早々と放棄し、違法ではないものの異なる会計処理を活用し、国を挙げて金融機関の粉飾決算の片棒を担いでいるとの批判が、米国以外の国々で上がっている。

 「かつて米国は、日本に対して時価会計ルールの厳格適用を声高に要求し、日本の金融機関を潰しておいて、自分が困ったときには、勝手にルールをネジ曲げるのは許しがたい」(本邦金融機関)。「時価会計のポイントは、ガラス張りで全体が見渡せることだ。少しでもルールを曲解すれば、全てが台無しになる。米国がフェアなアカウンティングとして世界に売り込んだものを、自らの都合で柔軟運用するとは、呆れて物が言えない」(アジア系金融機関)と絶句する。

 米財務会計基準審議会(FASB)は昨年、金融商品の会計処理における公正価値の算出基準としてFAS157号を導入し、米大手金融機関でも採用している。FAS157号の下では、時価会計が適用されるのは、レベル1と呼ばれる資産のみだが、米金融機関保有の金融資産のうち、レベル1に区分されるものは3割にも満たない。他方、時価算定が困難な資産であるレベル3資産は増え続けている。

 米国が政府を挙げて支援しているGSEの会計も柔軟運用の一例だ。「ファニーメイについてはバランスシートで資産の評価が甘いと言える。レベル3資産については十分な引き当て・償却を行っておらず、同公社が保証する債券の引当金(負債サイド)も全く十分とは言えない」と東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏は指摘する。

 斎藤氏によれば、ファニーメイは資産がわずか2%目減りしただけで、株主資本を超える損失が発生するほど資本が脆弱な状態で、損失処理ができるほどの資本増強が早急に必要だという。プール前セントルイス地区連銀総裁は「両公社が破たん状態にあると認識するべきだ」と述べている。斎藤氏によれば米金融機関が活用する会計の裏技には少なくとも3種あるという。

 第1に、損失が出ている保有証券を「満期まで保有するつもりで、売却可能で流動性が高い」というカテゴリーに分類することで、「簿価」評価し、評価額の変化が永続的と判断されるまでは「その他包括的利益」に繰り入れる。これによって評価損は表面化しない。

 第2に、レベル3資産(流動性も指標もなく各社が独自の推定によって評価する資産)をヘッジするためのデリバティブ資産についてのみ未実現収益を計上し、損益計算書のトレーディング収益に入れる。実際、米投資銀行はレベル3資産から巨額の未実現収益を計上している。

 第3に、大きな損失を出した場合は、金融当局に時価評価を一時凍結してもらう。バーナンキ議長は「時価会計は、時に投げ売りを誘って市場を不安定にする側面がある」との認識を示し、「必要であれば一時凍結することもありうる」ことを示唆している。 (ロイター日本語ニュース 森佳子 編集 橋本浩)

●「日本の金融機関が保有する米GSE関連債、農中の残高は5.5兆円」

2008年 07月 18日  東京、ロイター

 米当局が政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2社の支援策を打ち出した。

 GSEの関連債券について、2008年3月末現在の日本の主要金融機関の保有状況を調査したところ、農林中央金庫は、GSE2社の機関債と住宅ローン担保証券(RMBS)の合計で5.5兆円で、三菱UFJフィナンシャル・グループの3.3兆円を上回り、国内最大規模の保有額となった。

 また、生命保険会社では、住友生命が開示していないが、複数の関係者によると、日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命の大手4社のGSE債の保有状況は、機関債とRMBSの合計で4兆円を超えた。個別にみると、日本生命は2兆5000億円、第一生命は9000億円だった。

 大手証券会社では、大和証券グループ本社がGSE2社のRMBSを1811億円保有している。野村ホールディングスについては、RMBS業務から撤退し、米国のプライマリーディーラーの資格も返上したたため「ポジションは少量」(広報)だという。大手銀行3グループのGSE関連債の保有残高の合計は4.7兆円だった。

 ロイターの聞き取り調査による2008年3月末の国内金融機関のGSE債の保有状況の一覧は以下のとおり。

◎銀行           GSE関連債 (備考)
三菱UFJ         3兆3000億円 (ジニーメイ含む3社分)
みずほFG         1兆2000億円 (全額ジニーメイ)
三井住友FG        2198億円 (ジニーメイ含む3社分)
   計          4兆7198億円
◎系統         GSE関連債合計   うち機関債   うちRMBS (備考)
農林中金        5兆5000億円   2兆円     3兆5000億円 (ファニーメイ・フレディの2社分)
◎生命保険       GSE関連債合計   うち機関債   うちRMBS (備考)
日本生命        2兆5000億円  4700億円   2兆1621億円 (ジニーメイ含む3社)
第一生命          9000億円  5000億円   4000億円 (ファニーメイ・フレディの2社分)
明治安田生命         900億円      0円    900億円 (2社分)
三井生命           943億円   100億円    843億円 (2社分)
富国生命            22億円    22億円    0円 (フレディのみ1社)
◎損害保険       GSE関連債合計   うち機関債   うちRMBS (備考)
東京海上HD         530億円   430億円    100億円 (ジニーメイ含む3社)
損保ジャパン         740億円    30億円    710億円   (2社分)
三井住友海上HD       440億円   440億円       0円 (2社分)
◎証券         GSE関連債合計   うち機関債   うちRMBS (備考)
大和証券G本社          --     --     1811億円 (2社分)


● 「NY市場トリプル安 株・ドル・債券、政府財政悪化の懸念 」

日経新聞 2008年7月12日

【ニューヨーク=山下茂行】 11日の米金融市場では金融システム不安や景気の先行き警戒感からドル資産が全般に売られた。ダウ工業株30種平均が前日比128ドル48セント安の1万1100ドル54セントと、2006年8月以来の安値で終えたほか、債券、ドル相場がそろって下落する「トリプル安」の格好となった。

 11日の米金融市場は住宅公社2社についてポールソン財務長官が国有化など政府による救済をひとまず否定したことなどが嫌気された。株式市場ではダウ工業株30種平均が大幅安で、終値で年初来安値となった。一時1万1000ドルの大台を割り込んだ。

 外国為替市場ではドル売りの動きが広がり、円相場は前日比80銭円高・ドル安の1ドル=106円20―30銭で取引を終えた。
 長期債相場も大幅反落となり、10年物国債利回りは前日比0.16%高い(価格は安い)3.96%で取引を終了。景気悪化が懸念される局面では「安全資産」との位置付けから債券市場に資金が流入するのが普通だが、この日は政府による住宅公社の支援が避けられなくなり、政府財政が悪化する恐れがあるとの見方から債券が売られた。

●「混乱解消に日本の資金も サブプライム問題で金融相 」

2008年7月15日 共同通信、クアラルンプール

 渡辺喜美金融担当相は15日、マレーシアの首都クアラルンプールで開かれた「世界経済フォーラム東アジア会議」に出席し、米サブプライム住宅ローン問題をきっかけにした金融市場の混乱を解消するため、 日本の資金が必要になるとの見方を示した。

 渡辺金融相は、サブプライムローン問題の影響で巨額損失を出した欧米金融機関の資本増強には公的資金の投入が必要とした上で「それぞれの国の財政資金だけでは多分まかなえないだろう」と指摘。 サブプライムローン問題で日本が受けた影響は欧米に比べ少なかったことを踏まえ 「最後の出し手になるかもしれない。日本は官民とも長期のお金を出すのが特徴だ」と強調した。ただ、具体的な資金拠出の方法には言及しなかった。

 渡辺喜美金融相は15日、クアラルンプールで開幕した世界経済フォーラム東アジア会議で、米住宅ローン問題をきっかけにした金融市場の混乱を収束するには欧米の巨大金融機関への公的資金注入が必要になるとの認識を示した。「被害を比較的受けていない日本が最後のとりでになるかもしれない」と述べ、米欧政府が動き出せば、日本も協調して資金協力する考えも披露した。

 

●「農林中金、米シティの資産5千億円分を購入 」

2008年7月16日 朝日新聞

 農林中央金庫は米金融最大手シティグループから、シティの資産をもとに組成した総額約5千億円分の証券化商品を購入した。 サブプライム問題で巨額の損失を出し、資本増強と資産の大幅な圧縮を進めるシティの要請に応じた。サブプライムで痛手を負った欧米金融機関が投融資に慎重なのと対照的に、損失が比較的少なかった日本の金融機関の積極姿勢が目立っている。

 農中が買ったのは、シティが保有するクレジットカード・自動車ローン債権などから組成した証券化商品。今年1月ごろから複数回にわたって買い取りを進めた。

 シティの昨夏以降のサブプライム関連損失は、米金融大手で最大の約460億ドル近くに膨らんだ。シティは中東の政府系ファンドなどの出資を仰ぐ一方、従来の拡大路線を転換し、5月には4千億ドル(約42兆円)分の資産を売却する方針を打ち出した。

 シティのカード・自動車ローンなどは返済能力の高い利用者が多く、優良債権が多いとされる。農中にとっては「資産の安全性が高い割に利回りが良い。金融市場の混乱による欧米金融機関の投融資意欲の減退傾向が逆にチャンス」(幹部)だという。

 日本の金融機関には、欧米企業の資金調達の際にも出番が増えている。6月には三井住友銀行の主導で米IBM向けに500億円の融資案件をまとめ、今月11日には、みずほコーポレート銀行が主幹事となってスウェーデンのトラック大手ボルボ・グループに総額1100億円を協調融資すると発表した。


●【円ドル人民元】「米住宅公社救済協力へ外貨準備活用案浮上」

産経新聞 2008年7月17日 コラム

 7月16日、渡辺喜美金融担当相は訪ねてきた米政府元高官に語りかけた。 「米住宅抵当金融公社の経営不安を憂慮しています。まず、日本は政府の保有分はもとより、民間に対しても住宅公社関連の債券を売らないように言います」 うなずく米要人に対し、渡辺氏は続けた。

 「米政府が必要とすれば日本の外貨準備の一部を公社救済のために米国に提供するべきだと考えている」昨年8月の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライム・ローン)危機勃発(ぼっぱつ)後の金融不安は、最近表面化した連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2公社の経営危機でさらに深刻化している。

 米政府や連邦準備制度理事会(FRB)は公的資金注入など公社救済策を検討中だ。しかし、公的資金必要額は住宅価格下落に比例して膨張する。両公社の住宅ローン関連債権は米住宅ローン総額の半分近い5兆2000億ドル(約550兆円)で、日本の国内総生産(GDP)に相当する。

 両公社が発行している住宅関連証券が投げ売りされるようだと、米国のみならず欧州、日本、中国など国際的な信用不安になる。そればかりではない。米国債への信用は損なわれ、ドルは暴落しかねない。株式の低迷に加え、米国債とドルが暴落すれば、ドルを中心とする国際金融体制は崩壊の危機に瀕し、世界経済全体が根底から揺らぐ。

 渡辺案は、米国の自力による住宅公社再建には限界があるとみて、この6月末で1兆ドルを超えた日本の外貨準備を米国の公的資金注入の資金源として提供する思い切った対米協調である。
筆者はこの考え方について、在京米金融筋で米国務省のアドバイザーに感想を聞いた。彼は言う。「同盟国日本が率先して支援の手を差し伸べてくれると、われわれは日本にかつてなく感謝するだろう。

 日本は救済パッケージで主導性を発揮し、中国にも働きかけてくれればより効果的だ」 中国の外貨準備は6月末で1兆8000億ドルに達し、米国債や米住宅公社関連債券の保有額でも日本をしのぐ世界最大の水準とみられている。中国は貿易や投機を含む投資で流入してくるドルを当局が買い上げ、主として米債券に投資している。ドルが暴落すれば中国も巨額の損失を直接被ることを中国政府は自覚しており、日本が国際協調を呼びかけると同調する可能性は高い。

 思い起こすのは、1997年のアジア通貨危機である。日本の財務省は通貨危機打開のために「アジア通貨基金」設立構想を推進した。ところが米クリントン政権が強く日本案に反対し、日本主導を嫌う中国と語り合って、アジア通貨基金構想をつぶした。今回の危機は米国を震源地とする巨大地震であり、中国も米市場の安定は自国経済の死活問題である。渡辺金融担当相は「まだ私案の段階だが、中国にも協力を呼びかけるつもり」と言う。米金融危機が今後さらに悪化すれば、有力案として浮上しよう。

 

● 「米住宅ローン大手、インディマックが破綻 」

日本経済新聞 2008年7月12日

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080712AT2M
1200W12072008.html

 【ワシントン=藤井一明】米連邦預金保険公社(FDIC)は11日、米地方銀行で住宅ローン大手、 インディマック・バンコープの業務停止を発表した。FDICが管財人となり、預金や資産を引き継ぐ。

3月末時点の資産規模は320億ドル(約3兆4000億円)、預金量は190億ドルだった。住宅ローンで急成長した大型金融機関の破綻は米金融システムへの懸念をさらに強めそうだ。

 米国で業務停止となった金融機関としては、1984年のコンチネンタル・イリノイに次ぐ過去2番目の規模。FDICによると、預金保険が今回の措置に伴い預金の保護などのために負担するコストは 40億―80億ドルと見込まれる。業務は週明けの14日から通常通り継続。FDICは受け皿機関の選定を急ぐ。

 インディマックはカリフォルニア州が拠点。「オルトA」と呼ばれる住宅ローンで業務を拡大してきた。 オルトAは信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)と優良な貸出先の中間にあたる顧客層へのローン。サブプライムと並んで焦げ付きが膨らんでいた。

●「米政府系住宅金融だけで懸念払しょくにはならない=インベストラスト 福永氏 」

2008年 07月 11日  インベストラスト代表取締役、福永博之氏

 米紙ニューヨーク・タイムズ電子版によると、ブッシュ政権の複数の高官は政府系住宅金融大手のファニーメイと フレディマックについて、問題が悪化すれば 1社もしくは両社を政府の管理下に置く計画を検討しているようで、これ自体は株式市場にとってプラスの材料だ。だが、消化不良のところもあるようで、買い戻しの勢いは限定的なものにとどまっている。

 ポールソン米財務長官やバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が足並みを揃えて金融システム安定化に向けた動きを強めていることで、市場では逆に米金融機関に対する懸念につながっている面もある。 政府系住宅金融が解決すればすべての懸念が払しょくされるということにはならない。


●「ファニーメイとフレディマックの破たん回避を-米議員が相次ぎ発言 」

2008年7月10日 ブルームバーグ

 米住宅金融大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)は、つぶすには大き過ぎる-。 共和党や民主党幹部からこうした発言が相次いでいる。

 ファニーメイとフレディマックの株価は1991年以来の安値に下落しており、 両社が発行した社債の5兆2000億ドル相当を世界各国の中央銀行や年金基金などが保有している。

 下院金融委員会のスペンサー・バッカス議員(共和、アラバマ州)は 同日、社債保有者は破たん防止措置を当てにできるかもしれないが、 株主は米政府が両社の株価下落を食い止めるとは期待できないだろう、と語っている。

 ファニーメイの10日株価終値は前日比14%安の13.20ドル。 今年これまでに67%下落した。フレディマック株は22%安の8ドル。年初来下落率は約 77%に達した。

 

● 「金融機関の実態に再び疑いの目 「レベル3資産」の膨張に要注意」

週刊ダイヤモンド 2008年6月20日ぐらい号

藤戸則弘(ふじとのりひろ) 三菱UFJ証券シニア投資ストラテジスト

 米国で金融株が、再度軟化の気配を見せている。シティグループは、3月17日安値17.99ドルから4月28日高値27.35ドルまで+52.0%の上昇を見せた。ところが5月以降は軟調に転じ、5月21日には21.01ドルまで下落。最安値まで3ドルという不安な水準である。大手証券・投資銀行のメリルリンチ、ゴールドマン・サックス(GS)等の株価も、5月初めに戻り高値をマークした後に、同様の軌跡を描いている。

 空売り勢の買い戻しに一巡感が出たこともあるが、最大の要因は、金融機関の実態悪に投資家の目が再び向き始めたことであろう。「3月の悲観」の後、「4月の楽観」で投資家のマインドは大きく改善してきた。しかし、5月中旬あたりから潮の流れが変化し始め、アナリストから欧米金融機関の実態悪、追加評価損観測のレポートが出始めている。

 危惧される要因のひとつは、「レベル3資産」(低流動性で時価評価が困難な資産)の膨張だ。大手証券・投資銀行のなかには、「レベル3資産」が自己資本の倍以上に膨張している企業がある。複雑な証券化商品を適正に評価するのはきわめて困難だ。なかには、ABX指数やCDS指数の動向から「この程度か」とアバウトな評価も含まれており、そこに恣意性が働くリスクがある。厳格な評価法を採用すれば、たちどころに評価損が膨張する恐れもあろう。

 また、3月の悲観局面でヘッジ比率を高めた金融機関があり、その後の価格反騰で「ヘッジロス」が膨張したとの報道もある。その金額は、最大で15億~20億ドルとされており、最もロスの大きな企業は第2四半期も赤字決算となる可能性が高まっている。

 アナリストのなかには、2009年末までに、金融機関全体の追加評価損は1700億ドルに達するとの観測も出ており、超悲観の反動で楽観に振り過ぎていた振り子が、再度バックし始めている。


● GS、モルガン・スタンレー、リーマン・ブラザーズといった大手証券・投資銀行の第2四半期決算(3~5月期)は、6月中旬前後に発表される。もし、そこでさらなる評価損の拡大があった場合には、投資家はサブプライム問題の根の深さを再認識させられることになろう。欧米の金融株が軟化すれば、日本の金融株も悪影響は避けられない。「4月の楽観」シナリオが蜃気楼とならないためには、やはり公的資金の投入による抜本解決が必要と思われる。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


「この「第2ぼやき」記事を印刷する」
「81」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(16) 2008年8月に起きたことの記事を載せます。 2009.9.4

副島隆彦です。 「15」に続けて、2008年8月に起きたことの金融記事をまとめて載せます。 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●「中国銀行:ファニーとフレディ債の保有29%減らす-保証MBSは22%減 」

2008年8月29日 ブルームバーグ

 中国の銀行大手、中国銀行は米住宅金融投資会社ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の社債(連邦機関債)の保有を過去2カ月に29%減らした。両社の損失拡大や米政府による救済憶測のなかで保有高を圧縮した。

 中国銀行が決算とともに発表したところによると、同行は6月30日-8月 25日の間にファニーメイ・フレディマック債の保有を約31億4000万ドル減らして75億ドルとした。両社が保証する住宅ローン担保証券(MBS)は22%減らし51億7000万ドル相当とした。

 米財務省はファニーメイとフレディマックの財務状況が悪化した場合は支援することを表明しているが、アジアの投資家は両社への慎重姿勢を強めている。米資産運用会社ルーミス・セイレスのダニエル・ファス副会長は今週、海外投資家は「信用への懸念から投資を手控えている」と指摘していた。


● 「仏クレディ・アグリコル4-6月 前年同期比94%減益-評価損響く」

2008年8月28日 ブルームバーグ

 時価総額でフランス3位の銀行、クレディ・アグリコルが28日発表した2008年4-6月(第2四半期)決算は、米国の金融保証会社(モノライン)関連の評価損が響き、前年同期比94%減益となった。

 発表資料によると、純利益は7600万ユーロと前年同期の12億9000万ユーロから減少。ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリスト予想の中央値(1億5000万ユーロ)も下回った。

 第2四半期にはモノラインの保証付き証券で6億9300万ユーロの評価損を計上した。アナリストは評価損の総額を10億5000万ユーロと予想していた。証券部門のカリヨンは3四半期連続の赤字だった。

 MFグローバルのアナリスト、マムーン・タジ氏は決算発表前に、「カリヨン部門のリスクテークが全体の業績低迷の理由だ」とし、投資銀行事業の見直しがリスクテーク意欲と将来の収益力に影響するのは必至だと指摘した。

 クレディ・アグリコルは今年3月までに、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン危機に絡む評価損55億ユーロ(約8900億円)を計上し、5月には証券部門のトップを更迭。7月には59億ユーロの増資を実施した。6月末時点の中核的自己資本(Tier1)比率は8.9%だった。

 クレディ・アグリコルは5月15日に、パトリック・バルロフ氏をカリヨン部門のトップに指名。7月17日には同部門の幹部陣を刷新した。同行はカリヨンの再編について9月10日に詳細を発表する。また、向こう1年半-2年の間に50億ユーロ相当の資産を売却する方針も5月に示した。


●「米倒産、歯止めかからず 7月5600件に急増、3年ぶり高水準 」

2008年8月28日 日経新聞 ニューヨーク

 米企業の倒産ペースが加速している。7月の倒産件数は前年同月比57%増の5664件と、法的整理の条件が厳しくなった2005年10月以降、単月として過去最高だった。 個人消費の冷え込みを映し、小売り、外食企業の倒産が目立つ。 8月に入っても住宅、自動車関連の不況業種の倒産が続出。 金融機関が融資基準を厳しくしていることもあり、当面は倒産件数が高止まりするとの見方が支配的だ。

 企業が裁判所に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)や清算などを申請した件数を、米民間調査会社ジュピター・ イーソーシズがまとめた。7月の倒産件数は直近のピークだった
5月(5319件)を上回り、3年ぶりの高水準。倒産件数は年初は月4000件台で推移していたが、ガソリン高による個人消費の伸び悩みや住宅公社の経営問題を受けた信用収縮を背景に件数は 増加傾向にある。

●「8月の英住宅価格、ほぼ20年ぶりの大幅低下-ネーションワイド 」
U.K. Annual House Prices Drop Most Since 1990, Nationwide Says

2008年8月28日 ブルームバーグ

 英住宅金融4位のネーションワイド・ビルディング・ソサエティが28日発表した8月の英住宅価格は、前年同月比でほぼ 20年ぶりの大幅低下となった。住宅ローンの貸し渋りやリセッション(景気後退)の見通しが、住宅購入意欲の低下につながった。

 8月の平均住宅価格は前年同月比10.5%低下の16万4654ポンド(約3300 万円)と、1990年10-12月期以来の大幅な落ち込みとなった。前月比ベースでは1.9%の低下。7月は同1.5%低下だった。

 約10年ぶりの高水準にあるインフレ率や景気の停滞、銀行による住宅ローンの貸し渋りを背景に、不動産相場は90年代初めの前回リセッション以来の大幅な落ち込みとなっている。イングランド銀行のキング総裁は今月、10年間にわたり活況が続いた後、住宅価格は「著しい調整」に直面しているとの見方を示した。

 ネーションワイドのチーフエコノミスト、フィオヌアラ・アーリー氏は「最近の住宅市場の動きは非常に鈍い」と指摘。「経済や住宅市場の状況に対する信頼感はおおむね弱い」との認識を示した。イングランド銀は、インフレ加速と景気後退のリスクを両にらみし、政策金利を4月以降5%に据え置いている。

●「日米欧、ドル防衛で秘密合意 3月の金融危機時」

2008年8月28日 日経新聞

 米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけにした米金融不安でドルが急落した今年3月、米国、欧州、日本の通貨当局がドル買い協調介入を柱とするドル防衛策で秘密合意していたことが明らかになった。

 ドル暴落で世界経済に大きな混乱が広がるのを回避するためで、為替市場の安定に向けた緊急共同声明も検討された。米ブッシュ政権はかねて介入に慎重姿勢を貫いてきたが、深刻なドル離れで方針転換を余儀なくされた格好だ。米国主導のドル防衛策は過去にほとんど例がない。米住宅公社の経営問題などでドル不安はなおくすぶっており、各国当局が再び連携を探る可能性がある。

 複数の国際金融筋によると、各国当局がドル防衛策の詰めの作業に入ったのは、米証券大手ベアー・スターンズの経営危機が表面化した3月中旬。金融システムの動揺が収まらず、世界的なドル安、株安に歯止めがきかなくなっていた。

●(副島隆彦注記。アメリカはこの4月に、時価会計を放棄して実質、骨抜きにし、ルール変更したくせに、このようにわざとらしいことをやってみせる。本当に偽善者どもの国だ。)

「米SEC、国際会計基準への切り替えスケジュール提案 」

2008年8月28日 AP通信 ワシントン

 米証券取引委員会(SEC)は27日、 上場企業の国際会計基準採用を2年以内に認める方針を打ち出した。 2014年以降は全上場企業に対し採用を義務付ける可能性もある。 グローバルスタンダード受け入れをめぐっては一部の投資家や議員から反発も出ているが、 推進派は金融市場の国際化が進む中で当然の動きであり、 国外の企業を呼び寄せる一助にもなると指摘している。


●「経済コラム、米住宅公社問題から恐ろしい現実が見える - W・ペセック」

2008年8月27日 ブルームバーグ

 機密情報資料。失業統計。国家安全保障費の見積り。政局の世論調査。世界のリーダーたちは、よく読んで理解しなければならない書類が山積している。米国の次期大統領の必読書類リストにはさらに、連邦準備制度理事会(FRB)の表「H.4.1」が加わる。

 エコノミストたちは、ニューヨーク連銀が毎週発表する資料から、この表を入手している。資料の名前は無味乾燥な「準備金の構成項目と収支」というもので、歴代の米大統領たちがその内容を熟読していたことが知られていないのは無理もない。

 次期大統領は同表から、外国人が米国の生活水準を維持する上でいかに積極的に資金を提供し続けているかを知ることになる。悲しいかな、米国民は、アジアからの資金提供がない状態で生き抜く方法を学ばなければならない十分な理由がある。

 多くのアナリストが予想していたような大幅なドル資産離れは、まだ起きていない。米国債に対する需要は、ドルが下落し、信用危機が深刻化するなかでも、極めてしっかりしている。米住宅公社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の問題ですら、まだ大幅な資本逃避をもたらしていない。

 「まだ(yet)」という単語がここでは重要な意味を持つ。中銀が保有する米政府機関債が今月約100億ドル減少したのは、資本逃避が進行中であることを必ずしも意味するものではない。しかしアジア諸国は、米当局が住宅公社の問題にどのように対処していくか、憂慮しながら見守っている。

 格付け会社フィッチ・レーティングスでアジア地域のソブリン格付け担当責任者、ジェームズ・マコーマック氏(香港在勤)によると、中国はファニーメイとフレディマックを中心に長期の政府機関債を3760億ドル相当保有している。ファニーメイとフレディマックは大き過ぎてつぶせないだけでなく、地政学的な意味も大き過ぎて倒すわけにはいかない。

  恐ろしい結果
 中国人民銀行の元貨幣政策委員、余永定氏は先週、「米国政府がファニーメイとフレディマックの破たんを容認し、海外の投資家に十分な補償を行わなければ、恐ろしい結果になる」と指摘した。「それが世界の終わりでないとしても、現在の国際金融システムの終わりということだ」と語った。

 ファニーメイとフレディマックが救済されたとしても、最近の動きはわれわれが知るところの米国の金融取り決めの終わりを示している。米国が今考慮すべきは現実である。 この問題に対処していく上では、中国だけでも十分厄介な「顧客」ということになる。控えめに見積もっても、中国が保有する米政府機関債は同国の国内総生産(GDP)の10%に相当する。米国が、投資家に対し返済の遅れと減額を通知したらどうだろう。

 五輪の成功にどっぷり浸っている中国国民13億人は、自分たちに多大な損失を被らせ、米国民が依然として裕福な状態に、どのように対応するだろうか。FRBの表で立場を逆転させてみれば、米国民の間で中国への資金提供をやめるべきだとの世論が高まることは容易に想像できよう。

  アジアの担保
 米国は現在のような危機的状況にあっても足元は今後も堅固との理論は、同国がアジアからの資金にいかに依存しているかという点を軽視している。米国は過去数年間にわたり生産性の高い経済を構築してきており、アジア諸国はそれを担保にしていると、しばしば指摘される。確かにそれは本当だ。

 同時に、アジア諸国には選択肢がほとんどないのも事実だ。貿易黒字の規模を背景に、アジア各国は最も流動性の高い証券市場に資金を投資し、自国通貨が競争面で不利な水準まで上昇することを回避する以外に、ほとんど選択肢がないのだ。

 選択肢の1つとしては、ユーロ建て資産への投資が挙げられる。ただし、ドル資産からの分散投資はリスクを伴う。ドル資産を大量に保有する日本や中国、ロシアといった国々がユーロ資産にシフトしていることを投資家がかぎつければ、ドル相場は大きく下げ、中銀は多大な損失を被ることになる。

 共存関係の話のようだが、実際の問題は米国の海外資金への依存度合いだ。米国の経常収支赤字は2008年1-3月(第1四半期)に1764億ドルと、1993 年以来の平均1000億ドルを上回っている。それは、米国が世界の景気拡大を支えてきたことによるのではなく、アジアの資金が米国に危険なまでに身の程を超えた生活を提供してきた結果である。

  ほころびた金融システム
 米金融業界の苦境がさらに深刻化した場合、アジア諸国は投機的な投資を回避するために、米国に投資していたそうした資金が必要になる。その場合でも、過去1年間のドルの乱高下がアジア諸国を慎重にさせるだろう。

 米ベアー・スターンズの事実上の破たんを受けて米国型の資本主義への信頼が損なわれるなか、ドルは米金融当局による利下げを受け、過去1年間に対ユーロで7%、対円で5%それぞれ下落した。米金融機関に巨額の出資を行っている政府系投資ファンド(SWF)も考え直すかもしれない。

 民主党のオバマ候補、共和党のマケイン候補、どちらが就任するにせよ、次期米大統領はほころびが見られる米金融システムを修復し、国民に過度の借金体質を改善させることが課題になる。米国がアジアからの資金にこれまでほどは頼れないと認識するなかで、そうした過程はより厳しいものとなろう。

 マケイン候補は、アジアからの資金なくしてどのように減税分を補うのだろうか。オバマ候補は、米国がかくも依存している地域に対し用いている保護主義論をどうやって貫いていくのだろう。

 両候補が問い掛けている強いアメリカ論はすべて、米国がいかに経済政策面での一部自治権を失いつつあるかという点を無視したものだ。ポールソン米財務長官が取り組んでいる政府機関債の再構築への動きは外交政策の意味を持ち、今後もそうしたプリズムを通して見ていかなければならないだろう。次期大統領が多忙であることは間違いない。そして、アジアからの資金流入がこれまでより細るなかでかじ取りを強いられることは、さらに疑いようがない。


●「FRBによる金融危機回避措置の代償は-Jベリー 」

2008年8月28日 ブルームバーグ

 サブプライムローン(信用力が低い個人向け住宅融資)問題が引き金となった金融危機から1年が経過して、米国の金融システム内にある多くの弱点が明らかになってきた。政治的に可能だとしても、こうした弱点をすべて克服するには数年かかりそうな気配だ。

 金融機関の破たんが金融システム全体の崩壊につながるようなシステミックリスクを回避するには、相互に関連した多くの措置が必要となる。そうした災難は今年3月、かろうじて回避された。米連邦準備制度理事会(FRB)が米証券大手のベアー・スターンズの破たん回避に向けて、例外的な措置を講じたためだ。

 つまり、こうした措置は金融機関のリスクを制限する方法が含まれることになるだろう。必要な措置の多くは強い反対に遭うことになりそうだ。というのも、リスクを制限すれば、かつてのような高い収益性を回復することができなくなるからだ。

 米モルガン・スタンレーのエコノミスト、リチャード・バーナー氏は今月25日、投資家は「レバレッジやリスクテーク、金融機関の収益などに対する規制が何を意味するか完全には理解していない」と指摘した。しかし、野放図なリスクテークや金融システムを十分監視していなかったことの代償は大き過ぎて、放置するわけにはいかない。

  規制回避
 米国の金融業界やそのロビー集団は政治家の主要な資金源でもあり、大部分はその種の規制強化を回避することが可能だった。それが間違ったことだとしても、彼らは再び規制強化を阻止することができるかもしれない。 これに対し、FRBのバーナンキ議長は今月22日の講演で、「金融システムの将来や金融関連規則をめぐって起きる国民的な議論」となる問題の一端を示した。こうした議論の及ぶ視野は気が遠くなるほど幅広い。

 ベアー・スターンズ問題は、重大なシステミックリスクをもたらす可能性のある金融機関の破たんへの対処に関して、「明確な法的枠組み」が存在しなかったという事実を浮き彫りにした-。バーナンキ議長はこう指摘した。通常の時間がかかる破産手続きは明らかに機能しないのだ。

 FRBは前例のない措置で、米銀JPモルガン・チェースによるベアー・スターンズの救済合併を後押しした。これは潜在的に税金投入につながる可能性があるため、同議長は財務省に責任を移譲し、資金源を付与する法律の成立を提案した。

 他の投資銀行がベアー・スターンズのような流動性危機に陥らないようにするため、FRBは窓口貸付制度の対象をプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)にまで広げた。それは、「異常かつ切迫した環境」の下では銀行業以外に対しても中央銀行の貸し出しを認めた大恐慌時代の法律を拠り所としている。「異常かつ切迫した環境」は、今まさにサブプライム危機に当てはまる。

 ただ、バーナンキ議長や他の金融当局者らは、そうした貸出制度の権限が明確に付与されるように「連邦準備法」の改正が必要だと考えている。それと同時に、当局者らはFRBが投資銀行にも窓口貸付を行うとすれば、銀行に対する場合と同様に、規制や監督を行う法的な権限も必要だと指摘している。

  他の選択肢はない
 現在、FRBは米証券取引委員会(SEC)との合意覚書に基づき、投資銀行に検査官を派遣している。SECには投資銀行を監督する権限がありながら、これまでリスクの度合いや投資レバレッジの程度を実際に規制したことはなかった。 適切な権限が付与されれば、FRBはこうした措置を取るだろうし、その過程で金融業界の収益性を限定することになるだろう。

 しかし、これ以外には選択肢はないだろう。米国の金融システムが発展するにつれて、金融機関のいくつかは「大き過ぎてつぶせない」存在になったからである。ベアー・スターンズの場合と同様に、経営破たんすれば、金融システム全体や米経済に対し、リスクを負わせることになろう。

 米政府による効果的な監視とは、証券会社が「資本や流動性といった緩衝材を適切に維持し、リスクや流動性管理に対する総合的なアプローチを発展させる」ようにすることだと、バーナンキ議長は講演で述べた。 現在、明らかになっているように、いくつかの巨大投資銀行の経営者らはリスクや流動性の管理に大失敗し、受けたリスクに対して資本が少な過ぎた。同議長はほかにも立法措置につながる可能性のある問題に触れた。これは資本規定や貸倒引当金、信用供与の急拡大につながる他の規則を見直す必要性があるものだ。

 現在の金融危機は、米国の金融構造や金融機関の経営、規制、監督には数多くの問題があることを示した。FRBは危機を鎮めようと試み、将来を見越して、包括的な方法でより強固なシステム構築を目指している。大統領と議会は来年の年明け早々から、自らの役割を引き受け、努力する必要がある。
(ジョン・ベリー)

● 「独ドレスナー銀売却、コメルツ銀・中国国家開発銀との交渉本格化」

2008年8月 26日 フランクフルト、 ロイター

 ドイツ保険大手アリアンツ傘下ドレスナー銀行の売却をめぐる交渉が、アリアンツと中国国家開発銀行および独コメルツ銀行との間で佳境を迎えている。複数の関係筋が26日、ロイターに語った。アリアンツに近い筋は同日、両買い手候補との話し合いが本格化していると述べ、交渉に近い別の関係者は中国国家開発銀と合意する見込みが十分にあると語った。当事者はすべてコメントを拒否している。

 これまではコメルツ銀行が買い手の最有力候補と目されていた。コメルツ銀の買収が成功すれば、ドイツで2位と3位の銀行が合併することになり、ドイツ銀行に対抗する一大銀行グループが誕生する。関係筋はまた、ドレスナー銀行がコメルツ銀に2段階で売却され、アリアンツが少数株主として株式の保有を継続する可能性や、アリアンツが中期的に統合銀行の30%前後の株式を取得する可能性があるとも述べた。

 ドイツの日刊紙フランクフルター・アルゲマイネは、金融業界関係者らの話として、中国国家開発銀がドレスナーにかなり高い買収価格を提示しており、それを現金で支払う用意があると報じた。

●「外貨準備、ドル比率最低に 世界の合計3月末63% IMF調べ」

日経新聞 2008年8月26日

【ニューヨーク=山下茂行】 世界の外貨準備に占める米ドルの比率の低下が止まらない。国際通貨基金(IMF)の調べでは3月末時点で、各国金融当局が保有する外貨準備のうち米ドルの占める比率は63%と、1999年のユーロ発足以来で最低となった。ユーロ台頭に加え、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけに、米経済力を象徴してきたドルの基軸通貨としての立場は浸食されつつある。

 IMFによると、外貨準備のうちで通貨構成が確認されているのは米ドル換算で合計約4兆3200億ドル(約475兆円)。このうち米ドルで保有されているのは約2兆7200億ドルで、その比率63%は、昨年末に比べ1ポイント減少した。


●「米アラバマ州ジェファーソン郡、破産申請を準備-30億ドル不履行か」

2008年8月26日 ブルームバーグ

 米アラバマ州ジェファーソン郡当局は、金利急上昇に見舞われ支払いが困難になった30億ドル(約3300億円)の債券の問題で、債権者と合意できなかった場合に備え、破産届け出を用意するよう司法担当者に通達した。

 ジェファーソン郡政委員会は26日、法律事務所ブラッドリー・アラント・ローズ・アンド・ホワイトと郡検事にJPモルガン・チェース率いる債権団との交渉と、交渉決裂時の破産申請書類の準備を委託する計画を全会一致で承認した。シティグループなど複数のバンカーや助言機関も郡に解決案を提示したが、支持は得られなかった。

 郡政委員会のコリンズ委員長は記者団に対し「成功を望んでいるが、必要ならば届け出も準備する」と指摘。「今回の決議はうまく機能する可能性がある。金融各社は裁判所に持ち込みたくはないとも考えられる」と話した。

 ジェファーソン郡が問題の債務を履行しなければ、米国史上で最大の地方債のデフォルト(債務不履行)となる。これまでで最大のデフォルトは、1983 年のワシントン公共電力システムの債券の22億5000万ドル。地方自治体の破産届け出としても、94年のカリフォルニア州オレンジ郡の破産以降で最大規模になる見込みだ。

● 「米GSE株が続伸、国有化観測が後退 」

2008年 08月 26日 ニューヨーク、ロイター

 26日の米株式市場では、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)株が2日連続で上昇した。 両社をめぐっては、住宅市場の悪化で自己資本が不足し、国有化が必要になれば普通株が無価値になるとの懸念が浮上していた。株価は20年ぶりの安値近辺まで下げていたが、ここ数日は、国有化の必要はないとの見方が強まっている。

 両社は過去4四半期連続で赤字を計上しているが、シティグループとゴールドマン・サックスのアナリストは26日、国有化以外の選択肢が存在すると指摘した。 ローラー・エコノミック&ハウジング・コンサルティングの創業者トマス・ローラー氏は「政府による救済は差し迫っていないとの見方が広がっている」と述べた。

 ノルウェーの政府系ファンドは26日、ファニーメイとフレディマックへのエクスポージャーが、昨年末の1290億クローネから、880億クローネ(163億6000万ドル)に減ったことを明らかにしている。


● 「信用収縮、本番はこれからか-米金融機関債、09年までに過去最大の償還」

2008年8月26日 ブルームバーグ

 米証券大手メリルリンチやリーマン・ブラザーズ・ホールディングス、米銀ワコビアを含む米金融機関は借り入れコストがいかに高くなったかを間もなく知ることになるだろう。

 JPモルガン・チェースによれば、2009年末までに償還を迎える米金融機関の社債は過去最高の8710億ドル(約95兆5000億円)。 米国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)も過去最大級に拡大しており、メリルリンチの指数データによると、年間の利払いが1年前と比べ 最大230億ドル増える可能性がある。

 借り換えコストが高く付けば、金融機関は資本市場での借り入れ能力を抑制され、個人や法人向け融資を一段と絞り、それが既に01年以降最も緩慢なペースの米景気にさらに水を差す結果となる。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先週、最上級格付けの米金融機関50社中、ほぼ半数の見通しが6月30日時点で「ネガティブ(弱含み)」だったとしており、同比率は過去15年で最も高くなった。

 フィフス・サード・アセット・マネジメントのシニア・ポートフォリオマネジャー、マーコ・ミケリック氏は「資本主義のギアが止まりつつある」と指摘。 「銀行セクターには多大な懸念がのしかかり、資本争奪が起きている」と語る。金融機関債のスプレッドは平均で414ベーシスポイント(bp、1bp= 0.01%)と、昨年の最小水準76bpを大きく上回っている。投資適格級債全体のスプレッドは平均で約314bp。

  バンク・オブ・アメリカ(BOA)の証券部門でかつて債券調査責任者を務めたデービッド・ゴールドマン氏はブルームバーグラジオとのインタビューで、「信用収縮は今始まったばかりだ」と指摘。その理由として、「これまでの損失で資本が相当傷んでしまった金融機関は、これから家計や法人向け融資を絞らざるを得ない。いよいよデフォルト(債務不履行)が起きる」と説明した。 現在は投資家に転じているゴールドマン氏は運用していたファンドを閉鎖したと語る。市場が「殺伐とする」可能性が高いためだという。

 

●「米政府系住宅金融:2社株価急落 公的資金投入観測強まり」
2008年8月22日 共同通信

 【ワシントン斉藤信宏】米株式市場で、政府系住宅金融会社2社の株価が急落している。米政府による公的資金投入の観測が強まり、株主価値が消失するとの憶測が売りにつながっているためだ。

 株価が急落しているのは、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2社。両社とも、米国民の住宅取得を促進するため、債券を発行。調達した資金で民間金融機関から住宅ローン債権を買い取り、証券化して投資家に販売する業務を担う。

 低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題の影響で住宅市況が低迷、7月に経営不安が表面化した。米政府が公的資金による救済を可能にする法律を成立させて有事に備えてきた。

 今週はじめに米経済誌バロンズが「米政府が2社に資本注入する可能性が高まっている」と報じたことで、国有化に伴う株主価値の消失が現実味を帯びた。ファニーメイの21日の終値は4.85ドル、フレディマックは3.16ドルまで下落するなど、すでに市場は2社への公的資金投入を織り込み始めている。

●「米ファニーとフレディへの公的支援、2230億ドルの債務借り換え次第か 」

記者:Dawn Kopecki 2008年8月20日 ブルームバーグ

 米住宅公社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)が、2230億ドル(約24兆 5000億円)相当の債券を9月末の償還期限に返済できるか否かが、公的支援を回避できるかの決め手になる可能性がある。

 両社が公表した数値とブルームバーグのデータによると、9月30日が期日となる債務は、ファニーメイが約1200億ドル、フレディマックが1030億ドルだ。

 ポールソン財務長官は7月、ファニーとフレディの資金調達コストが上昇し、両社が発行した債券への需要が縮小している兆候がみられたことから、緊急時に無制限に資金を投入する権限を議会に求めた。しかし、両社の資本が信用関連損失で目減りするとの懸念が広がるなか、両社の調達コストは再び上昇している。
クレディ・スイス(ニューヨーク)のアナリスト、モシュ・オレンバック 氏は、債務を借り換えできるかどうかが最も重要な要因だと指摘した上で、「これまでのところは両社とも借り換えは可能な状態だ」と述べた。

 ただ、ファニーメイの3兆ドルの債券に対して、最大の国外保有者であるアジアの投資家は購入割合を減らしてきており、ポールソン長官が公的支援を実施する必要性が潜在的に高まっている。 JPモルガン・アセット・マネジメント債券運用部長の国部真二氏(東京在勤)によると、同社の日本拠点ではファニーメイとフレディマックの債券保有を減らしている。富国生命保険の桜井祐記取締役財務企画部長も、ファニーとフレディの今後の行方をやや懸念していると指摘。事態が好転しているようには見えないと述べた。

●「元IMFロゴフ氏:米経済はリセッション入り-大手米銀破たんも」

2008年8月19日 ブルームバーグ

 元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのケネス・ロゴフ米ハーバード大学教授は、米経済は信用市場の混乱によってリセッション(景気後退)入りしており、大手米銀が破たんする可能性があるとの見方を示した。

 同教授はシンガポールでブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、「米国での最悪期はまだこれからだ」とし、「金融業界は縮小が必要だ。中規模と小規模の銀行が幾つか倒れるだけでは不十分だと思われる」と語った。米住宅市場の急減速を発端に昨年発生した信用危機は、金融機関に巨額損失をもたらしている。

 ロゴフ教授は、米住宅金融投資会社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)について、「10年前に閉鎖するべきだった」とし、「国有化する必要がある。株主が投資した全額を失うのはやむを得ない。債券は保証するべきだろう。米国は両社の債務を政府が保証するという印象を与え続けてきたからだ」と語った。

 また、ロイター通信によると、ロゴフ教授は19日にシンガポールでの会議で、信用危機は悪化する公算が大きく、大手米銀が破たんする可能性があると発言した。同教授はブルームバーグとのインタビューで、「業界が縮小するときにはいつも、大手プレーヤーの退場があるものだ。大手投資銀行の間でも統合が見られるだろう」と語った。

 さらに、「システムで教訓を生かすためには、一部の金融機関を破たんさせることも必要だ。巨額の利益を上げながら、救済される業界があってはならない」と述べた。  ロゴフ教授は、米経済がすでにリセッション入りしているとした上で、住宅市場は悪化が続くとの見方を示した。米景気低迷は2009年7-12月(下期)に入っても続くとの見通しも示した。米政策金利については「低過ぎる」として、現行水準が続けばインフレ圧力の増大を招くと警告した。


●「米政府系住宅金融2社への公的資金注入に現実味 米金融危機」

 2008年8月19日 産経新聞

 【ワシントン=渡辺浩生】 経営不安が続く米政府系住宅金融会社、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)に対し、米政府が近く公的資金注入に踏み切るとの見通しが強まっている。内外投資家への影響は大きく、財務省は観測の火消しに躍起だが、資産劣化は止まらず、一時国有化のシナリオも取りざ
たされ始めた。

 米週刊経済誌バロンズ(18日付)は政権関係者の話として、財務省が数カ月以内に両社への公的資金注入に踏み切る公算が強まっていると報じた。

 米住宅ローン残高の半分にあたる約5兆ドルを保証・保有する両社の経営危機を回避するため、財務省に両社の株式購入の権限を与える救済策を盛り込んだ住宅関連法が先月、スピード審議で成立したばかりだ。

 財務省報道担当は18日、報道を否定したが、ニューヨーク株式市場で両社の株価はそれぞれ20%も急落した。ロイター通信によると、海外の中央銀行は保有する両社の株式・債券のうち約110億ドル分を過去1カ月間に売却したという。

 不安が再燃したのは、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題の拡大で資産劣化が著しいため。フレディマックは4~6月期決算で、全資産を時価評価した場合、約56億ドルの債務超過に陥ると判明。ファニーメイも自己資本の水準が、損失処理には不十分とされる。

 同誌によれば、財務省は両社が追加増資に失敗すれば、両社発行の優先株を引き受ける。その場合、両社普通株式の保有者は資産を失い、優先株保有者や、約190億ドルの劣後債保有者も損失を被ると指摘。さらに、財務省は両社経営陣を刷新して事業縮小や資産売却を進め、株式を再公開して民営化するか、政府機関の傘下に収める「準国有化策」のシナリオも報じた。

 米政府は支援策を「予防的措置」(財務省幹部)と強調するが、エコノミストの間では「最終的に公的資金注入に行き着く」(ビンセント・ラインハート元連邦準備制度理事会金融政策局長)との見方が強い。


●「米カルパース:株式投資減らしディストレスト債ファンドに振り向け」

2008年8月18日 ブルームバーグ

 米最大の公的年金基金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は、株式投資 を減らし、最大23億ドル(約 2530億円)をレオン・ブラック氏が 運用するディストレスト債ファンドに投資する。 社債デフォルト(債務不履行)率が1年以内に2倍に上昇する と見込まれるなかで、ブラック氏のアポロ・グローバル・マネジメントは割安な債券や融資債権を買い取るファンド3本を設立した。 当局への届け出によると、これらのファンドの当初資金の大半はカルパースが出資した。

●「 米住宅差し押さえ、7月は前年比55%増 民間調べ」

2008年8月16日 日経新聞

 【ニューヨーク=財満大介】7月に米国で住宅ローン返済が滞って差し押さえを受けた件数が27万2171件と、前年同月比で55%の大幅増となったことが、米不動産調査会社リアルティトラックが14日発表した調査でわかった。6月に比べても8%増えており、住宅不況が直近で一段と進行していることを裏付けた。

 差し押さえ件数が最も多かったのはカリフォルニア州で、約7万2300件。次いでフロリダ州の4万5900件、オハイオ州の1万3500件の順だった。フロリダ州は前年同月の2.4倍に急増した。住宅バブル期に開発が進み、住宅価格が急騰した地域が上位を占めている。

●「「ゴールドマン、JPモルガンも危機に「無縁ではいられない」-UBS 」

2008年8月15日 ブルームバーグ

 米証券最大手ゴールドマン・サックス・グループと米銀JPモルガン・チェースは同業他社と比べれば、信用危機をこれまで切り抜けてきたものの、第3四半期には「致命的な」影響を受けるかもしれないと、スイスの銀行UBSは指摘する。貸倒損失が増え、銀行業務の収入が落ち込むためだという。

 UBSのアナリスト、グレン・ショアー氏は15日付リポートで、「競合他社がはまった多くの落とし穴をこれまで回避した」ゴールドマンも収益減少に「無縁ではいられない」と予想。時価総額で米銀2位のJPモルガンも資産評価損や消費者向け融資の悪化に直面していると指摘した。

 両社の業績は過去2四半期にわたって市場予想を上回り、評価損と貸倒損失もモルガン・スタンレーやバンク・オブ・アメリカ(BOA)、シティグループのそれを下回っている。このため、株価下落率もS&P500金融株指数に比べて小幅にとどまり、ゴールドマン株は金融株指数がピークを付けた昨年10月以降、27%安、JPモルガンが21%安となっている。金融株指数は41%下落。

 ショアー氏は両社について、「信用危機時の投資避難先とみられてきたので、投資家は短期的に持ち分を減らす可能性があるとわれわれは考えている」と指摘した。同氏はゴールドマンの今年6-8月(第3四半期)の1株利益見通しを2.25ドルと、従来予想の3.20ドルから引き下げ、JPモルガンの第3四半期(7-9月)についても25セントと、同62セントから下方修正した。


●「米カルパース、株式投資減らしディストレスト債ファンドに振り向け 」

2008年8月18日 ブルームバーグ

 米最大の公的年金基金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は、株式投資を減らし、最大23億ドル(約 2530億円)をレオン・ブラック氏が運用するディストレスト債ファンドに投資する。

 社債デフォルト(債務不履行)率が1年以内に2倍に上昇すると見込まれるなかで、ブラック氏のアポロ・グローバル・マネジメントは割安な債券や融資債権を買い取るファンド3本を設立した。 当局への届け出によると、これらのファンドの当初資金の大半はカルパースが出資した。

● 「米で証券集団訴訟が急増 株主、サブプライム関連で損失」

日経新聞 2008年8月16日

【シカゴ=毛利靖子】 信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響が広がる中、損失を被った株主らが欧米の金融機関などを相手取って起こす証券集団訴訟が急増していることが分かった。サブプライム関連で今年起こされた訴訟の数は65件で、既に昨年1年間(39件)の1.7倍に達している。提訴を受けた米大手銀行シティグループなどが金融商品の買い戻しを決めた例もあり、株主からの責任追及の動きは今後も広がりそうだ。

 スタンフォード大学ロースクールが集計した。証券集団訴訟は「情報開示が不十分だった」などとして、損失を被った株主が当該企業を訴えるもの。サブプライム問題が表面化した昨年から直近までの累計で、同問題に絡む提訴数は100件を突破した。米連邦裁判所に持ち込まれた証券集団訴訟の総数も、今年に入って既に127件にのぼり、同じペースで年末まで推移した場合、年間では4年ぶりの高水準となる見込みだ。

●「三菱UFJが米銀を完全子会社化 」

2008年8月13日 日経新聞

 大手邦銀による欧米金融機関への大型出資が相次いでいる。これまで動きのなかった三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は12日、米有力地方銀行のユニオンバンカル・コーポレーション(UNBC、カリフォルニア州)を完全子会社化する計画を正式発表した。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を逆手に3メガバンクが投資と融資の両面で、米欧市場で存在感を高めようとしている。

 三菱UFJはすでに65%の株式を保有しているUNBCに対して、今月18日から9月15日までTOB(株式公開買い付け)を実施し、同社の完全子会社化を目指す。買い付け価格は1株当たり63ドル。ニューヨーク証券取引所の11日終値に8.3%上乗せし、過去30日間の平均終値を24.5%上回る。


●「スイス金融大手UBSが2兆円規模の買い戻し オークション証券を不適切販売」

2008年8月9日 共同通信

 スイスの総合金融大手UBSは8日、米自治体などが発行するオークション証券(ARS)の不適切な販売問題で、投資家が保有する計186億ドル(約2兆400億円)分すべてを買い戻すと発表した。

 販売の際にUBSが投資家への十分な説明を怠ったとして訴えていたニューヨーク州などとも和解、同州などに対し罰金計1億5000万ドルを支払うことも決めた。現在の証券価格が下落しているため、罰金も含めた損失は9億ドル程度を見込む。

 ARSをめぐっては既に米銀行大手のシティグループ、米証券大手のメリルリンチも大規模な買い戻しを決めており、大手3社の買い戻し額は計360億ドル規模に達した。シティとメリルは個人投資家、中小企業などが対象で、機関投資家向けも含めた買い戻しを決めたのはUBSが初めてという。(共同)

●「フレディマックが実質債務超過、投資家の見方交錯」

2008年 8月 6日 ニューヨーク、ロイター

 米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は6日、第2・四半期決算を発表し、保有資産を時価ベースで評価すると、56億ドルの実質債務超過になると表明した。これを受け、一部の投資家の間では、フレディマック株はほぼ無価値となるとの見方が浮上。同社が発行する政府機関債については、米政府が住宅公社支援の意向を鮮明にしているため大きな問題はないが、株式投資はリスクが高いのではないかとの声が出ている。

 フレディマックがこの日発表した第2・四半期決算は8億2100万ドルの赤字。赤字幅は予想を上回り、6日のフレディマック株は20%近く急落、6.49ドルで取引を終えた。ただフレディマックの株式時価総額は依然42億ドルあり、少なくとも一部の市場参加者は、同社株に投資価値があると考えていることになる。

 ウエストウッド・キャピタルのマネジングディレクター、ダン・アルパート氏は「投資家は、フレディマックが、景気の回復、住宅市場の回復、公的支援のいずれかが実現するまで、持ちこたえるとみているのだろう」と述べた。確かに住宅市場は、回復基調にあるとは言えないまでも、底入れに向けた兆しが出ている。5月のケースシラー住宅価格指数は前月比0.9%低下と、前月から低下率が鈍化、予想よりも緩やかな低下にとどまった。

 フレディマックの保有資産であるモーゲージ証券についても、多くが売られすぎの状態で、住宅市場の回復に伴い、価格は持ち直すとの見方がある。ただ、モーゲージ市場の低迷は否定できない。フレディマックのサイロン最高経営責任者(CEO)は、アナリストとの電話会議で「今日の経済環境は厳しく、住宅市場は安定には程遠い」とし、「住宅価格が底打ちするまでの全過程の半分を通過したに過ぎないと考えている」と語った。

 市場は、フレディマックや連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)に強い懸念を表明している。両社は、米モーゲージ証券12兆ドルの半分弱を保有・保証しているが、モーゲージ証券下落や住宅市場支援で自己資本が不足するとの懸念が浮上、7月に株価が急落した。フレディマック株は1年で90%近く急落。ファニーメイ株も80%近く下落しており、政府が緊急支援策をとりまとめる事態となった。

  <増資計画>
 フレディマックは、財務基盤強化のため55億ドルの増資を行う方針だが、増資が実現しても、実質債務超過分56億ドルをほぼ帳消しにする効果しかない。財務諸表によると、簿価ベースの保有資産は129億ドルとなっている。キーフ・ブリュエット・ウッズの株式担当チーフストラテジスト、フレデリック・キャノン氏は「55億ドルの増資では不十分である可能性が濃厚だ」と指摘。

 ウエストウッドのアルパート氏も、公的支援が実施されれば、株主責任が問われる可能性があるとの見方を示した。同氏は「必要な増資規模を考えれば、株式は大幅に希薄化する見通しだ。国有化のリスクもある」と述べた。フレディマックはコメントを拒否している。


●「米国の金融危機は1年半は継続し、数百の銀行を破たんに追い込むリセッションに」
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK
016647820080804

ニューヨーク 2008年8月3日 ロイター

 3日付の米投資週刊紙バロンズは、エコノミストで 米ニューヨーク大学教授のヌリエル・ルービニ氏の発言を引用し、米国は、少なくとも 1年半は継続し、数百の銀行を破たんに追い込むリセッションの第2イニングにあると報じた。

 ルービニ氏によると、国民は金融サービス業界の残りを救済するため、多額の税金を支払う必要に迫られる見通しだ。同氏は納税者の支出について少なくとも1兆ドルとし、どちらかといえば2兆ドルに達するだろうとした。

 同氏は、銀行は山のような損失を抱えて債務超過に陥る見通しだとし、住宅価格の急落に加え、サブプライム住宅ローンについて、これまでのところ評価損の計上にとどまっているためだと述べた。

 同氏によると、銀行は消費者信用損失にも直面しているものの、引当金が不足している。 さらに、担保価値がほぼゼロとなった住宅担保ローンの貸付残高が数百万ドルに及ぶことも指摘した。 ルービニ氏によると、米消費者が貯蓄を減らす一方、連邦準備理事会(FRB)は問題がサブプライム住宅ローンより先に広がっていることを認識できず、危機にうまく 対応できていない。

 同氏は、政府は過剰な規制を行っているとし、困難を抱えた金融機関の救済や、あらゆる市場への介入を例示した。 ルービニ氏は「連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社 (フレディマック)、ならびにベアー・スターンズ債権者の救済や、新たな貸付制度を伴う 金融システムの構築に関連し、規制当局は自らを調査すべきだろう。米国債と有毒性のある証券の交換にほかならない」と述べた。

 その上で「従来のように利益を私有化し、損失を国有化している。 米証券大手と富裕層のための社会主義だ」との見方を示した。 ルービニ氏は破たんに陥る金融機関について、住宅や商店、商業用不動産など米地域社会の中軸に融資を行う地銀が含まれると述べた。

 同氏は「40行近い中堅地銀のうち、3分の1は窮地にある」とし、半数は破たんに陥ると予想した。さらに、一部の大手行も債務超過に陥る可能性があるが、「ツー・ビッグ・ツー・フェール」とみなされるだろうと述べた。同氏は世界経済については「極めて強気」にみていると強調し、中長期的にポジティブな状態が続くと予想した。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


「この「第2ぼやき」記事を印刷する」
「80」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(15) 2008年の7月分の記事をまとめて載せます。 2008.9.4

副島隆彦です。 今日は、2008年9月4日です。

 この第2ぼやきに、ようやくのことで、「サブプライム危機から世界恐慌へ」(15)を載せます。2008年7月の分の記事を集めたものを載せます。

私は、今年、2008年の金融・経済の記事を集めたものを、1月以降、全く載せていません。 何が、それほそ忙しかったのか、自分でも忘れました。とにかく、忙しかった。

3月に、「連鎖する大暴落」(徳間書店刊)を出して、そのあと、すぐにPHP研究所からの「時代を見通す力(ちから)」を書くことで、4月、5月の2ヶ月は本当にきつくて苦しかった。
それを、書き上げて、やれやれと思ったら、すぐに7月に入って、この「時代を見通す力」が出版されたのは、7月末で、実際には8月の夏の盛りだった。

 こうやって、私の時間は過ぎてゆく。この9月6日から、祥伝社からの、毎年恒例の「エコノ・グローバリスト・シリーズ」の11冊目である、「恐慌前夜」が発売になる。この本を書き上げるのに、7月後半から8月前半までの一ヶ月がかかった。だから、私は、この第2ぼやきに、何も載せられなかったのだ。

1月分は、「13」までで載せているようだから、急いで、今から、今年の2月の分から、8月の分までをここに、載せます。
副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●「FRBの資金供給、資産構成上の限界に近づきつつある=日銀金融市場局長」

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK
014102520080729

2008年7月29日 ロイター

 日銀は29日、「サブプライム問題に端を発した短期金融市場の動揺と中央銀行対応」と題したリポートを公表、これについて中曽宏金融市場局長は、米連邦準備理事会(FRB)がとった様々な対応措置の結果、短期国債の保有額の大幅減少によりバランスシート上、資金供給余地が限界に近づきつつあると指摘した。

 同リポートは、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に対する 主要中銀の対応をまとめたもの。FRBはサブプライム問題発生後、短期金融市場に大量の資金供給を行ったほか、プライマリーディーラーを対象に幅広い担保を裏付けとした1カ月物入札型ターム物貸出(TAF)の導入や、MBSなどを担保としてFRBが保有する国債を貸し出すなど、様々な措置を講じてきた。こうした措置が奏功して、米国の短期金融市場は当初に比べてある程度緊張感が緩和した。

 ただ、足元の国際金融市場の状況について中曽局長は「だんだんと周辺部に動揺が広がってきている」との認識を示し、特に注目しているLIBOR─OISスプレッドは基本的に高い
状況が続いていると指摘。「カウンターパーティ信用リスクと流動性リスクの両方が縮小しないことを背景に、緊張状態はまだ続いている」とし、今後も縮小しにくい状況との見通しを示した。

 こうした中、FRBのバランスシート(資産サイド)は昨年夏までに比べて大きく変化した。 短期の資金供給オペが大幅に増加したことを映じて、FRBは買い入れた短期国債を、現金
償還などによってその残高を減額することにより、準備預金残高が一方的に増加することを回避、翌日物金利の誘導を円滑に行うことを企図。また、すう勢的に増加してきた長期国債の
保有も減少、保有国債のうち債券貸し出しへの利用も増加した。

 この結果、FRBのバランスシートは、長期国債、短期国債ともに減少し、代わりに短期オペの比率が増加。短期国債買い入れ額はほとんど残高がなくなりつつあり、これ以上の資金供給が難しい状況に なりつつある。中曽局長は今後の対応について、FRBがこれまであまり行ってこなかった資金吸収オペなどを活用して、バランスシートを短期国債の買い入れと両建てで膨らませる方法もあるとした。

 リポートではサブプライム問題以降に欧米中央銀行が抱えた金融調節面の課題として、翌日物金利のボラティリティの高まり、ターム物金利と翌日物金利のかい離幅拡大、ドル建て金融市場のひっ迫などクロスボーダーでの波及、有担保資金取引市場の著しい機能低下、中銀のいわゆる補完貸付利用に対する民間金融機関の抵抗感の強さをあげた。

 こうした課題に対し、各国中銀では、翌日物オペの頻度・規模面の増加や、オペの長期化や柔軟化、 ドル資金の為替スワップによる供給などの措置が講じられたと論点を整理した。


● 「米SECが金融機関株の空売り制限期間を延長の公算、対象銘柄も増加へ=WSJ 」

2008年 07月 27日 フィラデルフィア 、ロイター

 米証券大手の幹部らは、米証券取引委員会(SEC)が金融機関株の空売り制限期間を延長する可能性があるとみている。また規制の対象銘柄も増やす公算が大きいという。米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が27日、電子版で伝えた。

 空売りの制限期間は29日で終了する。証券幹部らは、SECが対象を現在の19金融機関から拡大すると予想しているという。同紙によると、証券幹部やロビイスト、ヘッジファンド業界の代表らは週末、SECと協議を行い再考を求めた。

 ヘッジファンド業界団体は25日のSECとの電話協議で、SECが期間を延長するとともに、対象銘柄に保険会社や建設会社を含めることを検討しているとの印象を受けたという。同紙によると、SECはまた、空売り規制を恒久的なものにするよう取り組んでいる。SECの政策担当者は選択肢を絞り込んだ上で、早ければ28日にSEC4委員に提唱する可能性があるという。現時点でSEC広報官からコメントは得られていない。

 ネット上にあったコメント。 制度を恒久的にしようなどと言っているが、市場を小手先で操作しようとするとしっぺ返しを食うことをわかっているのか。それでも、一時的であれ、効果があるのも事実。今週が山と見る、


● 2008年7月26日(土)に、住宅公社(救済)法案 Housing and Economic Recovery Act of 2008 が上院で決議され通過した。元々は住宅ローンの借手(かりて)救済 Housing Reform という名目で貸し手の金融機関をも救済 するために議論されていた。

 ところが、例のGSE(ガヴァメント・サポーテッド・エンタープライズ、政府支援企業である、ふたつの住宅公社) 危機説が流れてからは、「GSE救済法案」という雰囲気になり、出来上がってきた法案は下記リンク先にあるとおりだ。全部で670ページ以上ある。

http://www.house.gov/apps/list/press/financialsvcs_dem/
hr3221_bill_text.pdf

Housing Reform として議論されていた間は、ブッシュ大統領は「拒否権発動を辞さず」という絶対反対という態度を貫いてきた。議会主導で、目下の金融危機を乗り切ろうとする動きに、執行部(行政権)として泥を塗られた感じがするからだ。 ブッシュ政権の態度が明確に変わったのは、法案が「GSE救済」の色を濃くしてからだ。

 実際、このHousing Reform関連法 については、この10月1日から施行だが、GSE救済に関しては、大統領の署名があり次第、すぐに有効となるらしい。それくらい緊急を要する話だったのだ。 それとも、最初からGSE救済を念頭に置いていたのではないか。

 そして、法案名 の一部に、Economic Recovery 「景気回復」 とあるとおり、中身は住宅ローン問題やGSEに限ったものではない。 自動車メーカーのクライスラーの救済を念頭に置いた項目も盛り込まれている。

 GSE救済については、Paulson財務長官に一任ということらしい。肝心の、大量の住宅ローンの焦げ付き者の発生の問題については、今まで同様 「やってますよ」 というポーズだけであり、実質はあまり効果がないようだ。 引き続き、全米で、住宅価格下落とForeclosureの津波は続いている。


●「米金融危機:自己責任原則の放棄で米国は弱体化、ドルは凋落 」

2008年 07月 18日  ロイター、東京   森 佳子 記者

 信用バブル崩壊後の不良債権問題の深刻化で追い詰められた米国は、「自己責任原則」や「時価会計ルール」など米国社会の真髄を貫くルールを自ら放棄しはじめた。

 これは急場しのぎとしては有効かもしれないが、世界の信頼を損なうことで、米国の弱体化は加速し、基軸通貨ドルの凋落の歩みを早め、将来に取り返しの付かない禍根を残すことになるとの見方が世界の投資家の間で聞かれる。

 <自己責任原則の放棄>
 金融界に限らず、米国社会の根幹をなすルールは「自己責任原則」であり、これを法律に例えれば米国の憲法のようなものだ。
 しかし、3月に資金繰りに窮した米証券ベアー・スターンズに緊急融資枠を設定して救済をはかったことを皮切りに、このところ米国が様々な場面で自己責任原則を放棄するケースが目立ってきた。

 「インベストメント・バンクが先導した信用バブルが弾け、金融界が苦境に陥ったことで切羽詰った米国は、とうとう自己責任原則という『踏み絵』を踏んでしまった」とファースト・インターステート・リミテッド香港社長、中山茂氏は指摘する。
 自己責任原則は時価会計ルールと並んで、他国が米国スタンダードを受け入れる際に「フェアな基本理念」として認識され、米国スタンダードは世界的な広がりをみせた。

 「これを放棄することは、米国の自己否定を意味し一番の強みを捨てたことになる。今後、米国の信用は、国際的にも国内的に失墜し、弱体化が加速するだろう」と中山氏は予想する。

 ベアー救済劇の翌日には、米連邦準備理事会(FRB)が米証券会社に対する連銀窓口貸出(Primary Dealer Credit Facility=PDCF)の開始を発表したが、証券会社は本来FRBの監督外にある業態で、流動性供給はFRBの使命を逸脱した異例の措置だ。

 だが、バーナンキFRB議長は、当初は半年間の期限付きだったPDCFを年末を越えて延長する用意があるとまで表明した。
 今月14日、米政府は経営難が懸念されている2つの政府系住宅金融機関(GSE)、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ) と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の救済に着手、現在は1公社につき22億5000万ドルの融資枠の上限を引き上げ、両公社の資本増強のために株式を購入する方針を表明。さらに連銀窓口貸出枠で資金供与する提案もした。

 米国が自己責任原則を放棄してまで、必死にウォール街を救済するのは、マイナス成長やリセッションを回避したいからだ。
 だが、著名投資家のジム・ロジャーズ氏は「リセッションはシステムに存在する過剰を取り除くという意味で『善』である」と言う。

 「米国が過剰(マネー)にまみれたウォール街を救済して、リセッション回避をはかることは愚かしく、米国は、実際にリセッションを体験するより、はるかに高価な代償を支払うことになるだろう」とし、「無分別な資金供給によって、FRBは自らの衰退を招くだけでなく、激しいインフレを招き、基軸通貨としてのドルの終焉を早めるだろう」とロジャーズ氏は警告する。マネーモーニングとのインタビューで答えた。同氏は米政府のGSE支援について「完全なる自己破滅的行為」と評している。

 都合に合わせてルールを変更するということは、米国が政治の世界で何度もやってきたことだ。これが経済の世界でも通用するのか、目下、金融市場に試されている。

 ドルに対するバスケット通貨(ユーロ、円、ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフラン)の加重平均値であるドルインデックスは、2001年7月の120.90から4割超下落して3月には過去最低の70.689となった。現在は72台を推移している。

 ロジャーズ氏は、米国債はここ1―2年の間に現在のトリプルAから格下げされるだろうと予言する。

 <時価会計原則の裏技>
 米国は金融機関の決算について、時価会計ルールを早々と放棄し、違法ではないものの異なる会計処理を活用し、国を挙げて金融機関の粉飾決算の片棒を担いでいるとの批判が、米国以外の国々で上がっている。

 「かつて米国は、日本に対して時価会計ルールの厳格適用を声高に要求し、日本の金融機関を潰しておいて、自分が困ったときには、勝手にルールをネジ曲げるのは許しがたい」(本邦金融機関)。「時価会計のポイントは、ガラス張りで全体が見渡せることだ。少しでもルールを曲解すれば、全てが台無しになる。米国がフェアなアカウンティングとして世界に売り込んだものを、自らの都合で柔軟運用するとは、呆れて物が言えない」(アジア系金融機関)と絶句する。

 米財務会計基準審議会(FASB)は昨年、金融商品の会計処理における公正価値の算出基準としてFAS157号を導入し、米大手金融機関でも採用している。FAS157号の下では、時価会計が適用されるのは、レベル1と呼ばれる資産のみだが、米金融機関保有の金融資産のうち、レベル1に区分されるものは3割にも満たない。他方、時価算定が困難な資産であるレベル3資産は増え続けている。

 米国が政府を挙げて支援しているGSEの会計も柔軟運用の一例だ。「ファニーメイについてはバランスシートで資産の評価が甘いと言える。レベル3資産については十分な引き当て・償却を行っておらず、同公社が保証する債券の引当金(負債サイド)も全く十分とは言えない」と東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏は指摘する。

 斎藤氏によれば、ファニーメイは資産がわずか2%目減りしただけで、株主資本を超える損失が発生するほど資本が脆弱な状態で、損失処理ができるほどの資本増強が早急に必要だという。プール前セントルイス地区連銀総裁は「両公社が破たん状態にあると認識するべきだ」と述べている。斎藤氏によれば米金融機関が活用する会計の裏技には少なくとも3種あるという。

 第1に、損失が出ている保有証券を「満期まで保有するつもりで、売却可能で流動性が高い」というカテゴリーに分類することで、「簿価」評価し、評価額の変化が永続的と判断されるまでは「その他包括的利益」に繰り入れる。これによって評価損は表面化しない。

 第2に、レベル3資産(流動性も指標もなく各社が独自の推定によって評価する資産)をヘッジするためのデリバティブ資産についてのみ未実現収益を計上し、損益計算書のトレーディング収益に入れる。実際、米投資銀行はレベル3資産から巨額の未実現収益を計上している。

 第3に、大きな損失を出した場合は、金融当局に時価評価を一時凍結してもらう。バーナンキ議長は「時価会計は、時に投げ売りを誘って市場を不安定にする側面がある」との認識を示し、「必要であれば一時凍結することもありうる」ことを示唆している。 (ロイター日本語ニュース 森佳子 編集 橋本浩)

●「日本の金融機関が保有する米GSE関連債、農中の残高は5.5兆円」

2008年 07月 18日  東京、ロイター

 米当局が政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2社の支援策を打ち出した。

 GSEの関連債券について、2008年3月末現在の日本の主要金融機関の保有状況を調査したところ、農林中央金庫は、GSE2社の機関債と住宅ローン担保証券(RMBS)の合計で5.5兆円で、三菱UFJフィナンシャル・グループの3.3兆円を上回り、国内最大規模の保有額となった。

 また、生命保険会社では、住友生命が開示していないが、複数の関係者によると、日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命の大手4社のGSE債の保有状況は、機関債とRMBSの合計で4兆円を超えた。個別にみると、日本生命は2兆5000億円、第一生命は9000億円だった。

 大手証券会社では、大和証券グループ本社がGSE2社のRMBSを1811億円保有している。野村ホールディングスについては、RMBS業務から撤退し、米国のプライマリーディーラーの資格も返上したたため「ポジションは少量」(広報)だという。大手銀行3グループのGSE関連債の保有残高の合計は4.7兆円だった。

 ロイターの聞き取り調査による2008年3月末の国内金融機関のGSE債の保有状況の一覧は以下のとおり。

◎銀行           GSE関連債 (備考)
三菱UFJ         3兆3000億円 (ジニーメイ含む3社分)
みずほFG         1兆2000億円 (全額ジニーメイ)
三井住友FG        2198億円 (ジニーメイ含む3社分)
   計          4兆7198億円
◎系統         GSE関連債合計   うち機関債   うちRMBS (備考)
農林中金        5兆5000億円   2兆円     3兆5000億円 (ファニーメイ・フレディの2社分)
◎生命保険       GSE関連債合計   うち機関債   うちRMBS (備考)
日本生命        2兆5000億円  4700億円   2兆1621億円 (ジニーメイ含む3社)
第一生命          9000億円  5000億円   4000億円 (ファニーメイ・フレディの2社分)
明治安田生命         900億円      0円    900億円 (2社分)
三井生命           943億円   100億円    843億円 (2社分)
富国生命            22億円    22億円    0円 (フレディのみ1社)
◎損害保険       GSE関連債合計   うち機関債   うちRMBS (備考)
東京海上HD         530億円   430億円    100億円 (ジニーメイ含む3社)
損保ジャパン         740億円    30億円    710億円   (2社分)
三井住友海上HD       440億円   440億円       0円 (2社分)
◎証券         GSE関連債合計   うち機関債   うちRMBS (備考)
大和証券G本社          --     --     1811億円 (2社分)


● 「NY市場トリプル安 株・ドル・債券、政府財政悪化の懸念 」

日経新聞 2008年7月12日

【ニューヨーク=山下茂行】 11日の米金融市場では金融システム不安や景気の先行き警戒感からドル資産が全般に売られた。ダウ工業株30種平均が前日比128ドル48セント安の1万1100ドル54セントと、2006年8月以来の安値で終えたほか、債券、ドル相場がそろって下落する「トリプル安」の格好となった。

 11日の米金融市場は住宅公社2社についてポールソン財務長官が国有化など政府による救済をひとまず否定したことなどが嫌気された。株式市場ではダウ工業株30種平均が大幅安で、終値で年初来安値となった。一時1万1000ドルの大台を割り込んだ。

 外国為替市場ではドル売りの動きが広がり、円相場は前日比80銭円高・ドル安の1ドル=106円20―30銭で取引を終えた。
 長期債相場も大幅反落となり、10年物国債利回りは前日比0.16%高い(価格は安い)3.96%で取引を終了。景気悪化が懸念される局面では「安全資産」との位置付けから債券市場に資金が流入するのが普通だが、この日は政府による住宅公社の支援が避けられなくなり、政府財政が悪化する恐れがあるとの見方から債券が売られた。

●「混乱解消に日本の資金も サブプライム問題で金融相 」

2008年7月15日 共同通信、クアラルンプール

 渡辺喜美金融担当相は15日、マレーシアの首都クアラルンプールで開かれた「世界経済フォーラム東アジア会議」に出席し、米サブプライム住宅ローン問題をきっかけにした金融市場の混乱を解消するため、 日本の資金が必要になるとの見方を示した。

 渡辺金融相は、サブプライムローン問題の影響で巨額損失を出した欧米金融機関の資本増強には公的資金の投入が必要とした上で「それぞれの国の財政資金だけでは多分まかなえないだろう」と指摘。 サブプライムローン問題で日本が受けた影響は欧米に比べ少なかったことを踏まえ 「最後の出し手になるかもしれない。日本は官民とも長期のお金を出すのが特徴だ」と強調した。ただ、具体的な資金拠出の方法には言及しなかった。

 渡辺喜美金融相は15日、クアラルンプールで開幕した世界経済フォーラム東アジア会議で、米住宅ローン問題をきっかけにした金融市場の混乱を収束するには欧米の巨大金融機関への公的資金注入が必要になるとの認識を示した。「被害を比較的受けていない日本が最後のとりでになるかもしれない」と述べ、米欧政府が動き出せば、日本も協調して資金協力する考えも披露した。

 

●「農林中金、米シティの資産5千億円分を購入 」

2008年7月16日 朝日新聞

 農林中央金庫は米金融最大手シティグループから、シティの資産をもとに組成した総額約5千億円分の証券化商品を購入した。 サブプライム問題で巨額の損失を出し、資本増強と資産の大幅な圧縮を進めるシティの要請に応じた。サブプライムで痛手を負った欧米金融機関が投融資に慎重なのと対照的に、損失が比較的少なかった日本の金融機関の積極姿勢が目立っている。

 農中が買ったのは、シティが保有するクレジットカード・自動車ローン債権などから組成した証券化商品。今年1月ごろから複数回にわたって買い取りを進めた。

 シティの昨夏以降のサブプライム関連損失は、米金融大手で最大の約460億ドル近くに膨らんだ。シティは中東の政府系ファンドなどの出資を仰ぐ一方、従来の拡大路線を転換し、5月には4千億ドル(約42兆円)分の資産を売却する方針を打ち出した。

 シティのカード・自動車ローンなどは返済能力の高い利用者が多く、優良債権が多いとされる。農中にとっては「資産の安全性が高い割に利回りが良い。金融市場の混乱による欧米金融機関の投融資意欲の減退傾向が逆にチャンス」(幹部)だという。

 日本の金融機関には、欧米企業の資金調達の際にも出番が増えている。6月には三井住友銀行の主導で米IBM向けに500億円の融資案件をまとめ、今月11日には、みずほコーポレート銀行が主幹事となってスウェーデンのトラック大手ボルボ・グループに総額1100億円を協調融資すると発表した。


●【円ドル人民元】「米住宅公社救済協力へ外貨準備活用案浮上」

産経新聞 2008年7月17日 コラム

 7月16日、渡辺喜美金融担当相は訪ねてきた米政府元高官に語りかけた。 「米住宅抵当金融公社の経営不安を憂慮しています。まず、日本は政府の保有分はもとより、民間に対しても住宅公社関連の債券を売らないように言います」 うなずく米要人に対し、渡辺氏は続けた。

 「米政府が必要とすれば日本の外貨準備の一部を公社救済のために米国に提供するべきだと考えている」昨年8月の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライム・ローン)危機勃発(ぼっぱつ)後の金融不安は、最近表面化した連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2公社の経営危機でさらに深刻化している。

 米政府や連邦準備制度理事会(FRB)は公的資金注入など公社救済策を検討中だ。しかし、公的資金必要額は住宅価格下落に比例して膨張する。両公社の住宅ローン関連債権は米住宅ローン総額の半分近い5兆2000億ドル(約550兆円)で、日本の国内総生産(GDP)に相当する。

 両公社が発行している住宅関連証券が投げ売りされるようだと、米国のみならず欧州、日本、中国など国際的な信用不安になる。そればかりではない。米国債への信用は損なわれ、ドルは暴落しかねない。株式の低迷に加え、米国債とドルが暴落すれば、ドルを中心とする国際金融体制は崩壊の危機に瀕し、世界経済全体が根底から揺らぐ。

 渡辺案は、米国の自力による住宅公社再建には限界があるとみて、この6月末で1兆ドルを超えた日本の外貨準備を米国の公的資金注入の資金源として提供する思い切った対米協調である。
筆者はこの考え方について、在京米金融筋で米国務省のアドバイザーに感想を聞いた。彼は言う。「同盟国日本が率先して支援の手を差し伸べてくれると、われわれは日本にかつてなく感謝するだろう。

 日本は救済パッケージで主導性を発揮し、中国にも働きかけてくれればより効果的だ」 中国の外貨準備は6月末で1兆8000億ドルに達し、米国債や米住宅公社関連債券の保有額でも日本をしのぐ世界最大の水準とみられている。中国は貿易や投機を含む投資で流入してくるドルを当局が買い上げ、主として米債券に投資している。ドルが暴落すれば中国も巨額の損失を直接被ることを中国政府は自覚しており、日本が国際協調を呼びかけると同調する可能性は高い。

 思い起こすのは、1997年のアジア通貨危機である。日本の財務省は通貨危機打開のために「アジア通貨基金」設立構想を推進した。ところが米クリントン政権が強く日本案に反対し、日本主導を嫌う中国と語り合って、アジア通貨基金構想をつぶした。今回の危機は米国を震源地とする巨大地震であり、中国も米市場の安定は自国経済の死活問題である。渡辺金融担当相は「まだ私案の段階だが、中国にも協力を呼びかけるつもり」と言う。米金融危機が今後さらに悪化すれば、有力案として浮上しよう。

 

● 「米住宅ローン大手、インディマックが破綻 」

日本経済新聞 2008年7月12日

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080712AT2M
1200W12072008.html

 【ワシントン=藤井一明】米連邦預金保険公社(FDIC)は11日、米地方銀行で住宅ローン大手、 インディマック・バンコープの業務停止を発表した。FDICが管財人となり、預金や資産を引き継ぐ。

3月末時点の資産規模は320億ドル(約3兆4000億円)、預金量は190億ドルだった。住宅ローンで急成長した大型金融機関の破綻は米金融システムへの懸念をさらに強めそうだ。

 米国で業務停止となった金融機関としては、1984年のコンチネンタル・イリノイに次ぐ過去2番目の規模。FDICによると、預金保険が今回の措置に伴い預金の保護などのために負担するコストは 40億―80億ドルと見込まれる。業務は週明けの14日から通常通り継続。FDICは受け皿機関の選定を急ぐ。

 インディマックはカリフォルニア州が拠点。「オルトA」と呼ばれる住宅ローンで業務を拡大してきた。 オルトAは信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)と優良な貸出先の中間にあたる顧客層へのローン。サブプライムと並んで焦げ付きが膨らんでいた。

●「米政府系住宅金融だけで懸念払しょくにはならない=インベストラスト 福永氏 」

2008年 07月 11日  インベストラスト代表取締役、福永博之氏

 米紙ニューヨーク・タイムズ電子版によると、ブッシュ政権の複数の高官は政府系住宅金融大手のファニーメイと フレディマックについて、問題が悪化すれば 1社もしくは両社を政府の管理下に置く計画を検討しているようで、これ自体は株式市場にとってプラスの材料だ。だが、消化不良のところもあるようで、買い戻しの勢いは限定的なものにとどまっている。

 ポールソン米財務長官やバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が足並みを揃えて金融システム安定化に向けた動きを強めていることで、市場では逆に米金融機関に対する懸念につながっている面もある。 政府系住宅金融が解決すればすべての懸念が払しょくされるということにはならない。


●「ファニーメイとフレディマックの破たん回避を-米議員が相次ぎ発言 」

2008年7月10日 ブルームバーグ

 米住宅金融大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)は、つぶすには大き過ぎる-。 共和党や民主党幹部からこうした発言が相次いでいる。

 ファニーメイとフレディマックの株価は1991年以来の安値に下落しており、 両社が発行した社債の5兆2000億ドル相当を世界各国の中央銀行や年金基金などが保有している。

 下院金融委員会のスペンサー・バッカス議員(共和、アラバマ州)は 同日、社債保有者は破たん防止措置を当てにできるかもしれないが、 株主は米政府が両社の株価下落を食い止めるとは期待できないだろう、と語っている。

 ファニーメイの10日株価終値は前日比14%安の13.20ドル。 今年これまでに67%下落した。フレディマック株は22%安の8ドル。年初来下落率は約 77%に達した。

 

● 「金融機関の実態に再び疑いの目 「レベル3資産」の膨張に要注意」

週刊ダイヤモンド 2008年6月20日ぐらい号

藤戸則弘(ふじとのりひろ) 三菱UFJ証券シニア投資ストラテジスト

 米国で金融株が、再度軟化の気配を見せている。シティグループは、3月17日安値17.99ドルから4月28日高値27.35ドルまで+52.0%の上昇を見せた。ところが5月以降は軟調に転じ、5月21日には21.01ドルまで下落。最安値まで3ドルという不安な水準である。大手証券・投資銀行のメリルリンチ、ゴールドマン・サックス(GS)等の株価も、5月初めに戻り高値をマークした後に、同様の軌跡を描いている。

 空売り勢の買い戻しに一巡感が出たこともあるが、最大の要因は、金融機関の実態悪に投資家の目が再び向き始めたことであろう。「3月の悲観」の後、「4月の楽観」で投資家のマインドは大きく改善してきた。しかし、5月中旬あたりから潮の流れが変化し始め、アナリストから欧米金融機関の実態悪、追加評価損観測のレポートが出始めている。

 危惧される要因のひとつは、「レベル3資産」(低流動性で時価評価が困難な資産)の膨張だ。大手証券・投資銀行のなかには、「レベル3資産」が自己資本の倍以上に膨張している企業がある。複雑な証券化商品を適正に評価するのはきわめて困難だ。なかには、ABX指数やCDS指数の動向から「この程度か」とアバウトな評価も含まれており、そこに恣意性が働くリスクがある。厳格な評価法を採用すれば、たちどころに評価損が膨張する恐れもあろう。

 また、3月の悲観局面でヘッジ比率を高めた金融機関があり、その後の価格反騰で「ヘッジロス」が膨張したとの報道もある。その金額は、最大で15億~20億ドルとされており、最もロスの大きな企業は第2四半期も赤字決算となる可能性が高まっている。

 アナリストのなかには、2009年末までに、金融機関全体の追加評価損は1700億ドルに達するとの観測も出ており、超悲観の反動で楽観に振り過ぎていた振り子が、再度バックし始めている。


● GS、モルガン・スタンレー、リーマン・ブラザーズといった大手証券・投資銀行の第2四半期決算(3~5月期)は、6月中旬前後に発表される。もし、そこでさらなる評価損の拡大があった場合には、投資家はサブプライム問題の根の深さを再認識させられることになろう。欧米の金融株が軟化すれば、日本の金融株も悪影響は避けられない。「4月の楽観」シナリオが蜃気楼とならないためには、やはり公的資金の投入による抜本解決が必要と思われる。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝


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