副島隆彦です。今日は、2008年1月5日です。サブプライムローン危機から世界恐慌への(10)となる、2007年11月の新聞記事を載せます。 副島隆彦記
(転載貼り付け始め)
●「 シティグループ、アブダビ投資庁の75億ドル出資受け入れへ 」 [07/11/27]」
米金融大手のシティグループは26日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁から、75億ドル(約8250億円)の出資を受け入れるとの方針を発表した。
シティは低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付きに絡み、80億-110億ドル(9200億-1兆2650億円)規模の追加損失が発生するとの見通しを発表していた。損失計上に伴い、自己資本比率の大幅低下は避けられず、資本増強が緊急の課題とされていた。
既にチャールズ・プリンス会長が一連の損失の責任を取って辞任している。同投資庁の持ち株比率は5%弱に達すると見られる。
● 「シティなど銀行にさらなる損失リスク、今度は“導管”で-フォーチュン」
2007年11月26日 ブルームバーグ
米誌フォーチュン(オンライン版)は26 日までに、大手銀行はコンデュイット(導管)と呼ばれる資金調達の仕組みに関連して、投資家に開示されていない巨額のリスクを抱えている可能性があると指摘した。
同誌によると、コンデュイットが発行する証券の多くは住宅ローンなどの資産を担保としている。銀行は資金調達のためにコンデュイットを設立する。
コンデュイットは通常、銀行のバランスシートに連結されてはいないが、コンデュイットが証券を発行できなくなった場合は、債務担保証券(CDO)の場合と同様のプロセスでリスクが銀行のバランスシートに移ると同誌は説明している。多くの大手銀行は「コンデュイットに関する大きなリスクを抱えている」という。
フォーチュン誌によると、9月30日の時点で米銀シティグループには、コンデュイット関連で730億ドル(約7兆8400億円)の簿外資産があった。また、メリルリンチは50億ドル相当のコンデュイット資産を買い取った結果、2007年7-9月(第3四半期)に5億ドル余りの税引き前損失を出したという。
● 2007/11/21(水)
「郵政乗っ取り及び軍需化」
「ジャパンポスト」(日本郵政会社)のサイトからからあるリストが突然削除された。
<あわてて削除された後の画面>
http://www.japanpost.jp/pressrelease/japanese/
kani/040331j401.html
削除された内容は下記
1 郵便貯金資金の委託運用
(1) 投資顧問会社
【国内株式】
シュローダー投信投資顧問株式会社、大和住銀投信投資顧問株式会社、日興アセットマネジメント株式会社、三井住友アセットマネジメント株式会社、メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ株式会社、UFJアセットマネジメント株式会社
【外国株式】
興銀第一ライフ・アセットマネジメント株式会社、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社
2 簡易生命保険資金の委託運用
(1) 投資顧問会社
【国内株式】
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社、シュローダー投信投資顧問株式会社 、大和住銀投信投資顧問株式会社、富士投信投資顧問株式会社、メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ株式会社
【外国株式】
興銀第一ライフ・アセットマネジメント株式会社、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社、大和住銀投信投資顧問株式会社、東京海上アセットマネジメント投信株式会社、メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ株式会社
【外国債券】
興銀第一ライフ・アセットマネジメント株式会社、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社、富士投信投資顧問株式会社、三井住友アセットマネジメント株式会社 、当然サプライムの焦げ付きも日本の郵貯が助けさせられるのだろう。
●「 米シティグループ、コスト削減を検討、最大4万5000人を削減も…CNBC」[07/11/27]
【ニューヨーク=蔭山道子】 米銀最大手シティグループは26日、経営環境の悪化に対応するため、業務の効率化とコスト削減を検討中であることを明らかにした。
米経済専門テレビ局CNBCはコスト削減に伴い最大4万5000人を削減する可能性もあると報じた。これに対しシティは「報道された削減人数は事実に基づくものではない」とコメントしている。
●「シティ、日本が“国有化”!?アノ人が来日し根回しか 」
ZAKZAK 産経新聞 2007/11/19
米国の低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)問題で大きな損失をこうむった米シティグループ。その先行きを不安視する市場関係者が増えており、「サブプライム問題は端的にいえば、シティの巨額損失をいかに穴埋めするかということに帰結する」(在米金融機関幹部)とまで言われている。
金融界では今、日本の金融機関がシティの支援に乗り出すのではとの観測も出ている。 シティは2007年7~9月期決算で、サブプライム関連の損失が約65億ドル(約7500億円)発生。さらに11月には、最大110億ドル(約1兆2600億円)もの追加損失が発生する見通しであることを発表、損失は合わせて2兆円規模に達する見込みだ。
こうした状況を受けてシティの株価は急落し、10月初旬まで40ドル台後半で推移していたものが30ドル台半ば近辺まで下げている。「シティの株価が低迷から抜け出すには時間がかかるだろう。
というのも、シティのサブプライム関連の損失は現時点で2兆円規模と見込まれているが、米国の金融関係者の間には『実際はその5~10倍、10兆~20兆円はあるのではないか』とみる向きもあるからだ。最終的な損失額はいくらなのか。そのあたりがクリアにならなければ、シティへの不安は払拭(ふっしょく)されないだろう」(在米金融機関幹部)
そんななかで浮上しているのが、日本の金融機関がシティへの資本支援などに乗り出すのではないかという観測である。
引責辞任したチャールズ・プリンス前会長兼CEOの表情が同社の実情を物語る(ロイター、クリックで拡大)
こうした観測が浮上してきた背景の1つが、ロックフェラー財閥のデビッド・ロックフェラー氏(92)が11月上旬に来日したこと。表向きは著書「ロックフェラー回顧録」(新潮社)を10月に出版したことを受けての来日とされるが、額面通りに受け取る金融関係者はいない。
「デビッド・ロックフェラー氏は親日家として知られるが、それでも世界的な財閥の重鎮が本の出版くらいでわざわざ日本まで来たりはしない。シティはロックフェラーとつながりがあるとされている。来日の目的は、シティ支援の感触を確かめることだったのではないかとみる金融関係者は多い」(大手銀幹部)
その支援について、先の在米金融機関幹部が次のように指摘する。「万が一、シティがサブプライム問題で重大なダメージを被るようなことになれば、信用崩壊から世界恐慌に発展する恐れすらある。最悪の事態を回避するため、米国側が日本にシティ支援を求めることは十分ありえる話だ」
気の早い日本の金融界では、支援策をめぐっていろいろな観測が飛び交っている。「政府のコントロールが利きやすい『ゆうちょ銀行』などが、シティの優先株を大量に引き受けるのでは」
「りそなホールディングスの“きれいな部分”だけをシティに譲渡するというやり方もある。りそなには約2兆円の公的資金が入っており、日本政府のコントロール下にある」
くしくも、ロックフェラー氏が来日中の11月5日、シティのチャールズ・プリンス会長兼最高経営責任者が巨額損失の責任をとって辞任。後任の会長には、シティグループの経営委員会会長を務めるロバート・ルービン元財務長官が就いた。
「元財務長官のもとで経営を立て直すということは、シティの事実上の“国有化”ともとれる。それほど、シティはダメージを受けているということなのだろう」(在米金融機関幹部)。今後の成り行きが注目される。
● 2007/11/27(火) (副島隆彦注記。以下は、FT誌 のあの優れたジャーナリストのジリアン・テット女史だ )
Investors fear new turmoil
By Gillian Tett and Jennifer Hughes in London and Krishna Guha in Washington
http://www.ft.com/cms/s/0/16e2b24c-9b93-11dc-8aad-0000779fd2ac.html
Wake up to the dangers of a deepening crisis
By Lawrence Summers
http://www.ft.com/cms/s/0/b56079a8-9b71-11dc-8aad-0000779fd2ac.html
Published: November 25 2007
● 2007/11/27(火)
サブプライム関連金融商品の評価損はまだまだ増える。 以下の記事を見た関係者は絶望したはずだ。
2007年11月13日 「NY市場、ダウ319ドル高 ゴールドマン、ウォルマートのニュース好感 」
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/071114/14008.html
ゴールドマン・サックスのブランク・フェイン最高経営責任者(CEO)はメリル・リンチが主催した会合で、 ゴールドマンは、サブプライムローン市場でショートポジションにあり、大幅な評価損を計上する見込みはないと述べた。
(引用終わり)
ゴールドマンがこういうポジションを公けにするということは、いよいよNYの株価は下げるのだ、と皆が確信し暗澹となっただろう。
● 「米フレディマックが50%減配、優先株60億ドル発行へ」
2007年 11月 28日 ニューヨーク ロイター
米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は27日、四半期配当を前期から50%引き下げるとともに、60億ドルの優先株を発行し、資本を増強すると発表した。 普通株の1株配当を前期から50%引き下げ0.25ドルとする。
「すでに発表した、法定基準を30%上回る資本を確保するための戦略の一環」としている。この発表を受け、時間外取引のフレディマック株は、通常取引終値(25.73ドル)から2.3%下落し、25.15ドルで取引されている。
● 「CDO関連の損失は市場全体で推定2600億ドル=JPモルガン」
2007年 11月 28日 ニューヨーク ロイター
JPモルガンのアナリスト、クリス・フラナガン氏はリポートで、サブプライム住宅ローンを組み込んだ債務担保証券(CDO)関連の損失が市場全体で2600億ドルに上る可能性があると指摘した。
JPモルガンの推定によると、銀行のスーパーシニア(高格付け)CDOへのエクスポージャーが2160億ドルで、これの保証に関連したエクスポージャーが約900億ドルという。
リポートは「モーゲージ関連の損失がどの程度になり、誰がその損失を被るのかが今後数カ月で焦点になる」としている。銀行によるCDOの評価損計上額は770億ドルに達し、その保証関連の減損処理は300億ドルになる可能性がある。リポートは「債券保険会社は損失をほとんど認めておらず、損失の確定時期の延期に頼っている」と指摘している。
● 「英ノーザン・ロック、中銀からの借入額が290億ポンド超えた可能性」
2007年 11月 30日 ロンドン ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)が29日発表した週間データによると、英住宅金融大手ノーザン・ロック の取り付け騒ぎ以降、同行が英中銀から借り入れた資金総額が290億ポンド(600億ドル)を超えた可能性がある。ノーザン・ロックは先週、英中銀から27億ポンドを借り入れたもよう。
これは過去5週間で最大となる。資産運用会社ニュースターのエコノミスト、サイモン・ワード氏は「個人の預金流出が加速しているとの情報があり、そうした情報を裏付けるデータといえるかもしれない」と述べた。
●「米カルパース、資産の米国以外へのシフトを検討=CIO」
2007年11月28日 ロイター
米最大の年金基金であるカリフォル ニア州公務員退職年金基金(カルパース)のリード最高投資責任者(CIO) は、資産を米国株式から国際的な投資にシフトさせることがリターンの改善につながるとの考えを示した。19日の取締役会で述べた。
CIOは、全体の資産に占める米株投資の割合を40%から24%に減らす ことが選択肢のひとつとして考えられるとした。実現すれば、米株の保有率は20年超ぶりの低水準となる。
カルパースの広報担当者は27日、現在のポートフォリオの内訳は約40%が米株で、20%が米国以外の株式だと述べた。
もうひとつの選択肢は、米国と米国以外の株式の保有率をそれぞれ30%以下で均等にすることで、リードCIOは「今後10年間で米株と米国以外の株式の保有率を均等にすることは妥当といえる」と述べた。広報担当者によると、カルパースの取締役会は12月17日に開く会議で、今後3年間の資産配分について決定する。
●「米カルパース:運用資産さらに分散化へ-米株比率の引き下げ検討」
Calpers Considers Global Holdings, Shifting From U.S. Equities
2007年11月19日 ブルームバーグ
米最大の公的年金基金、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)のラッセル・リード最高投資責任者(CIO)は19日、運用資産2500億ドル(約27兆4500億円)中の米国株の保有を減らし、世界への分散化を一段と進める方針を表明した。
リード氏はカルパース理事会に対し、新たな資産配分シナリオの一つを説明。全運用資産に占める米国株比率を40%から23.8%に引き下げる可能性を示した。
リード氏は「20年以上もの長い間、カルパースは世界株式運用で米国株を中心に据えてきた」と指摘。「米国株が世界株式市場の大部分の代表であるという事実を含め、従来の投資配分は多くの観点から道理にかなっていた。ただこの状況は変化し、カルパースではさらに、変化が恒久的である可能性が高いと考えている」と述べた。
カルパース理事会は2日間の日程で会合を開き、専門家とともに投資配分の見直しのほか、変更の可能性について協議している。理事会は12月に、新規の投資目標について採決を行う見通し。リード氏は、外国株の保有比率を現在の17%から24.8%に、不動産保有比率を8%から10%にそれぞれ引き上げるシナリオも示した。債券保有比率は 26%から22%に減らし、資産の5%をインフレに連動した資産に充てるとしている。
●「米FRB副議長:市場波乱で信用収縮も-景気下振れリスク拡大を示唆 」
Fed's Kohn Sees Risk of Reduced Credit From Market Upheaval
2007年11月28日 ブルームバーグ
コーン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長は、このところの金融市場の「波乱」で法人向けおよび個人向け信用が収縮する可能性があると指摘し、先月と比較して景気拡大へのリスクが高まっているとの見方を示唆した。
同副議長はニューヨークの外交問題評議会(CFR)で講演。講演用テキストによれば、「著しい波乱が続けば、個人や企業の資金調達状況が一段と厳しくなる可能性が強まる」と指摘。さらに、先行きの「不透明感」は金融政策において「柔軟かつ現実的」に対応する必要性を意味すると述べた。
同副議長の今回の発言は、10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以来の金融市場の動向が自身の景気拡大ならびにインフレ見通しに影響していることを示唆している。ただ、同副議長は「インフレ加速と成長下振れのリスクはほぼ均衡する」とした10月31日のFOMC声明で使用された文言には言及しなかった。
フェデラルファンド(FF)金利先物相場は、12月11日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が4.25%に引き下げられるとのトレーダーの予想を示唆している。
コーン副議長は景気先行き「不透明感」が現在、「いつになく高く」いため、政策決定においては予想と適切な対応に関する見方を絶えず更新していかなくてはならないと述べた。
● 「日米金融機関、サブプライム関連の評価損「2割前後」 」
日経新聞 2007年11月17日
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20071117
AT2C1603C16112007.html
世界の金融機関で信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)に 関連した損失が増えている。 日米の銀行は最近公表した業績見通しなどで、関連資産額に対して2割前後の評価損を見込んだ。 ただ、買い手がつきにくい関連商品の価格は今後も下がる恐れがある。
サブプライムの評価損率をどのくらい見込むかが、業績や株価に大きな影響を与えそうだ。シティグループ15―20%、バンク・オブ・アメリカ18.5%、みずほフィナンシャルグループ25%――。日米の銀行がサブプライム関連の保有資産に対して、どれだけの評価損を見込むかの「評価損率」を計算すると2割前後に集中する。
(引用)
アメリカの銀行監査基準の変更が行われました。 FAS157により、11月15日以降を決算期に含む会計報告以降、下記のように会計基準が変更されます。 現状の資産を3区分に分類して評価する資産評価方法のことを指します。
レベル1 市場などで価格が確定できる資産
レベル2 推定価格と確定価格が混在する資産
レベル3 独自の評価をしている資産
レベル3の資産が多いほど不健全とされ、格付け会社により低い格付けがなされます。 現在、CDO、ABCPなどのレベル3資産の多くは、自己評価で資産評価しています。 これをABXなどの指数を用いて算定することで、レベル2資産に組み込むことができるというものです。
現在、この方式でレベル2に引き上げた場合、膨大な評価損が発生すると思われます。 また、レベル3資産が多いままですと、格付けが引き下げられることになります。これは、銀行などの資産保有会社の膨大な評価損が発生することを意味します。
http://www.markit.com/information/products/abx.html
ABXの指数を見る限り、すべての銀行で評価損失が低すぎると思われます。
どのクラスの債権をどの程度持っているかによって評価損を違ってくると思いますが、少なくとも40%前後で損失額を評価しなくてはいけなくなるでしょう。結果的に、現在公表されている評価損の3倍から5倍程度に損失額が広がる可能性があります。また、大手銀行の配下にあるSIVが破綻して、保証会社である投資銀行に負の連鎖を起こすでしょう。
米財務会計基準審議会、オフバランスの適格特別目的事業体の廃止を検討
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities/idJPnTK
805056220071113
現在、投資銀行などは適格特別目的事業体を作り、SIVなどを本体決算から切り離しています。 このSIVの資産評価を投資銀行本体に組み込むというものです。
●2007/11/27(火) 「評価損率 」
シティーグループ 20.0%
メリルリンチ 19.3%
バンカメ 18.5%
モルガンスタンレー 35.5%
みずほ 25.0%
三菱UFJ 9.6%
三井住友 25.7%
上記の通り凡そ20%前後に集中しており、20%にしようと申し合わせたような動きとなっていますが、 日替わりのように追加赤字計上となるでしょうが、サブプライム関連金融商品の価値は事実上無いわけであり、 最悪の場合、公表された残高ベースでもシティーで6兆円、バンカメで2兆円もの損失になります。
これに公表されていないSIV等を入れれば一体幾らの損失になるか想像を絶する損失額になることになるのです。 FRBが必死で支えています金融市場ですが一旦支えきれなくなった場合大崩壊を起こすことは避けられず、 今や世界はFRBがどこまで支え続けることが出来るのかこれにかかっているとも言えますが、 反対にこの支えがなくなれば、即、死を意味します。
http://www.collectors-japan.com/nevada/content/
c071115_2.html
● 「2007年 3月末時点の 農中 の証券化商品への投資残高は 4兆3319億円 」
それぞれの銀行で計算すると
みずほ方式(評価益8割)=3兆4655億円。
三井住友方式(評価益2割)=8663億円。
野村方式(評価益0割)=0円。
●「サブプライム損失、17兆円弱も・FRB議長」
日経新聞 2007年11月9日
【ワシントン=小竹洋之】米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は8日、上下両院合同経済委員会で証言し、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げつきが金融機関などに1500億ドル(約16兆9000億円)の損失をもたらす恐れがあるとの見方を示した。最大1000億ドルと見積もっていた当初の想定より損失額が大きくなる可能性を認めた。
同日の証言では共和党のブレイディー下院議員が「サブプライム関連の損失は1500億ドル程度まで膨らむとの試算もある」と指摘。バーナンキ議長は「おおむね正しい」としてこれを認めた。
議長は7月の議会証言で、サブプライム関連の損失を「500億―1000億ドル」と見積もっていた。
その直後に広がった金融不安の影響を考慮し、国際通貨基金(IMF)が9月の報告書で試算した「1700億―2000億ドル」に近い水準に上方修正したもようだ。(14:10)
●Japan and China flee from US dollars
18.10.2007 PRAVDAhttp://english.pravda.ru/business/finance/99059-1/ - #
Japan and China led a record withdrawal of foreign funds from the United States in August, heightening fears of a fresh slide in the dollar and a spike in US bond yields.
Data from the US Treasury showed outflows of $163bn from all forms of US investments. "These numbers are absolutely stunning," said Marc Ostwald, an economist at Insinger de Beaufort.
Asian investors dumped $52bn worth of US Treasury bonds alone, led by Japan ($23bn), China ($14.2bn) and Taiwan ($5bn). It is the first time since 1998 that foreigners have, on balance, sold Treasuries.
Mr Ostwald warned that US bond yields could start to rise again unless the outflows reverse quickly. "Woe betide US Treasuries if inflation does not remain benign," he said.
The release comes a day after the IMF warned that the dollar was still overvalued and likely to face "some depreciation in the medium term".
The dollar's short-lived rally over recent days stopped abruptly on the data, increasing pressure on US Treasury Secretary Hank Paulson to shore up Washington's "strong dollar" rhetoric at the G7 summit this week.
The Greenback has already fallen below parity against the Canadian Loonie for the first time since 1976 and has touched record lows against a global basket. It closed at $2.032 against the pound.
David Woo, an analyst at Barclays Capital, said Washington was happy to see the dollar slide. "They don't care so long as the fall is not disorderly. They see it as a way of correcting the deficit. " he said.
Mr Woo said a chunk of the August outflows may have come from foreigners borrowing in the US during the liquidity crunch to meet needs in euros. "We think it may be a one-off," he said.
The US requires $70bn a month in capital inflows to cover its current account deficit, but the key sources of finance are drying up one by one.
BNP Paribas said America has relied on "hot money" from abroad to cover 25pc to 30pc of the US short-term credit and commercial paper market over the last two years.
This flow is now in danger after the seizure in parts of the market over the summer and after the Federal Reserve's half point rate cut, which has shaved the US yield advantage over other countries.
Ian Stannard, a Paribas currency analyst, said the data was "extremely negative" for the dollar. "It exceeds the worst fears. It is not just foreigners who are selling US assets. Americans are turning their back as well," he said.
Central banks in Singapore, Korea, Taiwan, and Vietnam have all begun to cut purchases of US bonds, or signaled an intent to do so. In effect, they are giving up trying to hold down their currencies because the policy is starting to set off inflation.
The Treasury data would have been even worse if it had not been for $60bn of inflows from hedge funds based in Britain and the Caymans, which needed to cover US positions at the height of the credit crunch, telegraph.co.uk reports.
Pravda.Ru has asked Andrew Jakabovics, Associate Director Economic Mobility Program, to comment on the present-day situation in US economy and recent interest rate cut.
“The cut in the federal fund rate is likely to help the segment of American homeowners who have adjustable rate mortgages (ARMs) that are indexed to treasuries or to the Prime rate. Americans who are most at risk of losing their homes to foreclosure, however, are those borrowers with subprime ARMs.
Three-quarters of those borrowers have loans that are indexed to the London Interbank Offered Rate (LIBOR), which is higher today than a month or a year ago, are unaffected by the Fed's actions. While there may be some loosening of the credit crunch and increased liquidity for banks and other investors holding mortgages, it is by no means clear that the rate cut will translate into new mortgage lending activity.
Without a willingness to make new loans, the backlog in unsold houses continues to grow. The overall slowdown in housing markets across the country has wider impacts for the economy as a whole, as we have seen a dramatic cutback in new residential construction (down nearly 20 percent this August versus last August) that is likely to continue for some time.
Historically, we have used the housing sector to restart economic growth during slowdowns, but the Fed rate cut is unlikely to be that catalyst. Instead, we need a focused intervention by the White House and Congress to strengthen the housing market, secondary mortgage markets, and, ultimately, the economy as a whole,” says Andrew Jakabovics.
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
副島隆彦です。今日は、2008年1月5日です。
「サブプライムローン危機から世界恐慌へ(9)」として新聞記事の昨年10月分を載せます。 副島隆彦記
(転載貼り付け始め)
●「G7声明で 世界経済減速を懸念 サブプライム問題で協調 」
2007年10月20日11時39分配信 毎日新聞
【ワシントン川口雅浩】 先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が19日午後(日本時間20日午前)、ワシントンで開かれ、共同声明を採択して閉幕した。声明は「最近の金融市場の混乱、原油高、米住宅部門の弱さは成長を減速させる」と、米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題による世界経済の減速に懸念を表明。
これまで楽観的だった見通しを慎重な見方に転換、G7が協調してサブプライム問題に対応し国際金融市場を安定させる姿勢を示した。
G7は前回4月の声明では「世界経済はリスクは残るが、過去30年以上の間で最も力強く拡大している」と景気動向に楽観的な見方を示していた。今回は「経済全体のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は引き続き強力」などとしつつ、事実上、景気認識を下方修正する形となった。
サブプライム問題については「世界的な金融市場の混乱後、金融市場の機能は回復しつつある」としながらも「混乱の要因の十分な分析が行われなければならない」と指摘した。
ただ、具体策は示さず「市場参加者が最近明らかになった問題の多くに対応することを期待する」と表明。国際通貨基金(IMF)の「金融安定化フォーラム」に対し、金融商品の格付け機関の役割や金融機関の監督に関する基本原則について来春をめどに提案するよう要請した。
一方、オイルマネーや外貨準備を運用する中東諸国や中国などの「政府系ファンド(ソブリン・ウエルス・ファンド)」についても初めて議論し、「組織、リスク管理、透明性や説明責任といった分野で最良の行動指針を策定すべきだ」などとし、情報公開を求めた。
為替相場については「中国の経常黒字が増加していることから、人民元の実効為替レートのより速いペースでの上昇が必要」と指摘。前回より踏み込んだ形で人民元改革の必要性を強調した。
◆G7共同声明の骨子
・金融市場の混乱や原油高、米国の住宅部門の弱さは成長を減速させるが、経済全体の基礎的諸条件は強い
・物価安定のため注意深く金融政策を運営
・為替市場を注視し、適切に協力。人民元レートのより速いペースでの上昇が必要
・金融市場は回復しつつあるが、市場によるばらつきがある状況は引き続き注視が必要
・政府系ファンドの透明性や説明責任が重要
・金融派生商品の価格評価や格付け機関の役割などを引き続き検討
●「 インド株式市場は4%近く下落」
ムンバイ 2007年10月18日 ロイター
インド株式市場は4%近く下落して引けた。ザラ場で最高値を更新後、投資規制案を嫌気した海外ファンドの売りに押された。
SENSEX指数<.BSESN>終値は717.43ポイント(3.83%)安の1万7998.39。一時1万9198.66ポイントをつけ、最高値を更新した。
外国機関投資家がポジションを縮小するなか、ICICI銀行
アナンド・ラティ・セキュリティーズのバイス・プレジデント、シャルマ氏は 「本格的な売りが始まった。海外資金流入めぐる不透明感がある」との見方を示した。 ソフトウエア大手のタタ・コンサルタンシー・サービシズ や ウィプロ は2%超上昇。株安を受けルピーが大幅に下落したことを好感した。
米経済専門雑誌「フォーチュン」の最近号(10月30日付け)が、、「米国のクレジットカード負債が9150億ドル(約100兆円)と大幅に増え、モーゲージ事態のように爆発する可能性を示している」と分析した。
昨年末から始まって、今年、本格化したサブプライムモーゲージ(低所得者向けの住宅ローン)関連の負債規模も、今回のクレジットカードの負債と同水準の約9000億ドル規模だった。米国の各銀行では消費者が使用したカードの代金を財務諸表上に「資産」として表示し、同資産をもとに債権を発行し、続いて「貸出債権」を活用して、さまざまな金融商品を流動化してきた。
これを受け、消費者たちがカードを使用した後、カード代金を期限内に決済しなければ、クレジットカード会社やクレジットカード勘定と連携した証券会社が数珠繋ぎで打撃を受けることになる。住宅ローンを受けた貸付者たちが借金を返済できず、銀行や該当銀行は発行した各種の派生金融商品が打撃を受けたのと同様のことが起きる。
ただし、今回は消費者たちが「住宅ローン」ではなく「クレジットカードの代金」という融資金を返済できないということが違うだけだ。 消費者たちが、「カード代金を支払えない」と「返済不履行状態」を宣言し、連携債権の価格が暴落すれば、これを保有したヘッジファンドや年金基金などの機関投資家たちも、連鎖的に打撃を受けることになる。
フォーチュンは、クレジットカードの負債急増で影響を受ける可能性があるところとして、シティーグループやアメリカンエクスプレス、バンクオブアメリカ、キャピタルワン、ワシントンミューチュアルなどをあげた。
シティーグループのゲリークリテンドン財務担当最高責任者(CFO)は、「初めて、シティーカード客の未決済残高が増加し、現金の引き出しが増えた」と、状況が悪化する可能性への懸念を示した。アメリカンエキスプレスもカードの延滞を憂慮して準備金を44%増やした。
キャピタルワンやバンクオフアメリカ、それからワシントンミューチュアルの状況もさほど変わらない。これらの会社もカード分野の状況悪化に備えて、普段より20%以上、準備金を増やした。
● 「米大手銀・証券8社、「サブプライム」損失は182億ドル(2兆円)」
2007年10月22日 読売新聞
【ワシントン=山本正実】 米大手銀行と証券の計8社の今年第3四半期決算が出そろった。8社すべてが、低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き急増に関連した損失を抱え、その合計額は、純利益の1・14倍に当たる182億ドル(約2兆748億円)に達した。
シティグループなど6社が減益となったほか、24日に決算を発表する大手証券メリルリンチは、純利益が赤字に転落する見通しだ。
シティグループは、サブプライムローンの債権を使ったCDO(債務担保証券)と呼ばれる証券化商品の評価損が15億6000万ドル(約1778億円)生じたほか、投資ファンドなどに対する企業買収向け融資で貸し倒れ引当金を積み増した結果、トータルで50億ドルの損失が出た。
● 「米サブプライム問題の最悪期はこれから来る-S&Pのワイス氏」 Worst of U.S. Subprime Woes Are Yet to Come, S&P's Wyss Says
2007年10月11日 ブルームバーグ
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のチーフエコノミスト、デービッド・ワイス氏(ニューヨーク在勤)は11日、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンの焦げ付き増加に端を発した信用関連の損失の最悪期はこれからになるとの見方を示した。
ワイス氏は香港での会議で、「われわれはパニックの最悪期を経験したが、まだ信用関連の損失の最悪期は見ていない」と指摘。「損失がどの程度のものになるか誰も確信していない。さらに問題なのは、これらの資産を誰が保有しているかを市場が知らないことだ。誰が損をしたのか、どのぐらいレバレッジを掛けているのかがマーケットには分からない」と説明した。
ワイス氏によれば、米住宅価格は2006年半ばのピーク時から3.9%下落した。ピーク時には住宅の価値は家計収入の3.4倍となっていたという。ワイス氏は、来年1月末に米金融当局が0.25ポイントの追加利下げを実施するとみている。
2007年10月11日 ブルームバーグ
米銀最大手シティグループは、元モルガン・スタンレー幹部で4月にシティに加わったビクラム・パンディット氏をトレーディング、投資銀行、代替投資の責任者に指名した。
トレーディング責任者のトーマス・マヘラス氏は退社する。同行は不良債権などに絡んだ損失約60億ドル(約7040億円)を公表している。 人事はチャールズ・プリンス最高経営責任者(CEO)が11日の電話インタビューで明らかにしたもので、債券部門共同責任者のランディ・バーカー氏も退社するという。
ウォール街の各金融機関は3カ月間にわたる信用市場混乱のあおりで評価損計上を迫られ、幹部人事の刷新が相次いでいる。シティは先週、2007年7-9月(第3四半期)利益が60%減少し、04年以来の低水準となったもようだと発表していた。
シティ株は年初来、13%下落と競合する金融機関を下回るパフォーマンスとなっている。
● 界的に有名な投資家兼経営者であり、かつ世界第2位の資産家 (4兆円以上保有)であるウオーレンバフェット氏は、 2007年9月20日に 締め切られた金融機関の決算に際して、 世界の金融機関がデリバティブを簿価評価して、時価評価しなかったことに対して『神話価格に意味は無い』 と述べており、世界中の専門家は今の金融機関の決算に懐疑的な 目を向けており、実態がいつ露見して経営破たんの連鎖に陥るか、固唾を呑んで見守っているところでもある。
● 「アクレジテッド 買収を完了 ローンスター 」
http://www.usfl.com/Daily/news/news_556.asp
USフロント・ライン誌
投資ファンドのローンスターは2007年10月 12日、信用度の低い顧客向けサブプライム住宅ローン会社アクレジテッド・ホーム・レンダーズの買収を完了したと発表した。 ダウ・ジョーンズ通信が伝えた。1株当たりの価格は11.75ドルで、現金で支払った。総額は約3億ドルとみられている。
アクレジテッドは6月にローンスターへの身売りで合意した。その後ローンスターが信用市場の混乱に伴うアクレジテッドの資産劣化を理由に 買収価格の大幅な引き下げを求めたのをきっかけに訴訟合戦になった。 しかし両社は9月に価格を当初の1株当たり15.10ドルから11.75ドルに引き下げることで合意していた。
● 「野村、米住宅ローン担保証券関連事業から完全撤退 」
日経新聞 2007年10月15日
野村ホールディングスは 15日、2007年7―9月期に、米国の住宅ローン担保証券(RMBS)関連事業で約730億円の損失を計上するとともに、同事業から完全撤退することを決めたと発表した。
07年9月末時点のRMBS関連のポジションは約480億円(うち信用力の低い個人向け住宅ローンであるサブプライムローンは約170億円)。10月に入りRMBS関連ポジションの合計は約140億円まで減少しており、現在保有する分は「投資適格の格付けを持っており、当面は保有する方針」(仲田正史執行役)という。
07年7―9月期は、RMBS関連での損失に加え、人員削減などの一時費用100億円を計上するため、連結税引き前損失額は約400億―600億円となる見込み。〔NQN〕
● 「大手米銀による SIV 救済基金、財務省主導に自由市場支持者は批判的」
By Brendan Murray and Simon Kennedy
2007年10月16日 ブルームバーグ
ポールソン米財務長官のチームが取りまとめた銀行傘下の運用会社の救済基金について、自由市場の支持者らは、銀行に自らの判断の誤りの責任を回避させるものだとして批判的な見解を示している。
ポールソン長官のチームは大手米銀の協力を促し、資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)市場の機能停止で苦境に立ったストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)と呼ばれる運用会社の救済に向けた基金設立で合意にこぎ着けた。
米ケイトー研究所のウィリアム・ニスカネン所長は、「失望させられた」として、「ブッシュ政権の方針に反するし、救済策は常にモラルハザードを引き起こす。このような状況は好ましくない」と語った。ブッシュ米大統領は就任時から、自由市場や自由貿易、小さな政府の政策を標榜している。
関係者によると、米財務省は9月16日にワシントンでウォール街の金融機関幹部と会合を開いた。スティール米財務次官(国内財政担当)が銀行関係者を集め、協力を促したという。
カーネギー・メロン大学のアラン・メルツァー教授は、「ブッシュ政権がここまで市場に関与するとは驚きだ」として、「政府の人間は誰も、自分たちが言うほどに純粋に1つの政策を支持しているわけではない」と論評した。
基金はSIVから資産を買い取る。SIVはABCPを発行して調達した資金で金融債やサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン担保証券などを購入してきたが、ABCPが発行できなければ資産売却を迫られ、3200億ドル相当とされる資産の投げ売りで市場環境を一段と悪化させかねない。
ポールソン長官は15日、銀行間の合意は「景気にプラス」と語るとともに、「民間部門が中心となってまとめた案だ」として財務省の役割を擁護していた。スティール次官は、公的資金の注入はないと強調し、基金は市場の回復を助けるための一時的な解決策だと説明した。
● 「バンク・オブ・アメリカ:純利益が大幅減 7~9月期決算」
毎日新聞 2007年10月19日
http://mainichi.jp/select/biz/news/20071019k0000m
米大手銀行のバンク・オブ・アメリカは18日、7~9月期決算を発表した。低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題の影響で 投資銀行部門を中心に評価損が膨らみ、純利益は前年同期比32%減の36億9800万ドルに落ち込んだ。
1株当たりの利益は0.82ドルだった。 大企業・投資銀行業務で評価損2億4700万ドルを計上したほか、トレーディング損失も6億ドルに膨らみ業績を押し下げた。
● 「米FRB、3回のオペで282.5億ドル供給」
2007年 10月 18日 ニューヨーク、ロイター
米連邦準備理事会(FRB)傘下のニューヨーク連銀は18日、 3回のオペで282億5000万ドルの資金を供給した。 フェデラルファンド(FF)金利は、FRBの誘導目標と一致する4.75%で推移している。
14日物レポで60億ドル、7日物レポで190億ドル、翌日物レポで32億5000万ドルを供給した。 14日物のオペ対象は、政府機関債が5億ドル、 モーゲージ担保証券(MBS)が55億ドル。応札額は870億ドルだった。
7日物のオペ対象は、米国債が37億5000万ドル、 政府機関債が152億5000万ドル。応札額は986億ドルだった。 翌日物のオペ対象は、米国債が22億2600万ドル、政府機関債が10億2400万ドル。応札額は540億ドルだった。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-2841
●「株価大暴落 ブラックマンデーから20年」
2007年10月19日(金)
■米国発の危機 今もくすぶる
史上最悪の22・6%という株価大暴落を記録した1987年の「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」から19日で20年。
就任間もない当時のグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の対応で混乱は沈静化したが、日米欧の金融政策の足並みの乱れは日本をその後のバブル経済へと導いた。低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題が日米欧の金融市場を揺るがす現在、ブラックマンデーの教訓の重みが改めて認識され始めている。(ワシントン 渡辺浩生)
≪ルーブル合意≫
20年前の10月19日は月曜日。寄り付きで下落したニューヨーク証券取引所のダウ工業株30種平均はいったん値を戻した後、午後になって下げ幅を急速に拡大。取引画面に映し出される数字に市場関係者の誰もが言葉を失った。
そのとき、翌日の講演のためダラス空港に到着したグリーンスパン議長も、「508」という連銀幹部の報告を「5・08」と聞き間違えたほどだった。この日記録した508ドルというダウの下げ幅は、世界恐慌の発端となった1929年10月24日(暗黒の木曜日)の下落幅を超え、恐慌再来の恐怖が広がった。
その年2月、パリで開かれた先進7カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)。米経常赤字の縮小のためドル安に誘導するプラザ合意(85年)以降の日米欧の協調利下げに伴い、87年に入ってドルは1ドル=150円台に下落。ルーブル宮殿に集まったG7各国は、これ以上のドル安は世界経済に逆効果と考え、「為替相場の現行水準の安定」で合意した。
しかし、その後、日米欧協調の足並みが乱れる。西ドイツは米国の反対を振り切り、国内のインフレ懸念から金利を高め誘導。市場に「政策協調は破綻した」と受け止められ、金利先高感が台頭し、株価暴落の引き金になったとされる。
≪24時間で火消し≫
グリーンスパン氏は議長に就任早々、史上最大の金融危機に直面した。債券もドルも急落、資金がニューヨーク市場から逃避して金融システムは倒壊寸前だった。グリーンスパン氏はダラスから電話で指揮を飛ばし、翌朝の取引開始直前、FRBは「混乱と緊張の沈静化に意味のある流動性を供給する」との緊急声明を発表した。
表現は簡素だが、「われわれはここにいる。あなた方が必要とするものすべてを提供する」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)というウォール街への強いメッセージと受け止められた。
また、グリーンスパン氏は「取引停止」を求める声にも耳を貸さず、市場への資金供給を断行。ニューヨーク連銀のコリガン総裁がシティグループなど大手銀行の首脳に電話し、資金繰りに窮する証券会社に緊急融資するように説得した。
その結果、20日午後にダウは急反発し、大暴落は24時間で火消しされた。ブラックマンデー当日、たまたまFRB幹部と面会していたカーネギー・メロン大教授のアラン・メルツァー氏は「素晴らしい仕事をした。危機の波及を許さず、人々の恐怖を静めた」とFRBを高く評価した。
≪市場環境は激変≫
世界の金融市場は、97年のアジア金融危機や2001年の米同時中枢テロなど、数々の危機をくぐり抜けてきた。この間に資金が国境を瞬時に越える経済のグローバル化が進展した。主要な投資家としてヘッジファンドが台頭し、中国やインドなどの新興国市場も急成長を遂げた。
こうした中で「危機が広がる速度は増し、どの国も問題を回避するのは難しくなった」(メルツァー教授)と思い知らされたのが、サブプライムローン焦げ付きに端を発した世界市場の混乱だった。ローン担保証券に投資していた日米欧の金融機関が巨額損失を被り、信用収縮が広がった。
一方で、欧州中央銀行(ECB)の誕生もあって中央銀行の信頼は20年前より増している。8月中旬の世界同時株安直後の日米欧の中央銀行による緊急資金供給が効果を発揮し、FRBによる9月の大幅利下げは市場に驚きを与え、株価は浮上した。
しかし、世界恐慌には至らなかった20年前のブラックマンデーと比べ、今回のサブプライム問題は米住宅市場や消費の落ち込みを通じて景気を大きく悪化させる恐れをはらんでいる。米国発の金融危機は決して終わっていない。
【用語解説】ブラックマンデー
● 「バフェット氏、ペトロチャイナの全保有株売却を明らかに 」
2007年 10月 18日 ニューヨーク、ロイター
http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPnJS8038
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏は18日、自身の率いるバークシャー・ ハザウェイが、保有していた中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)株をすべて売却したことを明らかにした。
同氏はフォックス・ビジネス・ネットワークでのインタビューで「価格を基に判断して売った」と述べ、「100%バリュエーションに基づいた決定だった」と付け加えた。 また、売却以降ペトロチャイナ株はさらに上昇したことから、おそらく時期が早過ぎたとの見方を示した。 バークシャーは一時、ペトロチャイナの上場株の11%以上を保有していた。
これとは別に、バフェット氏はバークシャーが米ベアー・スターンズの株式を取得する可能性があるとのうわさを否定した。ベアー・スターンズは今年、傘下の2つのヘッジファンドの破たんや評価損の計上などに悩まされ、株価が27%下落している。
同氏はまた、米住宅金融大手カントリーワイド・フィナンシャルと高級住宅建設ホブナニアン・エンタープライジズについても、株式を取得していないと述べた。カントリーワイド株は年初来61%、ホブナニアン株は同70%下落している。 バフェット氏は、5月の株主総会で買い進めていると述べていた通貨が、ブラジルレアルだったことも明らかにした。
● 「G7 共同声明:為替に関する記述」
2007年 10月 19日 ワシントン、ロイター]
ワシントンで19日に開かれた7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の共同声明では、為替相場全般に関する記述に変更はなかった。ただ、中国に対して人民元相場のより早いペースでの上昇が必要との認識を示した。
<07年10月・ワシントンG7>
「我々は、為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきとの考え方を再確認した。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない。我々は、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。我々は、人民元の柔軟性を向上させるとの中国の方針を歓迎しているが、経常収支黒字が増加し、国内インフレが上昇していることに鑑みれば、人民元の実効為替レートのより早いペースでの増価を許容することが必要と強調する」
<07年4月:ワシントンG7>
<07年2月:エッセンG7>
世界経済動向:「われわれは、こうした経済動向が意味するところが市場参加者に認識され、彼らのリスク評価に織り込まれていくであろうと確信する」
<06年9月:シンガポールG7>
「われわれは、為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきとの考え方を再確認した。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない。われわれは、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。多額の経常収支黒字を有する新興市場エコノミー、特に中国の為替レートの一層の柔軟性が、必要な調整が進むためには望ましい」
<06年4月:ワシントンG7>
「われわれは、為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきとの考え方を再確認した。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない。われわれは、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。多額の経常収支黒字を有する新興市場エコノミー、特に中国の為替レートの一層の柔軟性が、必要な調整が進むためには望ましい」
世界経済の不均衡に関する付属文書:「アジアの新興国、とりわけ中国では、国内需要の振興や、輸出が主導する成長戦略への依存の低下、金融セクターの強化に向けた措置と同時に、必要な上昇を実現するため一段の為替相場の柔軟性が不可欠」
<05年12月:ロンドンG7>
「われわれは、為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきとの考え方を再確認した。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない。われわれは、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。われわれは、中国の通貨制度の更なる柔軟な運用が、世界経済および国際通貨制度をよりよく機能させ、より安定させることを期待する」
<05年9月:ワシントンG7>
「われわれは、為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきとの考え方を再確認した。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない。われわれは、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。われわれは、最近中国当局が自らの為替レート制度において更なる柔軟性を追求することとした決断を歓迎する。われわれは、より市場を志向したシステムを更に進めることが、世界経済および国際通貨制度をよりよく機能させ、より安定させることを期待する」
2007年 8月20日(ブルームバーグ)
マネー・マーケット・ファンド(MMF)は、安全を確保しながら銀行預金より高い利回りを提供するため37年前に考案された。このようなファンドの資金の多くは、米財務省証券や譲渡性預金、短期コマーシャルペーパー(CP)などに投資される。
銀行預金と異なり、米連邦政府によって元本が保障されているわけではないが、MMFが損失を出すことはほとんどない。だが、投資家が知らないだけで、MMFは今世界で最もリスクの高い証券に投資している。サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンを裏付けとした債務担保証券(CDO)だ。
今回のサブプライム問題の嵐を受け、投資家は安全を求めて米国債とMMFに資金を逃避させた。ベアー・スターンズのヘッジファンドが破産法適用を申請した後の8月8日には、米国のMMF残高は過去最高の2兆6600億ドルに達した。 安全性の象徴としてMMFは、額面1ドルに対して基準価格が1ドルを下回ることを許さない。しかし、資産の5%をサブプライム関連に投資していれば、最悪のケースでは価格は95セントになってしまう。
米国でMMFが清算されたのは今までに1度だけだ。1994年にコミュニティ・バンカーズ・ミューチュアル・ファンド(デンバー)が運用するMMFが投資した証券がデフォルト(債務不履行)となり、ファンドは清算された。このときに投資家が受け取ったのは1ドルに対して96セントだった。
米証券取引委員会(SEC)への届け出によると、バンク・オブ・アメリカやクレディ・スイス・グループ、フィデリティ・インベストメンツ、モルガン・スタンレーのMMFは6月時点で、60億ドル(約6900億円)超のサブプライムCDOを保有していた。運用資産合わせて3000億ドルのMMFが今年、サブプライム関連証券に投資した。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
● 米国でクレジットカードの負債が大幅に増え、「第2のモーゲージ(住宅ローン)爆弾」になりかねないという警告が出た。
フォーチュンのこのような懸念は、これらの銀行が2001年以降、最悪の業績を相次いで出したことに基づいている。シティーグループは第3四半期(7~9月)に、クレジットカードの延滞で22億4000万ドルを損失処理した。
● 「米シティ:パンディット氏が昇進、トレーディング責任者は退社-損失後」
Citigroup Promotes Pandit; Maheras to Leave After Credit Losses
Paulson's Credit Push Earns Jeers From Free-Market Adherents
020133000c.html
4520071018
◇
1987年10月19日月曜日のニューヨーク市場の株価暴落。世界恐慌の引き金を引いた1929年10月の同市場での株価暴落ブラックサーズデー(暗黒の木曜日)にちなんで名付けられた。1987年当時は米国の貿易・財政赤字が拡大し、ドル安進行でインフレ懸念が強まるなど投資家に不安が広がっていた。コンピューターで大量の株式の売買を管理する「プログラム売買」が暴落を加速させたとされる。
83420071019
「われわれは、為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきとの考え方を再確認した。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない。われわれは、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。多額かつ増加する経常収支黒字を有する新興市場エコノミー、特に中国の実効為替レートが、必要な調整が進むように変動することが望ましい」
世界経済動向:「われわれは、こうした経済動向が意味するところが市場参加者に認識され、リスクの評価に織り込まれることを引き続き確信」
「われわれは、為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきとの考え方を再確認した。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない。われわれは、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。多額かつ増加する経常収支黒字を有する新興市場エコノミー、特に中国の実効為替レートが、必要な調整が進むように変動することが望ましい」
● 「 MMFは今世界で最もリスクの高い証券に投資」
以下のWSJ(ウォールストリート・ジャーナル)紙の記事は、重要だと、私は判断しました。以下にあるとおり、低所得者(貧乏人)向けの高金利のサブプライムローンだけが問題なのではなくて、 「高利のローンは中流層や富裕層の地域でも急激に増加している」 という事実が重要なのです。 それでここに載せます。 副島隆彦記
(転載貼り付け始め)
2007年10月11日
今年になりアメリカの住宅ローン市場の実態が明らかになるにつれ、エコノミストたちは低収入、マイノリティ、都市在住の人々へ貸し出された「サブプライム」ローンについて説明するのに追われている。
しかし過去十年にわたる1億3千万件以上の住宅ローンに対して行われた分析により明らかになったことは、破綻の懸念のあるローンは、全国至る所で貸し出されており、それは僻地の小さな街から大都市中心、裕福な郊外にまで及ぶ。
以下のウォール・ストリート・ジャーナル紙による分析によれば、2004年から2006年の間、 すなわち住宅価格が米国の多くの地域で最高値をつけた頃、2500以上の銀行、 貯蓄銀行、消費者信用組合、住宅金融会社などが合計1兆5千億ドルもの高利ローンを貸し出したことが示されている。
ほとんどのサブプライムローン(それらは いい加減な信用供与や資産の過大評価の元に 延長して貸し出されている)もこれらに含まれる。 昨年貸し出された住宅ローンに占める高利のローンの比率は、2004年の16%から伸びて、29%になっている。
過去三年の間に貸し出された4,360万件のローンの内、約1,030万件が高利のローンである。高利ローンの比率は、メイン州ルイストンからフロリダ州オカラ、ワシントン州タコマにいたる68の大都市圏ではさらに高い比率に跳ね上がる。
The United States of Subprime
Data Show Bad Loans Permeate the Nation; Pain Could Last Years
By RICK BROOKS and CONSTANCE MITCHELL FORD
October 11, 2007
http://online.wsj.com/article/SB119205925519455321.html
As America's mortgage markets began unraveling this year, economists seeking explanations pointed to "subprime" mortgages issued to low-income, minority and urban borrowers.
But an analysis of more than 130 million home loans made over the past decade reveals that risky mortgages were made in nearly every corner of the nation, from small towns in the middle of nowhere to inner cities to affluent suburbs.
The analysis of loan data by The Wall Street Journal indicates that from 2004 to 2006, when home prices peaked in many parts of the country, more than 2,500 banks, thrifts, credit unions and mortgage companies made a combined $1.5 trillion in high-interest-rate loans.
Most subprime loans, which are extended to borrowers with sketchy credit or stretched finances, fall into this basket.
High-rate mortgages accounted for 29% of the total number of home loans originated last year,
up from 16% in 2004. About 10.3 million high-rate loans were made in the past three years, out of a total of 43.6 million mortgages. High-rate lending jumped by an even larger percentage in 68 metropolitan areas, from Lewiston, Maine, to Ocala, Fla., to Tacoma, Wash.
サブプライムの影響を調べるため、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、米国の住宅ローン情報公開法に基づき貸し手が記録していた2億5000万件以上の住宅ローンの申請・発行記録を分析した。
サブプライムローンは、当初こそ、信用情報に傷のある 低収入の顧客を対象にしていた。しかしデータによれば、実態は、サブプライムの借り手は都心部の低収入層が圧倒的多数だという一般通念に反していることが明らかになった。
確かに、貧しい地域では高利ローンの比率が高いことは事実であるが、数値が示すところによれば高利のローンは中流層や富裕層の地域でも急激に増加している。
銀行その他の住宅ローンの貸し手は、顧客の信用履歴や頭金が少額であることを理由に、高リスクと考えられる借り手には高い金利を長い間課してきた。住宅価格が過去十年の
間、全国的に急上昇を続けたため、より裕福な家庭までが、従来の基準では認められなかった高価な家を購入するために高利のローンを利用するようになった。
高利のローンとは、同じ期間の米国公庫の利率より3%以上高い金利のローンを指す。 ウォール・ストリート・ジャーナルの調査結果が示すのは、サブプライムの余波は、収入力や人種や地域の違いを越えて、多くの人の認識以上に広範なアメリカ人に打撃を与えているということである。
分譲住宅の投機で一攫千金を考えている投資家から、持ち家の夢を追うワーキングプアまで、サブプライムローンは米国の金融システムの核心に深く浸透した。そしてそれは今、日々深刻化する苦悩をもたらしている。
データによれば、無軌道なサブプライムの最悪の乱発の多くは優に2006年まで続いており、その痛みは、特に住宅価格が停滞し続けるなら、来年どころかそれ以上も続く可能性がある。行き詰まりが表面化するまで数年かかる借り手もいるだろう。
「住宅価格が非常に高かった頃、それらを手にする資力のない人々に家を買わせようとする攻撃的な住宅ローン産業が跋扈しました。それは砂上の楼閣だったのです」と ウェルズリー大学のカール・ケイス経済学教授は言う。「それらを精算する時期が来ました」
ウォール・ストリート・ジャーナル紙の分析によれば、ワシントン・ミューチュアル社の「ロング・ビーチ・ローン」などのいくつかの主要なサブプライムローンは一年あるいはそれ以上前から、貸し出し基準を縮小あるいは引き締めるようになった。しかし 都市銀行や貯蓄銀行がその穴を埋めた結果、本来なら冷却化するはずの住宅市場を持ちこたえさせる結果になった。
データが示すのは、サブプライムローンの波をかぶった米国の多くの地域で、財政の苦しみは長く続きそうだということである。破綻の懸念のあるローンの多くは、まだ実際に破綻していない。例えば、6,000億ドルものゆとり金利サブプライムローンが
2008年末までに(当初の低金利期間を終えて)高金利に移行する予定であり、ますます多くの借り手が支払いを滞らせることになろう。
昨年九月、プリンターとコピー機の販売店員をしているダーラ・ボールは、次のように語る。「当初金利が 8.2%のゆとり金利サブプライムローンを利用してラスベガスに46万ドルの家を購入した」その時の彼女の弁では、「一年後に金利が14%に上がって月々の支払いが3,700ドルから8,000ドルに上がる前に、ローンの借り換えをするつもりだった。」
だが昨年の間に、彼女の地区では同等の家の価格が31万ドルにまで下がってしまい、新たに46万ドルの ローンに借り換えるには、家の価値がそこまで戻らない限り不可能になったという。
その可能性はほとんどない。彼女はローンの支払いを止めてしまった。そして貸し手に交渉しているところだという。「どっちみち私は自宅を失うことになるわ。どうして払い続ける必要があるかしら」
フロリダ州フォートマイヤーズは避寒地で、発明王トーマス・エジソンの出資で何十年も前に椰子の木の並ぶ大通りがつくられたことで知られている。最近、この都市は深刻化する米国の住宅ローン危機の代表例として急速に知られるようになった。この地域の中古住宅の販売における中位価格は2005年12月から22%も下落した。抵当の差し押さえ件数はずっと空前の規模を続けている。しかも終わりはまったく見えない。
2004年から2006年の間に、85億ドル以上の高利の住宅ローンがケープコーラルからフォートマイヤーズの大都市圏で発行された。借り手はこのローンを利用してこれまで以上になく背伸びをして、その結果不動産価格はインフレ状態になった。昨年この地域で貸し出されたローンの5件に2件は高利のローンであり、この比率は2004年の比率の2倍を越える。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、最も急伸している高利のローン市場と、レアルティトラック社とフォアクロージャーズ・ドットコムがまとめた差し押さえ件数のランキングとを比較した。例えばカリフォルニア州ストックトンでは、昨年貸し出された高利のローンは住宅ローン全体に対して33%に上り、2004年の13%から増大している。
今年の前半だけで、ストックトン地域では8,169件の差し押さえが執行され、これは27世帯に1世帯の割合に上る。カリフォルニア州アーヴァインのレアルティトラック社に言わせるとこれはストックトンを差し押さえの首都に押し上げた。
マイアミ、デトロイト、ラスベガスを含む10の大都市圏の内7つまでが最も高い差し押さえ率に苦しんでいる。これらの地域では、借り手は米国全体よりももっと高速に高利ローンに突進していた。アメリカン・プランニング・アソシエーションの次回報告に載る調査報告の中で、アトランタのジョージア工科大学のダニエル・イマーグルック准教授によると、「2006年初期に発生した差し押さえ事例と、2003年にサブプライム貸し出しの多かった都市との間にも、同様な関係が見られる」という。
暗い兆しばかりでないのは事実だ。新規に貸し出された高利のローンの比率は、2005年に88%に跳ね上がった後、昨年わずか2%の400万件に減少している。これは数社の最も攻撃的な貸し手が倒産し、残りの貸し手が信用供与基準を引き締めたことを反映している。住宅販売の減速により、住宅ローンの需要にブレーキが掛かり、借り手は「ゆとりローン」とかその他のトリックを仕込んだローンに対して慎重な態度を取るようになった。
しかし、昨年のデータは、住宅市場が弱含んでいるにもかかわらず、いくつかの貸し手は リスクの高いローンの貸し出しに躍起になっていることを示す。都市銀行と貯蓄銀行は、昨年発行された高利のローンの52%を占めており、2005年の44%から増大している。
アトランタのサントラスト銀行は、長い間保守的な融資姿勢で知られていたが、その住宅融資部門は、高利のローンの貸し出し数を二倍以上に増やした。アリゾナ州スコットデールのファーストナショナルバンクホールディングスの一部門であるファーストナショナル銀行など、より小規模の銀行もまた、昨年に高リスクのローン貸し出しを急増させた。
ファーストナショナルのローン融資部門の責任者であるジョエル・ゴッテスマンによると、これらの急増の多くは借り手が第二のローンを組んだことを反映しているという。それ以降、この銀行はこの種のローン貸し出しを縮小したと彼は説明した。
サントラスト銀行の急増に関しては、スポークスマンによれば、「この地域への参入が遅かったことが原因」という。さらに金利の変化がこの増大を押し上げた、とも説明した。
より高収入のある層も、さらに高額の住宅購入のためにこの種のローンを利用するようになった。年間収入が少なくとも30万ドル以上ある、信用履歴がホワイトの借り手ですら、高利のローンの件数は昨年74%も急増したことが数値によって示されている。
住宅ローン 全体で見たとき、一件平均の貸出額は昨年1%しか増えていないのに対し、高利ローンの平均貸し出し額は昨年10%増えて15万8000ドルとなった。この2006年のデータは全米の 8,886の貸し手の記録を含み、米国の住宅ローン全体の80%を網羅している。
高利のローンに関するデータは、しかし、「ゆとり金利」によって引き起こされる潜在的な将来の危機を過小評価させているかも知れない。情報公開を定めた法に従うと、いくつかの「ゆとりローン」は、高利のローンとしては現れていないのである。
2004年より前には、貸し手はローンの値付けの詳細について報告する義務がなかったためである。 住宅ローンの貸し手の融資基準は、何年にもわたり次第に緩んできた。1977年制定の連邦法である「コミュニティ・レインベストメント法」により、銀行にはその地域での信用供与を増大させることが求められた。
これにより多くの銀行が低収入やマイノリティの借り手に対し甘くなった。ニューディール政策時代に設立されたローン保険会社である連邦住宅局は信用の少ないかほとんどない借り手を対象としていたが、攻撃的なサブプライムローン提供者の前にそのシェアを失っていった。
これらの商業的融資者は、借り手に対し高い金利を課してはいたが、書類をそろえる必要がなく、承認が早く、頭金もいらないと約束したので、多くの借り手には魅力的に映った。
シアトルに本拠を置くワシントン・ミューチュアルズ・ロングビーチ・モーゲージ (2004年から2006年にかけて480億ドルの高利ローンを融資した)などの、野心的な融資者は、郊外にもサブプライムローンを押し込むために、外部のブローカーを多数
利用した。会社のスローガンは、「融資OKの力」であった。その結果は、ありとあらゆる人種・民族・所得水準・地域にわたる住宅ローンの大乱発であった。
住宅・都市開発省の統計によると、サブプライムローン専業の貸し手の数は、1996年に141であったが2005年までに210に増大した。同じ期間に、それらの貸し手による貸出額の合計は、10倍に増大している。
「フィラデルフィアのような、古い工業都市には貧困問題があり、それが人々がサブプライムローンを利用せざるを得なかった理由です」 とペンシルバニア大学ウォートン校の研究員であるケルビン・ジレンは説明する。
しかし、より高価な地域、たとえばマイアミでは、2004年から2006年にかけて高利ローンの市場占有率が25%も増えたが、そういう所ではサブプライムローンは低所得層向けとは受け取られて
いなかった。それらは天井知らずの住宅コストへの回答と見なされていた。
「それらはまったく異なるグループと言えますが、サブプライムはその両者に利用されたのです」とジレンは指摘する。 かつては、高利のローンの借り手は、その信用リスクが高い分、通常の借り手のようにはローン残高を増やすことは認めてもらえなかった。
しかし2000年代初頭に全米で住宅価格が上昇するに伴い、貸し手は、借り手の年収に比較してより大きなローンを抱え込むこと
を高利ローンの借り手にも望むようになった。データによれば、2005年に1~4人家族向けの住宅を購入した高利ローンの借り手は、平均して彼らの書類上の年収の2.1倍のローンを組んでいた。これは通常の借り手の場合に比べて4%高い。
クリスティーン・マクマホンは金融ブローカーとして、年に何十万ドルもの収入があり、ニューヨークのイーストハンプトンにある寝室が4つもあって270万ドル以上もする家に住んでいる。マンハッタン・モーゲージ社に勤める彼女は昨年、自宅の資産の一部を現金化するためにローンの借り換えをするのに、サブプライムローンを彼女自身で利用した。
彼女によれば、借り換えの時、通常の貸し手は彼女にそれほど多くの現金を手にすることを許さなかったので、サブプライムローンをニューセンチュリーフィナンシャル社から利用した。同社は現在、破産裁判所の管理下にある。彼女が利用したのは当初2年間は 6.45%の固定金利で、その後、調整金利に移行するものである。彼女は金利が高く調整される前に、家を売るつもりでいる。
貸し手たちは同様に「第二抵当」ローンも増額していた。その多くは頭金を支払うのに使われる便乗型の第二のローンである。そういう第二抵当ローンの全ローンに占める割合は2004年の12%から昨年は22%にまで増えた。この種の便乗型のローンは通常のローンよりもはるかに不履行に陥りやすいと考えられている。
住宅価格の高騰の一因である不動産投資家の投機行為を抑えるようなことは、融資者たちはほとんど行っていない。データによれば、昨年、高利のローンの13%は、所有者によって居住されない物件へのローンとなっており、これは2004年の9%から増大している。 専門家によれば、そういう非居住物件は所有者自身が住む物件に比べ差し押さえリスクが高いという。
不良ローンを最後までつかまされるのは誰だろうか。ウォール街は、たくさんのサブプライムローンを買い取り、それを証券にパッケージ化して投資家に売りつけた。データが示すのは、ブームがしぼみ始めると、貸し手は、最もリスクの高いローンの大半を投資家に転嫁したということだ。
データによると、2004年に発行された高利のローンの約63%が同じ年に売却されており、全住宅ローンで見ると68%が売却された。昨年は、高利のローンの73%が売却され、全住宅ローンでは67%であった。
昨年、平均的な高利ローンの利率は、同じ償還期間の財務省証券 に比べて5.6%も高かった。この差は2005年には5.3%、2004年には4.8%であった。
最も被害の大きい地域では、今後何年もの間ローンの借り手、貸し手、建設業者とも、数字に苦しめられることになる。
フォアクロージャーズ・ドットコムによると、今年7月末まで、フォートマイヤーズを含むフロリダ州リー郡でのローン破綻と差し押さえ競売の発生率は全米二位を記録した。競売が成立しなかった住宅在庫の数は1万5000にも膨れあがり、結果的に、利益の出る価格での転売を望んでいた何人かの投資家は、望まない価格や受け入れがたい価格での売買契約をせずに済んでいたりする。
「フォートマイヤーズは全米最悪の住宅市場と言っていいと思います」と先月、ホーヴァニアンエンタープライズ社の執行副社長兼最高財務責任者のJ.ラリー・ソースビーは嘆いた。3月に、ニュージャージー州のレッド銀行はフォートマイヤーズの混乱を理由に9300万ドルの税引き前借方を計上した。
先月、レッド銀行は3日間、全米規模の「世紀に一度」のセールを行い、その中でこの地域の住宅の値段を大幅に切り下げた。
来週、差し押さえ物件競売を手がけるハドソン・アンド・マーシャル・オブ・テキサス社は、フォートマイヤーズとその近郊で貸し手によって差し押さえられた住宅約70軒を、競売にかけることになっている。
好条件で入札して取り逃がしたとしても、入札者には次の機会がたくさんある。同じオークションでフロリダ州の他の300軒以上の差し押さえられた家が売りに出されるからだ。 (記事終わり)
http://online.wsj.com/article/SB119205925519455321.html
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
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