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「12」 「欧日協会」という優れたドイツ留学組の人たちのサイトから、「EU憲法条約を仏、蘭国民が拒否したのは、EU全体主義への拒否だ」とするディア・シュピーゲル紙の論調を使った評論文を、転載します。
副島隆彦です。今日は、2006年4月12日です。
 「欧日協会」という優れたドイツ留学組の人たちのサイトがあります。ここにある、「EU憲法条約を仏、蘭国民が拒否したのは、EU全体主義への拒否だ」とするディア・シュピーゲル紙の論調を使った評論文を、転載します。  副島隆彦拝


(転載貼り付け始め)

「フランス/オランダ:EU憲法条約否認
 EU全体主義体制への拒否 」

【編集部注】 EU(支配層)はフランス、オランダの国民投票で憲法条約が否認されるのを避けるため、全力をあげて努力したが、フランス、オランダ国民の多数が「ノー」を表明。

 この結果に驚いたイギリス政府は来年初めに予定されていた国民投票を「無期延期」した。ドイツでも国民投票を行えば70%以上の国民がEU憲法条約に反対すると思われる(例えば、フランスの国民投票直後に行われたBild-Zeitung、テレビ SAT 1 の「疑似国民投票」には約50万人のドイツ人が参加し、95%以上がEU憲法を拒否している)。

それもそのはずで、この統合は政治的には民主主義を踏みにじり、経済的には各国の国民経済を破壊し、各国主権を形骸化し、(EU) 警察と官僚が個人生活を隅々まで管理する全体主義体制以外のなにものでもないからだ。以下、《Der Spiegel》23/2005の記事を参考に一体EU「エリート」が志向する「ヨーロッパ」とは何かを探る。

 (1) フランス国民の61.7%が「Non」を表明した。 オランダのバルケネンデ首相は、「主権喪失、ヨーロッパの変遷速度に対する国民の憂慮、国民が騙されたと感じていることは、理解出来る」と述べた。「(各国の)主権及びコントロール権の喪失、賃金/社会保障面でのダンピング、トルコの加盟に対する不安がフランス国民、オランダ国民に《ノー》を投票させる要因となった。」 また「オランダ国民は通貨統合を冷酷な財産没収とみなしている。」すなわち、統合ヨーロッパの基本的支柱の再考が問題とされ、 ユーロをやめてマルクやギルダに戻り、ブリュッセル(の中央集権的官僚機構)から民族国家に戻るべきなのかすら問われている。

 (2) EUが目下「Legitimationskrise」(正当化の危機)に陥っていることは確実である。「大部分のEU加盟国民はEUの名の下に既成事実をつきつけられ、その実現にあたり国民の意思が邪魔者扱いされたり、アリバイとして利用されることに癖癖(へきへき)している。」「こうした憤懣は何年も前からくすぶっていた。EU官僚はほぼすべての領域にわたり、規制の洪水で介入し」、地域的特性、例外の余地がますます少なくなり、ヨーロッパの諸国民は(ヨーロッパ官僚から)操作され、子供扱いされ、他人の決定を押しつけられていると感じている。

 (3) 加えて、EUは約1000億ユーロにのぼる予算を有効に使っていない上、2013年にはEU予算は現在の1000億ユーロから1580億ユーロに膨張することが予測されている。しかも、こうした膨張分の行き先である新規加盟国がまだしっくり統合されていないのに、ルーマニア、ブルガリアといった諸国が加盟を待っている。

 (4) EU加盟諸国は政治的にも経済的にも方向を決定する原則的決断の前に立たされている。フランス、ドイツが志向する強力な政治同盟かイギリスが志向するモノ、ヒト、カネ、サービスの経済統合だけに限定するかという決断である。

 (5) 統合主義者のアルトマイアー(CDU)すら、「すべての人が、ヨーロッパの利害とドイツの利害は対立関係にあると考えている」ことを発見している。

 (6) 「ポストナシヨナル民主主義」には「民族国家レベル では多数の従属関係で失われた行為能力を再び取り戻せるというメリットがある」と主張する学者もいるが、国民の民主主義理解とは異なる見解である。

 (7) 国家は国民、領土、権力から構成されているが、EU を構成しているのは肥大した権力のみである。EU権力はすべてをコントロールし、番号をつけられた子牛同様に、「嫌疑をかけられた」国民のコントロールが実施され、至る所にブリュッセルが顔を出している。しかし「ブリュッセル」の正体は各国政府であり、わずらわしい各国の民主主義、その主権者たる国民の監視を迂回するため[人工的に構築された]EU権力を利用している。 (例えばシリー内相はバイオメトリック(生物測定)データを身分証明証に採用しようとEUレベルで画策しているが、これはドイツ政府内で多数を得るのが難しいためである。)

 (8) EU憲法には「EU法は各国法(ドイツ基本法を含む)に優先する」と規定されている。それでは、EU法が(基本法79条3項に規定されているように、世界の何物も変更することを許されない)ドイツ国制の基本原則に抵触した場合はどうなのか? これが目下、憲法裁の頭を悩ましている問題である。というのは、欧州裁判所の裁判官は各国政府が派遣した「委員」に過ぎず、これに比べドイツ憲法裁判事はBundesrat(連邦参院)及びBundestag(連邦衆院)代表により選出され、民主的正当性をもつ。「ヨーロッパ基本権」は空中に漂う裁判官がつくりあげた空中楼閣に過ぎず、それを各国法に優先させるというのがEU憲法の意図である。

 (9) ドイツ憲法裁は「欧州裁判所が堅実な基本権の保護を実施している限り、それをよしとしておく」という態度をとっているが、実際には欧州裁判所は「驚くほど(基本権)保護レベルの低い」判決を下している。例えば商品流通の自由を保障するため、デモ(集会)の自由を制限するといった判決がそれで、「現在ドイツ国民に許されている多数の行為が自由競争、自由な流通の妨害」の名の下に限定される。

 また各国で異なる自由の権利をヨーロッパ全体に適用しようとするため、レベルを落とした平準化が行われている。例えばなるべく多数の人間を殺すゲームマシンは「人間の尊厳」(基本法第一条)を侵すとしてドイツでは禁止されたが、欧州裁判所は留保付で禁止判決に同意しているに過ぎない。

 (10) 何年も前からEUの捜査機関 は徐々に権力を増大し、全く独立した捜査権をもち、EU委員会、政府、その他の機関の指示を全く受けずに活動が出来るようになっている。 刑法が改悪され、例えば「詐欺」とは意図的に事実を偽り金をだまし取る行為だったが、現在では過失で間違った供述をしても「詐欺」とされる。 Eurojustはドイツの検察庁に現地捜査の実施を要求でき、加盟諸国の刑事捜査についての情報を収集出来る。また「テロ」に関連する事件と見なされれば、その過程は逐一デンハーグ(Eurojust)に報告され、そのデータはEuropol(の巨大なコンピューターに)送信される。

 既存の手段を正しく使うかわりに、何か機会のある毎に(各国民監視の)網を拡大し、網の目を細かくしようとしている。また「テロ」捜査の名の下に警察及び防諜機関が一体となって活動し、このためEuropolのコンピューターにメモリーされた情報も警察からの情報なのか、防諜機関の情報なのか区別がつかなくなっている。 シェンゲン情報システムの第二世代コンピューター(SIS II)には目立った動きをするヨーロッパ諸国民のデータ(身分証明証のバイオメトリックデータ、DNAデータ、生活習慣、クレジットカード、自動車、飛行機等)が入力されている。こうした事態に「人権」侵害の危険を感じているのはEuropolコントロール委員会だけでなく、英国の人権擁護エイジェンシー(Statewatch)もこのデータシステムを《Big-Brother-Database》と呼んでいる。

 (11) こうして加盟国民のデータがすぐに(EU権力機構に)即時入手可能(available)になっただけでなく、ヒトも思いのままに動かすことが可能になった。EU逮捕状でどの加盟国・国民も確実に他の加盟国の司法機関に引き渡しが出来るよう、EUの圧力で「ドイツ人を(裁判のために)外国に引き渡すことは許されない」という「基本法」の保障すら廃止された。それだけでなく、「欧州検察」の創立も計画され、どの加盟国でも捜査の実施ないし実施の指令を行え、どこの国で告訴するかも「欧州検察」が勝手に決定出来る。また「司法業務の自由化」の名の下に、どのEU諸国民に対しても欧州検察が指定する国の裁判所で裁判を行い、欧州検察の選んだ監獄に服役させることが出来る。

(参考《Der Spiegel》23/2005)
「はろう」6月号より

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝
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